JP3627980B2 - 荷役車両 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両本体に運転者が搭乗可能なステップ部が設けられた荷役車両に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の荷役車両には、車両本体の後部に運転者が搭乗可能なステップ部を設けたものがあり、このステップ部に運転者が搭乗した状態で荷役車両を運転できるようになっている。
【0003】
ところで、このような荷役車両では、運転者が荷役車両から降りる際に、走行中の荷役車両が完全に停止状態となる前に運転者がステップ部から飛び降りることがある。このときアクセルレバーをONにしたままステップ部から飛び降りると、ブレーキ等を作動させない限り荷役車両が走行を続けるため、運転者が車両本体に引きずられてしまうという問題があった。
【0004】
そのため、例えば、特開平5−262498号公報に記載された荷役車両の1つであるフォークリフトでは、ステップ部に足操作式スイッチを設け、運転者が足操作式スイッチを踏んでONにしていること、つまりステップ部に乗っていることを検知している。そして、例えば運転者がフォークリフトから飛び降りて、足操作式スイッチが踏まれていない状態になると、ブレーキが作動してフォークリフトを強制停止させるようになっており、こうすることで、運転者の安全を確保している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記した構成のフォークリフトでは、運転者がステップ部から降りて、一旦フォークリフトが停止した後は、再び足操作式スイッチを踏み込まない限り停止状態を解除することができなかった。そのため、運転者が一旦ステップ部から降りると、例えば運転者が歩行しながらフォークリフトを運転するといった通常の走行状態に速やかに移行することができず、操作性の点で問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、運転者がステップ部から離れた場合であっても、荷役車両を通常の走行状態に速やかに移行させることができる荷役車両を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するため、本発明は、車両本体に設けられ運転者が搭乗可能なステップ部と、前記ステップ部に前記運転者が搭乗していることを検知する検知部と、前記検知部により前記ステップ部に前記運転者が搭乗していないことが検出されると前記車両本体を減速させる制動手段とを備えた荷役車両において、前記車両本体の走行速度を検出する速度検出部と、前記制動手段により減速されている前記車両本体の走行速度が、所定の基準値以下になったときに、前記制動手段による前記車両本体の減速状態を解除する解除手段とを備えていることを特徴としている。
【0008】
このような構成によれば、運転者がステップ部から離れて車両本体が減速されている際に、車両本体の走行速度が所定の基準値、例えば運転者が車両本体に引きずられない程度の速度以下になると、解除手段によって制動手段による減速状態が解除されて、荷役車両は通常走行が可能な状態に復帰する。そのため、運転者がステップ部から離れても車両本体は完全に停止されず、荷役車両の運転を速やかに再開することができ、運転者は作業状況に応じて再びステップ部に搭乗したり或いは歩行しながらの運転に移行することができる。特に、上記した基準値を人間の歩行速度よりも遅い速度に設定しておくと、運転者は再びステップ部に搭乗しながらの運転、或いは自らの意志に基づく歩行運転に容易に移行することができ、荷役車両の操作性を向上することができる。
【0009】
また、本発明は、前記ステップ部が、前記車両本体に傾倒自在に設けられるとともに、略水平に傾倒した状態から略垂直に起立する方向に付勢されていることを特徴としている。このような構成によれば、運転者がステップ部に搭乗して運転している際に、ステップ部から離れると、ステップ部は水平状態から垂直方向に付勢されて自動的に起立するため、荷役車両を歩行運転に適した状態に移行させることができる。そのため、運転者は、ステップ部に搭乗した状態の運転から歩行運転にスムーズに移行することができ、荷役車両の操作性を向上することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
この発明を荷役車両であるパレットトラックに適用した場合の一実施形態について図1ないし図4を参照して説明する。但し、図1はこの発明の一実施形態にかかるパレットトラックの側面図、図2はパレットトラックのステップ部周辺の断面図、図3はパレットトラックの制御装置のブロック図、図4は動作説明用フローチャートである。
