JP3645715B2 - 車両の変速機 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、車両の変速機に関し、とくに、該変速機のサイズのコンパクト化(軸方向における寸法)を図るとともにリバースギア比の設定の自由度をより一層拡大しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】
車両の変速機としては、エンジンの駆動力を変速する変速機構と、変速された駆動力を出力する出力ギアとを有し、この出力ギアが車輪側駆動力伝達系のリングギアと噛合うギヤ部とこのギヤ部を軸方向両側で支える鍔部とを備えた実開平6−73505号公報に開示のようなトランスミッション、あるいは、低速側の2の前進ギア比を与えるギアを入力軸に回転不能に連結し、高速側の2つの前進ギア比を与える歯車を出力軸に回転不能に連結し、アイドラギアを、入力軸と回転不能に連結したギアと、これを駆動するように連結して低速側を形成し、出力軸と回転不能に連結したギアと、これらを駆動するように連結して高速側ギア比を形成するようにした特公平4−9933号公報に開示のような構造の自動車用歯車変速機が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記実開平6−73505号公報に開示のトランスミッションはリバースギアを軸方向に沿って摺動させる構造になっているためにその分の寸法を確保する必要があって変速機の長さが長くなる傾向にあり、また、リバースギアが選択的に摺動するため車両の後退時の操作に際してギアの噛み合い不良を生じることがあり操作性に劣る不具合があった。
【0004】
一方、特公平4−9933号公報に開示されているような変速機はリバース義戦用の分だけ軸方向の寸法を確保しておく必要がないので変速機のサイズのコンパクト化(軸方向における寸法の短縮化)が可能であり、ギアは常時噛み合っているのでシンクロ機構の適用が可能であり操作性を著しく向上させることができるようになった。
【0005】
しかしながら、ここに開示されている変速機の場合、軸の配置や1、3速のギア比が決まるとリバースのギア比は一通りに決まってしまいリバースギア比の設定の自由度が小さい(ギア比は約3.0〜3.4)ところに問題を残していた。
【0006】
また、かかる構造の場合、リバースギア比を変更しようとすると、アイドラギアを交換したり配置位置を換えなければならない等の必要を生じ、さらには他のギアや軸との取り合いがうまくいかず目的とするギア比に設定することが困難である。また、1速と3速の2つのギア列(入力軸の第2速用の2つの固定ギア3、4と出力軸上の対応するアイドラギア5、6)にリバースの負荷が導入されるので強度的にも厳しい構造であるのが現状であった。
【0007】
本発明の目的は、軸方向における寸法の短縮が可能であり、ギア比に関しても大きな改造やギア等の構成部材のレイアウトの変更を伴うことなしに比較的簡単に変更できる新規な変速機を提案するところにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る変速機は、軸の長手方向に沿って配列した複数のギアを有しエンジンの動力を受け入れる入力軸と同じく軸の長手方向に沿って配列した複数のギアを有し入力軸のギアと係合して所定のギア比のもとでエンジンの動力をディファレンシャルギアに伝達する出力軸及びこれらの軸に平行に配置され入力軸から伝達される動力を車両の後退時の動力に変換するリバース軸を備えた車両の変速機であって、この変速機は、入力軸に固定保持され該入力軸とともに回転する第1のギアと、この第1のギアに噛み合い出力軸とともに回転可能でかつ第1の係合手段によって出力軸とともに回転可能な第2のギアと、出力軸に固定保持される第3のギアと、この第3のギアと噛み合い入力軸上にて回転可能であり第2の係合手段によって入力軸とともに回転可能な第4のギアとを備え、リバース軸には、ピニオンギア、リングギア、キャリアおよびサンギアを有する遊星歯車組と、第1のギアと噛み合う第5のギアおよび第4のギアと噛み合う第6のギアをそれぞれ設けとともに、車両の後退時にのみ第5のギアからの動力を遊星歯車組を経て回転方向を逆転させて第6のギアに伝達するリバース係合手段を設けた点に特徴を有する。
