JP3648949B2 - 脱水機のアンバランス抑制制御方法及びその装置 - Google Patents

脱水機のアンバランス抑制制御方法及びその装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は脱水機の回転時の脈動量を検出し、その脈動量に基づいてアンバランスを抑制するする脱水機のアンバランス抑制制御方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来この種の全自動洗濯機の脱水機は、脱水工程時に被洗濯物(以下、「負荷」と呼ぶ)の偏りによって脱水槽の振動が生じ、その負荷に大きな偏りがあると脱水槽の振動は異常振動となる。そこで、負荷の大きな偏りによって生じる異常振動による弊害を防止するものとして、特開平9−10469号公報にモータによる脱水槽の回転立ち上がり時において、回転検出手段によって脱水槽の回転数の変動度合いを検出し、検出した変動度合いに基づいてアンバランス発生状況を判定し、アンバランスに応じて適正なほぐし運転や脱水運転を行うようにしたものが開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平9−10469号公報のものは、アンバランス発生状況の判定結果による後工程(ほぐし、脱水)の補正処理のため、アンバランスによる振動そのものを抑制するのではなく、従って、ほぐし工程では、時間、電力、水等を多く必要とし、脱水工程では回転数を低くして長時間運転する等の無駄なエネルギーが必要であった。
【0004】
この発明は、上記のような課題点を解消するためになされたものであり、負荷に偏りがある場合でも異常振動の発生そのものを抑制して脱水でき、簡単な構成で信頼性の高い脱水機のアンバランス抑制制御方法及びその装置を得ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明に係わる脱水機のアンバランス抑制制御方法は、脱水工程時に脱水槽を駆動するモータに通電し、上記脱水槽があらかじめ定められた回転速度まで上昇したら上記モータへの通電を断電し、その断電した時から上記脱水槽が慣性運転により回転している間に、上記脱水槽の回転検出手段の出力信号に基づいて、パルス長計測手段が検出したパルス長に基づき上記脱水槽の1回転当たりの回転速度脈動量を求め、その脈動量の山と谷にそれぞれ対応した逆位相の電圧または電流をモータに印加して上記脱水槽のアンバランス抑制制御を行ものである。
【0006】
また、脱水工程時に脱水槽を駆動するモータに通電し、上記脱水槽が第1の回転速度まで上昇したら上記モータへの通電を断電し、その断電した時から上記脱水槽が慣性運転により回転して第2の回転速度まで下降する間に、上記脱水槽の回転検出手段の出力信号に基づいて、パルス長計測手段が検出したパルス長に基づき上記脱水槽の1回転当たりの回転速度脈動量を求め、その脈動量の山と谷にそれぞれ対応した逆位相の電圧または電流をモータに印加して上記脱水槽のアンバランス抑制制御を行うものである。
【0007】
また、脱水工程時に脱水槽を駆動するモータに通電し、上記脱水槽があらかじめ定められた回転速度まで上昇した後、上記脱水槽の回転検出手段の出力信号に基づいて、パルス長計測手段が検出したパルス長に基づき上記脱水槽の1回転当たりの回転速度脈動量を求め、その脈動量の山と谷にそれぞれ対応した逆位相の電圧または電流をモータに印加して上記脱水槽のアンバランス抑制制御を行うものである。
【0008】
また、モータに印加する逆位相の電圧または電流は、各種の脈動量の山と谷にそれぞれ対応した逆位相の電圧または電流を記載したパターンテーブルから、選択するものである。
【0009】
また、この発明に係る脱水機のアンバランス抑制制御装置は、脱水槽を回転駆動するためのモータと、上記脱水槽の回転を検出する回転数検出手段の出力信号に基づいてパルス長を出力するパルス長計測手段と、上記モータを駆動すると共に上記パルス長計測手段から出力されたパルス長に基づき演算したあらかじめ定められた回転速度で電源供給を断つ運転制御手段と、上記パルス長計測手段が出力しているパルス長を上記モータの断電後から上記脱水槽が慣性回転している間にサンプリングし、そのサンプリングしたパルス長に基づき上記脱水槽の1回転当たりの回転速度脈動量を求めて出力する脈動量検出手段と、この脈動量検出手段が求めた脈動量の山と谷にそれぞれ対応した逆位相の電圧または電流をモータに印加して上記脱水槽のアンバランス抑制制御を行うアンバランス抑制手段と、を備えたものである。
