JP3640577B2 - 磁性粉製造用先駆物質およびこれから得た強磁性金属粉末 - Google Patents

磁性粉製造用先駆物質およびこれから得た強磁性金属粉末 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,強磁性金属粉末を製造するのに好適な先駆物質に係り,特に,高密度磁気記録媒体用強磁性金属粉末の製造に適するように変性されたオキシ水酸化鉄系または酸化鉄系の粉末に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁気テープや磁気デイスク等の塗布型磁気記録媒体の分野において,小型化,高容量化および長時間耐久化等の要望から高記録密度化が進んでいる。高記録密度化が進むと,磁性粉自体が高Hcおよび高σs を有していることに加え,テープ特性として保磁力が高く且つSFDが狭いこと(小さいこと)と角形比(Br/Bm)が大きいこと等が要求される。
【0003】
ここで,SFD値は,周知のように,テープのヒステリシスループのHc(保磁力) に対するその微分半値幅ΔHの比, ΔH/Hc 分布で表されるものであり,SFD値が大きいと磁化の立上りが急峻でなくなり,したがって,記録された信号の磁化反転の遷移領域の幅が大きくなるので,高密度の記録には適さない。SFD値の小さいものとしてはバリウムフエライトの磁性粉を用いたものが知られている。しかし,メタル系磁性粉を用いたものでは一般にSFD値が高くなり,この値が0.40以下のものは知られていない。酸化鉄磁性粉(Coで変性したもの)ではSFD値が0.40に達したものも報告されている。
【0004】
角形比(Br/Bm)は,テープの飽和磁束密度Bmに対するテープの残留磁束密度Brの比であり,Bmは磁性粉の飽和磁気量σs とテープにしたときの磁性粉の充填性で決まる。この角形比(Br/Bm)が高いと出力が向上する。したがって,高密度記録には角形比が高ければ高いほどよいが,メタル磁性粉を用いたテープではこれまでのところ角形比が0.92までに達したものが報告されている。しかし,角形比が0.93以上および又はSFD値が0.25以下を示すような高密度記録媒体は,メタル磁性粉を用いたテープでは知られていない。
【0005】
現在,高いHcと高いσs を有するメタル磁性粉として,鉄を主成分とする金属磁性粉末が実用化され,オーデイオ用,8mmVTR用,データ保存用テープ等の磁気記録媒体の磁性層を構成するのに幅広く利用されている。このような鉄を主成分とする金属磁性粉末は,針状の酸化鉄またはオキシ水酸化鉄の粉末を原料として,これを加熱還元することによって一般に製造される。この加熱還元時に,針状性が失われたり,粒子間の焼結が発生したりして品質が劣化するので,これを改善するための様々な提案がなされている。
【0006】
例えば,針状粒子表面にSi,Al,Ti,Ca,Zr,Mn,Zn,Ni,B,Mo,Cd,Pなどの元素やY,La,Ce,Pr,Nd,Pmをはじめとする希土類元素などを被着させる提案(特開平10−83906号,特開平9−171913号,特開平9−171914号,特開平8−236327号公報,特開平8−236326号公報,特開平8−102037号公報,特開平7−210856号公報,特開平6−25702号公報,特開平4−61302号公報,特開平2−107701号公報,特開昭63−13121号公報など)や,Alを固溶したオキシ水酸化鉄または酸化鉄を還元する方法(特公昭59−17161号公報)が知られている。