JP3650907B2 - 排水管内圧力の標準偏差予測方法、その装置、及び記録媒体 - Google Patents

排水管内圧力の標準偏差予測方法、その装置、及び記録媒体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一定流量の排水を排水管に与えたときの排水管内圧力の標準偏差を予測する標準偏差予測方法、その実施に使用する標準偏差予測装置、及びコンピュータを標準偏差予測装置として機能させるためのコンピュータプログラムが記録されている記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
図9は、集合住宅における排水管設備の構成を示す模式図である。集合住宅における排水管設備は、住宅建物全体に渡すように上下に設けられた立て管系と、立て管系の下端部に脚部ベンドBを介して連結され、水平方向へ這わせた横主管系とから構成されている。
【0003】
立て管系は、各階に対応して設けられた複数の立て管10,10,…と、最上層階の立て管10に連結された給気用の伸頂通気管11と、各住戸の便所、流し、浴室、洗面所、及び洗濯場等に連結された横枝管12,12,…と、相隣する立て管10,10の間に介装され、各階において前記横枝管12,12,…を立て管10,10,…から分岐させるべく、横枝管12,12,…に各別に連結される継手13,13,…とによって主として構成されている。但し、最下層階の継手13及び脚部ベンドBの間には、適宜の長さ(図9においては階高より短い)の立て管10が介在されている。また、横主管系は、主に水平方向に沿って配された1本又は複数本の横主管20と、該横主管20の下流側に配され、公共下水路への合流点となる排水桝(図示せず)とによって主として構成されている。
【0004】
以上の如く構成された集合住宅の排水管設備において、各住戸からの排水は、その住戸の横枝管12,12,…から各階の継手13,13,…を介してその下層階側の立て管10,10,…内へ流入し、重力によって自然落下(流下)して、脚部ベンドBでその流速を低減されつつ横主管20を水平方向へ流れ、前述した排水桝へと排出されるようになっている。また、このような排水の流れに伴って排水管内の空気が排水の流下方向へ流れ、これにより伸頂通気管11から吸引された外気が、立て管10,10,…、脚部ベンドB、横主管20へと流れる。
【0005】
このようにして、排水管内の空気は排水の流下方向へ流れるが、排水の流入部では、排水が前記空気が通過する空間を塞ぐように流入するため、空気の通流が阻害され、これによって上層階では排水管内の空気圧(排水管内圧力)が負圧となる。また、最下層階に近い階では、脚部ベンドBが空気の通流を阻害するため、これとは反対に正圧となる傾向がある。
【0006】
ところで、各住戸の便所、流し、浴室、洗面所、及び洗濯場等の排水口の直下の横枝管12の部分には、例えばS字状に屈曲されたトラップと呼ばれる管部材が介装されている。該トラップは、この中途に滞留する水によって排水口側と立て管10側との空気の流入出を封止し、これによって立て管10内を流れる排水等の臭気が住戸側へ漏れないようにしている。
【0007】
従って、前述の如く負圧となった階においては、横枝管12に接続された便器等の接続器具のトラップに溜まっている水が立て管10,10,…側へ吸引されて一時的に減少し、また、正圧となった階においては、トラップから排水(汚水)が住戸側へ逆流して噴出することがある。
【0008】
このようにトラップ内の水が吸引されてトラップ内から流出したり、押し出されて住戸側へ噴出したりすること(以下、トラップの破封という)を発生させないことが、排水管設備を設計する上で重要であり、これは、排水管設備内で、排水管内圧力の最大値及び最小値を求め、これらがトラップの破封が発生しない範囲内にあるように設計することにより達成される。このため、設計の段階で対象となる排水管設備を実験塔を用いて組み立て、この排水管設備に実際に排水を流して各部における排水管内圧力を測定し、これらの最大値及び最小値が前述した範囲内にあるか否かを調べることにより、排水管設備の設計の適否を検証する試みがなされている。この検証方法にあっては、施工する排水管設備と同一形態の排水管設備で確認することができるため検証結果が非常に正確であるという利点がある。
【0009】
しかし、このような検証方法は、実験塔に実際に排水管設備の全体部分を組み立てる必要があり、特に、実験結果により排水管設備の設計が不適であると判断される場合には、排水管設備を組み立て直して排水実験を繰り返す必要がある等、その手間及びコストが甚大となる。
【0010】
そこで、設計された排水管設備の仕様から、排水管内圧力を予測する方法が試みられている。図10は、図9に示す排水管設備に一定時間、一定流量の排水を流した場合の13階部分における排水管内圧力の経時的変化を示すグラフであり、図11は、この場合の各階の排水管内圧力の時間平均値、時間最大値、及び時間最小値を示すグラフである。図10において、横軸は時間を示し、縦軸は圧力を示している。また、図11において、横軸は圧力を示し、縦軸は階(上下方向の位置)を示している。図10に示すように、一定時間、一定の流量の排水を排水管設備に流した場合、一箇所における排水管内圧力は時間的に変化する。
【0011】
従って、設計された排水管設備の適否を検証するためには、図11に示すように、排水管設備の各部において、排水管内圧力の内の時間最大値及び時間最小値を求め、これらの内から更に排水管設備全体における前記排水管内圧力の最大値及び最小値を求めて、これらが前述した範囲内にあるか否かを判別すればよい。
【0012】
従来では、排水管設備の各部における排水管内圧力の時間平均値を予測していた。以下に、従来の排水管内圧力の時間平均値予測方法を説明する。図11において、16階から負荷排水を与えたとき、排水管設備全体を第1〜第4領域に分割し、以下に示す(1)〜(6)式を適用する。ここで、第1領域は、伸頂通気管11から負荷排水を与えた階(図11においては、16階。以下、負荷位置という)までの領域であり、第2領域は、負荷位置から、その排水管内圧力の時間平均値が負荷位置と同一である階(図11においては、4階。以下、時間平均値同一位置という)までの領域であり、第3領域は、この階から、脚部ベンドBに連結される階、即ち排水管設備の立て管系の下端部(図11においては、1階。以下、時間平均値最大位置という)までの領域であり、第4領域は、時間平均値最大位置から排水通流方向下流側の領域である。図11に示す如く、排水管内圧力の時間平均値は、上下方向の位置(階)の変化に伴って、第2領域では曲線的に変化し、第3領域では直線的に変化しており、時間平均値最大位置では、排水管内圧力の時間平均値が最大となる。
【0013】
なお、1つの階から与える負荷排水の流量(以下、負荷流量という)は、2.5L/sを上限とし、2.5L/sを越える負荷流量の負荷排水を与える場合には、連続する複数の階で夫々2.5L/sを上限として、負荷排水を与えることとしている。この場合、負荷排水を与える複数の階の内の最上層階で2.5L/sの負荷排水を与え、残りの負荷流量が2.5L/s以上のときは、その1つ下層側の階で2.5L/sの負荷排水を与え、これを残りの負荷流量が2.5L/s未満になるまで更に下層側の階で繰り返し、その結果残りの負荷流量が2.5L/s未満となったときは、その階で残りの負荷流量の負荷排水を与えるようにする。また、この場合の負荷位置は負荷排水を与えた複数の階の内の最上層階としている。例えば、図9に示す排水管設備の16階を負荷位置として、5.5L/sの負荷排水を与える場合には、16及び15階で夫々2.5L/sの負荷排水を与え、14階で0.5L/sの負荷排水を与えることとなる。
【0014】
Pa=ξa・Va2 ・γ/2g …(1)
Pb=ξb・Va2 ・γ/2g …(2)
L=a・Pbb …(3)
CB=(c・Qa+d)2 …(4)
Pd=ξd・Va2 ・γ/2g …(5)
L=LW−(Pd−Pa)/CB …(6)
【0015】
(1)〜(6)式を解くことにより、通気流速Va、負荷位置の排水管内圧力の時間平均値Pa、排水管内圧力の時間平均値の時間最小値と前記時間平均値Paとの差分値Pb、第2領域の長さL、第3領域の直線の傾き(排水管内圧力の時間平均値の変化の度合い)CB、及び時間平均値最大位置の排水管内圧力の時間平均値Pdを求める。ここで、γは空気の比重量、gは重力加速度であり、またξaは第1領域の通気抵抗係数、ξbは第2領域の通気抵抗係数、ξdは第4領域の通気抵抗係数を表しており、ξa,ξb,及びξd並びにa〜dは、夫々排水管設備に使用される継手の種類、排水管設備の配管形態、及び負荷流量等によって変化するパラメータであり、実験から求めることができる。LWは、排水管設備の立て管系の下端部から負荷位置までの高さである。また、Qaは、管内通気流量であり、管断面積Sに対して、Qa=S・Vaの関係を有している。
【0016】
次に、(7)式から、負荷位置から排水管内圧力の時間平均値が最小となる階(以下、時間平均値最小位置という)までの距離L1を算出し、時間平均値最小位置を求める。
【0017】
L1=0.3L …(7)
【0018】
また、負荷位置から時間平均値最小位置までの部分では、トラップの破封の原因となるような排水管内圧力の変動が発生しないので、この部分の排水管内圧力の時間平均値は求めない。
【0019】
更に、時間平均値最小位置から、排水管内圧力の時間平均値同一位置まで(以下、曲線領域という)の排水管内圧力の時間平均値を、時間平均値最小位置での排水管内圧力の時間平均値がPa+Pb、時間平均値最小位置での傾きが0、時間平均値同一位置での排水管内圧力の時間平均値がPa、及び時間平均値同一位置での傾きがCBの4つの条件を満たすような上下方向の位置(階)の3次関数として算出する。
【0020】
そして、第3領域での排水管内圧力の時間平均値を、該時間平均値と上下方向の位置との関係が、傾きがCBの直線となるように求める。
【0021】
従来の排水管内圧力の時間平均値予測方法では、このようにして、図11に示す如き排水管内圧力の時間平均値を予測し、この予測結果を排水管設備の設計の適否の検証に利用していた。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような従来の排水管内圧力の時間平均値予測方法では、排水管内圧力の時間平均値は予測することができるが、排水管の各部における排水管内圧力の時間最大値及び時間最小値は予測することができない。
【0023】
また、図10に示すような排水管内圧力の変動は、正規分布とみなすことができる。排水管内圧力の時間最大値及び時間最小値は、排水管内圧力の変動を正規分布とみなしたときの標準偏差を求めることによって予想することができる。
【0024】
図12は、排水管設備の配管形態を説明する説明図である。配管形態の1つには、図12(a)に示すような、上下方向に真直ぐな立て管系と、この立て管系の下端部に脚部ベンドBを介して連結され、水平方向へ這わせた横主管系とから構成された配管形態(以下、標準型配管という)がある。また、他の配管形態として、図12(b)に示すような、標準型配管の横主管系の中途部分を、曲げ継手15,15を用いて上下方向にクランク状に屈曲させた所謂オフセットを有する配管形態、図12(c)に示すような、横主管系の中途部分を90°水平に屈曲させた配管形態、及び図12(d)に示すような、標準型配管の立て管系の中途部分を、曲げ継手15,15を用いて横方向にクランク状に屈曲させたオフセットを有する配管形態等(以下、これらを変形配管という)がある。
