JP3650200B2 - キノキサリン系化合物を用いた有機el用素子 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、有機EL(電界発光)素子に関し、さらに詳しくは、有機化合物からなる積層構造薄膜に電界を印加して光を放出する素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機EL素子は、陰極と陽極の間に蛍光性有機化合物を含む薄膜を挟んだ構造を有し、この薄膜に電界をかけることにより光を放出する素子である。発光効率を増大させるために発光層の陽極側に正孔注入輸送層、陰極側に電子注入輸送層等を設けた積層構造を持つ素子の研究が盛んに行われているが、発光寿命、保存耐久性、信頼性の問題などが依然解決されていない。これまでにキノキサリン化合物を有機EL素子の構成成分とした例として、米国特許第5077142 号明細書、特開平6-207169号公報、特開平7-53956 号公報等がある。米国特許第5077142 号明細書で開示された2,3−ジフェニルキノキサリンの場合は、アモルファス性の低さのため薄膜の結晶化が起こり、寿命の問題を解決できなかった。特開平6-207169号公報で開示されたキノキサリンないしキノキサリン誘導体が直接あるいは連結基を介して結合した化合物は、アモルファス性は向上しているものの、キノキサリン環の5〜8位(ベンゼン環側)同士で連結した構造のもののみであり、多種多様な有機EL用材料に組み合わせて用いることができない。特開平7-53956 号公報に開示されたキノキサリンポリマ−の場合には、アモルファス性は高いが、重合度のコントロールが難しく、成膜の膜制御が難しい等の問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、数多くの有機EL用材料、電極材料に組み合わせて用いることのできる有機EL用材料として、キノキサリン系化合物を用い、物理的変化や光化学的変化、電気化学的変化が少なく、高信頼性を持つ有機EL素子を実現することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(11)の本発明により達成される。
(1)下記式(I)で表されるキノキサリン系化合物を含有する少なくとも1層の有機化合物層を有するキノキサリン系化合物を用いた有機EL素子。
n −L (I)
[式(I)において、Qは窒素原子を0〜2個含む六員芳香環が縮合したピラジニル基を表し、nは2または3であり、Qは各々同一でも異なるものであってもよい。Lはn価の基を表す。ただし、nが2であって、2個のQがキノキサリニル基であるとき、少なくとも一方は2−キノキサリニル基または3−キノキサリニル基である。]
(2)前記六員芳香環が、ベンゼン環、ピリジン環、ピリミジン環またはピリダジン環である上記(1)のキノキサリン系化合物を用いた有機EL素子。
(3)前記Lがアレーンジイル基、アレーントリイル基、窒素原子またはトリアリールアミントリイル基である上記(1)または(2)のキノキサリン系化合物を用いた有機EL素子。
(4)前記Lがフェニレン基、ビフェニルジイル基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、ピレンジイル基、ベンゼントリイル基、窒素原子またはトリフェニルアミントリイル基である上記(1)〜(3)のいずれかのキノキサリン系化合物を用いた有機EL素子。
(5)前記キノキサリン系化合物が下記式(II)で表される上記(1)〜(4)のいずれかのキノキサイリン系化合物を用いた有機EL素子。
【0005】
【化6】
Figure 0003650200
【0006】
[式(II)において、Zはピラジン環の2個の炭素原子とともにベンゼン環、ピリジン環、ピリミジン環またはピリダジン環を形成するのに必要な原子群を表す。Rはピラジン環に結合する1価の置換基を表し、kは0、1または2である。nは2または3である。nが2のときLはフェニレン基、ビフェニルジイル基またはナフタレンジイル基を表し、nが3のときLはベンゼントリイル基、窒素原子またはトリフェニルアミントリイル基を表す。Zで完成される縮合環は各々同一でも異なるものであってもよく、縮合ピラジン環におけるLとの結合位置はいずれであってもよい。ただし、nが2であって、2個の縮合ピラジン環がキノキサリン環であるとき、少なくとも一方はLと2位または3位で結合し、このようなキノキサリン環でのkは0または1である]
(6)前記キノキサリン系化合物が下記式(III) 〜(XIV) で表されるキノキサリン系化合物を用いた上記(1)〜(5)のいずれかのキノキサリン系化合物を用いた有機EL素子。
【0007】
【化7】
Figure 0003650200
【0008】
【化8】
Figure 0003650200
【0009】
【化9】
Figure 0003650200
【0010】
【化10】
Figure 0003650200
【0011】
[式(III) 〜(VIII)において、L1 はフェニレン基、ビフェニルジイル基またはナフタレンジイル基を表し、R13、R15、R16、R17、R18、R23、R25、R26、R27およびR28は各々水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基または複素環基を表し、各式中においてこれらは同一でも異なるものであってもよい。式(III) 中R15〜R18およびR25〜R28のなかの隣接するもの同士、式(IV)中R16〜R18およびR26〜R28のなかの隣接するもの同士、式(V)中R17とR18およびR27とR28、ならびに式(VII) 中R17とR18およびR27とR28は各々互いに結合して環を形成してもよい。
式(IX)〜(XIV) において、L2 はベンゼントリイル基、窒素原子またはトリフェニルアミントリイル基を表し、R13、R15、R16、R17、R18、R23、R25、R26、R27、R28、R33、R35、R36、R37およびR38は各々水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基または複素環基を表し、各式中においてこれらは同一でも異なるものであってもよい。式(IX)中R15〜R18、R25〜R28およびR35〜R38のなかの隣接するもの同士、式(X)中R16〜R18、R26〜R28およびR36〜R38のなかの隣接するもの同士、式(XI)中R17とR18、R27とR28およびR37とR38、ならびに式(XIII)中R17とR18、R27とR28およびR37とR38は各々互いに結合して環を形成してもよい。]
(7)前記キノキサリン系化合物を含有する有機化合物層が電子注入層、電子輸送層または電子注入輸送層であり、さらに発光層を有する上記(1)〜(6)のいずれかのキノキサリン系化合物を用いた有機EL素子。
(8)さらに、正孔注入層、正孔輸送層および正孔注入輸送層のなかの少なくとも1層を有する上記(7)のキノキサリン系化合物を用いた有機EL素子。
(9)前記キノキサリン系化合物を含有する有機化合物層が発光層である上記(1)〜(6)のいずれかのキノキサリン系化合物を用いた有機EL素子。
(10)さらに、電子注入層、電子輸送層および電子注入輸送層のなかの少なくとも1層と、正孔注入層、正孔輸送層および正孔注入輸送層のなかの少なくとも1層とを有する上記(9)のキノキサリン系化合物を用いた有機EL素子。
(11)少なくとも1層の発光層を有し、この発光層が電子注入輸送性化合物と正孔注入輸送性化合物との混合層であって、この混合層が前記キノキサリン系化合物を含有する上記(1)〜(6)のいずれかのキノキサリン系化合物を用いた有機EL素子。
【0012】
【作用】
本発明に用いるキノキサリン系化合物は、分子量500〜2000程度、250〜500℃の融点を有し、90〜200℃のガラス転移温度(Tg)を示す。この結果、通常の真空蒸着等により透明で室温以上でも安定なアモルファス状態の平滑で良好な膜を形成し、しかもその良好な膜の状態が長期間に渡って維持される。
【0013】
本発明に用いるキノキサリン系化合物は、キノキサリンないしキノキサリン類似の複素環構造内の窒素原子の数と位置の違いにより、それぞれ異なる電子受容性を持っているため、これらの化合物のなかから適宜選択して用いれば、特性設計の幅が広く、電子注入性を任意の値に設計できるので、積層・混合素子の設計に最適の化合物を得ることができる。特に、電子注入層、電子輸送層、電子注入輸送層や発光層に用いることが好ましい。
