JP3645290B2 - 食品の処理方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、水クラスターを発生させ、この水クラスターを含む活性空気を用いて農産食品、特に米麦類,雑穀類,豆類を活性化する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
農産食品は、「煮る」あるいは「炊く」という処理によって二次加工あるいは調理されるのが殆どである。例えば、大豆を例にとってその加工処理についてみると、大豆は、非常に固い豆である。水を加えて煮ても皮は破れず、指で押して潰れる程度に柔らかく煮ることは難しい。
【0003】
大豆の加工は、他の豆類に比しても一層複雑な加工が必要とされる。大豆の加工品には、呉,豆乳,豆腐,油揚,凍豆腐,湯葉,納豆,味噌,醤油などがある。大豆は、水に漬けておくと膨潤して軟らかくなるという性質がある。
【0004】
大豆の加工品の殆どは、水に浸漬して膨潤させた後、磨砕して加熱されるのが通例である。水に漬ける時間は、水温によっても異なるが、冬期で15時間,夏期で8時間水に漬けておくことにより、大豆は約2倍半に膨潤する。
【0005】
大豆の膨潤は、加工あるいは調理に必要な処理であるが、種子の膨潤は、一方で発芽の準備であり、休眠状態にある種子の生命活動が活発になって活性化した状態であるとも考えられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
一方、種子の活性化に関して、雪解け水に種子の発芽を早める作用があることが知られている。この現象について韓国科学院の全武植教授は、次のように説明している。すなわち、液体の水は、図3に示すように5員体,6員環,5員環の3種のクラスターの混合物であり、常温近辺では5員環の水が主体であるが、温度を下げてゆくと6員環の割合が多くなり、雪解け水は6員環の割合が多く、この6員環の水は生体になじみが良く、吸収されやすい。いわゆる生理活性の高い水であるというのである(久保田 昌治「おもしろい水のはなし」p287,日刊工業新聞社 1994年)。
【0007】
食品の鮮度に関しても、水は、食品の味,舌ざわり,保存性に密接な関係があり、これは生体中の水とかなり類似していると考えられる。食品の鮮度を考えるうえで水分活性は重要である。食品中の水分活性が外界の相対湿度とほぼ等しいときには食品中から水分が失われることもなく、また逆に食品が外界から水分を取入れることもない。全教授の考察は、水の環状化が進めば、蒸気圧の低下が生じ、そのような水に食品を浸漬したりすることにより、食品中の水がその影響を受け、環状化が起これば、水分子間などの相互作用が強まり、蒸気圧の降下が生じ、食品中の水分は蒸発しにくくなり、食品の鮮度が維持されるということを示唆している(同上 p283)。
【0008】
しかし、先に述べた雪解け水の特異な物性も、4〜5日経過すると、このような効果はなくなってしまうといわれている。してみれば、6員環のクラスターの割合が水の低温の状態でのみ増大することには必ずしもならないのではないかと思われる。だとすると、雪解け水の前記の特異な物性は、降雪あるいは雪解けの際に獲得したエネルギーによるものであるかも知れない。
【0009】
従来より、磁気処理水,セラミック処理水,電気処理水には食品鮮度維持効果があるといわれている。確かにこのような処理をした水の蒸発速度は一般に処理しない水に比べて低下することがわかっているが、そのメカニズムが解明されたわけでなく、まだ、効果そのものを疑問視する向きもある。さらに気功水といわれるものは、気功師が「気」(外気)を照射した水のことであるが、気功水をNMR(核磁気共鳴装置)によって測定した結果、水分子の集合体であるクラスター(五分子以上)が変化して大きくなり、クラスターの動きを示す数値も大きくなったという(池上正治「気」の不思議 講談社参照)。
【0010】
クラスターの研究が世界各国で本格的に始められて日が浅いという事情もあって、その理論的考察は、将来に期待するほかはないが、少なくとも水クラスターに関しては、水に加えられるエネルギーによって水の構造変化が生ずると考えざるを得ない。
【0011】