【0025】
発明者らは、標準型配管の排水管設備についての実験結果を分析した結果、標準型配管の排水管設備における排水管内圧力の標準偏差には、以下に説明するような性質があることを知見した。
【0026】
図13は、標準型配管の排水管設備における排水管内圧力の標準偏差を示すグラフである。図において、縦軸は上下方向の位置を示し、横軸は排水管内圧力の標準偏差を示している。図に示す如く、標準型配管の排水管設備での排水管内圧力の標準偏差は、負荷位置において略0Paであり、負荷位置から下降するにしたがって、その増加率を減じながら増加する。
【0027】
また、このときの標準型配管の排水管設備の立て管系のみについて、排水管内圧力の標準偏差を求めた。この結果を図中破線で示す。立て管系における排水管内圧力の標準偏差は、負荷位置において略0Paであり、負荷位置から下降するにしたがって、標準型配管の排水管設備における排水管内圧力の標準偏差の増加率よりも低い増加率で増加し、立て管系の略中間部分で増加から減少に転じ、ここから立て管系の下端部に至るまでの間で、下降と共にその減少率を増しながら減少する。そして、立て管系の下端部では、略0Paとなる。
【0028】
このような立て管系での排水管内圧力の標準偏差と、標準型配管の排水管設備での排水管内圧力の標準偏差との差分値を、上下方向の各位置において求めた。この結果を図中一点鎖線で示す。図に示す如く、前記差分値は、負荷位置において略0であり、負荷位置から下降するにしたがって、線形に増加する。発明者らは、種々の標準型配管の排水管設備について同様の実験を行った結果、このような差分値が、上下の位置に応じて線形に変化することを知見した。図14及び図15は、標準型配管の排水管設備に対する実験結果を示すグラフである。図14及び図15において、縦軸は負荷排水の流下階、即ち負荷位置からの階数(上下方向の位置)を示し、横軸は差分値の大きさを示している。図14は、設備規模が16階の標準型配管の排水管設備に、負荷位置を16階、12階、及び8階として6.0L/sの負荷流量を与えた場合の実験結果を示しており、図15は、設備規模が16階の標準型配管の排水管設備に、負荷位置を16階、12階、及び8階として3.0L/sの負荷流量を与えた場合の実験結果を示している。図に示す如く、各条件での実験によって得た夫々の差分値は、上下方向の位置に応じて略線形に変化していることがわかる。
【0029】
このように求めた差分値は、標準型配管の排水管設備から立て管系を取り除いた部分、即ち標準型配管の排水管設備の横主管系が原因となって発生する排水管内圧力の変動に係る排水管内圧力の標準偏差であると考えることができる。
【0030】
また発明者らは、変形配管の排水管設備についての実験結果を分析した結果、変形配管の排水管設備における排水管内圧力の標準偏差には、以下に説明するような性質があることを知見した。
【0031】
図16は、図12(a)に示す変形配管の排水管設備における排水管内圧力の標準偏差を示すグラフである。図において、縦軸は上下方向の位置を示し、横軸は排水管内圧力の標準偏差を示している。図において、変形配管の排水管設備での排水管内圧力の標準偏差を実線で示し、標準型配管の排水管設備での排水管内圧力の標準偏差を破線で示し、立て管系での排水管内圧力の標準偏差を一点鎖線で示している。図に示す如く、変形配管の排水管設備での排水管内圧力の標準偏差は、標準型配管の排水管設備での排水管内圧力の標準偏差よりも大きく、標準型配管の排水管設備での排水管内圧力の標準偏差と同様に、負荷位置において略0Paであり、負荷位置から下降するにしたがって、その増加率を減じながら増加する。
【0032】
また、立て管系での排水管内圧力の標準偏差と、変形配管の排水管設備での排水管内圧力の標準偏差との差分値を、上下方向の各位置において求めた。この結果を図中二点鎖線で示す。この差分値は、図に示す如く、図13において破線で示した差分値と同様に、負荷位置において略0Paであり、負荷位置から下降するにしたがって、線形に増加する。
【0033】
発明者らは、図12(b)に示すような、脚部ベンドBより排水通流方向下流側に変形部を有する他の配管形態の排水管設備に対して同様の実験を行った結果、このような排水管内圧力の標準偏差の性質が、これらの配管形態の排水管設備に対しても同様に現れることを知見した。
【0034】
また発明者らは、図12(d)に示すような、脚部ベンドBよりも排水通流方向上流側にオフセット等の変形部を有する配管形態の排水管設備に対して同様の実験を行った結果、これらの配管形態の排水管設備では、立て管系の上端部から変形部までの部分、即ち図12(d)の変形配管の排水管設備での排水通流方向上流側の曲げ継手15よりも上側の部分における排水管内圧力の標準偏差と、前記部分と同じ高さの立て管系での排水管内圧力の標準偏差との間に、同様の性質があることを知見した。
【0035】
このように求めた差分値は、変形配管の排水管設備から立て管系又は立て管系の変形部より上側を取り除いた部分、即ち変形配管の排水管設備の脚部ベンドより排水通流方向下流側の部分又は前記変形部より排水通流方向下流側の部分が原因となって発生する排水管内圧力の変動に係る排水管内圧力の標準偏差であると考えることができる。
【0036】
以上のような結果から、立て管系での排水管内圧力の標準偏差と、標準型配管の排水管設備での排水管内圧力の標準偏差との差分値、及び立て管系での排水管内圧力の標準偏差と、変形配管の排水管設備での排水管内圧力の標準偏差(立て管系の中途に変形部を有する場合は、排水管設備での変形部より上側の部分における排水管内圧力の標準偏差)との差分値は、共に上下方向の位置に応じて線形に変化するため、標準型配管の排水管設備での排水管内圧力の標準偏差と、変形配管の排水管設備での排水管内圧力の標準偏差(立て管系の中途に変形部を有する場合は、変形配管の排水管設備での変形部より上側の部分における排水管内圧力の標準偏差)との差分値も、上下方向の位置に応じて線形に変化することがわかる。
【0037】
また、発明者らは、標準型配管の排水管設備についての実験結果を分析した結果、標準型配管の排水管設備では、排水管内圧力の標準偏差σは、通気流速Vaを用いて、式(8),(9)によって近似できることを知見した。
【0038】
σ=ξs・Va2 ・γ/2g …(8)
ξs=p・loge x−q …(9)
【0039】
但し、γは空気の比重量、gは重力加速度であり、p,qは継手の種類及び負荷流量によって定まるパラメータ、xは排水管の上下方向の位置とする。
【0040】
標準型配管の排水管設備での排水管内圧力の標準偏差σと、標準型配管の排水管設備での通気流速Vaとの間には、前述した(8)式のような関係があるため、係数ξsは、標準偏差σから通気流速Vaを取り除いた成分を表している。また発明者らは、他の配管形態の排水管設備に対しても、(8)式の関係が成立することを知見した。そこで、発明者らは、標準型配管の排水管設備での係数ξsと、立て管系での係数ξsとを実験により求め、実験結果を分析した結果、これらの上下方向の各位置での差分値が、図13に一点鎖線にて示した差分値と同じく、線形に変化することを知見した。
【0041】
また発明者らは、変形配管の排水管設備での係数ξs(立て管系の中途に変形部を有する場合には、排水管設備での変形部より上側の部分における係数ξs)を実験により求め、実験結果を分析した結果、この係数ξsと、立て管系での係数ξs(変形配管の排水管設備が立て管系の中途に変形部を有する場合には、変形部より上側の部分と同じ長さの立て管系での係数ξs)との差分値が、図16に二点鎖線にて示した差分値と同じく、線形に変化することを知見した。
【0042】
以上のような結果から、立て管系での係数ξsと、標準型配管の排水管設備での係数ξsとの差分値、及び立て管系での係数ξsと、変形配管の排水管設備での係数ξs(立て管系の中途に変形部を有する場合は、排水管設備での変形部より上側の部分における係数ξs)との差分値は、共に上下方向の位置に応じて線形に変化するため、標準型配管の排水管設備での係数ξsと、変形配管の排水管設備での係数ξs(立て管系の中途に変形部を有する場合は、変形配管の排水管設備での変形部より上側の部分における係数ξs)との差分値も、上下方向の位置に応じて線形に変化することがわかる。
【0043】
本発明は斯かる知見に基づいてなされたものであり、排水管設備を構成する複数の部分が夫々原因となって発生する排水管内圧力の変動夫々に対して、上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差を予測し、各部分毎に予測した排水管内圧力の標準偏差を、対応する上下方向の各位置で加算し、この結果を排水管設備全体の排水管内圧力の標準偏差として予測することによって、排水管内圧力の標準偏差を得るために、実験用の排水管設備を組み立て、これを用いて実験を行う必要がなく、排水管内圧力の標準偏差を得るために必要な手間及びコストを大幅に削減することを可能とする排水管内圧力の標準偏差予測方法、その実施に使用する標準偏差予測装置、及びコンピュータを標準偏差予測装置として機能させるためのコンピュータプログラムが記録されている記録媒体を提供することを目的とする。
【0044】
本発明の他の目的は、標準型配管の排水管設備での排水管内圧力の標準偏差を予測し、標準型配管の排水管設備及び変形配管の排水管設備夫々での排水管内圧力の標準偏差の差分値を予測し、予測した標準型配管の排水管設備での排水管内圧力の標準偏差と、前記差分値とを、上下方向の各位置で加算し、この結果を変形配管の排水管設備での排水管内圧力の標準偏差とすることにより、変形配管の排水管設備での排水管内圧力の標準偏差を得るために、実験用の変形配管の排水管設備を組み立て、これを用いて実験を行う必要がなく、変形配管の排水管設備での排水管内圧力の標準偏差を得るために必要な手間及びコストを大幅に削減することを可能とする排水管内圧力の標準偏差予測方法、その実施に使用する標準偏差予測装置、及びコンピュータを標準偏差予測装置として機能させるためのコンピュータプログラムが記録されている記録媒体を提供することにある。
【0045】
本発明の更に他の目的は、標準型配管の排水管設備での排水管内圧力の標準偏差から該排水管設備での通気流速を取り除いた成分を表す第2係数を予測し、該第2係数及び変形配管の排水管設備での排水管内圧力の標準偏差から該排水管設備での通気流速を取り除いた成分を表す第1係数の差分値を予測し、予測した第2係数と、前記差分値とを、上下方向の各位置で加算し、この結果を前記第1係数とし、該第1係数及び変形配管の排水管設備での通気流量に基づいて、変形配管の排水管設備での排水管内圧力の標準偏差を予測することにより、変形配管の排水管設備での排水管内圧力の標準偏差を得るために、実験用の変形配管の排水管設備を組み立て、これを用いて実験を行う必要がなく、変形配管の排水管設備での排水管内圧力の標準偏差を得るために必要な手間及びコストを大幅に削減することが可能となるだけでなく、標準型配管の排水管設備での排水管内圧力の標準偏差から該排水管設備での通気流速を取り除いた成分を表す第2係数から、変形配管の排水管設備での排水管内圧力の標準偏差を求めることによって、標準型配管及び変形配管の夫々の排水管設備での通気流速の相違によって発生する前記標準偏差の誤差をなくすことができ、更に正確に変形配管の排水管設備での排水管内圧力の標準偏差を予測することを可能とする排水管内圧力の標準偏差予測方法、その実施に使用する標準偏差予測装置、及びコンピュータを標準偏差予測装置として機能させるためのコンピュータプログラムが記録されている記録媒体を提供することにある。
