JP3583063B2 - 農作業機の操向装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、左右一対の走行装置に各別に作用する一対のサイドクラッチが一対のクラッチ用油圧アクチュエータによって各別操作自在に装備され、サイドクラッチが切られた一方の走行装置を減速駆動又は制動することによってこの走行装置を旋回内側にして機体の走行方向を変更させる第1旋回手段を、旋回用第1 油圧アクチュエータによって入り切り操作自在に備え、サイドクラッチが切られた一方の走行装置を制動又は逆転駆動することによってこの走行装置を旋回内側にして、かつ、前記第1 旋回手段によって旋回するときよりも小旋回半径で機体の走行方向を変更させる第2旋回手段を、旋回用第2油圧アクチュエータによって入り切り操作自在に備えてある農作業機の操向装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記農作業機は、サイドクラッチ、第1 旋回手段、第2旋回手段を操作することにより、旋回半径が異なる旋回モードで機体を操向操作できるものである。
この種農作業機において、旋回モード選択弁を旋回モード選択用の操作具によって切り換え操作し、操向切り換え弁と旋回制御弁とを操向操作具によって操作するように構成すると、旋回半径が異なる状態にして機体を操向操作するには、旋回モードを選択するための操作具と、操向操作具との両方の操作具を操作する必要がある。
このため、従来、たとえば特開平7−47973号公報に示されるように、旋回モード選択弁を電磁ソレイノドによって切り換え操作するように電磁弁に構成し、操向操作具の操作位置の検出結果に基づいて旋回モード選択弁を切り換え操作する制御装置を備えるとともに、操向操作具を操向切り換え弁及び旋回制御弁に連係させる連係機構を備え、一つの操向操作具を中立位置から左右一方に操作していくに伴い、一方の走行装置のサイドクラッチが切りになり、かつ、前記第1旋回手段が入りになり、かつ、前記第2旋回手段が切りになる第1旋回状態と、一方の走行装置のサイドクラッチが切りになり、かつ、前記第1旋回手段が切りになり、かつ、前記第2旋回手段が入りになる第2旋回状態とが順次に現出され、一つの操向操作具を操作するだけで旋回モードを異ならせて機体を操向操作できるものがあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来の操向装置にあっては、操向切り換え弁及び旋回制御弁を操向操作具に付与する人為操作力によって切り換え操作するものであり、操向操作具を各弁に連係させる連係機構や、制御弁で発生する操作抵抗などのために操作が重くなることがあった。また、農作業機にあっては、ミッションオイルを作動油に使用されることが多いことから各弁に塵埃などが入り込むことがある。すると、電磁ソレノイドの操作力では弁が切り換わりにくくなる場合があった。
本発明の目的は、操向操作具を操作するだけで旋回モードを異ならせて操向操作できるのみならず、軽く操作できるとともに塵埃による切り換わり不良を回避しやすい農作業機の操向装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
請求項1による発明の構成、作用、効果はつぎのとおりである。
【0005】
〔構成〕
左右一対の走行装置に各別に作用する一対のサイドクラッチが一対のクラッチ用油圧アクチュエータによって各別に操作自在に装備され、サイドクラッチが切られた一方の走行装置を減速駆動又は制動することによってこの走行装置を旋回内側にして機体の走行方向を変更させる第1旋回手段を、旋回用第1 油圧アクチュエータによって入り切り操作自在に備え、サイドクラッチが切られた一方の走行装置を制動又は逆転駆動することによってこの走行装置を旋回内側にして、かつ、前記第1 旋回手段によって旋回するときよりも小旋回半径で機体の走行方向を変更させる第2旋回手段を、旋回用第2油圧アクチュエータによって入り切り操作自在に備えてある農作業機の操向装置において、一つの操向操作具の中立位置からの操作方向と操作ストロークとを検出するセンサを備え、前記一対のクラッチ用油圧アクチュエータを操作する操向切り換え弁、及び、前記旋回用第1油圧アクチュエータと前記旋回用第2油圧アクチュエータを択一的に油圧供給源に接続する旋回モード選択弁を切り換え操作する操向用の一つの電動モータを備え、前記センサからの情報を基に前記電動モータを自動的に操作する操向制御手段と、前記旋回モード選択弁への油圧供給を制御する旋回制御弁に操向操作具を連動させる機械式の連動機構とを有する操向制御機構を備えてあるとともに、操向操作具が中立位置に操作されると、前記一対のサイドクラッチが入りになり、かつ、前記第1旋回手段及び前記第2旋回手段が切りになる直進状態が現出され、操向操作具が中立位置から左右一方へ操作されると、前記機械式の連動機構を介して旋回制御弁が操作されて前記旋回モード選択弁へ油圧が供給されるとともに、前記センサによる前記操向操作具の中立位置からの操作方向と操作ストロークの検出に基づいて前記一つの電動モータを作動させ、この電動モータの正逆転に連動する部材の操作に基づいて、前記操向切り換え弁が左旋回または右旋回の操向側に切り換え操作されるとともに、前記電動モータの正逆転にかかわらず旋回モード選択弁が同方向に切り換え制御されて先ず、一方の走行装置のサイドクラッチが切りになり、かつ、前記第1旋回手段が入りになり、かつ、前記第2旋回手段が切りになる第1旋回状態が現出され、さらに操向操作具が左右一方へ操作されると、一方の走行装置のサイドクラッチが切りになり、かつ、前記第1旋回手段が切りになり、かつ、前記第2旋回手段が入りになる第2旋回状態が現出されるように前記操向制御機構を構成してある。
【0006】
〔作用〕
操向操作具を中立位置から操作していくと、操向制御手段がセンサからの情報を基に一つの電動モータを作動させ、この電動モータの正逆転に連動する部材の操作に基づいて、前記操向切り換え弁が左旋回または右旋回の操向側に切り換え操作されるとともに、前記電動モータの正逆転にかかわらず旋回モード選択弁が同方向に切り換え制御されるとともに、連動機構のために旋回制御弁が切り換わり、先ず前記第1旋回状態が現出されて走行向きが変化し、次に第2旋回状態が現出されて第1旋回状態で旋回するときよりも小旋回半径で走行向きが変化する。