本発明の目的は、水の***によってクラスターを発生させ、そのクラスターを含む活性空気を利用して食品を活性化させる方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明による食品の処理方法においては、空気中に噴出された水の***によって水クラスターを空気中に発生させ、その発生した水クラスターを含む空気雰囲気中に置くことにより、食品を処理するものである。
また、空気中に噴出された水の***によって水クラスターと負イオンを空気中に発生させ、その発生した水クラスターと負イオンを含む空気雰囲気中に置くことにより、食品を処理するものである。
【0018】
【作用】
原子あるいは分子が2〜数百集まった集合体をクラスターと呼び、一般的には図4のように分けて呼ばれることが多い。クラスターをその結合様式に従って分類すれば、一般的に次のように分類される。
▲1▼ファンデルワールスクラスター
▲2▼共有結合クラスター
▲3▼水素結合クラスター
▲4▼金属クラスター
▲5▼クラスターイオン
【0019】
ところで、水の構造については、その形態は未だ確立されていない。しかし、実験の積み重ねと論理的シミュレーションの高度化によって、水は、水素結合によるクラスター構造をとっていることが次第に明らかとなってきた。古来より、氷の結晶に関する研究は多いが、液体の水はその氷の一部の構造を含むような水素結合クラスターを含んでいる。加熱により100℃で沸騰している水の水蒸気中にも氷の時の水素結合の70%が残存しているという(茅 幸二,西 信之 クラスター 産業図書 1994年 p64〜p78参照)。
【0020】
雨、その他の降水に関連して水滴が***するときに付近の空気が電離される現象はレナード(Lenard)効果として古くから知られている。レナードは、水滴が金属板に衝突して***する場合に付近の空気中にイオンが発生する現象を発見した。その後シンプソン(Simpson)は、レナードの実験を繰返し、より精密な装置を用いて測定し、水滴が空気中で***するだけでレナード効果と同様な結果が起り得ること、空気中に発生したイオンは水滴の電荷の如何にかかわらず負イオンであること、水滴は***の際に発生したイオンと等量の正電荷を得ることを確かめてこれを報告している(気象電気学 畠山久尚,川野実 岩波書店 1965年 p26〜27参照)。
【0021】
レナード効果,シンプソン効果によって発生させた負イオンは、これを水滴より分離することによって、外部へ取出すことができる。レナード効果を利用した負イオン発生装置は、特開平4−141179号に記載され、シンプソン効果を利用した負イオン発生装置は、特願平5−261396号に紹介されている。この装置は、気流の旋回流中に液体を噴射してこれを微細水滴に***させ、次いで気液分離を行って、負イオンを含む空気を供給空気として取り出すものであり、取り出された供給空気は、基本的に多湿である。
【0022】
気流の旋回流中に液体を噴出してこれを微細水滴に***させ、次いで気液分離を行って取り出された多湿空気には、除塵,除菌,脱臭及びガス成分除去効果,調湿効果,帯電防止効果があり、動植物の成育に好影響を及ぼすことがわかっている。当初これらの効果は、すべて微細水滴の発生効果によるものと考えられ、次いで空気中の負イオンによる効果であると考えられるに至った。たしかに、空気の電離によって生ずる正イオンと負イオンとの人体の影響に関し、一般に正イオンは神経を興奮させ、負イオンは神経を鎮静させるものといわれ、このため負イオンが豊富な森林や海辺などでは空気中のイオンが気分を爽快にするという報告は各種の文献にみられる(森下敬一「水と生命」1992年 p77,美土里書房ほか)。
【0023】
活性化処理によって発生する成分は、空気イオンと微細水滴との2種であると考えられていたが、水のクラスターも含まれている。クラスターとは、図4の分類によれば、原子あるいは分子が2つ以上から1000個で構成される物質の構造を示していることが分かる。
【0024】
後に示す実験によれば、活性空気中に含まれる成分の大部分は、水蒸気水分であり、この水蒸気水分量に較べて負イオンや微細水滴は無視できる程度の量しか含まれていない。おそらく、活性空気中に含まれる水蒸気水分の大部分は、水素結合クラスターであろうと推測される。
【0025】
