JP3640686B2 - コージェネレーションシステム - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、都市ガス等を燃料とするガスエンジン等を原動機とし、発電及び給湯(その他の熱媒体供給を含む)を行うコージェネレーションシステム(発電兼用給湯装置)に関する。
【0002】
【従来の技術】
都市ガスを燃料とするガスエンジンを原動機として発電及び給湯を行うコージェネレーションシステムは、現在多数実用に供せられている。電気とともに大量の熱エネルギー(お湯、蒸気等)を消費する工場やホテル、病院、オフィスにおいては、コージェネレーションシステムを設置して電気とお湯等を得ることがなされている。この際、燃料のエネルギーの内、約30%を電気に、約40%をお湯や蒸気の熱エネルギーに変換することができる。したがって、総合熱効率は約70%と、きわめて高い。なお、一般的な発電・送電システムにおける総合的な発電効率は約35%である。
【0003】
このコージェネレーションシステムの運転制御における基本的な考え方として、電主熱従運転と熱主電従運転とがある。前者はコージェネレーションシステムの設置された建築物における電力消費機器の全電気負荷(需要)に応じてコージェネレーションシステムの運転パターンが設定され、その運転に伴って発生する熱出力をできるだけ有効に利用しよう、という考え方である。後者はその逆の考え方である。一般的な建築物のコージェネレーションシステムの場合、電主熱従運転が多い。コージェネレーションシステムの熱出力よりも建築物の熱負荷(需要)が大きい場合は、コージェネレーションシステムとは別途のボイラーを焚いて不足の熱負荷を満たしている。
【0004】
しかし、電気負荷が低いためコージェネレーションシステムの電気出力の余裕がある(コージェネレーションシステムの稼働率が低い)場合であって、その際の熱出力よりも熱負荷が大という場合がある。この場合、足りない熱出力を補うため別途のボイラーを運転することとなる。しかし、そのようなボイラーは意外と熱効率が低い(65%〜70%)場合もあり、コージェネレーションシステムの総合熱効率の方が高い場合もある。ところが、従来のコージェネレーションシステムの場合、余った電力を熱に変えて蓄えておく設備配慮が施されていなかった。そのため、コージェネレーションシステムの稼働率が低いにもかかわらず、別途のボイラーを運転せざるを得ないことも多かった。
【0005】
本発明らは、余剰電力を熱エネルギーとして貯蔵することができ、総合的な省エネに貢献するとともに、負荷変動に対する対応能力の向上したコージェネレーションシステムを提供することを目的とし、貯湯槽内の温水を電気加熱する温水ヒータと、発電機から温水ヒータへ余剰電力を供給する余剰電力供給手段とを具備するコージェネレーションシステムを提案している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような提案のコージェネレーションシステムにあっては、電気と熱の負荷パターンを予測して、将来の熱供給不足が予想される局面においてコージェネレーションシステムの稼働率を上げ貯湯槽を利用した熱蓄積を行うことを含めて、運転パターンの最適化制御の必要性が生じている。特にその最適化プロセスにおいては、季節毎の負荷パターンを想定して、これを現実の負荷パターンと比較しながら常に現状を最も反映した負荷パターンモデルを構築しておくことが重要となる。
【0007】
本発明は、上記提案のコージェネレーションシステムをさらに進歩させ、より熱効率の高い自己学習制御機能を有するコージェネレーションシステムを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明のコージェネレーションシステムは、
原動機と、
この原動機によって駆動される発電機と、
原動機の排熱(冷却除去熱含む)を利用して温水を製造する温水熱交換器と、
温水を貯留する貯湯槽と、
この貯湯槽内の温水を電気加熱する温水ヒータと、
上記発電機から温水ヒータへ余剰電力を供給する余剰電力供給手段と、
上記貯湯槽に温水を供給する、温水熱交換器とは別系統の温水器と、
