JP3659897B2 - 農作業機の操向操作装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、左右一対の走行装置への伝動機構を内装したミッションケースに、前記走行装置それぞれへの伝動を各別に断続する左右の油圧操作式のサイドクラッチと、サイドクラッチが切られた側の走行装置を圧油供給に伴い入り作動することで減速駆動又は制動することによりこの走行装置を旋回内側にして機体の走行方向を変更させる油圧操作式の第1旋回手段と、サイドクラッチが切られた側の走行装置を圧油供給に伴い入り作動することで制動又は逆転駆動することによりこの走行装置を旋回内側にして前記第1旋回手段による旋回時よりも小旋回半径で機体の走行方向を変更させる油圧操作式の第2旋回手段とを内装し、前記サイドクラッチを操作する操向切り換え弁と、前記第1旋回手段と第2旋回手段とを択一的に油圧供給源に接続させる旋回モード選択弁と、この旋回モード選択弁への圧油供給を制御する旋回制御弁とを設けてあるコンバインなど農作業機の操向操作装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の農作業機では、左右のサイドクラッチをともに入りにするとともに前記第1旋回手段及び第2旋回手段をともに切りにすることで直進状態を現出でき、一方のサイドクラッチを切りにするとともに第1旋回手段を入りにしかつ第2旋回手段を切りにすることで第1旋回状態を現出でき、一方のサイドクラッチを切りにするとともに第1旋回手段を切りにしかつ第2旋回手段を入りにすることで第1旋回状態よりも小旋回変形での第2旋回状態を現出できるといった具合に多彩な走行形態を採用でき、圃場条件に対する適応性を優れたものにできるのである。
【0003】
そのような農作業機の操向操作装置として従来では、操向操作具とモード選択操作具とを設け、操向操作具で操向切り換え弁と旋回制御弁とをワイヤなどの機械式連係機構を介して関連操作し、モード選択操作具で旋回モード選択弁をワイヤなどの機械式連係機構を介して操作するようにしたものが知られている。
【0004】
また、例えば特開平7−47973号公報で示されるように、操向操作具とこれの操作位置を検出する操向センサとを設け、旋回モード選択弁を電磁弁に構成し、操向操作具で操向切り換え弁と旋回制御弁とをワイヤなどの機械式連係機構を介して関連操作し、操向センサの検出結果に基づいて旋回モード選択弁を電気的に自動操作するようにし、もって、操向操作具が中立位置に操作されると、前記左右のサイドクラッチがともに入りになるとともに前記第1旋回手段及び第2旋回手段がともに切りになる直進状態を現出し、操向操作具が中立位置から一方に設定位置まで操作されると、一方のサイドクラッチが切りになるとともに第1旋回手段が入りになりかつ第2旋回手段が切りになる第1旋回状態を現出し、操向操作具が一方に前記設定位置を越えて操作されると、一方のサイドクラッチが切りになるとともに第1旋回手段が切りになりかつ第2旋回手段が入りになる第2旋回状態を現出するようにしたものも知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の技術によるときは次のような欠点があった。
前後者いずれの場合も、操向操作具で機械式連係機構を介して二つの弁を操作するから、機械式連係機構の摩擦や各弁の抵抗などで操向操作具の操作が重くなりがちであった。
【0006】
特に前者の場合には、操向操作具とモード選択操作具といったように旋回のために二つの操作具が必要であるから、操作のまごつきを招来しやすかった。
【0007】
農作業機では、ミッションオイルを作動油に使用されることが多くて各弁に塵埃などが入り込むことが多く、操作抵抗が大きくなりがちである。他方、電磁弁は操作力が比較的弱い。従って、後者の場合には、旋回モード選択弁の作動不良を招来しやすかった。
【0008】
本発明の目的は、操作性及び信頼性の向上を図る点にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る本発明による農作業機の操向操作装置の特徴・作用・効果は次の通りである。
【0010】
〔特徴〕
左右一対の走行装置への伝動機構を内装したミッションケースに、前記走行装置それぞれへの伝動を各別に断続する左右の油圧操作式のサイドクラッチと、サイドクラッチが切られた側の走行装置を圧油供給に伴い入り作動することで減速駆動又は制動することによりこの走行装置を旋回内側にして機体の走行方向を変更させる油圧操作式の第1旋回手段と、サイドクラッチが切られた側の走行装置を圧油供給に伴い入り作動することで制動又は逆転駆動することによりこの走行装置を旋回内側にして前記第1旋回手段による旋回時よりも小旋回半径で機体の走行方向を変更させる油圧操作式の第2旋回手段とを内装し、前記サイドクラッチを操作する操向切り換え弁と、前記第1旋回手段と第2旋回手段とを択一的に油圧供給源に接続させる旋回モード選択弁と、この旋回モード選択弁への圧油供給を制御する旋回制御弁とを設けてある農作業機において、
一つの操向操作具と、この操向操作具の中立位置からの操作方向及び操作ストロークを検出する操向センサと、一つの操作用の減速機構付きの電動モータと、この電動モータの中立位置からの回動方向及び回動量を検出する操作センサとを設け、
前記電動モータの中立位置から一方向への回動に伴い前記操向切り換え弁を中立状態から左サイドクラッチ切り操作状態に切り換えるとともに電動モータの中立位置から反対方向への回動に伴い操向切り換え弁を中立状態から右サイドクラッチ切り操作状態に切り換える操向連動機構と、前記電動モータの中立位置から設定位置までの回動に伴い前記旋回モード選択弁を第1旋回手段への圧油供給状態に切り換えるとともに電動モータの前記設定位置を越えた回動に伴い旋回モード選択弁を第2旋回手段への圧油供給状態に切り換えるモード切り換え連動機構とを設け、
前記操向センサ及び操作センサの検出情報に基づいて前記電動モータを制御する操向制御手段と、前記操向操作具に旋回制御弁を連動させる機械式の連動機構とを備えた操向制御機構を設け、