図5は、水を旋回気流中で***させた後、気液分離を行う活性化処理によって得られた多湿空気の水クラスターの質量スペクトラムを示し、図6は大気の水クラスターの質量スペクトラムを示している。両図を比較して明らかなとおり、大気中の水クラスターは構成分子数n=21,質量数m/z 379を中心に分布しているのに対し、活性化処理を行った多湿の空気中には、質量数m/z 200を中心とする構成分子数の少ない領域に分布している。これは、活性化処理によって力学的エネルギーを与えられてエネルギーレベルが上がると、水のクラスターの構成分子数はより少なくなるということを示すものである。逆に、水のクラスターは系の乱雑さが増すにつれて構成分子数が多くなるということも示している。
【0026】
生体に対する活性空気の熱力学的効果は次のように考えられる。図7に示すように活性空気,生きている系内の水,バルクの水の3種類のエネルギーレベルを考える。前述のように、活性空気のエネルギーレベルはバルクの水のエネルギーレベルよりも高いと考えられる。また、生きている系内の水のエネルギーレベルは、活性空気のレベルよりも低いもののバルクのレベルよりも高いと考えられる。その理由として、生体中の無機イオンの存在や生体高分子などの構造そのもの、あるいはそれらが生命活動によるある秩序に基づいて動き回ることによって起こる電位変化などによって、生きている系内の水はバルクの水よりも何らかの組織化がされていると考えられるからである。
【0027】
熱力学の第2法則によれば、系の乱雑さは増大の方向に向かう。すなわち、活性空気はクラスターの構成分子数が増大していき、エネルギーレベルが小さくなり、やがてはバルクのエネルギーレベルにまで減少するのである。また、生命活動に基づいた動きがなくなると、生きている系内の水のエネルギーレベルはバルクの水のエネルギーレベルに減少する。しかし、活性空気のエネルギーレベルが減少する際には、他の系に仕事することができるので、バルクの水のエネルギーレベルを上げることができるであろう。エネルギーレベルを上げるとは、活性空気のクラスターがバルクの水のクラスターと反応してクラスターの構造の組み替えを起こし、生体が活性な状態と類似のエネルギーレベルの系を作り出すことである。
【0028】
活性空気が生体系に作用する機作としては、直接作用と間接作用が考えられる。直接作用とは、活性空気のクラスターが直接生体系に浸透していって活性化作用を及ぼす場合であり、間接作用とは、活性空気のクラスターが生体系の水に接触することによりクラスターの構造組み替えなどが徐々に浸透していって活性化作用を及ぼす場合をいう。前者の場合、小さいクラスターは大きなクラスターに比べて容易に移動することが可能であろう。また、後者の場合、エネルギーレベルの高いクラスターほどその作用を効果的に発現させることができるであろう。
【0029】
生体の表面には通常微細な穴があいている。これは穀類などでも同じである。この微細な穴は開口が非常に小さく、奥が広いことから“インクボトル”といわれている。水のクラスターが生体のインクボトル内に侵入するには、開口が非常に小さいのでクラスターが小さくなくてはならない。活性空気中に含まれる水のクラスターは、構成分子数n=10前後の小さいクラスターであるためにインクボトル内に有効に侵入し、いわゆるインクボトル効果が得られるものと考えられる。
【0030】
【実施例】
以下に本発明の実施例を図によって説明する。実施例は、シンプソン効果を利用して負イオンを発生させる負イオン発生装置を活性空気発生装置として利用できる。
【0031】
図1において、実施例では、保管室8の外部に活性空気発生装置を付設した例を示している。保管室とは、食品の加工,保存,動植物の育成室を含むものである。活性空気発生装置1は、遠心力・コリオリ力発生装置2と、気液分離装置4との組合せからなっている。
【0032】
遠心力・コリオリ力発生装置2は、吸気口5,吸液口6,排気口7を有し、吸気口5に高速気流発生装置3が接続されて外気が吹込まれ、排気口7に気液分離装置4が接続されて液体が分離された空気がその出口より送気される。吸液口6には、ポンプ10を介してタンク9が接続され、タンク9内の液体が供給される。実施例においては、気液分離装置4の出力管路11及び高速気流発生装置3の入力管路12を保管室8に開口して循環系を形成している。また、実施例では、活性空気発生装置1は、保管室8外に設置し、管路11,12をもって保管室8に接続しているが、あるいは、活性空気発生装置1を保管室8内に設置して気液分離装置4の送気口及び高速気流発生装置3の吸気口を保管室8に開口して室内設置型としても使用できる。