このような提案について一般的に言えることは,AlまたはSiを含有したオキシ水酸化鉄や酸化鉄を原料として加熱還元すると,針状性の保持や焼結防止に有益に作用するということである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記のような様々な提案がなされているにも拘わらず,これまでの鉄を主成分として金属磁性粉末の分野では,高記録密度化のためのさらなる要求には対応できなかったというのが実状である。例えば,テープ特性として(保磁力が2400(Oe )以上,角形比(Br/Bm)が0.93以上,および又はSFD値が0.25以下を達成できるような高密度磁気記録に適する塗布型磁気記録媒体用の磁性粉は,針状のオキシ水酸化鉄や酸化鉄を原料として製造する鉄を主体とする金属磁性粉末の分野では,実現できていなかった。本発明の課題はこれを実現することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するための手段として、本発明によれば、酸化鉄に、Co、Al、SiおよびR(RはYを含む希土類元素の少なくとも一種を表す)を含有させた針状粒子からなる磁性粉製造用先駆物質であって、該針状粒子が、Feに対してCoを0超え〜50at.%含有し且つFeに対して0.1〜30at.%のAlを固溶した酸化鉄粒子の表層部に、SiとR(ただし、粒子中のSi含有量はFeに対して0.1〜10at.%でR含有量はFeに対して0.1〜15at.%である)を含む層が被着したものである磁性粉製造用先駆物質を提供する。
【0009】
また本発明によれば、酸化鉄に、Co、Al、SiおよびR(RはYを含む希土類元素の少なくとも一種を表す)を含有させた針状粒子からなる粉末をガス還元してなる強磁性金属粉末であって、還元前の前記の針状粒子が、Feに対してCoを0超え〜50at.%含有し且つFeに対して0.1〜30at.%のAlを固溶した酸化鉄粒子の表層部に、SiとR(ただし、粒子中のSi含有量はFeに対して0.1〜10at.%でR含有量はFeに対して0.1〜15at.%である)を含む層が被着したものである、強磁性金属粉末を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明者らは前記の課題を解決すべく,針状のオキシ水酸化鉄または酸化鉄を原料として,これに各種の元素をその種類や含有形態を変えながら加える試験を数多く実施し,どのようにしたら,高密度磁気記録媒体に適する強磁性金属粉末が得られるかを知るべく研究を重ねた。その結果,数ある元素のなかで,Co,Al,SiおよびR(RはYを含む希土類元素の少なくとも一種を表す)の4種の元素を組み合わせ,これらの含有形態をそれぞれ特定の形態にしてオキシ水酸化鉄または酸化鉄に含有させると,これを還元した粉末は優れた特性をもつ金属磁性粉末となることがわかった。そして,この金属磁性粉末を用いると,後記の実施に示すように,保磁力(Hc)が2400(Oe )以上,角形比(Br/Bm)が0.93以上,SFD値が0.25以下を同時に満足する塗布型磁気記録媒体が得られることがわかった。
【0011】
以下に本発明の内容を具体的に説明する。
【0012】
本願と同一出願人に係る特公昭59−17161号公報には,Alを固溶したα−FeOOH又はFe23を還元することにより保磁力が1100(Oe )レベル,飽和磁束密度が140emu/g レベルの磁性粉が得られることが記載されているが,これだけでは,前記のような最近の高密度記録化への要求を満足することは困難である。
【0013】
そこで,このようなAlを固溶するオキシ水酸化鉄または酸化鉄をベースとして,これをさらに改善すべく種々の試験を行ったところ,Coを含有し,Alをを固溶した粒子の表層部にRとSiを被着させることが非常に有効であることを知った。
【0014】