【0007】
操向切り換え弁及び旋回モード選択弁が電動モータによって切り換え操作されるものだから、人為操作力によって切り換え操作するものに比して操向操作具の操作に必要な操作力を軽くできる。また、電磁ソレノイドよりも強い操作力で切り換え操作され、塵埃が流入して切り換わり抵抗が若干増大しても、その抵抗に打ち勝って切り換え操作されやすくなる。
【0008】
〔効果〕
したがって、一つの操向操作具を操作するだけで、しかも軽く操作するだけで操作容易に第1旋回状態を現出させて機体を操向操作したり、第2旋回状態を現出させて第1旋回状態よる旋回半径よりも小さい旋回半径で機体を操向操作することができる。しかも、操向切り換え弁や旋回モード選択弁に塵埃が入り込んで切り換わり抵抗が若干増大しても、強固に切り換え操作されて切り換わり不良が発生しにくいように信頼性の高いものになった。
【0009】
請求項2による発明の構成、作用、効果はつぎのとおりである。
【0010】
〔構成〕
請求項1による発明の構成において、前記電動モータによって正逆転操作される回転カムと、この回転カムの周面に設けた操作カム部によって揺動操作されて前記操向切り換え弁を切り換え操作する揺動リンクとを備えてある。
【0011】
〔作用〕
回転カムが中立位置から正回転方向に回転されると、その周面の操作カム部と揺動リンクとの当たりによって、揺動リンクが一方に揺動操作されて操向切り換え弁を中立位置から左操向側と右操向側の一方に切り換え操作し、回転カムが中立位置から逆回転方向に回転されると、その周面の操作カム部と揺動リンクとの当たりによって、揺動リンクが他方に揺動操作されて操向切り換え弁を中立位置から左操向側と右操向側の他方に切り換え操作するようにできる。操向切り換え弁が中立位置から左操向側や右操向側に切り換わった後にも回転カムが回転していって旋回モード選択弁を操作する場合、このときに操作カム部の揺動リンクが当接していく部分が回転カムの回転軸芯を中心とする円弧形状であれば、操向切り換え弁を左操向側や右操向側に維持しながら旋回モード選択弁を操作するようにできる。
【0012】
〔効果〕
操向切り換え弁を左操向側に操作するべく揺動リンクに作用する部分と、操向切り換え弁を右操向側に操作するべく揺動リンクに作用する部分との形状が同一である形状簡単な回転カムを採用するだけで、操向切り換え弁を左操向側と右操向側とに切り換え操作できるとともに、左操向側や右操向側に切り換わった後の操向切り換え弁をその操作状態に維持でき、操作構造を簡略化できる。
【0013】
請求項3による発明の構成、作用、効果はつぎのとおりである。
【0014】
〔構成〕
請求項1又は2による発明の構成において、前記電動モータによって回転操作される回転カムと、この回転カムに遊端側が当接して回転カムによって揺動操作される状態で固定部に揺動自在に支持されている揺動リンクと、この揺動リンクの遊端側を前記旋回モード選択弁の操作部に連動させている連動杆とを備えてある。
【0015】
〔作用〕
揺動リンクの回転カムが当接する力点、連動杆が連結する作用点、固定部によって回動自在に支持される支点の配置関係を適切に設定することにより、電動モータとして出力が比較的小さい小型のモータを採用しても、モータの駆動力を旋回モード選択弁の操作部に強固に作用させて旋回モード選択弁の切り換え操作を確実に行わせられる。
【0016】
〔効果〕
旋回モード選択弁の切り換えが確実に行われる信頼性の高いものが比較的小型のモータを採用してコンパクトに得られる。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1に、本発明を適用した農作業機の一例であるコンバインの右側面図が示されている。このコンバインは、左右一対のクローラ型の走行装置1L,1Rを備えた走行機体2の前部に、刈取り前処理部3を昇降自在に連結するとともに、機体上に、脱穀装置4、穀粒タンク5、エンジン6、操縦部7、などを搭載した構造となっている。
【0018】
以下、前記走行装置1L,1Rの伝動構造を図2、図3、図4に基づいて説明する。説明における左右方向の記述は機体の左右方向に基づいており、正面から見たこれらの図における左右方向とは逆の関係となっている。
【0019】
前記エンジン6の動力は、前後進の切換えが可能な主変速装置としての静油圧式無段変速装置(HST)8に伝達され、その変速出力がミッションケース9に伝達される。ミッションケース9に入力された動力は、ギヤG1 ,G2 を介して第1軸10に伝達された後、ギヤG3 ,G4 を介して副変速機構11に伝達される。また、第1軸10からケース外に取り出された動力のうち、正転動力のみがワンウエイクラッチOCを介して前記刈取り前処理部3に伝達される。なお、前記静油圧式無段変速装置8は、操縦部7に備えた主変速レバー29によって操作される。
【0020】
前記副変速機構11は、コンスタントメッシュ式に3段のギヤ変速を行うものであり、第2軸12に遊嵌装着した小径ギヤG5 ,中径ギヤG6 ,大径ギヤG7 を、第3軸13に固着したギヤG8 ,G9 ,G10にそれぞれ常時咬合させ、前記第2軸12上に配備した2つのシフトスリーブS1 ,S2 をシフトすることで、3組の常噛みギヤ対のいずれか一組を用いて、第2軸12から第3軸13への変速伝動を行うよう構成されている。
【0021】
つまり、図6、図7に示すように、前記シフトスリーブS1 ,S2 は、ミッションケース内に水平支架した支軸14に沿って摺動移動するシフター15に備えられた一対のシフトフォーク15a,15bにそれぞれ係合して支持されており、シフター15の摺動変位に伴って両シフトスリーブS1 ,S2 が、同時に同方向にシフト操作されるようになっている。そして、ミッションケース9に前後に貫通装着した変速操作軸16の先端には、前記シフター15に係合する操作アーム16aが備えられており、操縦部7に備えた副変速レバー30を操作して変速操作軸16を回動することで、シフター15を左右に摺動操作するよう構成されている。
【0022】
ここで、前記シフトスリーブS1 は、シフト範囲の全域において第2軸12に直接スプライン咬合されているのに対して、前記シフトスリーブS2 は、ギヤG6 のボス部、第2軸12にスプライン外嵌したスプラインカラー17、および、ギヤG7 のボス部に亘ってシフト可能となており、以下のようにして3段の変速が行われる。