【0014】
なお、特開平6−207169号公報には、キノキサリンないしキノキサリン誘導体が直接あるいは連結基を介して結合した化合物が開示されている。しかし、このものは、キノキサリン環同士あるいはキノキサリン環と連結基とのキノキサリン環における結合位置が5〜8位のいずれかであり、本発明に用いるキノキサリン系化合物とは明らかに異なる構造のものである。
【0015】
また、本発明に用いるキノキサリン系化合物は、上記公報のキノキサリン化合物に比べ、構造を選べば、光吸収によるエネルギー準位のバンドギャップを広くすることができ、より短波長域(青色〜紫色)の発光も得られる。またスペクトル巾がシャープになる。このため、発光層に用いたとき、より短波長の発光が得られる。また、発光層も含め発光層以外の有機化合物層に用いたとき、発光効率が向上し、素子の駆動電圧が低下する。
【0016】
【具体的構成】
以下、本発明の具体的構成について詳細に説明する。
【0017】
本発明に用いるキノキサリン系化合物は、下記式(I)で表される。
n −L (I)
【0018】
式(I)について説明すると、Qは窒素原子を0〜2個含む六員芳香環が縮合したピラジニル基を表す。nは2または3であり、この場合のn個のQは各々同一でも異なるものであってもよい。Qを形成する六員芳香環としてはベンゼン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環等が好ましい。このような六員芳香環とピラジン環との縮合位置には特に制限はないが、縮合位置には炭素原子が存在することが好ましく、窒素原子は存在しない方が好ましい。したがって、ピラジン環では位置番号2,3の辺または位置番号5,6の辺で縮合することが好ましく、ピリジン環では位置番号2,3(もしくは5,6)の辺または位置番号3,4(もしくは4,5)の辺、ピリミジン環では位置番号4,5(もしくは5,6)の辺、ピリダジン環では位置番号3,4(もしくは5,6)の辺または位置番号5,4の辺で縮合することが好ましい。
【0019】
Lはn価の基、すなわち2価または3価の基を表す。2価の基としてはアレーンジイル基が好ましく、具体的にはフェニレン基、ビフェニルジイル基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、ピレンジイル基等が好ましく挙げられ、3価の基としてはアレーントリイル基(具体的にはベンゼントリイル基等)、窒素原子、トリアリールアミントリイル基(具体的にはトリフェニルアミントリイル基等)などが好ましい。
【0020】
QおよびLは各々さらに置換基を有していてもよく、このような置換基としてはQを含むものであってもよく、1分子中のQの総数は2〜10個が好ましく、さらには2〜4個が好ましい。
【0021】
このように2個以上存在するQは各々同一でも異なるものであってもよいが、合成上の便宜等からは通常同一であることが好ましい。
【0022】
本発明に用いる式(I)で表されるキノキサリン系化合物のなかでも式(II)[前記化6に掲載]で表される化合物が好ましい。
【0023】
式(II)について説明すると、式(II)において、Zはピラジン環の2個の炭素原子とともにベンゼン環、ピリジン環、ピリミジン環またはピリダジン環を形成するのに必要な原子群を表す。
【0024】
Zで完成される環は、さらに置換基を有していてもよく、縮合環を有していてもよい。Zで完成される環のピラジン環に対する好ましい縮合位置は式(I)の説明で示したものと同様のものが挙げられる。
【0025】
Rはピラジン環に結合する1価の置換基を表し、kは0、1または2である。Zで完成される環の置換基やRで表される置換基の好適例は、後述の式(III) 〜式(XIV) におけるR13等と同じであるので、そこで詳述する。
【0026】
nは2または3である。nが2のときLはフェニレン基、ビフェニルジイル基またはナフタレンジイル基を表し、nが3のときLはベンゼントリイル基、窒素原子またはトリフェニルアミントリイル基を表し、これらについても式(III) 〜式(XIV) のところで詳述する。
【0027】
Zで完成される縮合環は各々同一であっても異なるものであってもよいが、式(I)のところでの説明と同様に同一であることが好ましい。
【0028】
Zで完成される環を有する縮合ピラジン環におけるLとの結合位置はいずれであってもよいが、いずれの場合もピラジン環側で結合することが好ましい。なお、nが2であって、2個の縮合ピラジン環がキノキサリン環であるとき、少なくとも一方はLと2位または3位で結合し、この場合のkは0または1である。
【0029】
式(II)で表されるキノキサリン系化合物のなかでも式(III) 〜式(XIV) で表される化合物が好ましい。
【0030】
まず、Lが2価基L1 である場合の式(III) 〜(VIII)について説明する。式(III) 〜式(VIII)において、L1 はフェニレン基、ビフェニルジイル基またはナフタレンジイル基を表す。
【0031】
1 で表されるフェニレン基としては、o−、m−、p−フェニレン基のいずれであってもよいが、特にp−フェニレン基が好ましい。
【0032】
1 で表されるビフェニルジイル基としては、4,4’−ビフェニル−1,1’−ジイル基等が好ましい。
【0033】
1 で表されるナフタレンジイル基としては、1,5−ナフタレンジイル基等が好ましい。
【0034】
これらの2価基は無置換のものが好ましいが、場合によってはアルキル基、アリール基等の置換基を有していてもよい。
【0035】
式(III) 中のR13、R15〜R18、R23、R25〜R28、式(IV)中のR13、R16〜R18、R23、R26〜R28、式(V) 中のR13、R15、R17、R18、R23、R25、R27、R28、式(VI)中のR13、R16、R18、R23、R26、R28、式(VII) 中のR13、R17、R18、R23、R27、R28、式(VIII)中のR13、R15、R18、R23、R25、R28は、各々水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基または複素環基を表し、各式中においてこれらは同一でも異なるものであってもよい。
【0036】
13等で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子等が挙げられる。
【0037】
13等で表されるアルキル基は総炭素数1〜6のものが好ましく、直鎖状であっても分岐を有するものであってもよい。また無置換のものが好ましいが、置換基(例えばF、Cl等のハロゲン原子)を有していてもよい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。
【0038】
13等で表されるアリール基は総炭素数6〜30のものが好ましく、単環であっても多環(縮合多環や環集合)であってもよく、置換基を有していてもよい。置換基としては、例えばF、Cl等のハロゲン原子やメチル基等のアルキル基などのほか、複素環基等も挙げられ、この場合の複素環基は、例えば式(III) におけるキノキサリニル基のように、L1 に結合する縮合ピラジニル基と同一のものが好ましい。R13等のアリール基の具体例としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−ビフェニリル基、3−ビフェニリル基、4−ビフェニリル基等、さらにはこれらにキノキサリニル基等の縮合ピラジニル基が置換したものなどが挙げられる。
【0039】
13等で表されるアルコキシ基は、アルキル部分の炭素数が1〜6のものが好ましく、置換基を有していてもよいが、無置換のものが好ましい。具体的にはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられる。
【0040】
13等で表されるアリーロキシ基としては、フェノキシ基等が挙げられる。
【0041】
13等で表されるアミノ基は置換基を有していてもよく、置換基としてはアルキル基、アリール基等が挙げられる。具体的にはアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基等が挙げられる。
【0042】
13等で表されるアルキルチオ基としてはメチルチオ基、エチルチオ基等が挙げられる。
【0043】