【0046】
【課題を解決するための手段】
第1発明に係る排水管内圧力の標準偏差予測方法は、上下方向に設けられた立て管部を有する排水管に、一定流量の排水を与えた場合の前記排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差を予測する標準偏差予測方法であって、前記排水管を構成する複数の部分が夫々原因となって発生する排水管内圧力の変動夫々に対して、前記排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差を予測するステップと、該ステップで予測した夫々の排水管内圧力の標準偏差の上下方向の各位置での和を求め、該和を前記排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差とするステップとを有することを特徴とする。
【0047】
第2発明に係る排水管内圧力の標準偏差予測方法は、上下方向に設けられた立て管部と、該立て管部の下方に、該立て管部に交差する方向に設けられた少なくとも2つの横管部とを有する第1排水管に、一定流量の排水を与えた場合の第1排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差を予測する標準偏差予測方法であって、前記立て管部と、該立て管部の下方に、該立て管部に交差する方向に設けられた1つの横管部とを有する第2排水管に、前記一定流量の排水を与えた場合の前記第2排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差を予測する第1ステップと、前記第1排水管及び前記第2排水管の夫々の排水管内圧力の標準偏差の上下方向の各位置での差分値を予測する第2ステップと、前記第1ステップにて予測した排水管内圧力の標準偏差及び前記第2ステップにて予測した差分値の上下方向の各位置での和を求める第3ステップとを有することを特徴とする。
【0048】
第3発明に係る排水管内圧力の標準偏差予測方法は、第2発明に係る排水管内圧力の標準偏差予測方法において、前記第1ステップは、前記第2排水管内の通気流速Vaを予測するステップと、予測した通気流速Vaを用いて、次式にしたがって第2排水管の排水管内圧力の標準偏差σを求めるステップとを有することを特徴とする。
σ=ξs・Va2 ・γ/2g
ξs=p・loge x−q
但し、γ:空気の比重量
g:重力加速度
p,q:定数
x:排水管の上下方向の位置
【0049】
第4発明に係る排水管内圧力の標準偏差予測方法は、第2又は第3発明に係る標準偏差予測方法において、前記第2ステップは、前記第1排水管及び前記第2排水管の上下方向の1つの位置での夫々の排水管内圧力の標準偏差の差分値を求めるステップと、前記第1排水管及び前記第2排水管の上下方向の各位置での夫々の排水管内圧力の標準偏差の差分値を、該差分値が上下方向の位置に応じて線形に変化するように、前記ステップで求めた差分値から求めるステップとを有することを特徴とする。
【0050】
第5発明に係る排水管内圧力の標準偏差予測方法は、上下方向に設けられた立て管部と、該立て管部の下方に、該立て管部に交差する方向に設けられた少なくとも2つの横管部とを有する第1排水管に、一定流量の排水を与えた場合の第1排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差を予測する標準偏差予測方法であって、前記立て管部と、該立て管部の下方に、該立て管部に交差する方向に設けられた1つの横管部とを有する第2排水管に、前記一定流量の排水を与えた場合の前記第2排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差から前記第2排水管の通気流速を取り除いた成分を表す第2係数を予測する第1ステップと、前記第1排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差から前記第1排水管の通気流速を取り除いた成分を表す第1係数及び前記第2係数の上下方向の各位置での差分値を予測する第2ステップと、前記第1係数を、前記第1ステップにて予測した第2係数及び前記第2ステップにて予測した差分値の上下方向の各位置での和として求める第3ステップと、該第3ステップにて求めた上下方向の各位置での第1係数及び前記第1排水管の通気流速に基づいて、前記第1排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差を求める第4ステップとを有することを特徴とする。
【0051】
第6発明に係る排水管内圧力の標準偏差予測方法は、第5発明に係る排水管内圧力の標準偏差予測方法において、前記第1ステップは、次式にしたがって前記第2係数ξsを求めることを特徴とする。
ξs=p・loge x−q
但し、p,q:定数
x:排水管の上下方向の位置
【0052】
第7発明に係る排水管内圧力の標準偏差予測方法は、第5又は第6発明に係る排水管内圧力の標準偏差予測方法において、前記第2ステップは、上下方向の1つの位置での前記第1係数及び前記第2係数の差分値を求めるステップと、上下方向の各位置での前記差分値を、該差分値が上下方向の位置に応じて線形に変化するように、前記ステップで求めた差分値から求めるステップとを有することを特徴とする。
【0053】
第8発明に係る排水管内圧力の標準偏差予測装置は、上下方向に設けられた立て管部を有する排水管に、一定流量の排水を与えた場合の前記排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差を予測する標準偏差予測装置であって、前記排水管を構成する複数の部分が夫々原因となって発生する排水管内圧力の変動夫々に対して、前記排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差を予測する予測手段と、前記排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差を、前記予測手段によって予測した夫々の排水管内圧力の標準偏差の上下方向の各位置での和として演算する演算手段とを備えることを特徴とする。
【0054】
第9発明に係る排水管内圧力の標準偏差予測装置は、上下方向に設けられた立て管部と、該立て管部の下方に、該立て管部に交差する方向に設けられた少なくとも2つの横管部とを有する第1排水管に、一定流量の排水を与えた場合の第1排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差を予測する標準偏差予測装置であって、前記立て管部と、該立て管部の下方に、該立て管部に交差する方向に設けられた1つの横管部とを有する第2排水管に、前記一定流量の排水を与えた場合の前記第2排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差を予測する第1予測手段と、前記第1排水管及び前記第2排水管の夫々の排水管内圧力の標準偏差の上下方向の各位置での差分値を予測する第2予測手段と、前記第1予測手段によって予測した排水管内圧力の標準偏差及び前記第2予測手段によって予測した差分値の上下方向の各位置での和を演算する演算手段とを備えることを特徴とする。
【0055】
第10発明に係る排水管内圧力の標準偏差予測装置は、第9発明に係る排水管内圧力の標準偏差予測装置において、前記第1予測手段は、前記第2排水管内の通気流速Vaを予測する手段と、該手段によって予測した通気流速Vaを用いて、次式にしたがって第2排水管の排水管内圧力の標準偏差σを演算する手段とを有することを特徴とする。
σ=ξs・Va2 ・γ/2g
ξs=p・loge x−q
但し、γ:空気の比重量
g:重力加速度
p,q:定数
x:排水管の上下方向の位置
【0056】
第11発明に係る排水管内圧力の標準偏差予測装置は、第9又は第10発明に係る排水管内圧力の標準偏差予測装置において、前記第2予測手段は、前記第1排水管及び前記第2排水管の上下方向の1つの位置での夫々の排水管内圧力の標準偏差の差分値を演算する手段と、前記第1排水管及び前記第2排水管の上下方向の各位置での夫々の排水管内圧力の標準偏差の差分値を、該差分値が上下方向の位置に応じて線形に変化するように、前記手段によって演算した差分値から演算する手段とを有することを特徴とする。
【0057】
第12発明に係る排水管内圧力の標準偏差予測装置は、上下方向に設けられた立て管部と、該立て管部の下方に、該立て管部に交差する方向に設けられた少なくとも2つの横管部とを有する第1排水管に、一定流量の排水を与えた場合の第1排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差を予測する標準偏差予測装置であって、前記立て管部と、該立て管部の下方に、該立て管部に交差する方向に設けられた1つの横管部とを有する第2排水管に、前記一定流量の排水を与えた場合の前記第2排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差から前記第2排水管の通気流速を取り除いた成分を表す第2係数を予測する第1予測手段と、前記第1排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差から前記第1排水管の通気流速を取り除いた成分を表す第1係数及び前記第2係数の上下方向の各位置での差分値を予測する第2予測手段と、前記第1係数を、前記第1予測手段によって予測した第2係数及び前記第2予測手段によって予測した差分値の上下方向の各位置での和として演算する第1演算手段と、該第1演算手段によって演算した第1係数及び前記第1排水管の通気流量に基づいて、前記第1排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差を演算する第2演算手段とを備えることを特徴とする。
【0058】
第13発明に係る排水管内圧力の標準偏差予測装置は、第12発明に係る排水管内圧力の標準偏差予測装置において、前記第1予測手段は、次式にしたがって第前記第2係数ξsを演算すべくなしてあることを特徴とする。
ξs=p・loge x−q
但し、p,q:定数
x:排水管の上下方向の位置
【0059】
第14発明に係る排水管内圧力の標準偏差予測装置は、第12又は第13発明に係る排水管内圧力の標準偏差予測装置において、前記第2予測手段は、上下方向の1つの位置での前記第1係数及び前記第2係数の差分値を演算する手段と、上下方向の各位置での前記差分値を、該差分値が上下方向の位置に応じて線形に変化するように、前記手段によって演算した差分値から演算する手段とを有することを特徴とする。
【0060】