【0009】
また、本発明の請求項2に係る変速機は請求項1の構成において、第5のギアは後退時において遊星歯車組のサンギアと一体に回転可能なものとし、第6のギアを遊星歯車組のリングギアと一体に回転可能なものとする点に特徴を有する。
【0010】
また、本発明の請求項3に係る変速機は請求項2の構成において第6のギアがリングギアの外周に設けられたものとする点に特徴を有する。
【0011】
また、本発明の請求項4に係る変速機は請求項1の構成において、リバース係合手段は車両の後退時に遊星歯車組のキャリアを変速機ケースに固定することによって車両の後退時における動力を伝達するものとする点に特徴を有する。
また、本発明の請求項5に係る変速機は請求項1の構成において、リバース係合手段がリバース軸上にて回転可能な第5のギアをリバース軸とともに同期回転させることによって車両の後退時における動力を伝達するものとする点に特徴を有する。
また、本発明の請求項6に係る変速機は請求項1の構成において、リバース係合手段がリバース軸上にて回転可能な第5のギアと同じく該軸上で回転可能なサンギアを同期回転させることによって車両の後退時における動力を伝達するものとする点に特徴を有する。
本発明の請求項7に係る変速機は請求項1の構成において、リバース係合手段がリバース軸とこのリバース軸上にて回転可能な第6のギアとを同期回転させることによって車両の後退時における動力を伝達するものとする点に特徴を有する。
【0012】
さらに、本発明の請求項8に係る変速機は請求項1又は4の構成においてリバース係合手段がシンクロ機構を適用したものとする点に特徴を有する。
【0013】
【発明の効果】
本発明の請求項1に係る変速機は、リバースギアを軸方向に沿って摺動させるものではないのでその分の寸法の短縮化が可能であり、また、入力軸、出力軸に平行に配置されるリバース軸には、ピニオンギア、リングギア、キャリアを備えリバース軸と一体になるサンギアを有する遊星歯車組を設けたので、この遊星歯車機構において変速比を設定することが可能であり、リバースギア比の設定自由度が大きい(ギア比は約3.0〜6.0の範囲で変更可能)利点がある。また、入力軸とともに回転可能な第4のギアと出力軸に回転可能に保持される第3のギア(1つのギア列)にリバースの負荷が入るので負荷の軽減を図ることができる(強度の面で有利)。
【0014】
本発明の請求項2に係る変速機においては後退時には第5のギアを遊星歯車組のサンギアと一体に回転可能に、また、第6のギアを遊星歯車組のリングギアと一体に回転可能なものとしたので、遊星歯車による減速作用をすることが可能であり(例えば第6のギアをサンギアと、また、第5のギアをリングギアと一体に回転可能にした場合に比較して)大きな変速比を得ることができる。
【0015】
本発明の請求項3に係る変速機においては、請求項2の構成において第6のギアをリングギアの外周に設けるようにしたので部品点数の削減に有利であり、また、歯車の構成が簡素化できる利点がある。
【0016】
本発明の請求項4に係る変速機においては、リバース係合手段を後退時に遊星歯車機構のキャリアを変速機ケースに固定する例えばシンクロメッシュ機構を適用することによって後退時の動力を伝達するようにし車両の前進時においてはピニオンの回転は0になるようにしたのでキャリアを常時固定しておく場合に比較しピニオンに必要とされる強度が小さくてすむことの他、遊星歯車機構においてギア、キャリア等の構成部材の相対回転を少なくできるので耐摩耗性の面で有利であり、潤滑等に関してもそれほど厳しい管理は必要とされない。
【0017】
