JP3640858B2 - 回転電機のブラシホルダ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、回転電機に用いられるブラシホルダ装置の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図11は従来の回転電機のブラシホルダ装置を示すもので、(a)はその各部品を組立てた状態を示す完成平面図であり、(b)はその一部の部品を分解して示した平面図である。
図において、21はブラシホルダベース、22はブラシ、23aは金属ブラシホルダ、23bはプレート、24はピグテール、25はターミナルプレート、26はスプリングである。
【0003】
ターミナルプレート25はインサートモールド成形されており、このブラシホルダベース21にプレート23bを置いた後、金属ブラシホルダ23aをカシメて固定している。この金属ブラシホルダ23aを組付け後、スプリング26を金属ブラシホルダ23a内に組付け、その後ブラシ22を組付ける。ターミナルプレート25とピグテール24の溶接位置は、金属ブラシホルダ23aの横に位置する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の回転電機におけるブラシホルダ装置は以上のように構成されており、ターミナルプレートを樹脂ブラシホルダ装置本体にインサートモールド成形するため、型構造が複雑になり、それに伴い、ターミナルプレートの寸法精度も高くする必要があり、また自動組立に適さない構造であるなど、高価となるという問題点があった。
また、ピグテール溶接位置が、ブラシの右または左に位置しており、ピグテールの形状により、ブラシの摺動に影響を及ぼし、モータ性能に影響を与えるという問題点もあった。
【0005】
この発明は以上のような課題を解決するためになされたものであり、インサートモールドを不要とし、自動組立を可能とすることにより、組立が容易で、安価かつ高性能なブラシホルダ装置を提供せんとするものである。
【0006】
即ち、ブラシホルダ型構造の簡単化、ターミナルプレートの寸法精度の軽減、モータ性能のバラツキ低減、組付け時の部品脱落防止、ブラシホルダカバーの組付け性向上、及びブラシホルダ装置の組立容易化をそれぞれ可能とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明の請求項1に係る回転電機のブラシホルダ装置は、第1のターミナルプレートをブラシホルダベース下部にセットし、かしめて固定するとともに、ブラシホルダベースに上部から第2のターミナルプレートを挿入して設置し、ブラシホルダベースにスプリング及びブラシをセットし、ブラシホルダベースの上部にブラシホルダカバーを被せて設置したものであって、第1のターミナルプレートと第2のターミナルプレートを溶接するとともに、ブラシホルダベース及びブラシホルダカバーにそれぞれ位置決め用の穴及び突起を設けたものである。
【0008】
この発明の請求項2に係る回転電機のブラシホルダ装置は、ブラシホルダカバーを線対称な構造としたものである。
【0009】
この発明の請求項3に係る回転電機のブラシホルダ装置は、ブラシホルダベース及びブラシホルダカバーに切り欠き部を設け、この切り欠き部に内径に金属ブッシュを有したゴムブッシュを嵌め込むことによりブラシホルダベースとブラシホルダカバーを組み付けたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、この発明の一実施形態を図に基づいて説明する。図1はこの発明の一実施形態による回転電機のブラシホルダ装置における各部品を示す分解平面図、図2は同じく分解側面図、図3は各部品を組立てた状態を示す完成平面図、図4はブラシホルダ部、即ち図3におけるA−A線断面図、図5はブラシホルダベース及びブラシホルダカバーを示す側面断面図(図3におけるB−B線断面図)である。
図において、1は第1のターミナルプレート、2はブラシホルダベース、3は第2のターミナルプレート、4はスプリング、5はブラシホルダベース2に設けられた仮止め用段部、6はブラシ、7はブラシホルダカバーを示す。
