JP3648815B2 - タンデム圧延における圧延機の速度制御方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄鋼等の金属材料をタンデム圧延する際の圧延機の速度制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ホットストリップミルやコールドストリップミルなどのタンデム形式の連続圧延機を用いて金属材料を圧延する場合においては、ミスロールを防止し、寸法・形状の良好な圧延を達成すべく、各圧延機の速度を最適にできるようにするために、各圧延機ごとに圧延ロールを駆動する電動モータと減速機、速度制御装置、速度センサ等を個別に独立して配置しているのが一般的である。しかし、このような従来方式は設備するのに膨大な費用や場所を必要とするので、既設の圧延設備に圧延機を増設するなどの改造を行う場合には、大きな制約条件になるという問題があった。
【0003】
また、線棒材の圧延においては、2基の圧延機を1台の電動モータによって駆動するコモンドライブ方式の圧延機や、最大10本の圧延ロールを1台の電動モータで駆動するブロックミル方式の圧延機が圧延機列のうちの一部に用いられている。このようなコモンドライブあるいはブロックミル方式の圧延機においては、通常は各圧延ロールの回転数比は一定に固定してある。この方式の場合に、圧延サイズを変更すると、各圧延機の減面率等の変化によってスタンド間の張力状態が変化するだけでなく、同一サイズ、同一パススケジュールであってもロール径が変わると張力状態が変化して製品の寸法精度や圧延の安定性に悪影響を及ぼしてしまうため、パススケジュールにおける減面配分の自由度や寸法調整の範囲あるいは使用するロールのロール径の組み合わせなどが限定されて、操業の自由度が低くなるという問題があった。
【0004】
ところで、例えば特開昭53− 11871号公報にはコモンドライブ方式でありながら遊星減速装置を用いて各圧延機ごとに速度制御を可能とした方法が開示されている。すなわち、その内容は、1台の駆動源により圧延機群を駆動する際に、遊星減速装置を設け、該遊星減速装置の太陽ギヤまたは外周ギヤを前記駆動源と別の変速可能な原動機に接続して、あるロールスタンドのロール回転数を他のロールスタンドと独立させて制御し得るように構成したものである。しかし、この特開昭53− 11871号の場合は、遊星減速装置とその補助装置を用いる必要があることから、コモンドライブ方式の低コスト、省スペースの利点を十分に生かし切れないという欠点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来技術の有する課題を解決すべくなされたものであって、コモンドライブ方式やブロックミル方式での低コスト、省スペースの利点を十分に生かして、かつ速度制御を個別に独立して行うことのできるタンデム圧延における圧延機の速度制御方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、タンデムに配列された複数基の圧延機を動力伝達装置を介して1台の電動モータで駆動して金属材料を圧延する際に、前記動力伝達装置の少なくとも1台に、摩擦による伝達力の大きさを調整することができるカプラを組み込んで速度制御を行うことを特徴とするタンデム圧延における圧延機の速度制御方法である。
また、本発明は、タンデムに配列された複数基の圧延機を動力伝達装置を介して1台の電動モータで駆動して金属材料を圧延する既設のコモンドライブ方式のブロックミルに、増設用の電動モータで駆動される垂直ロールおよび水平ロールを1基ずつ増設する際に、増設される垂直ロールおよび水平ロールが連結される増速機の駆動軸に伝達トルクの調整が可能な摩擦力を利用したカプラでそれぞれ結合され、増設される垂直ロールおよび水平ロールの速度比は、非圧延時では一定に固定とされ、圧延中はブロックミルの最終段をマスターとし、そのマスターとなる圧延機の圧延速度と同じ圧延速度となる回転数にまで、前記カプラのすべりにより調整されることを特徴とするタンデム圧延における圧延機の速度制御方法である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の好適な実施の形態について図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例を平面的に示す概要図で、ブロックミルへ適用した場合を例示したものである。この図において、1は線材Rを仕上圧延する既設のブロックミルで、垂直ロール2と水平ロール3が交互に5段ずつタンデムに配設して構成される。4は増設される1段の垂直ロール、5は同じく増設される1段の水平ロールである。6は増設用の電動モータ、7はその増速機である。