【0033】
遠心力・コリオリ力発生装置2は、液体のイオン解離処理と液滴の活性化処理と、気体分子のイオン化処理とを行う機構であり、実施例では横型の空気力輸送管13内に、図2に示すスパイラル状のスクリューガイド14を軸心に沿って配設し、軸心上に、ノズル配管15を設け、下周面に水槽16を付設したものである。
【0034】
タンク9内の水は、ポンプ10で水槽16内に汲み上げられ、水槽16内の水は、ポンプ17で汲み上げてノズル配管15に送水される。タンク9は、冷却機19を装備しており、供給水を必要な温度に調整している。
【0035】
スクリューガイド14は、空気力輸送管13内で気流を誘導して管軸方向をスパイラル状に旋回させるものである。ノズル配管15は、空気力輸送管13の軸心にあって、その周囲を気体が旋回運動をすることになるため、ガイド14は、必ずしも必要ではないが、実施例においては、ガイド14を用いてコリオリ力が地球自転の角速度ベクトル方向を向くように気流の旋回方向の向きを規定している。もっとも、高速気流発生装置3からの気体の送気方向を空気力輸送管13内の内周に対し、接線方向に設定すれば、気流の旋回方向は右回り,左回りの旋回流に自ずから設定される。
【0036】
ノズル配管15には、その軸心に沿って周面要所にノズル18が開口され、ノズル18は、水槽16より供給された液体を空気力輸送管13内の旋回気流中に噴出する。水は、ノズル18から高圧で噴出され、エネルギーを得て微細水滴に***する。
【0037】
高速気流発生装置3は、送風用のファンである。実施例においては、保管室8内の空気を吸引し、空気力輸送管13内に吸気口5を通して送風している。
【0038】
気液分離装置4は、実施例ではサイクロンセパレータを用いている。サイクロンセパレータは、空気力輸送管13の排気口7から排出される微細な水滴を含む気流に一定以上の風速,風圧が得られる限り気液の遠心力分離に有効である。気液分離された空気は、管路11を通って保管室8内に導入される。管路11には温度調節装置(H/E)20を備えている。
【0039】
実施例において、高速気流発生装置3を起動し、水槽16内の水をポンプ17で汲み上げ、ノズル配管15の各ノズル18より空気力輸送管13内に生じた強力な気流の旋回流中にその流れの方向に逆らって噴出させる。
【0040】
空気力輸送管13内に噴出された水は、気体圧力を受け、旋回気流中で***してイオン解離され、且つ細かい水滴に***し、ガイド14に沿って旋回しながら管内を空気力輸送される。この間、水滴は、気流の旋回流によって生じた遠心力と、コリオリ力との作用を受けて管壁に向かいつつ軸方向に流れ、さらに細かい水滴に***しつつ気体に接する水滴の界面が活性化され、水滴の表面で双極子が配向する際、気体側の界面に存在する酸素分子がイオン化され空気は活性化される。
【0041】
水滴を含む空気は、空気力輸送管13の排気口7より気液分離装置4内に流入し、気体中に残存する水滴が除去され、次いで層流化処理され、温度調節装置20により所要の温度,湿度に調整された後、活性空気として管路11から保管室8内に導入される。これによって、保管室8内には、多湿の活性空気の雰囲気が形成される。一方、保管室8内の空気は、高速気流発生装置3の吸引力を受けて管路12内に吸引され、必要により新たに導入した外気を供なって再び遠心力・コリオリ力発生装置2へ圧送される。
【0042】
空気力輸送管13の管壁に付着した水滴及び気液分離装置で分離された水滴は、水槽16内に戻される。この水滴中には正イオンが多く含まれているため、管壁を接地して中和する。
【0043】
以上、実施例では、横型の遠心力・コリオリ力発生装置を示しているが、その配置方向は、何等制約されるものではない。活性空気発生装置の仕様は、例えば次のとおりである。
【0044】
◎遠心力・コリオリ力発生装置
寸法:直径600φ×長さ1,100mm
入口空塔速度:11〜12m/sec
出口空塔速度: 9〜10m/sec
◎気液分離装置
寸法:直径500φ×長さ900mm
入口空塔速度:9 〜10m/sec
出口空塔速度:8.5〜 9m/sec
◎ファン
風量:Max 3m3/min
◎冷却機
冷媒:R−12
◎温度調節装置 2KWヒーター
【0045】
図1に示す活性空気発生装置を運転し、保管室内に開口する活性空気の吹出口の直近で保管室内の温湿度,微細水滴の粒径分布,イオン量を測定した。