使用者の電気負荷及び熱負荷のパターンに応じて、電気の負荷を基準に運転パターンを決定する(電主熱従運転)か、あるいは熱の負荷を基準に運転パターンを決定する(熱主電従運転)かを、エネルギの消費量、または使用者側のコストに基づいて決定して運転する電熱主従決定手段と、
設置当初は、予め決められた季節ごとに初期値として暫定的な負荷パターンを仮定する暫定負荷パターン仮定手段と、
該暫定的負荷パターンに基づいて暫定的な運転パターンを決定する暫定運転パターン仮定手段と、
予め決められた季節ごとに、所定期間にわたって、使用者の負荷の変動を記憶する負荷変動記憶手段と、
記憶された負荷パターンから運転に使用する第一次負荷パターンを決定する第一次負荷パターン決定手段と、
該第一次負荷パターンから、熱主電従運転か電主熱従運転かを含め第一次運転パターンを決定する第一次運転パターン決定手段と、
第一次運転パターンで運転を開始した直後から、第一次負荷パターンと現実の負荷パターンとの誤差を所定時間ごとに演算する誤差演算手段と、
演算された誤差を所定期間、記憶する誤差記憶手段と、
記憶された誤差から第一次負荷パターンを補正し第二次負荷パターンを決定する第二次負荷パターン決定手段と、
該第二次負荷パターンから第二次運転パターンを決定する第二次運転パターン決定手段と、
第二次運転パターンで運転されている間に、使用者の負荷が所定の変動範囲を逸脱した場合に、逸脱した度合いに応じて、再度誤差を所定期間記憶する記憶手段と、
第二次以降の運転パターンにおいて補正が必要となった場合には随時第二次運転パターンを補正する第二次補正手段と、
を具備することを特徴とする。
【0009】
【作用】
まずコージェネレーションシステムをある建築物に設置してスタートアップするときは、初期値として暫定的運転パターンを仮定する。この暫定的運転パターンは、例えば、同種の建築物において測定した運転パターンに建築物の規模による修正を加えたものを利用する。この暫定的運転パターンと各種経済的な情報(燃料コスト、商用電力コスト等)を元に、暫定的運転パターンを決定する。この運転パターンは、電主熱従運転とするか熱主電従運転とするかの基本的パターンの如何及び発電出力、熱出力の定量的コントロール、熱補充のやり方(温水器運転か余剰電力利用温水ヒータ運転か)等を含む。
【0010】
上記暫定的運転中に、なるべく速やかに第一次運転パターンを把握する。そのため、簡単な負荷の平均化処理でパターンを決定することとしてもよい。この第一次負荷パターンに基づいて最適と思われる第一次運転パターンを決定する。
【0011】
その後、随時、実際の負荷の変動を検出しながら最適なパターンを作成するために第二次負荷パターンを決定する詳細なアルゴリズムが存在する。例えば、各時間ごとの負荷を検出して、第一次負荷パターンと比較して、誤差(仮決定された負荷と、実際の負荷との差)がある場合には、随時各時間ごとの集計(単純に誤差の積分値を用いても良い)を行い、その積分値が所定の値を超過した場合には、超過した積分値の平均値を仮決定した負荷に上乗せする形でその時間帯の負荷を決定する。決定された負荷によって再度ガスエンジンの運転パターンを決定して稼働する。再決定した際には、誤差の積分値はクリアーする。
【0012】
第二次負荷パターンを決定した段階で最適化はされているが、所定期間内に仮決定されている負荷パターンを大幅に逸脱した回数が所定回数を超過した場合には、仮に誤差の積算値がパターンの再決定の条件を満たさなくても、補正を行う。補正を行う手段は、第二次負荷パターンを決定する場合と同じように、積分値の平均値でよい。所定期間内に所定回数を逸脱することが条件である理由としては、単なる突発的な負荷の変動は無視するためである。
【0013】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明する。
図2は、本発明の一実施例に係るコージェネレーションシステムのハードウェア構成を示す系統図である。図2のコージェネレーションシステムは、ガスエンジン1、発電機3、温水熱交換器5、温水器17、貯湯槽7等の主要設備から構成されている。
【0014】
ガスエンジン1(原動機)は、往復動タイプの内燃機関であり、都市ガスライン2から都市ガスの供給を受けて稼働する。ガスエンジン1の出力軸は発電機3の入力軸に連結されており、発電機3が駆動され、発電が行われる。発電された電力は、電路62を通じて、電力消費機器63に送られる。電力消費機器63の負荷が発電機3の能力をオーバーしている場合は、商用電路65から商用電力の供給を受ける。また、発電機3の出力が電力消費機器63の負荷を上回る場合は、余剰電力を、電路13(余剰電力供給手段)を通じて貯湯槽7の温水ヒータ11に送ることもできる。
