JP3644907B2 - 床材の設置構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、基礎の上端に床材が設置されてなる床材の設置構造に関するものである。
【0002】
【背景の技術】
建物、特に住宅を構築する際には、まず布基礎を構築し、構築した布基礎の上端面に台輪を敷き、この台輪上に床パネルや壁パネルを設置していくといったパネル工法が知られている。
このパネル工法の一例として、特開平5−71174号公報記載の床構造が挙げられる。この技術における床構造は、住宅の外周縁に略沿って布基礎が配置され、該布基礎の内側に束基礎が配置されている。そして、布基礎上に床パネルの一側縁を載置するとともに、他側縁を束基礎上に載置し、床パネルの他側縁側の縦框材と束基礎に設けられた束金物とを釘打ちすることによって、床パネルと束基礎とを接合している。また、床パネルどうしもそれぞれの上面から斜めに釘を打つことによって接合している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記特開平5−71174号公報記載の前記床パネルは、縦框材と横框材とを矩形枠状に組んだ枠体と、該枠体内部に複数配設された棧材と、枠体の上面に貼設されて床材となる面材とからなるものであり、前記面材は合板等であるため、このような床パネルを基礎上に設置した後に、通常、床パネルの上面に例えば、床仕上げ材を敷き詰めることによって見栄えの良い床に仕上げている。しかし、このように基礎上に床パネルを設置し、さらに床パネル上に、別に製造した床仕上げ材を敷設するには、施工工程数が増えるとともに施工期間の短縮化を図ることができなかった。
また、前記床パネルは、木製の枠体と棧材とからなるので、防蟻処理として床パネルの裏面に防蟻シートを貼る必要がありその作業が面倒であった。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、床仕上げ材を敷設することなく施工工程数および施工期間の短縮化を図ることができ、また、防蟻処理の必要がない床材の設置構造を提供することを課題としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、例えば、図1、図2、図9に示すように、木粉と樹脂とを含む押出し材を押出成形してなる板状の床材本体3と、該床材本体3の内部に、押出方向に延在するようにして設けられた複数の空洞4とを備え、前記床材本体3の表層部7の表面が床仕上げ面とされ、前記木粉は、前記床材本体3の表層部7のみに含まれ、前記床材本体122の表層部123の表面には、研磨処理を施すことによって細かな凹凸123 a が多数形成された床材1が、基礎(例えば、布基礎2)の上端に設置されてなる床材1の設置構造であって、
前記基礎2の上面には、土台11と前記床材1の側端部とが隣接して設置されており、
前記土台11上には、壁体15(例えば、複数の柱12 a と該柱12 a に取り付けられた壁部材12 b とで構成された壁)が前記土台11の上面から前記床材1側に突出して設置され、
前記床材1の側端部は、前記壁体15の突出部分と前記基礎2とで挟まれていることを特徴とする。
【0006】
請求項1の発明によれば、床材1は木粉と樹脂とを含む押出し材から押出成形してなる床材本体3と、複数の空洞4とを備えているので、床材本体3の全体に、木粉が含まれた木質感のある床材1とすることができる。
また、前記床材本体3の表層部7の表面が床仕上げ面とされているので、従来と異なり、床パネルを基礎上に設置した後に、床パネル上に床仕上げ材を敷設することなく、前記床材1を基礎2の上端に設置するだけで、容易に木質感のある床とすることができるので、施工工程数および施工期間の短縮化、コストの削減を図れる。
【0007】
さらに、床材本体3は、従来と異なり、木製ではなく木粉と樹脂とを含む押出し材から押出成形してなるので、木製とした場合に比して、押出方向において所望の長さに製造することができ、よって長スパンの床材1を提供することができる。また、断面を様々な形状に成形できる。
さらに、防蟻処理として、例えば、床材本体3の裏面に防蟻シートを貼る必要がなく、この点からも施工工程数および施工期間の短縮化を図れる。
【0008】
前記木粉としては、例えば、住宅等の建物を解体した際に排出される木質廃材、建物建築中に排出される端材、おが屑等の木質廃材を粉砕することによって得られる木粉や、木材、バカス、稲藁等の天然木材を粉砕することによって得られる木粉が挙げられる。
前記樹脂としては、例えば、食品等の包装に用いられた後回収されたトレー、食品コンテナ等の包装部材を粉砕することによって得られる樹脂や、天然木材から得られる樹脂等が挙げられる。すなわち、塩化ビニル樹脂、発泡塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン樹脂等である。
【0010】
ここで、表層部7とは、床材本体3の表面から深さ5mm程度までの部位のことである。
【0011】
また、前記木粉は、前記床材本体3の表層部7のみに含まれているので、床材本体3の表層部7に木粉があらわれて質感を天然の木に近づけることができ、高級感のある意匠とすることができる。
しかも、前記木粉は外側から見える表層部7のみに含まれているので、床材本体3の全体に木粉を含ませる場合に比して、樹脂の含有量が多くなり、よって押出成形性が良くなる。
【0016】
さらに、前記床材本体122の表層部123の表面には、研磨処理を施すことによって細かな凹凸123aが多数形成されているので、この細かな凹凸123aによって表層部123の表面が立体的となり、外観および触感を天然の木に極めて近づけることができる。
【0017】
前記研磨処理とは、例えば、細かい目の粗さのサンディングペーパーを使用して、前記床材本体122の表層部123の表面を擦ることである。
【0021】
また、前記基礎2の上面には、土台11と前記床材1の側端部とが隣接して設置されており、前記床材1の側端部は、前記土台11上に設置された壁体15と前記基礎2とで挟まれているので、前記床材1の側端部が壁体15と基礎2とによって前記基礎2上に確実に固定される。
また、基礎2の上面に土台11と前記床材1の側端部とを設置し、これら土台11と床材1の側端部上に前記壁体15を設置する際に、前記床材1を作業足場にすることができるので、壁体15を設置する作業が容易となる。
【0022】
前記壁体とは、例えば、軸組み工法における複数の柱12aと、該柱12aに取りつけられた壁部材12bで構成された壁(図2参照)や、パネル工法における壁パネル32(図4参照)等が挙げられる。
【0025】
請求項2の発明は、例えば、図7に示すように、請求項1に記載の床材101の設置構造において、
対向する壁体(例えば、壁パネル108,108)を支持する基礎105間に1枚の床材101が配置され、該床材101の押出方向の両端部がそれぞれ前記対向する基礎105の上面に支持されていることを特徴とする。