【0046】
微細水滴の粒径分布個数データは、RION社のパーティクルカウンターKC−18及びKC−01Aを用いてシングルモードで測定し、得られたデータの内風速4m/sec,水圧0.5kg/cm2,市水使用時のものを使用した。イオン濃度は、RION社のイオンカウンター(83−1001A)を用いて同条件で測定した。
【0047】
測定結果は、次のとおりである。
◎保管室の温湿度
室内温度 約22℃
室内湿度 約95%
◎微細水滴の粒径分布個数(シングルモード)
表1のとおりである。
【0048】
【表1】
注意)0.01CF=2.8×10-4m3として計算。
【0049】
◎イオン濃度
表2のとおりである。
【0050】
【表2】
【0051】
表1,表2の結果から、微細水滴と空気イオン(特に負イオン)の存在量を重量比で求めると、以下のとおりとなる。なお、負イオン分子は、O2 -(H2O)nとし、n=10と仮定した。
微細水滴(0.1μmから2μmまで)の総量 2〜3×10-6 g/m3
負イオン量 6×10-11g/m3
【0052】
一方、室温22℃,室内湿度95%の保管室内の湿潤空気中に含まれる水蒸気重量を空気線図から求めると、約18g/m3になる。得られた活性空気中に含まれる約18g/m3の水分量が水クラスターであると考えられる。活性空気の質量スペクトラムは図5に示すとおりである。
【0053】
遠心力・コリオリ力発生装置は水に高エネルギーを与えるために、慣性系に回転座標系を加味して、遠心力及びコリオリ力を発生させる旋回気流にしたことを特徴としている。この際、高速気流の空塔速度(m/sec)が大きい程これらのエネルギーが増大して水クラスターが多量に発生する。空塔速度を1.8m/secで実施したところ、パーティクル・カウンターで5μm粒子が50個/0.01CF検出された。
【0054】
活性空気の質量分析は以下のように行った。活性空気は、質量分析用に試作した活性空気発生装置により製造し、サイクロンより内径16mm以上のステンレス管を用いて質量分析装置のガラス製インターフェースに導入した。活性空気製造時におけるタンクの水温は23℃であり、活性空気の温度は25℃,相対湿度は83%であった。質量分析計は、四重極質量分析計を用い、イオン化は大気圧液体イオン化法を用いた。イオン源としては、コロナ放電を利用した活性アルゴンガスにより行った。図5に上記条件下における活性空気の水クラスターの質量スペクトラムを、図6に活性空気測定の直前に測定した大気中の水クラスターの質量スペクトラムを示す。
【0055】
(実施例1)活性空気の大豆の加工特性に与える影響を調べた。
【0056】
◎材料
市販乾燥丸大豆(北海道産,93/12/6製造,海成食品(株),埼玉県)
◎操作手順
(1)試料大豆を3群(A,B,C)に分け各100グラムを精秤した。
A群−活性空気雰囲気中(13℃)に置いて浸透処理をした。
B群−飽和蒸気デシケーター(13℃)中に置いた。
C群−15〜23℃の室内に置いた。
(2)各群をそれぞれの条件下で19時間放置した後、大豆の重量変化及び体積変化を測定した。
(3)試料大豆の8倍重量の水道水を加え、室温で24時間浸漬した。浸漬後の大豆の重量変化及び体積変化を測定した。
(4)各群から60gを精秤し、500mlビーカーに入れて3群同時に同じ蒸し器で135分間蒸煮した。15分毎に各群から大豆を2粒ずつとりだし、硬さ,感触,色,形を比較した。
以下に測定結果を示す。
【0057】
(1)表3に測定した重量及び体積の実測値を示した。
【0058】
【表3】
【0059】
(2)表4に重量比(%)及び体積比(%)を示した。
【0060】
【表4】
【0061】
【0062】
(4)浸漬後の液の濁り状態の比較
浸漬を完了した時点での液の濁りの度合はA群<B群<C群の順序であった。
また、この順で泡立ちが多かった。
【0063】
以上の実験は次のことを示している。
(1)活性空気の水分は、空気中に通常発生する水蒸気の水分に比べて乾燥大豆に浸透しやすいので、活性化処理によって組織が膨潤した。これは、活性空気の水分は水クラスターからなり、その大きさは通常発生する水蒸気のクラスターに比べて小さいためである。活性化処理したものは、既にある程度膨潤しており、浸漬のみによる膨潤は他の群よりもむしろ小さかった。