【0008】
8は増速機7の末端の油圧によって伝達トルクの調整が可能な摩擦力を利用した例えば油圧多板クラッチ式あるいはビスカスカップリング式のカプラで、増設される垂直ロール4および水平ロール5に連結される増速機7の駆動軸7a,7bに結合される。このカプラ8の構成について簡単に説明すると、油圧多板クラッチ式の場合は図2(a) に示すように、複数枚の摩擦板を組み合わせ、それらを油圧により押し付け合ってトルクを伝達する形式のカプラで、押し付ける油圧の圧力を調整することによって伝達するトルクの大きさを調整することができる。また、ビスカスカップリング式の場合は図2(b) に示すように、スリットに入った複数枚の円板を組み合わせ、その中に油等の粘性のある流体を封入したもので、一方の組が回転した時に生じる流体の粘性抵抗がもう一方の組の円板に伝えられることにより、トルク伝達を行う形式のカプラである。
【0009】
そして、垂直ロール4および水平ロール5の速度比は、非圧延時(圧延材を噛み込んでいない状態)では一定に固定とされ、圧延中はもっとも近いコモンドライブ方式の圧延機(ここではブロックミル1の最終段)をマスターとし、そのマスターとなる圧延機の圧延速度(伸出量)と同じ圧延速度(伸出量)となる回転数にまで、カプラ8のすべりにより自動的な調整が可能とされる。このため、製品サイズによってパススケジュールが異なることや圧下調整による減面率比の変化によって各圧延機間の速度比(伸出量比)が変化することに対して機械的あるいは電気的な調整を必要とせずに、寸法精度の良好な製品の圧延が可能である。なお、摩擦による伝達力の大きさを調整式としたカプラ8の場合には、その調整により速度のみならず圧延機間の張力の調整が行えるようになるため、さらに寸法精度を向上させることができる。
【0010】
図3は、ホットストリップミルへ本発明を適用した場合の主要部を平面的に示す概要図である。この図において、10は仕上圧延機で、圧延ロール11を駆動する電動モータ12、減速機13からなるスタンド14が複数段タンデムに配列されて構成される。
15はストリップSの幅寸法の精度向上を目的として増設されるエッジャミルで、左右一対のエッジャロール16, 16がハウジング17に取り付けられ、任意のスタンド14, 14間に設置される。18は電動モータ12の駆動軸12aに取り付けられるエッジャミル分岐減速機である。19はエッジャミル分岐減速機18の軸18aに結合されるベベルギヤで、このベベルギヤ19と圧延ロール11を連結するベベルギヤ軸19aにカプラ8が結合される。
【0011】
この増設されたエッジャミル15の非圧延時におけるロール周速が、マスターとなる上流側のスタンド14のロール周速に対して3〜6%速くなるように駆動している。この場合のカプラ8としては、用途上細かな速度・張力調整は不要であるので、伝達トルク調整機構のない流体の粘性摩擦を利用した型式の例えばビスカスカップリングと称するものを使用すればよい。この例ではエッジャミル15を駆動する独立の電動モータを持たないだけでなく、速度の初期設定や速度制御用の設備はまったく不要であるから、既設圧延機間への増設が非常に容易で、かつ増設に要する設備費を大幅に節減することが可能である。
【0012】
なお、上記の例では、鉄鋼圧延における2ロール方式の線材ミルやホットストリップミルへのスタンド増設の場合を例にして説明したが、アルミニウムや銅等の非鉄金属の圧延加工の可能な材料にはいずれにも適用することができる。
また、対象になる圧延機の型式としてはタンデム方式の連続圧延設備であれば、棒鋼ミルやコールドストリップミル等のすべてに適用することができ、圧延機の形態も2ロール式に限るものではなく、3ロール式や4ロール式、ユニバーサルミル等、あるいはこれらを組み合わせた圧延機列の一部または全部に対して適用することが可能である。
【0013】