【0026】
請求項2の発明によれば、対向する壁体108,108を支持する基礎105間に1枚の床材101が配置され、該床材101の押出方向の両端部がそれぞれ前記対向する基礎105の上面に支持されているので、床材101の押出方向には、床材101を接合することなく、1枚の床材101で床を容易に施工できる。
また、床材101が長スパンとなっても接合部分を下方から支持するなどの配慮をすることなく床材101の中途部を適宜、下方から支持すれば良く、この点においても床を容易に施工できる。
【0027】
請求項3の発明は、例えば、図5、図9に示すように、木粉と樹脂とを含む押出し材を押出成形してなる板状の床材本体42と、該床材本体42の内部に、押出方向に延在するようにして設けられた複数の空洞43とを備え、前記床材本体42の表層部48の表面が床仕上げ面とされ、前記木粉は、前記床材本体42の表層部48のみに含まれ、前記床材本体122の表層部123の表面には、研磨処理を施すことによって細かな凹凸123 a が多数形成された床材41が、基礎(例えば、布基礎49)の上端に設置されてなる床材41の設置構造であって、
対向する壁体(例えば、壁パネル52 a, 52 a )を支持する基礎49間に複数の前記床材41が配置され、
互いに隣接する床材41,41の対向する側端部における上面に、切欠部44,44が長手方向に延在して形成されており、両床材41,41の下方から両切欠部44,44内に支持部57が挿通されるとともに締結され、さらに両切欠部44,44の上方を前記支持部57を覆うように接合部材47が嵌めこまれることによって、互いに隣接する床材41,41どうしが、前記支持部57によって同じ高さになるように支持されて連結されていることを特徴とする。
【0028】
請求項3の発明によれば、床材41は木粉と樹脂とを含む押出し材から押出成形してなる床材本体42と、複数の空洞43とを備えているので、床材本体42の全体に、木粉が含まれた木質感のある床材41とすることができる。
また、前記床材本体42の表層部48の表面が床仕上げ面とされているので、従来と異なり、床パネルを基礎上に設置した後に、床パネル上に床仕上げ材を敷設することなく、前記床材41を基礎49の上端に設置するだけで、容易に木質感のある床とすることができるので、施工工程数および施工期間の短縮化、コストの削減を図れる。
また、前記木粉は、前記床材本体42の表層部48のみに含まれているので、床材本体42の表層部48に木粉があらわれて質感を天然の木に近づけることができ、高級感のある意匠とすることができる。
しかも、前記木粉は外側から見える表層部48のみに含まれているので、床材本体42の全体に木粉を含ませる場合に比して、樹脂の含有量が多くなり、よって押出成形性が良くなる。
さらに、前記床材本体122の表層部123の表面には、研磨処理を施すことによって細かな凹凸123 a が多数形成されているので、この細かな凹凸123 a によって表層部123の表面が立体的となり、外観および触感を天然の木に極めて近づけることができる。
また、対向する壁体52a,52aを支持する基礎49間に複数の前記床材41が配置され、互いに隣接する床材41,41どうしは、支持部57によって同じ高さになるように支持されて連結されているので、互いに隣接する床材41,41どうしの上面が平らとされるとともに、互いに隣接する床材41,41どうしを支持部57によって強固に、かつ確実に連結することができる。
また、両切欠部44,44に接合部材47が嵌め込まれることによって、切欠部44,44内で固定された支持部57が上面から見えることがなく、かつ、この接合部材47の上面と両床材41,41の上面とが平らとされる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1〜第5の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる床材の斜視図、図2は、床材の設置構造の側断面図、図3は、床材と支持部との接合構造の要部を示す斜視図である。
図1および図2に示すように、本発明の第1の実施の形態の床材1は、布基礎2の上端に設置されるものであり、木粉と樹脂とを含む押出し材を押出成形してなる長尺板状の床材本体3と、この床材本体3の内部に押出方向に延在するようにして設けられた複数の空洞4とを備えている。
【0030】
前記空洞4は、側断面視矩形状で、床材本体3の短手方向両側面に所定間隔で設けられており、該床材本体3の長手方向に貫通している。また、空洞4内には断熱材4aが挿入固定されている。(なお、図1では、複数の空洞4のうち1つの空洞4のみに断熱材4aが設けられているが、実際にはこれら空洞4のすべてに断熱材4aが設けられている。また、図2および図3では、この断熱材4aの図示を省略する。)
【0031】
前記床材本体3の長手方向両側面には、互いに隣接する床材1,1どうしを接合するための切欠部5が、床材本体3の長手方向に延在して形成されている。この切欠部5は、側断面視略矩形状をなしており、切欠部5を形成する壁面6には、後述する束金物20のボルト23が挿通されるための挿通孔6aが形成されている。(図3参照)
【0032】
前記床材本体3の表層部7には、該表層部7のみに木粉が含まれており、表層部7の表面が床仕上げ面とされている。この表層部7の厚さは約5mmである。
また、前記床材本体3の表層部7の表面には、筋状の多数の模様7aが押出成形によって押出方向に沿って形成されている。これら筋状の多数の模様7aの深さは、様々であるが最大で0.5mm程度である。
【0033】
さらに、この表層部7には溝部7bが押出成形によって押出方向に沿って形成されている。(図1参照)この溝部7bは、深さが5mm程度であり、床材本体3の幅方向に所定間隔で2〜3本形成されている。前記溝部7bは、擬似の目地として床材本体3の表面に現れるものである。
なお、図1および図2では、筋状の模様7aはそれを図で表記するために深さと幅を実際より大きく描いているが、実際は上述したように深さが最大で0.5mm程度、幅は最大で0.3mm程度のものである。
【0034】
ここで、前記床材本体3の製造方法について説明する。
まず、粉砕工程において、周知の粉砕装置で木質廃材を粉砕することによって、木粉を得る。前記木質廃材としては、例えば、住宅等の建物を解体した際に排出される木質廃材、建物建築中に排出される端材、おが屑等の木質廃材等が挙げられる。
次いで、例えば、食品等の包装に用いられた後回収されたトレー、食品コンテナ等の包装部材等の廃材樹脂を粉砕することによって樹脂を得る。
【0035】
そして、混練工程において、粉砕工程で得られた木粉と樹脂と、顔料とを均一に分布するように混合して、この混合材料を押出成形機で加熱溶融させて押出成形することによって押出し材を製造する。
【0036】
その後さらに、成形工程において、前記押出し材を所定の温度および圧力を加えて、押出成形機により上述した所要の形状に成形し、床材本体3を製造する。
