JP3652305B2 - 光学ユニット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光源側からの光をアレイレンズや偏光変換素子を介して表示素子に照射し、映像信号に基づく該表示素子での変調によって映像形成する映像表示装置用の光学ユニットに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の映像表示装置用の光学ユニットにおいては、例えば、図21に示すように、液晶パネル等の表示素子(図示なし)に均一な照度分布を得るために2枚のアレイレンズ2、2'を用いている。光源ユニットのリフレクタ(図示なし)から出射した後の光の照度分布は、光源ユニットのランプの管球の影により中央近傍で照度が低下することを除けば、一般には周辺が暗く、中央側で明るい分布となる。リフレクタの後段側に、1枚目のアレイレンズ(以下、第1のアレイレンズという)2を配置することにより、該第1のアレイレンズ2の各セル(集光レンズ)で照度を分割し、再びこれを加え合わせることにより、表示素子上の照度分布を均一にするようにしている。また、2枚目のアレイレンズ(以下、第2のアレイレンズという)2'の後段には、偏光ビームスプリッタ(以下、PBSという)と1/2波長位相差板とから構成される偏光変換素子3を配置している。該PBSは、入射白色光をP偏光光とS偏光光とに分離する。また、上記1/2波長位相差板は、上記PBSのP偏光光出射位置に配され、P偏光光をS偏光光に変換する。このため、偏光変換素子3からは、該1/2波長位相差板で変換したS偏光光と上記PBSで分離したS偏光光との合成のS偏光光が出射される。該偏光変換素子3の開口が上記第2のアレイレンズ2’の開口より小さい場合には、該偏光変換素子3の開口は該第2のアレイレンズ2’の開口の役割を果たす。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のアレイレンズを用いた照明光学系では、F値の設定によっては、第1のアレイレンズから出射された光のうちの一部が、第2のアレイレンズまたはPBSにより遮断されて損失分となる。照明光学系のF値を小さくすることにより、第1のアレイレンズと、第2のアレイレンズもしくはPBSとの距離が縮まるため、上記光の損失を減らすことができる。しかし、F値の低減化に伴い下記の点が問題となる。すなわち、
(1)液晶パネル等の表示素子にマイクロレンズを組み入れた構成とした場合に光の通過率が下がる。
(2)表示素子や、偏光板や、PBSなどのコントラストが低下し、映像表示装置としてのコントラストも下がる。
図3は、F値が大きい場合(図3(a))と小さい場合(図3(b))の、アレイレンズ2のセル(集光レンズ)と表示素子13の写像関係の説明図である。第1のアレイレンズ2、第2のアレイレンズ2'、偏光変換素子3及び映像表示素子13の有効域のサイズは、図3(a)と図3(b)で同じとしている。図3(c)は、F値が大きい場合(図3(a))の発散光4aの広がりと偏光変換素子3での光損失の状態を示す。図3(d)は、F値が小さい場合(図3(b))の発散光4aの広がりと偏光変換素子3での光損失の状態を示す。図3(c)、図3(d)はいずれも、光軸付近の1セル(1集光レンズ)の組み合わせの断面図を示している。第1のアレイレンズ2からの出射光は、集光位置0の近傍で光の広がりが最小となる。このため、該集光位置0に、狭い開口を有する第2のアレイレンズ2’や偏光変換素子3を配置する。第1のアレイレンズ2のセル光軸中心からの発散光4aは、発散して第2のアレイレンズ2’の開口上で光源像25となる。この場合、開口より外にある光源像の光は損失となる。F値が大きい場合(図3(a))は、第1のアレイレンズと第2のアレイレンズ2’との距離A1が長いため、発散光による損失が多い。ただし、この場合は、映像表示素子へと入射する光の広がり角θ1が小さいためコントラストは良い。一方、F値が小さい場合(図3(b))は、距離A2が短いため、発散角による光源像が小さくなり、損失が少ない。ただし、この場合は、映像表示素子へ入射する光の広がり角θ2が小さいためにコントラストは悪くなる。このように、従来技術では、明るさとコントラストの両立が困難であった。
本発明の課題点は、かかる従来技術の状況に鑑み、映像表示装置の光学ユニットにおいて、第2のアレイレンズやPBSによる光の損失を抑えて明るさを増大させるとともに、コントラストを向上できるようにすること、である。