【0010】
また、脱水槽を回転駆動するためのモータと、上記脱水槽の回転を検出する回転数検出手段の出力信号に基づいてパルス長を出力するパルス長計測手段と、上記モータを駆動すると共に上記パルス長計測手段から出力されたパルス長に基づき演算した第1の回転速度で電源供給を断つ運転制御手段と、上記パルス長計測手段が出力しているパルス長を上記モータの断電後から上記脱水槽の慣性回転時に基づき第2の回転速度までの間にサンプリングし、そのサンプリングしたパルス長に基づき脱水槽の1回転当たりの回転速度脈動量を求めて出力する脈動量検出手段と、この脈動量検出手段が求めた脈動量の山と谷にそれぞれ対応した逆位相の電圧または電流をモータに印加して上記脱水槽のアンバランス抑制制御を行うアンバランス抑制手段と、を備えたものである。
【0011】
また、脱水槽を回転駆動するためのモータと、上記脱水槽の回転を検出する回転数検出手段の出力信号に基づいてパルス長を出力するパルス長計測手段と、上記パルス長計測手段が出力しているパルス長を、上記脱水槽があらかじめ定められた回転速度を超えた後からサンプリングし、そのサンプリングしたパルス長に基づき上記脱水槽の1回転当たりの回転速度脈動量を求めて出力する脈動量検出手段と、この脈動量検出手段が求めた脈動量の山と谷にそれぞれ対応した逆位相の電圧または電流をモータに印加して上記脱水槽のアンバランス抑制制御を行うアンバランス抑制手段と、を備えたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.図1はこの発明の実施の形態1である全自動洗濯機の脱水機のアンバランス抑制制御装置のブロック図、図2は同アンバランス抑制制御装置の回転センサを示す斜視図、図3は図2の回転センサの回路図、図4は図2の回転センサの出力波形図、図5は同アンバランス抑制制御装置のパルス長計測手段の計測波形図、図6は脱水槽の一次共振、二次共振の振動振幅の波形図、図7は理想状態と傾き振動発生時の脱水槽の回転状態を示す説明図、図8は同アンバランス抑制制御装置のパルス長計測手段と脈動量検出手段の計測波形図、図9はアンバランスによる脈動の抑制方法の説明図、図10は慣性回転を行う場合のアンバランス抑制制御装置の動作を説明するフローチャート、図11は図10のアンバランス抑制制御動作を説明するフローチャート、図12は図11における脈動の谷と山を検出する方法の説明図、図13は図11におけるパターンテーブルの説明図である。
【0013】
図1において1は外箱2は防振バネ等3aを有する弾性支持機構3を介して外箱1に弾性的に吊下支持された受水槽、4はこの受水槽2内に回転自在に配置された洗濯兼脱水槽で、その中心底部に回転翼5、側壁には複数の脱水孔4aが設けられている。6は洗濯兼脱水槽4の下部中央に連結した中空の脱水槽軸で、受水槽2の下部中央孔縁周に設けられたブラケット7に嵌挿されている。
【0014】
8は脱水槽軸6内に嵌挿された回転翼5の回転翼軸、9はこの回転翼軸8及び脱水槽軸6の下端部に連結された槽側プーリ、10は脱水槽軸6の略中央部に設けられ、槽側プーリ9の回転を洗濯脱水槽4へ断続するためのクラッチ機構、11は回転翼軸8の略中央部に設けられ、槽軸プーリ9の回転を減速させる減速機構、12はモータ側プーリ13及びベルト14を介して槽側プーリ9へ回転を与えるモータで、受水槽2の下面に設置される。15は受水槽2の底面に設けられた排水口、16はこの排水口15の排水弁である。
【0015】
17はモータ12への給電、脱水槽4の回転速度に応じて断電を行う運転制御手段、18は脱水槽軸6の周縁に設けられた回転数検出手段である回転センサ19のパルス信号を受け、パルス信号のパルス長を計測するパルス長計測手段である。20はパルス長計測手段18のパルス長を記憶するパルス長記憶手段、21はパルス長記憶手段に記憶されたパルス長に基づいて脈動を検出し速度成分を除去して脈動量を出力する脈動量検出手段、22はあらかじめパターン記憶手段23に記憶された抑制電圧波形のパターンテーブルのうち、脈動量検出手段21から出力された脈動量と逆位相の脈動量を生じさせる抑制電圧波形のパターンを選択し、モータ12に印加するように運転制御手段17を制御するアンバランス抑制手段である。
【0016】
図2に示す回転センサ19は脱水槽軸6に固着されたN極とS極が例えば18分割で均等配列されたマグネット19aと、マグネット19aに近接するホールIC19bとを組み合せて構成されている。