【0015】
ガスエンジン1のハウジング等には冷却水水路21が設けられており、ガスエンジン1は水冷されている。この冷却水水路21を出た冷却水は廃ガス熱交換器25において、ガスエンジン1の廃ガスによって加熱される。なお、ガスエンジン1の廃ガスは、廃ガス排出路23から廃ガス熱交換器25に送られ、その後放出される。廃ガス熱交換器25を出た冷却水は、高温冷却水路27を通って、温水熱交換器5に送られる。
【0016】
温水熱交換器5においては、高温冷却水の熱が、給水管31から来る水や、各熱消費機器47に送られる熱媒の加熱に用いられる。すなわち、水道から供給される水は、給水管31から流量制御弁15を通り、温水熱交換器5で約80℃に加熱され、温水配管35を通って貯湯槽7に送られる。
【0017】
熱媒は、熱消費機器47(暖房や吸収式冷房等)から熱媒ポンプ43によって温水熱交換器5に送られて加熱され、熱媒管49を通って各熱消費機器47に送られる。場合によっては、熱消費機器47から戻る熱媒は、三方切替弁45から熱媒管55を通って貯湯槽7に送られ、貯湯槽7で一次加熱された後に、熱媒管53を通って温水熱交換器5で二次加熱される。
【0018】
貯湯槽7には、電気加熱の温水ヒータ11が設けられている。この温水ヒータ11は、発電機3から余剰電力の供給を受け、貯湯槽内の温水を電気抵抗加熱するためのものである。つまり、余剰電力を熱エネルギーに替えて貯湯槽7内に貯蔵するのである。
【0019】
貯湯槽7に温水を供給する設備として、温水熱交換器5から貯湯槽7に入る温水配管35とは別系統で、温水器17が設けられている。温水器17は、都市ガス等を燃料として、給水管31から供給される水を加熱して温水とし、貯湯槽7に送る。この温水器17は、ガスエンジン1の出力が最大となっているのに温水が足らないような場合や、ガスエンジン1を稼働させるにはあまりに電力負荷が低くて効率が悪いような場合に、不足する温水を製造する。貯湯槽7の温水は、温水消費機器61(風呂等)にポンプ60によって送られて消費される。
【0020】
次に、図2の実施例のコージェネレーションシステムの基本的な運転制御方法について説明する。
図3は、コージェネレーションシステムの電主熱従運転に係る運転制御状態の一例を示すグラフである。グラフ(A)は、時間(横軸)と電気負荷(縦軸)との関係を示すグラフであり、グラフ(B)は、時間(横軸)と熱負荷(縦軸)との関係を示すグラフである。
【0021】
まず、図3(A)において、山のような形の太い曲線は電気負荷を示す。水平に引かれている破線は、ガスエンジン・発電機系の最大電気出力を示す。電気負荷は、時間につれて、AからB、Cと上昇し、Cでピークを迎える。その後D、Eと下降する。AからB、及びDからEの部分は、電気負荷が最大出力を下回っており、ガスエンジンは部分負荷運転▲2▼(稼働率が100%未満の運転)を行っている。B−C−Dの部分は、電気負荷が最大出力を上回っている。したがって、ガスエンジンは定格運転▲1▼(稼働率が100%の運転)を行っていると同時に、商用電源補充▲3▼もなされている。
【0022】
次に、図3(B)において、山のような形の太い曲線は熱負荷を示す。台形状の破線は、図3(A)に示されている電気出力を出すためのコージェネレーションシステムの運転に伴って生じる熱出力を示す。熱負荷は、時間につれて、aからb、cと上昇し、cでピークを迎える。その後d、eと下降する。aからb、及びdからeの部分は、熱負荷が熱出力を下回っており、その時現在としては熱が余っている。b−c−dの部分は、熱負荷が熱出力を上回っており、その時現在としては熱が不足している。熱は、電気と違って,貯蔵できるので、a−b、d−e間の熱余剰(2)は、温水の熱エネルギの形で貯湯槽内に溜めておく。そして、b−d間等の熱不足(3)を、その貯蔵熱エネルギによって補うのである。
【0023】
しかし、熱不足(3)がa−b間の熱余剰(2)で補い切れない場合もある。そのような事態に対処する方法として、上述したように、ガスエンジンの稼働率を上げて、a−b間の熱余剰、すなわち熱貯蔵(図3(B)の斜線分)を多くして対処する方法と、熱不足(3)が生じた時点で温水器を運転して熱補充する方法との二つの方法がある。
