JP3661264B2 - 計時用ステップモータの制御方法、制御装置および計時装置 - Google Patents

計時用ステップモータの制御方法、制御装置および計時装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステップモータの制御方法および制御装置に関し、特に、2極磁化されたロータを備えたPMタイプの計時用ステップモータの制御方法および制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
小型の電子時計やタイマーなどの計時装置においては、時刻表示のための運針などにロータとして2極磁化された永久磁石を用いたPMタイプのステップモータが用いられている。この計時用のステップモータは、ステータの駆動コイルに極性の異なる駆動パルスを交互に供給すると、ロータの周囲に磁極の反転した磁界が形成され、これによってロータを180度回転させることが可能なステップモータであり、構造が簡易で消費電力の小さな計時用ステップモータである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
近年、小型で携帯に適した電子装置は集積化が進み、ユーザーの様々なニーズに対応して多機能化が進んでいる。腕装着型の装置などにおいても計時装置に加え多種多様な機能を備えた装置が実現されている。これらの電子装置においては、多くの装置が同時にあるいは継続して動作するため、消費電力は増加する傾向にある。一方、これらの携帯用に適した小型の電子装置においては、搭載可能な電源が限られているので、長時間、安定した動作を行うためには消費電力をできるだけ低減することが重要である。また、太陽電池などを用いて自動的に発電を行って電池の交換なしに長期間、何処でも自由に使用できる携帯型電子機器も考案されているが、これらの発電システムからは大きな電流密度を得にくい。
【0004】
時刻表示をステップモータを用いて行う計時装置においても多機能化が進んでおり、ステップモータを駆動するために消費される電力をさらに低減することが望まれている。
【0005】
そこで、本発明においては、ステップモータを駆動するために供給される駆動パルスの電力分布を適正化し、電力消費を低減可能な計時用ステップモータの制御方法および制御装置を提供することを目的としている。特に、本発明においては、小型・携帯型の電子機器などに適した簡単な電力制御によって適正な電力分布の駆動パルスをステップモータに供給し、電力消費を低減できる制御方法および制御装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明においては、2極磁化された永久磁石からなるロータの周囲にステータによって2極の磁界が発生され、これによってロータが180度回転される計時用ステップモータにおいて、その無励磁状態におけるトルク(ディテントトルクあるいはコギングトルク)が図2に示すように、回転角度に応じてほぼサインカーブを描いて変化することに着目した。そして、このコギングトルクの変化を考慮して電力分布を可変にした駆動パルスによってステップモータを駆動するようにしている。すなわち、本発明においては、2極磁化された永久磁石からなるロータと、駆動パルスによって反転した磁極の磁界を発生させてロータを180度回転させるステータとを有する計時用ステップモータを制御する際に、計時信号に伴って供給される駆動パルスの電力分布を初期の実効電力および終期の実効電力が中期の実効電力に比べて低くなるようにしている。
【0007】
図2から判るように、ロータの回転初期にはコギングトルクは小さいのでステップモータの発生トルクは小さくて良い。従って、初期の実効電力が小さい駆動パルスを用いてもロータを始動できる。一方、コギングトルクは回転角度に伴って徐々に増加するので、これに合わせて駆動パルスの中期の実効電力を大きくし、確実にロータを回転させる。このように、駆動パルスの立ち上がり、あるいは立ち下がりの初期の実効電力を抑えることによって、ステップモータのコギングトルクに対する余分なトルクの発生を抑制できるので無駄な電力消費を省き、消費電力を低減できる。さらに、駆動パルスを供給した直後にロータが急激に加速されないので、ロータの回転に起因して駆動コイルで発生する逆起電力も小さくできる。このため、コギングトルクが増加する駆動パルスの中期に十分な電力を供給することが可能となり、少ない電力で確実にロータを回転できる。
【0008】