また、カプラ8としては、油圧多板クラッチ式あるいはビスカスカップリング式に限らず、摩擦力を利用してトルクを伝達し得る方式であれば利用可能であり、その伝達トルクの大きさは固定式であってもあるいは調整式であってもよく、その使用条件に合わせて選択するようにすればよい。
【0014】
【実施例】
前出図1のように、既設のコモンドライブ方式のブロックミル1に垂直ロール4および水平ロール5を1基ずつ増設する際に油圧多板クラッチ式のカプラ8を採用したところ、その設備費は従来の個別に独立した速度制御装置を採用する場合に比べて、30%程度低く抑えることができ、かつ省スペースを実現することができた。
【0015】
また、このタンデム圧延設備を用いて線材Rを圧延した。このとき、垂直ロール4および水平ロール5の非圧延時(圧延材を噛み込んでいない状態)の回転数比は、上流側の垂直ロール4に対して下流側の水平ロール5の回転数が20%速くなるような増速比として設定し、それらの初期速度比の設定は、マスターとなるブロックミル1の最終段の圧延速度(伸出量)に対して垂直ロール4のそれが1〜5%速くなるようにパススケジュールにより求めて設定した。(これにより、圧延中において自動的に速度調整がなされることになる。)
さらに、カプラ8の伝達トルクの設定としては、パススケジュールより必要と考えられる圧延トルクに対して1〜5%程度大きくなるように、油圧多板クラッチの押し付け力を設定したことにより、ブロックミル1と垂直ロール4間、および垂直ロール4と水平ロール5間に余分な張力が加わらないため良好な寸法の製品を得ることができた。その結果、±0.1 mmの寸法精度と、±0.5 mmのサイズフリー範囲をもつサイズフリー圧延を実施することが可能となった。
【0016】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、コモンドライブ方式のタンデム圧延機の少なくとも1基の圧延機の動力伝達装置に摩擦力を利用した型式のカプラを組み込むようにしたので、各圧延機の圧延速度の差を自律的に吸収することができ、これによって個別ドライブ方式の圧延機なみの製品寸法精度を得ることができるとともに、設備費の低減や省スペースの効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施例を平面的に示す概要図である。
【0018】
【図2】本発明に用いられるカプラの(a) 油圧多板クラッチ式、(b) ビスカスカップリング式の構成を示す概要図である。
【0019】
【図3】本発明の他の実施例を示す概要図である。
【0020】
【符号の説明】
1 既設のブロックミル
2 垂直ロール
3 水平ロール
4 増設の垂直ロール
5 増設の水平ロール
6 増設用の電動モータ
7 増速機(動力伝達装置)
8 カプラ
10 仕上圧延機
11 圧延ロール
12 電動モータ
13 減速機
14 スタンド
15 エッジャミル
16 エッジャロール
17 ハウジング
18 エッジャミル分岐減速機(動力伝達装置)
19 ベベルギヤ(動力伝達装置)
R 線材
S ストリップ
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄鋼等の金属材料をタンデム圧延する際の圧延機の速度制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ホットストリップミルやコールドストリップミルなどのタンデム形式の連続圧延機を用いて金属材料を圧延する場合においては、ミスロールを防止し、寸法・形状の良好な圧延を達成すべく、各圧延機の速度を最適にできるようにするために、各圧延機ごとに圧延ロールを駆動する電動モータと減速機、速度制御装置、速度センサ等を個別に独立して配置しているのが一般的である。しかし、このような従来方式は設備するのに膨大な費用や場所を必要とするので、既設の圧延設備に圧延機を増設するなどの改造を行う場合には、大きな制約条件になるという問題があった。
【0003】
また、線棒材の圧延においては、2基の圧延機を1台の電動モータによって駆動するコモンドライブ方式の圧延機や、最大10本の圧延ロールを1台の電動モータで駆動するブロックミル方式の圧延機が圧延機列のうちの一部に用いられている。このようなコモンドライブあるいはブロックミル方式の圧延機においては、通常は各圧延ロールの回転数比は一定に固定してある。この方式の場合に、圧延サイズを変更すると、各圧延機の減面率等の変化によってスタンド間の張力状態が変化するだけでなく、同一サイズ、同一パススケジュールであってもロール径が変わると張力状態が変化して製品の寸法精度や圧延の安定性に悪影響を及ぼしてしまうため、パススケジュールにおける減面配分の自由度や寸法調整の範囲あるいは使用するロールのロール径の組み合わせなどが限定されて、操業の自由度が低くなるという問題があった。