本発明の目的は、かかる課題点を解決できる技術の提供にある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題点を解決するために、本発明では、映像表示装置用の光学ユニットとして、照明光学系が、第1、第2のアレイレンズ間に、該第1、第2のアレイレンズの集光レンズに対応した複数の反射手段を有し該反射手段により該第1のアレイレンズの集光レンズからの出射光を反射し光路方向を変えて該第2のアレイレンズの集光レンズに入射させる反射アレイを備えた構成とする。
上記反射アレイは、反射により、上記第1のアレイレンズからの出射光を効率良く上記第2のアレイレンズ及び偏光変換素子に入射させる。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例につき、図面を用いて説明する。
図1、図2は本発明の第1の実施例の説明図で、図1は光学ユニット中の照明光学系の構成例を示し、図2は、その縦方向の断面図((a))と横方向の断面図((b))と、反射アレイ単体の斜視図((c))である。
図1、図2において、1は反射アレイ、2は第1のアレイレンズ、2'は第2のアレイレンズ、3は偏光変換素子である。反射アレイ1は、第1のアレイレンズ2及び第2のアレイレンズ2'の複数の各集光レンズに対応した反射面が、該集光レンズそれぞれのレンズ光軸周りに矩形状の環状に配されて成る反射手段(以下、反射セルという)を複数個有する構成である。第1のアレイレンズ2から出射した光は、反射アレイ1の各反射セルに入射し、該反射セルの反射面で反射されて光路方向を変えられ、第2のアレイレンズ2’及び偏光変換素子3の有効開口に入射するようにされる。反射アレイは、例えば、ガラス、金属、プラスチック、アルミニウム、反射フィルム等で構成される。第1のアレイレンズ2の集光レンズのサイズを一定とした条件下で光利用効率の向上を図るためには、従来技術においては、上記図3(b)に示したように、第1のアレイレンズ2と第2のアレイレンズ2’との間の距離を短縮する必要がある。しかし、該第1のアレイレンズ2と該第2のアレイレンズ2’との間の距離が短くなれば、写像関係からみて、第2のアレイレンズ2’と表示素子13間の距離Bも短くなり、表示素子13に入射する光の角度も大きくなる。これにより、角度成分の大きい光線に対し低コントラスト特性を有する偏光板や、PBS(偏光ビームスプリッタ)や、液晶パネル等の表示素子のコントラスト性能が低下し、付随的に映像表示装置のコントラストも劣化する。これに対し、本発明の上記第1の実施例構成では、第1のアレイレンズ2と第2のアレイレンズ2’との間の距離を短縮する必要がなく、むしろ、必要に応じて該距離を増大することも可能である。このため、偏光板や、PBSや、液晶パネル等の表示素子などに入射する光線の角度を小さく抑えることが可能となる。これにより、コントラストの低下を抑えた状態で、または高コントラスト性を保った状態で、光利用効率の向上が可能となる。
上記第1の実施例によれば、上記のように、コントラスト性能の確保と併せ、光利用効率の向上が可能となる。
【0006】
図4、図5は本発明の第2の実施例の説明図である。本第2の実施例は、反射アレイ1を、第1、第2のアレイレンズ2、2’の中央部の集光レンズのみに対応して設けた場合の構成例であって、図4は光学ユニット中の照明光学系の構成例を示し、図5は第2のアレイレンズ2’上における光源像の状態を示す。
図4、図5において、8はコリメータレンズ、25は第2のアレイレンズ2’上における光源像である。光源像25は、第2のアレイレンズ2’の中央部の集光レンズ位置にある光源像の方が、周辺部の光源像より大きい(図5)。このため、該中央部の集光レンズまたは偏光変換素子3の開口でカットされて損失となる光の量が、周辺部よりも多くなる。従って、図4に示すように、第2のアレイレンズ2’の中央部の集光レンズ位置に反射アレイを設けることにより、反射アレイによって反射された光は該中央部の集光レンズまたは偏光変換素子3の開口に入射するため、該開口によりカットされる光の量が低減化される。反射アレイの構成は小形かつ簡易なもので足りる。
上記第2の実施例によれば、簡易かつ低コストの反射アレイにより、コントラスト性能の確保とともに、光利用効率の向上が可能となる。
【0007】
図6は本発明の第3の実施例を示す図である。本第3の実施例は、第1、第2のアレイレンズの集光レンズのうち図の縦方向に直線状に配列された複数個の集光レンズに対して1個の反射セルを対応させる場合の構成例である。反射セルの内面における反射面は縦方向にだけ設けても、または縦横両方向に設けてもよい。反射セルは、アルミや銀や誘電体多層膜により反射コーティングを施した板状のミラーをそのまま用いて構成することができる。