まずCoについては,Feに対してCoを0超え〜50at.%含有させると(ここで「Feに対するCoのat.%」とは,Fe原子の数に対するCo原子の数の百分比すなわちCo/Feの原子比×100を表すものとし,他の元素についても同様とする),すなわちCo/Feの原子比(%)が0超え〜50at.%となるような量でCoを含有させると,含有させない場合に比べて, 得られる磁性粉のとくに飽和磁束密度(σs)を改善することができる。また,Coの含有により磁性粉の結晶粒径(X線粒径Dx)を小さくする効果や耐候性改善効果が奏される。Coの好ましい含有量は,Co/Feの原子比(%)で0超え〜50at.%,さらに好ましくは1〜40at.%,最も好ましくは3〜35at.%である。Coの含有形態については,AlやRの場合とは異なり,粒子中に含有されていても粒子の表層部に存在していてもよい。
【0015】
Rについては,Feに対して0.1〜15at.%,すなわちR/Feの原子比(%)が0.1〜15at.%,好ましくは1〜13at.%となるような量で含有させ且つその含有形態が針状粒子の表層部にRが被着した状態とすることにより,後述の実施例に示すように様々な有利な改善効果が得られることがわかった。とくに,RをFeに対して2at.%以上,さらに好ましくは5at.%以上の量で被着させると,磁気記録媒体のHc,Br/BmおよびSFD値が顕著に改善されることがわかった。針状粒子表面にRが“被着”した状態とは,実際には該粒子表面にRもしくはR化合物の濃縮層が形成されていることを意味しており,この濃縮層内に添加したRの実質上全てが存在するような被着状態が理想的である。このR濃縮層はアモルフアス,結晶,化合物層(酸化物や塩化物等)であることができる。また,針状粒子表面にRが被着した状態はESCA等の表面分析機器で解析すれば明瞭に判別できる。
【0016】
R元素はYおよびランタノイド元素やアクチノイド元素を言うが,とくにYまたはランタノイド元素であるのが好ましく,ランタノイド元素のうちでもLa,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Tb,Dy,Gd,Ho等が使用に便である。これらの元素を複合して含有する場合には,その含有量については,その総量を0.1〜15at.%とする。好ましい含有量は2〜10at.%である。なお,この含有量はこれらの元素が化合物として含有されている場合,化合物の量ではなく化合物中の当該元素の含有量を言う。このR元素の被着含有により磁性粉のX線粒径が小さくなることもわかった。X線粒径(Dx)とはX線を用いて針状粒子の結晶子の大きさ(微粒子では短軸長に相当する)を測定した値であり,この値が小さいほど磁気変換特性のノイズが小さくなると言われている。また,このR元素の被着含有により磁性粉の針状性が良好となり保磁力も向上する。
【0017】
Siについては,その含有量はSi/Feの原子比が0.1〜10at.%であればよく,好ましくは1〜9at.%,特に3〜8at.%の範囲において磁気テープのSFDとBr/Bsが共に著しく改善される。そして,このようにSiを被着せさせると,強磁性粉末の「活性」が抑えられ,分散性や耐久性を改善できることがわかった。ここでいう活性とは,テープ化するさいに強磁性粉末を溶剤に混合する時の反応性をいう。強磁性粉末の活性が高いと混合時に溶剤が他の物質に反応(変性)する割合が高くなる。溶剤が他の物質に変化すると強磁性粉末の分散性やテープの耐久性,更には電磁変換特性へ悪影響を与えることになる。この反応性の評価は,混合時の上昇温度を測定することでその指標とすることができる。すなわち,混合時の上昇温度が高いと反応熱が多く発生したため,反応が活発に進んだと考える。今回,理由は不明だが,Siを被着したものは,しないものと比較して,混合時の温度上昇を抑えられることがわかった。
【0018】