図に示すように、ターミナルプレート1(第1のターミナルプレート)は、フェノール等の熱硬化性樹脂でできたブラシホルダベース2の下部にセットされ(図2)、ターミナルプレート1の1a〜1g及びブラシホルダベース2の2a〜2gの7ヶ所をそれぞれかしめることにより、固定される。図6はかしめ部(図3におけるC部)を示す拡大平面図である。
【0011】
次に、ターミナルプレート1とは別体の1個のターミナルプレート3(第2のターミナルプレート)をブラシホルダベース2に上部から挿入する。次に、スプリング4を上部から仮止め用段部5にセットする。次に、ブラシ6におけるピグテール6aを、ターミナルプレート1及びターミナルプレート3に溶接し、図4に示すように、ブラシホルダ上部からセットする。その後、ターミナルプレート1とターミナルプレート3はD部において溶接で接続し、最後にフェノール等の熱硬化性樹脂でできたブラシホルダカバー7をセットする。
【0012】
その際、図5に示すように、ブラシホルダベース2及びブラシホルダカバー7には、それぞれ穴8、突起部9を設け、突起部9の径は穴部8より大きく構成することにより、圧入した場合、ブラシホルダカバー7を仮止めすることができるように構成する。実際の固定はブラシホルダ装置をハウジング(図示せず)に組付け時に、ブラシホルダベース2とブラシホルダカバー7のネジ穴10にネジを通し、ハウジングに締めつけることにより行う。
【0013】
以上の様に構成されたブラシホルダ装置は、モータ軸方向で全ての構成部品を組付けることができ、自動組立が可能である。即ち、ターミナルプレート1の上に順次部品を上へ積み上げるように構成している。
また、ブラシホルダベース2とターミナルプレート1が別体として構成し、インサートモールドをしていないので、ブラシホルダベース2の型構成が簡単化でき、ターミナルプレート1の寸法精度も低減できる。
【0014】
図に示すように、モータを4ブラシで構成する場合、対向するブラシが同極ブラシとなるため、一般的にはターミナルプレートを2つに分ける必要がある。本実施形態においては、ターミナルプレート3をブラシホルダベース2上部から組付け、ターミナルプレート1とD部で溶接する。この構造により、図4に示すように、ターミナルプレート1とブラシ6のピグテール6aの溶接をブラシ6の摺動軸Eと同軸上で行うことを可能にし、ピグテール6aをモータ軸方向に導出することを可能にした。
【0015】
これにより、ピグテール6aの状態が4つのブラシ6で同一形状となり、音、性能が安定する。更に図1に示すように、ブラシホルダカバー7は線対称な構造を有しているので、組み付け時の方向性を考慮する必要がなく、従って組立性が安定する。
【0016】
以上のような構造とすることにより、下記のような効果がある。
即ち、ターミナルプレート1をブラシホルダベース2にカシメて固定することにより、ブラシホルダベース2の型構成の簡単化、およびターミナルプレート1の寸法精度を軽減でき、更にはインサートしないため安価にすることができる。
又、ターミナルプレート1,3のピグテール6a溶接部Fがブラシ摺動軸Eと同一軸上に位置していることにより、ピグテール6aの形状のばらつきによるブラシ6の摺動に対する各ブラシのばらつき等の悪影響を低減でき、モータ性能のバラツキを低減できる。
【0017】
更に、ブラシホルダベース2に穴8、ブラシホルダカバー7にこの穴径より径が大きな突起部9を設けることにより、ブラシホルダベース2とブラシホルダカバー7を圧入仮止めができ、スプリング4およびブラシ6の脱落を防ぐことができる。尚、ブラシホルダベース2に突起、ブラシホルダカバー7に穴をそれぞれ設けてもよい。
【0018】
又、ブラシホルダカバー7がモータ軸面に対して対称な構造になっていることにより、方向性がなくなり、組み付けやすい。
更に、ブラシホルダベース2に段部5を設けることにより、スプリング4を仮止めできるので、組み付けやすいというメリットがある。
【0019】
このようにして、すべての部品がモータ軸方向から組み付けられることにより、自動組立を可能にし、組立性の向上、ブラシの摺動性向上、モ−タの性能バラツキ低減、ブラシホルダベース金型の簡単化、ターミナルプレートの寸法精度軽減、スプリングおよびブラシの脱落防止、及びブラシホルダ装置の自動組立化を実現することができる。
【0020】
実施の形態2.