第3の実施例によれば、簡易かつ低コストの反射アレイにより、コントラスト性の確保と併せ、光利用効率の向上が可能となる。
【0008】
図7は本発明の第4の実施例を示す図である。本第4の実施例は、第1、第2のアレイレンズの集光レンズのうち図の横方向に直線状に配列された複数個の集光レンズに対して1個の反射セルを対応させる場合の構成例である。反射セルの内面における反射面は横方向にだけ設けても、または縦横両方向に設けてもよい。本実施例構成においても、反射セルとしては、アルミや銀や誘電体多層膜により反射コーティングを施した板状のミラーをそのまま用いて構成することができる。
第4の実施例によれば、簡易かつ低コストの反射アレイにより、コントラスト性の確保とともに、光利用効率の向上が可能となる。
【0009】
図8は本発明の第5の実施例を示す図である。本第5の実施例は、反射アレイの反射セル内の反射面を、第1、第2のアレイレンズ2、2’の各集光レンズのレンズ光軸に対し傾斜させた場合の構成例である。図8(a)は縦方向断面図、図8(b)は横方向断面図である。反射面が傾斜していることにより、傾斜していない場合に比べ、より大きな入射角度で入って来る光も開口内に導くことができる。このため、光の利用効率を一層向上させることが可能となる。また、反射面の傾斜により、入射光はより一層、角度成分の少ない光となって出射されるため、コントラスト向上も可能である。
第5の実施例によれば、簡易かつ低コストの反射アレイにより、より一層の光利用効率の向上と、コントラスト性の確保とが可能となる。
【0010】
図9は本発明の第6の実施例を示す図である。本第6の実施例は、矩形状の大きさの異なる反射セルを反射手段として有する反射アレイを備えた場合の構成例である。アレイ面上において大きさの異なる集光レンズを備えた第1、第2のアレイレンズ2、2’に対応し、該集光レンズの大きさに対応した大きさの反射セルを配してある。本実施例構成において、反射アレイは、第1、第2のアレイレンズの集光レンズの開口に合わせた状態で、光を効率よく、第2のアレイレンズの集光レンズの開口内や偏光変換素子の開口内に導くことができる。
上記第6の実施例においても、簡易かつ低コストの反射アレイにより、コントラスト性の確保と、光利用効率の向上とが可能である。
【0011】
図10は本発明の第7の実施例を示す図である。本第7の実施例は、反射アレイ1と第2のアレイレンズ2’とを一体状に結合した場合の構成例である。かかる構成により、レンズ界面での反射ロスを少なくすることができ、光の利用効率を向上させることができる。該結合したものを保持する場合、第2のアレイレンズ2’の方を構造部品にて保持すると保持し易い。
上記第7の実施例によれば、反射アレイと第2のアレイレンズとの相関精度を容易に高めることができる。照明光学系の組立て作業性を向上させ得る。その他の作用・効果は上記第1〜第6の実施例の場合と同様である。
【0012】
図11は本発明の第8の実施例を示す図である。本第8の実施例は、反射アレイ1の反射セルの内部1aを高屈折材、外部1bを低屈折材として構成した場合の例である。外部1bの低屈折材としては接着剤を用い、内部1aの高屈折材を接着するようにしてもよい。これにより、反射アレイの製造を容易にすることができる。
図12は、本発明の第9の実施例を示す図である。本第9の実施例は、6角形の反射アレイ1と格子配列の第2のアレイレンズ2’とを組み合わせた場合の構成例である。反射アレイ1は、その内部1aを高屈折材とし、外部1bを低屈折材としてもよい。また、内部1aを空気とし、空気との界面に反射コーティングを施した部材を外部1bに用いてもよい。
【0013】
図13は、本発明の第10の実施例を示す図で、ひし形の開口形状を有する反射アレイの構成例図である。また、図14は、本発明の第11の実施例を示す図で、円形の開口形状を有する反射アレイの構成例図である。反射アレイ1は、例えば、その内部1aを高屈折材とし、外部1bを低屈折材とする。また、内部1aを空気とし、外部1bに空気との界面に反射コーティングを施した部材を用いてもよい。
図15は本発明の第12の実施例を示す図で、反射アレイ1の各反射セル相互間に補強材15を設けた場合の構成例である。補強材15は、ガラス、金属、プラスチック等から成るものとする。該補強材15を設けることにより、反射アレイの強度を増大させ、衝撃や振動が加わった場合にも反射アレイを壊れにくくする。
【0014】
