JP3659571B2 - 荷役車両 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両本体に運転者が搭乗可能なステップ部が設けられた荷役車両に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の荷役車両には、車両本体の後部に運転者が搭乗可能なステップ部を設けたものがあり、このステップ部に運転者が搭乗した状態で荷役車両を運転できるようになっている。
【0003】
ところで、このような荷役車両では、運転者が荷役車両から降りる際に、走行中の荷役車両が完全に停止状態となる前に運転者がステップ部から飛び降りることがある。このときアクセルレバーをONにしたままステップ部から飛び降りると、ブレーキ等を作動させない限り荷役車両が走行を続けるため、運転者が車両本体に引きずられてしまうという問題があった。
【0004】
そのため、例えば、特開平5−262498号公報に記載された荷役車両の1つであるフォークリフトでは、ステップ部に足操作式スイッチを設け、運転者が足操作式スイッチを踏んでONにしていること、つまりステップ部に乗っていることを検知している。そして、例えば運転者がフォークリフトから飛び降りて、足操作式スイッチが踏まれていない状態になると、ブレーキが作動してフォークリフトを強制停止させるようになっており、こうすることで、運転者の安全を確保している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記した構成のフォークリフトでは、運転者がステップ部から離れて、一旦フォークリフトが停止した後は、再び足操作式スイッチを踏み込まない限り停止状態を解除することができず、フォークリフトを走行させることができなかった。そのため、このように停止した状態からは、例えば運転者が歩行しながらフォークリフトを移動させたりすることができず、操作性の点で問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、運転者がステップ部から離れて車両本体が停止した場合であっても、車両本体の停止状態を容易に解除して、走行可能状態にすることができる荷役車両を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するため、本発明は、車両本体と、該車両本体を操舵するハンドルと、該車両本体の前部に設けられたフォークと、該車両本体の後部に設けられ運転者が搭乗可能なステップ部とを有する荷役車両であって、上記ステップ部が、上記車両本体に傾倒自在に設けられると共に、運転者が該ステップ部から降りると略水平状態から自動的に略垂直状態に起立するよう付勢されており、また、上記ステップ部が垂直状態にあることを検知する検知部と、該検知部により上記ステップ部が垂直状態にあることが検出されると上記車両本体を減速又は強制停止させる制動手段とを備えており、更に、上記ハンドルは上記制動手段による上記車両本体の減速又は停止状態を解除するための操作手段を備えていることを特徴としている。
【0008】
このような構成によれば、制動手段の作動を解除するための操作手段が設けられているため、運転者がステップ部から離れて制動手段により車両本体が減速又は停止された場合に、操作手段を操作してこの減速又は停止状態を容易に解除することができ、荷役車両を走行可能状態に復帰させることができる。そのため、運転者は車両本体が減速又は停止状態となった後に、この減速又は停止状態を速やかに解除して、ステップ部に搭乗したり或いは歩行しながら荷役車両の運転を継続することができる。従って、運転者は、例えばステップ部に搭乗しながら荷役車両を運転している際に、作業状況に応じてステップ部から降りて歩行しながらの運転に移行することができ、荷役車両の操作性を向上することができる。またこのような構成によれば、運転者がステップ部に搭乗して運転している際に、ステップ部から離れると、ステップ部は水平状態から垂直方向に付勢されて自動的に起立するため、荷役車両を歩行運転に適した状態に移行させることができる。そのため、運転者は、ステップ部に搭乗した状態の運転から歩行運転にスムーズに移行することができ、荷役車両の操作性を向上することができる。
【0009】
また、本発明は、前記操作手段が、押し込んでいる間だけONして、前記制動手段による前記車両本体の減速又は停止状態を解除するスイッチからなることを特徴としている。このような構成によれば、運転者の意図によってスイッチをONしている間のみ、車両本体の減速又は停止状態を解除することができるため、操作の安全性を向上することができ、運転者の意に沿った荷役車両の運転が可能になる。
【0010】