さらに、ロータの回転が進むとコギングトルクは減少し、ロータの回転に対し抵抗となる側から駆動する側に転ずる。このため、駆動パルスの終期の実効電力は中期の実効電力に比べて低く設定することが可能であり、これによってさらに消費電力を低減できる。また、余分な電力によってステップモータに過度のトルクを発生させずに済むので、駆動パルスを供給した後の減衰振動時間(セットリングタイム)を少なくし、この間の振幅も小さくできる。従って、この間の誘導起電力を小さくでき、ジュール熱などによって喪失されるエネルギーを削減できる。
【0009】
このような駆動パルスの電力分布を制御するには、ステップモータに駆動パルスを供給する駆動手段に対し、基準時間発生手段から供給された計時信号によって駆動手段をチョッパ制御して駆動パルスを発生する制御手段を用いることが可能である。この制御手段によって駆動パルスをチョッパ制御し、初期のデューティー比および終期のデューティー比を中期のデューティー比より低く設定することによって、駆動パルスの電力分布を変更し、初期の実効電力および終期の実効電力を中期の実効電力より低くできる。駆動パルスの電力分布の制御には、チョッパ制御に限らず、インバータなどを用いたパルス幅変調制御によって行うことも可能であり、初期のパルス幅を中期のパルス幅に比べて狭くすれば良い。同様に、終期のパルス幅を中期のパルス幅より狭く設定することによって駆動パルスの終期の実効電力を低減できる。
【0010】
計時を行うステップモータに対し供給する駆動パルスを、上記の制御手段によって電力制御することにより、計時装置の電力消費を大幅に低減でき、電力の限られた小型で携帯に適した電子装置においても、計時機能に加えて他の機能を有効に活用することができる。また、電子装置の電池の寿命を延ばし、あるいは電池の交換を不要にすることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照しながら本発明をさらに詳細に説明する。図1に、本発明に係る計時装置1の概略構成を示してある。本例の計時装置1は、ステップモータ10と、このステップモータ10を制御する制御装置20と、ステップモータ10の動きを伝達する輪列50、および輪列50によって運針される秒針61、分針62および時針63を備えている。本例のステップモータ10は、制御装置20から供給される駆動パルスによって磁力を発生する駆動コイル11と、この駆動コイル11によって励磁されるステータ12と、さらに、ステータ12の内部で回転するロータ13を備えている。このロータ13はディスク状の2極の永久磁石によって構成されており、PM型(永久磁石回転型)の1相のステップモータ10となっている。ステータ12には、駆動コイル11で発生した磁力によって異なった磁極がロータ13の回りのそれぞれの相15および16に発生するように磁気飽和部17が設けられている。また、ロータ13の回転方向を規定するために、ステータ12の内周の適当な位置には内ノッチ18が設けられており、これによってコギングトルクを発生させてロータ13が適当な位置に停止するようにしている。
【0012】
ステップモータ10のロータ13の回転は、かなを介してロータ13に噛合された五番車51、四番車52、三番車53、二番車54、日の裏車55および筒車56からなる輪列50によって各針に伝達される。四番車52の軸には秒針61が接続され、二番車54には分針62が接続され、さらに、筒車56には時針63が接続されており、ロータ13の回転に連動してこれらの各針によって時刻が表示される。輪列50には、さらに、年月日などの表示を行うための伝達系など(不図示)を接続することももちろん可能である。
【0013】
本例の計時装置1においては、ステップモータ10の回転することによって時刻が表示されるようになっている。従って、ステップモータ10は所定の計時信号に従って出力された駆動パルスによって駆動される。ステップモータ10を制御する本例の制御装置20は、水晶振動子などの基準発振源21を用いて基準周波数の基準パルスを出力する発振回路22と、基準パルスを分周して計時を行うための特定の幾つかの計時信号(タイミング信号)φ0〜φ4を出力する分周回路23と、さらに、基準パルスに基づき数kHz〜数10kHzの高周波のパルス信号(チョッパ信号)を発生するチョッパ回路24を備えている。これらのタイミング信号およびチョッパ信号は、ステップモータ10に供給する駆動パルスを生成するための駆動回路31を制御する制御回路30に供給される。制御回路30は、これらのタイミング信号およびチョッパ信号によって駆動パルスを発生させ、その駆動パルスの実効電力をチョッパ制御を用いて変動できるようにしている。すなわち、駆動パルスを直流チョッパして駆動パルスを複数のサブパルスから構成し、各サブパルスのデューティー比を制御することにより、各サブパルスのパルス幅を制御し、駆動パルスの電力分布およびパルス全体の実効電力を制御できるようにしている。
