JP3658353B2 - 記録装置、および記録装置の制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録媒体に対して記録を行う記録装置に関するもので、特に、ホストとなる情報処理装置と接続され、情報処理装置から送られるデータに基づいて記録を行う記録装置に関して、情報処理装置との間で最初に時刻情報を合せこむ方法であり、その時刻情報を使ってユーザが装置を購入した初期の段階から安定して記録を行えるようにするために過不足なく記録の準備動作をさせる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
記録媒体に対して記録を行う記録装置(以下、プリンタ、印刷装置、もしくは印刷記録装置と称する。また、「プリント」、「印刷」等なる用語は、以下、「記録」と同義の用語として説明する。)のなかには実際の印刷動作を開始するに先立って所定の予備的な動作を行うものがある。例えば、インクを吐出するインクジェットヘッドを用い、インクジェットヘッドから記録媒体に対してインクを吐出して記録を行うインクジェットプリンタでは、記録を行っていない間に乾燥したインクがノズルに詰まるのを防止するためにヘッドクリーニング機構を備えている。そして、印刷品位を良好に保つために、一定時間ごとにヘッドメンテナンスのための吸引動作、予備吐出動作といったヘッドクリーニングを行う。このようなヘッドクリーニングが行なわれるタイミングは、多くの場合、プリンタで印刷を開始する時をトリガにして自動的に行われる。従って、プリンタのユーザが印刷の開始を指示してから実際に印刷が行われるまでには、各種のデータ処理を行って印刷を開始できる状態とするために多くの時間を要する。さらに、上述のヘッドメンテナンスの動作は、一般的には、プリンタが印刷データをバッファに展開し、印刷開始できる状態になってから行われる。このため、印刷開始までの時間は、データ処理のための時間に、ヘッドメンテナンスのためのクリーニング時間が付加されたものとなるので、プリントの指示を行ってから実際に印刷が完了するまでの間の時間が長くなってしまうという問題があった。
【0003】
このような課題を改善することを目的とした発明を開示する特開2000−163225号公報によれば、印刷の実行が指示された場合に、印刷装置に対して印刷データより前に印刷前通知信号を情報処理装置であるホスト(パーソナルコンピュータを含む)から印刷装置へ送信し、印刷装置は通信手段を介して外部より受信した信号を解析する。該信号が印刷前の準備を行う旨を指示する解析結果であった場合、印刷記録装置は印刷データを受信する前に印刷に必要なクリーニングなどの準備動作の実行を開始し、該信号が印刷データであった場合は、当該印刷データに基づく印刷処理を実行する。
【0004】
印刷前通知信号には、情報処理装置から時刻情報、予備動作の指示、印刷画像の解像度、画像サイズ、紙種、給紙方法などが含まれる場合がある。今日、ホストと通信手段をもつインクジェットプリンタでは該時刻情報を利用して、印刷装置の休止時間を演算し、その休止時間に対応した吸引、予備吐出などのクリーニング動作を行う方法(タイマーにより休止時間を計測して吸引による回復動作を実行する制御を、以下、タイマー吸引と呼ぶ)を備えているものが知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来の構成に示すような、情報処理装置との通信手段を備えた印刷装置を使用する場合、情報処理装置から受信した時刻情報を使用することで、AC電源をOFFにされた場合にも記録装置の休止時間に応じた印字前予備動作を実行することができる。しかしながら、ユーザが印刷装置を購入した後の、最初に情報処理装置から時刻情報を受信する場合、印刷装置の出荷時刻からユーザの購入後最初の使用時刻までを管理することができないため、購入当初の最初の記録動作において、過不足のない適切な記録前の予備動作を実行することができなかった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述の問題に鑑みてなされたものであり、情報処理装置から送られるデータに基づいて記録媒体に記録を行う記録装置において、記録動作に先立って所定の準備動作を行う記録前準備手段と、先に前記所定の準備動作が行われた時刻に関する準備動作時刻情報を記憶する記憶手段と、前記情報処理装置から送られるデータに基づく記録動作において、前記情報処理装置から送られる現在の時刻に関する現時刻情報を受信するとともに、受信した前