ここで、押出成形する際に使用される金型は、床材本体3の表層部7の表面にあたる箇所に、前記筋状の模様7aと前記溝部7bと同様の模様が形成されたものである。
また、押出成形する際には、成形される床材本体3の表層部7のみに木粉が含まれるように調整しておく。
【0037】
このようにして製造された床材本体3の表層部7の表面には、筋状の模様7aと溝部7bが形成される(図1(a)参照)。そして、図1(b)に示すように、この表層部7の表面をさらにサンディングペーパーによって0.3mm程度擦り取ることによって、筋状の模様7aのエッジ部分7cを削り平らにする。
【0038】
次に、布基礎2の上端に、本発明の第1の実施の形態の床材1が設置されてなる床材1の設置構造について説明する。
なお、ここで説明する床材1の設置構造は、軸組み工法における床材1の設置構造である。
図2に示すように、建築される建物の外周に略沿って、布基礎2が構築されている。
【0039】
布基礎2は、地業(図示しない)上に設けられ、かつ埋め戻されたフーチン部8と、フーチン部8上に立設され、台輪10、土台11、柱12a、床材1等を支持する立上部9とからなるものである。また、布基礎2の上面には、台輪10、土台11、柱12aを布基礎2上に固定するためのアンカーボルト13がその下部を布基礎2内に埋設した状態で垂直に延出している。
このアンカーボルト13の下端部は、U字状に曲がっており、上端部は柱12aの側面に取り付けられる連結板14が設けられている。
【0040】
そして、布基礎2の上面にその長手方向に沿って台輪10が敷きこまれて、該台輪10の上面のうちの外側に土台11が設置され、内側に床材1の長手方向の一側端部が設置されており、土台11の上面に柱12aが設置され、柱12aの内周面には壁部材12bが取りつけられている。これら柱12aと壁部材12bとによって壁体15が構成されている。
つまり、前記床材1は、布基礎2に沿って床材1の長手方向が配置されるようにして、対向する壁体15,15を支持する布基礎2間に複数設置されており、床材1の長手方向一側端部は、布基礎2と壁体15に挟まれることによって固定されている。
【0041】
前記台輪10は、長尺板状に形成されており、その中央部には長手方向に沿って所定間隔にアンカーボルト挿通用の矩形状の孔が複数形成されている。
前記土台11は、長尺な棧材であり、柱12aと同じ幅で、床材1と同じ厚みを有し、床材1の長手方向一側端面に当接するように配置されている。
前記柱12aは、布基礎2に沿って所定間隔に複数設置されている。柱12aに貼りつけられた壁部材12bの内周面における下端部には、巾木16が設けられている。
これら布基礎2、台輪10、土台11、柱12aは、布基礎2に予め埋設されたアンカーボルト13に挿通されて、アンカーボルト13の上端部に設けられた連結板14を柱12aの下端部に当設させるとともに、連結板14から柱12aの下端部に向けて釘14a等が打ち込まれることによって固定されている。
【0042】
一方、支持部17が、布基礎2の内側で、かつ、布基礎2上に複数の床材1が設置された際に、床材1の長手方向において、互いに隣接する床材1,1の長手方向側端部どうしが接合される接合部18に配置されている。
前記支持部17は、プレキャストコンクリート製コンクリートブロックである直方体状の束基礎19と、該束基礎19上に立設された束金物20とからなるものである。
【0043】
前記束金物20は、周知のものであり、束基礎19に固定されるとともに、垂直に立設されたボルト21を有するベースプレート22と、床材1の側端部を支持するとともに、鉛直方向に挿通して設けられたボルト23を有する床材受具24と、ベースプレート22のボルト21および床材受具24のボルト23を螺合するパイプ状のターンバックル部25とからなるものである。
【0044】
前記床材受具24に挿通して設けられたボルト23は、床材1の切欠部5に形成された挿通孔6aに挿通されて、その上端部においてナット26によって固定されるようになっている。
前記ターンバックル部25は、該ターンバックル部25を上下に貫通する貫通孔の上部と下部とがそれぞれねじ孔となっている、そして、貫通孔の下部が左ねじ、上部が右ねじとなっているものである。また、ベースプレート22のボルト21および床材受具24のボルト23には、ターンバックル部25の前にそれぞれナット27,27が螺合されている。
【0045】
そして、このような構成のもとに、束金物20は、ターンバックル部25をスパナにより左右に回転させることにより、床材受具24の高さを調整できるようになっているとともに、ナット27,27をそれぞれターンバックル部25側に締め付けることにより、ターンバックル部25を固定して、床材受具24の高さを固定できるようになっている。
【0046】
そして、対向する壁体15,15を支持する布基礎2間に配置された複数の床材1は、対向する側端面どうしを突き当てることによって接合され、この接合部18は、支持部17によって下方から同じ高さになるように支持されており、接合部18と支持部17とが連結されている。
つまり、図3に示すように、一方の床材1の切欠部5に、該切欠部5を形成する壁面6に当設するようにして、側断面視コ字状の接合金物28が挿入されている。そして、この接合金物28および切欠部5に形成された挿通孔6aに、束金物20の床材受具24を挿通したボルト23を挿通させるとともに、他方の床材1の切欠部5を前記一方の床材1の切欠部5に突き合わせ、次いで、ボルト23の上端部をナット26で締め付けることによって、これら両床材1,1と支持部17とが連結されている。
【0047】
本発明の第1の実施の形態の床材1によれば、床材本体3の表層部7のみに木粉が含まれており、該表層部7の表面が床仕上げ面とされているので、床材1を布基礎2の上端に設置するだけで容易に木質感のある床とすることができ、よって、従来のように床仕上げ材を敷設することなく、施工工程数および施工期間の短縮化、コストの削減を図れる。
また、木粉は外側から見える表層部7のみに含まれているので、床材本体3の全体に木粉を含ませる場合に比して、押出成形性が良くなる。
【0048】
また、床材本体3は、木製ではなく木粉と樹脂とを含む押出し材から押出成形してなるので、押出方向において所望の長さに製造することができるとともに、断面を様々な形状に成形できる。
さらに、防蟻処理として、例えば、床材本体3の裏面に防蟻シートを貼る必要がなく、この点からも施工工程数および施工期間の短縮化を図れる。
【0049】
前記床材本体3の表層部7の表面には、筋状の多数の模様7aが形成されており、さらに、溝部7bも形成されているので、床材本体3の表層部7の表面が立体的となり、外観および触感を天然の木に極めて近づけることができる。