図16は、本発明の第13の実施例を示す図で、照明光学系中において、第1のアレイレンズ2と第2のアレイレンズ2’との間の中間部位置に反射アレイ1を配した場合の構成例である。第1のアレイレンズ2と第2のアレイレンズ2’との間の中間位置において、光が、隣接するアレイへ抜けていく量が多い場合、効果的に光の利用率を向上させることができる。
図17は本発明の第14の実施例を示す図で、照明光学系中において、第1のアレイレンズ2と第2のアレイレンズ2’との間に設ける反射アレイ1を、第1のアレイレンズ2の出射側に近接させて配した場合の構成例である。第1のアレイレンズ2の出射側に近接した位置において、隣接するアレイへ抜けていく光量が多い場合に、効果的に光の利用率を向上させることができる。
【0015】
図18は本発明の第15の実施例を示す図で、反射アレイ1の反射セル内の反射面を曲面とした場合の構成例である。同図(a)は縦方向断面を示し、(b)は横方向断面を示す。曲面の曲率または曲率半径を適正範囲とすることで、光の利用率を高めることができる。また、表示素子上の照度分布を平坦化することができる。反射面の形状としては、例えば凹型円筒状などの凹面形状がある。
反射アレイ1の反射セルは、上記各実施例の構成に限定されず、例えば、ライトパイプや、ロッドレンズ等の構成としてもよい。
【0016】
図19は、本発明の第16の実施例として、照明光学系に反射アレイを用いた映像表示装置の構成例を示す。本実施例は、表示素子として、反射型表示素子を用いる場合の構成例である。
図19において、1は反射アレイ、10は光源ユニット、6は光源部、16はリフレクタ、2は第1のアレイレンズ、2'は第2のアレイレンズ、3aはPBS(偏光ビームスプリッタ)、3bは1/2波長位相差板、8、8'及び22はレンズ、17は反射ミラー、18aは色分離ミラー、14g、14br1、14br2は偏光板、23r、23b、23gは1/4波長位相差板、20r、20bはそれぞれ、R光偏光変換用のリターダ(特定波長域偏光変換素子)、B光偏光変換用のリターダであり、19g、19rbはそれぞれ、プリズム型偏光ビームスプリッタ、19rgbはダイクロイックプリズムもしくはプリズム型偏光ビームスプリッタである色合成プリズム(以下色合成プリズムと呼称する)、13rrはR光用の反射型表示素子、13rgはG光用の反射型表示素子、13rbはB光用の反射型表示素子、12は投射レンズユニット、31は電源回路、32は表示素子を映像信号に基づき駆動する駆動回路、33は映像信号を処理する信号処理回路、7は冷却用ファン、50は、これらを備えて構成される映像表示装置である。上記第1のアレイレンズ2から1/4波長位相差板偏光板23r、23b、23gまでの光学系は、上記3個の反射型表示素子13rr、13rg、13rbに対する照明光学系を構成する。
【0017】
上記構成において、上記光源ユニット10の光源部6から出た光は、リフレクタ16にて反射集光され、上記第1のアレイレンズ2で複数の2次光源像を形成した後、反射アレイ1の反射面で反射されて第2のアレイレンズ2'に入射され、該第2のアレイレンズ2'で上記複数の2次光源像を結像し、該結像光が、PBS(偏光ビームスプリッタ)3aでP偏光光とS偏光光とに分離され、1/2波長位相差板3bにより、該P偏光光が偏光方向を回転されてS偏光光とされた後、PBS(偏光ビームスプリッタ)3aで分離された上記S偏光光と併せ、レンズ8、8'側に出射される。該PBS(偏光ビームスプリッタ)3aと該1/2波長位相差板3bの該組み合わせは、いわゆるS偏光光を出射する構成の偏光変換素子3を形成する。レンズ8'を出たS偏光光は、さらに、反射ミラー17に略45゜の入射角で入射される。該反射ミラー17で反射されたR光、G光及びB光のS偏光光は、レンズ22で集光され、さらに色分離ミラー18aに略45゜の方向で入射される。該色分離ミラー18aにおいては、R光及びB光のS偏光光は反射され、その出射光(R光及びB光のS偏光光)が偏光板14br1を介してB光偏光変換用のリターダ20bに入射される。該B光偏光変換用のリターダ20bでは、B光がS偏光光からP偏光光に偏光変換される。該偏光変換されたB光のP偏光光は、プリズム型偏光ビームスプリッタ19rbの分離面を透過し、1/4波長位相差板23bで偏光方向を揃えられてB光用の反射型表示素子13rbに照射される。該B光用の反射型表示素子13rbでは、該B光のP偏光光が映像信号に基づいて変調されて出射され、再び1/4波長位相差板23bを通って上記プリズム型偏光ビームスプリッタ19rbに入射される。該プリズム型偏光ビームスプリッタ19rbに入射された該B光のS偏光光の成分は、その分離面で反射され、さらに、R光用のリターダ20r及び偏光板14rb2を通って、色合成プリズム19rgbに入射される。