記現時刻情報と前記記憶手段に記憶された前記準備動作時刻情報とに基づいて、先に前記所定の準備動作が行われてからの経過時間を算出し、前記経過時間に応じて、記録動作に先立って行う前記所定の準備動作を制御する制御手段と、前記所定の準備動作の実行に伴って、前記記憶手段に記憶される、前記準備動作時刻情報を更新する手段と、を有し、前記制御手段は、前記経過時間が正の値の時間である場合と、前記経過時間が負の値である場合のいずれにおいても、前記所定の準備動作を制御し、前記記憶手段は、前記準備動作時刻情報の初期値として、当該装置の出荷時の時刻に対して未来の時刻の値を記憶していることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、情報処理装置から送られるデータに基づいて記録媒体に記録を行うとともに、記録動作に先立って所定の準備動作を行う記録装置における制御方法において、記録動作に先立って、前記情報処理装置から現在の時刻に関する現時刻情報を受信する工程と、受信した前記時刻情報と、記憶手段に記憶された先に前記所定の準備動作が行われた準備動作時刻情報とに基づいて、先に前記所定の準備動作が行われてからの経過時間を算出する工程と、算出された前記経過時間に基づいて、前記所定の準備動作を制御して実行する前準備工程と、前記所定の準備動作の実行に伴って、前記記憶手段に記憶される、前記準備動作時刻情報を更新する工程と、からなり、前記前準備工程は、算出された前記経過時間が、正の値の時間である場合と、負の値である場合のいずれにおいても、前記所定の準備動作を制御して実行し、前記記憶手段に、前記準備動作時刻情報の初期値として、当該装置の出荷時の時刻に対して未来の時刻の値を記憶することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、情報処理装置に接続され、該情報処理装置から送られるデータに基づいて記録を行う記録装置であって、前記記録装置に対して動作を指示するプログラムを備えた前記情報処理装置と通信するための通信手段と、前記通信手段を介して、前記情報処理装置からの現在の時刻に関する第1の時刻情報に関する通知を受信する受信手段と、時刻に関する情報として第2の時刻情報を格納する格納手段と、前記通信手段を介して前記情報処理装置から受信した前記第1の時刻情報と前記格納手段に格納された前記第2の時刻情報とを比較し、差分を演算する演算手段と、前記通信手段を介して前記情報処理装置から受信した前記第1の時刻情報を前記第2の時刻情報として、前記格納手段に格納された前記第2の時刻情報を書き換える上書き手段と、を備え、前記格納手段は、前記記録装置の出荷時に、前記第2の時刻情報の初期値として、出荷時の時刻に対して未来の時刻の値を格納していることを特徴とする。
【0009】
このような本発明によれば、ユーザが印刷記録装置を購入した最初の記録動作において、印字記録前に適切な印字前予備動作を実行することができ、使用開始当初から安定した印字記録を行うことが可能になる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下添付図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0011】
本明細書において、「記録」(「プリント」という場合もある)とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、または媒体の加工を行う場合も表すものとする。
【0012】
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものも表すものとする。
【0013】
さらに、「インク」(「液体」と言う場合もある)とは、上記「記録(プリント)」の定義と同様広く解釈されるべきもので、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成または記録媒体の加工、或いはインクの処理(例えば記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化)に供され得る液体を表すものとする。
【0014】
以下、本発明を適用可能な記録装置として、インクジェット記録装置を例に説明する。
【0015】
図2は、本実施形態によるインクジェット記録装置の概観図である。以下、本実施形態では、このインクジェット記録装置を単にプリンタ200と称する。
【0016】