また、後述するように、図9に示す床材本体122を製造した後に、表層部123の表面に研磨処理によって細かな凹凸123aを形成する場合に比して、筋状の模様7aや溝部7bは押出成形時に同時に形成されるので、施工の効率が良く、施工作業を短縮することができる。
【0050】
前記空洞4内には断熱材4aが設けられているので、容易に断熱性に優れた床材1とすることができる。
また、前記床材本体3は、木質廃材や廃材樹脂から得られる木粉や樹脂を含んだ押出し材から製造されているので、廃材がリサイクルされて、資源の有効利用および環境保護の観点から優れる。
さらに、後述する本発明の第2および第3の実施の形態の床材41,71に比して、切欠部5の形状が単純であるので容易に製造することができる。
【0051】
本発明の第1の実施の形態の床材1の設置構造によれば、布基礎2側に設置された床材1の長手方向一側端部は、土台11上に設置された柱12aおよび壁部材12bから構成された壁体15と、布基礎2とで挟まれているので、床材1の長手方向一側端部が布基礎2上に確実に固定される。
また、土台11および布基礎2側に設置された床材1の長手方向一側端部上には、壁体15が設置されているので、壁体15を設置する場合は、床材1を作業足場にすることができ、よって、その設置作業が容易となる。
【0052】
さらに、対向する壁体15,15を支持する布基礎2間において、互いに隣接する床材1,1どうしは、対向する側端面どうしを突き当てるとともに、この接合部18と支持部17とが連結されているので、互いに隣接する床材1,1どうしを支持部17によって強固に、かつ確実に連結することができる。
【0053】
なお、前記床材1は、床材本体3の表層部7の表面に筋状の多数の模様7aおよび溝部7bが形成されていたが、これに限らず例えば図9に示すように、押出成形時に筋状の多数の模様7aを形成せずに、溝部123bのみを形成しておき、その後さらに、表層部123の表面に研磨処理を施すことによって、細かな凹凸123aを多数形成した床材121としても良い。
この場合は、上述したようにして押出し材を製造し、この押出し材を押出成形機によって所要の形状に押出成形し、表層部123の表面に溝部123bが形成された床材本体122を製造する。その後、この床材本体122の表層部123の表面を、サンディングペーパーで擦ることによって引っかき傷等の細かな凹凸123aを多数形成する。
【0054】
次に、布基礎29の上端に、本発明の第1の実施の形態の床材1が設置されてなる床材1のその他の設置構造について説明する。
なお、ここで説明する床材1の設置構造は、上述した床材1の設置構造と異なり、パネル工法における床材1の設置構造である。
図4に示すように、建築される建物の外周に略沿って、布基礎29が構築されている。この布基礎29は、上述した布基礎2よりもその幅が狭く形成されている。
【0055】
そして、布基礎29の上面にその長手方向に沿って台輪30が敷きこまれて、該台輪30の上面のうちの外側に半土台31が設置され、内側に床材1の長手方向の一側端部が設置されており、半土台31および床材1の一側端部の上面に壁パネル32が設置されている。
つまり、前記床材1は、布基礎29に沿って床材1の長手方向が配置されるようにして、対向する壁パネル32,32を支持する布基礎29間に複数設置されており、床材1の長手方向一側端部は、布基礎29と壁パネル32に挟まれることによって固定されている。
【0056】
前記半土台31は、長尺な棧材であり、壁パネル32の幅の略半分の幅で、床材1と同じ厚みを有し、床材1の長手方向一側端面に当接するように配置されている。
前記壁パネル32は、框材を矩形状に組み立てるとともにこの矩形枠の内部に補強用の棧材を縦横に組み付けて枠体32aを構成し、この枠体32aの一方の面に合板などの面材32bが設けられてなるものである。また、壁パネル32の内周面における下端部には、巾木33が設けられている。
これら布基礎29、台輪30、半土台31、床材1、壁パネル32とは、布基礎29に予め埋設されたアンカーボルト34に挿通されて壁パネル32の下端部において、アンカーボルト34の上端部がナット35によって止着されて固定されている。
【0057】
一方、支持部36も上述したように、布基礎29の内側で、かつ、布基礎29上に複数の床材1が設置された際に、床材1の長手方向において、互いに隣接する床材1,1の長手方向側端部どうしが接合される接合部18に配置されている。前記支持部36は、上述した支持部17と同様の構成であるので、その説明を省略する。
【0058】
そして、対向する壁パネル32,32を支持する布基礎29間に配置された複数の床材1は、対向する側端面どうしを突き当てることによって接合され、この接合部18は、支持部36によって下方から同じ高さになるように支持されており、接合部18と支持部36とが連結されている。これら接合部18と支持部36との連結についても、第1の実施の形態の床材1の設置構造と同様のため、その説明を省略する。
【0059】
上述したように、本発明の第1の実施の形態の、その他の床材1の設置構造によれば、本発明の第1の実施の形態の床材1の設置構造と同様の効果を得ることができるのは勿論のこと、第1の実施の形態の床材1の設置構造に比して、布基礎2側に設置された床材1の長手方向一側端部上には、幅の狭い壁部材12bではなく、幅の広い壁パネル32が設置されているので、幅の広い壁パネル32と布基礎29とで挟まれることによって、床材1を布基礎2上により確実に設置することができる。
【0060】
次に、本発明の第2の実施の形態の床材について説明する。
図5は、本発明の第2の実施の形態を示す床材の設置構造の側断面図である。
なお、本発明の第2の実施の形態の床材41は、第1の実施の形態の床材1の両側端部に形成された切欠部5の形状が異なっており、その他の点については同様の構成である。
図5に示すように、本発明の第2の実施の形態の床材41は、木粉と樹脂とを含む押出し材を押出成形してなる長尺板状の床材本体42と、この床材本体42の内部に押出方向に沿って延在するようにして設けられた複数の空洞43とを備えている。
【0061】
前記空洞43は、側断面視矩形状で、床材本体42の短手方向両側面に所定間隔で設けられており、該床材本体42の長手方向に貫通している。また、空洞43内には断熱材(図示しない)が挿入固定されている。
前記床材本体42の長手方向両側端部における上面には、切欠部44,69が床材本体42の長手方向に延在して形成されている。この切欠部44,69は、互いに隣接する床材41,41どうしを接合する側(接合部58側)の長手方向側端部に形成された切欠部44と、後述する布基礎49上に設置される側(布基礎49側)の長手方向側端部に形成された切欠部69とがある。
【0062】
床材41の接合部58側の側端部に形成された前記切欠部44は、側断面視略L字型となっており、後述する束金物60が取りつけられる取付部45と、板状の接合部材47が嵌めこまれる嵌合部46とを備えている。