針状粒子表面にSiが“被着”した状態とは,実際には該粒子表面にSiもしくはSi化合物の濃縮層が形成されていることを意味しており,この濃縮層内に添加したSiの実質上全てが存在するような被着状態が理想的である。このSi濃縮層はアモルフアス,結晶,化合物層(酸化物や塩化物等)であることができる。また,針状粒子表面にSiが被着した状態はESCA等の表面分析機器で解析すれば明瞭に判別できる。
【0019】
このように,針状粒子表面にRとSiを被着させるのであるが,この場合,R層の上にSi層を被着させる態様と,Si層にR層を被着させる態様と,RとSiを一体的に被着させる態様がある。本発明では,そのいずれでもよいが,効果の大きいのは,R層の上にSi層を被着させる態様であり,これによると,前記の「強磁性粉末の活性」を抑制できる効果が顕著になる。
【0020】
Alについては,前記のようにオキシ水酸化鉄または酸化鉄に“固溶”した状態で含有されていることが肝要であり,その含有量はAl/Feの原子比(%)で0.1〜30at.%であればよく,好ましくは1〜20at.%,さらに好ましくは2〜15at.%である。Al含有量は,Al元素が化合物として含有されている場合,化合物の量ではなく化合物中のAl元素の含有量を言い,このため,Feに対するAlの原子比(%)でAl含有量を表す。
【0021】
ここで,オキシ水酸化鉄または酸化鉄にAlを“固溶”するとは,オキシ水酸化鉄または酸化鉄の結晶を構成しているFeの一部がAlで置換されているような状態を言う。先の特公昭59−17161号公報には,オキシ水酸化鉄にAlを固溶した場合とAlを被着した場合のX線回折による格子定数の変化の様子が記載されており,Al固溶α−FeOOHの格子定数はα−FeOOHの格子定数とAlOOHの格子定数の中間の値となり,その値はAl/Feの原子比に比例したものとなると記載されている。すなわち,AlはFeよりもイオン半径が小さいので,α−FeOOHの結晶中のFeの一部がAlで置換されると,その置換量に応じて,その格子定数はα−FeOOHよりも小さくなると言える。他方,α−FeOOHの結晶の表面にAl(AlOOH)が被着した状態では,α−FeOOHの格子定数に近くなる。したがって,オキシ水酸化鉄または酸化鉄にAlが固溶しているか否かは,X線回折による格子定数の測定から明瞭に判別できる。
【0022】
図1,図2および図3は,後記の実施例1の条件で磁気テープを作成し,そのさい,Yの被着量とSiの被着量を種々変化させて得られた各磁気テープについて測定されたSFDの等高線図(図1),Br/Bm(磁性粉のSQと区別するためにSQxと表示)の等高線図(図2)および保磁力(磁性粉のHcと区別するためにHcxと表示)の等高線図(図3)である。
【0023】
これらの図に見られるように,YとSiの被着量をそれぞれ単独に増加させてもSFD値・SQx値およびHcxは向上してゆくが,YとSiを複合被着させた場合には,YおよびSiの被着量が適正であると,それらの単独被着の場合に現れる以上の効果が発現し,或る領域でピークを有することがわかる。とくにYの被着量がFeに対して4〜9at.%で且つSiの被着量がFeに対して3〜10at.%の場合に,SFD値が0.25以下,SQx値が0.93以上,Hcxが2500(Oe )以上となることがわかる。
【0024】
このようにAl,Co,RおよびSiを適切な量で且つその含有形態を適切にしてオキシ水酸化鉄または酸化鉄に含有させてなる本発明に従う先駆物質を還元処理すると,従来のものにはない保磁力,Br/BmおよびSFD値をもつ磁気テープの製作を可能とする金属磁性粉末が得られるが,この針状粒子からなる先駆物質の粒径や軸比は,先駆物質がオキシ水酸化鉄系である場合には,長軸長が0.01〜0.60μm,短軸長が0.001〜0.060μm,軸比が1〜30であるのがよく,このオキシ水酸化鉄系のものから脱水して酸化物系とした先駆物質の場合には,長軸長が0.01〜0.50μm,短軸長が0.001〜0.050μm,軸比が1〜30であるのがよい。