第15発明に係る記録媒体は、コンピュータに、上下方向に設けられた立て管部を有する排水管に、一定流量の排水を与えた場合の前記排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差を予測させるプログラムコード手段を有するプログラムが記録してあることを特徴とするコンピュータでの読み取りが可能な記録媒体であって、コンピュータに、前記排水管を構成する複数の部分が夫々原因となって発生する排水管内圧力の変動夫々に対して、前記排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差を予測させるプログラムコード手段と、予測した夫々の排水管内圧力の標準偏差の上下方向の各位置での和を、前記排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差として演算させるプログラムコード手段とを有するプログラムが記録してあることを特徴とする。
【0061】
第16発明に係る記録媒体は、コンピュータに、上下方向に設けられた立て管部と、該立て管部の下方に、該立て管部に交差する方向に設けられた少なくとも2つの横管部とを有する第1排水管に、一定流量の排水を与えた場合の第1排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差を予測させるプログラムコード手段を有するプログラムが記録してあることを特徴とするコンピュータでの読み取りが可能な記録媒体であって、コンピュータに、前記立て管部と、該立て管部の下方に、該立て管部に交差する方向に設けられた1つの横管部とを有する第2排水管に、前記一定流量の排水を与えた場合の前記第2排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差を予測させるプログラムコード手段と、前記第1排水管及び前記第2排水管の夫々の排水管内圧力の標準偏差の上下方向の各位置での差分値を予測させるプログラムコード手段と、予測した前記排水管内圧力の標準偏差及び予測した前記差分値の上下方向の各位置での和を演算させるプログラムコード手段とを有するプログラムが記録してあることを特徴とする。
【0062】
第17発明に係る記録媒体は、コンピュータに、上下方向に設けられた立て管部と、該立て管部の下方に、該立て管部に交差する方向に設けられた少なくとも2つの横管部とを有する第1排水管に、一定流量の排水を与えた場合の第1排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差を予測させるプログラムコード手段を有するプログラムが記録してあることを特徴とするコンピュータでの読み取りが可能な記録媒体であって、コンピュータに、前記立て管部と、該立て管部の下方に、該立て管部に交差する方向に設けられた1つの横管部とを有する第2排水管に、前記一定流量の排水を与えた場合の前記第2排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差から前記第2排水管の通気流速を取り除いた成分を表す第2係数を予測させるプログラムコード手段と、前記第1排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差から前記第1排水管の通気流速を取り除いた成分を表す第1係数及び前記第2係数の上下方向の各位置での差分値を予測させるプログラムコード手段と、前記第1係数を、予測した第2係数及び予測した差分値の上下方向の各位置での和として演算させるプログラムコード手段と、演算した上下方向の各位置での第1係数及び前記第1排水管の通気流量に基づいて、前記第1排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差を演算させるプログラムコード手段とを有するプログラムが記録してあることを特徴とする。
【0063】
第1、第8、及び第15発明による場合は、排水管設備を構成する複数の部分が夫々原因となって発生する排水管内圧力の変動夫々に対して、上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差を予測し、各部分毎に予測した排水管内圧力の標準偏差を、対応する上下方向の各位置で加算し、この結果を排水管設備全体の排水管内圧力の標準偏差として予測することによって、排水管内圧力の標準偏差を得るため、実験用の排水管設備を組み立て、これを用いて実験を行う必要がなく、排水管内圧力の標準偏差を得るために必要な手間及びコストを大幅に削減することが可能となる。
【0064】
なお、ここでいう排水とは、排水管を流れる液体及び固形物を含む液体のことであり、所謂汚水、雑排水、特殊排水、及び雨水だけでなく、排水管設備(実験に用いられるものも含む)に試験的に与えられる水等も含むこととしている。
【0065】
また、排水管内圧力の時間最大値及び時間最小値は、排水管内圧力の標準偏差に応じて変化する。つまり、排水管内圧力の標準偏差が小さい程、前記時間最大値及び時間最小値の差が小さくなる。このため、圧力標準偏差を小さくなるように、排水管設備の設計を行うことにより、ひいては排水管設備の排水管内圧力の時間最大値及び時間最小値の差を小さくすることができ、トラップの破封を防止することができる。従って、排水管内圧力の標準偏差を予測することによって、この予測結果を、排水管設備の設計の適否の検証に利用することができる。
【0066】
第2、第9、及び第16発明による場合は、第2排水管(標準型配管の排水管設備)での排水管内圧力の標準偏差を予測し、第1排水管(変形配管の排水管設備)及び第2排水管備の夫々の排水管内圧力の標準偏差の上下方向の各位置での差分値を予測し、予測した第2排水管での排水管内圧力の標準偏差と、前記差分値とを、上下方向の各位置で加算し、この結果を第1排水管での排水管内圧力の標準偏差とすることにより、第1排水管での排水管内圧力の標準偏差を得るため、実験用の第1排水管を組み立て、これを用いて実験を行う必要がなく、第1排水管での排水管内圧力の標準偏差を得るために必要な手間及びコストを大幅に削減することが可能となる。
【0067】
第3及び第10発明による場合は、前述した式(8),(9)にしたがって、第2排水管の上下方向の各位置における排水管内圧力の標準偏差を求める。第2排水管での排水管内圧力の標準偏差は、式(8),(9)によって近似することができるため、このようにすることによって、第2排水管での排水管内圧力の標準偏差を正確に予測することができる。
【0068】
第4及び第11発明による場合は、第1排水管及び第2排水管の上下方向の1つの位置での夫々の排水管内圧力の標準偏差の差分値を求める。第1排水管及び第2排水管の上下方向の各位置での夫々の排水管内圧力の差分値は、上下方向の位置に応じて線形に変化するため、負荷位置での前記差分値は0であることから、上下方向の1つの位置での前記差分値から上下方向の各位置での前記差分値を予測することができる。このため、前記1つの位置での前記差分値を、実験等によって求めることにより、第2排水管での排水管内圧力の標準偏差を予測することができる。
【0069】
第5、第12、及び第17発明による場合は、第2排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差から前記第2排水管の通気流速を取り除いた成分を表す第2係数を予測し、第1排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差から前記第1排水管の通気流速を取り除いた成分を表す第1係数及び前記第2係数の上下方向の各位置での差分値を予測し、前記第1係数をこれらの上下方向各位置での和として求め、第1係数及び第1排水管の通気流速から、第1排水管の排水管内圧力の標準偏差を予測する。
【0070】
一般的に、第2排水管よりも複雑な形状をなす第1排水管の通気流速は、第2排水管の通気流速とは異なる。また、排水管内圧力の標準偏差σは、係数ξsと通気流速Vaとを用いて、前述した式(8)によって与えられることがわかっている。従って、係数ξsは、式(10)で与えられる。
【0071】
ξs=σ・2g/(γ・Va2 ) …(10)
【0072】
よって、係数ξsは、標準偏差σから通気流速Vaの成分を取り除いた数値とみなすことができ、このような係数ξsを用いて、第1排水管の排水管内圧力の標準偏差を予測することにより、第1排水管及び第2排水管の夫々の通気流速の相違によって発生する前記標準偏差の誤差をなくすことができ、更に正確に第1排水管の排水管内圧力の標準偏差を予測することが可能となる。
【0073】
第6及び第13発明による場合は、前述した式(9)にしたがって、第2排水管の上下方向の各位置における係数(第2係数)ξsを求める。第2排水管の係数ξsは、式(9)によって近似することができるため、このようにすることによって、第2排水管の係数ξsを正確に予測することができる。
【0074】
第7及び第14発明による場合は、上下方向の1つの位置での第1係数及び第2係数の差分値を求める。上下方向の各位置での第1係数及び第2係数の差分値は、上下方向の位置に応じて線形に変化するため、負荷位置での前記差分値は0であることから、上下方向の1つの位置での前記差分値から上下方向の各位置での前記差分値を予測することができる。このため、実験等により前記1つの位置での第1排水管の排水管内圧力の標準偏差を得、これと第1排水管における通気流速とによって前記1つの位置での第1係数を求め、この第1係数と、予測した第2係数とによって、前記1つの位置での前記差分値を求めることにより、第2排水管での排水管内圧力の標準偏差を予測することができる。
【0075】
【発明の実施の形態】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
(実施の形態1)
図1は、本発明に係る排水管内圧力の標準偏差予測装置の実施の形態1の要部の構成を示すブロック図である。
【0076】
図において、1は標準偏差予測装置として用いるコンピュータを示しており、コンピュータ1はCPU11を有し、該CPU11に対して、CPU11の処理によって発生する一時的なデータを記憶するRAM12、本発明のプログラムが記録されているCD−ROM又はフレキシブルディスク等の可搬型記録媒体20から本発明に係る標準偏差予測装置のプログラムを読み取るCD−ROMドライブ又はフレキシブルディスクドライブ等からなる外部記憶装置13、外部記憶装置13により読み取った本発明のプログラムを格納するハードディスク14、外部と通信を行うための通信インタフェース15、画像表示装置4に画像を出力する画像出力インタフェース16、及び入力装置51からの入力を受け付ける入力インタフェース17が接続されている。
【0077】
コンピュータ1は、通信インタフェース15により通信ネットワーク30に接続されている。この通信ネットワーク30はルータ等の接続装置31によりインターネット等の外部ネットワーク回線32に接続されている。
【0078】
本発明に係る標準偏差予測装置のプログラムは可搬型記録媒体20から読み取る以外にも、外部ネットワーク回線32を介して外部サーバコンピュータ33に接続し、外部サーバコンピュータ33に内蔵された前記プログラムを記録してある記録媒体34からコンピュータ1へ前記プログラムをダウンロードすることによりハードディスク14に格納し、格納されたプログラムをCPU11がRAM12にロードし、CPU11が後述する処理を実行することによって、コンピュータ1は本発明の標準偏差予測装置として機能する。
【0079】
なお、上述した通信ネットワーク30における通信は、有線による通信以外に、電波及び赤外線等の手段を用いた無線通信でもよい。
【0080】