13等で表されるアリールチオ基としてはフェニルチオ基等が挙げられる。
【0044】
13等で表される複素環基としてはフルリ基、チェニル基、ピロール基、ピリジル基、キノリル基等が挙げられる。このほか、式(III) におけるキノキサリニル基のようなL1 に結合するものと同じ縮合ピラジニル基であってもよい。
【0045】
式(III) において、R15〜R18、R25〜R28のなかの隣接するもの同士、
式(IV)において、R16〜R18、R26〜R28のなかの隣接するもの同士、
式(V) において、R17とR18、R27とR28
式(VII) において、R17とR18、R27とR28は、各々互いに結合して環を形成してもよい。この場合の環としては、ベンゼン環等が好ましく、さらには形成されるベンゼン環同士が縮合していてもよく、これらによって形成されたベンゼン環はさらに縮合環を有していてもよい。
【0046】
式(III) 〜式(VIII)において、R13、R23はアリール基などが好ましい。また、式(III) のR15〜R18、R25〜R28は水素原子、アルキル基、アルコキシ基あるいは隣接するもの同士が結合してベンゼン環を形成するものなどが好ましい。また、式(IV)のR16〜R18、R26〜R28、式(V) のR15、R17、R18、R25、R27、R28、式(VI)のR16、R18、R26、R28、式(VII) のR17、R18、R27、R28、式(VIII)のR15、R18、R25、R28は各々水素原子などであることが好ましい。
【0047】
次に、Lが3価基L2 である場合の式(IX)〜式(XIV) について説明する。式(IX)〜式(XIV) において、L2 はベンゼントリイル基、窒素原子またはトリフェニルアミントリイル基を表す。
【0048】
2 で表されるベンゼントリイル基としては1,3,5−ベンゼントリイル基等が好ましい。
【0049】
2 で表されるトリフェニルアミントリイル基としては4,4’,4”−トリフェニル−1,1’,1”−トリイル基等が好ましい。
【0050】
これらの3価基は無置換のものが好ましいが、場合によってはアルキル基、アリール基等の置換基を有していてもよい。
【0051】
式(IX)中のR13、R15〜R18、R23、R25〜R28、R33、R35〜R38、式(X) 中のR13、R16〜R18、R23、R26〜R28、R33、R36〜R38、式(XI)中のR13、R15、R17、R18、R23、R25、R27、R28、R33、R35、R37、R38
式(XII) 中のR13、R16、R18、R23、R26、R28、R33、R36、R38
式(XIII)中のR13、R17、R18、R23、R27、R28、R33、R37、R38
式(XIV) 中のR13、R15、R18、R23、R25、R28、R33、R35、R38は、各々水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基または複素環基を表し、各式中においてこれらは同一でも異なるものであってもよい。これらの基の具体例としては式(III) 〜式(VIII)のところで挙げたものと同様のものが挙げられる。また、式(IX)において、R15〜R18、R25〜R28、R35〜R38のなかの隣接するもの同士、式(X) において、R16〜R18、R26〜R28、R36〜R38のなかの隣接するもの同士、
式(XI)において、R17とR18、R27とR28、R37とR38
式(XIII)において、R17とR18、R27とR28、R37とR38は、各々互いに結合して環を形成してよく、具体例としては式(III) 〜式(XIV) のところのものと同様のものが挙げられる。また、式(III) 〜(XIV) において、R13、R23、R33としては、水素原子、フェニル基等のアリール基などが好ましい。
【0052】
また、式(IX)のR15〜R18、R25〜R28、R35〜R38は水素原子あるいは隣接するもの同士が結合してベンゼン環を形成するものなどが好ましい。
【0053】
また、式(X) のR16〜R18、R26〜R28、R36〜R38
式(XI)のR15、R17、R18、R25、R27、R28、R35、R37、R38
式(XII) のR16、R18、R26、R28、R36、R38
式(XIII)のR17、R18、R27、R28、R37、R38
式(XIV) のR15、R18、R25、R28、R35、R38は各々水素原子などであることが好ましい。
【0054】
以下に、本発明に好ましく用いられる式(I) で表されるキノキサリン系化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。ここでは、式(III) 〜式(XIV) 中のL1 、L2 、R13等の組み合わせで表示し、R13とR23が異なるときは表中で別々に示している。なお、式(III) 〜式(XIV) での表示は代表例であり、実際得られる化合物は、通常、合成経路上、構造異性体の混合物であるので、これらの表示は対応する構造異性体を含む趣旨である。
【0055】
【化11】
Figure 0003650200
【0056】
【化12】
Figure 0003650200
【0057】
【化13】
Figure 0003650200
【0058】
【化14】
Figure 0003650200
【0059】
【化15】
Figure 0003650200
【0060】
【化16】
Figure 0003650200
【0061】
【化17】
Figure 0003650200
【0062】
【化18】
Figure 0003650200
【0063】
【化19】
Figure 0003650200
【0064】
【化20】
Figure 0003650200
【0065】
【化21】
Figure 0003650200
【0066】
【化22】
Figure 0003650200
【0067】
【化23】
Figure 0003650200
【0068】
【化24】
Figure 0003650200
【0069】
【化25】
Figure 0003650200
【0070】
【化26】
Figure 0003650200
【0071】
【化27】
Figure 0003650200
【0072】
【化28】
Figure 0003650200
【0073】
【化29】
Figure 0003650200
【0074】
【化30】
Figure 0003650200
【0075】
【化31】
Figure 0003650200
【0076】
【化32】
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【0077】
【化33】
Figure 0003650200
【0078】
【化34】
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【0079】
【化35】
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【0080】
【化36】
Figure 0003650200
【0081】
【化37】
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【0082】
【化38】
Figure 0003650200
【0083】
【化39】
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【0084】
【化40】
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【0085】
【化41】
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【0086】
【化42】
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【0087】
【化43】
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【0088】
【化44】
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【0089】
【化45】
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【0090】
【化46】