この回転センサ19は図3に示す回路構成であり、マグネット19aが1/18回転で図4に示す1サイクルの矩形パルス信号をホールIC19bから発生させるように構成されている。
【0017】
図5はモータ12をオンしたときの回転翼5又は脱水槽4の回転を検出した回転センサ19のパルス信号からパルス長計測手段18が3パルス長の計測を1パルスづつずらして移動計測する状態を示している。
【0018】
次に、パルス長及び脈動量の検出原理及び検出方法について説明する。まず、脱水工程時に洗濯兼脱水槽4を脱水槽として使用した場合に、脱水槽4の回転速度から脱水槽4のアンバランス量が検出できる原理について説明する。アンバランスが存在した状態で脱水槽4を回転させ、回転速度を上昇させると、回転初期域で、受水槽2の水平振動の固有振動数と脱水槽の回転周波数との一致点(これを一次共振点と呼ぶ)で共振が発生して振動幅が大きくなる。これを図6に示す一次共振の振幅という。更に、一次共振が生じる回転領域を通過し、更に回転速度を上昇させると、受水槽2の傾き振動の固有周波数と脱水槽4の回転周波数との一致点(これを二次共振点と呼ぶ)で共振が発生し振動幅が大きくなる。これを図6に示す二次共振の振幅という。
【0019】
本説明では一次共振周波数を1Hz前後(60rpm)、二次共振周波数を3Hz(180rpm)とした場合を例に説明する。
図7の(a)はアンバランスが無い状態での理想状態での脱水槽4の回転状態を示し、図7の(b)は二次共振における傾き振動発生時の脱水槽4の回転状態を示す。
ここで、傾き振動とは、図7の(b)のように回転軸の向きが変化しながら脱水槽4が回転している状態である。例えると、独楽の回転軸が傾きながら円を描いて回転する歳差運動(みそすり運動とも言う)と似た動作が発生する。言い換えると回転軸歳差運動は公転、脱水槽4はその軸を中心とした自転で回転する。
【0020】
この状態では回転軸は垂直ではなく常に傾いている為に、アンバランス部に高い位置から低い位置に回転する時の重力による加速と、逆に低い位置から高い位置に回転する時の減速が発生し、脱水槽4の1回転中で加速と減速を繰り返すため回転速度の脈動成分が発生する。
歳差運動による軸の傾きが最も大きい状態で脱水槽4が回転する時はこの脈動成分も大きくなる。また、歳差運動はアンバランス量が多い程軸の傾きが大きくなるため、アンバランス量が多い程脈動量が大きい。
このような脱水槽4の1回転中に発生する回転速度の脈動成分は、脱水槽4の回転を検出する回転センサ19のパルス信号が脱水槽4の1回転で18個出力されることから、そのパルス信号の回転速度を示すパルス長に表れることになる。
なお、回転数はパルス長の逆数の関係にある。
【0021】
図8はパルス長計測手段18と脈動量検出手段21の計測波形図で、図8の(a)は大、中、小のアンバランス量をパラメータとし、断電時の回転数をパラメータとしたパルス長計測手段の計測波形図である。この計測波形図に示すパルス長は脈動をパルス長の変化として捉えている。
図8において、アンバランス大は約1.75Kg、中は約1.25Kg、小は約0.75kgのアンバランスウエイトを投入した場合である。この計測波形図に示すパルス長は3パルスのパルス長を平均したものである。図8の(b)は脈動量検出手段の計測波形図で、脈動量検出手段がパルス長計測手段が検出したパルス長データから速度成分を除去して検出した脈動量の計測波形図である。
図8の(b)を見ると、累積回転数が6回辺たりで、脈動が増加と減少を示す大きな脈動量が生じ、アンバランス量が大から小になるにつれて脈動量も大から小になっていることが分かる。
【0022】
次に、本発明の脱水機のアンバランス抑制制御方法を実施する装置の動作について図9の抑制制御概念説明図、図10と図11のフローチャート、図12の脈動の山を検出する方法の説明図及び図13のパターンテーブルの説明図に基づいて説明する。
【0023】
図9は縦軸に回転数、横軸に脱水槽の累積回転数(回転回数)を示しており、1回転毎に脈動の谷と山が生じ、脈動の谷から山となる部分では、加速Ta、山から谷となる部分では減速Tbとなる。この発明のアンバランス抑制方法は、脈動の谷と山と逆位相となる電圧をモータに印加することにより脈動の谷と山を除くものである。
すなわち、脈動の谷(または1回転のパルスが18としてパルスカウント0または18)と山(またはパルスカウント9)から脈動の差分を演算し、この脈動の差分の逆位相の差分となる抑制電圧波形をモータに出力する。脈動が加速Taのどきは下降電圧を印加し、脈動が減速Taするときは上昇電圧を印加し、図9(b)に示すように脈動のない回転とする。