また、本発明は、前記操作手段が、押し込み操作ごとにON,OFFし、ON時に前記制動手段による前記車両本体の減速又は停止状態を解除するスイッチからなり、このスイッチのONを報知する報知手段を備えていることを特徴としている。このような構成によれば、一旦スイッチをONにすれば、制動手段の作動が解除されている状態が維持されるため、例えば制動手段の作動を解除するのにスイッチをONし続ける必要がなく、必要なときにスイッチを一回操作するだけで制動手段の作動が解除され、荷役車両を走行可能状態に復帰させることができる。このとき、報知手段により制動手段の作動が解除されていることを容易に認識することができるため、操作の安全性を向上することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
この発明を荷役車両であるパレットトラックに適用した場合の一実施形態について図1ないし図4を参照して説明する。但し、図1はこの発明の一実施形態にかかるパレットトラックの側面図、図2はパレットラックに設けられたハンドルを水平に傾倒させた場合の操作部の平面図、図3はパレットトラックのステップ部周辺の断面図、図4は動作説明用フローチャートである。
【0012】
図1に示すように、本実施形態におけるパレットトラック1は、車両本体3と、車両本体3の前部に配設され上下方向に移動可能な一対のフォーク5と、車両本体3の上面に配設されパレットトラック1を操舵するハンドル7と、車両本体3の後部に配設され運転者が搭乗可能なステップ部9とにより構成されている。
【0013】
ハンドル7は、車両本体3の後部上面に傾倒自在に配設されたハンドル軸11と、ハンドル軸11の先端に設けられた操作部13とから構成されている。そして、操作部13は、図2に示すように、平面視略十字状の操作部本体15と、この操作部本体15の両側に配設され右手および左手で各々把持可能な一対のC字形のグリップ17とを備えている。また、操作部本体15の先端部には、パレットトラック1の走行速度および走行方向(前進・後退)を制御するアクセルレバー19と、フォーク5を上、下方向に各々駆動操作する2つのリフトアップ用、リフトダウン用ボタン21,23とが配設されている。
【0014】
アクセルレバー19は操作部本体15の先端部の両側に回転自在に軸支されており、中立位置からの回転方向並びに回転量に応じた方向、速度で走行用モータ(図示を省略)が駆動されてパレットトラック1が前進または後退する。また、リフトアップ用、リフトダウン用ボタン21,23は、これらを押込んでいる間、油圧ポンプ(図示を省略)やソレノイドバルブ(図示を省略)が駆動されてフォーク5が上、下に移動する。
【0015】
さらに、操作部本体15のほぼ中央右寄りには、モーメンタリ型の押ボタンスイッチ25が配設されており、この押ボタンスイッチ25を押し込んでONしている間、後述する電磁ブレーキ(図示を省略)による車両本体3の強制停止状態が解除され、車両本体3を走行可能状態とすることができる。ここで、押ボタンスイッチ25が本発明の操作手段を構成している。
【0016】
また、図3に示すように、ステップ部9は、車両本体3の後部に沿って水平(図3の紙面に垂直な方向)に配設された軸部材29を中心として傾倒自在に配設されている。軸部材29の両端部にはねじりバネ31がそれぞれ巻回されており、ねじりバネ31の一端部がブラケット33を介して車両本体3の後部に取り付けられるとともに、その他端部がステップ部9に保持されている。そして、ステップ部9はこのねじりバネ31によってほぼ垂直に起立する方向に付勢され、ステップ部9に荷重をかけていない状態では、ステップ部9は車両本体3の後部に起立した状態に保持される。一方、パレットトラック1を運転する場合には、運転者はステップ部9を水平状態に傾倒させてステップ部9に搭乗し、パレットトラック1を運転する。
【0017】
また、軸部材29の一端部には、カム35が固着されており、ステップ部9が傾倒すると、これに伴って軸部材29周りに回転するとともに、このカム35と車両本体3の後部に設けられたリミットスイッチ37とによりステップ部9の傾倒角を検出している。すなわち、運転者がステップ部9に搭乗し、ステップ部9が走行可能範囲α内に傾倒されている場合には、カム35がリミットスイッチ37の接点を押圧してリミットスイッチ37がONになり、パレットトラック1は走行可能状態となる。一方、走行中に、例えば運転者がステップ部9から飛び降りると、ステップ部9がねじりバネ31によって付勢されて走行停止範囲β内に傾倒し、カム35による接点の押圧が解除される。その結果、リミットスイッチ37がOFFになり、電磁ブレーキが作動して車両本体3が強制停止される。こうして、本実施形態のパレットトラック1では、ステップ部9から飛び降りた運転者の安全を確保している。ここで、リミットスイッチ37が本発明の検知部に相当し、電磁ブレーキが本発明の制動手段に相当する。
【0018】