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【0091】
【化47】
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【0092】
【化48】
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【0093】
【化49】
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【0094】
【化50】
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【0095】
【化51】
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【0096】
【化52】
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【0097】
【化53】
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【0098】
【化54】
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【0099】
【化55】
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【0100】
【化56】
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【0101】
【化57】
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【0102】
【化58】
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【0103】
【化59】
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【0104】
【化60】
Figure 0003650200
【0105】
【化61】
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【0106】
【化62】
Figure 0003650200
【0107】
【化63】
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【0108】
【化64】
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【0109】
【化65】
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【0110】
【化66】
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【0111】
【化67】
Figure 0003650200
【0112】
【化68】
Figure 0003650200
【0113】
【化69】
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【0114】
【化70】
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【0115】
【化71】
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【0116】
【化72】
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【0117】
【化73】
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【0118】
【化74】
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【0119】
【化75】
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【0120】
【化76】
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【0121】
【化77】
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【0122】
【化78】
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【0123】
【化79】
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【0124】
【化80】
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【0125】
【化81】
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【0126】
【化82】
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【0127】
【化83】
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【0128】
【化84】
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【0129】
【化85】
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【0130】
【化86】
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【0131】
【化87】
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【0132】
【化88】
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【0133】
【化89】
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【0134】
【化90】
Figure 0003650200
【0135】
【化91】
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【0136】
このようなキノキサリン系化合物は、
(1)ジアミノベンゼンやその誘導体、ジアミノピリジンやその誘導体、ジアミノピリミジンやその誘導体、ジアミノピリダジンやその誘導体等をハロゲン化ジケトン化合物と縮合した後、1,5−シクロオクタジエン等のNi錯体などを用いてカップリングする方法、
(2)ジアミノベンゼンやその誘導体、ジアミノピリジンやその誘導体、ジアミノピリミジンやその誘導体、ジアミノピリダジンやその誘導体等をビス−ジケトン化合物と縮合する方法、
(3)ビスジアミン化合物とジケトン化合物を縮合する方法、
(4)スズなどの有機金属試薬に変換したのち、クロスカップリングする方法等によって得られる。
【0137】
このようにして得られた化合物は、元素分析、質量分析、赤外線吸収スペクトル(IR)、 1Hまたは13C核磁気共鳴スペクトル(NMR)などによって同定することができる。
【0138】
本発明におけるキノキサリン系化合物は、前述のように、分子量500〜2000程度、250〜500℃の融点を有し、90〜200℃のガラス転移温度(Tg)を示す。この結果、通常の真空蒸着等により透明で室温以上でも安定なアモルファス状態の平滑で良好な膜を形成し、しかもその良好な膜の状態が長期間に渡って維持される。
【0139】
本発明の有機EL素子は、少なくとも1層の有機化合物層を有し、少なくとも1層の有機化合物層が上記のようなキノキサリン系化合物を含有する。本発明の有機EL素子の構成例を図1に示す。同図に示される有機EL素子1は基板2上に陽極3、正孔(ホール)注入輸送層4、発光層5、電子注入輸送層6、陰極7を順次積層した構造を持つ。また作製順序を逆にして基板、陰極、電子注入輸送層、発光層正孔注入輸送層、陽極の順の構造とすることもできる。
【0140】