なお、図では二次共振回転数Nf2の近傍の脈動を示している。
【0024】
次に、図10のフローチャートにより動作を説明する。
まず、脱水工程をスタートさせると(S1)、クラッチ機構10が槽側プーリ9を脱水槽4へ接続する。次に、排水弁16を開いて脱水槽4内の洗濯水を排水する(S2)。
排水が完了した後にモータ運転制御手段17は、モータ12に通電し(S3)、モータ12の回転力はモータ側プーリ13及びベルト14を介して槽側プーリ9へ伝えられ、槽側プーリ9に接続された脱水槽4が回転を始める。
【0025】
この脱水槽4の回転は、回転センサ19のパルス信号に基づいてパルス長計測手段18が計測しており、そのパルス長を運転制御手段17に出力している。そして、運転制御手段17ではパルス長計測手段18のパルス長に基づいて回転速度を算出し、その回転速度が例えば二次共振領域を超える回転速度である第1の回転速度まで上昇したら(S4)、モータ12への通電を断電する(S5)。また、断電されたら、パルス長計測手段18が回転センサ19のパルス信号に基づいて出力されたパルス長をパルス長記憶手段20に記憶し、脈動量検出手段21が記憶されたパルス長のサンプリングを開始する(ステップS6)。
【0026】
そして、洗濯脱水槽4の回転が再び二次共振領域を通過した回転速度である第2の回転速度まで下降したら(S7)、脈動量検出手段21が記憶されたパルス長のサンプリングを停止する(S8)。このように、脱水槽4の回転のサンプリングを脱水槽4の回転が例えば二次共振領域を超える回転速度である第1の回転速度で断電してから二次共振領域を通過した回転速度である第2の回転速度までとしたのは、慣性運転において脈動検出を二次共振点の脈動量が大きく、かつ安定したところで捉えることにより、高い分解能で検出精度の向上を図ることができるからである。
【0027】
脈動量検出手段21がパルス長をサンプリングするが、パルス長計測手段18では、回転センサ19からパルス信号の出力波形が入力されると、3パルス長を1パルスづつずらして移動計測し、3パルス長の平均値を演算して出力していく。
このようにパルス長計測手段18が回転センサ19のパルス信号の3パルス長を1パルスづつずらして移動計測し、3パルス長の平均値を演算して出力していくようにしたのは、回転センサ19のマグネット19aの着磁ピッチのばらつきによる誤差を平均化し、検出精度の向上を図るためである。
その3パルス長の平均値のパルス長は、サンプリングの開始時から脱水槽4の回転速度が次第に減少していくことにより長くなるが、回転速度が二次共振領域を通過するときに大きな脈動を生じさせる。
【0028】
そこで、脈動量検出手段21はパルス長計測手段18が計測した3パルス長の平均値のパルス長の脈動から速度成分を除去して脈動量を求め、アンバランス抑制手段22に出力する(ステップS9)。
次に、脈動量検出手段21から出力された脈動量からアンバランス抑制手段22により、アンバランス抑制制御を行う(S10)。
【0029】
このアンバランス抑制制御について図11のフローチャートにより説明する。まず、アンバランス抑制手段22は図10のステップS9で脈動量検出手段21から出力された脈動量の谷を検出する(ステップS10−1)。脈動の谷と山の検出方法は図12に示すように、例えば、回転センサ19が1回転に18パルスを出力す場合、パルス長記憶手段20にk番目に記憶された回転数をt(k)とするときの微分△t(k)=t(k+1)−t(k)の符号を調べたとき図12(a)のようになれば、符号が−から+に変化したときが谷、符号が+から−に変化したとき山であり、パルス長t0、t18が脈動の谷、t9が脈動の山となる。
【0030】
次に、パルスカウントを0にクリアしてから(ステップS10−2)、差分の計算を開始し(ステップS10−3)、脈動の山を検出したら(ステップS10−4)脈動の山と谷から差分△a=t9−t0を求める。この差分は、t1−t0、t2−t1・・・・と計算し、半回転分を合計してもよい。
次に、パターン記憶手段23にあらかじめ記憶され、モータ12に抑制電圧として印加する抑制電圧の波形の谷と山の差分を段階的に増加させた電圧のパターンテーブルのうち、ステップS10−3で計算された脈動の差分に対応した第1の抑制電圧パターンを選択し、パターン記憶手段23に記憶させる(ステップS10−5)。
【0031】
抑制電圧パターンテーブルは図13に示すように、18パルス分の通電率(電圧制御の場合は電圧)を5つのパターン記憶させたものである。