本発明の請求項5に係る変速機においてはリバース係合手段をリバース軸上で回転可能な第5のギアをリバース軸とともに同期回転させることによって、また、本発明の請求項6に係る変速機においてはリバース係合手段をリバース軸上で回転可能な第5のギアと同じく該軸上で回転可能なサンギアを同期回転させることによって、また、本発明の請求項7に係る変速機においてはリバース係合手段をリバース軸とこのリバース軸上で回転可能な第6のギアとを同期回転させることによってそれぞれ車両の後退時における動力を伝達するものとしたので、何れにおいてもリバースを選択する際にギアの噛み合い不良を起こすようなことはない。
本発明の請求項8に係る変速機においてはリバース係合手段をシンクロ機構としたのでリバースを選択する際にギアの噛み合い不良を起こすことがなく操作性が改善される。
【0018】
【実施例】
以下、図面を用いて本発明をより具体的に説明する。
図1は本発明請求項1〜4,8に従う変速機の構成を示したものであり、図において1はエンジンの動力を伝達する入力軸、2はこの入力軸1に平行で入力軸1のギアと係合して所定のギア比のもとでエンジンの動力をディファレンシャルギアに伝達する出力軸、3は入力軸1から伝達される動力を車両の後退時の動力に変換するリバース軸であって、このリバース軸3は入力軸1、出力軸2と平行に配置される。
【0019】
また、4は入力軸1に固定され該軸1とともに回転可能な第1のギア、5は第1のギア4に噛み合う第2のギアであり、この第2のギア5は第1の係合手段(シンクロメッシュ機構)6によって出力軸2とともに回転可能になっている。また、7は第3のギアであって、この第3のギア7は出力軸2に固定される。
【0020】
また、8は第4のギアであり、この第4のギア8は第3のギア7と噛み合い入力軸1上にて回転可能であり第2の係合手段(シンクロメッシュ機構)8aによって入力軸1とともに回転可能になっている。9はリバース軸3に設けられた遊星歯車組であり、この遊星歯車組9はピニオン9a、リングギア9b、キャリア9c、そしてリバース軸3と一体となる例で示したサンギア9dからなっている。
【0021】
また、リバース軸3には上記遊星歯車組9とともに、第1のギア4と噛み合う第5のギア10および第4のギア8と噛み合う第6のギア11が配置されている。また、12は車両の後退時にのみ第5のギア10からの動力を第6のギア11に伝達するリバース係合手段であり、このリバース係合手段12はシンクロメッシュ機構等が適用でき、係合手段12によって遊星歯車機構のキャリア9cを変速機ケースに固定することによって車両の後退時の動力を伝達し、該キャリア9cの固定を解除することによって後退時の動力の伝達を遮断する。
【0022】
図1に示したような構成になる変速機においては、リバース軸3に遊星歯車軸9を設けて車両の後退時にこの遊星歯車組9を利用し出力軸2を介してディファレンシャルギアに動力を伝達するようにしたものであり、このような構造にするとリバース軸3においてはその軸に配置したギアを摺動させるような構成を採る必要がないのでギアを摺動させる分の寸法が短縮でき、また、遊星歯車機構において各ギアの歯数やサイズ等を変更することによって変速比をほぼ3.0〜6.0の範囲にわたって調整することが可能なのでリバースギア比の設定の自由度も拡大されることになる。
【0023】
とくにこの例においては第4のギア8に噛み合う第6のギア11を遊星歯車機構のリングギア9bの外周に設けるようにしてあり、このような構成にすることによって部品点数の削減を図ることができるし、サイズのコンパクト化に有用である。
【0024】
図2は請求項1〜3,5,8に対応するものであり、リバース軸3に対して第5のギア10を軸受け10aを介して回転可能に保持し第5のギア10とリバース軸3との間にリバース係合手段12を配置した他は上掲図1と同等の構成になる変速機の例を示したものであり、この例においては車両の後退時にはリバース係合手段12によって第5のギア10とリバース軸3は同期回転することになり、第6のギア11に車両を後退させる動力が伝達されることになり、この場合も変速機の基本的な構成は上掲図1と変わるところがない。