発光層は電子と正孔の注入および輸送、そして電子と正孔との再結合により発光の場を提供する役割を持っている。正孔注入輸送層は陽極からの正孔の注入と輸送を容易にする機能を有する他に、発光層からの電子の注入を防ぎ、発光層内での再結合効率を増大させることにより発光効率を増大させる機能を有する。電子注入輸送層は陰極からの電子の注入と輸送を容易にし、発光層からの正孔の注入を防ぎ、発光効率を増大させる機能を有する。電子注入輸送層、正孔注入輸送層はそれぞれ注入機能を持つ層と輸送機能を持つ層とに分けて用いることもできる。また発光層が正孔注入輸送機能、電子注入輸送機能のいずれかの機能を有する場合には、正孔注入輸送層あるいは電子注入輸送層を設ける必要がない場合もある。場合によっては、いずれの注入輸送層も設けなくてよい。また、正孔注入輸送層および電子注入輸送層は、それぞれ注入機能を有する層と輸送機能を有する層とに分けて用いることも可能である。
【0141】
また、発光層や正孔輸送層、電子注入層のキャリア密度(イオン化ポテンシャル、電子親和力により決まる)や移動度を考慮した上で、それぞれの膜厚を変化させることにより、再結合領域・発光領域を自由にコントロールできる。これにより両電極の光干渉による発光輝度ならびにスペクトル(発光色)および放出光の空間分布の制御が可能になる。
【0142】
有機EL素子に用いられる有機化合物や電極は、条件(例えば、発光色の違い)の違いにより種々多様である。本発明におけるキノキサリン系化合物は、前述のように、縮合ピラジン構造内の窒素原子の数と位置の違いにより、それぞれ異なる電子受容性を持っているため、特性設計の幅が広く、電子注入性を任意の値に設計できるため、積層・混合素子の設計に最適の化合物を得ることができる。
【0143】
本発明におけるキノキサリン系化合物は電子受容性の化合物であるため、電子注入輸送層、あるいは電子注入層、電子輸送層、電子輸送性発光層に用いるのが好ましいが、発光層に用いることもでき、あるいは置換基を導入することで正孔注入輸送層に用いることも可能である。
【0144】
本発明におけるキノキサリン系化合物を電子注入輸送層に用いる場合には、これと組み合わせる他の層には、通常の有機EL素子に用いられている各種化合物を用いることができる。この場合、必要に応じて設けられる正孔注入輸送層には、芳香族三級アミン誘導体、ヒドラゾン誘導体、イミダゾ−ル誘導体、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体などを用いることができる他、アモルファスシリコンやポリシリコン等の無機化合物を用いることもできる。正孔注入輸送層を正孔注入層と正孔輸送層とに分けて設ける場合には、イオン化ポテンシャルの小さい化合物を陽極側に用いることが好ましい。この結果、駆動電圧が低下し、有機化合物の結晶化や分解を低下させることができ、電流のリークやダークスポットの発生を低下させるなど、素子の信頼性向上につながる。
【0145】
また、この場合の発光層には、アルミキノリノ−ル等の金属錯体やナフタレン、アントラセン、ピレン等の多環芳香族化合物誘導体、スチリル系化合物誘導体等の蛍光物質(発光材料)を用いることができる。また発光層には、クマリンやローダミン、ルブレンなどの蛍光物質を少量(10モル%以下が好ましい)添加してもよく、この場合には、発光波長の長波長側へのシフトや発光の高効率化が可能になる。さらに発光層に用いる材料の安定性を増すために一重項酸素クエンチャーを加えても良い。このようなクエンチャーとしては、ニッケル錯体やルブレン、ジフェニルイソベンゾフラン、三級アミン等が用いられ、発光層材料に対し10モル%以下とすることが好ましい。
【0146】
本発明におけるキノキサリン系化合物を電子注入層あるいは電子輸送層として用いる場合には、上記の正孔注入輸送層、発光層を用いることができる。本発明のキノキサリン系化合物を電子注入層に用いる場合は、電子輸送層用の化合物を、また電子輸送層として用いる場合には電子注入層用の化合物を各種EL用化合物の中から選択して用いることができる。このような化合物としては、アルミキノリノ−ル、オキサジアゾ−ル誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、キノリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ペリレン誘導体、フルオレン誘導体等がある。この場合には、イオン化ポテンシャルが小さいほうの化合物を陰極側に用いる方が好ましい。また本発明の化合物を、上記の電子注入層用の化合物あるいは電子輸送層用の化合物と混合し、電子注入輸送層とすることも可能である。このような層における本発明のキノキサリン系化合物の含有量は、素子の設計にもよるが、通常10〜90wt% とすればよい。
【0147】
さらに本発明では、上記の発光層に用いられる化合物と本発明の化合物とを混合し電子注入輸送性を持つ発光層とすることも可能である。このような層における本発明のキノキサリン系化合物の含有量は、素子の設計にもよるが、通常0.1〜99.9wt% とすることが好ましく、さらに好ましくは10〜99.9wt% とすればよい。
【0148】
本発明では、本発明の化合物を蛍光物質(発光材料)として発光層に用いることも可能である。この場合には、単独で用いることができるし、あるいは上記の正孔注入輸送性化合物と併用することができる。正孔注入輸性化合物と併用する場合はこれと混合したり、これをドーピングしたりするが、このような発光層における本発明の化合物量は10wt% 以上である。また必要があれば、電子注入輸送層を陰極側に設けることも可能である。さらに発光層において電子注入輸送性化合物と混合、またはド−ピングして用いることも可能である。この場合の本発明の化合物量は0.1wt% 以上である。
【0149】
本発明では、正孔注入輸送性化合物と電子注入輸送性化合物とを混合して発光層として用いることができ、本発明におけるキノキサリン系化合物をこのような混合層に用いることができる。本発明におけるキノキサリン系化合物は一般に電子注入輸送性が高いので、電子注入輸送性化合物として用いるのが好ましいが、化合物によっては正孔注入輸送性化合物としても用いることができる。この場合の混合比は、混合する化合物のキャリア密度やキャリア移動度を考慮して決定する。素子の設計にもよるが、通常は、電子注入輸送性化合物/正孔注入輸送性化合物の重量比が1/99〜99/1程度、さらには10/90〜90/10程度、特には40/60〜60/40程度となるようにする。
【0150】
また正孔注入輸送性化合物、電子注入輸送性化合物は、それぞれ1種類でも2種類以上用いてもよく、発光強度や発光効率を高めるために他の蛍光物質をドープしてもかまわない。逆に、上記の方法で作製した発光層に本発明のキノキサリン系化合物をドープしてもよい。本発明のキノキサリン系化合物をドープする場合のドープ量は発光層の0.1〜99.9wt% 程度とする。
【0151】
本発明におけるキノキサリン系化合物はその種類によって正孔注入輸送層に用いることも可能である。この場合本発明のキノキサリン系化合物より長波長あるいは同程度の波長を持つ蛍光物質を発光層に用いればよい。本発明では正孔注入輸送層、電子注入輸送層共に本発明のキノキサリン系化合物を用いることもできる。さらにはこのような構成において本発明のキノキサリン系化合物を発光層に用いることもできる。
【0152】
なお、上記において、本発明におけるキノキサリン系化合物以外の化合物を発光層に用いる場合に、本発明におけるキノキサリン系化合物をド−プ材として添加してもよい。
【0153】
発光層、正孔注入輸送層、電子注入輸送層は、スピンコート法、ディッピング法、キャスト法、真空蒸着法等により作製することができる。通常は膜の均質性等を考慮し真空蒸着法を用いるのが好ましい。膜中に0.1μmをこえる結晶粒ができると、駆動電圧が高くなり、ダークスポットの成長など素子特性の劣化につながるが、真空蒸着法ではこれを防止できる。
【0154】
各層の厚さに関しては特に限定されず、用いる有機化合物の特性や形成法により異なるが、通常、5〜1000nm程度、特に8〜200nmとすることが好ましい。
【0155】
正孔注入輸送層、電子注入輸送層の膜厚は、材料の特性や素子の設計条件によって異なるが、発光層の厚さと同程度もしくは1/10〜10倍程度とすればよい。正孔注入輸送層、電子注入輸送層を、それぞれ注入層と輸送層とに分ける場合には、注入層は1nm以上、輸送層は20nm以上とするのが好ましい。このときの注入層、輸送層の厚さの上限は、通常、注入層で100nm程度、輸送層で1000nm程度である。
【0156】