また、ハードディスク14は、排水管内圧力の標準偏差の予測に用いられる前述した式(1)〜(6),(8),及び(9)の実験式に用いられるパラメータξa,ξb,及びξd、a〜d、並びにp及びqが格納してあるデータベースDBを有している。これらのパラメータは、一般的に排水管設備に使用する継手の種類によって異なっている。継手の種類には、JIS(日本工業規格)に規定される排水管継手等の排水を特定の方向へ誘導する部材を内部に有していない標準的な継手(以下、排水用一般継手という)、及び排水管内圧力を緩和する目的で、特殊な構造により排水の流れの様相を変化させるか、又は通気を施すべくなしてある継手(以下、排水用特殊継手という)があり、更に排水用特殊継手には、排水を排水管の内壁に沿って旋回させつつ流下させ、排水管の中央部に空気が通流することが可能な空間を確保するように、内部に排水を排水管の周方向へ誘導する部材を有する継手、及び排水の流下速度を減少させるように、特殊な管路形状としてある継手等がある。また、前記パラメータは、一般的に排水管設備に与えられる負荷流量によっても異なっている。このため、予め複数組のパラメータが各種の継手種類、及び負荷流量毎に実験によって求められており、データベースDBには、継手種類、及び負荷流量毎に対応する複数組のパラメータが格納されている。
【0081】
また、パラメータp,qは、排水管設備の立て管系の下端部(立て管系の中途部分に変形部を有する配管形態の場合は、排水管設備の立て管系の変形部の上側の部分における下端部)における値と、下端部以外の部分における値とが異なっている場合があるため、データベースDBには、継手種類及び負荷流量毎に、パラメータξa,ξb,及びξd並びにa〜dと共に、排水管設備の立て管系の下端部(立て管系の中途部分に変形部を有する配管形態の場合は、排水管設備の立て管系の変形部の上側の部分における下端部)におけるパラメータp,q及び下端部以外の部分におけるパラメータp,qとが格納されている。
【0082】
なお、1つの階から与える負荷排水の負荷流量は、2.5L/sを上限とし、2.5L/sを越える負荷流量の負荷排水を与える場合には、連続する複数の階で夫々2.5L/sを上限として、負荷排水を与えることとしている。この場合の負荷位置は、負荷排水を与えた負荷位置の内の最上層階としている。また、これに限らず、1つの階から与える負荷排水の負荷流量の上限を、例えば3.0L/sとしてもよいし、上限を定めず、負荷位置から全ての負荷排水を与えることとしてもよい。
【0083】
本実施の形態1では、データベースDBには、排水用一般継手及び排水用特殊継手の2種類の継手の種類、並びに1.0,2.0,…,9.0L/sの9種類の負荷流量の夫々について分類されたパラメータが格納してある。なお、これらのパラメータはより細かく分類することが可能であり、例えば、排水用一般継手、排水用特殊継手の内の前述した排水を旋回させるための羽状部材を有する継手、及び排水用特殊継手の内の前述した特殊な管路形状としてある継手夫々を各種の管径毎に分類した複数種類の継手の種類、並びに1.0,2.0,…,15.0L/sの15種類の負荷流量の夫々についてパラメータを分類する等、更に詳細に分類してもよく、この分類が詳細である程、排水管内圧力の時間平均値の予測精度が向上する。
【0084】
図2、図3、及び図4は、本発明に係る標準偏差予測装置として機能するコンピュータ1のCPU11の実施の形態1の処理手順を示すフローチャートである。CPU11は、排水管内圧力を予測する排水管設備に使用される継手の種類、該排水管設備の配管形態、該排水管設備に与える負荷流量、該排水管設備に負荷排水を与えた上下方向の位置(以下、負荷位置という)である階、及び該排水管設備の各階層の高さの入力を受け付ける画面を、画像出力インタフェース16を介して画面表示装置4に表示させ(ステップ1)、入力インタフェース17を介して、入力装置51からのユーザの入力を受け付ける(ステップ2)。
【0085】
排水管設備の各階層は、その高さを異にしている場合がある。例えば、1階から2階の階層(1階の床から2階の床までの部分)の高さが3mであり、その他の部分(2階から3階、3階から4階、…)の各階層の高さが2.5mであるような場合である。ユーザは、各階層の高さを、継手種類、配管形態、及び負荷流量と共に入力装置51を用いて入力し、CPU11はこのような入力をステップ2にて受け付ける。また、入力を受け付ける画面は、排水管設備が立て管系の中途部分に変形部を有する配管形態である場合、排水管設備の各階層の高さの内、この変形部から上側の部分の各階層の高さだけを入力するように指示する画面となっており、この場合の入力の受付は、変形部から上側の部分の各階層の高さの入力を受け付けるようになっている。
【0086】
なお、CAD等で作成された配管図面を表すデータを、ハードディスク14又は他の記録媒体から読み出し、又は入力装置51にスキャナを有し、該スキャナによって配管図面を読みとってデータを作成し、パターンマッチング等の公知の技術を用いて、このようなデータから前記継手の種類、配管形態、負荷流量、及び各階層の高さを抽出する構成であってもよい。
【0087】
次に、排水管設備の立て管系の下端部から負荷位置までの距離(立て管系の中途部分に変形部を有する配管形態の場合は、排水管設備の立て管系の変形部の上側の部分における下端部から負荷位置までの距離)LWを、ステップ2にて入力を受け付けた各階層の高さの内、最下層階(立て管系の中途部分に変形部を有する配管形態の場合は、排水管設備の立て管系の変形部の上側の部分における最下層階)から負荷位置となる階までの階層の高さの総和として演算する(ステップ3)。
【0088】
次に、ステップ2にて入力を受け付けた継手の種類及び負荷流量に対応するパラメータを、継手の種類及び負荷流量を検索キーとしてデータベースDBを検索することによって取得する(ステップ4)。
【0089】
次に、ステップ4にて取得したパラメータξa,ξb,ξd,a〜d及びステップ3にて演算した距離LWを前述した式(1)〜(6)に適用し、通気流速Va、負荷位置xl (=0)の排水管内圧力の時間平均値Pa、排水管内圧力の時間平均値の最小値と前記時間平均値Paとの差分値Pb、負荷位置xl から排水管内圧力の時間平均値が前記時間平均値Paと同一となる上下方向の位置(以下、時間平均値同一位置という)までの距離L、時間平均値同一位置から、この排水管設備の立て管系の下端部までにおいて、排水管内圧力の時間平均値の変化が線形に変化するとみなしたときの、この部分での排水管内圧力の時間平均値の上下方向の位置に関する変化率CB、及び排水管内圧力の時間平均値が最大となる上下方向の位置(以下、時間平均値最大位置という)の排水管内圧力の時間平均値Pdを算出する(ステップ5)。
【0090】
なお、本実施の形態1においては、データベースDBから取得したパラメータ及び前記距離LWを、式(1)〜(6)に適用し、通気流速Vaを算出する構成としたが、これに限るものではなく、例えば、継手の種類及び負荷流量に対応する通気流量Vaをハードディスク14内のデータベースに予め格納しておき、継手の種類及び負荷流量を検索キーとして、前記データベースを検索することにより、通気流量Vaを求める構成等、他の構成によって通気流速Vaを求めることとしてもよい。
【0091】
次に、以下のようにして、ステップ2にて入力された種類の継手を用いた標準型配管の排水管設備における排水管内圧力の標準偏差を演算する。処理対象階を負荷位置となる階に設定し(ステップ6)、上下方向の位置xを0とし(ステップ7)、上下方向の位置x=0、即ち負荷位置における排水管内圧力の標準偏差σを0として(ステップ8)、これをRAM12に書き込む(ステップ9)。
【0092】
処理対象階を現在の処理対象階の1つ下側の階に設定し(ステップ10)、ステップ2にて入力を受け付けた階層の高さの内、処理対象階から処理対象階の1つ上側までの階層の高さと、現在のxとの和を、xに代入する(ステップ11)。x<LWを満たすか否かを判別し(ステップ12)、満たす場合は、位置x、ステップ4にてデータベースDBから取得した排水管設備の立て管系の下端部以外の部分(立て管系の中途部分に変形部を有する配管形態の場合は、排水管設備の立て管系の変形部の上側の部分における下端部以外の部分)におけるパラメータp,q、及びステップ5にて算出した通気流速Vaを前述した式(8),(9)に適用し、位置xにおける排水管内圧力の標準偏差σを算出し(ステップ13)、この結果をRAM12に書き込んで(ステップ14)、ステップ10へ戻る。
【0093】
ステップ12の条件を満たさない場合、即ちx=LWである場合は、位置x、ステップ4にてデータベースDBから読み出した排水管設備の立て管系の下端部におけるパラメータp,q、及び前記通気流速Vaを式(8),(9)に適用し、排水管設備の下端部(立て管系の中途部分に変形部を有する配管形態の場合は、排水管設備の立て管系の変形部の上側の部分における下端部)における排水管内圧力の標準偏差σを算出し(ステップ15)、この結果をRAM12に書き込む(ステップ16)。そして、ステップ2にて入力を受け付けた配管形態が、変形配管であるか否かを判別する(ステップ17)。ステップ17において、前記配管形態が標準型配管である場合は、ステップ33へ移る。
【0094】
ステップ17において、前記配管形態が変形配管である場合には、以下のようにして、ステップ2にて入力された種類の継手を用いた変形配管の排水管設備における排水管内圧力の標準偏差を演算する。まず、実験等によって求めたこの排水管設備の排水管内圧力の標準偏差の内の1つσ1と、この標準偏差σ1を得た上下方向の位置x1との入力を受け付ける画面を、画像出力インタフェース16を介して画面表示装置4に表示させ(ステップ18)、入力インタフェース17を介して、入力装置51からのユーザの入力を受け付ける(ステップ19)。次に、ステップ6〜16の処理で算出した標準偏差σの内、x=x1における標準偏差σ2をRAM12から読み出し(ステップ20)、ステップ19にて入力を受け付けた標準偏差σ1と、ステップ20にて読み出した標準偏差σ2との差分値Dを演算する(ステップ21)。
【0095】
なお、本実施の形態1においては、変形配管の排水管設備の排水管内圧力の標準偏差の内の1つσ1と、この標準偏差σ1を得た上下方向の位置x1とを、ユーザからの入力によって取得する構成としたが、これに限るものではなく、例えば、ハードディスク14に設けられたデータベースに、配管形態、該配管形態の前記標準偏差σ1、及び前記位置x1を対応付けて記憶しておき、このデータベースを配管形態を検索キーとして検索することによって、前記標準偏差σ1及び前記位置x1を取得する構成であってもよいことはいうまでもない。
【0096】
次に、変形配管の排水管設備における排水管内圧力の標準偏差σと、標準型配管の排水管設備における排水管内圧力の標準偏差σとの差分値σdを演算する(ステップ22)。具体的には、x=x1における差分値σdの値がステップ21にて演算したDとなり、x=0における差分値σdの値が0となるように、式(11)で与えられる定数m,nを求める。
【0097】
σd=m・x+n …(11)
【0098】