(2)蒸煮した場合の煮上がり状態が互いに異なった。活性化処理群の方が室温放置群よりも明らかに軟らかく煮上がった。活性空気と大豆組織との間には複雑な相互作用(活性空気による組織内の水の自己組織化促進による生命活動への刺激など)が起こっているためと考えられる。
(3)A群;活性空気雰囲気中で温度;4℃,湿度;98%で同様の実験を行ったところ、62時間で同様の吸湿率(%)の結果を得た。又温度;55℃,湿度;30%で5時間放置した実験では蛋白変成がみられた。従って、活性雰囲気中で活性化処理を行う場合、温度及び湿度は最適条件を選定する必要がある。
【0064】
(実施例2)乾燥大豆,乾燥小豆,精白米を活性空気中に放置した時の細胞組織の変化を走査型電子顕微鏡によって観察した。
【0065】
◎材料
市販乾燥大豆(北海道産,1992/10収穫,1994/1/14包装,帯広川西農協(株),北海道,1994/4/25ヤオコーで購入,1994/4/25開封)
乾燥小豆 (中国産,1994/3/8製造,下田商事(株),東京,1994/4/25ヤオコーで購入,1994/5/11開封)
精白米 (日本産,コシヒカリ,1994/5/7製造,1994/5/18ヤオコーで購入,1994/5/19開封,カカシ米穀(株),埼玉)
【0066】
◎操作手順
(1)試料大豆,小豆,精白米をそれぞれ3群に分け各50gを精秤した。
A群−活性空気雰囲気中(13℃)に置いた。
B群−飽和水蒸気デシケーター(13℃)中に置いた。
C群−15〜25℃の室内に置いた。
なお、製品袋中に保存されているものをD群とした。製品袋はC群と同じ室内に放置した。
(2)各群をそれぞれの条件下で24時間放置した後、重量変化を測定した。
(3)各群から5g前後をプラスチック製サンプル管に入れて、蓋をパラフィルムでシールし、試料種子の表皮に近い部位を走査型電子顕微鏡で観察した。
【0067】
◎結果
表5に大豆,小豆,精白米のA〜C群のそれぞれの重量及び重量比(%)を示した。
【0068】
【表5】
【0069】
図8〜19は、大豆,小豆,精白米について、それぞれA群,.B群,C群,C群のものの表皮部分の断面を示しており、各図とも(a)の倍率は300倍、(b)は600倍に拡大したものである。
【0070】
図8〜11は大豆、図12〜15は小豆、図16〜19は精白米について示し、図8,11,16はA群、図9,12,17はB群、図10,13,18はC群、図11,14,19はD群の様子を表わしている。
【0071】
【発明の効果】
以上のように本発明は、水に高エネルギーを付与して構造変化が生じた水クラスターを含む多湿の活性空気を発生させ、構成分子数の少ない水クラスターを製造することにより、その空気雰囲気中に置くことで、生体の組織内に深く浸透させることが可能となり、生体組織の活性化、特に膨化作用に著しい効果が得られる。
【0072】
以上示した実施例は、限られたものであるが、水クラスターを含む活性空気の利用,展開の可能性は大きい。例えば、豆乳,豆腐の製造工程において、原料大豆の磨砕の前段階で水浸漬の処理は欠かすことができないが、大豆の水浸漬に要する時間は、夏期10時間,冬期20時間である。しかも膨化を早めるために水の温度を上げると発芽の準備が始まり、溶出物が増えるという問題があるが、活性空気で予め処理することによって、浸漬時間を短縮でき、浸漬温度が低くても十分に膨化する。
【0073】
活性化処理によって水浸漬時間を半減できるだけでもその経済的効果は莫大である。さらに小麦の加工においても、粉砕に先立って小麦に散水し、しばらく放置するテンパリングという操作が行われる。テンパリングにより、小麦の外皮は一層強靱となり、胚乳は一層砕かれやすくなり、両者の分離が容易となる。
【0074】
したがって、テンパリングに先立って活性化処理を行えば、テンパリングの時間を短縮できることは十分に予想できる。実施例2に示したように現在のところ小豆のような皮の硬い穀類に対しては見るべき膨化効果が認められていないが、いずれ活性化処理条件の設定の問題を解決することによりクリヤすることは可能であると考えられる。
【0075】
一方、活性化処理が食品の重量増加,体積増加に留まらず、図7に示すように活性空気中に含まれる水クラスターの働きを生体系の自己組織化を復元させる本来の意味の活性化作用であると考えるならば、これは農産食品の加工のための活性化に留まらず、全ての生体の活性化が可能であると考えられる。