脈動の谷に対応する所では各パターンとも常にフル通電、脈動の山に対応する所においては、パターン番号(1)ではフル通電、パターン番号(5)では0とし、パターン番号(2)〜パターン(4)はパターン番号(1)と(5)の中間であり、パターン番号(1)から(5)に進むにつれて通電率を減少させている。
【0032】
次に、パルスカウントが18で(ステップS10−6)モ−タ通電がされていないとき(ステップS10−7)、モータ通電を行い(ステップS10−8)、パルスカウントを0とする(ステップS10−9)。アンバランス抑制手段22は、ステップS10−5で選択した抑制電圧パターン番号に基づいてモータ12に抑制正電圧を印加する(ステップS10−10)。
【0033】
次に、脈動の差分計算を開始し(ステップS10−11)、1/2回転しパルスカウントが9となったとき(ステップS10−12)の脈動量と、パルスカウントが0のとき(ステップS10−9)の脈動量との差分が+のときに(ステップS10−13)、パターンテーブル22のうち、ステップS10−5で選択した第1の抑制電圧パターンのパターン番号を1つインクリメントした第2の抑制電圧パターンを選択する(ステップS10−15)。
【0034】
パルスカウントが9となったとき(ステップS10−12)の脈動量と、パルスカウントが0のとき(ステップS10−9)の脈動量との差分が−のときに(ステップS10−14)、パターンテーブル22のうち、ステップS10−5で選択した第1の抑制電圧パターンのパターン番号を1つデクリメントした第3の抑制電圧パターンを選択する(ステップS10−16)。
【0035】
次に、脱水時間が経過していなければ(ステップS10−17)、ステップS10−6に戻り、ステップS10−7でモ−タが通電されていればステップS10−9を経てステップS10−15で選択した第2の抑制電圧パターンまたはステップS10−16で選択した第3の抑制電圧パターンに基づいてモータ12に抑制正電圧を印加する(ステップS10−10)。
【0036】
そして脱水時間終了ならば(ステップS10−17)脱水を終了する(ステップS11)。
【0037】
このように、モータOFF後の二次共振点近傍の脈動量が大きく、かつ、安定したところで捉えた高精度の振動量によって、補正電圧を決定してからその制御量によって脱水槽の回転を上げるため、共振点での異常振動を抑制し、脱水開始から偏りに合わせた振動のない脱水運転制御を行うことができる。
【0038】
なお、上記の説明では、脈動量検出手段21がパルス長計測手段18のパルス長をサンプリングするのは、脱水槽4の回転が例えば二次共振領域を超える回転速度である第1の回転速度まで上昇してモータ12への通電を断電した時から、再び二次共振領域を通過した回転速度である第2の回転速度2まで下降した時までの間の1回であるが、再度通電、断電を行うことにより複数のサンプリングを行ってもよく、脈動の差分の計算を複数回行って平均値を使用してもよい。
また、説明上、図9において、右上がりの回転数特性で説明したが、本実施の形態における慣性回転では、右下がりの特性となることは言うまでもない。
【0039】
実施の形態2.
実施の形態1は、共振回転数まで回転速度が上昇したときに、モータ通電を断電し、脱水槽の慣性回時の脈動を検出してアンバランス抑制制御を行ったが、本実施の形態は、回転速度が共振回転数まで回転速度が上昇しても、モータ通電を断電せずに脈動を検出してアンバランス抑制制御をするものである。
本実施の形態の脱水機のアンバランス抑制制御装置は実施の形態1の図1に示した脱水機のアンバランス抑制制御装置と構成が同じであり、動作について図14のフローチャートに基づいて説明する。
【0040】
まず、脱水工程をスタートさせると(S11)、クラッチ機構10が槽側プーリ9を脱水槽4へ接続する。次に、排水弁16を開いて脱水槽4内の洗濯水を排水する(S12)。
排水が完了した後にモータ運転制御手段17は、モータ12に通電し(S13)、モータ12の回転力はモータ側プーリ13及びベルト14を介して槽側プーリ9へ伝えられ、槽側プーリ9に接続された脱水槽4が回転を始める。
【0041】
この脱水槽4の回転は、回転センサ19のパルス信号に基づいてパルス長計測手段18がパルス長を計測しており、そのパルス長を運転制御手段17に出力している。そして、運転制御手段17ではパルス長計測手段18のパルス長に基づいて回転速度を算出し、その回転速度が例えば二次共振領域の回転速度である第1の回転速度まで上昇したら(S14)、パルス長計測手段18が回転センサ19のパルス信号をパルス長をパルス長記憶手段20に記憶し、脈動量検出手段21が記憶されたパルス長のサンプリングを開始する(ステップS15)。