【0024】
次に、熱主電従運転について説明する。
図4は、コージェネレーションシステムの熱主電従運転に係る運転制御状態の一例を示すグラフである。グラフ(A)は、時間(横軸)と熱負荷(縦軸)との関係を示すグラフであり、グラフ(B)は、時間(横軸)と電気負荷(縦軸)との関係を示すグラフである。
【0025】
図4(A)において、山のような形の太い曲線は熱負荷を示す。水平に引かれている破線は、ガスエンジン・温水熱交換器系の最大熱出力を示す。熱負荷は、時間につれて、AからB、Cと上昇し、Cでピークを迎える。その後D、Eと下降する。AからB、及びDからEの部分は、熱負荷が最大出力を下回っており、ガスエンジンは部分負荷運転▲2▼(稼働率が100%未満の運転)を行っている。B−C−Dの部分は、熱負荷が最大出力を上回っている。したがって、ガスエンジンは定格運転▲1▼(稼働率が100%の運転)を行っていると同時に、貯湯槽からの熱補充▲3▼等もなされている。また必要に応じて、温水器の運転もなされている。
【0026】
次に、図4(B)において、山のような形の太い曲線は電気負荷を示す。台形状の破線は、図4(A)に示されている熱出力を出すためのコージェネレーションシステムの運転に伴って生じる電気出力を示す。電気負荷は、時間につれて、aからb、cと上昇し、cでピークを迎える。その後d、eと下降する。aからb、及びdからeの部分は、電気負荷が電気出力を下回っており、その時現在としては電気が余っている。b−c−dの部分は、電気負荷が電気出力を上回っており、その時現在としては電気が不足しており、商用電源から電力を補充している。電気は、熱と違って,貯蔵できない(電池があればできるが一般的でない)ので、a−b、d−e間の電気余剰(2)は、貯湯槽7の温水ヒータに送って温水の熱エネルギに変え、熱エネルギの形で貯湯槽内に溜めておく。そして、図4(A)に示されているB−D間等の熱不足▲3▼を、その貯蔵熱エネルギによって補うのである。
【0027】
しかし、熱不足▲3▼が、a−b間の電気余剰(2)を変換した貯蔵熱で補い切れない場合もある。そのような事態に対処する方法として、上述したように、ガスエンジンの稼働率を上げて、a−b間の電気余剰、すなわち貯蔵熱(図4(A)の斜線部分)を多くして対処する方法と、熱不足▲3▼が生じた時点で温水器を運転して電気補充する方法との二つの方法がある。
【0028】
次に、本発明のポイントである学習制御機能について説明する。
図1は、本発明の一実施例に係るコージェネレーションシステムにおける学習制御のフローを示すフロー図である。
【0029】
まず、暫定的負荷パターン仮定ステップ101において、コージェネレーションシステムを設置して同システムが電力及び熱を供給することとなる建築物において予想される負荷パターン(図3の曲線ABCDのような時間と負荷量の関係)を仮定する。具体的には、同種の建築物における負荷パターン実績に、建築物の規模に関する係数を乗じて暫定的負荷パターンを仮定する。この際、各曜日毎、各月毎、各季節毎というように様々なパターン分けを採用できる。
【0030】
次に、暫定的運転パターン仮定ステップ102において、前ステップ101で仮定した暫定的負荷パターンに基づいて暫定的運転パターンを仮定する。図3(A)の場合は、A' −B’−D−Eが、予測される負荷パターンA−B−C−D−Eに対する、一応最適と思われる運転パターンと考えられる。
【0031】
次に、暫定的運転ステップ103において、前ステップ102で仮定した暫定的運転パターンでコージェネレーションシステムの運転を行う。そして、運転を行いながら所定期間実負荷変動を把握して記憶する(ステップ104)。
【0032】
次に、第一次負荷パターン決定ステップ105において、前ステップで把握した実負荷変動情報を元に、第一次負荷パターンを決定する。この際、なるべく速く第一次負荷パターン及び第一次運転パターンを決定して安定運転に入るために、簡単な負荷の平均化処理でパターンを決定する。つまり、5日間にわたり、ある時間帯における電気負荷がそれぞれ a1, a2 , a3 ,a4 ,a5 KWH であった場合、第一次負荷パターンとしては、