【0004】
ところで、例えば特開昭53− 11871号公報にはコモンドライブ方式でありながら遊星減速装置を用いて各圧延機ごとに速度制御を可能とした方法が開示されている。すなわち、その内容は、1台の駆動源により圧延機群を駆動する際に、遊星減速装置を設け、該遊星減速装置の太陽ギヤまたは外周ギヤを前記駆動源と別の変速可能な原動機に接続して、あるロールスタンドのロール回転数を他のロールスタンドと独立させて制御し得るように構成したものである。しかし、この特開昭53− 11871号の場合は、遊星減速装置とその補助装置を用いる必要があることから、コモンドライブ方式の低コスト、省スペースの利点を十分に生かし切れないという欠点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような従来技術の有する課題を解決すべくなされたものであって、コモンドライブ方式やブロックミル方式での低コスト、省スペースの利点を十分に生かして、かつ速度制御を個別に独立して行うことのできるタンデム圧延における圧延機の速度制御方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、タンデムに配列された複数基の圧延機を動力伝達装置を介して1台の電動モータで駆動して金属材料を圧延する際に、前記動力伝達装置の少なくとも1台に、摩擦による伝達力の大きさを調整することができるカプラを組み込んで速度制御を行うことを特徴とするタンデム圧延における圧延機の速度制御方法である。
また、本発明は、タンデムに配列された複数基の圧延機を動力伝達装置を介して1台の電動モータで駆動して金属材料を圧延する既設のコモンドライブ方式のブロックミルに、増設用の電動モータで駆動される垂直ロールおよび水平ロールを1基ずつ増設する際に、増設される垂直ロールおよび水平ロールが連結される増速機の駆動軸に伝達トルクの調整が可能な摩擦力を利用したカプラでそれぞれ結合され、増設される垂直ロールおよび水平ロールの速度比は、非圧延時では一定に固定とされ、圧延中はブロックミルの最終段をマスターとし、そのマスターとなる圧延機の圧延速度と同じ圧延速度となる回転数にまで、前記カプラのすべりにより調整されることを特徴とするタンデム圧延における圧延機の速度制御方法である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の好適な実施の形態について図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例を平面的に示す概要図で、ブロックミルへ適用した場合を例示したものである。この図において、1は線材Rを仕上圧延する既設のブロックミルで、垂直ロール2と水平ロール3が交互に5段ずつタンデムに配設して構成される。4は増設される1段の垂直ロール、5は同じく増設される1段の水平ロールである。6は増設用の電動モータ、7はその増速機である。
【0008】
8は増速機7の末端の油圧によって伝達トルクの調整が可能な摩擦力を利用した例えば油圧多板クラッチ式あるいはビスカスカップリング式のカプラで、増設される垂直ロール4および水平ロール5に連結される増速機7の駆動軸7a,7bに結合される。このカプラ8の構成について簡単に説明すると、油圧多板クラッチ式の場合は図2(a) に示すように、複数枚の摩擦板を組み合わせ、それらを油圧により押し付け合ってトルクを伝達する形式のカプラで、押し付ける油圧の圧力を調整することによって伝達するトルクの大きさを調整することができる。また、ビスカスカップリング式の場合は図2(b) に示すように、スリットに入った複数枚の円板を組み合わせ、その中に油等の粘性のある流体を封入したもので、一方の組が回転した時に生じる流体の粘性抵抗がもう一方の組の円板に伝えられることにより、トルク伝達を行う形式のカプラである。
【0009】