そして、演算結果をRAM12に書き込む(ステップ23)。処理対象階を負荷位置となる階に設定し(ステップ24)、x=0とし(ステップ25)、ステップ6〜16の処理で算出した標準偏差σの内の位置xにおける値をRAM12から読み出し(ステップ26)、ステップ22にて算出した差分値σdの内の位置xにおける値をRAM12から読み出し(ステップ27)、上下方向の位置xにおける変形配管の排水管設備の排水管内圧力の標準偏差σを、読み出した標準偏差σ及び読み出した差分値σdの和として(ステップ28)、この結果をRAM12に書き込む(ステップ29)。x<LWを満たすか否かを判別し(ステップ30)、満たす場合は、処理対象階を現在の処理対象階の1つ下側の階に設定し(ステップ31)、ステップ2にて入力を受け付けた階層の高さの内、処理対象階から処理対象階の1つ上側までの階層の高さと、現在のxとの和を、xに代入して(ステップ32)、ステップ26に戻る。ステップ30の条件を満たさない場合は、以上の処理によって得られた負荷位置から排水管設備の立て管系の下端部までの上下方向の位置xと排水管内圧力の標準偏差σとの関係を表す演算結果を、画像表示装置4に表示させ(ステップ33)、処理を終了する。
【0099】
図5は、本発明に係る標準偏差予測装置による予測結果と、実験結果との比較を表すグラフである。図5において、横軸は排水管内圧力の標準偏差を示し、縦軸は階(上下方向の位置)を示している。また図5では、特殊継手を使用した設備規模が16階の標準型配管の排水管設備に、6.0L/sの負荷流量の負荷排水を負荷位置を16階として与えた場合の比較結果を表している。図5において、排水管内圧力の標準偏差の実験結果は、16階部分(負荷位置)において排水管内圧力の標準偏差が略0Paであり、16階部分から2階部分まででは、位置が低くなると共に前記標準偏差が増加しており、2階部分における前記標準偏差は、略95Paとなっている。また、1階部分における前記標準偏差は、2階部分における前記標準偏差よりも若干減少している。本発明に係る標準偏差予測装置による排水管内圧力の時間平均値の予測結果は、実験結果と略同様の変化を示しており、実験結果とよく合致していることがわかる。
【0100】
(実施の形態2)
本実施の形態2に係る排水管内圧力の標準偏差予測装置は、データベースDBに、排水用一般継手及び排水用特殊継手の2種類の継手の種類、標準型配管及び変形配管の2種類の配管形態、並びに1.0,2.0,…,9.0L/sの9種類の負荷流量の夫々について分類されたパラメータが格納してある。一般的に、これらのパラメータは、継手種類、負荷流量だけでなく、配管形態によっても異なっている。従って、本実施の形態2では、継手種類、負荷流量だけでなく、標準型配管及び変形配管の2種類の配管形態によってもパラメータを分類してあり、これらをデータベースDBに格納する構成としてある。なお、これらのパラメータはより細かく分類することが可能であり、例えば、排水用一般継手、排水用特殊継手の内の前述した排水を旋回させるための羽状部材を有する継手、及び排水用特殊継手の内の前述した特殊な管路形状としてある継手夫々を各種の管径毎に分類した複数種類の継手の種類、標準型配管、横主管系の中途部分に上下のオフセットを有する配管形態、横主管系の中途部分が水平方向に90°屈曲された配管形態、及び立て管系の中途部分に横方向のオフセットを有する配管形態の4種類の配管形態、並びに1.0,2.0,…,15.0L/sの15種類の負荷流量の夫々についてパラメータを分類する等、更に詳細に分類してもよく、この分類が詳細である程、排水管内圧力の時間平均値の予測精度が向上する。
【0101】
実施の形態2に係る排水管内圧力の標準偏差予測装置のその他の構成は、実施の形態1に係る排水管内圧力の標準偏差予測装置の構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0102】
次に、本発明に係る標準偏差予測装置として機能するコンピュータ1の動作について説明する。図6、図7、及び図8は、本発明に係る標準偏差予測装置として機能するコンピュータ1のCPU11の実施の形態2の処理手順を示すフローチャートである。ステップ201〜203のCPU11の処理は、図2に示すステップ1〜3のCPU11の処理と同様であるので、その説明を省略する。
【0103】
次に、ステップ202にて入力を受け付けた継手の種類、配管形態、及び負荷流量に対応するパラメータを、継手の種類、配管形態、及び負荷流量を検索キーとしてデータベースDBを検索することによって取得する(ステップ204)。また、ステップ205のCPU11の処理は、図2に示すステップ5のCPU11の処理と同様であるので、その説明を省略する。
【0104】
次に、以下のようにして、ステップ202にて入力された種類の継手を用いた標準型配管の排水管設備(第2排水管)における係数(第2係数)ξsを演算する。処理対象階を負荷位置となる階に設定し(ステップ206)、上下方向の位置xを0とし(ステップ207)、上下方向の位置x=0、即ち負荷位置における係数ξsを0として(ステップ208)、これをRAM12に書き込む(ステップ209)。
【0105】
処理対象階を現在の処理対象階の1つ下側の階に設定し(ステップ210)、ステップ202にて入力を受け付けた階層の高さの内、処理対象階から処理対象階の1つ上側までの階層の高さと、現在のxとの和を、xに代入する(ステップ211)。x<LWを満たすか否かを判別し(ステップ212)、満たす場合は、位置x、ステップ204にてデータベースDBから取得した排水管設備の立て管系の下端部以外の部分(立て管系の中途部分に変形部を有する配管形態の場合は、排水管設備の立て管系の変形部の上側の部分における下端部以外の部分)におけるパラメータp,qを前述した式(9)に適用し、位置xにおける係数ξsを算出し(ステップ213)、この結果をRAM12に書き込んで(ステップ214)、ステップ210へ戻る。
【0106】
ステップ212の条件を満たさない場合、即ちx=LWである場合は、位置x、ステップ204にてデータベースDBから読み出した排水管設備の立て管系の下端部(立て管系の中途部分に変形部を有する配管形態の場合は、排水管設備の立て管系の変形部の上側の部分における下端部)におけるパラメータp,qを式(9)に適用し、排水管設備の下端部における係数ξsを算出し(ステップ215)、この結果をRAM12に書き込む(ステップ216)。そして、ステップ202にて入力を受け付けた配管形態が、変形配管であるか否かを判別する(ステップ217)。
【0107】
ステップ217において、前記配管形態が標準型配管である場合は、処理対象階を負荷位置となる階に設定し(ステップ218)、x=0とし(ステップ219)、ステップ206〜216の処理で算出した係数ξsの内、位置xにおける係数ξsをRAM12から読み出す(ステップ220)。読み出した係数ξsと、ステップ205にて算出した通気流速Vaとを前述した式(8)に適用し、位置xにおける排水管内圧力の標準偏差σを算出して(ステップ221)、この結果をRAM12に書き込む(ステップ222)。x<LWを満たすか否かを判別し(ステップ223)、満たす場合は、処理対象階を現在の処理対象階の1つ下側の階に設定し(ステップ224)、ステップ202にて入力を受け付けた階層の高さの内、処理対象階から処理対象階の1つ上側までの階層の高さと、現在のxとの和を、xに代入して(ステップ225)、ステップ220に戻る。ステップ223の条件を満たさない場合は、ステップ245へ移る。
【0108】
ステップ217において、前記配管形態が変形配管である場合には、以下のようにして、ステップ202にて入力された種類の継手を用いた変形配管の排水管設備における排水管内圧力の標準偏差を演算する。ステップ226,227のCPU11の処理は、図3に示すステップ18,19のCPU11の処理と同様であるので、その説明を省略する。次に、ステップ227にて入力を受け付けた標準偏差σ1と、ステップ205にて算出した通気流速Vaとを、前述した式(10)に適用し、ステップ202にて入力された種類の継手を用いた変形配管の排水管設備(第1排水管)でのx=x1における係数(第1係数)ξs(以下、ξs1という)を算出する(ステップ228)。そして、ステップ206〜216の処理で算出した係数ξsの内、x=x1における係数ξs(以下、ξs2という)をRAM12から読み出し(ステップ229)、ステップ228にて算出した係数ξs1と、ステップ229にて読み出した係数ξs2との差分値Δを演算する(ステップ230)。
【0109】
次に、変形配管の排水管設備における係数ξsと、標準型配管の排水管設備における係数ξsとの差分値ξsdを演算する(ステップ231)。具体的には、x=x1における差分値ξsdの値がステップ230にて演算した差分値Δとなり、x=0における差分値ξsdの値が0となるように、式(12)で与えられる定数m1,n1を求める。
【0110】
ξsd=m1・x+n1 …(12)
【0111】
そして、演算結果をRAM12に書き込む(ステップ232)。処理対象階を負荷位置となる階に設定し(ステップ233)、x=0とし(ステップ234)、ステップ206〜216の処理で算出した係数ξsの内の位置xにおける値をRAM12から読み出し(ステップ235)、ステップ231にて算出した差分値ξsdの内の位置xにおける値をRAM12から読み出し(ステップ236)、上下方向の位置xにおける変形配管の排水管設備の係数ξsを、読み出した通気抵抗計数ξs及び読み出した差分値ξsdの和とする(ステップ237)。そして、ステップ237にて算出した係数ξsと、ステップ205にて算出した通気流速Vaとを前述した式(8)に適用し、位置xにおける排水管内圧力の標準偏差σを算出して(ステップ238)、この結果をRAM12に書き込む(ステップ239)。x<LWを満たすか否かを判別し(ステップ240)、満たす場合は、処理対象階を現在の処理対象階の1つ下側の階に設定し(ステップ241)、ステップ202にて入力を受け付けた階層の高さの内、処理対象階から処理対象階の1つ上側までの階層の高さと、現在のxとの和を、xに代入して(ステップ242)、ステップ235に戻る。ステップ240の条件を満たさない場合は、以上の処理によって得られた負荷位置から排水管設備の立て管系の下端部までの上下方向の位置xと排水管内圧力の標準偏差σとの関係を表す演算結果を、画像表示装置4に表示させ(ステップ243)、処理を終了する。
【0112】
なお、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構造に限定されるものではない。
【0113】
【発明の効果】
以上詳述した如く、第1、第8、及び第15発明による場合は、排水管設備を構成する複数の部分が夫々原因となって発生する排水管内圧力の変動夫々に対して、上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差を予測し、各部分毎に予測した排水管内圧力の標準偏差を、対応する上下方向の各位置で加算し、この結果を排水管設備全体の排水管内圧力の標準偏差として予測することによって、排水管内圧力の標準偏差を得るため、実験用の排水管設備を組み立て、これを用いて実験を行う必要がなく、排水管内圧力の標準偏差を得るために必要な手間及びコストを大幅に削減することが可能となる。
【0114】
また、排水管内圧力の時間最大値及び時間最小値は、排水管内圧力の標準偏差に応じて変化する。つまり、排水管内圧力の標準偏差が小さい程、前記時間最大値及び時間最小値の差が小さくなる。このため、圧力標準偏差を小さくなるように、排水管設備の設計を行うことにより、ひいては排水管設備の排水管内圧力の時間最大値及び時間最小値の差を小さくすることができ、トラップの破封を防止することができる。従って、排水管内圧力の標準偏差を予測することによって、この予測結果を、排水管設備の設計の適否の検証に利用することができる。