【0025】
図3は請求項1,2,4,8に対応するものであり、遊星歯車機構のサンギア9dと第5のギア10を一体連結して該サンギア9dを第5のギア10とともに、第6のギア11と一体的に回転するリバース軸8上にて回転可能に保持し、車両の後退時にのみ第5のギア10から動力を第6のギア11に伝達すべく遊星歯車機構のキャリア9cを変速機ケースに固定、解除するリバース係合手段12を配置した例であり、この例においてもキャリア9cに係合手段12を作用させるところに違いがある他は上掲図1と基本的には同様の構成になる。
【0026】
図4は請求項1,2,6,8に対応するものであり、変速機の構成を模式的に示したものであって、図中の符号は上掲図1と共通になっている。この例は、リバース係合手段12によって遊星歯車機構のサンギア9dに入力軸1からの動力を伝達し、ピニオン9a、キャリア9c、リングギア9bを介してリバース軸3にて車両を後退させるための動力を第6のギア11に伝達する構造のものである。この例においてもリバースギアを軸に沿って動かすような必要はないので上掲図1と同様に、サイズのコンパクト化に有利であり、また、遊星歯車機構を設けてあるからギア比を比較的広い範囲で設定できる。
【0027】
図5は請求項1,2,7,8に対応するものであり、第6のギア11をリバース軸3に軸受けを介して回転可能に保持しリバース係合手段12によってリバース軸3からの動力を第4のギア7に伝達する構造のものであり、この例では第6のギア11を遊星歯車機構のリングギア9bと兼用した構造ではなく、リバース軸3に別途設けてあるためにその分リバース軸3の長さが若干長くはなるものの、ギアを摺動させるような寸法まで確保する必要はなく、したがってリバースギアを摺動させて車両の後退時の動力を伝達するような従来の変速機に比較してサイズのコンパクト化を図ることができる。
【0028】
上掲図1〜図5においてはリバース軸3に配置した遊星歯車機構はシングルピニオン遊星歯車組を適用した場合について示したが、本発明ではダブルピニオン遊星歯車組を適用してもよいのはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う変速機の構成を示した図である。
【図2】本発明に従う他の変速機の構成をその要部について示した図である。
【図3】本発明に従う他の変速機の構成をその要部について示した図である。
【図4】本発明に従う他の変速機の構成を模式的に示した図である。
【図5】本発明に従う他の変速機の構成を模式的に示した図である。
【符号の説明】
1 入力軸
2 出力軸
3 リバース軸
4 第1のギア
5 第2のギア
6 第1の係合手段
7 第3のギア
8 第4のギア
9 遊星歯車組
10 第5のギア
11 第6のギア
12 リバース係合手段
【産業上の利用分野】
本発明は、車両の変速機に関し、とくに、該変速機のサイズのコンパクト化(軸方向における寸法)を図るとともにリバースギア比の設定の自由度をより一層拡大しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】
車両の変速機としては、エンジンの駆動力を変速する変速機構と、変速された駆動力を出力する出力ギアとを有し、この出力ギアが車輪側駆動力伝達系のリングギアと噛合うギヤ部とこのギヤ部を軸方向両側で支える鍔部とを備えた実開平6−73505号公報に開示のようなトランスミッション、あるいは、低速側の2の前進ギア比を与えるギアを入力軸に回転不能に連結し、高速側の2つの前進ギア比を与える歯車を出力軸に回転不能に連結し、アイドラギアを、入力軸と回転不能に連結したギアと、これを駆動するように連結して低速側を形成し、出力軸と回転不能に連結したギアと、これらを駆動するように連結して高速側ギア比を形成するようにした特公平4−9933号公報に開示のような構造の自動車用歯車変速機が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記実開平6−73505号公報に開示のトランスミッションはリバースギアを軸方向に沿って摺動させる構造になっているためにその分の寸法を確保する必要があって変速機の長さが長くなる傾向にあり、また、リバースギアが選択的に摺動するため車両の後退時の操作に際してギアの噛み合い不良を生じることがあり操作性に劣る不具合があった。