そして、垂直ロール4および水平ロール5の速度比は、非圧延時(圧延材を噛み込んでいない状態)では一定に固定とされ、圧延中はもっとも近いコモンドライブ方式の圧延機(ここではブロックミル1の最終段)をマスターとし、そのマスターとなる圧延機の圧延速度(伸出量)と同じ圧延速度(伸出量)となる回転数にまで、カプラ8のすべりにより自動的な調整が可能とされる。このため、製品サイズによってパススケジュールが異なることや圧下調整による減面率比の変化によって各圧延機間の速度比(伸出量比)が変化することに対して機械的あるいは電気的な調整を必要とせずに、寸法精度の良好な製品の圧延が可能である。なお、摩擦による伝達力の大きさを調整式としたカプラ8の場合には、その調整により速度のみならず圧延機間の張力の調整が行えるようになるため、さらに寸法精度を向上させることができる。
【0010】
図3は、ホットストリップミルへ本発明を適用した場合の主要部を平面的に示す概要図である。この図において、10は仕上圧延機で、圧延ロール11を駆動する電動モータ12、減速機13からなるスタンド14が複数段タンデムに配列されて構成される。
15はストリップSの幅寸法の精度向上を目的として増設されるエッジャミルで、左右一対のエッジャロール16, 16がハウジング17に取り付けられ、任意のスタンド14, 14間に設置される。18は電動モータ12の駆動軸12aに取り付けられるエッジャミル分岐減速機である。19はエッジャミル分岐減速機18の軸18aに結合されるベベルギヤで、このベベルギヤ19と圧延ロール11を連結するベベルギヤ軸19aにカプラ8が結合される。
【0011】
この増設されたエッジャミル15の非圧延時におけるロール周速が、マスターとなる上流側のスタンド14のロール周速に対して3〜6%速くなるように駆動している。この場合のカプラ8としては、用途上細かな速度・張力調整は不要であるので、伝達トルク調整機構のない流体の粘性摩擦を利用した型式の例えばビスカスカップリングと称するものを使用すればよい。この例ではエッジャミル15を駆動する独立の電動モータを持たないだけでなく、速度の初期設定や速度制御用の設備はまったく不要であるから、既設圧延機間への増設が非常に容易で、かつ増設に要する設備費を大幅に節減することが可能である。
【0012】
なお、上記の例では、鉄鋼圧延における2ロール方式の線材ミルやホットストリップミルへのスタンド増設の場合を例にして説明したが、アルミニウムや銅等の非鉄金属の圧延加工の可能な材料にはいずれにも適用することができる。
また、対象になる圧延機の型式としてはタンデム方式の連続圧延設備であれば、棒鋼ミルやコールドストリップミル等のすべてに適用することができ、圧延機の形態も2ロール式に限るものではなく、3ロール式や4ロール式、ユニバーサルミル等、あるいはこれらを組み合わせた圧延機列の一部または全部に対して適用することが可能である。
【0013】
また、カプラ8としては、油圧多板クラッチ式あるいはビスカスカップリング式に限らず、摩擦力を利用してトルクを伝達し得る方式であれば利用可能であり、その伝達トルクの大きさは固定式であってもあるいは調整式であってもよく、その使用条件に合わせて選択するようにすればよい。
【0014】
【実施例】
前出図1のように、既設のコモンドライブ方式のブロックミル1に垂直ロール4および水平ロール5を1基ずつ増設する際に油圧多板クラッチ式のカプラ8を採用したところ、その設備費は従来の個別に独立した速度制御装置を採用する場合に比べて、30%程度低く抑えることができ、かつ省スペースを実現することができた。
【0015】
また、このタンデム圧延設備を用いて線材Rを圧延した。このとき、垂直ロール4および水平ロール5の非圧延時(圧延材を噛み込んでいない状態)の回転数比は、上流側の垂直ロール4に対して下流側の水平ロール5の回転数が20%速くなるような増速比として設定し、それらの初期速度比の設定は、マスターとなるブロックミル1の最終段の圧延速度(伸出量)に対して垂直ロール4のそれが1〜5%速くなるようにパススケジュールにより求めて設定した。(これにより、圧延中において自動的に速度調整がなされることになる。)
さらに、カプラ8の伝達トルクの設定としては、パススケジュールより必要と考えられる圧延トルクに対して1〜5%程度大きくなるように、油圧多板クラッチの押し付け力を設定したことにより、ブロックミル1と垂直ロール4間、および垂直ロール4と水平ロール5間に余分な張力が加わらないため良好な寸法の製品を得ることができた。その結果、±0.1 mmの寸法精度と、±0.5 mmのサイズフリー範囲をもつサイズフリー圧延を実施することが可能となった。