【0014】
本例の駆動回路31は、pチャンネルMOSトランジスタ(以降においてはMOS)32、33およびnチャンネルMOS34、35をバイポーラ型の駆動回路を構成するように接続してあり、これらのMOS32、33、34および35によって電源から供給された電力を制御し、ステップモータの駆動コイル11に極性の異なる駆動パルスを交互に供給できるようになっている。このような駆動回路31はCMOSなどを用いて簡単に構成できるものであり、上記の制御回路30などと共に1つの基板上にモノリシック化することも可能である。
【0015】
さらに、駆動回路31から駆動コイル11へ駆動パルスを供給する配線には、駆動パルスを供給した後に生ずる誘起電圧などからロータ13の回転・非回転を検出する検出回路39が接続されており、制御回路30はこの検出回路39からの検出信号によってさらに制御を行えるようになっている。
【0016】
本例のステップモータ10においては、駆動回路31から供給された駆動パルスによって駆動コイルが励磁され、ロータ13の周囲に位置するステータ12の第1および第2の端部15および16の間に磁界が発生する。そして、極性の反転した駆動パルスが供給されると、ロータ13に磁極の反転した磁界が発生され、これによってロータ13は180度回転する。本例のステップモータ10はPM型であり、ロータ13に永久磁石を用いているので無励磁保持トルク(ディテントトルクあるいはコギングトルク)を備えており、このコギングトルクがロータの回転角度によって変化する。さらに、本例のステップモータ10は、ステータ12にロータ13の静的な安定位置を定める内ノッチ18を設けてあり、この内ノッチ18に対しロータ13の2極がほぼ直交した位置で静止する。ロータ13が動く過程において、コギングトルクTcが変化する様子を図2に示してある。本図から判るように、コギングトルクTcはロータ13の回転角度に応じてほぼサインカーブを描いて変化する。すなわち、静的な安定位置から回転角度が増加するといったんコギングトルクTcは増加し、そののち減少する。そして、ロータ13が中間地点を過ぎると、コギングトルクTcはロータの回転運動に抵抗となる側から駆動する側のトルクとして作用し、次の静的安定位置で位置エネルギーが最も低くなるように変化する。
【0017】
従って、ステップモータ10に駆動パルスが供給され、駆動パルスによって励磁された磁界によりロータ13がコギングトルクTcより大きな回転力を得るとロータ13は回転を開始する。そして、ロータ13が90度以上回転するとコギングトルクTcによって次の静的安定位置に向かい、その静的安定位置を中心に振動する。そして、減衰振動時間(セットリングタイム)が経過したのち、静的安定位置にロータ13が静止する。計時を行う本例のステップモータ10には、定期的、例えば1秒毎(1Hz)に数〜数10ms程度の駆動パルスが断続的に供給され、ロータ13は回転および静止を繰り返す。そして、ロータ13が回転した後の減衰振動による誘起電力を検出回路39によって検出し、ロータ13の回転・非回転を判断する。さらに、ロータ13が非回転の場合は、さらに大きな電力の駆動パルスをステップモータ10に供給して強制的に回転させる。
【0018】
図3に、本例の制御回路20において、分周回路23から供給されたタイミング信号φ0〜φ4およびチョッパ回路24から供給されたチョッパ信号によって制御回路30が駆動回路31を制御し、駆動パルスがステップモータの駆動コイル11に出力される様子を示してある。分周回路13から供給される各タイミング信号φ0、φ1、φ2、φ3およびφ4は同一の周期、例えば、計時に適当な1Hzのサイクル信号であり、それぞれの信号のレベルが変動するタイミングを変えてある。一方、チョッパ回路16から供給されるチョッパ信号は短い周期の信号であり、例えば、3kHz程度の信号である。
【0019】