【0023】
シフター15が低速「L」位置にある時には、図8に示すように、シフトスリーブS1 はギヤG5 のボス部と第2軸12に亘って咬合するとともに、シフトスリーブS2 は、ギヤG6 のボス部にのみ外嵌支持された状態となり、第2軸12の動力は、シフトスリーブS1 ,ギヤG5 ,G8 を介して第3軸13に低速で伝達される。また、シフター15が中速「M」位置にある時には、図9に示すように、シフトスリーブS1 は第2軸12にのみ支持されるとともに、シフトスリーブS2 は、ギヤG6 のボス部とスプラインカラー17に亘って外嵌咬合された状態となり、第2軸12の動力は、スプラインカラー17,シフトスリーブS2 ,ギヤG6 ,G9 を介して第3軸13に中速で伝達される。また、シフター15が中立「N」位置にある時には、図10に示すように、シフトスリーブS1 は第2軸12にのみ支持されるとともに、シフトスリーブS2 は、スプラインカラー17にのみ外嵌支持された状態となり、第2軸12から第3軸13への動力伝達は遮断される。また、シフター15が高速「H」位置にある時には、図11に示すように、シフトスリーブS1 は第2軸12にのみ支持されるとともに、シフトスリーブS2 は、ギヤG7 のボス部とスプラインカラー17に亘って外嵌咬合された状態となり、第2軸12の動力は、スプラインカラー17,シフトスリーブS2 ,ギヤG7 ,G10を介して第3軸13に高速で伝達される。
【0024】
なお、図7に示すように、前記シフター15は、ボールデテント18によって、倒伏穀稈の収穫用速度である低速「L」、標準的な収穫用速度である中速「M」、中立「N」、および、移動用速度である高速「H」において位置保持することができるようになっている。
【0025】
上記のようにして前記第3軸13に伝達された動力は、中央のギヤG9 を介して第4軸19のセンターギヤG11に伝達された後、左右のサイドクラッチ20L,20R、車軸ギヤ21L,21R、および、車軸22L,22Rを介して左右の走行装置1L,1Rに伝達される。
【0026】
図4、図5に示すように、前記サイドクラッチ20L,20Rは、第4軸19に遊嵌されるとともに車軸ギヤ21L,21Rに常時咬合されたサイドクラッチギヤ23L,23Rをシフトして、前記センターギヤG11の中心内歯に側方から咬合離脱させることで、センターギヤG11から車軸22L,22Rへの動力伝達を断続するよう構成されたものであり、前記サイドクラッチギヤ23L,23Rをシフトする手段が以下のように構成されている。
【0027】
図4、図5に示すように、前記第4軸19は、中央部位が大径の段付き軸に構成されるとともに、サイドクラッチギヤ23L,23Rは、この第4軸19の大径部と小径部とに亘って外嵌する段付きの内径を備えており、互いの段差部の間が油室g,hとなっている。そして、常時は、バネ24L,24RによってセンターギヤG11側にスライド付勢されてクラッチ入り位置に保持され、第4軸19の内部に穿設された油路a,bを介して油室g,hに圧油が供給されて各サイドクラッチギヤ23L,23Rがバネ24L,24Rに抗して限界までシフトされると、センターギヤG11から外れてクラッチ切り状態がもたらされるようになっている。また、サイドクラッチギヤ23L,23Rがクラッチ切り位置までシフトされると、圧油供給用の前記油路a,bが、第4軸19の内部に穿設された油路dに連通されるようになっている。
【0028】
これにより、左のサイドクラッチ20Lは、サイドクラッチギヤ23Lの内周側部分を油圧ピストン型の油圧アクチュエータ23aとし、この油圧アクチュエータ23aによって入り切り操作される。右のサイドクラッチ20Rは、サイドクラッチギヤ23Rの内周側部分を油圧ピストン型の油圧アクチュエータ23bとし、この油圧アクチュエータ23bによって入り切り操作される。
【0029】
また、前記サイドクラッチギヤ23L,23Rは、センターギヤG11との咬合が外れたクラッチ切り位置に到達した後、第4軸19の両端部位に遊嵌装着された操向用サイドギヤ25L,25Rに、多板式の旋回用クラッチ90L,90Rを介して連結可能となっている。
【0030】
図5に示すように、前記旋回用クラッチ90L,90Rは、サイドクラッチギヤ23L,23Rに一体回転可能に連設された大径のクラッチケース91L,91Rにピストン92L,92Rを内嵌装着するとともに、操向用サイドギヤ25L,25Rから延出されたスプラインボス部93L,93Rと前記クラッチケース91L,91Rとの間に摩擦板94L,94R群を積層して介在した構造となっており、通常はバネ95L,95Rによってピストン92L,92Rをクラッチ切り側に付勢し、クラッチケース91L,91R内の油室i,jに圧油を供給してピストン92L,92Rをバネ95L,95Rに抗して変位させ、摩擦板94L,94R群を圧接することで、操向用サイドギヤ25L,25Rからサイドクラッチギヤ23L,23Rへの動力伝達を行うように構成されている。
【0031】
ここで、旋回用クラッチ90L,90Rのピストン92L,92Rを作動させる油室i,jは、サイドクラッチギヤ23L,23Rを作動させる油室g,hに、ギヤ内に穿設した連通油路k,mを介して連通接続されるとともに、この連通油路k,mには絞り流路部分p,qが備えられている。
【0032】
さらに、旋回用クラッチ90L,90Rの内部には、ピストン92L,92Rをクラッチ入り側に押圧するバネ100L,100Rが周方向複数箇所に組み込まれており、ピストン92L,92Rを適度に軽く摩擦伝動部位に押し付けて、操向用サイドギヤ25L,25Rからクラッチケース91L,91Rに低トルクの回転動力が常に伝達されるよう構成されている。
【0033】
また、前記操向用サイドギヤ25L,25Rは、第5軸26の両端部位に固着されたギヤ27L,27Rに咬合されるとともに、第5軸26に遊嵌したギヤG13が、前記センターギヤG11の側部に連設された小径のギヤG12に咬合されて減速連動されている。
【0034】