【0011】
図1に示すように、本実施形態におけるパレットトラック1は、車両本体3と、車両本体3の前部に配設され上下方向に移動可能な一対のフォーク5と、車両本体3の上面に配設されパレットトラック1を操舵するハンドル部7と、車両本体3の後部に配設され運転者が搭乗可能なステップ部9とにより構成されている。
【0012】
ハンドル部7には、図示を省略するアクセルレバーが配設されており、このアクセルレバーを中立位置から前後に傾倒させると、中立位置からの傾倒方向並びに傾倒角に応じた、方向及び速度で走行用モータ(図示省略)が駆動されてパレットトラック1が前進または後退する。また、ハンドル部7には、フォーク5を上下方向に駆動させる荷役用ボタン(図示省略)が配設されている。
【0013】
また、図2に示すように、ステップ部9は、車両本体3の後部に沿って水平(図2の紙面に垂直な方向)に配設された軸部材11を中心として傾倒自在に配設されている。軸部材11の両端部にはねじりバネ13がそれぞれ巻回されており、ねじりバネ13の一端部がブラケット15を介して車両本体3の後部に取り付けられるとともに、その他端部がステップ部9に保持されている。そして、ステップ部9はこのねじりバネ13によってほぼ垂直に起立する方向に付勢され、ステップ部9に荷重をかけていない状態では、ステップ部9は車両本体3の後部に起立した状態で保持される。一方、パレットトラック1を運転する場合には、運転者はステップ部9を水平状態に傾倒させてステップ部9に搭乗し、パレットトラック1を運転する。
【0014】
また、軸部材11の一端部には、カム17が固着されており、ステップ部9が傾倒すると、これに伴って軸部材11周りに回転するとともに、このカム17と車両本体3の後部に設けられたリミットスイッチ19とによりステップ部9の傾倒角を検出している。すなわち、運転者がステップ部9に搭乗し、ステップ部9が通常走行範囲α内に傾倒されている場合には、カム17がリミットスイッチ19の接点を押圧してリミットスイッチ19がONになり、パレットトラック1は通常走行が可能な状態となる。なお、この通常走行が可能な状態とは、後述するようにアクセルレバーの操作が有効で、その操作に従って走行用モータが駆動されてパレットトラック1が走行する状態をいう。
【0015】
一方、走行中に、例えば運転者がステップ部9から飛び降りると、ステップ部9がねじりバネ13によって付勢されて減速範囲β内に傾倒し、カム17による接点の押圧が解除される。その結果、リミットスイッチ19がOFFになり、制動手段としての電磁ブレーキが作動してパレットトラック1が減速されていく。こうして、本実施形態のパレットトラック1では、ステップ部9から飛び降りた運転者の安全を確保している。ここで、リミットスイッチ37が本発明の検知部に相当する。
【0016】
また、図2に示すように、ステップ部9の一端部には、突起部21が形成されており、ステップ部9が水平状態に傾倒しているときは、この突起部21が車両本体3の後部内面に設けられた緩衝部23に当接するようになっている。この緩衝部23は、突起部21が当接する当接板25と、この当接板25を支持する圧縮コイルバネ27とを備えており、ステップ部9が水平状態に傾倒されたときに突起部21が当接板25に当接すると、走行中のステップ部9の振動が圧縮コイルバネ27により吸収されるようになっている。こうすることで、運転者が走行中に受ける振動を低減することができ、安定した運転が可能となる。
【0017】
次に、パレットトラック1の走行を制御する制御装置の構成について説明する。図3に示すように、アクセルレバー29が傾倒されると、その傾倒方向および傾倒角がCPU31に取り込まれ、CPU31はこれに基づいて走行用モータ33を駆動制御する。
【0018】
また、パレットトラック1の走行速度Vが、例えばエンコーダからなる速度検出部35により検出され、CPU31に逐次取り込まれる。さらに、リミットスイッチ19のON、OFF状態の変化が、CPU31に取り込まれており、パレットトラック1の走行中にリミットスイッチ19がONからOFF、つまり運転者がステップ部9から離れてステップ部9が水平状態から垂直方向に起立すると、CPU31によりアクセルレバー29の操作が無効にされるとともに、電磁ブレーキ37が作動され、パレットトラック1が減速されていく。
【0019】