(a1 +a2 +a3 +a4 +a5 )÷5= aNO1
を採用するのである。
【0033】
次に、第一次運転パターン決定ステップ106において、前ステップ105で決定した第一次負荷パターンに基づいて第一次運転パターンを決定する。そして、その運転パターンでコージェネレーションシステムの第一次運転に入る(ステップ107)。
【0034】
この第一次運転を行いながら、第一次負荷パターンと実負荷との誤差演算を行い(ステップ108)それを記憶する(ステップ109)。具体的には、ある時間帯の第一次負荷パターンによる負荷量がaNO1 であり、実際のその時間帯の負荷が各日についてa11,a12, a13, a14,・・・・・であった場合、両負荷の差(aNO1 −a11),(aNO1 −a12),(aNO1 −a13),(aNO1 −a14),・・・・・を計算し、記憶し、積分して行くのである。
【0035】
次に、第一次補正ステップ110及び第二次負荷パターン決定ステップ111において、第一次負荷パターンの補正を行い、第二次負荷パターンの決定を行う。具体的には、前述の負荷の誤差の積分値が所定値に達した段階で補正要と判定し、該積分値の平均値を第一次負荷パターンの負荷に上乗せして第二次負荷パターンを決定する。その際には、誤差の積分値はクリアーする。
【0036】
次に、第二次運転パターン決定ステップ112において、前ステップ111で決定した第二次負荷パターンに基づいて第二次運転パターンを決定する。そして、第二次運転(ステップ113)に入る。
【0037】
次に、第二次運転を行いながら第二次負荷パターンと実負荷の誤差を記憶する(ステップ114)。そして、誤差が所定値を越えた場合、これを負荷パターンの逸脱と捉えその回数を積算する(ステップ115)。そして、逸脱回数が所定回数を超過した場合には、仮に誤差の積算値がパターン再決定の条件を満たさなくても第二次補正116を行う。補正の具体的方法は、第一次補正(ステップ110)と同様に積分値の平均値を元の値に上乗せする方法でよい。所定期間内に所定回数を逸脱することを条件とする理由としては、単なる突発的な負荷の変動を無視するためである。
【0038】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明は以下の効果を発揮する。
▲1▼ 建築物全体の総合的熱効率が最も高く、エネルギー費用が最も低くなるよう学習制御を行うので、コージェネレーションシステムの経済性を最も発揮することができる。特に、家庭用の発電兼給湯装置においては通常の負荷パターンと異なり、変動が大きい。従って従来の負荷パターンの決定方法では、常に最適な運転が行われないが、本件技術のような随時、使用者の負荷の変動パターンを学習して運転方法を最適化することにより、最もエネルギーを節約した運転パターンで稼働させることができる。
【0039】
▲2▼ 第一次補正と第二次補正を別のロジックで行うこともできるので、コージェネレーションシステム運転の安定性を保ちつつ様々な実負荷変動に対応した学習制御を行うことができる。
【0040】
▲3▼ 上記第一次負荷パターン決定手段が、毎日の各時間帯ごとの負荷を平均化する演算手段を有する場合には、比較的短期間に第一次運転パターンを決定することができ安定運転に速やかに入ることができる。
【0041】
▲4▼ 上記第二次負荷パターン決定手段が、該第二次負荷パターンを決定する際に、演算した誤差の積算値が所定値を超過した場合には、時間ごとに補正を行うとともに、補正を行う際に、積算値の平均値を用いて補正を行う補正手段と、運転パターンの補正を行った段階で、積算された誤差を削除する手段と、を有する場合には、負荷変動に過敏に反応することのない学習制御を行うことができる。
【0042】
▲5▼ 上記第二次補正手段が、第二次運転パターンで稼働中で、かつ積算誤差が所定値に満たなくても、使用者の負荷が所定の変動範囲を逸脱した回数が所定時間内に所定の回数以上になった場合には補正を行う制御手段を有する場合には、単なる突発的な負荷の変動によって不安定化することのない学習制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るコージェネレーションシステムにおける学習制御のフローを示すフローチャートである。
【図2】本発明の一実施例に係るコージェネレーションシステムのハードウェア構成を示す系統図である。