図4などに示すように、前記ギヤG13と第5軸26との間には、緩旋回を司る第1旋回手段としての多板式のクラッチCが装備されている。このクラッチCは、常時は内装したバネ31によって旋回第1油圧アクチュエータの一例としての油圧ピストン32が後退復帰されて、クラッチ切り状態に維持され、第5軸26の内部に穿設された油路cを介して圧油が供給されることで、油圧ピストン32がバネ31に抗して変位されてクラッチ入り状態に切換えられるようになっている。
【0035】
図4 などに示すように、ミッションケース9の右側面に取り付けられたサイドカバー33に、第5軸26の一端が軸受け支承されるとともに、このサイドカバー33に、クラッチCを入りにして旋回するときよりも小半径の旋回半径で旋回させる信地旋回を司る第2旋回手段としての多板式の制動機構Bが装備されている。この制動機構Bは、旋回用第2油圧アクチュエータの一例としてのリング状の油圧ピストン34が油圧の印加によってケース内方へ進出して、押圧プレート35を内装バネ36に抗して押圧変位させることで、第5軸26に摩擦制動作用が付加され、油圧の印加が解除されて押圧プレート35が内装バネ36によって復帰後退することで、制動が解除されるようになっており、前記油圧ピストン34は、サイドカバー33の外側面に取り付けた油圧ブロック37に組み込まれている。
【0036】
図12に、前記サイドクラッチ20L,20R、旋回用クラッチ90L,90R、クラッチC、および、制動機構Bを操作する操向用の油圧回路図および制御系統図が示されている。図において、V1 は、左サイドクラッチ20Lの油圧アクチュエータ23aと、右サイドクラッチ20Rの油圧アクチュエータ23bとを択一的にシフト操作するための操向切換え弁であって、ミッションケース9の外側に配備した操向用の電動モータ110によって中立、および、正逆の3位置が選択される。V2 は、前記クラッチCの油圧ピストン32と、制動機構Bの油圧ピストン34を油圧供給源としての油路eに択一的に接続して旋回モードを切換える旋回モード選択弁であって、通常はクラッチCの油圧ピストン32に圧油供給する位置に付勢され、ミッションケース9の外側に配備した前記電動モータ110によって制動機構Bの油圧ピストン34に圧油供給する位置に切換えられるようになっている。
【0037】
また、図12中のV3 は、前記第4軸19の内部に形成された油路dに接続されたシーケンス弁であり、その作動圧は、サイドクラッチ20L,20Rのサイドクラッチギヤ23L,23Rをクラッチ切り位置までシフトしてバネ24L,24Rとバランスさせる圧に設定されている。そして、このシーケンス弁V3 の下手側に旋回制御弁としての可変リリーフ弁V4 が接続されて、作動油タンクを兼用するミッションケース9に連通されるとともに、シーケンス弁V3 と可変リリーフ弁V4 との間から分岐した前記油路eが前記旋回モード選択弁V2 の一次側に接続されており、可変リリーフ弁V4は、圧力調節されることにより、旋回モード選択弁V2に給油したり、この給油を停止したりする。
【0038】
前記操向切り換え弁V1及び旋回モード選択弁V2は、図15、図16に示す操作構造に基づいて前記電動モータ110によって切り換え操作するように構成してある。
【0039】
すなわち、操向切り換え弁V1は前記油圧ブロック37に組み込まれており、油圧ブロック37の外部に位置する揺動リンク64を支軸62の軸芯まわりで揺動操作することによって切り換え操作できる。揺動リンク64は、この揺動リンク64の基部に備えてあるバネ受けピン64aに両端側が当接するように構成した復帰ばね112によって中立位置に復元付勢するように構成してある。
【0040】
ミッションケース9に固定のモータ取付け体113が支持する前記電動モータ110の出力軸に回転カム114を一体回転自在に取付けてある。回転カム114が中立位置にあると、この回転カム114の周面に設けてある操作カム部115の凹入部分で成る中立部分115aが、揺動リンク64の遊端部にローラを付けて設けてある操作部64bに対応して揺動リンク64を中立位置に操作する。すると、揺動リンク64は、操向切り換え弁V1を中立状態に操作する。この状態から電動モータ110が正回転方向や逆回転方向に駆動されると、回転カム114が電動モータ110の駆動力によって正回転方向や逆回転方向に操作され、回転カム114の前記操作カム部115の前記中立部分115aの横側に位置する円弧部分で成る操向部分115bが揺動リンク64の前記操作部64bに当接して揺動リンク64を中立位置から左操向側や右操向側に揺動操作する。すると、揺動リンク64が操向切り換え弁V1を左旋回や右旋回の操向側に切り換え操作する。操向切り換え弁V1が左旋回や右旋回の操向側に切り換わった後にさらに回転カム114が回転操作されても、操作カム部115の前記操向部分115bが回転カム114の回転軸芯を中心とする円弧形状であることから、揺動リンク64は操向側に維持されて操向切り換え弁V1を左旋回や右旋回の操向側に維持する。
【0041】
旋回モード選択弁V2は、前記サイドカバー33の内部に組み込まれており、サイドカバー33の外部に位置するレバー70を支軸67の軸芯まわりで揺動操作することによって切り換え操作できる。レバー70にばね線材で成る連動杆116によって遊端側が連動している揺動リンク117を、ミッションケース9に固定された固定部としての前記モータ取付け体113の支持部113aに支軸118の軸芯まわりで揺動自在に支持させてある。揺動リンク117は、この揺動リンク117に基部の作用する復帰ばね119により、揺動リンク117の中間部分がモータ取付け体113のストッパー部113bに当接する待機位置に復帰付勢してある。揺動リンク117が前記待機位置にあると、レバー70を旋回モード選択弁V2の自己復元力によってクラッチ位置に操作する。すると、旋回モード選択弁V2はクラッチ側になっている。前記回転カム114の側面に屈曲線材を固着して揺動リンク117のための操作カム部120を設けてある。回転カム114が前記中立位置から正回転方向や逆回転方向に回転操作されると、操向切り換え弁V1が左旋回や右旋回側の操向側に切り換わった後に前記操作カム部120が揺動リンク117の前記連動杆116が連結している部分よりも揺動リンク117の揺動軸芯からの距離が大である遊端側部分に当接し、揺動リンク117を復帰ばね119に抗して前記ストッパー部113bから離れる側に揺動操作する。すると、揺動リンク117は連動杆116を介してレバー70をブレーキ側に揺動操作し、レバー70が旋回モード選択弁V2をブレーキ側に切り換え操作する。旋回モード選択弁V2がストロークエンドに達した後に回転カム114がさらに回転しても、連動杆116に備えてあるコイルスプリング部116aが伸張側に弾性変形し、旋回モード選択弁V2に無理な操作力が掛らない。