陰極材料としては、仕事関数の小さい、Li、Na、Mg、Al、Ag、In、Ca等、あるいはこれらの金属を含む合金を用いることができる。これらの陰極は蒸着やスパッタ法等により作成することができ、膜厚は通常10〜1000nmとすることが好ましい。
【0157】
陽極としては、仕事関数の大きい金属、合金、導伝性化合物等、またはその混合物を用いることができる。なお発光を透過するために、片側の電極が透明である必要があるため、膜厚の制御等により、電極の透過率(80%以上が好ましい)を増大させる必要がある。具体的な材料としては、ITO、SnO2 、Ni、Au、Pt、Pd、導伝性高分子等を用いることができる。作製法としては、真空蒸着、スパッタリング法等が用いられる。また、抵抗はなるべく低く、ITOなどで10〜30Ω/ □程度(通常5〜10Ω/ □)のものが好ましく、膜厚は10〜500nmのものが好ましい。
【0158】
真空蒸着の条件は用いる化合物や金属の特性により変化するが、10-5Torr以下で、0.1〜1nm/ 秒の蒸着速度で行うのが好ましい。また積層する場合には、真空を破らずに連続で成膜することが好ましい。連続成膜を行えば、各層の界面へのH2 O、O2 などの不純物の混入がなくなり、寿命や駆動電圧等の素子特性を向上させることができる。また、ドーピング等により1層に複数の化合物を含有させる場合には、化合物を入れた各ボートを個別に温度制御し、水晶振動子膜厚系でモニター制御しながら共蒸着するのが好ましい。
【0159】
基板材料に制限はないが、図1においては基板側から光を取り出すためにガラスや樹脂等の半透明材料を用いる。基板に不透明な材料を用いる場合には図1の積層順序を逆にしても良い。また、基板に、反射膜や蛍光材料、カラーフィルター等を用いて発光色をコントロールすることもできる。
【0160】
作製された有機EL素子は2〜20V 程度の電圧で発光が観測される。通常は直流駆動を用いるが、用途によりパルス駆動、交流駆動等を用いることもできる。
【0161】
【実施例】
以下、本発明の実施例を合成例および比較例とともに示し、本発明を具体的に説明する。
まず、合成例を示す。
【0162】
<合成例1>
例示化合物 III −1の合成
オルトフェニレンジアミン1.20g (11.1mmol)と4-クロロジベンゾイル2.45g (10.0mmol)をエタノ−ル中、環流温度で2時間攪拌した。室温に放置した後、析出物を濾別し、クロロホルム、ヘキサン混合溶媒を抽出溶媒としてシリカゲルカラムクロマトグラフィ−により精製し、白色結晶の2-(4- クロロフェニル)-3-フェニルキノキサリンを1.40g を得た。
次にビス(1,5- シクロオクタジエン) ニッケル(Ni(Cod)2)0.79g (2.88mmol)、2,2'- ビピリジン0.45g (2.88mmol)、1,5-シクロオクタジエン1ml を含むN,N-ジメチルホルムアミド溶液(50ml)をAr雰囲気下で調製し、2-(4- クロロフェニル)-3-フェニルキノキサリン1.40g を加え60℃で24時間攪拌した。この反応溶液にアンモニア水溶液を加え、析出物を濾別した後メタノ−ルで洗浄した。再度濾別した後、クロロホルム、ヘキサン混合溶媒を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィ−を行い4,4'- ビス(3- フェニルキノキサリン-2- イル) ビフェニル1.00g の白色結晶を得た。
得られた化合物は、マススペクトル、赤外線吸収スペクトル、NMRを用いて同定した。
マススペクトル m/e=562(M+
赤外線吸収スペクトル 図2
NMRスペクトル 図3
【0163】
<合成例2>
例示化合物 III −56の合成
1,2-ジアミノナフタレン2.00g (12.7mmol)、4-クロロジベンゾイル2.50g (10.2mmol)を原料に、合成例1の方法を用いて合成した。
得られた化合物は、マススペクトル、赤外線吸収スペクトル、NMRを用いて同定した。
マススペクトル m/e=662(M+
赤外線吸収スペクトル 図4
NMRスペクトル 図5
【0164】
<合成例3>
例示化合物V−1の合成
3,4-ジアミノピリジン1.17g (10.8mmol)、4,4'- ビス( フェニルグリオキサロイル) ビフェニル1.50g (3.6mmol) をクロロホルム、エタノ−ル混合溶媒中で12時間環流した。クロロホルムで溶媒置換した後、クロロホルム、酢酸エチル混合溶媒を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィ−により精製し1.20g の黄色結晶を得た。マススペクトル、IR、NMRによって同定した。
【0165】
<合成例4>
例示化合物 IV −1の合成
2,3'- ジアミノピリジン0.60g (2.39mmol),4,4'-ビス( フェニルグリオキサロイル) ビフェニル0.78g (1.87mmol)を原料に合成例3の方法を用いて合成し、同様に同定した。
【0166】
<合成例5>
例示化合物 VI −1の合成
4,5-ジアミノピリミジン1.19g (10.8mmol),4,4'-ビス( フェニルグリオキサロイル) ビフェニル1.50g (3.6mmol) を原料に、合成例3の方法を用いて合成し、同様に同定した。
【0167】
<合成例6>
例示化合物 III −48の合成
4-メトキシオルトフェニレンジアミン1.25g (9.06mmol)と4-クロロジベンゾイル2.00g (8.17mmol)を原料に、合成例1の方法を用いて合成し、同様に同定した。
【0168】
<合成例7>
例示化合物 III −58の合成
9,10- ジアミノフェナントレン2.00g (9.62mmol),4- クロロジベンゾイル(9.59mmol)を用いて合成例1の方法を用いて合成した。なお最終生成物は難溶性であるため、シリカゲルカラムクロマトグラフィーの代わりに昇華精製法を用いた。同定はマススペクトル、IR、NMRにより行った。
【0169】
<合成例8>
例示化合物 III −57の合成
2,3-ジアミノナフタレン2.00g (12.7mmol)、4-クロロジベンゾイル2.50g (10.2mmol)を原料に、合成例1の方法を用いて合成し、同様に同定した。
【0170】
<合成例9>
例示化合物 III −3の合成
3,4-ジアミノトルエン1.20g (9.80mmol)と4-クロロジベンゾイル2.00g (8.16mmol)を原料に、合成例1の方法を用いて合成し、同様に同定した。
【0171】
<合成例10>
例示化合物 III −62の合成
1,2-ジアミノビフェニル1.35g (7.34mmol)と4-クロロジベンゾイル1.50g (6.12mmol)を原料に、合成例1の方法を用いて合成し、同様に同定した。
【0172】
<合成例11 >
例示化合物 III −104の合成
オルトフェニレンジアミン1.14g (10.5mmol)と4,4'- ビス( フェニルグリオキサロイル) ベンゼン1.5g (4.39mmol) を原料に合成例3の方法を用いて合成し、同様に同定した。
【0173】
<合成例12>
例示化合物 III −159の合成
1,2-ジアミノナフタレン1.66g (10.5mmol)と、4'- ビス( フェニルグリオキサロイル) ベンゼン1.5 g (4.39mmol)を原料に合成例3の方法を用いて合成し、同様に同定した。
【0174】
<合成例13>
例示化合物 IV −2の合成
2,3-ジアミノピリジン1.14g (10.5mmol)と4'- ビス( フェニルグリオキサロイル) ベンゼン1.5 g (4.39mmol)を原料に合成例3の方法を用いて合成し、同様に同定した。
【0175】
<合成例14>
例示化合物V−2の合成
2,3-ジアミノピリジン1.14g (10.5mmol)と4'- ビス( フェニルグリオキサロイル) ベンゼン1.5 g (4.39mmol)を原料に合成例3の方法を用いて合成し、同様に同定した。
【0176】
<合成例15>
例示化合物 VI −2の合成
4,5-ジアミノピリミジン1.12g(10.5mmol) と4'- ビス( フェニルグリオキサロイル) ベンゼン1.5 g (4.39mmol)を原料に合成例3の方法を用いて合成し、同様に同定した。
他の例示化合物も同様に合成し、同様に同定した。
【0177】
次に実施例および比較例を示す。
【0178】
<実施例1>