図7,図8はこの発明の実施の形態2による回転電機のブラシホルダ装置を示す平面図であり、図7は内径に金属ブッシュを有したゴムブッシュを嵌める前の状態、図8は嵌めた後の状態をそれぞれ示している。図9はブラシホルダカバーを示す平面図、図10は図8のG−G線断面図である。
上記実施の形態1においては、ブラシホルダベース2およびブラシホルダカバー7をねじ10で締め付けた場合を示したが、本実施形態においては、ねじ締め付け部に切り欠き部11を設けている。
【0021】
この切り欠き部11に内径に金属ブッシュを有したゴムブッシュ12を嵌め込むことにより、ブラシホルダベース2とブラシホルダカバー7をはさんで組み付け、ブラシホルダベース2とブラシホルダカバー7をハウジングにゴムマウントすることができ、ブラシ音を低減できる。
尚、その他の構成は実施の形態1の場合と同様である。
【0022】
以上のように構成することにより、ブラシホルダ装置のネジ締め部をゴムマウントする際、ブラシホルダベース2とブラシホルダカバー7を同時にゴムマウントでき、ブラシホルダベース2とブラシホルダカバー7が確実に保持される。
尚、上記実施の形態1,2では、4ブラシの例について説明したが、4ブラシに限定されるものではない。
【0023】
【発明の効果】
この発明の請求項1に係る回転電機のブラシホルダ装置によれば、第1のターミナルプレートをブラシホルダベース下部にセットし、かしめて固定するとともに、ブラシホルダベースに上部から第2のターミナルプレートを挿入して設置し、ブラシホルダベースにスプリング及びブラシをセットし、ブラシホルダベースの上部にブラシホルダカバーを被せて設置したものであって、第1のターミナルプレートと第2のターミナルプレートを溶接したので、組立性を向上させることができる。
【0024】
又ブラシホルダベース及びブラシホルダカバーにそれぞれ位置決め用の穴及び突起を設けたので、両者を圧入仮止めすることができる。
【0025】
この発明の請求項2に係る回転電機のブラシホルダ装置によれば、ブラシホルダカバーを線対称な構造としたので、方向性がなくなり、従って組み付け性が良くなる。
【0026】
この発明の請求項3に係る回転電機のブラシホルダ装置によれば、ブラシホルダベース及びブラシホルダカバーに切り欠き部を設け、この切り欠き部に内径に金属ブッシュを有したゴムブッシュを嵌め込むことによりブラシホルダベースとブラシホルダカバーを組み付けたので、両者を確実に保持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1によるブラシホルダ装置を示す分解平面図である。
【図2】 この発明の実施の形態1によるブラシホルダ装置を示す分解側面図である。
【図3】 この発明の実施の形態1によるブラシホルダ装置を示す平面図である。
【図4】 図3におけるA−A線断面図である。
【図5】 図3におけるB−B線断面図である。
【図6】 図3におけるC部拡大平面図である。
【図7】 この発明の実施の形態2によるブラシホルダ装置を示す平面図である。
【図8】 この発明の実施の形態2によるブラシホルダ装置を示す平面図である。
【図9】 ブラシホルダカバーを示す平面図である。
【図10】 図8におけるG−G線断面図である。
【図11】 従来のブラシホルダ装置を示す完成平面図(a)と,一部分解の平面図(b)である。
【符号の説明】
1,3 ターミナルプレート、2 ブラシホルダベース、4 スプリング、
5 仮止め用段部、6 ブラシ、6a ピグテール、7 ブラシホルダカバー、8 穴、
9 突起、11 切り欠き部、12 ゴムブッシュ。
Claims (3)
- 第1のターミナルプレートをブラシホルダベース下部にセットし、かしめて固定するとともに、上記ブラシホルダベースに上部から第2のターミナルプレートを挿入して設置し、上記ブラシホルダベースにスプリング及びブラシをセットし、上記ブラシホルダベースの上部にブラシホルダカバーを被せて設置した回転電機のブラシホルダ装置において、上記第1のターミナルプレートと上記第2のターミナルプレートを溶接するとともに、上記ブラシホルダベース及び上記ブラシホルダカバーにそれぞれ位置決め用の穴及び突起を設けたことを特徴とする回転電機のブラシホルダ装置。
- 上記ブラシホルダカバーを線対称な構造としたことを特徴とする請求項1記載の回転電機のブラシホルダ装置。
- 上記ブラシホルダベース及び上記ブラシホルダカバーに切り欠き部を設け、この切り欠き部に内径に金属ブッシュを有したゴムブッシュを嵌め込むことにより上記ブラシホルダベースと上記ブラシホルダカバーを組み付けたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の回転電機のブラシホルダ装置。
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JP2000049180A JP3640858B2 (ja) | 2000-02-25 | 2000-02-25 | 回転電機のブラシホルダ装置 |
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Publications (2)
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Family Applications (1)
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- 2000-02-25 JP JP2000049180A patent/JP3640858B2/ja not_active Expired - Lifetime
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