時刻t1に、タイミング信号φ0が低レベルから高レベルに変わると、ステップモータ10に駆動パルスを供給するサイクルがスタートする。そして、時刻t2にタイミング信号φ1が低レベルから高レベルに変わると、例えば、駆動回路31のpチャンネルMOS32およびnチャンネルMOS34に高レベルの制御信号が印加され、駆動パルスが発生する。このタイミング信号φ1によってステップモータの駆動コイル11に供給される駆動パルスは、MOS32および34に印加される制御信号により、チョッパ信号およびタイミング信号φ1に対応したデューティー比でオンオフされ、幅の狭い複数のサブパルスによって構成される。従って、駆動パルスの立ち上がり初期、すなわち、時刻t2から次のタイミング信号φ2が立ち上がる時刻t3までの駆動パルスは、チョッパ信号に同期したデューティー比が5/32程度の幅の狭いサブパルスによって構成される。
【0020】
次に、時刻t3にタイミング信号φ2が低レベルから高レベルになると、制御回路30は、制御信号のデューティー比をタイミング信号φ2に対応した値に変える。これによって、駆動パルスの中期、すなわち、時刻t3から次のタイミング信号φ3が立ち上がる時刻t4までの駆動パルスは、チョッパ信号に同期したデューティー比が22/32程度の幅の広いサブパルスによって構成される。
【0021】
さらに、時刻t4にタイミング信号φ3が低レベルから高レベルになると、制御回路30が制御信号のデューティー比をタイミング信号φ3に対応した値に変える。これによって、駆動パルスの終期の、時刻t4から次のタイミング信号φ4が立ち上がり駆動パルスが終了する時刻t5までの駆動パルスは、チョッパ信号に同期したデューティー比が10/32程度の幅の狭いサブパルスによって構成される。
【0022】
このような1つの駆動パルスをステップモータ10に供給するサイクルが終了すると、ロータの回転・非回転が検出回路39によって検出され、必要であれば、上記の駆動パルスより十分に大きな実効電力を備えた駆動パルスが供給され、ロータを強制的に回転させる。
【0023】
次に、時刻t6に、タイミング信号φ1が高レベルから低レベルに反転すると、先の駆動パルスと電圧レベルが反転した次の駆動パルスをステップモータに供給する新たなサイクルが開始される。時刻t7にタイミング信号φ2が反転すると、例えば、駆動回路31のpチャンネルMOS33およいnチャンネルMOS35に高レベルの制御信号が印加され、駆動パルスが立ち下がる。この駆動パルスの立ち下がり初期、すなわち、時刻t7から次のタイミング信号φ2が反転する時刻t8までの駆動パルスは、前のサイクルの駆動パルスと反対の電圧で、チョッパ信号に同期したデューティー比が5/32程度の幅の狭いサブパルスによって構成される。同様に、駆動パルスの中期、時刻t8から次のタイミング信号φ3が立ち下がる時刻t9までの駆動パルスは、チョッパ信号に同期したデューティー比が22/32程度の幅の広いサブパルスによって構成され、時刻t9から次のタイミング信号φ4が立ち上がり駆動パルスが終了する時刻t5までの駆動パルスの終期は、チョッパ信号に同期したデューティー比が10/32程度の幅の狭いサブパルスによって構成される。
【0024】
図4に、上記の駆動パルスによって駆動コイルに流れた電流の変化の様子を示してある。本図に示したように、電流波形は、ほぼ図2に示したコギングトルクTcの前半の変化に対応しており、コギングトルクTcの小さい領域(駆動パルスの初期)では駆動コイルに流れる電流は少なくステップモータには小さなトルクが発生する。一方、コギングトルクTcの大きな領域(駆動パルスの中期)では駆動コイルに大きな電流が流れてステップモータに大きなトルクが発生していることが判る。さらに、駆動パルスの後半では、駆動コイルに流れる電流は少なくなくステップモータには小さなトルクが発生していることが判る。そして、駆動パルスが供給された後に、ロータが次の静止位置で減衰振動を行っていることを示す誘起電流が発生しており、ロータが確実に回転していることが判る。本例のチョッパ制御によりサブパルスのパルス幅を可変にして電力分布を設定した本例の駆動パルスの消費電流は、後述する均等なサブパルスによる駆動パルスの消費電流の約70〜80%に抑えられることが本願出願人らの測定によって判っている。
【0025】