【0042】
図12に示すように、前記電動モータ110及び可変リリーフ弁V4は、操縦部7のハンドル塔41に設けた操向操作具としてのステアリングレバー42に、操向制御手段43、及び、機械式の連動機構121を備える操向制御機構122によって連係されている。
【0043】
図13,図14に示すように、ハンドル塔41の上部右側(運転者から見て)に取り付けたブラケット44に支軸45が前後向き支点x周りに回動自在に貫通装着されるとともに、この支軸45の後端に連設した支点金具46に、前記ステアリングレバー42が横向き支点yまわりに揺動可能に装着されて、ステアリングレバー42が十字揺動可能に構成されている。そして、前記支点金具46からは棒材をL形に屈曲してなる第1操作アーム47が突設されるとともに、前記支軸45の前端部近くからは板材の第2操作アーム48が突設されている。
【0044】
第1操作アーム47は、ハンドル塔41に取付けられたセンサとしてのポテンショメータ49に以下のように連係され、このポテンショメータ49によって、ステアリングレバー42の操作位置、及び、ステアリングレバー42の中立位置からの操作方向と操作ストロークが電気的に検出されるようになっている。
【0045】
つまり、前記ポテンショメータ49の操作レバー49aは、前記第1操作アーム47に側方から常に接当するよう、内装したバネによって図13中時計方向に回動付勢されており、第1操作アーム47が中立位置から左右いずれの方向に操作されても、接当状態を維持しながら操作レバー49aが第1操作アーム47に追従して回動することで、ステアリングレバー42の操作位置がポテンショメータ49の出力変化として連続的に検出され、その検出信号が前記操向制御手段43に入力されるようになっている。
【0046】
操向制御手段43は、マイクロコンピュータで成り、ステアリングレバー42が操作されると、ポテンショメータ49からの情報を基に電動モータ110を自動的に操作して操向切り換え弁V1及び旋回モード選択弁V2を切り換え操作することにより、左右のサイドクラッチ20L,20R、クラッチC、制動機構Bのそれぞれをステアリングレバー42の操作位置及び操作ストロークに対応した状態に操作する。
【0047】
前記連動機構121は、ステアリングレバー42を可変リリーフ弁V4に連動させるものであり、前記第2操作アーム48と、前記支軸45に遊嵌装備された一対の作動アーム51,52と、この一対の作動アーム51,52に一端側が連結しているレリーズワイヤ50と、このレリーズワイヤ50のインナワイヤ50bの他端側を遊端側に連結した状態で前記油圧ブロック37の外部に揺動自在に設けたレバー77とによって構成してある。
【0048】
レバー77は、可変リリーフ弁V4の操作部となっており、前記支軸67と二重軸構造になっている支軸75の軸芯まわりで揺動操作されることにより、可変リリーフ弁V4を操作する。レバー77の基端部に一端側が係止しているねじりバネ78により、レバー77を可変リリーフ弁V4の低圧側に揺動付勢してある。
【0049】
図13などに示すように、前記両作動アーム51,52はねじりバネ53によって互いに接近する方向に揺動付勢されて、ブラケット44に設けた固定ピン54を挟むように接当支持されている。そして、一方の作動アーム51の遊端部には、レリーズワイヤ50におけるアウタワイヤ50aの端部が連結支持されるとともに、他方の作動アーム52の遊端部には、レリーズワイヤ50におけるインナワイヤ50bの端部が連結支持されている。また、ステアリングレバー42によって前後向き支点xのまわりに揺動される第2操作アーム48の遊端部に設けた操作ピン48aが、両作動アーム51,52の間に設置されている。
【0050】
上記構成によると、例えば図13において、ステアリングレバー42を中立位置nから右旋回方向(図では左方)に揺動操作すると、第2操作アーム48が図中反時計方向に揺動され、操作ピン48aが一方の作動アーム51を反時計方向に押圧して揺動させる。この時、他方の作動アーム52は固定ピン54との当たりによって反時計方向への揺動が阻止されているので、レリーズワイヤ50のインナワイヤ50bが相対的にアウタワイヤ50aから引き出される。また、逆に、ステアリングレバー42を中立位置nから左旋回方向(図では右方)に揺動操作すると、第2操作アーム48が図中時計方向に揺動され、操作ピン48aが他方の作動アーム52を時計方向に押圧して揺動させる。この時、一方の作動アーム51は固定ピン54との接当によって時計方向への揺動が阻止されているので、レリーズワイヤ50のインナワイヤ50bがアウタワイヤ50aから引き出される。つまり、ステアリングレバー42を中立位置nから左旋回方向あるいは右旋回方向のいずれに揺動操作しても、その操作量に応じてレリーズワイヤ50のインナワイヤ50bが引き出し操作され、そのワイヤ引き出し量が大きくなるほど前記可変リリーフ弁V4 の作動圧が高くなるように連係されている。
【0051】
これにより、連動機構121は、ステアリングレバー42が中立位置nにあると、可変リリーフ弁V4を低圧側に操作し、ステアリングレバー42が中立位置nから左右に揺動操作されると、このレバー操作力によって可変リリーフ弁V4を高圧側に操作するとともに、ステアリングレバー42の中立位置nから左右への操作ストロークが増大するほど、可変リリーフ弁V4をより高圧側に操作する。
【0052】
シーケンス弁V3、操向切り換え弁V1、旋回モード選択弁V2、可変リリーフ弁V4についてさらに詳述する。シーケンス弁V3は操向切換え弁V1と共に前記油圧ブロック37に組込まれ、可変リリーフ弁V4は旋回モード選択弁V2と共に前記サイドカバー33に組込まれ、各弁は、油圧ブロック37およびサイドカバー33の内部に形成された油路を介して互いに連通接続されている。
【0053】