【0042】
そして、洗濯脱水槽4があらかじめ定められた回転数(例えば2回転)回転したら(S16)、パルス長計測手段18は回転センサ19のパルス長のサンプリングを停止する(S17)。
なお、第1の回転速度から第2の回転速度になるまで、少なくとも1回転が必要である。
次に、脈動量検出手段21はパルス長計測手段18が計測した3パルス長の平均値のパルス長の脈動から速度成分を除去して脈動量を求め、アンバランス抑制手段22に出力する(ステップS18)。
【0043】
次に、パルス長計測手段18により計測された3パルス長の平均値のパルス長の脈動からアンバランス抑制手段22により、アンバランス抑制制御を行い(S19)、脱水を終了する(ステップS20)。このアンバランス抑制制御については実施の形態1の図11のフローチャートで、ステップS10ー7、S10ー8のモータ通電を省いたものであり、説明を省略する。
【0044】
このように、脱水初期の二次共振近傍の脈動量が大きく、かつ、安定したところで捉えた高精度の振動量によって補正電圧を決定し、その制御量によって連続的に制御するために、二次共振時の異常振動を抑制でき、その後の回転においても偏りに合わせた振動のない脱水制御運転を行うことができる。
【0045】
なお、実施の形態1、2ではアンバランス抑制を電圧で抑制する方法を説明したが、電流で抑制してもよい。
【0046】
【発明の効果】
以上のようにこの発明の脱水機のアンバランス抑制制御方法によれば、脱水工程時に脱水槽を駆動するモータに通電し、上記脱水槽があらかじめ定められた回転速度まで上昇したら上記モータへの通電を断電し、その断電した時から上記脱水槽が慣性運転により回転している間に、上記脱水槽の回転検出手段の出力信号に基づいて、パルス長計測手段が検出したパルス長に基づき上記脱水槽の1回転当たりの回転速度脈動量を求め、その脈動量の山と谷にそれぞれ対応した逆位相の電圧または電流をモータに印加して上記脱水槽のアンバランス抑制制御を行うので、モータOFF後の二次共振点近傍の脈動量が大きく、かつ、安定したところで捉えた高精度の振動量によって、脈動量を除く制御量を決定してからその制御量によって脱水槽の回転を上げるため、共振点での異常振動を抑制し、脱水開始から偏りに合わせた振動のない脱水運転制御を行うことができる。
【0047】
また、脱水工程時に脱水槽を駆動するモータに通電し、上記脱水槽が第1の回転速度まで上昇したら上記モータへの通電を断電し、その断電した時から上記脱水槽が慣性運転により回転して第2の回転速度まで下降する間に、上記脱水槽の回転検出手段の出力信号に基づいて、パルス長計測手段が検出したパルス長に基づき上記脱水槽の1回転当たりの回転速度脈動量を求め、その脈動量の山と谷にそれぞれ対応した逆位相の電圧または電流をモータに印加して上記脱水槽のアンバランス抑制制御を行うので、モータOFF後の二次共振点近傍の脈動量が大きく、かつ、安定したところで捉えた高精度の振動量によって、脈動量を除く制御量を決定してからその制御量によって脱水槽の回転を上げるため、共振点での異常振動を抑制し、脱水開始から偏りに合わせた振動のない脱水運転制御を行うことができる
【0048】
また、脱水工程時に脱水槽を駆動するモータに通電し、上記脱水槽があらかじめ定められた回転速度まで上昇した後、上記脱水槽の回転検出手段の出力信号に基づいて、パルス長計測手段が検出したパルス長に基づき上記脱水槽の1回転当たりの回転速度脈動量を求め、その脈動量の山と谷にそれぞれ対応した逆位相の電圧または電流をモータに印加して上記脱水槽のアンバランス抑制制御を行うので、脱水初期の二次共振近傍の脈動量が大きく、かつ、安定したところで捉えた高精度の振動量によって脈動量を除く制御量を決定し、その制御量によって連続的に制御するために、二次共振時の異常振動を抑制でき、その後の回転においても偏りに合わせた振動のない脱水制御運転を行うことができる。
【0049】
また、モータに印加する逆位相の電圧または電流は、各種の脈動量の山と谷にそれぞれ対応した逆位相の電圧または電流を記載したパターンテーブルから、選択するので、簡単にアンバランスの抑制ができる。
【0050】