そして、互いに隣接する床材41,41の切欠部44,44における取付部45,45どうしが、互いに突き合わされた際に、この2つの取付部45,45に亙って束金物60が取り付けられるようになっている。
また、嵌合部46は、取付部45の上部に設けられており、この嵌合部46に接合部材47が取付部45を覆うようにして嵌めこまれることによって、床材41,41どうしが接合されるとともに床材41の上面と接合部材47の上面とが平らとされる。
【0063】
また、床材41の布基礎49側に形成された前記切欠部69は、後述する床材用アンカーボルト55が取り付けられる取付部69aと、板状の接合部材70が嵌めこまれる嵌合部69bとを備えている。
この切欠部69は、前記切欠部44と形状が異なっている。すなわち、切欠部69は、取付部69aにおいて床材41の側端面側を向く面に壁面69cが設けられているが、前記切欠部44は、前記取付部45において床材41の側端面側を向く面に、このような壁面69cが設けられていない。
【0064】
また、前記取付部69aには、該取付部69aを床材用アンカーボルト55が挿通する挿通孔が形成されている。
さらに、前記嵌合部69bには、上述した嵌合部46と同様に、接合部材70が取付部69bを覆うようにして嵌めこまれるようになっている。
【0065】
前記床材本体42の表層部48には、該表層部48のみに木粉が含まれており、表層部48の表面が床仕上げ面とされている。
また、前記床材本体42の表層部48の表面には、筋状の多数の模様(図示しない)および溝部(図示しない)が押出成形によって押出方向に沿って形成されている。
【0066】
次に、布基礎49の上端に、本発明の第2の実施の形態の床材41を設置してなる床材41の設置構造について説明する。
なお、この第2の実施の形態の床材41の設置構造においても、パネル工法における床材41の設置構造である。
図5に示すように、建築される建物の外周に略沿って、布基礎49が構築されている。
【0067】
そして、布基礎49の上面にその長手方向に沿って台輪50が敷きこまれて、該台輪50の上面のうちの外側に土台51が設置され、内側に床材41の長手方向の一側端部が設置されており、土台51の上面に壁パネル52が設置されている。
つまり、前記床材41は、布基礎49に沿って床材41の長手方向が配置されるようにして、対向する壁パネル52,52を支持する布基礎49間に複数設置されている。
【0068】
前記土台51は、長尺な樹脂製の棧材である。また、土台51は壁パネル52と同じ幅で、床材41と同じ厚みを有し、その内部に長手方向に貫通する空洞51aが設けられており、床材41の長手方向一側端面に当接するように配置されている。
これら布基礎49、台輪50、土台51、壁パネル52は、布基礎49に予め埋設されたアンカーボルト53に挿通されて壁パネル52の下端部において、アンカーボルト53の上端部がナット54によって止着されて固定されている。
【0069】
また、床材41は、前記アンカーボルト53とは別に、布基礎49に予め埋設されて、該布基礎49から突出する床材用アンカーボルト55に、床材41の布基礎49側における切欠部69の取付部69aに形成された挿通孔が挿通されるとともに、その上端部がナット56によって止着されて固定されている。この床材用アンカーボルト55も、その下端部がU字状に曲がっている。
【0070】
そして、床材41の嵌合部69bには接合部材70が、取付部69aを覆うようにして嵌めこまれることによって、取付部69aに固定された床材用アンカーボルト55が上面から見えることがなく、かつ、この接合部材70と床材41の上面とが平らにされている。
【0071】
一方、支持部57も上述したように、布基礎49の内側で、かつ、布基礎49上に複数の床材41が設置された際に、床材41の長手方向において、互いに隣接する床材41,41の長手方向側端部どうしが接合される接合部58に配置されている。
前記支持部57は、プレキャストコンクリート製コンクリートブロックである直方体状の束基礎59と、該束基礎59上に立設された束金物60と、該束金物60の上端部に設置された根太61とを備えている。
【0072】
前記束金物60は、第1の実施の形態で説明した束金物20と同様の構成である。
前記根太61は、側断面視コ字状の金物であって、束金物60の床材受板62が、この根太61の下面61aに設置されて、床材受板62に挿通されたボルト63が根太61の下面61aを挿通するとともに、その上端部においてナット64によって締め付けられて、束金物60と根太61とが固定されている。
【0073】
また、根太61の上面61bには、ボルト65が該上面61bを挿通しており、このボルト65はその下端部がナット66で締め付けられることによって根太61の上面61bに取り付けられている。そして、前記ボルト65は、床材41,41の長手方向側端部どうしの間に配置されるようになっている。このボルト65の上端部には、両床材41,41の取付部45,45に跨って固定される接合金物67が設けられている。
【0074】
そして、対向する壁パネル52,52を支持する布基礎49間に配置された複数の床材41は、対向する側端面どうしを突き当てることによって接合され、この接合部58は、支持部57によって下方から同じ高さになるように支持されており、接合部58と支持部57とが連結されている。
つまり、一方の床材41の切欠部44の取付部45に、前記ボルト65に設けられた接合金物67の側断面視コ字状をなす一方の片67aが固定され、他方の片67aが他方の床材41の切欠部44の取付部45に固定されるとともに、このボルト65は、両床材41,41の側端部どうしの間に挟みこまれた状態でその上端部がナット68で締め付けられることによって、これら両床材41,41と支持部57とが連結されている。
【0075】
また、両床材41,41の嵌合部46,46に跨るようにして、接合部材47が嵌めこまれることによって、前記取付部45に固定されたボルト65が上面から見えることがなく、かつ、この接合部材47の上面と両床材41,41の上面とが平らにされている。
【0076】
本発明の第2の実施の形態の床材41によれば、本発明の第1の実施の形態の床材1と同様の効果を得ることができる。
【0077】
本発明の第2の実施の形態の床材41の設置構造によれば、布基礎49側に設置された床材41の長手方向一側端部は、布基礎49から突出する床材用アンカーボルト55に結合されているので、床材41の長手方向一側端部と布基礎49とを強固に、かつ確実に結合することができる。
また、本発明の第1の実施の形態と異なり、床材41の側端部は壁パネル52と布基礎49とで挟まれていないので、壁パネル52の施工の後、床材41の施工を行ったり、床材41の施工の後、壁パネル52の施工を行え、よって施工の自由度が高くなる。
【0078】
また、対向する壁パネル52,52を支持する布基礎49間において、互いに隣接する床材41,41どうしは、対向する側端面どうしを突き当てるとともに、この接合部58と支持部57とが連結されているので、互いに隣接する床材41,41どうしを支持部57によって強固に、かつ確実に連結することができる。