【0115】
第2、第9、及び第16発明による場合は、第2排水管での排水管内圧力の標準偏差を予測し、第1排水管及び第2排水管備の夫々の排水管内圧力の標準偏差の上下方向の各位置での差分値を予測し、予測した第2排水管での排水管内圧力の標準偏差と、前記差分値とを、上下方向の各位置で加算し、この結果を第1排水管での排水管内圧力の標準偏差とすることにより、第1排水管での排水管内圧力の標準偏差を得るため、実験用の第1排水管を組み立て、これを用いて実験を行う必要がなく、第1排水管での排水管内圧力の標準偏差を得るために必要な手間及びコストを大幅に削減することが可能となる。
【0116】
第3及び第10発明による場合は、前述した式(8),(9)にしたがって、第2排水管の上下方向の各位置における排水管内圧力の標準偏差を求める。第2排水管での排水管内圧力の標準偏差は、式(8),(9)によって近似することができるため、このようにすることによって、第2排水管での排水管内圧力の標準偏差を正確に予測することができる。
【0117】
第4及び第11発明による場合は、第1排水管及び第2排水管の上下方向の1つの位置での夫々の排水管内圧力の標準偏差の差分値を求める。第1排水管及び第2排水管の上下方向の各位置での夫々の排水管内圧力の差分値は、上下方向の位置に応じて線形に変化するため、負荷位置での前記差分値は0であることから、上下方向の1つの位置での前記差分値から上下方向の各位置での前記差分値を予測することができる。このため、前記1つの位置での前記差分値を、実験等によって求めることにより、第2排水管での排水管内圧力の標準偏差を予測することができる。
【0118】
第5、第12、及び第17発明による場合は、第2排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差から前記第2排水管の通気流速を取り除いた成分を表す第2係数を予測し、第1排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差から前記第1排水管の通気流速を取り除いた成分を表す第1係数及び前記第2係数の上下方向の各位置での差分値を予測し、前記第1係数をこれらの上下方向各位置での和として求め、第1係数及び第1排水管の通気流速から、第1排水管の排水管内圧力の標準偏差を予測する。係数ξsは、標準偏差σから通気流速Vaの成分を取り除いた数値とみなすことができ、このような係数ξsを用いて、第1排水管の排水管内圧力の標準偏差を予測することにより、第1排水管及び第2排水管の夫々の通気流速の相違によって発生する前記標準偏差の誤差をなくすことができ、更に正確に第1排水管の排水管内圧力の標準偏差を予測することが可能となる。
【0119】
第6及び第13発明による場合は、前述した式(9)にしたがって、第2排水管の上下方向の各位置における係数ξsを求める。第2排水管の係数ξsは、式(9)によって近似することができるため、このようにすることによって、第2排水管の係数ξsを正確に予測することができる。
【0120】
第7及び第14発明による場合は、上下方向の1つの位置での第1係数及び第2係数の差分値を求める。上下方向の各位置での第1係数及び第2係数の差分値は、上下方向の位置に応じて線形に変化するため、負荷位置での前記差分値は0であることから、上下方向の1つの位置での前記差分値から上下方向の各位置での前記差分値を予測することができる。このため、実験等により前記1つの位置での第1排水管の排水管内圧力の標準偏差を得、これと第1排水管における通気流速とによって前記1つの位置での第1係数を求め、この第1係数と、予測した第2係数とによって、前記1つの位置での前記差分値を求めることにより、第2排水管での排水管内圧力の標準偏差を予測することができる等、本発明は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る排水管内圧力の標準偏差予測装置の実施の形態1の要部の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る標準偏差予測装置として機能するコンピュータのCPUの実施の形態1の処理手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明に係る標準偏差予測装置として機能するコンピュータのCPUの実施の形態1の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明に係る標準偏差予測装置として機能するコンピュータのCPUの実施の形態1の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明に係る標準偏差予測装置による予測結果と、実験結果との比較を表すグラフである。
【図6】本発明に係る標準偏差予測装置として機能するコンピュータのCPUの実施の形態2の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】本発明に係る標準偏差予測装置として機能するコンピュータのCPUの実施の形態2の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明に係る標準偏差予測装置として機能するコンピュータのCPUの実施の形態2の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】集合住宅における排水管設備の構成を示す模式図である。
【図10】図9に示す排水管設備に一定時間、一定流量の排水を流した場合の13階部分における排水管内圧力の経時的変化を示すグラフである。
【図11】図9に示す排水管設備に一定時間、一定流量の排水を流した場合の各階の排水管内圧力の時間平均値、時間最大値、及び時間最小値を示すグラフである。
【図12】排水管設備の配管形態を説明する説明図である。
【図13】標準型配管の排水管設備における排水管内圧力の標準偏差を示すグラフである。
【図14】標準型配管の排水管設備に対する実験結果を示すグラフである。
【図15】標準型配管の排水管設備に対する実験結果を示すグラフである。
【図16】変形配管の排水管設備における排水管内圧力の標準偏差を示すグラフである。
【符号の説明】
1 コンピュータ
11 CPU
12 RAM
13 外部記憶装置
14 ハードディスク
15 通信インタフェース
16 画像出力インタフェース
17 入力インタフェース
20 可搬型記録媒体
30 通信ネットワーク
31 接続装置
32 外部ネットワーク回線
DB データベース

Claims (17)

  1. 上下方向に設けられた立て管部を有する排水管に、一定流量の排水を与えた場合の前記排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差を予測する標準偏差予測方法であって、
    前記排水管を構成する複数の部分が夫々原因となって発生する排水管内圧力の変動夫々に対して、前記排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差を予測するステップ(S1〜16,S18〜23)と、該ステップ(S1〜16,S18〜23)で予測した夫々の排水管内圧力の標準偏差の上下方向の各位置での和を求め、該和を前記排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差とするステップ(S24〜32)とを有することを特徴とする標準偏差予測方法。
  2. 上下方向に設けられた立て管部と、該立て管部の下方に、該立て管部に交差する方向に設けられた少なくとも2つの横管部とを有する第1排水管に、一定流量の排水を与えた場合の第1排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差を予測する標準偏差予測方法であって、
    前記立て管部と、該立て管部の下方に、該立て管部に交差する方向に設けられた1つの横管部とを有する第2排水管に、前記一定流量の排水を与えた場合の前記第2排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差を予測する第1ステップ(S1〜16)と、前記第1排水管及び前記第2排水管の夫々の排水管内圧力の標準偏差の上下方向の各位置での差分値を予測する第2ステップ(S18〜23)と、前記第1ステップ(S1〜16)にて予測した排水管内圧力の標準偏差及び前記第2ステップ(S18〜23)にて予測した差分値の上下方向の各位置での和を求める第3ステップ(S24〜32)とを有することを特徴とする標準偏差予測方法。
  3. 前記第1ステップ(S1〜16)は、前記第2排水管内の通気流速Vaを予測するステップ(S5)と、予測した通気流速Vaを用いて、次式にしたがって第2排水管の排水管内圧力の標準偏差σを求めるステップ(S13,S15)とを有することを特徴とする請求項2記載の標準偏差予測方法。
    σ=ξs・Va2 ・γ/2g
    ξs=p・loge x−q
    但し、γ:空気の比重量
    g:重力加速度
    p,q:定数
    x:排水管の上下方向の位置
  4. 前記第2ステップ(S18〜23)は、前記第1排水管及び前記第2排水管の上下方向の1つの位置での夫々の排水管内圧力の標準偏差の差分値を求めるステップ(S21)と、前記第1排水管及び前記第2排水管の上下方向の各位置での夫々の排水管内圧力の標準偏差の差分値を、該差分値が上下方向の位置に応じて線形に変化するように、前記ステップ(S21)で求めた差分値から求めるステップ(S22)とを有することを特徴とする請求項2又は3記載の標準偏差予測方法。
  5. 上下方向に設けられた立て管部と、該立て管部の下方に、該立て管部に交差する方向に設けられた少なくとも2つの横管部とを有する第1排水管に、一定流量の排水を与えた場合の第1排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差を予測する標準偏差予測方法であって、
    前記立て管部と、該立て管部の下方に、該立て管部に交差する方向に設けられた1つの横管部とを有する第2排水管に、前記一定流量の排水を与えた場合の前記第2排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差から前記第2排水管の通気流速を取り除いた成分を表す第2係数を予測する第1ステップ(S201,S202,S204,S206〜216)と、前記第1排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差から前記第1排水管の通気流速を取り除いた成分を表す第1係数及び前記第2係数の上下方向の各位置での差分値を予測する第2ステップ(S201〜205,S226〜232)と、前記第1係数を、前記第1ステップ(S201,S202,S204,S206〜216)にて予測した第2係数及び前記第2ステップ(S201〜205,S226〜232)にて予測した差分値の上下方向の各位置での和として求める第3ステップ(S233〜237,S240〜242)と、該第3ステップ(S233〜237,S240〜242)にて求めた上下方向の各位置での第1係数及び前記第1排水管の通気流速に基づいて、前記第1排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差を求める第4ステップ(S233,S234,S238〜242)とを有することを特徴とする標準偏差予測方法。