【図3】コージェネレーションシステムの電主電気従運転に係る運転制御状態の一例を示すグラフである。グラフ(A)は、時間(横軸)と電気負荷(縦軸)との関係を示すグラフであり、グラフ(B)は、時間(横軸)と電気負荷(縦軸)との関係を示すグラフである。
【図4】コージェネレーションシステムの電気主電従運転に係る運転制御状態の一例を示すグラフである。グラフ(A)は、時間(横軸)と電気負荷(縦軸)との関係を示すグラフであり、グラフ(B)は、時間(横軸)と電気負荷(縦軸)との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 ガスエンジン 2 都市ガスライン
3 発電機
7 貯湯槽 11 温水ヒータ
13 電路 15 流量制御弁
17 温水器 21 冷却水流路
25 廃ガス熱交換器 45 三方弁
47 熱消費機器 61 温水消費機器
Claims (5)
- 原動機と、
この原動機によって駆動される発電機と、
原動機の排熱(冷却除去熱含む)を利用して温水を製造する温水熱交換器と、
温水を貯留する貯湯槽と、
この貯湯槽内の温水を電気加熱する温水ヒータと、
上記発電機から温水ヒータへ余剰電力を供給する余剰電力供給手段と、
上記貯湯槽に温水を供給する、温水熱交換器とは別系統の温水器と、
使用者の電気負荷及び熱負荷のパターンに応じて、電気の負荷を基準に運転パターンを決定する(電主熱従運転)か、あるいは熱の負荷を基準に運転パターンを決定する(熱主電従運転)かを、エネルギの消費量、または使用者側のコストに基づいて決定して運転する電熱主従決定手段と、
設置当初は、予め決められた季節ごとに初期値として暫定的な負荷パターンを仮定する暫定負荷パターン仮定手段と、
該暫定的負荷パターンに基づいて暫定的な運転パターンを決定する暫定運転パターン仮定手段と、
予め決められた季節ごとに、所定期間にわたって、使用者の負荷の変動を記憶する負荷変動記憶手段と、
記憶された負荷パターンから運転に使用する第一次負荷パターンを決定する第一次負荷パターン決定手段と、
該第一次負荷パターンから、熱主電従運転か電主熱従運転かを含め第一次運転パターンを決定する第一次運転パターン決定手段と、
第一次運転パターンで運転を開始した直後から、第一次負荷パターンと現実の負荷パターンとの誤差を所定時間ごとに演算する誤差演算手段と、
演算された誤差を所定期間、記憶する誤差記憶手段と、
記憶された誤差から第一次負荷パターンを補正し第二次負荷パターンを決定する第二次負荷パターン決定手段と、
該第二次負荷パターンから第二次運転パターンを決定する第二次運転パターン決定手段と、
第二次運転パターンで運転されている間に、使用者の負荷が所定の変動範囲を逸脱した場合に、逸脱した度合いに応じて、再度誤差を所定期間記憶する記憶手段と、
第二次以降の運転パターンにおいて補正が必要となった場合には随時第二次運転パターンを補正する第二次補正手段と、
を具備することを特徴とするコージェネレーションシステム。 - 上記第一次負荷パターン決定手段が、毎日の各時間帯ごとの負荷を平均化する演算手段を有する請求項1記載のコージェネレーションシステム。
- 上記第一次負荷パターンと現実の負荷パターンとの誤差を演算する誤差演算手段が、予め決められた時間ごとの、負荷が過剰にある場合と、負荷が仮定された値よりも少ない場合を検出して、その量を演算して、既に仮定されているその時間帯の負荷に対する変動割合として演算する手段を有する請求項1記載のコージェネレーションシステム。
- 上記第二次負荷パターン決定手段が、該第二次負荷パターンを決定する際に、演算した誤差の積算値が所定値を超過した場合には、時間ごとに補正を行うとともに、補正を行う際に、積算値の平均値を用いて補正を行う補正手段と、運転パターンの補正を行った段階で、積算された誤差を削除する手段とを有する請求項1記載のコージェネレーションシステム。
- 上記第二次補正手段が、第二次運転パターンで稼働中で、かつ積算誤差が所定値に満たなくても、使用者の負荷が所定の変動範囲を逸脱した回数が所定時間内に所定の回数以上になった場合には補正を行う制御手段を有する請求項1記載のコージェネレーションシステム。
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