【0079】
さらに、本発明の第1の実施の形態と異なり、支持部57は、根太61を備えているので、この根太61によって床材41が支持されることになり、より確実に床材41を設置することができる。
また、互いに隣接する床材41,41の側端部どうしの間には、1つのボルト65が挟まれて取りつけられており、これによって床材41,41どうしおよび支持部57が連結されているので、後述する本発明の第3の実施の形態に比して、切欠部74に、ボルト95が挿通する挿通孔を形成する必要がなく、また、2つのボルト95,95を取りつける必要もないので、その手間を省ける。
【0080】
次に、本発明の第3の実施の形態の床材について説明する。
図6は、本発明の第3の実施の形態を示す床材の設置構造の側断面図である。
なお、本発明の第3の実施の形態の床材71は、第1の実施の形態の床材1の両側端部に形成された切欠部5の形状と異なっており、その他の点については同様の構成である。
図6に示すように、本発明の第3の実施の形態の床材71は、木粉と樹脂とを含む押出し材を押出成形してなる長尺板状の床材本体72と、この床材本体72の内部に押出方向に延在するようにして設けられた複数の空洞73とを備えている。
【0081】
前記空洞73は、側断面視矩形状で、床材本体72の短手方向両側面に所定間隔で設けられており、該床材71の長手方向に貫通している。また、空洞73内には断熱材(図示しない)が挿入固定されている。
前記床材本体72の長手方向両側端部における上面には、互いに隣接する床材71,71どうしを接合するための切欠部74が、床材本体72の長手方向に延在して形成されている。
【0082】
前記切欠部74は、後述する束金物90が取りつけられる取付部75と、板状の接合部材77が嵌めこまれる嵌合部76とを備えている。
前記切欠部74は、本発明の第2の実施の形態における床材41の、布基礎49側に設置される側端部に形成された切欠部69と同様の形状をなしている。
すなわち、図6に示すように、切欠部74は、取付部75において床材72の側端面側を向く面に壁面75aが設けられている。
【0083】
前記取付部75には、該取付部75を挿通する挿通孔が形成されている。そして、短手方向に互いに隣接する床材71,71の切欠部74,74どうしが、互いに突き合わされた際に、2つの取付部75,75に、それぞれ束金物90が前記挿通孔に挿通されて取り付けられるようになっている。
【0084】
また、嵌合部76は、取付部75の上部に設けられており、この嵌合部76に接合部材77が取付部76を覆うようにして嵌めこまれることによって、床材71,71どうしが接合されるとともに接合部材77の上面と床材71の上面とが平らとされる。
【0085】
前記床材本体72の表層部78には、該表層部78のみに木粉が含まれており、表層部78の表面が床仕上げ面とされている。
また、前記床材本体72の表層部78の表面には、筋状の多数の模様(図示しない)および溝部(図示しない)が押出成形によって押出方向に沿って形成されている。
【0086】
次に、布基礎79の上端に、本発明の第3の実施の形態の床材71を設置してなる床材71の設置構造について説明する。
なお、この第3の実施の形態の床材71の設置構造においても、パネル工法における床材71の設置構造である。
図6に示すように、建築される建物の外周に略沿って、布基礎79が構築されている。
【0087】
そして、布基礎79の上面にその長手方向に沿って台輪80が敷きこまれて、該台輪80の上面のうちの外側に土台81が設置され、内側に床材71の長手方向の一側端部が設置されており、土台81の上面に壁パネル82が設置されている。
つまり、前記床材71は、布基礎79に沿って床材71の長手方向が配置されるようにして、対向する壁パネル82,82を支持する布基礎79間に複数設置されている。
【0088】
前記土台80は、長尺な樹脂製の棧材である。また、土台81は壁パネル82と同じ幅で、床材71と同じ厚みを有し、その内部に空洞81aが設けられており、床材71の長手方向一側端面に当接するように配置されている。
これら布基礎79、台輪80、土台81、壁パネル82は、布基礎79に予め埋設されたアンカーボルト83に挿通されて壁パネル82の下端部において、アンカーボルト83の上端部がナット84によって止着されて固定されている。
【0089】
また、床材71は、布基礎79に予め埋設された床材用アンカーボルト85が床材71の取付部75の挿通孔に挿通されて、その上端部がナット86によって止着されて固定されている。
そして、床材71の布基礎79側の嵌合部76には接合部材98が、取付部75を覆うようにして嵌めこまれることによって、接合部材98の上面と床材71の上面とが平らにされている。
【0090】
一方、支持部87も上述したように、布基礎79の内側で、かつ、布基礎79上に複数の床材71が設置された際に、床材71の長手方向において、互いに隣接する床材71,71の長手方向側端部どうしが接合される接合部88に配置されている。
前記支持部87は、プレキャストコンクリート製コンクリートブロックである直方体状の束基礎89と、該束基礎89上に立設された束金物90と、該束金物90の上端部に設置された根太91とを備えている。
【0091】
前記束金物90は、第1および第2の実施の形態で説明した束金物20,60と同様の構成である。
前記根太91は、側断面視コ字状の金物であって、束金物90の床材受板92が、この根太91の下面91aに設置されて、床材受板92に挿通されたボルト93が根太91の下面91aを挿通するとともに、その上端部においてナット94によって締め付けられて、束金物90と根太91とが固定されている。
【0092】
また、根太91の上面には、2つのボルト95,95が該上面91bを挿通しており、これらボルト95,95はその下端部がナット96,96で締め付けられることによって、根太91の上面91bに取り付けられている。そして、この2つのボルト95,95は、両床材71,71の長手方向側端部の取付部75,75に形成された挿通孔に、それぞれ挿通されて固定されるようになっている。
【0093】
そして、対向する壁パネル82,82を支持する基礎79間に配置された複数の床材71は、対向する側端面どうしを突き当てることによって接合され、この接合部88は、支持部87によって下方から同じ高さになるように支持されており、接合部88と支持部87とが連結されている。
つまり、両床材71,71の切欠部74,74における取付部75,75に形成された挿通孔に、前記根太91の上面91bに固定されたボルト95,95をそれぞれ挿通させて、ボルト95,95の上端部がナット97,97で締め付けられることによって、これら両床材71,71と支持部87とが連結されている。
【0094】