図2において、リードスクリュー5005は、駆動モータ5013の正逆回転に連動して駆動力伝達ギア5011,5009を介して回転する。キャリッジHCは、リードスクリュー5004の螺旋溝5005に対して係合するピン(不図示)を有し、リードスクリュー5004の回転に伴って矢印a,bで示す方向に往復移動される。このキャリッジHCには、インクジェットカートリッジIJCが搭載されている。5002は紙押え板であり、キャリッジの移動方向に亙って紙をプラテン5000に対して押圧する。5007,5008はフォトセンサで、キャリッジのレバー5006のこの域での存在を確認して、モータ5013の回転方向切り換え等を行うためのホームポジション検知手段である。5016は記録ヘッドの前面をキャップするキャップ部材5022を支持する部材である。また、5015はこのキャップ内を吸引する吸引手段で、キャップ内開口5023を介して記録ヘッドの吸引回復を行う。5017はクリーニングブレードで、5019はこのブレードを前後方向に移動可能にする部材であり、本体支持板5018にこれらが支持されている。なお、クリーニングブレードには、この形態ではなく周知のクリーニングブレードを適用できることは言うまでもない。また、5021は、吸引回復の吸引を開始するためのレバーで、キャリッジと係合するカム5020の移動に伴って移動し、駆動モータからの駆動力がクラッチ切り換え等の公知の伝達手段で移動制御される。
【0017】
これらのキャップ部材5022によりキャップを行う動作(以下、キャッピングと称する)、クリーニング、及び吸引回復の動作は、キャリッジがホームポジション側の領域に来た時にリードスクリュー5004の作用によってそれらの対応位置で所望の処理が行えるように構成されている。
【0018】
つぎに、ユーザがアプリケーションで印刷の実行を指示し、実際に印刷されるまでの処理の流れについて、図1を用いて説明する。なお、図1では、プリンタ200にデータを送るホスト装置を、マイクロソフト株式会社のWindows95をオペレーティングシステムとして動作するパーソナルコンピュータ(以下、PCとも称する)を例として説明する。
【0019】
ユーザがホスト100を操作して印刷の指示が行われると、オペレーティングシステム上で動作しているアプリケーション101は、Create Enh Meta File() AIPを使用してデバイスコンテキスト(DC)をGDI102に要求し、拡張メタファイル(EMF)103を作成する。出来上がった拡張メタファイル103はスプーラ104で解釈され、印刷ジョブとしてプリンタドライバ105に送られる。プリンタドライバ105では、色処理、ラスタライズ、二値化等の処理を行ない、拡張メタファイル103をプリンタコマンドに変換し、これをプリンタ200に送信する。
【0020】
プリンタ200ではホスト100から送られたデータは受信バッファ201に蓄えられる。データ解釈部202では受信バッファ201のデータを取り出し、解釈し、それぞれの処理部にデータを渡す。データが印刷データであった場合、当該データは印刷データ展開部203に送られ、イメージデータへの展開処理が施される。展開されたイメージデータは印刷バッファ205に蓄えられ、1回の走査に必要なバンド分のデータがたまったら印刷部206にて、給紙、印刷を開始する。
【0021】
図2で説明したようなインクジェット方式のプリンタでは印刷品位を良好に保つために、ヘッドのメンテナンスとしてヘッドクリーニングを行うことが必要である。ヘッドクリーニングは、前回のヘッドクリーニングからの経過時間に応じてクリーニングの種類を選択することがある。一般に、インクジェットプリンタにおいては、印刷を開始するタイミング、すなわち印刷バッファ205に1回の走査に必要なイメージデータがたまったタイミングで、ヘッドクリーニング等の前処理を行っている。クリーニング動作としては、前述したような、インクを予備的に吐出させる予備動作や、ヘッドから吸引によってインクの排出を行わせる吸引動作などがある。
【0022】
図3は、ホストとプリンタの時刻情報を整合させ、プリンタがヘッドクリーニング等の前処理を前回のヘッドクリーニングからの経過時間に応じて、ヘッドクリーニング動作を過不足がなく行うための処理を説明するフローチャートである。以下、図3のフローチャートを詳細に説明する。なお、以下に説明するフローチャートに関して、適用される装置は上述のインクジェット方式の記録装置であり、記録前の準備動作として、インクジェットヘッドの吐出状態を良好にするクリーニング動作を実行するものであり、また、装置に設けられる記憶手段に最後にクリーニング動作が実行された時刻(最終クリーニング時刻)を記憶するよう構成されている。また、記憶手段として不揮発性メモリ(以下、EEPROM)を適用した構成を例に説明する。