該色合成プリズム19rgb内ではそのダイクロイック面あるいはPBS面で反射され、投射レンズユニット12側に出射される。上記B光偏光変換用のリターダ20bで偏光変換されないR光のS偏光光は、プリズム型偏光ビームスプリッタ19rbに入射されると、その分離面で反射され、1/4波長位相差板23rで偏光方向を揃えられてR光用の反射型表示素子13rrに照射される。該R光用の反射型表示素子13rrでは、該R光のS偏光光が映像信号に基づいて変調されて出射され、再び1/4波長位相差板23rを通って上記プリズム型偏光ビームスプリッタ19rbに入射される。該プリズム型偏光ビームスプリッタ19rbに入射された該R光のP偏光光の成分は、その色分離面を透過し、R光偏光変換用のリターダ20rに入射され、偏光板14br2を通って、色合成プリズム19rgbに入射される。該R光偏光変換用のリターダ20rでは、該R光のP偏光光はS偏光光に偏光変換される。該偏光変換されたR光のS偏光光は偏光板14rb2で偏光方向を揃えられ、該色合成プリズム19rgbに入射される。該色合成プリズム19rgb内ではそのダイクロイック面あるいはPBS面で反射され、投射レンズユニット12側に出射される。一方、上記色分離ミラー18aでR光及びB光のS偏光光と分離されたG光のS偏光光は該色分離ミラー18aを透過し、偏光板14gに入射される。G光のS偏光光は、プリズム型偏光ビームスプリッタ19gに入射される。該プリズム型偏光ビームスプリッタ19g内では、該G光のP偏光光は、その分離面で反射され、1/4波長位相差板23gを経てG光用の反射型表示素子13rgに照射される。該G光用の反射型表示素子13rgでは、該G光のP偏光光が映像信号に基づいて変調されて出射され、再び1/4波長位相差板23gを通って上記プリズム型偏光ビームスプリッタ19gに入射される。該プリズム型偏光ビームスプリッタ19gに入射された該G光のS偏光光の成分は、その分離面を透過し、色合成プリズム19rgbに入射される。該G光のS偏光光は、さらに、該色合成プリズム19rgbのダイクロイック面あるいはPBS面を通って、投射レンズユニット12側に出射される。このように、R光及びB光のS偏光光と、G光のS偏光光とが合成されて投射レンズユニット12に出射され、該投射レンズユニット12により映像がスクリーン等に拡大投射され表示される。照明光学系において、上記反射アレイ1では、入射された光のうちの一部は直接出射されて第2のアレイレンズ2'及び偏光変換素子の開口に入射され、さらに加えて、従来であれば、損失となっていた光が該反射アレイ1の各反射セル内の反射面で反射され、上記反射されずに直接的に反射アレイから出射される光と併せ、第2のアレイレンズ2’及び偏光変換素子の開口に入射される。
かかる第16の実施例構成によれば、上記各実施例で説明したと同様、反射アレイ1により、コントラスト性の確保と、一層の光利用効率の向上とが可能となり、明るい鮮明な映像を効率的に表示できるようになる。また、特に光源ユニットの小形化や、省電力化も図ることができ、装置の小形・軽量化、発熱量の低減化、長寿命化等も可能となる。
【0018】
図20は、本発明の第17の実施例として、照明光学系に反射アレイを用いた映像表示装置の構成例を示す。本実施例は、表示素子としては、透過型表示素子を用いる。
図20において、1は反射アレイ、10は光源ユニット、6は該光源ユニット10の光源部、16は楕円面、放物面、非球面等の反射面を有し光源部6からの出射光を反射するリフレクタ、2は複数の微小な集光レンズより成り複数の2次光源像を形成する第1のアレイレンズ、2'は、複数の微小な集光レンズより成り該第1のアレイレンズの個々のレンズ像を結像する第2のアレイレンズ、3aは該第2のアレイレンズ側からの光をP偏光光とS偏光光とに分離するPBS(偏光ビームスプリッタ)、3bは該PBS(偏光ビームスプリッタ)3aの出射光であるP偏光光とS偏光光のいずれかの偏光方向を回転するための1/2波長位相差板、8、8'、9a、9b、9c、24a及び24bはそれぞれ、光を集束あるいは再結像させるためのレンズ、17、17a、17b、及び17cは反射ミラー、18b、18cは色分離用のダイクロイックミラー、14r、14g及び14bは入射側の偏光板、14r'、14g'及び14b'は出射側の偏光板、11は色合成用のダイクロイックプリズム、13tr、13tg、13tbは透過型液晶パネル等の透過型表示素子、12は拡大投射用の投射レンズユニット、7は冷却用のファン、31は電源回路、32は表示素子を映像信号に基づき駆動する駆動回路、33は映像信号を処理する信号処理回路である。上記第1のアレイレンズ2から上記入射側の偏光板14r、14g、14bまでの光学系は、上記透過型表示素子13tr、13tg、13tbに対する照明光学系を構成する。