また、両床材71,71の接合部88側の嵌合部76,76に跨るようにして、接合部材77が嵌めこまれることによって、前記取付部75,75に固定された2つのボルト95,95が上面から見えることがなく、かつ、この接合部材77の上面と両床材71,71の上面とが平らにされている。
【0095】
本発明の第3の実施の形態の床材71によれば、本発明の第1の実施の形態の床材1と同様の効果を得ることができるのは勿論のこと、床材71の長手方向両側端部に形成された切欠部74の形状が等しいので、第2の実施の形態の床材41に比して、容易に製造することができる。
【0096】
本発明の第3の実施の形態の床材71の設置構造によれば、本発明の第2の実施の形態の床材41の設置構造と同様の効果を得ることができる。
【0097】
次に、本発明の第4の実施の形態の床材について説明する。
図7は、本発明の第4の実施の形態を示す床材の設置構造の側断面図である。
図7に示すように、本発明の第4の実施の形態の床材101は、木粉と樹脂とを含む押出し材を押出成形してなる長尺板状の床材本体102と、この床材本体102の内部に押出方向に延在するようにして設けられた複数の空洞103とを備えている。
【0098】
前記空洞103は、側断面視矩形状で、床材本体102の短手方向両側面に所定間隔で設けられており、該床材本体102の長手方向に貫通している。また、空洞103内には断熱材(図示しない)が挿入固定されている。
なお、この床材本体102には、第1〜第3の実施の形態の床材1,41,71と異なり、切欠部5,44,74が形成されていない。
【0099】
前記床材本体102の表層部104には、該表層部104のみに木粉が含まれており、表層部104の表面が床仕上げ面とされている。
また、前記床材本体102の表層部104の表面には、筋状の多数の模様(図示しない)および溝部(図示しない)が押出成形によって押出方向に沿って形成されている。
【0100】
次に、布基礎105の上端に、本発明の第4の実施の形態の床材101を設置してなる床材101の設置構造について説明する。
なお、この第4の実施の形態の床材101の設置構造においても、パネル工法における床材101の設置構造である。
図7に示すように、建築される建物の外周に略沿って、布基礎105が構築されている。
【0101】
そして、布基礎105の上面にその長手方向に沿って台輪106が敷きこまれて、該台輪106の上面のうちの外側に半土台107が設置され、内側に床材101の短手方向一側端部が配置され、半土台107および床材101の一側端部上には、壁パネル108が設置されている。
【0102】
前記布基礎105の長手方向には、床材101の短手方向が配置されるように複数設置されるとともに、対向する壁パネル108,108を支持する布基礎105間には1枚の床材101が配置されている。つまり、1枚の床材101の長手方向の長さが、前記布基礎105間の長さと略等しくなっている。
前記床材101の短手方向両側端部は、布基礎105と壁パネル108に挟まれることによって固定されている。
前記布基礎105、台輪106、土台107、壁パネル108、床材101は、布基礎105に予め埋設されたアンカーボルト109に挿通されて壁パネル108の下端部において、アンカーボルト109の上端部がナット110によって止着されて固定されている。
【0103】
本発明の第4の実施の形態の床材101によれば、本発明の第1の実施の形態の床材1と同様の効果を得ることができるのは勿論のこと、第1〜第3の実施の形態と異なり、切欠部5,44,74が形成されていないので、容易に製造することができる。
【0104】
本発明の第4の実施の形態の床材101の設置構造によれば、布基礎105側に設置された床材101の短手方向一側端部は、土台107上に設置された壁パネル108と布基礎105とで挟まれているので、床材1の短手方向一側端部が布基礎105上に確実に固定される。
また、土台107および床材101の短手方向一側端部上には、壁パネル108が設置されているので、壁パネル108を設置する場合は、床材101を作業足場にすることができるので、その設置作業が容易となる。
【0105】
さらに、対向する壁パネル108,108を支持する布基礎105間に1枚の床材101が配置され、該床材101の押出方向の両端部がそれぞれ前記対向する布基礎108の上面に支持されているので、床材101の押出方向には、床材101を接合することなく、1枚の床材101で床を容易に施工できる。
また、床材101が長スパンとなっても、接合部分を下方から支持するなどの配慮をすることなく、床材101の中途部を適宜、下方から支持すれば良く、この点においても床を容易に施工できる。
【0106】
次に、本発明の第5の実施の形態の床材について説明する。
図8は、本発明の第5の実施の形態を示す床材の斜視図である。
図8に示すように、本発明の第5の実施の形態の床材111は、木粉と樹脂とを含む押出し材を押出成形してなる長尺板状の床材本体112と、この床材本体112の内部に押出方向に延在するようにして設けられた複数の空洞113とを備えている。
【0107】
前記空洞113は、側断面視矩形状で、床材本体112の短手方向両側面に所定間隔で設けられており、該床材本体112の長手方向に貫通している。また、空洞113内には断熱材が挿入固定されている。(なお、図8では、複数の空洞113のうち1つの空洞113のみに断熱材113aが設けられているが、実際にはこれら空洞113のすべてに断熱材113aが設けられている。)
【0108】
前記床材本体112の長手方向両側端部には、互いに隣接する床材111どうしが嵌合するための凹部115と凸部116とがそれぞれ、床材本体112の長手方向に延在して形成されている。
これら凹部115と凸部116とは、ともに側断面視略矩形状をなしている。
【0109】
前記床材本体112の表層部114には、該表層部114のみに木粉が含まれており、表層部114の表面が床仕上げ面とされている。
また、前記床材本体112の表層部114の表面には、筋状の多数の模様114aおよび溝部114bが押出成形によって押出方向に沿って形成されている。
【0110】
本発明の第5の実施の形態の床材111によれば、第1の実施の形態の床材1と同様の効果を得ることができるのは勿論のこと、床材111の長手方向両側端部には凹部115と凸部116とが設けられているので、これら凹部115と凸部116とをそれぞれ嵌合させることによって、床材111,111どうしが接合される。したがって、第1〜第4の実施の形態の床材1,41,71,101と異なり、床材111,111どうしを接合するために側端部どうしをつきあわせた場合に、床材111,111どうしの側端部がずれることなく、位置決めし易い。
【0111】
なお、本発明の第1〜第5の実施の形態の床材1,41,71,101,111は、その表層部7,48,78,104,114のみに木粉が含まれているとし、この木粉としては、木質廃材を粉砕することによって得られる木粉を使用していたが、例えば、木材、バカス、稲藁等の天然木材を粉砕することによって得られる木粉を使用しても良い。