【0023】
ステップS1でホストから印字データを受信し、プリンタは印字開始時の処理を行う準備状態になる。続くステップS2では、プリンタのAC電源がONされてからクリーニングを実行しているか否かを判断する。ステップS2で否と判断された場合、すなわち、プリンタのAC電源がONされてからクリーニング動作を実行していない場合にはステップS3に処理を移行し、ホストからホストの時刻情報を取得できたかを判断する。なお、このステップS3において、ホストの時刻情報を取得できない場合とは、PCなどと接続せずにプリントを実行するNON−PCプリンタなどの場合である。
【0024】
ステップS3においてホストの時刻情報をホストから取得できたと判断された場合は処理をステップS4へ移行し、このステップS4によりEEPROMに格納された最終クリーニング時刻と印字データ受信時刻の差を演算し、前回のクリーニングからの経過時間を算出する。続くステップS5では、ステップS4で算出した前回のクリーニングからの経過時間に応じたクリーニング動作が行われる。この経過時間に応じたクリーニング動作は、テーブルを参照して実行することにより、経過時間に適した過不足のないクリーニング動作を選択して実行することができる。
【0025】
図4は経過時間に応じたクリーニング動作テーブルの例を示す。最終クリーニング時刻と印字データ受信時刻の差(以後、経過時間)が0時間以上24時間未満のとき、予備吐出のみのクリーニングが選択される。また、経過時間が24時間以上60時間未満のとき、吸引動作Aと予備吐出のクリーニングが選択される。また、経過時間が60時間以上240時間未満のときは、吸引Aの1.5倍の吸引と予備吐出のクリーニングが選択される。また、経過時間が240時間以上960時間未満のときは、吸引Aの3倍の吸引と予備吐出のクリーニングを選択される。さらに、経過時間が960時間以上のとき、吸引Aの4.5倍の吸引と予備吐出のクリーニングが選択される。
【0026】
ステップS5に続くステップS6では、印字データ受信時刻をプリンタ時刻として採用する。続くステップS7では、ステップS5で選択したクリーニング動作の中に吸引動作が含まれているか否かを判断する。ステップS7において否と判断された場合、つまり、テーブルを参照して選択されたクリーニング動作に吸引動作が含まれていないと判断された場合には、ステップS8へ処理を移行し、このステップS8では予備吐出のみを行ってプリンタが時刻確定状態に決定し、フローを終了(ステップS19)する。ステップS7において、クリーニング動作の中に吸引動作が含まれると判断された場合には、処理をステップS9へ移行し、吸引動作を含むクリーニング動作を実行する。ステップS9に続くステップS10では、ステップS6で確定したプリンタ時刻を最終クリーニング時刻として確定し、EEPROMに最終クリーニング時刻を更新し、フローを終了(ステップS19)する。
【0027】
上記ステップS3においてホストの時刻情報を取得できないと判断された場合(NON−PCプリンタなどの場合)には、ステップS11へ処理を移行し、吸引動作を含むクリーニングを実行する。ステップS11に続くステップS12においては、AC電源ONからクリーニング動作までの経過時間をEEPROMに最終クリーニング時刻として更新し、フローを終了(ステップS19)する。
【0028】
上記ステップS2において、プリンタのAC電源がONされてからクリーニングを実行していると判断された場合に、ステップS13へ処理を移行し、最終クリーニング時刻から印字データ受信時刻までの時間を算出する。続くステップS14では、ステップS13で算出した前回のクリーニングからの経過時間に基づいて、テーブルを参照することで、経過時間に適したクリーニング動作を選択する。続くステップS15では、ステップS14で選択されたクリーニング動作の中に吸引動作が含まれているか否かを判断し、吸引動作が含まれていない場合にはステップS16で予備吐出のみを行い、プリンタが時刻確定状態に決定し、フローを終了(ステップS19)する。また、ステップS15において、クリーニング動作に吸引動作が含まれていると判断された場合にはステップS17へ処理を移行し、吸引動作を含むクリーニング動作を実行する。ステップS17に続くステップS18では、プリンタ時刻を最終クリーニング時刻として確定し、EEPROMに最終クリーニング時刻を更新し、フローを終了(ステップS19)する。