図15〜図18に示すように、操向切換え弁V1 は、油圧ブロック37の上部に前後方向に摺動自在に装着したスプール61を、前記揺動リンク64によって支軸62を介して外部から揺動される操作アーム63に係合して摺動操作するよう構成されている。
【0054】
これにより、ステアリングレバー42が中立位置nにある時、回転カム114が中立位置にあり、スプール61は復帰バネ65よって中立に保持されており、ポンプポートPから供給された圧油はドレン流路Dを経てミッションケース9に戻される。ステアリングレバー42が左旋回方向に操作されると、これがポテンショメータ49で検出されて電動モータ110が回転カム114を回転操作して揺動リンク64を操作することにより、スプール61が図17中の左方向に摺動操作され、ポンプポートPから供給された圧油は油路aを介して左旋回用のサイドクラッチ20Lの油圧アクチュエータ23aに供給される。また、ステアリングレバー42が右旋回方向に操作されると、これがポテンショメータ49で検出されて電動モータ110が回転カム114を回転操作して揺動リンク64を操作することにより、スプール61が図17中の右方向に摺動操作され、ポンプポートPから供給された圧油は油路bを介して右旋回用のサイドクラッチ20Rの油圧アクチュエータ23bに供給されるようになっている。
【0055】
図4,図19に示すように、旋回モード選択弁V2 は、サイドカバー33の上部に前後方向に摺動自在に装着したスプール66を、前記レバー70によって支軸67を介して外部から揺動される操作アーム68で接当押圧して、バネ69に抗して摺動操作するよう構成されている。
【0056】
これにより、回転カム114が中立位置にある時には、スプール66は図19に示す位置にあり、シーケンス弁V3 の下手側の前記油路eはクラッチCに到る油路cに連通されている。そして、回転カム114が回転操作されて揺動リンク117を揺動操作すると、この揺動リンク117によってレバー70が図19中反時計方向に揺動され、スプール66がバネ69に抗して切換えられ、前記油路eが制動機構Bに到る油路fに連通されるようになっている。
【0057】
図19中に示すように、可変リリーフ弁V4 は、サイドカバー33の上部に前後方向に移動可能に組み込まれたポペット71と、このポペット71を弁座72に付勢押圧して、前記油路eのドレン流路Dへの連通を遮断するバネ73と、このバネ73の後端を支持するバネ受け部材74とから成り、このバネ受け部材74を、前記支軸67に外嵌装着した筒状の支軸75を介して前記レバー77によって外部から揺動される操作アーム76で接当押圧して摺動変位させることで、リリーフ圧を調節することが可能に構成されている。また、前記レバー77は、操作アーム76をバネ受け部材74から離反させる方向に前記ねじりバネ78によって揺動付勢されており、図に示すように、付勢揺動限界では操作アーム76がサイドカバー33の内面に接当し、この時の可変リリーフ弁V4 のリリーフ圧はほぼ零となっている。そして、前述のように、ステアリングレバー42が左右に揺動されてレリーズワイヤ50のインナーワイヤ50bが引き操作されると、操作アーム76が図19中、反時計方向に揺動操作されてバネ受け部材74が押し込み変位され、ステアリングレバー42の揺動量が大きくなってワイヤ引き量が大きくなるに連れて、可変リリーフ弁V4 のリリーフ圧が次第に高くなるようになっている。
【0058】
これにより、前記操向制御機構122は、ステアリングレバー42を操作すると、ポテンショメータ49と操向制御手段43との作用によって電動モータ110を自動的に操作してこの電動モータ110によって操向切り換え弁V1及び旋回モード選択弁V2を操作するとともに連動機構121の作用によって可変リリーフ弁V4を操作し、ステアリングレバー42の操作位置に対応させて、機体が直進走行するように機体操向させる直進状態を現出させたり、機体がステアリングレバー42の操作方向に等しい方向にステアリングレバー42の操作ストロークに対応した旋回半径で走行方向を変更するように機体操向を行う旋回状態を現出させる。
【0059】
なお、十字操作可能な前記ステアリングレバー42の前後揺動によって、前記刈取り前処理部3の昇降が行われるようになっている。すなわち、図13,図14に示すように、前記横向き支点yの延長線上の左右には、ステアリングレバー42の前後揺動を検出するポテンショメータあるいはスイッチなどからなるセンサ81と、ステアリングレバー42を前後揺動方向の中立位置nに付勢するねじりバネ82が配備されており、ステアリングレバー42が中立位置nより前方へ揺動されたことがセンサ81で検出されると、前記刈取り前処理部3を下降作動させ、後方へ揺動されたことがセンサ81で検出されると、前記刈取り前処理部3を上昇作動させるように、センサ81と刈取り前処理部3の図示しない駆動昇降機構とが連係されている。
【0060】
また、図2中の83は、前記第3軸13の端部に作用するよう配備された、停止および駐車用のブレーキであり、操縦部7の足元に備えられたペダル84の踏み込み操作によって、エンジン6から静油圧式無段変速装置8への伝動系に配備された図示しない主クラッチが切り操作されるとともに、前記ブレーキ83が制動操作される。また、ペダル84を踏み込み位置に係止保持しておくことで、駐車ブレーキをかけることができるようになっている。
【0061】
本発明に係る操向装置は以上のように構成されており、以下、その操向作動について説明する。
【0062】
ステアリングレバー42が中立位置nにある時には、サイドクラッチ20L,20Rは共にクラッチ入り状態にあり、左右のクローラ走行装置1L,1Rは同速で駆動され、機体は直進走行する。
【0063】
ステアリングレバー42が中立位置nから左右方向の一方、例えば右方の第1操作域Rcに揺動操作されると、これがポテンショメータ49で検出されて電動モータ110が駆動され、回転カム114が回転操作されて操向切換え弁V1 が右旋回位置に切換えられ、圧油が油路bを介して油室hに供給されてサイドクラッチギヤ23Rが油圧アクチュエータ23bによってクラッチ切り位置までシフトされ、右側のサイドクラッチ20Rが切られる。このため、右側のクローラ走行装置1Rだけが遊転状態となり、左側のクローラ走行装置1Lのみが駆動される緩旋回状態が現出されて機体は右方向に緩やかに旋回してゆく。
【0064】
