JP3648246B2 - 点火補助部材を有するペニング測定セル - Google Patents

Description

本発明は、陽極及び陰極を有する電極装置ならびにこの電極装置のための点火補助部材を有するペニング測定セルであって、陽極及び陰極は、永久磁石の磁界内に配置されているペニング測定セルに関する。
このようなペニング測定セルは電離真空計に組み込まれる。ペニング測定セルは、加熱されない２つの電極（陰極及び陽極）を有する。この２つの電極（陰極及び陽極）の間で、2kVの規模の直流電圧によって冷放電が点火され、保持される。磁界によって電子の経路長は長くなり、この結果、電子の気体ガス分子との衝突率は十分大きくなり、放電を保持するために必要な数の電荷担体を、非常に低圧力の場合でも、形成することができる。正及び負の電荷担体は対応する電極に移動し、圧力に依存する放電電流を形成する。この放電電流は、計器目盛りに表示される。このような真空計の不利な点は、放電をいつも必ず点火できるとは限らない、という点である。
ドイツ特許出願公開第3047744号公報から冒頭に挙げたような測定セルが公知である。確実な点火を行うために、加熱されない電極から成る測定装置の他に付加的に熱陰極を設けることを提案している。この手段はコスト高である。というのも、この手段は十分に大きな電流をこの熱陰極に供給する必要があるからである。付加的な電流供給装置ならびに別個の電流導入部が必要となる。
ヨーロッパ特許公開第271769号公報から本発明の上位概念の測定セルが公知である。この測定セルは、測定装置（主測定装置）のほかに、陰極及び陽極を有するさらに別のペニング装置（点火装置）を有する。このペニング装置（点火装置）の寸法は主装置の寸法よりもはるかに小さい。このような点火装置を製造するのは同様にコスト高である。さらに、テストの結果この測定装置の点火がいつも必ず保証されるわけではないことが判明した。それゆえ、このヨーロッパ特許公開第271769号公報から公知の測定セルは、市場に出回ることはなかった。
本発明の課題は、冒頭に言及したような測定セルに確実なかつその製造の簡単な点火補助部材を装備することである。
本発明によれば、上記課題は、少なくとも１つの金属ストリップが陽極に固定されており、この金属ストリップの自由端部は、陰極の方向に延在していることによって解決される。金属ストリップの自由端部の領域を支配する高い電界の強度のために気体ガスイオンが引き離され、この気体ガスイオンは陰極に当たってそこで２次電子を生成する。この２次電子は、電極装置の迅速かつ確実な点火を惹起する。
とりわけ有利な手段としては、金属ストリップの長手方向が磁力線に平行に設けられるのではなく、磁力線と交差するように選択される。点火確率を、この手段によって、さらに著しく向上させることができる。
本発明のさらに別の利点及び詳細は、図１及び２に図示された実施例に基づいて説明される。
概略的に図示されたペニング測定セル１は、真空密閉ケーシング２を有する。この真空密閉ケーシング２は同時に陰極を形成する。
このケーシング２には、フランジ３が設けられており、このフランジ３によって、このセルは真空容器に接続される。この真空容器において圧力が測定及び／又は監視される。
ケーシング乃至は陰極２によって形成される空間４の内部にはリング状の陽極５があり、このリング状の陽極５の軸が６によって示されている。陽極電圧供給部７によって陽極５はこの電極空間４に支持されている。この陽極電圧供給部は、正の高電圧の電位（ほぼ2kV）にある。陽極５とアースされたケーシング２の間には、セルの動作中に放電が保持される。
陽極５及び陰極乃至はケーシング２は磁界の中にある。この磁界は磁石８及び９によって形成される。それぞれＮ極とＳ極とがケーシング２に向けられており、この結果、磁界の磁力線は陽極軸６に対してほぼ平行に延在する。
点火補助部材としては、金属ストリップ11が設けられている。この金属ストリップ11は、陽極電圧供給部７の領域の中心部の陽極リング５に固定されており、この金属ストリップ11の自由端部は、この陽極リング５の開口部から側面に突き出している。この自由端部は、陰極乃至はケーシング２の近傍にまで延びている。この箇所における高い電界の強度が、この金属板ストリップの端部から気体ガスイオンを引き離し、この気体イオンがケーシング壁に当たった際に２次電子を生成する。この電子によって、迅速かつ確実なペニング測定セルの点火が低い圧力の場合でも可能になる。
有利には、この金属板ストリップは0.1mmの厚さの弱磁性材料から成る。ケーシング壁との間隔は、リング陽極５の直径がほぼ50mmの場合に、0.5〜1.0mmである。当然次のことも可能である。すなわち、この点火補助部材を、それぞれその端部によって陽極リング５に固定されている２つの別個の金属板ストリップから構成することも可能である。ただ１つのこのような金属ストリップだけでも点火補助部材としては十分である。
この点火補助部材を形成する金属ストリップ11が、通常陽極リング軸６に対して平行に存在する磁力線に対して平行に延在しないようにするためには、１つ又は複数の金属板ストリップ11の自由端部を、この自由端部を陽極リング５に固定した後で、例えばリング軸６の方向に曲げる。金属ストリップ11とリング軸６との間の角度がほぼ20゜であると有利である。

Claims (7)

1. 陽極（５）及び陰極（２）を有する電極装置ならびに該電極装置（２、５）のための点火補助部材（11）を有するペニング測定セル（１）であって、
   前記陽極（５）及び陰極（２）は、永久磁石（８、９）の磁界内に配置されているペニング測定セル（１）において、
   少なくとも１つの金属ストリップ（11）が前記陽極（５）に固定されており、前記金属ストリップ（11）の自由端部は、前記陰極（２）の方向に延在していることを特徴とするペニング測定セル（１）。
2. リング（５）が陽極を形成し、ならびに前記リング（５）を囲むケーシング（２）が陰極を形成し、
   前記金属ストリップ（11）は、陽極電圧供給部（７）の領域の前記陽極リング（５）に固定されていることを特徴とする請求項１記載の測定セル。
3. 陽極リング（５）の開口部から側面に突き出ている２つの金属ストリップ（11）が設けられていることを特徴とする請求項２記載の測定セル。
4. 金属ストリップ（11）は、陽極リングの中心に固定されており、
   前記金属ストリップ（11）の端部は、前記陽極リング（５）の開口部から突き出ていることを特徴とする請求項２記載の測定セル。
5. 金属ストリップ（11）の長手方向は、該長手方向が磁力線に交差するように選択されることを特徴とする請求項１〜４までのうちの１項記載の測定セル。
6. 金属板ストリップ（11）の長手方向と磁力線との間の角度は20゜の規模にとどまることを特徴とする請求項５記載の測定セル。
7. 金属板ストリップ（11）は、弱磁性材料から成ることを特徴とする請求項１〜６までのうち１項記載の測定セル。

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