かかる構成において、上記光源ユニット10の光源部6から出た光は、リフレクタ16にて反射集光され、上記第1のアレイレンズ2で複数の2次光源像を形成した後、反射アレイ1の反射面で反射されて第2のアレイレンズ2'に入射され、該第2のアレイレンズ2'で上記複数の2次光源像を結像し、該結像光が、PBS(偏光ビームスプリッタ)3aでP偏光光とS偏光光とに分離され、1/2波長位相差板3bにより、該P偏光光が偏光方向を回転されてS偏光光とされた後、PBS(偏光ビームスプリッタ)3aで分離された上記S偏光光と併せ、レンズ8側に出射される。該PBS(偏光ビームスプリッタ)3aと該1/2波長位相差板3bの該組合せは、いわゆるS偏光光を出射する構成の偏光変換素子3を形成する。レンズ8'を出たS偏光光は、さらに、反射ミラー17に略45゜の入射角で入射される。偏光変換素子3では、上記とは逆に、上記偏光ビームスプリッタ3aで分離されたS偏光光の偏光方向を回転してP偏光光とし、偏光変換素子としてはP偏光光を出射する構成としてもよい。本実施例の場合は、S偏光光がレンズ8に入射されるものとする。レンズ8から出射したS偏光光は、さらに、反射ミラー17に略45゜の入射角で入射され、反射により光路方向が変更される。反射されたS偏光光は、レンズ8'で集光されてダイクロイックミラー18bに入射され、ここでR光(S偏光光)と、G光(S偏光光)+B光(S偏光光)とに分離される。すなわち、R光のS偏光光は透過され、G光のS偏光光とB光のS偏光光は反射される。透過により分離されたR光のS偏光光は反射ミラー17aに入射される。該反射ミラー17aにおいて、赤外線は透過されて除去され、R光のS偏光光は反射されてレンズ9aに入射される。該レンズ9aから出たR光のS偏光光は、入射側偏光板14rで偏光方向を揃えられてからR光用の透過型表示素子13trに照射される。透過型表示素子13trでは、該R光のS偏光光が透過時に映像信号に基づいて変調され出射される。透過型表示素子13trを出たR光のP偏光光は出射側の偏光板14r'を透過し、ダイクロイックプリズム11に入射され、そのダイクロイック面11rで反射されて投射レンズユニット12に入る。R光のS偏光光は偏光板14r'にて吸収される。一方、ダイクロイックミラー18bにおいて反射により分離されたG光とB光のS偏光光はダイクロイックミラー18cに入射され、ここで、反射されるG光(S偏光光)と透過されるB光(S偏光光)とに分離される。該分離されたG光のS偏光光は、レンズ9b、入射側の偏光板14gを経て、G光用の透過型表示素子13tgに照射される。透過型表示素子13tgでは、該G光のS偏光光が透過時に映像信号に基づいて変調され、出射される。透過型表示素子13tgを出たG光のP偏光光の成分は出射側の偏光板14g'を透過し、ダイクロイックプリズム11に入射され、そのダイクロイック面11r、11bを透過して投射レンズユニット12に入る。G光のS偏光光は偏光板14g'で吸収される。また、上記ダイクロイックミラー18cを透過したB光のS偏光光は、レンズ24aで集光され、反射ミラー17bに入射される。該反射ミラー17bにおいて、紫外線分は透過されて除去され、反射されたB光のS偏光光はレンズ24b側に出射される。レンズ24bを出たB光のS偏光光は反射ミラー17cに入射される。該反射ミラー17cにおいても、B光の紫外線分は透過によって除去される。該反射ミラー17cで反射されたB光のS偏光光はレンズ9cに入射される。該レンズ9cから出たB光のS偏光光は、入射側の偏光板14bで偏光方向を揃えられてからB光用の透過型表示素子13tbに照射される。該透過型表示素子13tbでは、該B光のS偏光光が映像信号に基づき変調されて出射される。透過型表示素子13tbを出たB光のP偏光光は出射側の偏光板14b'を透過し、ダイクロイックプリズム11に入射され、ダイクロイック面11bで反射されて投射レンズユニット12に入る。B光のS偏光光は偏光板14b'で吸収される。このように、R光、G光及びB光それぞれのP偏光光が合成されてダイクロイックプリズム11から投射レンズユニット12に出射され、該投射レンズユニット12により映像がスクリーン等に拡大投射され表示される。本構成はこれに限るものではなく、G光はP偏光光で、R光、B光は1/2波長位相差板を利用し、S偏光光としてダイクロイックプリズム11に入射する場合もある。なお、上記照明光学系の光学要素のうちダイクロイックミラー18b、18c、上記ダイクロイックプリズム11、及び出射側偏光板14r'、14g'、14b'は、投射型映像表示装置の色分離合成系を形成する。