前記操向操作具が中立位置に操作されると、前記左右のサイドクラッチがともに入りになるとともに前記第1旋回手段及び第2旋回手段がともに切りになる直進状態を現出し、操向操作具が中立位置から一方に設定位置まで操作されると、一方のサイドクラッチが切りになるとともに第1旋回手段が入りになりかつ第2旋回手段が切りになる第1旋回状態を現出し、操向操作具が一方に前記設定位置を越えて操作されると、一方のサイドクラッチが切りになるとともに第1旋回手段が切りになりかつ第2旋回手段が入りになる第2旋回状態を現出するように前記操向制御機構を構成し、
前記電動モータを前記ミッションケースの側面に取り付け
てある点にある。
【0011】
〔作用〕
一つの操向操作具により操向制御手段を介して制御される電動モータで操向連動機構及びモード切り換え連動機構を介して操向切り換え弁と旋回モード選択弁とを関連操作する一方、操向操作具で連動機構を介して旋回制御弁を操作することによって、前述した直進状態・第1旋回状態・第2旋回状態を現出するようにしてあって、一つの操向操作具で三つの弁を関連操作するから、操作のまごつきを少なくすることができ、しかも、二つの弁は電動モータで操作し、操向操作具による操作力で操作する弁を一つにしてあるから、三つの弁を一つの操向操作具で操作するようにしながらも、操作力が小さくて済み、その上、電動モータの駆動力は強力であることに着目して、一つの電動モータで二つの弁を操作するようにしてあるから、弁への塵埃付着などにかかわらず両弁を確実に操作しながらも、電動モータが一つで済むことでコストアップを抑制することができる。
【0012】
更に、電動モータをミッションケースの側面に取り付けてあるから、電動モータが一つで済むことと相俟って、例えば電動モータをステーを介してミッションケースの前部又は後部に取り付ける場合に比較して、電動モータによる弁操作部の前後幅を小さなものにできる。
【0013】
〔効果〕
従って、多彩な操向形態を採用できながらも、まごつき少なく軽快に操向操作でき、しかも、電動モータを使用する割には、安価に、かつ、コンパクトに実施できるようになった。
【0014】
請求項2に係る本発明による農作業機の操向操作装置の特徴・作用・効果は次の通りである。
【0015】
〔特徴〕
上記請求項1に係る本発明による農作業機の操向操作装置において、前記操作センサを減速機構の出力軸に作用する状態で減速機構のケースに取り付けてある点にある。
【0016】
〔作用〕
操作センサを減速機構のケースに取り付けてあるから、電動モータを操作センサ付きのものとして扱える。
【0017】
〔効果〕
従って、電動モータ及び操作センサを1ユニット化できてそれらの組み付け性を優れたものにできるようになった。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1に、本発明を適用した農作業機の一例であるコンバインの右側面図が示されている。このコンバインは、左右一対のクローラ型の走行装置1L,1Rを備えた走行機体2の前部に、刈取り前処理部3を昇降自在に連結するとともに、機体上に、脱穀装置4、穀粒タンク5、エンジン6、操縦部7、などを搭載した構造となっている。
【0019】
以下、前記走行装置1L,1Rの伝動構造を図2、図3、図4に基づいて説明する。説明における左右方向の記述は機体の左右方向に基づいており、正面から見たこれらの図における左右方向とは逆の関係となっている。
【0020】
前記エンジン6の動力は、前後進の切換えが可能な主変速装置としての静油圧式無段変速装置(HST)8に伝達され、その変速出力がミッションケース9に伝達される。ミッションケース9に入力された動力は、ギヤG1,G2を介して第1軸10に伝達された後、ギヤG3,G4を介して副変速機構11に伝達される。また、第1軸10からケース外に取り出された動力のうち、正転動力のみがワンウエイクラッチOCを介して前記刈取り前処理部3にベルト伝達される。なお、前記静油圧式無段変速装置8は、操縦部7に備えた主変速レバー29によって操作される。
【0021】
前記副変速機構11は、コンスタントメッシュ式に3段のギヤ変速を行うものであり、第2軸12に遊嵌装着した小径ギヤG5,中径ギヤG6,大径ギヤG7を、第3軸13に固着したギヤG8,G9,G10にそれぞれ常時咬合させ、前記第2軸12上に配備した2つのシフトスリーブS1,S2をシフトすることで、3組の常噛みギヤ対のいずれか一組を用いて、第2軸12から第3軸13への変速伝動を行うよう構成されている。なお、この副変速機構11は、操縦部7に備えた副変速レバー16によって操作される。
【0022】
上記のようにして前記第3軸13に伝達された動力は、中央のギヤG9を介して第4軸19のセンターギヤG11に伝達された後、油圧操作式の左右のサイドクラッチ20L,20R、車軸ギヤ21L,21R、および、車軸22L,22Rを介して左右の走行装置1L,1Rに伝達される。
【0023】
図3、図4に示すように、前記サイドクラッチ20L,20Rは、第4軸19に遊嵌されるとともに車軸ギヤ21L,21Rに常時咬合されたサイドクラッチギヤ23L,23Rをシフトして、前記センターギヤG11の中心内歯に側方から咬合離脱させることで、センターギヤG11から車軸22L,22Rへの動力伝達を断続するよう構成されたものであり、前記サイドクラッチギヤ23L,23Rをシフトする手段が以下のように構成されている。
【0024】
図3、図4に示すように、前記第4軸19は、中央部位が大径の段付き軸に構成されるとともに、サイドクラッチギヤ23L,23Rは、この第4軸19の大径部と小径部とに亘って外嵌する段付きの内径を備えており、互いの段差部の間が油室g,hとなっている。そして、常時は、バネ24SによってセンターギヤG11側にスライド付勢されてクラッチ入り位置に保持され、第4軸19の内部に穿設された油路a,bを介して前記油室g,hのそれぞれに圧油が供給されて各サイドクラッチギヤ23L,23Rがバネ24Sに抗して限界までシフトされると、センターギヤG11から外れてクラッチ切り状態がもたらされるようになっている。また、サイドクラッチギヤ23L,23Rがクラッチ切り位置までシフトされると、圧油供給用の前記油路a,bが、第4軸19の内部に穿設された油路dに連通されるようになっている。