【0029】
上記図3に示すフローチャートは、ホストとプリンタの時刻情報を整合させ、ヘッドクリーニング等のプリント前にプリンタが実行する処理を、前回のヘッドクリーニングからの経過時間に応じて、適切に過不足がないように行うためのものであるが、ユーザがプリンタを購入後、一番最初にホストからプリンタを動作させる場合(以下着荷時と言う)は、EEPROMに記憶されている最終クリーニング時刻の初期値によってクリーニング動作が選択されるため、その初期値の設定によって必要以上のクリーニング動作が選択されて実行されたり、必要なクリーニング動作が十分に実行されずに印字不良の原因となることがある。これは着荷時のEEPROMに格納されている最終クリーニング時刻が、プリンタの出荷時の時刻や、それ以前(過去)の時刻であり、また、ユーザがプリンタを最初に使用する時刻も様々であることに起因し、経過時間がばらつくためである。
【0030】
そこで、本実施形態では図3のフローチャートをそのまま用いながら、着荷時の最終クリーニング時刻の初期値を未来の値にすることで、着荷時に必要なクリーニング動作を選択することが可能にした。
【0031】
ユーザがプリンタを購入後最初にホストから印字動作を指示した場合、図3のフローチャートによれば、ステップS4で最終クリーニング時刻から印字データ受信時刻までの経過時間を算出する処理が実行される。本実施形態ではこの最終クリーニング時刻の初期設定値を未来の値とすることにより、ユーザが最初の記録動作を行ったときのステップS4で算出される経過時間はマイナスの時間となる。このステップS4において算出された経過時間がマイナスの場合に、続くステップS5において図5に示すクリーニング動作のテーブルを参照して、実行するクリーニング動作を選択することにより、着荷後の最初の記録動作におけるクリーニングを適切なものとすることができる。
【0032】
図5に示すテーブルでは、図4に示すテーブルと比較して、経過時間が0時間未満の場合のクリーニング動作が規定されている。従って、図3のフローチャートのステップS4において経過時間がマイナスとなった場合には、プリンタがユーザの手元に届いて最初に使用している着荷状態であることと判断して、着荷時に必要なクリーニングを選択することができ、ホストとプリンタの時刻情報の整合がとれる。
【0033】
なお、本実施形態では、初期に設定されている未来の時刻として、プリンタの出荷時刻からプリンタのライフサイクル分加算した時刻としている。このライフサイクルは、一般的に装置が使用されると想定される期間に従って決められる、あるいは設定されるものである。このような時刻を初期値として設定することで、プリンタの着荷後の最初の記録動作において、ほとんどの場合に、算出された経過時間が0時間未満となり、適切なクリーニング動作を実行することが可能となる。
【0034】
以上のように、最終クリーニング時刻(先のクリーニング動作が実行された時刻に関する情報)を記憶する記憶手段であるEEPROMに、出荷時の初期設定値として未来の時刻を記憶しておくよう構成することにより、記録の指示があったときに先にクリーニング動作を実行してからの経過時間から、ユーザがプリンタを購入してから最初の記録動作であるか否かを判断することができ、最初の記録動作に対応した適切なクリーニング動作を実行することができる。すなわち、最終クリーニング時刻として未来の時刻を予め記憶しておくことにより、最初の記録動作においては、先のクリーニング動作が行われた時刻からの経過時間が負の値(マイナスの値、0時間未満)となり、経過時間が負の値を示す場合に対応したクリーニング動作を、経過時間とクリーニング動作の種類を対応したテーブルに規定しておくことで、最初の記録動作の際に適切なクリーニング動作を実行することができる。
【0035】
従来の構成においては、先に行われたクリーニング動作の時刻に関する情報を記憶しておき、記録動作の開始時に、先にクリーニング動作を行ってから経過した時間に基づいてクリーニング動作を行うものがあるが、その場合、経過時間は正の値の時間を示すものであった。本発明では、記憶手段に初期値として未来の時刻を記憶しておくことで、記録装置における最初の記録動作においては、算出された経過時間は負の値の時間を示すものとなる。本発明は、この算出された経過時間が負の値の時間を示す場合においても、その経過時間に対応した記録開始前の準備動作を行うようにしたことで、記録装置における最初の記録動作において、適した準備動作を実行することが可能となった。
【0036】