【0112】
また、本発明の第2〜第5の実施の形態の床材41,71,101,111において、これら床材本体42,72,102,112の表層部48,78,104,114の表面に、第1の実施の形態の図9で説明したように、研磨処理を施すことによって、細かな凹凸123aを多数形成しても良い。
【0113】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、前記床材本体の表層部の表面が床仕上げ面とされているので、前記床材を基礎の上端に設置するだけで容易に木質感のある床とすることができるので、施工工程数および施工期間の短縮化、コストの削減を図れる。
また、前記床材本体は押出成形されてなるので、押出方向において所望の形状に製造することができ、断面を様々な形状に成形できる。
さらに、前記床材本体は樹脂を含んでいるので、防蟻処理の必要がなく、この点からも施工工程数および施工期間の短縮化を図れる。
【0114】
また、前記床材本体の表層部に木粉があらわれて質感を天然の木に近づけることができる。
また、前記木粉は外側から見える表層部のみに含まれているので、床材本体の全体に木粉を含ませた場合に比して、押出成形性が良くなる。
【0116】
さらに、前記床材本体の表層部の表面には、細かな凹凸が多数形成されているので、表層部の表面が立体的となり、外観および触感を天然の木に極めて近づけることができる。
【0118】
また、前記床材の側端部は、前記土台上に設置された壁体と前記基礎とで挟まれているので、前記床材の側端部が前記基礎上に確実に固定される。
また、前記床材を作業足場にして、容易に壁体を設置することができる。
【0120】
請求項2の発明によれば、請求項1と同様の効果を得ることができるのは勿論のこと、対向する壁を支持する基礎間に1枚の床材が配置され、該床材の押出方向の両端部がそれぞれ前記対向する基礎の上面に支持されているので、床材の押出方向には床材を接合することなく、一枚の床材で床を容易に施工できる。
【0121】
請求項3の発明によれば、前記床材本体の表層部の表面が床仕上げ面とされているので、前記床材を基礎の上端に設置するだけで容易に木質感のある床とすることができるので、施工工程数および施工期間の短縮化、コストの削減を図れる。
また、前記床材本体は押出成形されてなるので、押出方向において所望の形状に製造することができ、断面を様々な形状に成形できる。
さらに、前記床材本体は樹脂を含んでいるので、防蟻処理の必要がなく、この点からも施工工程数および施工期間の短縮化を図れる。
また、前記床材本体の表層部に木粉があらわれて質感を天然の木に近づけることができる。
また、前記木粉は外側から見える表層部のみに含まれているので、床材本体の全体に木粉を含ませた場合に比して、押出成形性が良くなる。
さらに、前記床材本体の表層部の表面には、細かな凹凸が多数形成されているので、表層部の表面が立体的となり、外観および触感を天然の木に極めて近づけることができる。
また、対向する壁体を支持する基礎間に複数の前記床材が配置され、互いに隣接する床材どうしは、支持部によって同じ高さになるように支持されて連結されているので、互いに隣接する床材どうしの上面が平らとされるとともに、互いに隣接する床材どうしを支持部によって強固に、かつ確実に連結することができる。
また、両切欠部に接合部材が嵌め込まれることによって、切欠部内で固定された支持部が上面から見えることがなく、かつ、この接合部材の上面と両床材の上面とが平らとされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示すためのもので、(a)および(b)は、床材の斜視図である。
【図2】同、床材の設置構造の側断面図である。
【図3】同、床材と支持部との接合構造の要部を示す斜視図である。
【図4】同、床材の設置構造の側断面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態を示すためのもので、床材の設置構造の側断面図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態を示すためのもので、床材の設置構造の側断面図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態を示すためのもので、床材の設置構造の側断面図である。
【図8】本発明の第5の実施の形態を示すためのもので、床材の斜視図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態を示すためのもので、床材の斜視図である。
【符号の説明】
1,41,101,121 床材
2,49,79,105 基礎
3,122 床材本体
4 空洞
4a 断熱材
7,123 表層部
7a 筋状の模様
11,51 土台
15,108 壁体
17 支持部
55 アンカーボルト
123a 細かな凹凸
Claims (3)
- 木粉と樹脂とを含む押出し材を押出成形してなる板状の床材本体と、該床材本体の内部に、押出方向に延在するようにして設けられた複数の空洞とを備え、前記床材本体の表層部の表面が床仕上げ面とされ、前記木粉は、前記床材本体の表層部のみに含まれ、前記床材本体の表層部の表面には、研磨処理を施すことによって細かな凹凸が多数形成された床材が、基礎の上端に設置されてなる床材の設置構造であって、
前記基礎の上面には、土台と前記床材の側端部とが隣接して設置されており、
前記土台上には、壁体が前記土台の上面から前記床材側に突出して設置され、
前記床材の側端部は、前記壁体の突出部分と前記基礎とで挟まれていることを特徴とする床材の設置構造。 - 請求項1に記載の床材の設置構造において、
対向する壁体を支持する基礎間に1枚の床材が配置され、該床材の押出方向の両端部がそれぞれ前記対向する基礎の上面に支持されていることを特徴とする床材の設置構造。 - 木粉と樹脂とを含む押出し材を押出成形してなる板状に床材本体と、該床材本体の内部に、押出方向に延在するようにして設けられた複数の空洞とを備え、前記床材本体の表層部の表面が床仕上げ面とされ、前記木粉は、前記床材本体の表層部のみに含まれ、前記床材本体の表層部の表面には、研磨処理を施すことによって細かな凹凸が多数形成された床材が、基礎の上端に設置されてなる床材の設置構造であって、
対向する壁体を支持する基礎間に複数の前記床材が配置され、
互いに隣接する床材の対向する側端部における上面に、切欠部が長手方向に延在して形成されており、両床材の下方から両切欠部内に支持部が挿通されるとともに締結され、さらに両切欠部の上方を前記支持部を覆うように接合部材が嵌めこまれることによって、互いに隣接する床材どうしが、前記支持部によって同じ高さになるように支持されて連結されていることを特徴とする床材の設置構造。
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