【0025】
本発明に従う先駆物質を製造するには,Al固溶のオキシ水酸化鉄を製造し,これにRとSiの被着処理を行うことを原則とし,Coについてはオキシ水酸化鉄の生成過程の途中またはその前後に含有させればよい。以下にその代表的な方法を説明する。
【0026】
まずAl固溶のオキシ水酸化鉄を製造するには,通常のオキシ水酸化鉄の生成反応である第一鉄塩水溶液(FeSO4やFeCl2の水溶液)を水酸化アルカリ(NaOHやKOH水溶液)で中和したあと空気等で酸化してα−FeOOHを生成させる方法において,このα−FeOOHの生成反応を水溶性Al塩やアルミン酸塩の存在下で行えばよい。別法として,前記のような第一鉄塩溶液を炭酸アルカリで中和したあと空気等で酸化してα−FeOOHを生成させる方法において(この方法では紡錘状の水酸化鉄が得られやすい),このα−FeOOHの生成反応を水溶性Al塩やアルミン酸塩の存在下で行えばよい。さらに別法として,第二鉄塩水溶液(FeCl3水溶液等)をNaOH等で中和する反応を水溶性Al塩やアルミン酸塩の存在下で行う方法でもよい。最後の方法では平針状の水酸化鉄が得られやすい。
【0027】
このAl固溶オキシ水酸化鉄の製造において,Coを含有させるには,前記のオキシ水酸化鉄生成前の鉄塩水溶液,或いはオキシ水酸化鉄生成途中の液に水溶性Co塩(例えばCoCl2)を添加しておけばよい。また,得られたAl固溶オキシ水酸化鉄を水中に分散させたあと,これに前記のCo塩を添加してアルカリで中和する方法や,該分散液から水を蒸発させる方法などによっても,Al固溶オキシ水酸化鉄にCoを含有させることができる。
【0028】
このようにして得られたCo含有Al固溶オキシ水酸化鉄粒子にRを被着するには,水溶性R塩(例えばRの硝酸塩等)の水溶液にこの粒子を分散させ,この分散液から水分を蒸発させる方法や,この分散液にアルカリを添加して中和する方法により,該粒子の表面にRを被着させることができる。
【0029】
また,前記のCo含有Al固溶オキシ水酸化鉄粒子を脱水処理してCo含有Al固溶酸化鉄(Co含有Al固溶のFe23粒子)としたうえで,この酸化鉄系粒子に前記のようなR被着処理を行ってもよい。具体的には,前記のようにして得たCo含有Al固溶オキシ水酸化鉄粒子を200〜600℃で空気中で加熱処理してCo含有Al固溶酸化鉄粒子とし,この酸化鉄系粒子を水溶性R塩(例えばRの硝酸塩等)の水溶液に分散させ,NaOH等のアルカリを添加して中和することによって,該粒子表面にRを被着させ,ろ過,水洗後,空気中で適当な温度例えば200℃で焼成するのがよい。この方法においてCo含有Al固溶オキシ水酸化鉄を加熱処理して脱水してもAlは該粒子中に固溶した状態に維持される。また,これをRを被着させたあと200℃程度の温度で空気中加熱処理してもRの被着状態はそのまま維持される。この方法に代えて,CoAl固溶酸化鉄粒子を水溶性R塩(例えばRの硝酸塩等)の水溶液中に分散させ,この分散液から水分を蒸発させる方法でも,同様にCo含有Al固溶酸化鉄にRを被着させることができる。このようにRを被着処理したあと,150〜250℃の比較的低温で焼成処理すると,Rを該粒子表面に固定することができる。
【0030】