また、図3に示すように、ステップ部9の一端部には、突起部39が形成されており、ステップ部9が水平状態に傾倒しているときは、この突起部39が車両本体3の後部内面に設けられた緩衝部41に当接するようになっている。この緩衝部41は、突起部39が当接する当接板43と、この当接板43を支持する圧縮コイルバネ45とを備えており、ステップ部9が水平状態に傾倒されたときに突起部39が当接板43に当接すると、走行中のステップ部9の振動が圧縮コイルバネ45により吸収されるようになっている。こうすることで、運転者が走行中に受ける振動を低減することができ、安定した運転が可能となる。
【0019】
次に、パレットトラックの動作について図4のフローチャートを参照して説明する。
【0020】
図4に示すように、まずパレットトラック1が走行停止状態であるか否かの判定がなされ(S1)、この判定結果がNO、つまりパレットトラック1が走行状態にあるときには、リミットスイッチ37がONからOFFに変化したか否かが判定され(S2)、この判定結果がYES、つまり運転者がステップ部9から飛び降りることでステップ部9が水平状態から起立した状態へと付勢されると、電磁ブレーキが作動してパレットトラック1が強制停止され(S3)、その後、ステップS1に戻る。
【0021】
一方、ステップS2の判定結果がNO、つまりリミットスイッチ37がOFFになっていない場合には、ステップ部9は水平又は垂直状態に保持されているため、電磁ブレーキは作動せず、走行停止が解除された状態(S4)、つまり走行可能状態となり、パレットトラック1の走行が継続され、その後ステップS1に戻る。
【0022】
また、ステップS1の判定結果がYES、つまりパレットトラック1が走行停止状態である場合には、押ボタンスイッチ25がON状態であるか否かが判定され(S5)、この判定結果がNO、つまり押ボタンスイッチ25がOFFであれば、ステップS3に移行して走行停止状態が維持される。一方、ステップS5の判定結果がYES、つまり押ボタンスイッチ25がONされたと判断できる場合には、電磁ブレーキによる走行停止状態が直ちに解除され(S4)、パレットトラック1は走行可能状態となる。この状態で、運転者は再度ステップ部9に搭乗してパレットトラック1を運転することができ、或いはステップ部9に搭乗せずに歩行しながらハンドル7を操舵してパレットトラック1を運転することもできる。その後、ステップS1に戻って上記したステップを繰り返す。
【0023】
従って、上記した実施形態によれば、電磁ブレーキによって車両本体3が強制停止されている場合であっても、押ボタンスイッチ25を押し込んでONすることにより、車両本体3の停止状態を容易に解除することができ、車両本体3を走行可能状態に復帰させることができる。そのため、運転者は、この強制停止状態からステップ部9に搭乗しながらの運転、或いは歩行しながらの運転に速やかに移行することができ、パレットトラック1の運転を継続させることができる。例えば、運転者がステップ部9に搭乗しながらパレットトラック1を運転している際に、作業状況に応じてステップ部9から降りて歩行しながらの運転に移行することができ、パレットトラック1の操作性を向上することができる。
【0024】
また、ステップ部9は、ねじりバネ31によって水平状態から垂直方向へと付勢されているため、運転者がステップ部9から離れると、ステップ部9は自動的に垂直状態に起立し、パレットトラック1は運転者が歩行運転しやすい形態となる。そのため、運転者は、ステップ部9に搭乗しながらの運転から歩行運転へとスムーズに移行することができる。
【0025】
さらに、上記した実施形態では、一旦電磁ブレーキが作動してパレットトラック1が停止すると、押ボタンスイッチ25を押して停止状態を解除しない限り、パレットトラック1を運転することができないため、例えばアクセルレバー19を傾倒したまま、誤ってステップ部9に搭乗しても、パレットトラック1の停止状態は保持される。従って、運転者の意図によって押ボタンスイッチ25がONされたときのみ、パレットトラック1の停止状態が解除されるため、安全性を向上することができる。
【0026】
なお、上記した実施形態では、運転者がステップ部9から離れると電磁ブレーキにより車両本体3を強制停止して、運転者の安全を確保しているが、これに限定されるものではなく、例えば走行用モータの回転を制御装置(図示を省略)により制御して運転者が車両本体3に引きずられない程度の速度まで減速させるようにしてもよい。こうすることで、運転者がステップ部9から離れても車両本体3が完全に停止しないため、運転者は、ステップ部9に搭乗しながらの運転から歩行運転にスムーズに移行することができ、作業効率を向上することができる。この場合、走行用モータの回転を制御する制御装置が、本発明の制動手段を構成する。
【0027】