【0004】
一方、特公平4−9933号公報に開示されているような変速機はリバース義戦用の分だけ軸方向の寸法を確保しておく必要がないので変速機のサイズのコンパクト化(軸方向における寸法の短縮化)が可能であり、ギアは常時噛み合っているのでシンクロ機構の適用が可能であり操作性を著しく向上させることができるようになった。
【0005】
しかしながら、ここに開示されている変速機の場合、軸の配置や1、3速のギア比が決まるとリバースのギア比は一通りに決まってしまいリバースギア比の設定の自由度が小さい(ギア比は約3.0〜3.4)ところに問題を残していた。
【0006】
また、かかる構造の場合、リバースギア比を変更しようとすると、アイドラギアを交換したり配置位置を換えなければならない等の必要を生じ、さらには他のギアや軸との取り合いがうまくいかず目的とするギア比に設定することが困難である。また、1速と3速の2つのギア列(入力軸の第2速用の2つの固定ギア3、4と出力軸上の対応するアイドラギア5、6)にリバースの負荷が導入されるので強度的にも厳しい構造であるのが現状であった。
【0007】
本発明の目的は、軸方向における寸法の短縮が可能であり、ギア比に関しても大きな改造やギア等の構成部材のレイアウトの変更を伴うことなしに比較的簡単に変更できる新規な変速機を提案するところにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る変速機は、軸の長手方向に沿って配列した複数のギアを有しエンジンの動力を受け入れる入力軸と同じく軸の長手方向に沿って配列した複数のギアを有し入力軸のギアと係合して所定のギア比のもとでエンジンの動力をディファレンシャルギアに伝達する出力軸及びこれらの軸に平行に配置され入力軸から伝達される動力を車両の後退時の動力に変換するリバース軸を備えた車両の変速機であって、この変速機は、入力軸に固定保持され該入力軸とともに回転する第1のギアと、この第1のギアに噛み合い出力軸とともに回転可能でかつ第1の係合手段によって出力軸とともに回転可能な第2のギアと、出力軸に固定保持される第3のギアと、この第3のギアと噛み合い入力軸上にて回転可能であり第2の係合手段によって入力軸とともに回転可能な第4のギアとを備え、リバース軸には、ピニオンギア、リングギア、キャリアおよびサンギアを有する遊星歯車組と、第1のギアと噛み合う第5のギアおよび第4のギアと噛み合う第6のギアをそれぞれ設けとともに、車両の後退時にのみ第5のギアからの動力を遊星歯車組を経て回転方向を逆転させて第6のギアに伝達するリバース係合手段を設けた点に特徴を有する。
【0009】
また、本発明の請求項2に係る変速機は請求項1の構成において、第5のギアは後退時において遊星歯車組のサンギアと一体に回転可能なものとし、第6のギアを遊星歯車組のリングギアと一体に回転可能なものとする点に特徴を有する。
【0010】
また、本発明の請求項3に係る変速機は請求項2の構成において第6のギアがリングギアの外周に設けられたものとする点に特徴を有する。
【0011】
また、本発明の請求項4に係る変速機は請求項1の構成において、リバース係合手段は車両の後退時に遊星歯車組のキャリアを変速機ケースに固定することによって車両の後退時における動力を伝達するものとする点に特徴を有する。
また、本発明の請求項5に係る変速機は請求項1の構成において、リバース係合手段がリバース軸上にて回転可能な第5のギアをリバース軸とともに同期回転させることによって車両の後退時における動力を伝達するものとする点に特徴を有する。