また、上記した減速状態を解除する際の基準となる走行速度の基準値VLを入力するための速度設定部39が設けられており、この速度設定部39に入力された基準値VLがCPU31に取り込まれる。そして、電磁ブレーキ33によりパレットトラック1が減速されているときに、走行速度Vが基準値VL以下になると、CPU31により電磁ブレーキ33の作動が解除、つまり減速状態が解除されるとともに、アクセルレバー29の操作が有効となり、通常の運転を再開することができる。なお、基準値VLは人間の通常の歩行速度よりやや遅い、例えば時速3km程度に設定するのが望ましく、こうすることで、運転者は、車両本体3に引きずられるおそれのない安全な状態でパレットトラック1の運転を再開することができる。ここで、CPU31が本発明の解除手段を構成している。
【0020】
次に、パレットトラックの動作について図4のフローチャートを参照して説明する。
【0021】
図4に示すように、まずパレットトラック1が減速されている状態であるか否かの判定がなされ(S1)、この判定結果がNO、つまりパレットトラック1が通常の走行状態にあるときには、リミットスイッチ37がONからOFFに変化したか否かが判定され(S2)、この判定結果がYES、つまり運転者がステップ部9から飛び降りることでステップ部9が水平状態から起立した状態へと付勢されると、電磁ブレーキ37が作動してパレットトラック1が減速され(S3)、その後、ステップS1に戻る。
【0022】
一方、ステップS2の判定結果がNO、つまりリミットスイッチ37がOFFになっていない場合には、ステップ部9は水平又は垂直状態に保持されているため、電磁ブレーキ37は作動せず、パレットトラック
1の減速が解除された状態(S4)、つまり通常の走行状態でパレットトラック1の走行が継続され、その後ステップS1に戻る。
【0023】
また、ステップS1の判定結果がYES、つまりパレットトラック1が減速状態である場合には、走行速度Vが基準値VL以下であるか否かが判定され(S5)、この判定結果がNO、つまり走行速度Vが基準値VLより大きければ、運転者の安全を確保するために、ステップS3に移行してパレットトラック1は減速され続ける。一方、ステップS5の判定結果がYES、つまり走行速度Vが基準値VL以下になると、電磁ブレーキ37による減速状態が解除され(S4)、パレットトラック1は通常走行が可能な状態となる。この状態で、運転者は再度ステップ部9に搭乗してパレットトラック1を運転することができ、或いはステップ部9に搭乗せずに歩行しながらハンドル部7を操舵してパレットトラック1を運転することもできる。その後、ステップS1に戻って上記したステップを繰り返す。
【0024】
従って、上記した実施形態によれば、運転者がステップ部9から離れてパレットトラック1が減速されている際に、パレットトラック1の走行速度Vが所定の基準値VL以下、つまり運転者が車両本体3に引きずられない程度の速度(ここでは約時速3km)になると、CPU31により電磁ブレーキ37の作動が解除されて、パレットトラック1は通常走行が可能な状態に復帰する。そのため、運転者は、この状態から作業状況に応じて再びステップ部9に搭乗したり或いは歩行しながらの運転に速やかに移行することができる。このように、パレットトラック1の運転中に運転者がステップ部9から離れても車両本体3は完全に停止することなく、通常走行が可能な状態に復帰するため、効率よくパレットトラック1の運転を再開することができる。また、基準値VLが人間の歩行速度、つまり時速3km程度に設定されているため、運転者は、ステップ部9に搭乗しながらの運転から歩行運転に容易に移行することができ、パレットトラック1の操作性を向上することができる。
【0025】
また、ステップ部9は、ねじりバネ31によって水平状態から垂直方向へと付勢されているため、運転者がステップ部9から離れると、ステップ部9は自動的に垂直状態に起立し、パレットトラック1は運転者が歩行運転しやすい形態となる。そのため、運転者は、ステップ部9に搭乗しながらの運転から歩行運転へとスムーズに移行することができる。
【0026】
さらに、上記した実施形態では、一旦電磁ブレーキ37が作動してパレットトラック1が減速されると、運転者の安全を確保できる基準値VLまでパレットトラック1が減速されなければ、アクセルレバー29の操作が無効になるため、パレットトラック1の減速中に例えばアクセルレバー29を傾倒したまま、誤ってステップ部9に搭乗しても、パレットトラック1は加速されず、減速状態が維持される。そのため、運転者の安全を確実に確保することができる。
【0027】
なお、上記した実施形態では、パレットトラック1が減速状態から通常走行が可能な状態に復帰できる基準値VLを、時速3km程度の速度に設定しているが、これを速度ゼロ、つまりパレットトラック1が停止する状態に設定してもよい。このようにすると、パレットトラック1が完全に停止するまでは、アクセルレバーの操作が無効となって通常の運転が再開できないため、安全性を向上することができる。
【0028】