粒子表面にSiを被着するには、,水溶性Si塩(例えばケイ酸ナトリウム)の水溶液に当該粒子を分散させ,この分散液から水分を蒸発させる方法や,この分散液に酸を添加して中和する方法により,該粒子表面にSiを被着させることができる。このSiの被着は,Coを含有したAl固溶オキシ水酸化鉄に被着しても良く,またCo含有Al固溶オキシ水酸化鉄を脱水処理して,Al固溶酸化鉄としたうえで,この酸化鉄に被着しても良い。いずれの場合でも,RとSiの被着の順序は,先にRを被着してからSiを被着しても,またSiを先に被着した後にRを被着しても良い。さらに,Rを被着したCo含有Al固溶オキシ水酸化鉄を脱水処理して酸化鉄にしてSiを被着したり,Siを被着したCo含有Al固溶オキシ水酸化鉄を脱水処理して酸化鉄にしてRを被着しても良い。
【0031】
RとSiを一体的に被着させるには,Rの水溶性塩とSiの水溶性塩を同時に使用すればよいが,Rの水溶性塩とSiの水溶性塩の混合水溶液を予め調整すると,Rの水溶性塩は酸性でSiの水溶性塩はアルカリなので混合時に沈澱物が生じる。このため,粒子表面にRとSiを一体的に被着させるには両液を粒子が存在する状態で混合する必要がある。
【0032】
なお,Coの含有処理については,前記のオキシ水酸化鉄の状態で含有させる場合のほか,Al固溶酸化鉄系粒子の状態から含有させもよい。例えば,Al固溶オキシ水酸化鉄系粒子を得たあと,これを空気中で加熱してAl固溶酸化鉄系粒子とし,この酸化鉄系粒子を水中に分散させたあと,これに前記のCo塩を添加してアルカリで中和する方法や,該分散液から水を蒸発させる方法などによって,Co含有Al固溶酸化鉄系粒子を得ることができ,このようにして得られたCo含有Al固溶酸化鉄系粒子に対して,前記と同様のR被着処理およびSi被着処理を行うことによっても,前記と同様の本発明に従う先駆物質を得ることができる。
【0033】
このようにして得られた本発明に従う先駆物質は,これを還元処理するとAl,Co,RおよびSiを含有した金属磁性粉末となる。本発明に従う先駆物質がオキシ水酸化鉄系粒子の場合には,還元処理に先立って,空気中で200〜600℃の温度に加熱する脱水処理を行ない,これによって酸化鉄系粒子としてから,金属磁性粉末にまで還元するのがよい。もっともこの脱水処理のための加熱処理と,これに引続く還元処理は,同一反応容器で雰囲気ガスを切換えることによって,連続した操作で実施することもできる。
【0034】
還元処理は,水素ガス等の還元性雰囲気中で300〜700℃の温度で加熱還元すればよい。その最適温度は先駆物質中のAl量,Co量,R量およびSi量によってそれぞれ異なるが300〜700℃の範囲内で選定される。還元処理後は調湿処理(水蒸気を含む雰囲気での処理)することにより,適量の水分を保有した耐酸化性を有する金属磁性粉末が得られる。
【0035】
金属磁性粉末が保有する水分は100℃で検出(放出)される量が2.0重量%以下,好ましくは1.5重量%以下であること,また300℃で検出(放出)される量が4.0重量%,好ましくは3.0重量%以下であるのが良い。該粉末が保有する水分量により,磁性層にするための塗料の粘度が変化し,バイダー吸着量も変化するが,100℃で検出される水分量が2.0重量%を超えると,または300℃で検出される水分量が4.0重量%を超えると塗布のさいに分散不十分となる。
【0036】
そのほか,周期律表第1a族元素例えばLi,Na,K等や周期律表第2a族元素例えばMg,Ca,Sr,Ba等が前記の金属磁性粉末粒子の表面に付着していると,樹脂系バインダーに分散させる場合に分散性を悪くし,また,媒体製品の保存安定性や耐候性を劣化させる。また,第1a族元素が先駆物質中に存在すると還元工程で焼結を促進する作用もあることがわかった。したがって,これらの元素類は還元工程前に出来るだけ排除しておくのがよい。すなわち本発明に従う先駆物質は,これを還元した後の周期律表第1a族元素の含有量が0.05重量%以下(これら元素が複数含有する場合にもその総量が0.05重量%以下),また同じく還元した後の周期律表第2a族元素の含有量が0.1重量%以下(これら元素が複数含有する場合にもその総量が0.1重量%以下)となるものであるのが好ましい。これらの元素は本発明の先駆物質を製造するさいの原料や中和工程等で混入しやすいが,混入した場合にはその除去処理を十分に行うのが望ましい。