また、上記した実施形態では、電磁ブレーキの作動を解除する手段としてモーメンタリ型の押ボタンスイッチ25を用いているが、これに限定されるものではない。例えば、オルタネイト型のスイッチ等のように操作をするごとにON,OFFが切り換わるものを用いてもよい。但し、このようなスイッチを用いると、スイッチがON状態に保持され、電磁ブレーキの作動が解除されて走行停止状態が強制解除されても、運転者がそのような状況を把握できないことがあるため、スイッチがON状態であることを報知する報知手段を併設する必要がある。こうすることで、パレットトラック1の運転者は電磁ブレーキの作動が解除されていることを容易に認識することができ、操作の安全性を向上することができる。ここで、報知手段としては、例えばLED等の表示素子やLCDなどの表示手段、或いはブザー等の音を発生する発音手段を用いることができる。
【0028】
また、上記した実施形態では、パレットトラック1を停止させる制動手段として電磁ブレーキを用いているが、これに限定されるものではなく、例えば機械式ブレーキや走行用モータの回生ブレーキ等を用いてもよく、また走行用モータへの印加電圧をゼロにすることによって車両本体3を惰行から自然に停止させるようにしてもよい。
【0029】
また、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。
【0030】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に記載の発明によれば、制動手段の作動を解除するための操作手段が設けられているため、運転者がステップ部から離れて制動手段により車両本体が減速又は停止された場合に、この減速又は停止状態を容易に解除することができ、荷役車両を走行可能状態に復帰させることができる。その結果、運転者は車両本体が減速又は停止状態となった後に、この状態を速やかに解除して、ステップ部に搭乗したり或いは歩行しながら荷役車両の運転を継続することができ、例えばステップ部に搭乗しながら荷役車両を運転している際に、作業状況に応じてステップ部から降りて歩行しながらの運転に移行することができ、荷役車両の操作性を向上することができる。また、請求項1に記載の発明によれば、運転者がステップ部から離れると、ステップ部は水平状態から垂直方向に付勢されて自動的に起立するため、荷役車両を歩行運転に適した状態に簡単に移行させることができ、荷役車両の操作性を向上することができる。
【0031】
また、請求項2に記載の発明によれば、スイッチが押し込まれてONしている間のみ、制動手段による車両本体の減速又は停止状態が解除されるため、運転者の意図に従って、車両本体の減速又は停止状態を解除することができ、操作の安全性を向上することができる。
【0032】
また、請求項3に記載の発明によれば、押し込み操作ごとにON,OFFするスイッチが設けられ、このスイッチをONにすると制動手段による車両本体の減速又は停止状態を解除されるため、一旦スイッチをONにすれば、制動手段の作動が解除されている状態を維持することができ、例えば制動手段の作動を解除するのにスイッチをONし続ける必要がなく、必要なときにスイッチを一回操作するだけで制動手段の作動を解除して荷役車両を走行可能状態にすることができる。また、報知手段により制動手段の作動が解除されていることを容易に認識することができるため、操作の安全性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施形態におけるパレットトラックの側面図である。
【図2】 この発明の一実施形態におけるパレットトラックの一部の平面図である。
【図3】 この発明の一実施形態のパレットトラックの一部の断面図である。
【図4】 この発明の一実施形態における動作説明用フローチャートである。
【符号の説明】
1 パレットトラック(荷役車両)
3 車両本体
9 ステップ部
25 押ボタンスイッチ(操作手段)
37 リミットスイッチ(検知部)
Claims (3)
- 車両本体と、該車両本体を操舵するハンドルと、該車両本体の前部に設けられたフォークと、該車両本体の後部に設けられ運転者が搭乗可能なステップ部とを有する荷役車両であって、上記ステップ部が、上記車両本体に傾倒自在に設けられると共に、運転者が該ステップ部から降りると略水平状態から自動的に略垂直状態に起立するよう付勢されており、また、上記ステップ部が垂直状態にあることを検知する検知部と、該検知部により上記ステップ部が垂直状態にあることが検出されると上記車両本体を減速又は強制停止させる制動手段とを備えており、更に、上記ハンドルは上記制動手段による上記車両本体の減速又は停止状態を解除するための操作手段を備えていることを特徴とする荷役車両。
- 前記操作手段が、押し込んでいる間だけONして、前記制動手段による前記車両本体の減速又は停止状態を解除するスイッチからなることを特徴とする請求項1に記載の荷役車両。
- 前記操作手段が、押し込み操作ごとにON,OFFし、ON時に前記制動手段による前記車両本体の減速又は停止状態を解除するスイッチからなり、このスイッチのONを報知する報知手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の荷役車両。
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