【0025】
これにより、左のサイドクラッチ20Lは、サイドクラッチギヤ23Lの内周側部分を油圧ピストン型の油圧アクチュエータ23aとし、この油圧アクチュエータ23aによって入り切り操作される。右のサイドクラッチ20Rは、サイドクラッチギヤ23Rの内周側部分を油圧ピストン型の油圧アクチュエータ23bとし、この油圧アクチュエータ23bによって入り切り操作される。
【0026】
また、前記サイドクラッチギヤ23L,23Rは、センターギヤG11との咬合が外れたクラッチ切り位置に到達した後、第4軸19の両端部位に遊嵌装着された旋回用サイドギヤ25L,25Rに、多板式の旋回用クラッチ30L,30Rを介して連結可能となっている。
【0027】
前記旋回用クラッチ30L,30Rは、旋回用サイドギヤ25L,25Rの側面に一体連設した大径のクラッチケース部31Cにディスク状のピストン32Pが内嵌装着されるとともに、クラッチケース部31Cに駆動側の複数枚の摩擦板33Aが外周において係合支持され、この駆動側の摩擦板33Aに接合される複数枚の従動側の摩擦板34Aが、サイドクラッチギヤ23L,23Rの外周歯部に直接に外嵌係合された構造となっている。ここで、従動側の摩擦板34Aは、摩擦伝動部分と中央嵌合孔との中間部位において周方向複数箇所に連通孔が形成されており、ミッションケース内の潤滑油がクラッチ内部空間に自由に出入りして、摩擦面の冷却、および、クラッチ切り時における潤滑を良好に行うことができるとともに、クラッチ内部空間に油が封入されることを防止して、ピストン32Pの作動に悪影響が出ることが回避されている。
【0028】
旋回用クラッチ30L,30Rのピストン32Pを作動させる油室i,jは、サイドクラッチ20L,20Rに圧油を供給する前記油路a,bにそれぞれ絞り流路k,mを介して連通接続されている。
【0029】
さらに、旋回用クラッチ30L,30Rの内部には、ピストン32Pを摩擦板側、つまり、クラッチ入り側に向けて押圧するバネ35Sが周方向複数箇所に組み込まれており、ピストン32Pを適度に軽く摩擦伝動部位に押し付けて、旋回用サイドギヤ25L,25Rとサイドクラッチギヤ23L,23Rとの間で常に低トルクの動力伝達が行われるように構成されている。
【0030】
また、前記操向用サイドギヤ25L,25Rは、第5軸26の両端部位に固着されたギヤ27L,27Rに咬合されるとともに、第5軸26に遊嵌したギヤG13が、前記センターギヤG11の側部に連設された小径のギヤG12に咬合されて減速連動されている。
【0031】
図4などに示すように、前記ギヤG13と第5軸26との間には、緩旋回を司る第1旋回手段としての湿式多板クラッチ利用のクラッチCが装備されている。このクラッチCは、常時は内装したバネ31によって旋回第1油圧アクチュエータの一例としての油圧ピストン32が後退復帰されて、前記ギヤG13と一体回転状態にある複数の摩擦板m1と第5軸26に一体回転状態に装着したクラッチハウジングHと一体回転状態にある複数の摩擦板m2との圧接が解除されることでクラッチ切り状態に維持され、第5軸26の内部に穿設形成された油路(操作油供給路)cを介して圧油が供給されることで油圧ピストン32がバネ31に抗して変位されて、前記摩擦板m1,m2同士が圧接されることでクラッチ入り状態に切換えられるようになっている。
そして、このクラッチCのうち摩擦板m1,m2が存在するクラッチハウジングH内部分、つまり、多板内装室R内に操作油の余剰油を供給することにより摩擦板m1,m2を冷却する冷却装置は、前記油路cと多板内装室Rとを、操作圧を維持した状態で連通させる小径の油路zを前記第5軸26に形成することで構成されている。
【0032】
図4などに示すように、ミッションケース9の右側面に取り付けられたサイドカバー33に、第5軸26の一端が軸受け支承されるとともに、このサイドカバー33に、クラッチCを入りにして旋回するときよりも小半径の旋回半径で旋回させる信地旋回を司る第2旋回手段としての油圧操作式の多板型の制動機構Bが装備されている。この制動機構Bは、旋回用第2油圧アクチュエータの一例としてのリング状の油圧ピストン34が油圧の印加によってケース内方へ進出して、押圧プレート35を内装バネ36に抗して押圧変位させることで、第5軸26に摩擦制動作用が付加され入り状態になることにより、サイドクラッチ20L,20Rが切られ側の走行装置1L又は1Rを制動し、油圧の印加が解除されて押圧プレート35が内装バネ36によって復帰後退することで、切り作動して走行装置1L又は1Rに対する制動を解除するようになっており、前記油圧ピストン34は、サイドカバー33の外側面に取り付けた油圧ブロック37に組み込まれている。
【0033】
図5に、前記サイドクラッチ20L,20R、旋回用クラッチ30L,30R、クラッチC、および、制動機構Bを操作する操向用の油圧回路図および制御系統図が示されている。図において、V1は、左サイドクラッチ20Lの油圧アクチュエータ23aと、右サイドクラッチ20Rの油圧アクチュエータ23bとを択一的にシフト操作するための操向切換え弁であって、ミッションケース9の外側に配備した操向用の電動モータ110によって中立、および、正逆の3位置が選択される。V2は、前記クラッチCの油圧ピストン32と、制動機構Bの油圧ピストン34を油圧供給源としての油路eに択一的に接続して旋回モードを切換える旋回モード選択弁であって、通常はクラッチCの油圧ピストン32に圧油供給する第1位置に付勢され、ミッションケース9の外側に配備した前記電動モータ110によって制動機構Bの油圧ピストン34に圧油供給する第2位置に切換えられるようになっているスプール弁である。
【0034】