また、本発明の請求項6に係る変速機は請求項1の構成において、リバース係合手段がリバース軸上にて回転可能な第5のギアと同じく該軸上で回転可能なサンギアを同期回転させることによって車両の後退時における動力を伝達するものとする点に特徴を有する。
本発明の請求項7に係る変速機は請求項1の構成において、リバース係合手段がリバース軸とこのリバース軸上にて回転可能な第6のギアとを同期回転させることによって車両の後退時における動力を伝達するものとする点に特徴を有する。
【0012】
さらに、本発明の請求項8に係る変速機は請求項1又は4の構成においてリバース係合手段がシンクロ機構を適用したものとする点に特徴を有する。
【0013】
【発明の効果】
本発明の請求項1に係る変速機は、リバースギアを軸方向に沿って摺動させるものではないのでその分の寸法の短縮化が可能であり、また、入力軸、出力軸に平行に配置されるリバース軸には、ピニオンギア、リングギア、キャリアを備えリバース軸と一体になるサンギアを有する遊星歯車組を設けたので、この遊星歯車機構において変速比を設定することが可能であり、リバースギア比の設定自由度が大きい(ギア比は約3.0〜6.0の範囲で変更可能)利点がある。また、入力軸とともに回転可能な第4のギアと出力軸に回転可能に保持される第3のギア(1つのギア列)にリバースの負荷が入るので負荷の軽減を図ることができる(強度の面で有利)。
【0014】
本発明の請求項2に係る変速機においては後退時には第5のギアを遊星歯車組のサンギアと一体に回転可能に、また、第6のギアを遊星歯車組のリングギアと一体に回転可能なものとしたので、遊星歯車による減速作用をすることが可能であり(例えば第6のギアをサンギアと、また、第5のギアをリングギアと一体に回転可能にした場合に比較して)大きな変速比を得ることができる。
【0015】
本発明の請求項3に係る変速機においては、請求項2の構成において第6のギアをリングギアの外周に設けるようにしたので部品点数の削減に有利であり、また、歯車の構成が簡素化できる利点がある。
【0016】
本発明の請求項4に係る変速機においては、リバース係合手段を後退時に遊星歯車機構のキャリアを変速機ケースに固定する例えばシンクロメッシュ機構を適用することによって後退時の動力を伝達するようにし車両の前進時においてはピニオンの回転は0になるようにしたのでキャリアを常時固定しておく場合に比較しピニオンに必要とされる強度が小さくてすむことの他、遊星歯車機構においてギア、キャリア等の構成部材の相対回転を少なくできるので耐摩耗性の面で有利であり、潤滑等に関してもそれほど厳しい管理は必要とされない。
【0017】
本発明の請求項5に係る変速機においてはリバース係合手段をリバース軸上で回転可能な第5のギアをリバース軸とともに同期回転させることによって、また、本発明の請求項6に係る変速機においてはリバース係合手段をリバース軸上で回転可能な第5のギアと同じく該軸上で回転可能なサンギアを同期回転させることによって、また、本発明の請求項7に係る変速機においてはリバース係合手段をリバース軸とこのリバース軸上で回転可能な第6のギアとを同期回転させることによってそれぞれ車両の後退時における動力を伝達するものとしたので、何れにおいてもリバースを選択する際にギアの噛み合い不良を起こすようなことはない。
本発明の請求項8に係る変速機においてはリバース係合手段をシンクロ機構としたのでリバースを選択する際にギアの噛み合い不良を起こすことがなく操作性が改善される。
【0018】
【実施例】
以下、図面を用いて本発明をより具体的に説明する。
図1は本発明請求項1〜4,8に従う変速機の構成を示したものであり、図において1はエンジンの動力を伝達する入力軸、2はこの入力軸1に平行で入力軸1のギアと係合して所定のギア比のもとでエンジンの動力をディファレンシャルギアに伝達する出力軸、3は入力軸1から伝達される動力を車両の後退時の動力に変換するリバース軸であって、このリバース軸3は入力軸1、出力軸2と平行に配置される。
【0019】