このように、チョッパ制御によって電圧分布を可変にした本例と比較するために、均等なサブパルスによって形成された均等な電圧分布の駆動パルスによってステップモータを駆動する様子を図5および図6に示してある。図5に示すように、時刻t11にタイミング信号φ0が高電位に変わると、駆動パルスを供給するサイクルが開始される。時刻t12にタイミング信号φ1が高電位に変わるとチョッパ信号に同期したデューティー比が22/32程度の幅のサブパルスが出力され、時刻t13にタイミング信号φ4が高電位になるまで同じデューティー比、すなわち、同じ幅のサブパルスが連続して出力される。従って、均等な幅のサブパルスによって構成されるようにチョッパ制御された駆動パルスがステップモータ10に供給される。同様に、時刻t14にタイミング信号φ0が反転すると、次の駆動パルスを供給するサイクルが開始され、時刻t15にタイミング信号φ1が反転すると、先のサブパルスと逆の電位のサブパルスによって極性が反対の駆動パルスが供給される。これにより、磁極の反転した磁界がステータに発生し、ロータが次の静的安定位置に向かって回転する。
【0026】
図6に均等な電力分布の駆動パルスを駆動コイルに供給したときに流れる電流の変化を示してある。駆動パルスが供給されるとすぐに大きな電流が流れロータが加速される。これによって、逆起電力が発生し、駆動パルスの中期に流れる電流は低下する。ロータがさらに回転するとロータが横切る磁束密度の変化が低下するので逆起電力も低下し、再び大きな電流が流れる。直流チョッパによる均等な幅のサブパルスによって駆動パルスを構成すると、サブパルスの数量を制御することによって駆動パルス全体の実効電力は制御可能であるが、駆動パルス内の実効電力の分布の制御は行えない。従って、駆動パルスの初期および終期に駆動コイルに大きな電流が流れてしまい消費電流が大きくなる。この結果、図4に示した電流波形より全体の消費電流が20〜30%増加してしまう。また、駆動パルスを供給した後のロータの減衰振動による誘起電流が、図4に示した本例の電力分布を変えた駆動パルスを用いて回転させた場合より2m秒ほど早く発生している。これは、図5に示す駆動パルスによって、図3に示した本例の駆動パルスを供給した場合より、ロータが高速で回転されたためと考えられる。
【0027】
このように、駆動パルスをデューティー比が等しくなるようにチョッパ制御した場合と比較し、本例のように駆動パルスのデューティー比を変えて電力分布を制御し、駆動パルスの中期に比べて初期および終期の実効電力が小さくなるようにチョッパ制御することによって、コギングトルクにマッチしたトルクを発生させてロータを回転できる。従って、ロータを低い回転速度で駆動することができ、駆動パルスの初期および終期で無駄に消費される電力を省くことができる。さらに、ロータの回転速度が低く、駆動パルスの中期における逆起電力を低減できるので、大きなトルクが必要となる駆動パルスの中期では大きな電流を流して十分なトルクを発生させ、確実にロータを回転できる。この結果、本例の駆動パルスによって消費電流を20〜30%程度低減できることが本願発明者らの測定によって確認されており、少ない電力で計時用のステップモータを確実に駆動できる。また、ロータの回転速度を低くできるので、回転後の減衰振動も小さくて済み、セットリングタイムを短くでき、また、これに伴って発生するジュール熱も抑制できる。
【0028】
さらに、図3に示した本例のステップモータの制御方法においては、駆動パルスの初期のサブパルスのデューティー比を、駆動パルスの終期のデューティー比よりも小さくしている。これは、ロータが回転を開始する初期は、コギングトルクが小さいためデューティー比を低くしても十分にロータを始動でき、駆動パルスの初期において大きな省電力効果が得られるからであり、さらに、その後の逆起電力の発生を抑えて、よりスムーズにロータを回転させることが可能となるからである。一方、駆動パルスの終期においては、コキングトルクは回転初期と同様に小さいが、より確実にロータを回転させるため駆動パルスの初期よりデューティー比を若干高く設定し十分なトルクを発生できるようにしている。従って、本例においては、駆動パルスの初期における省電力効果が特に大きいと考えられる。
【0029】
なお、本例においては、駆動パルスの初期、中期および終期の実効電力を制御するために計時信号と同様に一定の周波数で出力されたチョッパ信号を用いてサブパルスのデューティー比を調整しているが、インバータなどによるパルス幅変調制御を用いることも可能である。この場合は、駆動パルスを構成する複数のサブパルスのパルス幅を、上記のデューティー比に合わせて駆動パルスの中期に対し初期および終期の少なくともいずれかを低くするように制御すれば良い。さらに、パルス周波数変調(PFM)、パルス振幅変調(PAM)などの手法を用いて駆動パルスの実効電力を制御することも可能である。