また、図5中のV3は、前記第4軸19の内部に形成された油路dに接続されたシーケンス弁であり、その作動圧は、サイドクラッチ20L,20Rのサイドクラッチギヤ23L,23Rをクラッチ切り位置までシフトしてバネ24Sとバランスさせる圧に設定されている。そして、このシーケンス弁V3の下手側に旋回制御弁としての可変リリーフ弁V4が接続されて、作動油タンクを兼用するミッションケース9に連通されるとともに、シーケンス弁V3と可変リリーフ弁V4との間から分岐した前記油路eが前記旋回モード選択弁V2の一次側に接続されており、可変リリーフ弁V4は、圧力調節されることにより、旋回モード選択弁V2に給油したり、この給油を停止したりする。
【0035】
前記電動モータ110は、図11、図12に示すように、減速機構G付きのものであって、減速機構GのケースGCには、電動モータ110の出力軸、実際には減速機構Gの出力軸PSの回動方向及び回動量を検出するポテンショメータ利用のフィードバック用の操作センサASが取り付けられている。つまり、電動モータ110・減速機構G・操作センサASは一つの電動ユニットUとして構成されている。そして、電動ユニットUは、前記ミッションケース9の側面、実際には前記油圧ブロック37の側面に突設の複数の取付脚9aに、ケースGCを被取付部としてボルトBTを介して油圧ブロックの側面との間に設備空間を形成する状態で着脱自在に取り付けられている。
【0036】
前記操向切り換え弁V1及び旋回モード選択弁V2は、図8〜図12に示す操作構造に基づいて前記電動モータ110によって切り換え操作するように構成してある。
【0037】
すなわち、操向切り換え弁V1は、図13に示すように、前記油圧ブロック37に組み込まれており、油圧ブロック37の外部に位置する揺動リンク64を支軸62の軸芯周りで揺動操作することによって切り換え操作できる。揺動リンク64は、この揺動リンク64の基部に備えてあるバネ受けピン64aに両端側が当接するように構成した復帰バネ112によって中立位置に復元付勢するように構成してある。fpは、前記油圧ブロック37に連設したブラケット37aに付設されて前記復帰バネ112に接当することでこの復帰バネ112を回り止めする固定ピンである。
【0038】
前記電動ユニットUの出力軸PSに回転カム114を一体回転自在に取付けてある。この回転カム114が中立位置にあると、図8に示すように、この回転カム114の周面に設けてある操作カム部の凹入部分で成る中立部分115aが、揺動リンク64の遊端部にローラを付けて設けてある操作部64bに対応して揺動リンク64を中立位置に操作する。すると、揺動リンク64は、操向切り換え弁V1を中立状態に操作する。図9、図10に示すように、この状態から電動モータ110が正回転方向や逆回転方向に駆動されると、回転カム114が電動モータ110の駆動力によって正回転方向や逆回転方向に操作され、回転カム114の前記操作カム部の前記中立部分115aの横側に位置する円弧部分で成る操向部分115bが揺動リンク64の前記操作部64bに当接して揺動リンク64を中立位置から左操向側や右操向側に揺動操作する。すると、揺動リンク64が操向切り換え弁V1を左旋回や右旋回の操向側に切り換え操作する。操向切り換え弁V1が左旋回や右旋回の操向側に切り換わっ後にさらに回転カム114が回転操作されても、操作カム部の前記操向部分115bが回転カム114の回転軸芯を中心とする円弧形状であることから、揺動リンク64は操向側に維持されて操向切り換え弁V1を左旋回や右旋回の操向側に維持する。
【0039】
旋回モード選択弁V2は、図14に示すように、前記サイドカバー33の内部に組み込まれており、サイドカバー33の外部に位置するレバー70を支軸67の軸芯周りで揺動操作することによって切り換え操作できる。レバー70に連動杆116を介して連動している揺動リンク117を前記出力軸PS周りで揺動自在に支持させてある。揺動リンク117は、この揺動リンク117の揺動範囲の中央の待機位置に復帰付勢してある。つまり、揺動リンク117を一方向に揺動させた場合には連動杆116を介してレバー70を一方向に引っ張り揺動させ、かつ、揺動リンク117を反対方向に揺動させた場合にも連動杆116を介してレバー70を一方向に引っ張り揺動させるようになっている。そして、前記揺動リンク117が前記待機位置にあると、図8に示すように、レバー70を旋回モード選択弁V2をそれの自己復元力によってクラッチ位置(第1位置)に操作する。すると、旋回モード選択弁V2はクラッチ側になっている。前記回転カム114の側面を切り欠くことにより揺動リンク117に付設の受動ピン117aを押圧して揺動リンク117を揺動操作するための一対の押圧操作段部120を設けてある。前記回転カム114が前記中立位置から正回転方向や逆回転方向に回転操作されると、図9、図10に示すように、操向切り換え弁V1が左旋回や右旋回側の操向側に切り換わった後に前記押圧操作段部120の対応するものが揺動リンク117の受動ピン117aに当接し、揺動リンク117を旋回モード選択弁V2の自己復元力に抗して前記待機位置から離れる側に揺動操作する。すると、揺動リンク117は連動杆116を介してレバー70をブレーキ側に揺動操作し、レバー70が旋回モード選択弁V2をブレーキ位置(第2位置)側に切り換え操作する。
【0040】
図1、図5に示すように、前記電動モータ110及び可変リリーフ弁V4は、操縦部7のハンドル塔41に設けた操向操作具としてのステアリングレバー42に、操向制御手段43、及び、機械式の連動機構121を備える操向制御機構122によって連係されている。
【0041】
図6,図7に示すように、ハンドル塔41の上部右側(運転者から見て)に取り付けたブラケット44に支軸45が前後向き支点x周りに回動自在に貫通装着されるとともに、この支軸45の後端に連設した支点金具46に、前記ステアリングレバー42が横向き支点y周りに揺動可能に装着されて、ステアリングレバー42が十字揺動可能に構成されている。そして、前記支点金具46からは棒材をL形に屈曲してなる第1操作アーム47が突設されるとともに、前記支軸45の前端部近くからは板材の第2操作アーム48が突設されている。
【0042】