【0037】
また,本発明の先駆物質を還元して得た強磁性金属粉末は平均長軸長が0.01〜0.40μmであるのが好ましい。平均長軸長が0.01μm未満では超常磁性となり,また0.40μmを超えると粒子が多磁区となりやすく,このため,いずれもテープとしたときの電磁変換特性が低下する。強磁性金属粉末の結晶子(X線結晶粒径Dx)は50〜250オングストロームであるのがよく,50オングストローム未満では超常磁性となり,250オングストロームを超えるとノイズが増大してテープの電磁変換特性が低下する。
【0038】
さらに,該強磁性金属粉末の真密度は5.3g/cm3以上であるのがよい。比表面積はBET法で30〜70m2/g であるのがよく,30m2/g 未満ではテープ化するときの樹脂との相溶性が悪くなって電磁変換特性を低下させ,70m2/g を超えるとテープ化時に分散不良を起こしてやはり電磁変換特性を低下させやすくなる。
【0039】
このような強磁性金属粉末で塗布型磁気記録媒体の磁性層を形成する場合,磁性層の形態としては,支持フイルム上に磁性層の単層を塗布するもののほか,支持フイルムと磁性層の間に非磁性粉末を用いた非磁性塗布層(下層)を形成することによって,より薄くて平滑な磁性層(上層)を形成するいわゆる多層構造の塗布型磁気記録媒体のいずれに対しても適用できる。また,後者の下層と上層とからなる多層構造の場合には,下層を形成するための非磁性粉末として,本発明に従う先駆物質をそのまま適用することができる。
【0040】
【実施例】
〔実施例1〕
0.2モル/L(Lはリットル)のFeSO4水溶液10Lに,10モル/LのNa2CO3水溶液1Lと,Al/Feの原子比(%)=13at.%となる量のアルミン酸ナトリウムを加えて53℃で空気を6時間吹込んだ。この酸化処理のあと,Co/Feの原子比(%)=30at.%となる量のCoCl2を加え,30時間熟成した。この沈澱物を濾過,水洗,乾燥した。得られた粉体は,α−FeOOHに,Feに対しCoを29at.%含み且つFeに対しAlを12.7at.%固溶した,長軸長さ0.14μm,短軸長さ0.024μm,軸比6の針状粒子からなるものであった。
【0041】
ついで,前記のオキシ水酸化鉄系粉体を空気中で450℃で焼成して,酸化鉄系粉体とし,この酸化鉄系粉体を水中に分散させた。この分散液にY/Feの原子比(%)=6.5at.%となる量の硝酸イットリウムを加え,NaOHを添加して53℃で中和し, 該粒子表面にイットリウムを被着させた。その後,液から濾別し,水洗後, 空気中で200℃で焼成した。このようにして得られたYを粒子表面に被着したCo含有Al固溶酸化鉄を水中に分散させ,その分散液に,Si/Feの原子比(%)=6.5at.%となる量のケイ酸ナトリウムを加え60分間攪拌後このスラリーを乾燥機に入れ100oCで水分を蒸発させてSiを被着させた。得られた粉体は,Feに対しCoを29at.%含み且つFeに対しAlを12.7at.%固溶し,そしてFeに対しYを6.2at.%被着し,Feに対してSiを5.5at.%被着した長軸長さ0.12μm,短軸長さ0.022μm,軸比5.6の針状粒子からなるものであった。
【0042】