また、この発明に係る脱水機のアンバランス抑制制御装置によれば、脱水槽を回転駆動するためのモータと、上記脱水槽の回転を検出する回転数検出手段の出力信号に基づいてパルス長を出力するパルス長計測手段と、上記モータを駆動すると共に上記パルス長計測手段から出力されたパルス長に基づき演算したあらかじめ定められた回転速度で電源供給を断つ運転制御手段と、上記パルス長計測手段が出力しているパルス長を上記モータの断電後から上記脱水槽が慣性回転している間にサンプリングし、そのサンプリングしたパルス長に基づき上記脱水槽の1回転当たりの回転速度脈動量を求めて出力する脈動量検出手段と、この脈動量検出手段が求めた脈動量の山と谷にそれぞれ対応した逆位相の電圧または電流をモータに印加して上記脱水槽のアンバランス抑制制御を行うアンバランス抑制手段と、を備えたので、モータOFF後の二次共振点近傍の脈動量が大きく、かつ、安定したところで捉えた高精度の振動量によって、脈動量を除く制御量を決定してからその制御量によって脱水槽の回転を上げるため、共振点での異常振動を抑制し、脱水開始から偏りに合わせた振動のない脱水運転制御を行うことができる。
【0051】
また、脱水槽を回転駆動するためのモータと、上記脱水槽の回転を検出する回転数検出手段の出力信号に基づいてパルス長を出力するパルス長計測手段と、上記モータを駆動すると共に上記パルス長計測手段から出力されたパルス長に基づき演算した第1の回転速度で電源供給を断つ運転制御手段と、上記パルス長計測手段が出力しているパルス長を上記モータの断電後から上記脱水槽の慣性回転時に基づき第2の回転速度までの間にサンプリングし、そのサンプリングしたパルス長に基づき脱水槽の1回転当たりの回転速度脈動量を求めて出力する脈動量検出手段と、この脈動量検出手段が求めた脈動量の山と谷にそれぞれ対応した逆位相の電圧または電流をモータに印加して上記脱水槽のアンバランス抑制制御を行うアンバランス抑制手段と、を備えたので、ータOFF後の二次共振点近傍の脈動量が大きく、かつ、安定したところで捉えた高精度の振動量によって、脈動量を除く制御量を決定してからその制御量によって脱水槽の回転を上げるため、共振点での異常振動を抑制し、脱水開始から偏りに合わせた振動のない脱水運転制御を行うことができる。
【0052】
また、脱水槽を回転駆動するためのモータと、上記脱水槽の回転を検出する回転数検出手段の出力信号に基づいてパルス長を出力するパルス長計測手段と、上記パルス長計測手段が出力しているパルス長を、上記脱水槽があらかじめ定められた回転速度を超えた後からサンプリングし、そのサンプリングしたパルス長に基づき上記脱水槽の1回転当たりの回転速度脈動量を求めて出力する脈動量検出手段と、この脈動量検出手段が求めた脈動量の山と谷にそれぞれ対応した逆位相の電圧または電流をモータに印加して上記脱水槽のアンバランス抑制制御を行うアンバランス抑制手段と、を備えたので、脱水初期の二次共振近傍の脈動量が大きく、かつ、安定したところで捉えた高精度の振動量によって脈動量を除く制御量を決定し、その制御量によって連続的に制御するために、二次共振時の異常振動を抑制でき、その後の回転においても偏りに合わせた振動のない脱水制御運転を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1である脱水機のアンバランス抑制制御装置のブロック図である。
【図2】 同アンバランス抑制制御装置の回転センサを示す斜視図である。
【図3】 図2の回転センサの回路図である。
【図4】 図2の回転センサの出力波形図である。
【図5】 同アンバランス抑制制御装置のパルス長計測手段の計測波形図である。
【図6】 脱水槽の一次共振、二次共振の振動振幅の波形図である。
【図7】 理想状態と傾き振動発生時の脱水槽の回転状態を示す説明図である。
【図8】 同アンバランス抑制制御装置のパルス長計測手段と脈動量検出手段の計測波形図である。
【図9】 同アンバランス抑制制御装置のアンバランス抑制制御方法の説明図である。
【図10】 同アンバランス抑制制御装置の動作を説明するフローチャートである。
【図11】 同アンバランス抑制制御装置の動作を説明するフローチャートである。
【図12】 同アンバランス抑制制御装置の脈動の谷と山の検出の説明図である。
【図13】 同アンバランス抑制制御装置のパターンテーブルの説明図である。
【図14】 この発明の実施の形態2である脱水機のアンバランス抑制制御装置の動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
4 脱水槽、17 運転制御手段、18 パルス長計測手段、19 回転センサ、20 パルス長記憶手段、21 脈動量検出手段、22 アンバランス抑制手段、23 パターン記憶手段。

Claims (7)