第1操作アーム47は、ハンドル塔41に取付けられた操向センサとしてのポテンショメータ49に以下のように連係され、このポテンショメータ49によって、ステアリングレバー42の操作位置、及び、ステアリングレバー42の中立位置からの操作方向と操作ストロークが電気的に検出されるようになっている。
【0043】
つまり、前記ポテンショメータ49の操作レバー49aは、前記第1操作アーム47に側方から常に接当するよう、内装したバネによって図6中時計方向に回動付勢されており、第1操作アーム47が中立位置から左右いずれの方向に操作されても、接当状態を維持しながら操作レバー49aが第1操作アーム47に追従して回動することで、ステアリングレバー42の操作位置がポテンショメータ49の出力変化として連続的に検出され、その検出信号が前記操向制御手段43に入力されるようになっている。
【0044】
操向制御手段43は、マイクロコンピュータで成り、ステアリングレバー42が操作されると、ポテンショメータ49及び前記操作センサASからの情報を基に電動モータ110を自動的に操作して操向切り換え弁V1及び旋回モード選択弁V2を切り換え操作することにより、左右のサイドクラッチ20L,20R、クラッチC、制動機構Bのそれぞれをステアリングレバー42の操作位置及び操作ストロークに対応した状態に操作する。
【0045】
前記連動機構121は、ステアリングレバー42を可変リリーフ弁V4に連動させるものであり、前記第2操作アーム48と、前記支軸45に遊嵌装備された一対の作動アーム51,52と、この一対の作動アーム51,52に一端側が連結しているレリーズワイヤ50と、このレリーズワイヤ50のインナワイヤ50bの他端側を遊端側に連結した状態で前記油圧ブロック37の外部に揺動自在に設けたレバー77とによって構成してある。
【0046】
前記レバー77は、可変リリーフ弁V4の操作部となっており、図14に示すように、前記支軸67と二重軸構造になっている支軸75の軸芯周りで揺動操作されることにより、可変リリーフ弁V4を操作する。
【0047】
図6などに示すように、前記両作動アーム51,52はねじりバネ53によって互いに接近する方向に揺動付勢されて、ブラケット44に設けた固定ピン54を挟むように接当支持されている。そして、一方の作動アーム51の遊端部には、レリーズワイヤ50におけるアウタワイヤ50aの端部が連結支持されるとともに、他方の作動アーム52の遊端部には、レリーズワイヤ50におけるインナワイヤ50bの端部が連結支持されている。また、ステアリングレバー42によって前後向き支点xの周りに揺動される第2操作アーム48の遊端部に設けた操作ピン48aが、両作動アーム51,52の間に設置されている。
【0048】
上記構成によると、例えば図6において、ステアリングレバー42を中立位置nから右旋回方向(図では左方)に揺動操作すると、第2操作アーム48が図中反時計方向に揺動され、操作ピン48aが一方の作動アーム51を反時計方向に押圧して揺動させる。この時、他方の作動アーム52は固定ピン54との当たりによって反時計方向への揺動が阻止されているので、レリーズワイヤ50のインナワイヤ50bが相対的にアウタワイヤ50aから引き出される。また、逆に、ステアリングレバー42を中立位置nから左旋回方向(図では右方)に揺動操作すると、第2操作アーム48が図中時計方向に揺動され、操作ピン48aが他方の作動アーム52を時計方向に押圧して揺動させる。この時、一方の作動アーム51は固定ピン54との接当によって時計方向への揺動が阻止されているので、レリーズワイヤ50のインナワイヤ50bがアウタワイヤ50aから引き出される。つまり、ステアリングレバー42を中立位置nから左旋回方向あるいは右旋回方向のいずれに揺動操作しても、その操作量に応じてレリーズワイヤ50のインナワイヤ50bが引き出し操作され、そのワイヤ引き出し量が大きくなるほど前記可変リリーフ弁V4の作動圧が高くなるように連係されている。
【0049】
これにより、連動機構121は、ステアリングレバー42が中立位置nにあると、可変リリーフ弁V4を低圧側に操作し、ステアリングレバー42が中立位置nから左右に揺動操作されると、このレバー操作力によって可変リリーフ弁V4を高圧側に操作するとともに、ステアリングレバー42の中立位置nから左右への操作ストロークが増大するほど、可変リリーフ弁V4をより高圧側に操作する。
【0050】
前記シーケンス弁V3、操向切り換え弁V1、旋回モード選択弁V2、可変リリーフ弁V4についてさらに詳述する。シーケンス弁V3は操向切換え弁V1と共に前記油圧ブロック37に組込まれ、可変リリーフ弁V4は旋回モード選択弁V2と共に前記サイドカバー33に組込まれ、各弁は、油圧ブロック37およびサイドカバー33の内部に形成された油路を介して互いに連通接続されている。
【0051】
図8〜図13に示すように、操向切換え弁V1は、油圧ブロック37の上部に前後方向に摺動自在に装着したスプール61を、前記揺動リンク64によって支軸62を介して外部から揺動される操作アーム63に係合して摺動操作するよう構成されている。
【0052】
これにより、ステアリングレバー42が中立位置nにある時、回転カム114が中立位置にあり、スプール61は復帰バネ65よって中立に保持されており、ポンプポートPから供給された圧油はドレン流路Dを経てミッションケース9に戻される。ステアリングレバー42が左旋回方向に操作されると、これがポテンショメータ49で検出されて電動モータ110が回転カム114を回転操作して揺動リンク64を操作することにより、スプール61が図13中の左方向に摺動操作され、ポンプポートPから供給された圧油は油路aを介して左旋回用のサイドクラッチ20Lの油圧アクチュエータ23aに供給される。また、ステアリングレバー42が右旋回方向に操作されると、これがポテンショメータ49で検出されて電動モータ110が回転カム114を回転操作して揺動リンク64を操作することにより、スプール61が図17中の右方向に摺動操作され、ポンプポートPから供給された圧油は油路bを介して右旋回用のサイドクラッチ20Rの油圧アクチュエータ23bに供給されるようになっている。