この場合、サイドクラッチ23Lが切られていない左側の旋回用クラッチ90Lにおいてはバネ100Lを介した低トルク伝達が行われて、サイドクラッチギヤ23Lの動力の一部が操向用サイドギヤ25Lに伝達され、これがギヤ27L、第5軸26、ギヤ27R、および、操向用サイドギヤ25Rを経て右側の旋回用クラッチ90Rにまで回り込み伝達される。そして、この回り込み動力がバネ100Rを介した軽い摩擦伝動によって、クラッチ切り位置にあるサイドクラッチギヤ23Rに伝達され、右側のクローラ走行装置1Rは低トルクの動力伝達を受けることになる。従って、右側のクローラ走行装置1Rは、左側走行装置1Lの動力から取出した低トルクの動力伝達を受けながらサイドクラッチ23Rが切り操作されることになり、サイドクラッチ23Rが切られて主動力の伝達が遮断されたとたんにクローラ走行装置1Rが走行負荷によって完全に停止してしまうようなことはなく、サイドクラッチ23Rの切り作動に伴うショックが緩和される。
【0065】
また、右側のサイドクラッチ20Rが切られると、その後、油室hの圧油が連通油路mを介して右側の旋回用クラッチ90Rの油室jにも供給されて、旋回用クラッチ90Rが入れられることになるが、ステアリングレバー42が第1操作域Rcにある間は、可変リリーフ弁V4 の作動圧が未だ低いために、モード切換え弁V2 を介して圧油供給を受ける状態にあるクラッチCはクラッチ入り作動することはなく、操向用サイドギヤ25Rは駆動されていない。従ってこの状態では、旋回用クラッチ90Rは入り操作されるが機体操向には関与しないことになる。
【0066】
ステアリングレバー42が第2操作域Rsにまで操作されると、連動機構12によって可変リリーフ弁V4が操作されてこの可変リーフ弁V4 のリリーフ圧がシーケンス弁V3 の作動圧を超えた大きさとなり、高い圧油が油路eおよび油路cを介してクラッチCの油圧ピストン32に供給され、クラッチCが入り操作されて操向用サイドギヤ25Rが所定の低速で駆動される。従って、この操向用サイドギヤ25Rの低速動力がクラッチ切り位置にあるサイドクラッチ20Rに旋回用クラッチ90Rを介して伝達され、右側のクローラ走行装置1Rは所定の比率で減速された低速状態で駆動される第1旋回状態が現出され、左右クローラ走行1R,1Lの駆動速度差に基づいて機体は右方向に緩やかにかつ確実に旋回してゆく。
【0067】
この場合、中立位置nにあるステアリングレバー42を一気に第2操作域Rsにまで操作すると、上記のように、右側サイドクラッチ20Rが切られるとともに速やかにクラッチCが入り作動し、かつ、右側の旋回用クラッチ90Rもクラッチ入り作動するのであるが、右側サイドクラッチ20Rにおける油室hの圧油は、絞り流路部分qを有する連通油路mを介して旋回用クラッチ90Rにおける大きい断面積の油室jに除々に供給されるので、旋回用クラッチ90Rのクラッチ入り作動は緩慢かつ滑らかに行われる。従って、クラッチCを介して操向用サイドギヤ25Rに伝達された動力は衝撃なくサイドクラッチギヤ23Rに伝達されることになり、右側のクローラ走行装置1Rは滑らかに減速駆動状態になる。
【0068】
ここで、クラッチCに印加される油圧は、可変リリーフ弁V4 によって制限されているので、第2操作域Rs内のステアリングレバー42が中立位置n側に近いほどクラッチCに印加される油圧は低く、クラッチCを介して伝達されるトルクは小さく、第2操作域Rs内のステアリングレバー42が中立位置nから離れるほど、クラッチCに印加される油圧も高くなり、クラッチCを介して右側のクローラ走行装置1Rに伝達されるトルクは次第に大きくなる。そして、ついにはクラッチCが完全に繋がって、右側のクローラ走行装置1Rは所定の比率で減速された低速状態で駆動されることになる。
【0069】
ステアリングレバー42が第2操作域Rsを超えて第3操作域Rbにまで操作されると、これがポテンショメータ49で検出されて電動モータ110がさらに駆動され、回転カム114がさらに回転操作されて旋回モード選択弁V2 が切換えられ、油路eが油路fにつながって圧油が制動機構Bの油圧ピストン34に供給されるとともに、油路cがドレン流路Dに連通されてクラッチCが切られる。この場合、ステアリングレバー42が大きく操作されていることで、前記リリーフ圧が既に高くなっているので、制動機構Bによって第5軸26は制動され、第5軸26に連動連結されている右側のクローラ走行装置1Rは制動停止された状態で、左側のクローラ走行装置1Lのみが駆動される第2旋回状態が現出され、機体は右方向に急旋回(信地旋回)する。
【0070】
また、機体操向状態からステアリングレバー42を中立位置nに戻すと、切られていた右側のサイドクラッチ23Rが入り作動して、再び直進状態に復帰するのであるが、この場合、右側の旋回用クラッチ旋回用クラッチ90Rにおいては低トルク伝達が行われて、右側サイドクラッチギヤ23Rは少し回転しているので、センターギヤG11とサイドクラッチギヤ23Rとの速度差が、サイドクラッチギヤ23Rが停止してしまっている場合より小さくなり、咬合不良をもたらすことなく円滑にサイドクラッチギヤ23RがセンターギヤG11に再咬合する。
【0071】
なお、言うまでもないが、ステアリングレバー42が左旋回方向に操作される場合も上記と同様に、第1操作域Lcでは、左側のサイドクラッチ20Lのみを切った緩旋回状態が現出されて緩やかな左旋回が行われ、第2操作域Lsでは、クラッチCを入り操作して左側のクローラ走行装置1Lを減速駆動する第1旋回状態が現出されて左旋回が行われ、また、第3操作域Lbでは、左側のクローラ走行装置1Lを制動した第2旋回状態が現出されての左方への急旋回が行われる。
【0072】
本発明は、以下のような形態で実施することもできる。
【0073】
(1)上記実施形態では、左右揺動自在なステアリングレバー42をステアリング操作具としているが、回転操作するステアリングハンドルをステアリング操作具として利用することもできる。したがって、これらを総称して操向操作具と呼称する。
【0074】
(2)前記サイドクラッチ20L,20Rのサイドクラッチギヤ23L,23Rを一対のシフトフォークで外部からシフト操作するように構成してもよい。この場合、そのシフトフォークをそれぞれ外装した油圧シリンダで操作するように構成することもできる。
【0075】