また、上記した実施形態では、リミットスイッチ19によりステップ部9の傾倒角を検知し、ステップ部9の傾倒角によって運転者がステップ部9に搭乗しているか否かを検知しているが、運転者がステップ部9に搭乗していることを検知する手段は、これに限定されるものではない。例えば、図5に示すように、ステップ部9の上面に触覚センサ、例えば帯状の圧覚センサ41を配設し、この圧覚センサ41を運転者が踏んでいるか否かを検知することで、運転者がステップ部9に搭乗していることを検知するようにしてもよい。なお、運転者がステップ部9に搭乗していることを検知するセンサとしては、これ以外に光センサ、赤外線センサ、及び温度センサなどを用いることができる。
【0029】
また、上記した実施形態では、ステップ部9が傾倒自在に構成されているが、これに限定されるものではなく、傾倒式のものに代わって、水平状態に固定された固定式のステップ部を設けてもよい。この場合、運転者がステップ部に搭乗していることを検知するためには、上述した触覚センサ等を用いることが望ましい。
【0030】
また、上記した実施形態では、パレットトラック1を減速させる制動手段として電磁ブレーキを用いているが、これに限定されるものではなく、例えば機械式ブレーキや走行用モータの回生ブレーキ等を用いてもよく、また走行用モータへの印加電圧をゼロにすることによってパレットトラック1を惰行から自然に減速させるようにしてもよい。
【0031】
さらに、上記した実施形態では、本発明をパレットトラック1に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、運転者が搭乗可能なステップ部が設けられた荷役車両全般に適用することができる。
【0032】
また、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。
【0033】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に記載の発明によれば、運転者がステップ部から離れて車両本体が減速されている際に、車両本体の走行速度が所定の基準値、例えば運転者が車両本体に引きずられない程度の速度以下になると、解除手段により制動手段による減速が解除されて荷役車両が通常走行が可能な状態に復帰するため、この状態から運転者は再びステップ部に搭乗したり或いは歩行しながらの運転に容易に移行することができる。すなわち、運転者がステップ部から離れても車両本体が完全に停止しないため、運転者は作業状況に応じて効率よく荷役車両の運転を再開することができる。特に、上記した基準値が人間の歩行速度程度に設定されると、運転者はステップ部に搭乗しながらの運転から歩行運転に容易に移行することができ、荷役車両の操作性を向上することができる。
【0034】
また、請求項2に記載の発明によれば、運転者がステップ部から離れると、ステップ部は水平状態から垂直方向に付勢されて自動的に起立するため、荷役車両を歩行運転に適した状態に簡単に移行させることができ、荷役車両の操作性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態におけるパレットトラックの側面図である。
【図2】この発明の一実施形態のパレットトラックの一部の断面図である。
【図3】この発明の一実施形態におけるパレットトラックの制御装置のブロック図である。
【図4】この発明の一実施形態における動作説明用フローチャートである。
【図5】この発明の一実施形態におけるパレットトラックの一部の変形例を示す図である。
【符号の説明】
1 パレットトラック(荷役車両)
3 車両本体
9 ステップ部
19 リミットスイッチ(検知部)
31 CPU(解除手段)
35 速度検出部
37 電磁ブレーキ(制動手段)
41 圧覚センサ(検知部)
Claims (2)
- 車両本体に設けられ運転者が搭乗可能なステップ部と、前記ステップ部に前記運転者が搭乗していることを検知する検知部と、前記検知部により前記ステップ部に前記運転者が搭乗していないことが検出されると前記車両本体を減速させる制動手段とを備えた荷役車両において、
前記車両本体の走行速度を検出する速度検出部と、
前記制動手段により減速されている前記車両本体の走行速度が、所定の基準値以下になったときに、前記制動手段による前記車両本体の減速状態を解除する解除手段とを備えていることを特徴とする荷役車両。 - 前記ステップ部が、前記車両本体に傾倒自在に設けられるとともに、略水平に傾倒した状態から略垂直に起立する方向に付勢されていることを特徴とする請求項1に記載の荷役車両。
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