かかる第17の実施例の構成によれば、上記第16の実施例で説明したと同様、反射アレイ1により、コントラスト性の確保と、一層の光利用効率の向上とが可能となり、明るい鮮明な映像を効率的に表示できるようになる。また、光源ユニット側の小形化や省電力化に基づき、装置全体の小形・軽量化、発熱量の低減化、長寿命化等も図ることができる。
【0019】
図22、図23は、偏光板、PBS及び表示素子のコントラスト特性の測定結果例である。図22は測定方法で、(a)は偏光板のコントラスト特性測定方法、(b)はPBSのコントラスト特性測定方法、(c)は表示素子のコントラスト特性測定方法を示し、図23は測定結果で、(a)は偏光板のコントラスト特性の測定結果、(b)はPBSのコントラスト特性の測定結果、(c)は表示素子のコントラスト特性の測定結果を示す。
図22において、101は測定用光源、102、102'は測定用偏光板、103は測定用受光器、14は偏光板、19はPBS、13tは表示素子、26は駆動回路である。図22(a)において、先ず、測定用光源101から光を出射する。光源101後に開口を設けることによる測定物に入射する光の広がりは略F20である。その後に、測定用偏光板102を、P偏光光が透過するように透過軸を合わせて配置する。その後に、試料の偏光板14を配置し、図の方向に回転させて測定する。光は、偏光板14を透過して測定用受光器103に入射し、これにより、透過してきた光の明るさを測定する。偏光板14の透過軸をS偏光光透過とP偏光光透過の2つのモードで測定し、各回転角で、両者の測定値の比をとってコントラストを求める。また、図22(b)において、PBSについては、試料としてのPBS19を、P偏光光を透過する状態にし、その透過して測定用受光器103に入射する光の明るさを測定する。ここで、吸収は無視できるものとし、1−透過率=反射率、として、透過率と反射率の比をコントラストの比とする。また、図22(c)において、表示素子13tについては、表示素子13tの後に、P偏光光を透過する偏光板102’を配置し、駆動回路26により表示素子13tを駆動し、全白、全黒表示状態での測定値の比をコントラストとする。
【0020】
図23において、偏光板のコントラスト特性測定結果((a))、PBSのコントラスト特性測定結果((b))、表示素子のコントラスト特性測定結果((c))とも、入射光線角度を横軸にとり、最大値を1とした相対コントラスト値を縦軸にとって示してある。本測定結果によると、偏光板、PBS及び表示素子は角度特性を有しており、入射角の大きい光線に対しては、コントラストが劣化する。本発明では、反射アレイ1を用いて入射角を小さく抑えることが可能なため、上記各実施例において、高コントラストの範囲で光学ユニットや映像表示装置を構成する。図19の映像表示装置においては、各反射型液晶表示素子13r、13g、13bの直前に配置した1/4波長位相差板23r、23g、23bを回転調整することによって、コントラストを向上させることも可能である。
【0021】
図24はマイクロレンズを有する透過型液晶表示素子における照射光透過の説明図である。本図はマイクロレンズの1セル分を示す。
図24において、27は画素毎に設けられたマイクロレンズ、28は液晶層を駆動するトランジスタ等の遮光部である。液晶層を駆動するトランジスタを画素毎に設けた構成においては、これが、光路上にあるため、表示素子の開口が狭くなる。このため、該開口で光が遮断され、損失が大きくなる。マイクロレンズ27は、光を各画素の開口部に集光し、該開口における光の遮断量を少なくするために設けられる。マイクロレンズ27のセルからの出射光は集光されて開口を通過する。ここで、マイクロレンズ27は、その特性上、入射角の小さい光線4bは遮光部28を通過させるが、入射角の大きい光線4cは、遮光部により遮断されて損失光となる。このため、マイクロレンズ27を用いた構成においても、入射光中に、大きい角度成分の光が多い場合は、光の利用効率が低下する。本発明では、反射アレイ1を用いて入射角を小さく抑えることが可能なため、この場合にも、上記大きい角度成分の光の量を減らして、光の利用効率を向上させることができる。
【0022】