【0053】
図14に示すように、前記旋回モード選択弁V2は、サイドカバー33の上部に前後方向に摺動自在に装着したスプール66を、前記レバー70によって支軸67を介して外部から揺動される操作アーム68で接当押圧して、バネ69に抗して摺動操作するよう構成されている。
【0054】
これにより、回転カム114が中立位置にある時には、スプール66は図14に示す第1位置にあり、シーケンス弁V3の下手側の前記油路eはクラッチCに到る油路cに連通されている。そして、回転カム114が回転操作されて揺動リンク117を揺動操作すると、この揺動リンク117によってレバー70が図14中反時計方向に揺動され、スプール66がバネ69に抗して第2位置に切換えられ、前記油路eが制動機構Bに到る油路fに連通されるようになっている。
【0055】
そして、旋回モード選択弁V2では、前記スプール66を第2位置に保持した状態での前記操作アーム68の一方向(ブレーキ側)への過剰揺動を許容するようにスプール66の第2位置に設定幅を持たせてある。なお、スプール66のバネ69による第1位置を越えての移動は操作アーム68がサイドカバー33の内面に接当することで規制するようになっている。
【0056】
図14中に示すように、可変リリーフ弁V4は、サイドカバー33の上部に前後方向に移動可能に組み込まれたポペット71と、このポペット71を弁座72に付勢押圧して、前記油路eのドレン流路Dへの連通を遮断するバネ73と、このバネ73の後端を支持するバネ受け部材74とから成り、このバネ受け部材74を、前記支軸67に外嵌装着した筒状の支軸75を介して前記レバー77によって外部から揺動される操作アーム76で接当押圧して摺動変位させることで、リリーフ圧を調節することが可能に構成されている。また、付勢揺動限界では可変リリーフ弁V4のリリーフ圧はほぼ零となっている。そして、前述のように、ステアリングレバー42が左右に揺動されてレリーズワイヤ50のインナーワイヤ50bが引き操作されると、操作アーム76が図14中、反時計方向に揺動操作されてバネ受け部材74が押し込み変位され、ステアリングレバー42の揺動量が大きくなってワイヤ引き量が大きくなるに連れて、可変リリーフ弁V4のリリーフ圧が次第に高くなるようになっている。
【0057】
これにより、前記操向制御機構122は、ステアリングレバー42を操作すると、ポテンショメータ49と操作センサASと操向制御手段43との作用によって電動モータ110を自動的に操作してこの電動モータ110によって操向切り換え弁V1及び旋回モード選択弁V2を操作するとともに連動機構121の作用によって可変リリーフ弁V4を操作し、ステアリングレバー42の操作位置に対応させて、機体が直進走行するように機体操向させる直進状態を現出させたり、機体がステアリングレバー42の操作方向に等しい方向にステアリングレバー42の操作ストロークに対応した旋回半径で走行方向を変更するように機体操向を行う旋回状態を現出させる。
【0058】
なお、十字操作可能な前記ステアリングレバー42の前後揺動によって、前記刈取り前処理部3の昇降が行われるようになっている。すなわち、図6,図7に示すように、前記横向き支点yの延長線上の左右には、ステアリングレバー42の前後揺動を検出するポテンショメータあるいはスイッチなどからなるセンサ81と、ステアリングレバー42を前後揺動方向の中立位置nに付勢するねじりバネ82が配備されており、ステアリングレバー42が中立位置nより前方へ揺動されたことがセンサ81で検出されると、前記刈取り前処理部3を下降作動させ、後方へ揺動されたことがセンサ81で検出されると、前記刈取り前処理部3を上昇作動させるように、センサ81と刈取り前処理部3の図示しない駆動昇降機構とが連係されている。
【0059】
また、図2中の83は、前記第3軸13の端部に作用するよう配備された、停止および駐車用のブレーキであり、操縦部7の足元に備えられたペダル84の踏み込み操作によって、エンジン6から静油圧式無段変速装置8への伝動系に配備された図示しない主クラッチが切り操作されるとともに、前記ブレーキ83が制動操作される。また、ペダル84を踏み込み位置に係止保持しておくことで、駐車ブレーキをかけることができるようになっている。
【0060】
本発明に係る操向操作装置は以上のように構成されており、以下、その操向作動について説明する。
【0061】
ステアリングレバー42が中立位置nにある時には、サイドクラッチ20L,20Rは共にクラッチ入り状態にあり、左右のクローラ走行装置1L,1Rは同速で駆動され、機体は直進走行する。
【0062】
ステアリングレバー42が中立位置nから左右方向の一方、例えば右方の第1操作域Rcに揺動操作されると、これがポテンショメータ49で検出されて電動モータ110が駆動され、回転カム114が回転操作されて操向切換え弁V1が右旋回位置に切換えられ、圧油が油路bを介して油室hに供給されてサイドクラッチギヤ23Rが油圧アクチュエータ23bによってクラッチ切り位置までシフトされ、右側のサイドクラッチ20Rが切られる。このため、右側のクローラ走行装置1Rだけが遊転状態となり、左側のクローラ走行装置1Lのみが駆動される緩旋回状態が現出されて機体は右方向に緩やかに旋回してゆく。
【0063】
この場合、サイドクラッチ23Lが切られていない左側の旋回用クラッチ30Lにおいてはバネ35Sを介した低トルク伝達が行われて、サイドクラッチギヤ23Lの動力の一部が操向用サイドギヤ25Lに伝達され、これがギヤ27L、第5軸26、ギヤ27R、および、操向用サイドギヤ25Rを経て右側の旋回用クラッチ30Rにまで回り込み伝達される。そして、この回り込み動力がバネ35Sを介した軽い摩擦伝動によって、クラッチ切り位置にあるサイドクラッチギヤ23Rに伝達され、右側のクローラ走行装置1Rは低トルクの動力伝達を受けることになる。従って、右側のクローラ走行装置1Rは、左側走行装置1Lの動力から取出した低トルクの動力伝達を受けながらサイドクラッチ23Rが切り操作されることになり、サイドクラッチ23Rが切られて主動力の伝達が遮断されたとたんにクローラ走行装置1Rが走行負荷によって完全に停止してしまうようなことはなく、サイドクラッチ23Rの切り作動に伴うショックが緩和される。