厚さ100nm のITO透明電極(陽極)を有するガラス基板を、中性洗剤、アセトン、エタノールを用いて超音波洗浄し、煮沸エタノール中から引き上げて乾燥し、蒸着装置の基板ホルダーに固定して、1 ×10-6Torrまで減圧した。
次に、N,N'- ジフェニル-N,N'-m-トリル-4,4'-ジアミノ-1,1'-ビフェニル(TPD1)を蒸着速度0.2nm/sec で50nmの厚さに蒸着し、正孔注入輸送層とした。
次に、9,9',10,10'-テトラ(p-トリル)-2,2'-ジアントラセンを蒸着速度0.2nm/sec で50nmの厚さに蒸着し、発光層とした。
次に、電子注入輸送層として、合成例1の化合物(III-1) を蒸着速度0.2nm/sec で10nmの厚さに蒸着した。
さらに、Mg/Ag(重量比10/1)を蒸着速度0.2nm/sec で200nm の厚さに蒸着して陰極とし有機EL素子を得た。
この有機EL素子に電圧を印加して電流を流すと、16V 、650mA/cm2 で16250cd/m2の青色の発光が確認された。部分的非発光部分の出現および成長は見られず、輝度の半減期は10mA/cm2の定電流駆動で50時間であった。
以上の操作は、真空状態を破らずに、すべて連続的に行った。
【0179】
<実施例2>
厚さ100nm のITO透明電極(陽極)を有するガラス基板を、中性洗剤、アセトン、エタノールを用いて超音波洗浄し、煮沸エタノール中から引き上げて乾燥し、蒸着装置の基板ホルダーに固定して、1 ×10-6Torrまで減圧した。
次に、ポリ(チオフェン-2,5- ジイル)を10nmの厚さに蒸着し、正孔注入層とした。
次に、N,N'- ジフェニル-N,N'-m-トリル-4,4'-ジアミノ-1,1'-ビフェニル(TPD1)を蒸着速度0.2nm/sec で50nmの厚さに蒸着し、正孔輸送層とした。
次に、9,9',10,10'-テトラ(p-トリル)-2,2'-ジアントラセンを蒸着速度0.2nm/sec で50nmの厚さに蒸着し、発光層とした。
次に、電子注入輸送層として、合成例1の化合物を蒸着速度0.2nm/sec で10nmの厚さに蒸着した。
さらに、Mg/Ag(重量比10/1)を蒸着速度0.2nm/sec で200nm の厚さに蒸着して陰極とし有機EL素子を得た。
この有機EL素子に電圧を印加して電流を流すと、12V 、850mA/cm2 で21200cd/m2の青色の発光が確認された。輝度の半減期は10mA/cm2の定電流駆動で80時間であった。部分的非発光部分の出現および成長は見られなかった。
以上の操作は、真空状態を破らずに、すべて連続的に行った。
【0180】
<実施例3>
発光層までを実施例2 と同様に積層した後、合成例1の化合物を蒸着速度0.2nm/sec で20nmの厚さに蒸着し、電子輸送層とした。
次に、トリス(8ーキノリナート)アルミニウムを10nmの厚さに蒸着し、電子注入層とした。
さらに、Mg/Ag(重量比10/1)を蒸着速度0.2nm/sec で200nm の厚さに蒸着して陰極とし有機EL素子を得た。
この有機EL素子に電圧を印加して電流を流すと、11V 、750mA/cm2 で18000cd/m2の青色の発光が確認された。部分的非発光部分の出現および成長は見られず、輝度の半減期は10mA/cm2の定電流駆動で80時間であった。
以上の操作は、真空状態を破らずに、すべて連続的に行った。
【0181】
<実施例4>
正孔輸送層であるN,N'- ジフェニル-N,N'-m-トリル-4,4'-ジアミノ-1,1'-ビフェニル(TPD1)を実施例2 と同様に積層した後、9,9',10,10'-テトラ(p-トリル)-2,2'-ジアントラセンと合成例1の化合物とを1:1の割合(重量比)で蒸着速度0.2nm/sec で20nmの厚さに、共蒸着した。
次に、電子注入輸送層として、合成例1の化合物を10nmの厚さに蒸着した。
さらに、Mg/Ag(重量比10/1)を蒸着速度0.2nm/sec で200nm の厚さに蒸着して陰極とし有機EL素子を得た。
この有機EL素子に電圧を印加して電流を流すと、11V 、750mA/cm2 で21750cd/m2の青色の発光が確認された。輝度の半減期は10mA/cm2の定電流駆動で250 時間であった。部分的非発光部分の出現および成長は見られなかった。
以上の操作は、真空状態を破らずに、すべて連続的に行った。
【0182】
<実施例5>
実施例2と同様に正孔輸送層であるN,N'- ジフェニル-N,N'-m-トリル-4,4'-ジアミノ-1,1'-ビフェニル(TPD1)を積層した後、合成例1の化合物を、電子注入輸送層を兼ねた発光層として0.2nm/sec で50nm蒸着した。
さらに、Mg/Ag(重量比10/1)を蒸着速度0.2nm/sec で200nm の厚さに蒸着して陰極とし有機EL素子を得た。
この有機EL素子に電圧を印加して電流を流すと、15V 、500mA/cm2 で15000cd/m2の黄色の発光が確認された。輝度の半減期は10mA/cm2の定電流駆動で100 時間であった。
以上の操作は、真空状態を破らずに、すべて連続的に行った。
【0183】
<実施例6>
電子注入輸送層の材料に合成例3の化合物(V-1) を用いた他は、実施例2と同様にして有機EL素子を作製した。
この有機EL素子に電圧を印加して電流を流すと、11V 、800mA/cm2 で20000cd/m2の青色の発光が確認された。輝度の半減期は10mA/cm2の定電流駆動で150 時間であった。
以上の操作は、真空状態を破らずに、すべて連続的に行った。
【0184】
<実施例7>
発光層および電子注入輸送層の材料に合成例3の化合物を用いた他は、実施例4と同様にして有機EL素子を作製した。
この有機EL素子に電圧を印加して電流を流すと、9V、600mA/cm2 で18200cd/m2の青色の発光が確認された。輝度の半減期は10mA/cm2の定電流駆動で400 時間であった。
以上の操作は、真空状態を破らずに、すべて連続的に行った。
【0185】
<実施例8>
発光層の材料に合成例3の化合物を用いた他は、実施例5と同様にして有機EL素子を作製した。
この有機EL素子に電圧を印加して電流を流すと、12V 、625mA/cm2 で16000cd/m2のオレンジ色の発光が確認された。輝度の半減期は10mA/cm2の定電流駆動で90時間であった。
以上の操作は、真空状態を破らずに、すべて連続的に行った。
【0186】
<実施例9>
電子注入輸送層の材料に合成例5の化合物(VI-1)を用いた他は、実施例2と同様にして有機EL素子を作製した。
この有機EL素子に電圧を印加して電流を流すと、13V 、700mA/cm2 で20000cd/m2の青色の発光が確認された。輝度の半減期は10mA/cm2の定電流駆動で150 時間であった。
【0187】
<実施例10>
電子輸送層の材料に合成例5の化合物を用いた他は、実施例3と同様にして有機EL素子を作製した。
この有機EL素子に電圧を印加して電流を流すと、10V 、500mA/cm2 で15000cd/m2の青色の発光が確認された。輝度の半減期は10mA/cm2の定電流駆動で250 時間であった。
【0188】
<実施例11>
発光層および電子注入輸送層の材料に合成例5の化合物を用いた他は、実施例4と同様にして有機EL素子を作製した。
この有機EL素子に電圧を印加して電流を流すと、9V、625mA/cm2 で17500cd/m2の青色の発光が確認された。部分的非発光部分の出現および成長は見られず、輝度の半減期は10mA/cm2の定電流駆動で600 時間であった。
以上の操作は、真空状態を破らずに、すべて連続的に行った。
【0189】
<実施例12>
発光層の材料に合成例5の化合物を用いた他は、実施例5と同様にして有機EL素子を作製した。
この有機EL素子に電圧を印加して電流を流すと、13V 、625mA/cm2 で15000cd/m2の青色の発光が確認された。部分的非発光部分の出現および成長は見られず、輝度の半減期は10mA/cm2の定電流駆動で120 時間であった。
以上の操作は、真空状態を破らずに、すべて連続的に行った。
【0190】
<比較例1>
厚さ100nm のITO透明電極(陽極)を有するガラス基板を、中性洗剤、アセトン、エタノールを用いて超音波洗浄し、煮沸エタノール中から引き上げて乾燥し、蒸着装置の基板ホルダーに固定して、1 ×10-6Torrまで減圧した。
次に、ポリ(チオフェン−2,5−ジイル) を10nmの厚さに蒸着し、正孔注入層とした。