  1. 脱水工程時に脱水槽を駆動するモータに通電し、上記脱水槽があらかじめ定められた回転速度まで上昇したら上記モータへの通電を断電し、その断電した時から上記脱水槽が慣性運転により回転している間に、上記脱水槽の回転検出手段の出力信号に基づいて、パルス長計測手段が検出したパルス長に基づき上記脱水槽の1回転当たりの回転速度脈動量を求め、その脈動量の山と谷にそれぞれ対応した逆位相の電圧または電流をモータに印加して上記脱水槽のアンバランス抑制制御を行うことを特徴とする脱水機のアンバランス抑制制御方法。
  2. 脱水工程時に脱水槽を駆動するモータに通電し、上記脱水槽が第1の回転速度まで上昇したら上記モータへの通電を断電し、その断電した時から上記脱水槽が慣性運転により回転して第2の回転速度まで下降する間に、上記脱水槽の回転検出手段の出力信号に基づいて、パルス長計測手段が検出したパルス長に基づき上記脱水槽の1回転当たりの回転速度脈動量を求め、その脈動量の山と谷にそれぞれ対応した逆位相の電圧または電流をモータに印加して上記脱水槽のアンバランス抑制制御を行うことを特徴とする脱水機のアンバランス抑制制御方法。
  3. 脱水工程時に脱水槽を駆動するモータに通電し、上記脱水槽があらかじめ定められた回転速度まで上昇した後、上記脱水槽の回転検出手段の出力信号に基づいて、パルス長計測手段が検出したパルス長に基づき上記脱水槽の1回転当たりの回転速度脈動量を求め、その脈動量の山と谷にそれぞれ対応した逆位相の電圧または電流をモータに印加して上記脱水槽のアンバランス抑制制御を行うことを特徴とする脱水機のアンバランス抑制制御方法。
  4. モータに印加する逆位相の電圧または電流は、各種の脈動量の山と谷にそれぞれ対応した逆位相の電圧または電流を記載したパターンテーブルから、選択することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の脱水機のアンバランス抑制制御方法。
  5. 脱水槽を回転駆動するためのモータと、
    上記脱水槽の回転を検出する回転数検出手段の出力信号に基づいてパルス長を出力するパルス長計測手段と、
    上記モータを駆動すると共に上記パルス長計測手段から出力されたパルス長に基づき演算したあらかじめ定められた回転速度で電源供給を断つ運転制御手段と、
    上記パルス長計測手段が出力しているパルス長を上記モータの断電後から上記脱水槽が慣性回転している間にサンプリングし、そのサンプリングしたパルス長に基づき上記脱水槽の1回転当たりの回転速度脈動量を求めて出力する脈動量検出手段と、
    この脈動量検出手段が求めた脈動量の山と谷にそれぞれ対応した逆位相の電圧または電流をモータに印加して上記脱水槽のアンバランス抑制制御を行うアンバランス抑制手段と、
    を備えたことを特徴とする脱水機のアンバランス抑制制御装置。
  6. 脱水槽を回転駆動するためのモータと、
    上記脱水槽の回転を検出する回転数検出手段の出力信号に基づいてパルス長を出力するパルス長計測手段と、
    上記モータを駆動すると共に上記パルス長計測手段から出力されたパルス長に基づき演算した第1の回転速度で電源供給を断つ運転制御手段と、
    上記パルス長計測手段が出力しているパルス長を上記モータの断電後から上記脱水槽の慣性回転時に基づき第2の回転速度までの間にサンプリングし、そのサンプリングしたパルス長に基づき脱水槽の1回転当たりの回転速度脈動量を求めて出力する脈動量検出手段と、
    この脈動量検出手段が求めた脈動量の山と谷にそれぞれ対応した逆位相の電圧または電流をモータに印加して上記脱水槽のアンバランス抑制制御を行うアンバランス抑制手段と、
    を備えたことを特徴とする脱水機のアンバランス抑制制御装置。
  7. 脱水槽を回転駆動するためのモータと、上記脱水槽の回転を検出する回転数検出手段の出力信号に基づいてパルス長を出力するパルス長計測手段と、
    上記パルス長計測手段が出力しているパルス長を、上記脱水槽があらかじめ定められた回転速度を超えた後からサンプリングし、そのサンプリングしたパルス長に基づき上記脱水槽の1回転当たりの回転速度脈動量を求めて出力する脈動量検出手段と、
    この脈動量検出手段が求めた脈動量の山と谷にそれぞれ対応した逆位相の電圧または電流をモータに印加して上記脱水槽のアンバランス抑制制御を行うアンバランス抑制手段と、
    を備えたことを特徴とする脱水機のアンバランス抑制制御装置。
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