【0016】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、コモンドライブ方式のタンデム圧延機の少なくとも1基の圧延機の動力伝達装置に摩擦力を利用した型式のカプラを組み込むようにしたので、各圧延機の圧延速度の差を自律的に吸収することができ、これによって個別ドライブ方式の圧延機なみの製品寸法精度を得ることができるとともに、設備費の低減や省スペースの効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施例を平面的に示す概要図である。
【0018】
【図2】本発明に用いられるカプラの(a) 油圧多板クラッチ式、(b) ビスカスカップリング式の構成を示す概要図である。
【0019】
【図3】本発明の他の実施例を示す概要図である。
【0020】
【符号の説明】
1 既設のブロックミル
2 垂直ロール
3 水平ロール
4 増設の垂直ロール
5 増設の水平ロール
6 増設用の電動モータ
7 増速機(動力伝達装置)
8 カプラ
10 仕上圧延機
11 圧延ロール
12 電動モータ
13 減速機
14 スタンド
15 エッジャミル
16 エッジャロール
17 ハウジング
18 エッジャミル分岐減速機(動力伝達装置)
19 ベベルギヤ(動力伝達装置)
R 線材
S ストリップ
Claims (2)
- タンデムに配列された複数基の圧延機を動力伝達装置を介して1台の電動モータで駆動して金属材料を圧延する際に、前記動力伝達装置の少なくとも1台に、摩擦による伝達力の大きさを調整することができるカプラを組み込んで速度制御を行うことを特徴とするタンデム圧延における圧延機の速度制御方法。
- タンデムに配列された複数基の圧延機を動力伝達装置を介して1台の電動モータで駆動して金属材料を圧延する既設のコモンドライブ方式のブロックミルに、増設用の電動モータで駆動される垂直ロールおよび水平ロールを1基ずつ増設する際に、増設される垂直ロールおよび水平ロールが連結される増速機の駆動軸に伝達トルクの調整が可能な摩擦力を利用したカプラでそれぞれ結合され、
増設される垂直ロールおよび水平ロールの速度比は、非圧延時では一定に固定とされ、圧延中はブロックミルの最終段をマスターとし、そのマスターとなる圧延機の圧延速度と同じ圧延速度となる回転数にまで、前記カプラのすべりにより調整されることを特徴とするタンデム圧延における圧延機の速度制御方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP30864295A JP3648815B2 (ja) | 1995-11-28 | 1995-11-28 | タンデム圧延における圧延機の速度制御方法 |
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JP30864295A JP3648815B2 (ja) | 1995-11-28 | 1995-11-28 | タンデム圧延における圧延機の速度制御方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH09150210A JPH09150210A (ja) | 1997-06-10 |
JP3648815B2 true JP3648815B2 (ja) | 2005-05-18 |
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---|---|---|---|---|
KR101504281B1 (ko) * | 2013-12-11 | 2015-03-19 | 동국제강주식회사 | 사각봉 제조용 사상압연장치 |
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1995
- 1995-11-28 JP JP30864295A patent/JP3648815B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH09150210A (ja) | 1997-06-10 |
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