上記図19、図20の実施例では、表示素子を3個用いる3板式の装置構成としたが、本発明はこれに限定されず、表示素子を1個用いる単板式の装置構成であってもよいし、2個用いる2板式の装置構成であってもよい。また、装置構成の他の部分についても、本発明は、上記図19、図20の構成に限定されない。
【0023】
なお、特許請求の範囲に記載の発明に関連した発明で、上記実施例に記載してある発明としては、(1)反射アレイの反射手段をライトパイプで形成する構成、(2)反射アレイの反射手段をロッドレンズで形成した構成、(3)反射アレイの反射手段の開口部を、偏光変換素子から出射される偏光光の量が略最大となる大きさとした構成、(4)反射アレイを構成する反射セルを相互に接着した構成、(5)アレイレンズを偏心させた構成、等がある。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、コントラスト性を確保した状態で、光利用効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す図である。
【図2】図1の構成の断面図及び反射アレイ単体図である。
【図3】F値の大小と、アレイレンズと表示素子の写像関係の説明図である。
【図4】本発明の第2の実施例を示す図である。
【図5】図4の構成における第2のアレイレンズ上の光源像の説明図である。
【図6】本発明の第3の実施例を示す図である。
【図7】本発明の第4の実施例を示す図である。
【図8】本発明の第5の実施例を示す図である。
【図9】本発明の第6の実施例を示す図である。
【図10】本発明の第7の実施例を示す図である。
【図11】本発明の第8の実施例を示す図である。
【図12】本発明の第9の実施例を示す図である。
【図13】本発明の第10の実施例を示す図である。
【図14】本発明の第11の実施例を示す図である。
【図15】本発明の第12の実施例を示す図である。
【図16】本発明の第13の実施例を示す図である。
【図17】本発明の第14の実施例を示す図である。
【図18】本発明の第15の実施例を示す図である。
【図19】本発明の第16の実施例を示す図である。
【図20】本発明の第17の実施例を示す図である。
【図21】従来の光学ユニットの構成例を示す図である。
【図22】コントラストの測定方法の説明図である。
【図23】コントラストの測定結果例を示す図である。
【図24】マイクロレンズを用いた表示素子における光透過状態の説明図である。
【符号の説明】
1…反射アレイ、 2…第1のアレイレンズ、 2’…第2のアレイレンズ、3…偏光変換素子、 3a…偏光ビームスプリッタ、 3b…1/2波長位相差板、 7…冷却ファン、 8、8'、22、9a、9b、9c、24a、24b…レンズ、 10…光源ユニット、 11…ダイクロイックプリズム、 12…投射レンズ、 13rr、13rg、13rb…反射型表示素子、 13tr、13tg、13tb…透過型表示素子、 14br1、14br2、14r、14g、14b、14r'、14g'、14b'…偏光板、 17、17a、17b、17c…反射ミラー、 18b、18c…ダイクロイックミラー、 19g、19rb…プリズム型偏光ビームスプリッタ、 19rgb…色合成プリズム、 20r、20b…リターダ(特定波長域偏光変換素子)、 23r、23b、23g…1/4波長位相差板、 31…電源回路、 32…駆動回路、 33…信号処理回路。
Claims (1)
- 光源側からの光を照明光学系により表示素子に照射し映像信号に応じた光学像を形成する映像表示装置用の光学ユニットであって、
上記照明光学系が、
複数の集光レンズが平面的に配され各レンズが2次光源像を形成して光束断面における照度分布を均一化する第1のアレイレンズと、
複数の集光レンズが平面的に配され上記第1のアレイレンズの個々のレンズ像を結像する第2のアレイレンズと、
上記第1、第2のアレイレンズ間にあって該第2のアレイレンズの近傍に配され、該両アレイレンズ間距離の1/2以下の長さ寸法を有し、該両アレイレンズの複数の集光レンズに対応した複数の反射手段を有し、該反射手段の反射面は凹状の曲面を有して構成され、該反射面により該第1のアレイレンズからの出射光を反射して光路方向を変え該第2のアレイレンズに入射させる反射アレイと、
偏光ビームスプリッタと1/2波長位相差板を有して成り、上記反射アレイで反射され上記第2のアレイレンズを通った光を偏光変換し偏光方向の揃った偏光光として出射する偏光変換素子と、
該偏光変換素子からの光を集光するレンズと、
を備えた構成を特徴とする光学ユニット。
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