以上説明した本発明の実施形態では、インクジェットプリンタを例に挙げて、印字前の準備動作としてインクジェットヘッドのクリーニング動作を説明したが、本発明は上述の構成に限定されるものではなく、クリーニング動作以外の印字前準備動作に適用することも可能である。
【0037】
例えば、プリンタ内部に加熱により定着を行うための定着器、もしくは加熱によって定着を促進するための定着器を設けた構成においては、その定着器の予備加熱を印字前の準備動作として実行する構成に適用することも可能である。また、プリンタに設けられるステッピングモータの相合せ処理や、印刷ヘッドの基準位置に基づく位置合せ処理を、印字前準備動作として実行する場合には、それらの動作に本発明を適用してもよい。
【0038】
また、上述した実施の形態として、先にクリーニング動作を実行した時刻に関する情報を記憶する記憶手段として、EEPROMを例に挙げて説明したが、バッテリによりバックアップされたRAMや、他の記憶手段の構成を適用することが可能なことは言うまでもない。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、ユーザが記録装置を購入して最初に記録指示を行う場合において、適切な印字前準備動作を実行することができ、記録装置の使用開始当初から安定した記録を行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】印刷の指示から印刷されるまでの処理の流れを説明する図である。
【図2】本発明に適用可能なインクジェット記録装置の概観図である。
【図3】本発明の実施形態を説明するフローチャートである。
【図4】経過時間に応じて選択されるクリーニングの種類のテーブルである。
【図5】本発明の実施形態において経過時間に応じて選択されるクリーニング動作を示すテーブルである。
【符号の説明】
100 ホスト
200 プリンタ
HC キャリッジ
IJC インクジェットカートリッジ
5022 キャップ部材
5015 吸引手段
5017 クリーニングブレード
Claims (18)
- 情報処理装置から送られるデータに基づいて記録媒体に記録を行う記録装置において、
記録動作に先立って所定の準備動作を行う記録前準備手段と、
先に前記所定の準備動作が行われた時刻に関する準備動作時刻情報を記憶する記憶手段と、
前記情報処理装置から送られるデータに基づく記録動作において、前記情報処理装置から送られる現在の時刻に関する現時刻情報を受信するとともに、受信した前記現時刻情報と前記記憶手段に記憶された前記準備動作時刻情報とに基づいて、先に前記所定の準備動作が行われてからの経過時間を算出し、前記経過時間に応じて、記録動作に先立って行う前記所定の準備動作を制御する制御手段と、
前記所定の準備動作の実行に伴って、前記記憶手段に記憶される、前記準備動作時刻情報を更新する手段と、
を有し、
前記制御手段は、前記経過時間が正の値の時間である場合と、前記経過時間が負の値である場合のいずれにおいても、前記所定の準備動作を制御し、
前記記憶手段は、前記準備動作時刻情報の初期値として、当該装置の出荷時の時刻に対して未来の時刻の値を記憶していることを特徴とする記録装置。 - 前記記憶手段は、前記準備動作時刻の初期値として、当該装置の出荷時の時刻に対して一定の時間を加算して決定した未来の時刻を記憶していることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
- 前記記憶手段は、前記準備動作時刻の初期値として、当該装置が使用されると想定される期間より後の時刻を記憶し、
前記経過時間は、当該装置における最初の記録動作において、負の値を示すことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。 - 装置が使用されると想定される期間は、装置のライフサイクルに基づいて決定される期間であることを特徴とする請求項3に記載の記録装置。
- 前記制御手段は、前記経過時間が負の値を示す場合に、当該記録装置の最初の記録動作であるとして、前記所定の準備動作を制御することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の記録装置。
- インクを吐出するインクジェットヘッドを用い、記録媒体に対してインクを吐出して記録を行うインクジェット方式の記録装置であって、