  6. 前記第1ステップ(S201,S202,S204,S206〜216)は、次式にしたがって前記第2係数ξsを求める(S213,S215)ことを特徴とする請求項5記載の標準偏差予測方法。
    ξs=p・loge x−q
    但し、p,q:定数
    x:排水管の上下方向の位置
  7. 前記第2ステップ(S201〜205,S226〜232)は、上下方向の1つの位置での前記第1係数及び前記第2係数の差分値を求めるステップ(S230)と、上下方向の各位置での前記差分値を、該差分値が上下方向の位置に応じて線形に変化するように、前記ステップ(S230)で求めた差分値から求めるステップ(S231)とを有することを特徴とする請求項5又は6記載の標準偏差予測方法。
  8. 上下方向に設けられた立て管部を有する排水管に、一定流量の排水を与えた場合の前記排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差を予測する標準偏差予測装置であって、
    前記排水管を構成する複数の部分が夫々原因となって発生する排水管内圧力の変動夫々に対して、前記排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差を予測する予測手段(11,S1〜16,S18〜23)と、前記排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差を、前記予測手段(11,S1〜16,S18〜23)によって予測した夫々の排水管内圧力の標準偏差の上下方向の各位置での和として演算する演算手段(11,S24〜32)とを備えることを特徴とする標準偏差予測装置。
  9. 上下方向に設けられた立て管部と、該立て管部の下方に、該立て管部に交差する方向に設けられた少なくとも2つの横管部とを有する第1排水管に、一定流量の排水を与えた場合の第1排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差を予測する標準偏差予測装置であって、
    前記立て管部と、該立て管部の下方に、該立て管部に交差する方向に設けられた1つの横管部とを有する第2排水管に、前記一定流量の排水を与えた場合の前記第2排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差を予測する第1予測手段(11,S1〜16)と、前記第1排水管及び前記第2排水管の夫々の排水管内圧力の標準偏差の上下方向の各位置での差分値を予測する第2予測手段(11,S18〜23)と、前記第1予測手段(11,S1〜16)によって予測した排水管内圧力の標準偏差及び前記第2予測手段(11,S18〜23)によって予測した差分値の上下方向の各位置での和を演算する演算手段(11,S24〜32)とを備えることを特徴とする標準偏差予測装置。
  10. 前記第1予測手段(11,S1〜16)は、前記第2排水管内の通気流速Vaを予測する手段(11,S5)と、該手段(11,S5)によって予測した通気流速Vaを用いて、次式にしたがって第2排水管の排水管内圧力の標準偏差σを演算する手段(11,S13,S15)とを有することを特徴とする請求項9記載の標準偏差予測装置。
    σ=ξs・Va2 ・γ/2g
    ξs=p・loge x−q
    但し、γ:空気の比重量
    g:重力加速度
    p,q:定数
    x:排水管の上下方向の位置
  11. 前記第2予測手段(11,S18〜23)は、前記第1排水管及び前記第2排水管の上下方向の1つの位置での夫々の排水管内圧力の標準偏差の差分値を演算する手段(11,S21)と、前記第1排水管及び前記第2排水管の上下方向の各位置での夫々の排水管内圧力の標準偏差の差分値を、該差分値が上下方向の位置に応じて線形に変化するように、前記手段(11,S21)によって演算した差分値から演算する手段(11,S22)とを有することを特徴とする請求項9又は10記載の標準偏差予測装置。
  12. 上下方向に設けられた立て管部と、該立て管部の下方に、該立て管部に交差する方向に設けられた少なくとも2つの横管部とを有する第1排水管に、一定流量の排水を与えた場合の第1排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差を予測する標準偏差予測装置であって、
    前記立て管部と、該立て管部の下方に、該立て管部に交差する方向に設けられた1つの横管部とを有する第2排水管に、前記一定流量の排水を与えた場合の前記第2排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差から前記第2排水管の通気流速を取り除いた成分を表す第2係数を予測する第1予測手段(11,S201,S202,S204,S206〜216)と、前記第1排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差から前記第1排水管の通気流速を取り除いた成分を表す第1係数及び前記第2係数の上下方向の各位置での差分値を予測する第2予測手段(11,S201〜205,S226〜232)と、前記第1係数を、前記第1予測手段(11,S201,S202,S204,S206〜216)によって予測した第2係数及び前記第2予測手段(11,S201〜205,S226〜232)によって予測した差分値の上下方向の各位置での和として演算する第1演算手段(11,S233〜237,S240〜242)と、該第1演算手段(11,S233〜237,S240〜242)によって演算した第1係数及び前記第1排水管の通気流量に基づいて、前記第1排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差を演算する第2演算手段(11,S233,S234,S238〜242)とを備えることを特徴とする標準偏差予測装置。
  13. 前記第1予測手段(11,S201,S202,S204,S206〜216)は、次式にしたがって第前記第2係数ξsを演算すべくなしてある(S213,S215)ことを特徴とする請求項12記載の標準偏差予測装置。
    ξs=p・loge x−q
    但し、p,q:定数
    x:排水管の上下方向の位置
  14. 前記第2予測手段(11,S201〜205,S226〜232)は、上下方向の1つの位置での前記第1係数及び前記第2係数の差分値を演算する手段(11,S230)と、上下方向の各位置での前記差分値を、該差分値が上下方向の位置に応じて線形に変化するように、前記手段(11,S230)によって演算した差分値から演算する手段(11,S231)とを有することを特徴とする請求項12又は13記載の標準偏差予測装置。
  15. コンピュータ(1)に、上下方向に設けられた立て管部を有する排水管に、一定流量の排水を与えた場合の前記排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差を予測させるプログラムコード手段を有するプログラムが記録してあることを特徴とするコンピュータ(1)での読み取りが可能な記録媒体(12,14,20,34)であって、
    コンピュータ(1)に、前記排水管を構成する複数の部分が夫々原因となって発生する排水管内圧力の変動夫々に対して、前記排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差を予測させるプログラムコード手段(S1〜16,S18〜23)と、予測した夫々の排水管内圧力の標準偏差の上下方向の各位置での和を、前記排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差として演算させるプログラムコード手段(S24〜32)とを有するプログラムが記録してあることを特徴とするコンピュータ(1)での読み取りが可能な記録媒体(12,14,20,34)。
  16. コンピュータ(1)に、上下方向に設けられた立て管部と、該立て管部の下方に、該立て管部に交差する方向に設けられた少なくとも2つの横管部とを有する第1排水管に、一定流量の排水を与えた場合の第1排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差を予測させるプログラムコード手段を有するプログラムが記録してあることを特徴とするコンピュータ(1)での読み取りが可能な記録媒体(12,14,20,34)であって、
    コンピュータ(1)に、前記立て管部と、該立て管部の下方に、該立て管部に交差する方向に設けられた1つの横管部とを有する第2排水管に、前記一定流量の排水を与えた場合の前記第2排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差を予測させるプログラムコード手段(S1〜16)と、前記第1排水管及び前記第2排水管の夫々の排水管内圧力の標準偏差の上下方向の各位置での差分値を予測させるプログラムコード手段(S18〜23)と、予測した前記排水管内圧力の標準偏差及び予測した前記差分値の上下方向の各位置での和を演算させるプログラムコード手段(S24〜32)とを有するプログラムが記録してあることを特徴とするコンピュータ(1)での読み取りが可能な記録媒体(12,14,20,34)。
  17. コンピュータ(1)に、上下方向に設けられた立て管部と、該立て管部の下方に、該立て管部に交差する方向に設けられた少なくとも2つの横管部とを有する第1排水管に、一定流量の排水を与えた場合の第1排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差を予測させるプログラムコード手段を有するプログラムが記録してあることを特徴とするコンピュータ(1)での読み取りが可能な記録媒体(12,14,20,34)であって、
    コンピュータ(1)に、前記立て管部と、該立て管部の下方に、該立て管部に交差する方向に設けられた1つの横管部とを有する第2排水管に、前記一定流量の排水を与えた場合の前記第2排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差から前記第2排水管の通気流速を取り除いた成分を表す第2係数を予測させるプログラムコード手段(S201,S202,S204,S206〜216)と、前記第1排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差から前記第1排水管の通気流速を取り除いた成分を表す第1係数及び前記第2係数の上下方向の各位置での差分値を予測させるプログラムコード手段(S201〜205,S226〜232)と、前記第1係数を、予測した第2係数及び予測した差分値の上下方向の各位置での和として演算させるプログラムコード手段(S233〜237,S240〜242)と、演算した上下方向の各位置での第1係数及び前記第1排水管の通気流量に基づいて、前記第1排水管の上下方向の各位置での排水管内圧力の標準偏差を演算させるプログラムコード手段(S233,S234,S238〜242)とを有するプログラムが記録してあることを特徴とするコンピュータ(1)での読み取りが可能な記録媒体(12,14,20,34)。
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