【0064】
また、右側のサイドクラッチ20Rが切られると、その後、油室hの圧油が絞り流路mを介して右側の旋回用クラッチ30Rの油室jにも供給されて、旋回用クラッチ30Rが入れられることになるが、ステアリングレバー42が第1操作域Rcにある間は、可変リリーフ弁V4の作動圧が未だ低いために、モード切換え弁V2を介して圧油供給を受ける状態にあるクラッチCはクラッチ入り作動することはなく、操向用サイドギヤ25Rは駆動されていない。従ってこの状態では、旋回用クラッチ30Rは入り操作されるが機体操向には関与しないことになる。
【0065】
ステアリングレバー42が第2操作域Rsにまで操作されると、連動機構12によって可変リリーフ弁V4が操作されてこの可変リリーフ弁V4のリリーフ圧がシーケンス弁V3の作動圧を超えた大きさとなり、高い圧油が油路eおよび油路cを介してクラッチCの油圧ピストン32に供給され、クラッチCが入り操作されて操向用サイドギヤ25Rが所定の低速で駆動される。従って、この操向用サイドギヤ25Rの低速動力がクラッチ切り位置にあるサイドクラッチ20Rに旋回用クラッチ30Rを介して伝達され、右側のクローラ走行装置1Rは所定の比率で減速された低速状態で駆動される第1旋回状態が現出され、左右クローラ走行1R,1Lの駆動速度差に基づいて機体は右方向に緩やかにかつ確実に旋回してゆく。
【0066】
この場合、中立位置nにあるステアリングレバー42を一気に第2操作域Rsにまで操作すると、上記のように、右側サイドクラッチ20Rが切られるとともに速やかにクラッチCが入り作動し、かつ、右側の旋回用クラッチ30Rもクラッチ入り作動するのであるが、右側サイドクラッチ20Rにおける油室hの圧油は、絞り流路mを介して旋回用クラッチ30Rにおける大きい断面積の油室jに除々に供給されるので、旋回用クラッチ30Rのクラッチ入り作動は緩慢かつ滑らかに行われる。従って、クラッチCを介して操向用サイドギヤ25Rに伝達された動力は衝撃なくサイドクラッチギヤ23Rに伝達されることになり、右側のクローラ走行装置1Rは滑らかに減速駆動状態になる。
【0067】
ここで、クラッチCに印加される油圧は、可変リリーフ弁V4によって制限されているので、第2操作域Rs内のステアリングレバー42が中立位置n側に近いほどクラッチCに印加される油圧は低く、クラッチCを介して伝達されるトルクは小さく、第2操作域Rs内のステアリングレバー42が中立位置nから離れるほど、クラッチCに印加される油圧も高くなり、クラッチCを介して右側のクローラ走行装置1Rに伝達されるトルクは次第に大きくなる。そして、ついにはクラッチCが完全に繋がって、右側のクローラ走行装置1Rは所定の比率で減速された低速状態で駆動されることになる。
【0068】
ステアリングレバー42が第2操作域Rsを超えて第3操作域Rbにまで操作されると、これがポテンショメータ49で検出されて電動モータ110がさらに駆動され、回転カム114がさらに回転操作されて旋回モード選択弁V2が切換えられ、油路eが油路fにつながって圧油が制動機構Bの油圧ピストン34に供給されるとともに、油路cがドレン流路Dに連通されてクラッチCが切られる。この場合、ステアリングレバー42が大きく操作されていることで、前記リリーフ圧が既に高くなっているので、制動機構Bによって第5軸26は制動され、第5軸26に連動連結されている右側のクローラ走行装置1Rは制動停止された状態で、左側のクローラ走行装置1Lのみが駆動される第2旋回状態が現出され、機体は右方向に急旋回(信地旋回)する。
【0069】
また、機体操向状態からステアリングレバー42を中立位置nに戻すと、切られていた右側のサイドクラッチ23Rが入り作動して、再び直進状態に復帰するのであるが、この場合、右側の旋回用クラッチ旋回用クラッチ30Rにおいては低トルク伝達が行われて、右側サイドクラッチギヤ23Rは少し回転しているので、センターギヤG11とサイドクラッチギヤ23Rとの速度差が、サイドクラッチギヤ23Rが停止してしまっている場合より小さくなり、咬合不良をもたらすことなく円滑にサイドクラッチギヤ23RがセンターギヤG11に再咬合する。
【0070】
なお、言うまでもないが、ステアリングレバー42が左旋回方向に操作される場合も上記と同様に、第1操作域Lcでは、左側のサイドクラッチ20Lのみを切った緩旋回状態が現出されて緩やかな左旋回が行われ、第2操作域Lsでは、クラッチCを入り操作して左側のクローラ走行装置1Lを減速駆動する第1旋回状態が現出されて左旋回が行われ、また、第3操作域Lbでは、左側のクローラ走行装置1Lを制動した第2旋回状態が現出されての左方への急旋回が行われる。
【0071】
本発明は、以下のような形態で実施することもできる。
【0072】
(1)上記実施の形態では、左右揺動自在なステアリングレバー42をステアリング操作具としているが、回転操作するステアリングハンドルをステアリング操作具として利用することもできる。したがって、これらを総称して操向操作具と呼称する。
【0073】
(2)前記サイドクラッチ20L,20Rのサイドクラッチギヤ23L,23Rを一対のシフトフォークで外部からシフト操作するように構成してもよい。この場合、そのシフトフォークをそれぞれ外装した油圧シリンダで操作するように構成することもできる。
【0074】
(3)制動機構Bに替えて、一方の走行装置1L,1Rに他方の走行装置1R,1Lとは逆回転方向の駆動力を伝達する逆転伝動機構を設けて、旋回用の第3操作域Lb,Rbを、サイドクラッチの切られた側の走行装置を、減速逆転駆動する超信地旋回モードにして実施することもできる。
【0075】
(4)前記制動機構B、クラッチCの他に前記逆転伝動機構も設けて、第3操作域Lb,Rbを、上記のようにサイドクラッチの切られた側の走行装置を制動するブレーキ旋回モードにするとともに、第3操作域Lb,Rbの更に外側に、サイドクラッチの切られた側の走行装置を減速逆転駆動する超信地旋回モードの第4操作域を設けることも可能である。