前記所定の準備動作は、前記インクジェットヘッドのクリーニング動作であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の記録装置。 - 前記制御手段は、経過時間に対応したクリーニング動作を実行するよう制御することを特徴とする請求項6に記載の記録装置。
- 経過時間に対応したクリーニング動作を規定したテーブルを有し、
前記制御手段は、算出された前記経過時間に基づいて前記テーブルを参照し、実行するクリーニング動作を選択することを特徴とする請求項6または7に記載の記録装置。 - 前記インクジェットヘッドからインクを吐出させてクリーニング動作を行う予備吐出手段と、
前記インクジェットヘッドから吸引によってインクの排出を行わせる吸引手段と、をさらに有し、
前記制御手段は、算出された前記経過時間に基づいて、前記予備吐出手段および前記吸引手段を用いて、前記経過時間に対応したクリーニング動作を行うことを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の記録装置。 - 情報処理装置から送られるデータに基づいて記録媒体に記録を行うとともに、記録動作に先立って所定の準備動作を行う記録装置における制御方法において、
記録動作に先立って、前記情報処理装置から現在の時刻に関する現時刻情報を受信する工程と、
受信した前記時刻情報と、記憶手段に記憶された先に前記所定の準備動作が行われた準備動作時刻情報とに基づいて、先に前記所定の準備動作が行われてからの経過時間を算出する工程と、
算出された前記経過時間に基づいて、前記所定の準備動作を制御して実行する前準備工程と、
前記所定の準備動作の実行に伴って、前記記憶手段に記憶される、前記準備動作時刻情報を更新する工程と、
からなり、
前記前準備工程は、算出された前記経過時間が、正の値の時間である場合と、負の値である場合のいずれにおいても、前記所定の準備動作を制御して実行し、
前記記憶手段に、前記準備動作時刻情報の初期値として、当該装置の出荷時の時刻に対して未来の時刻の値を記憶することを特徴とする記録方法。 - 前記記憶手段は、当該装置の出荷時の時刻に対して一定の時間を加算して決定した未来の時刻を初期値として記憶していることを特徴とする請求項10に記載の制御方法。
- 前記記憶手段は、当該装置が使用されると想定される期間より後の時刻を初期値として記憶し、
前記経過時間は、当該装置における最初の記録動作において、負の値を示すことを特徴とする請求項10に記載の制御方法。 - 前記前準備工程は、前記経過時間が負の値を示す場合に、当該記録装置の最初の記録動作であるとして、前記所定の準備動作を制御して実行することを特徴とする請求項10乃至12のいずれかに記載の制御方法。
- 情報処理装置に接続され、該情報処理装置から送られるデータに基づいて記録を行う記録装置であって、
前記記録装置に対して動作を指示するプログラムを備えた前記情報処理装置と通信するための通信手段と、
前記通信手段を介して、前記情報処理装置からの現在の時刻に関する第1の時刻情報に関する通知を受信する受信手段と、
時刻に関する情報として第2の時刻情報を格納する格納手段と、
前記通信手段を介して前記情報処理装置から受信した前記第1の時刻情報と前記格納手段に格納された前記第2の時刻情報とを比較し、差分を演算する演算手段と、
前記通信手段を介して前記情報処理装置から受信した前記第1の時刻情報を前記第2の時刻情報として、前記格納手段に格納された前記第2の時刻情報を書き換える上書き手段と、を備え、
前記格納手段は、前記記録装置の出荷時に、前記第2の時刻情報の初期値として、出荷時の時刻に対して未来の時刻の値を格納していることを特徴とする記録装置。 - 前記記録装置の出荷時に前記格納手段に格納される前記第2の時刻情報の初期値は、出荷時の時刻に対して一定の時間を加算して決定した未来の時刻の値であることを特徴とする請求項14に記載の印刷記録装置。
- 前記記録装置に対して動作を指示するプログラムはプリンタドライバであり、
前記プリンタドライバを介して前記情報処理装置から前記第1の時刻情報を受信することを特徴とする請求項14または15に記載の記録装置。 - 前記上書き手段を実行するタイミングが、前記記録装置の電源を入れ、最初に前記情報処理装置から前記第1の時刻情報を受信した時であることを特徴とする請求項14乃至16のいずれかに記載の記録装置。
- 前記演算手段により、演算された時間差に応じて印字記録を不具合なく完了するために必要な準備動作を行うことを特徴とする請求項14乃至17のいずれかに記載の記録装置。
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