【0076】
【発明の効果】
以上のように本発明は、水に高エネルギーを付与して構造変化が生じた水クラスターを含む活性空気を発生させ、構成分子数の少ない水クラスターを製造することにより、その空気雰囲気中に置くことで、生体の組織内に深く浸透させることが可能となり、生体組織の活性化、特に膨化作用に著しい効果が得られる。
【0077】
殊に本発明によれば、いわゆるレナード効果,シンプソン効果を利用したものであるため、活性空気中には、あわせて空気イオンが発生し、生体に対する活性作用を一層向上することができる。また、旋回気流中に水を噴出することによって水の***と、気液分離の作用を一貫して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を実施する活性空気発生装置の一例を示す図である。
【図2】スクリューガイドの配置例を示す図である。
【図3】水の会合体モデルを示す図である。
【図4】構成分子数の大きさによる名称の違いの表を示す図である。
【図5】活性空気の水クラスターの質量スペクトラムを示す図である。
【図6】大気中の水クラスターの質量スペクトラムを示す図である。
【図7】活性空気の熱力学的効果を示す図である。
【図8】(a)は活性化処理した大豆の断面を300倍に拡大した電子顕微鏡による写真、(b)は、同1500倍に拡大した電子顕微鏡による写真である。
【図9】(a)は飽和水蒸気デシケーター中に放置した大豆の断面を300倍に拡大した電子顕微鏡による写真、(b)は、同1500倍に拡大した電子顕微鏡による写真である。
【図10】(a)は室内に放置した大豆の断面を300倍に拡大した電子顕微鏡による写真、(b)は、同1500倍に拡大した電子顕微鏡による写真である。
【図11】(a)は製品袋中で保存されている大豆の断面を300倍に拡大した電子顕微鏡による写真、(b)は、同1500倍に拡大した電子顕微鏡による写真である。
【図12】(a)は活性化処理した小豆の断面を300倍に拡大した電子顕微鏡による写真、(b)は、同1500倍に拡大した電子顕微鏡による写真である。
【図13】(a)は飽和水蒸気デシケーター中に放置した小豆の断面を300倍に拡大した電子顕微鏡による写真、(b)は、同1500倍に拡大した電子顕微鏡による写真である。
【図14】(a)は室内に放置した小豆の断面を300倍に拡大した電子顕微鏡による写真、(b)は、同1500倍に拡大した電子顕微鏡による写真である。
【図15】(a)は製品袋中に保存されている小豆の断面を300倍に拡大した電子顕微鏡による写真、(b)は、同1500倍に拡大した電子顕微鏡による写真である。
【図16】(a)は活性化処理した精白米の断面を300倍に拡大した電子顕微鏡による写真、(b)は、同1500倍に拡大した電子顕微鏡による写真である。
【図17】(a)は飽和水蒸気デシケーター中に放置した精白米の断面を300倍に拡大した電子顕微鏡による写真、(b)は、同1500倍に拡大した電子顕微鏡による写真である。
【図18】(a)は室内に放置した精白米の断面を300倍に拡大した電子顕微鏡による写真、(b)は、同1500倍に拡大した電子顕微鏡による写真である。
【図19】(a)は製造袋中に保存されている精白米の断面を300倍に拡大した電子顕微鏡による写真、(b)は、同1500倍に拡大した電子顕微鏡による写真である。
【符号の説明】
1 活性空気発生装置
2 遠心力・コリオリ力発生装置
3 高速気流発生装置
4 気液分離装置
5 吸気口
6 吸液口
7 排気口
8 保管室
9 タンク
10 ポンプ
11 管路
12 管路
13 空気力輸送管
14 スクリューガイド
15 ノズル配管
16 水槽
17 ポンプ
18 ノズル
19 冷却機
20 温度調節装置
21 空気力輸送管
Claims (2)
- 空気中に噴出された水の***によって水クラスターを空気中に発生させ、その発生した水クラスターを含む空気雰囲気中に置くことにより、食品を処理することを特徴とする食品の処理方法。
- 空気中に噴出された水の***によって水クラスターと負イオンを空気中に発生させ、その発生した水クラスターと負イオンを含む空気雰囲気中に置くことにより、食品を処理することを特徴とする食品の処理方法。
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