【0076】
(5)上記実施の形態では、減速機構GのケースGCに操作センサASを取り付けて、電動モータ110と減速機構Gと操作センサASとを備えた電動ユニットUを構成したが、図15、図16に示すように、電動モータ110と減速機構Gとを一つにユニット化し、ミッションケース9の取付脚9aにボルトBTを介してユニットUとともに共締め連結されるステー113を設け、このステー113の取付脚9aへの取り付けに伴い出力軸PSにそのセンサ軸asを軸芯方向から嵌合連動させるように操作センサASをステー113に取り付けて実施しても良い。
【0077】
(6)上記実施の形態では、スプール弁V2のスプール66の第2位置に設定幅を持たせて、スプール66を第2位置に保持した状態での操作アーム68の一方向への過剰揺動を許容するようにして、電動モータ110に過負荷が作用することを防止するようにしたが、図17、図18に示すように、スプール66が第2位置に位置したときに操作アーム68の一方向への揺動を接当阻止するストッパーSTをサイドカバー33に形成し、電動モータ110と操作アーム68との間に、操作アーム68がストッパーSTで接当阻止された状態での電動モータ110の作動を許容する弾性融通DYを設けて実施しても良い。具体的には、前記連動杆116に代えて、揺動リンク117とレバー70とを引っ張りスプリングSで連動連結する。
【図面の簡単な説明】
【図1】コンバインの側面図
【図2】走行用ミッションケースの伝動構造を示す概略図
【図3】ミッションケースの下半部を示す縦断正面図
【図4】サイドクラッチ周辺の拡大した縦断正面図
【図5】操向用の油圧回路と制御系の構成図
【図6】ステアリング操作部の正面図
【図7】ステアリング操作部の側面図
【図8】電動モータと各弁との連係部の側面図
【図9】電動モータと各弁との連係部の側面図
【図10】電動モータと各弁との連係部の側面図
【図11】電動モータと各弁との連係部の縦断面図
【図12】電動モータと各弁との連係部の分解縦断面図
【図13】操向切換え弁の周辺の縦断側面図
【図14】モード切換え弁および可変リリーフ弁の周辺の縦断側面図
【図15】別実施形態を示す電動モータと各弁との連係部の縦断面図
【図16】別実施形態を示す電動モータと各弁との連係部の分解縦断面図
【図17】別実施形態を示す電動モータと各弁との連係部の側面図
【図18】別実施形態を示すモード切換え弁および可変リリーフ弁の周辺の縦断側面図
【符号の説明】
1L 走行装置
1R 走行装置
9 ミッションケース
20L サイドクラッチ
20R サイドクラッチ
C 第1旋回手段
B 第2旋回手段
V1 操向切り換え弁
V2 旋回モード選択弁
V4 旋回制御弁
42 操向操作具
n 中立位置
49 操向センサ
G 減速機構
110 電動モータ
AS 操作センサ
43 操向制御手段
121 連動機構
122 操向制御機構
PS 出力軸
GC ケース

Claims (2)

  1. 左右一対の走行装置への伝動機構を内装したミッションケースに、前記走行装置それぞれへの伝動を各別に断続する左右の油圧操作式のサイドクラッチと、サイドクラッチが切られた側の走行装置を圧油供給に伴い入り作動することで減速駆動又は制動することによりこの走行装置を旋回内側にして機体の走行方向を変更させる油圧操作式の第1旋回手段と、サイドクラッチが切られた側の走行装置を圧油供給に伴い入り作動することで制動又は逆転駆動することによりこの走行装置を旋回内側にして前記第1旋回手段による旋回時よりも小旋回半径で機体の走行方向を変更させる油圧操作式の第2旋回手段とを内装し、前記サイドクラッチを操作する操向切り換え弁と、前記第1旋回手段と第2旋回手段とを択一的に油圧供給源に接続させる旋回モード選択弁と、この旋回モード選択弁への圧油供給を制御する旋回制御弁とを設けてある農作業機において、
    一つの操向操作具と、この操向操作具の中立位置からの操作方向及び操作ストロークを検出する操向センサと、一つの操作用の減速機構付きの電動モータと、この電動モータの中立位置からの回動方向及び回動量を検出する操作センサとを設け、
    前記電動モータの中立位置から一方向への回動に伴い前記操向切り換え弁を中立状態から左サイドクラッチ切り操作状態に切り換えるとともに電動モータの中立位置から反対方向への回動に伴い操向切り換え弁を中立状態から右サイドクラッチ切り操作状態に切り換える操向連動機構と、前記電動モータの中立位置から設定位置までの回動に伴い前記旋回モード選択弁を第1旋回手段への圧油供給状態に切り換えるとともに電動モータの前記設定位置を越えた回動に伴い旋回モード選択弁を第2旋回手段への圧油供給状態に切り換えるモード切り換え連動機構とを設け、
    前記操向センサ及び操作センサの検出情報に基づいて前記電動モータを制御する操向制御手段と、前記操向操作具に旋回制御弁を連動させる機械式の連動機構とを備えた操向制御機構を設け、
    前記操向操作具が中立位置に操作されると、前記左右のサイドクラッチがともに入りになるとともに前記第1旋回手段及び第2旋回手段がともに切りになる直進状態を現出し、操向操作具が中立位置から一方に設定位置まで操作されると、一方のサイドクラッチが切りになるとともに第1旋回手段が入りになりかつ第2旋回手段が切りになる第1旋回状態を現出し、操向操作具が一方に前記設定位置を越えて操作されると、一方のサイドクラッチが切りになるとともに第1旋回手段が切りになりかつ第2旋回手段が入りになる第2旋回状態を現出するように前記操向制御機構を構成し、
    前記電動モータを前記ミッションケースの側面に取り付け
    てある農作業機の操向操作装置。
  2. 前記操作センサを減速機構の出力軸に作用する状態で減速機構のケースに取り付けてある請求項1記載の農作業機の操向操作装置。
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