また、4は入力軸1に固定され該軸1とともに回転可能な第1のギア、5は第1のギア4に噛み合う第2のギアであり、この第2のギア5は第1の係合手段(シンクロメッシュ機構)6によって出力軸2とともに回転可能になっている。また、7は第3のギアであって、この第3のギア7は出力軸2に固定される。
【0020】
また、8は第4のギアであり、この第4のギア8は第3のギア7と噛み合い入力軸1上にて回転可能であり第2の係合手段(シンクロメッシュ機構)8aによって入力軸1とともに回転可能になっている。9はリバース軸3に設けられた遊星歯車組であり、この遊星歯車組9はピニオン9a、リングギア9b、キャリア9c、そしてリバース軸3と一体となる例で示したサンギア9dからなっている。
【0021】
また、リバース軸3には上記遊星歯車組9とともに、第1のギア4と噛み合う第5のギア10および第4のギア8と噛み合う第6のギア11が配置されている。また、12は車両の後退時にのみ第5のギア10からの動力を第6のギア11に伝達するリバース係合手段であり、このリバース係合手段12はシンクロメッシュ機構等が適用でき、係合手段12によって遊星歯車機構のキャリア9cを変速機ケースに固定することによって車両の後退時の動力を伝達し、該キャリア9cの固定を解除することによって後退時の動力の伝達を遮断する。
【0022】
図1に示したような構成になる変速機においては、リバース軸3に遊星歯車軸9を設けて車両の後退時にこの遊星歯車組9を利用し出力軸2を介してディファレンシャルギアに動力を伝達するようにしたものであり、このような構造にするとリバース軸3においてはその軸に配置したギアを摺動させるような構成を採る必要がないのでギアを摺動させる分の寸法が短縮でき、また、遊星歯車機構において各ギアの歯数やサイズ等を変更することによって変速比をほぼ3.0〜6.0の範囲にわたって調整することが可能なのでリバースギア比の設定の自由度も拡大されることになる。
【0023】
とくにこの例においては第4のギア8に噛み合う第6のギア11を遊星歯車機構のリングギア9bの外周に設けるようにしてあり、このような構成にすることによって部品点数の削減を図ることができるし、サイズのコンパクト化に有用である。
【0024】
図2は請求項1〜3,5,8に対応するものであり、リバース軸3に対して第5のギア10を軸受け10aを介して回転可能に保持し第5のギア10とリバース軸3との間にリバース係合手段12を配置した他は上掲図1と同等の構成になる変速機の例を示したものであり、この例においては車両の後退時にはリバース係合手段12によって第5のギア10とリバース軸3は同期回転することになり、第6のギア11に車両を後退させる動力が伝達されることになり、この場合も変速機の基本的な構成は上掲図1と変わるところがない。
【0025】
図3は請求項1,2,4,8に対応するものであり、遊星歯車機構のサンギア9dと第5のギア10を一体連結して該サンギア9dを第5のギア10とともに、第6のギア11と一体的に回転するリバース軸8上にて回転可能に保持し、車両の後退時にのみ第5のギア10から動力を第6のギア11に伝達すべく遊星歯車機構のキャリア9cを変速機ケースに固定、解除するリバース係合手段12を配置した例であり、この例においてもキャリア9cに係合手段12を作用させるところに違いがある他は上掲図1と基本的には同様の構成になる。
【0026】
図4は請求項1,2,6,8に対応するものであり、変速機の構成を模式的に示したものであって、図中の符号は上掲図1と共通になっている。この例は、リバース係合手段12によって遊星歯車機構のサンギア9dに入力軸1からの動力を伝達し、ピニオン9a、キャリア9c、リングギア9bを介してリバース軸3にて車両を後退させるための動力を第6のギア11に伝達する構造のものである。この例においてもリバースギアを軸に沿って動かすような必要はないので上掲図1と同様に、サイズのコンパクト化に有利であり、また、遊星歯車機構を設けてあるからギア比を比較的広い範囲で設定できる。
【0027】