(3)制動機構Bに替えて、一方の走行装置1L,1Rに他方の走行装置1R,1Lとは逆回転方向の駆動力を伝達する逆転伝動機構を設けて、旋回用の第3操作域Lb,Rbを、サイドクラッチの切られた側の走行装置を、減速逆転駆動する超信地旋回モードにして実施することもできる。
【0076】
(4)前記制動機構B、クラッチCの他に前記逆転伝動機構も設けて、第3操作域Lb,Rbを、上記のようにサイドクラッチの切られた側の走行装置を制動するブレーキ旋回モードにするとともに、第3操作域Lb,Rbの更に外側に、サイドクラッチの切られた側の走行装置を減速逆転駆動する超信地旋回モードの第4操作域を設けることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】コンバイン全体の右側面図
【図2】走行用ミッションケースの伝動構造を示す概略図
【図3】ミッションケースの上半部を示す縦断正面図
【図4】ミッションケースの下半部を示す縦断正面図
【図5】サイドクラッチ周辺の拡大した縦断正面図
【図6】副変速機構の操作構造を示す側面図
【図7】副変速機構を操作するシフターの縦断正面図
【図8】副変速機構を低速に切換えた状態を示す要部の縦断正面図
【図9】副変速機構を中速に切換えた状態を示す要部の縦断正面図
【図10】副変速機構を中立に切換えた状態を示す要部の縦断正面図
【図11】副変速機構を高速に切換えた状態を示す要部の縦断正面図
【図12】操向用の油圧回路と制御系の構成図
【図13】ステアリング操作部の正面図
【図14】ステアリング操作部の側面図
【図15】モータの配設部を示す側面図
【図16】モータの配設部を示す正面図
【図17】操向切換え弁の周辺を示す縦断側面図
【図18】操向切換え弁の操作部を示す正面図
【図19】モード切換え弁および可変リリーフ弁の周辺を示す縦断側面図
【符号の説明】
1L,1R 走行装置
20L,20R サイドクラッチ
23a,23b クラッチ用油圧アクチュエータ
32 旋回用第1油圧アクチュエータ
34 旋回用第2油圧アクチュエータ
42 操向操作具
43 操向制御手段
49 センサ
64 揺動リンク
110 電動モータ
113a 固定部
114 回転カム
115 操作カム部
116 連動杆
117 揺動リンク
121 連動機構
122 操向制御機構

Claims (3)

  1. 左右一対の走行装置(1L)(1R)に各別に作用する一対のサイドクラッチ(20L)(20R)が一対のクラッチ用油圧アクチュエータ(23a)(23b)によって各別に操作自在に装備され、サイドクラッチ(20L)が切られた一方の走行装置(1L)を減速駆動又は制動することによってこの走行装置(1L)を旋回内側にして機体(2)の走行方向を変更させる第1旋回手段(C)を、旋回用第1油圧アクチュエータ(32)によって入り切り操作自在に備え、サイドクラッチ(20L)が切られた一方の走行装置(1L)を制動又は逆転駆動することによってこの走行装置(1L)を旋回内側にして、かつ、前記第1旋回手段(C)によって旋回するときよりも小旋回半径で機体(2)の走行方向を変更させる第2旋回手段(B)を、旋回用第2油圧アクチュエータ(34)によって入り切り操作自在に備えてある農作業機の操向装置であって、
    一つの操向操作具(42)の中立位置からの操作方向と操作ストロークとを検出するセンサ(49)を備え、前記一対のクラッチ用油圧アクチュエータ(23a)(23b)を操作する操向切り換え弁(V1)、及び、前記旋回用第1油圧アクチュエータ(32)と前記旋回用第2油圧アクチュエータ(34)を択一的に油圧供給源に接続する旋回モード選択弁(V2)を切り換え操作する操向用の一つの電動モータ(110)を備え、前記センサ(49)からの情報を基に前記電動モータ(110)を自動的に操作する操向制御手段(43)と、前記旋回モード選択弁(V2)への油圧供給を制御する旋回制御弁(V4)に操向操作具(42)を連動させる機械式の連動機構(121)とを有する操向制御機構(122)を備えてあるとともに、操向操作具(42)が中立位置に操作されると、前記一対のサイドクラッチ(20L)(20R)が入りになり、かつ、前記第1旋回手段(C)及び前記第2旋回手段(B)が切りになる直進状態が現出され、操向操作具(42)が中立位置から左右一方へ操作されると、前記機械式の連動機構(121)を介して旋回制御弁(V4)が操作されて前記旋回モード選択弁(V2)へ油圧が供給されるとともに、前記センサ(49)による前記操向操作具(42)の中立位置からの操作方向と操作ストロークの検出に基づいて前記一つの電動モータ(110)を作動させ、この電動モータ(110)の正逆転に連動する部材(114)の操作に基づいて、前記操向切り換え弁(V1)が左旋回または右旋回の操向側に切り換え操作されるとともに、前記電動モータ(110)の正逆転にかかわらず旋回モード選択弁(V2)が同方向に切り換え制御されて先ず、一方の走行装置(1L)のサイドクラッチ(20L)が切りになり、かつ、前記第1旋回手段(C)が入りになり、かつ、前記第2旋回手段(B)が切りになる第1旋回状態が現出され、さらに操向操作具(42)が左右一方へ操作されると、一方の走行装置(1L)のサイドクラッチ(20L)が切りになり、かつ、前記第1旋回手段(C)が切りになり、かつ、前記第2旋回手段(B)が入りになる第2旋回状態が現出されるように前記操向制御機構(122)を構成してある農作業機の操向装置。
  2. 前記電動モータ(110)によって正逆転操作される回転カム(114)と、この回転カム(114)の周面に設けた操作カム部(115)によって揺動操作されて前記操向切り換え弁(V1)を切り換え操作する揺動リンク(64)とを備えてある請求項1記載の農作業機の操向装置。
  3. 前記電動モータ(110)によって回転操作される回転カム(114)と、この回転カム(114)に遊端側が当接して回転カム(114)によって揺動操作される状態で固定部(113a)に揺動自在に支持されている揺動リンク(117)と、この揺動リンク(117)の遊端側を前記旋回モード選択弁(V2)の操作部(70)に連動させている連動杆(116)とを備えてある請求項1又は2記載の農作業機の操向装置。
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