【0030】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明は、駆動パルス内の実効電力の分布をコギングトルクの分布を参照して駆動パルスの初期および終期の実効電力が中期の実効電力より小さくなるようにしている。このような実効電力の分布が制御された駆動パルスを用いることによって、駆動パルスの初期および終期の無効な電力消費を省くことが可能となり、ステップモータを駆動するために消費される電力を大幅に低減できる。特に、駆動パルスの初期の実効電力の分布を小さくすることが消費電力を低減するうえで有効である。
【0031】
このような駆動パルスの電力制御は、駆動パルスをチョッパ制御し、駆動パルスの初期、中期、および終期のそれぞれでデューティー比を変えることによって行える。また、駆動パルスをパルス幅変調制御を行うことによっても電力分布の制御が可能である。
【0032】
このように、本発明により、計時用のステップモータを駆動するために消費される電力を低く抑えることが可能となり、近年、小型化、多機能化している計時装置に好適なステップモータの制御方法および制御装置を提供できる。そして、低消費電力で計時を確実に行え、同時に、電子腕時計などに搭載された多様な機能を有効に活用できる計時装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の制御装置を用いた計時装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1に示すステップモータのコギングトルクが変化する様子を示すグラフである。
【図3】本発明の制御装置からステップモータに供給される駆動パルスを他のタイミング信号と共に示すタイミングチャートである。
【図4】図3に示す駆動パルスが供給された駆動コイルに発生する電流波形を示すグラフである。
【図5】均等な電力の駆動パルスが供給される様子を他のタイミング信号と共に示すタイミングチャートである。
【図6】図5に示す駆動パルスが供給された駆動コイルに発生する電流波形を示すグラフである。
【符号の説明】
1・・計時装置
10・・ステップモータ
11・・駆動コイル
12・・ステータ
13・・ロータ
20・・制御装置
21・・水晶振動子
22・・発振回路
23・・分周回路
24・・チョッパ回路
30・・制御回路
31・・駆動回路
39・・回転・非回転の検出回路
50・・輪列
61・・秒針
62・・分針
63・・時針

Claims (5)

  1. 2極磁化された永久磁石からなるロータと、駆動パルスによって反転した磁界を発生させて前記ロータを180度回転させるステータとを有する計時用ステップモータの制御方法であって、計時信号に伴って供給される前記駆動パルスの初期の実効電力および終期の実効電力を中期の実効電力に比べて低く設定することを特徴とする計時用ステップモータの制御方法。
  2. 請求項1において、前記駆動パルスはチョッパ制御されており、前記初期のデューティー比が前記中期のデューティー比より低く設定されていることを特徴とする計時用ステップモータの制御方法。
  3. 請求項1において、前記駆動パルスはパルス幅変調制御されており、前記初期にパルス幅が前記中期のパルス幅に比べて狭く設定されていることを特徴とする計時用ステップモータの制御方法。
  4. 2極磁化された永久磁石からなるロータの周囲にステータによって2極の磁界が発生され前記ロータを180度回転される計時用ステップモータに駆動パルスを供給する駆動手段と、
    計時信号を発生する基準時間発生手段と、
    前記計時信号によって前記駆動手段をチョッパ制御して前記駆動パルスを発生する制御手段とを有し、
    この制御手段は、前記計時信号に伴って供給される前記駆動パルスの初期のデューティー比および終期のデューティー比を中期のデューティー比に比べて低く設定することを特徴とする計時用ステップモータの制御装置。
  5. 2極磁化された永久磁石からなるロータの周囲にステータによって2極の磁界を発生させて前記ロータを180度回転させることにより計時を行うステップモータと、
    このステップモータに駆動パルスを供給する駆動手段と、
    計時信号を発生する基準時間発生手段と、
    前記計時信号によって前記駆動手段をチョッパ制御して前記駆動パルスを発生する制御手段とを有し、
    この制御手段は、前記計時信号の伴って供給される前記駆動パルスの初期のデューティー比および終期のデューティー比を中期のデューティー比に比べて低く設定することを特徴とする計時装置。
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