図5は請求項1,2,7,8に対応するものであり、第6のギア11をリバース軸3に軸受けを介して回転可能に保持しリバース係合手段12によってリバース軸3からの動力を第4のギア7に伝達する構造のものであり、この例では第6のギア11を遊星歯車機構のリングギア9bと兼用した構造ではなく、リバース軸3に別途設けてあるためにその分リバース軸3の長さが若干長くはなるものの、ギアを摺動させるような寸法まで確保する必要はなく、したがってリバースギアを摺動させて車両の後退時の動力を伝達するような従来の変速機に比較してサイズのコンパクト化を図ることができる。
【0028】
上掲図1〜図5においてはリバース軸3に配置した遊星歯車機構はシングルピニオン遊星歯車組を適用した場合について示したが、本発明ではダブルピニオン遊星歯車組を適用してもよいのはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う変速機の構成を示した図である。
【図2】本発明に従う他の変速機の構成をその要部について示した図である。
【図3】本発明に従う他の変速機の構成をその要部について示した図である。
【図4】本発明に従う他の変速機の構成を模式的に示した図である。
【図5】本発明に従う他の変速機の構成を模式的に示した図である。
【符号の説明】
1 入力軸
2 出力軸
3 リバース軸
4 第1のギア
5 第2のギア
6 第1の係合手段
7 第3のギア
8 第4のギア
9 遊星歯車組
10 第5のギア
11 第6のギア
12 リバース係合手段
Claims (8)
- 軸の長手方向に沿って配列した複数のギアを有しエンジンの動力を受け入れる入力軸と同じく軸の長手方向に沿って配列した複数のギアを有し入力軸のギアと係合して所定のギア比のもとでエンジンの動力をディファレンシャルギアに伝達する出力軸及びこれらの軸に平行に配置され入力軸から伝達される動力を車両の後退時の動力に変換して出力軸に伝達するリバース軸を備えた車両の変速機であって、
この変速機は、入力軸に固定保持され該入力軸とともに回転する第1のギアと、この第1のギアに噛み合い、かつ第1の係合手段によって出力軸とともに回転可能な第2のギアと、出力軸に固定保持される第3のギアと、この第3のギアと噛み合い入力軸上にて回転可能であり第2の係合手段によって入力軸とともに回転可能な第4のギアとを備え、リバース軸に、ピニオンギア、リングギア、キャリアおよびサンギアを有する遊星歯車組と第1のギアと噛み合う第5のギアおよび第4のギアと噛み合う第6のギアをそれぞれ配置するとともに、車両の後退時にのみ第5のギアからの動力を遊星歯車組を経て回転方向を逆転させて第6のギアに伝達するリバース係合手段を設けたことを特徴とする車両の変速機。 - 第5のギアは遊星歯車組のサンギアと一体に回転可能なものであり、第6のギアは車両の後退時において遊星歯車組のリングギアと一体に回転可能なものである、請求項1記載の車両の変速機。
- 第6のギアはリングギアの外周に設けられたものである、請求項2記載の車両の変速機。
- リバース係合手段は車両の後退時に遊星歯車組のキャリアを変速機ケースに固定することによって車両の後退時における動力を伝達するものである請求項1記載の車両の変速機。
- リバース係合手段はリバース軸上で回転可能な第5のギアをリバース軸とともに同期回転させることによって車両の後退時における動力を伝達するものである請求項1記載の車両の変速機。
- リバース係合手段はリバース軸上で回転可能な第5のギアと同じく該軸上で回転可能なサンギアを同期回転させることによって車両の後退時における動力を伝達するものである請求項1記載の車両の変速機。
- リバース係合手段はリバース軸とこのリバース軸上で回転可能な第6のギアとを同期回転させることによって車両の後退時における動力を伝達するものである請求項1記載の車両の変速機。
- リバース係合手段はシンクロ機構を適用したものである請求項1,4〜7の何れかに記載の車両の変速機。
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