次に、N,N'- ジフェニル-N,N'-m-トリル-4,4'-ジアミノ-1,1'-ビフェニル(TPD1)を蒸着速度0.2nm/sec で50nmの厚さに蒸着し、正孔輸送層とした。
次に、9,9',10,10'-テトラ(p-トリル)-2,2'-ジアントラセンを蒸着速度0.2nm/sec で50nmの厚さに蒸着し、発光層とした。
次に、電子注入輸送層として、トリス(8ーキノリナート)アルミニウムを蒸着速度0.2nm/sec で10nmの厚さに蒸着した。
さらに、Mg/Ag(重量比10/1)を蒸着速度0.2nm/sec で200nm の厚さに蒸着して陰極とし有機EL素子を得た。
この有機EL素子に電圧を印加して電流を流すと、14V 、800mA/cm2 で9600cd/m2 の青色の発光が確認された。輝度の半減期は10mA/cm2の定電流駆動で10時間であった。
【0191】
<比較例2>
9,9’,10,10’−テトラ(p−トリル)−2−2’−ジアントラセンの発光層までを比較例1と同様に作製した後、2,2’−3,3’−テトラフェニル−6,6’−ジキノキサリンを蒸着速度0.2nm/secで10nmの厚さに蒸着した。
さらに、Mg/Ag(重量比10/1)を蒸着速度0.2nm/secで200nmの厚さに蒸着して陰極とし、有機EL素子を得た。
この有機EL素子に電圧を印加して電流を流すと、13V、600mA/cm2で18000cd/m2 の青色の発光が確認された。10mA/cm2の定電流で駆動したところ10時間でリークがおこった。
【0192】
以上の実施例に示したように、発光材料(ここでは、9,9',10,10'-テトラ(p-トリル)−2,2'−ジアントラセン)に対して電子受容性の異なるキノキサリン系化合物を電子注入輸送性材料として用いたところ、有機ELの素子特性、特に低電流駆動における発光寿命に関して大きな変化が見られた。この結果は、本発明で用いたキノキサリン系化合物の電子受容特性が広範囲であることを示している。有機EL用材料(特に発光層)には、様々な特性を持った非常に多くの化合物が提案されているが、いずれの化合物に対しても本発明のキノキサリン系化合物のいずれかを用いることにより、優れた素子特性を出すことが可能である。
【0193】
【発明の効果】
本発明によれば、駆動電圧が低く発光効率の高い信頼性に優れた有機EL素子が得られる。また、種々の有機EL材料等と組み合わせて用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機EL素子の1例を示す構成図である。
【図2】本発明で合成した化合物の赤外線吸収スペクトルを示すグラフである。
【図3】本発明で合成した化合物のNMRスペクトルを示すグラフである。
【図4】本発明で合成した化合物の赤外線吸収スペクトルを示すグラフである。
【図5】本発明で合成した化合物のNMRスペクトルを示すグラフである。
【符号の説明】
1 有機EL素子
2 基板
3 陽極
4 正孔(ホール)注入輸送層
5 発光層
6 電子注入輸送層
7 陰極

Claims (11)

  1. 下記式(I)で表されるキノキサリン系化合物を含有する少なくとも1層の有機化合物層を有するキノキサリン系化合物を用いた有機EL素子。
    n −L (I)
    [式(I)において、Qは窒素原子を0〜2個含む六員芳香環が縮合したピラジニル基を表し、nは2または3であり、Qは各々同一でも異なるものであってもよい。Lはn価の基を表す。ただし、nが2であって、2個のQがキノキサリニル基であるとき、少なくとも一方は2−キノキサリニル基または3−キノキサリニル基である。]
  2. 前記六員芳香環が、ベンゼン環、ピリジン環、ピリミジン環またはピリダジン環である請求項1のキノキサリン系化合物を用いた有機EL素子。
  3. 前記Lがアレーンジイル基、アレーントリイル基、窒素原子またはトリアリールアミントリイル基である請求項1または2のキノキサリン系化合物を用いた有機EL素子。
  4. 前記Lがフェニレン基、ビフェニルジイル基、ナフタレンジイル基、アントラセンジイル基、ピレンジイル基、ベンゼントリイル基、窒素原子またはトリフェニルアミントリイル基である請求項1〜3のいずれかのキノキサリン系化合物を用いた有機EL素子。
  5. 前記キノキサリン系化合物が下記式(II)で表される請求項1〜4のいずれかのキノキサイリン系化合物を用いた有機EL素子。
    Figure 0003650200
    [式(II)において、Zはピラジン環の2個の炭素原子とともにベンゼン環、ピリジン環、ピリミジン環またはピリダジン環を形成するのに必要な原子群を表す。Rはピラジン環に結合する1価の置換基を表し、kは0、1または2である。nは2または3である。nが2のときLはフェニレン基、ビフェニルジイル基またはナフタレンジイル基を表し、nが3のときLはベンゼントリイル基、窒素原子またはトリフェニルアミントリイル基を表す。Zで完成される縮合環は各々同一でも異なるものであってもよく、縮合ピラジン環におけるLとの結合位置はいずれであってもよい。ただし、nが2であって、2個の縮合ピラジン環がキノキサリン環であるとき、少なくとも一方はLと2位または3位で結合し、このようなキノキサリン環でのkは0または1である]
  6. 前記キノキサリン系化合物が下記式(III) 〜(XIV) で表されるキノキサリン系化合物を用いた請求項1〜5のいずれかのキノキサリン系化合物を用いた有機EL素子。
    Figure 0003650200
    Figure 0003650200
    Figure 0003650200
    Figure 0003650200
    [式(III) 〜(VIII)において、L1 はフェニレン基、ビフェニルジイル基またはナフタレンジイル基を表し、R13、R15、R16、R17、R18、R23、R25、R26、R27およびR28は各々水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基または複素環基を表し、各式中においてこれらは同一でも異なるものであってもよい。式(III) 中R15〜R18およびR25〜R28のなかの隣接するもの同士、式(IV)中R16〜R18およびR26〜R28のなかの隣接するもの同士、式(V)中R17とR18およびR27とR28、ならびに式(VII) 中R17とR18およびR27とR28は各々互いに結合して環を形成してもよい。
    式(IX)〜(XIV) において、L2 はベンゼントリイル基、窒素原子またはトリフェニルアミントリイル基を表し、R13、R15、R16、R17、R18、R23、R25、R26、R27、R28、R33、R35、R36、R37およびR38は各々水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基または複素環基を表し、各式中においてこれらは同一でも異なるものであってもよい。式(IX)中R15〜R18、R25〜R28およびR35〜R38のなかの隣接するもの同士、式(X)中R16〜R18、R26〜R28およびR36〜R38のなかの隣接するもの同士、式(XI)中R17とR18、R27とR28およびR37とR38、ならびに式(XIII)中R17とR18、R27とR28およびR37とR38は各々互いに結合して環を形成してもよい。]
  7. 前記キノキサリン系化合物を含有する有機化合物層が電子注入層、電子輸送層または電子注入輸送層であり、さらに発光層を有する請求項1〜6のいずれかのキノキサリン系化合物を用いた有機EL素子。
  8. さらに、正孔注入層、正孔輸送層および正孔注入輸送層のなかの少なくとも1層を有する請求項7のキノキサリン系化合物を用いた有機EL素子。
  9. 前記キノキサリン系化合物を含有する有機化合物層が発光層である請求項1〜6のいずれかのキノキサリン系化合物を用いた有機EL素子。
  10. さらに、電子注入層、電子輸送層および電子注入輸送層のなかの少なくとも1層と、正孔注入層、正孔輸送層および正孔注入輸送層のなかの少なくとも1層とを有する請求項9のキノキサリン系化合物を用いた有機EL素子。
  11. 少なくとも1層の発光層を有し、この発光層が電子注入輸送性化合物と正孔注入輸送性化合物との混合層であって、この混合層が前記キノキサリン系化合物を含有する請求項1〜6のいずれかのキノキサリン系化合物を用いた有機EL素子。
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