こうして得られたAl固溶Co含有Y・Si被着の酸化鉄系粒子からなる粉末10gを回転炉に装填しH2気流を導入して450℃で10時間加熱還元した。還元終了後,N2ガスを導入して室温まで冷却した。ついで,1%のO2を含むN2ガスを導入して5時間処理した。得られた金属磁性粉末は長軸長さ=0.10μm,X線結晶粒径Dx=165オングストローム,比表面積(BET)=61m2/g であり,その磁気特性は保磁力(Hc)=2470(Oe),飽和磁化率(σs)=141emu/g, σr/σs =0.523(σrは残留磁束密度emu/g ),Δσs=10%であった。Δσsは60℃・相対湿度90%RHの雰囲気下で1週間放置後の飽和磁化率σsの低下率であり,この値が小さいほど耐酸化性に優れていることを示す。この強磁性金属粉末粒子が含有するCo量,Al量,Y量およびSi量はそれぞれFeに対し29at.%,12.7at.%,6.2at.%および5.5at.%であった。これらの強磁性金属粉末の諸特性値を表1に示した。
【0043】
なお,前記粒子の長軸長さ,短軸長さおよび軸比については,174000倍の電子顕微鏡写真から測定した100個の粒子の平均値で示した。結晶粒径(Dx)は,X線回折装置を用いて得られたプロフイルから(110)面に相当するピークの半価幅を求め,これをシェラーの式に代入して算出した。また,表1のΔTは,強磁性金属粉末とテープ溶剤との反応性の指標であり,この値は,強磁性金属粒子を容器に20g取り,溶剤として使用されるシクロヘキサンを30g添加し,添加直後の上昇温度を測定したものである。本例の強磁性金属粉末のΔTは8℃であった。
【0044】
得られた強磁性金属粉末を磁気テープ作製試験に供した。試験は,強磁性金属粉末100重量部に対し以下の材料を下記組成となるような割合で配合して遠心ボールミルで1時間分散させて磁性塗料を作製し,この磁性塗料をポリエチレンテレフタレートからなるベースフイルム上にアプリケーターを用いて目標厚みが3μmとなるように塗布することにより,磁気テープを作製した。
【0045】
〔塗料の組成〕
金属磁性粉末 100重量部
ポリウレタン樹脂 30重量部
メチルエチルケトン190重量部
シクロヘキサノン 80重量部
トルエン 110重量部
ステアリン酸 1重量部
アセチルアセトン 1重量部
アルミナ 3重量部
カーボンブラック 2重量部
【0046】
得られた磁気テープの磁気特性を測定したところ,保磁力Hc=2630(Oe ),残留磁束密度Br=4287(ガウス),飽和磁束密度Bm=4561(ガウス),角形比Br/Bm=0.94であり,磁気テープのヒステリシスループから算出したSFD値は0.22を示し,Hi8デッキを用いて測定した電磁変換特性の出力とC/N比はそれぞれ1.13dB,1.43dBであった。これらの磁気テープ特性を表2に示した。
【0047】
〔実施例2〕
硝酸イットリウムの添加量をY/Feの原子比(%)=5.3at.%相当量となるように,そしてケイ酸ナトリウムの添加量をSi/Feの原子比(%)=5.9at.%相当量となるように変更した以外は,実施例1に従った。得られた強磁性金属粉末および磁気テープの各特性を表1および表2に併記した。
【0048】
〔比較例1〕
硝酸イットリウムの添加量をY/Feの原子比(%)=12.5at.%相当量となるように変更し,ケイ酸ナトリウムは添加しなかった以外は,実施例1に従った。得られた強磁性金属粉および磁気テープの各特性を表1および表2に併記した。
【0049】
〔比較例2〕
ケイ酸ナトリウムの添加量をSi/Feの原子比(%)=13.0at.%相当量となるように変更し,硝酸イットリウムは添加しなかった以外は,実施例1に従った。得られた強磁性金属粉末および磁気テープの各特性を表1および表2に併記した。
【0050】
〔比較例3〕
アルミン酸ナトリウムの添加を,塩化コバルトを添加し熟成した後の時点に変更し,硝酸イットリウムの添加量をY/Feの原子比(%)=12.5at.%相当量となるように変更し,ケイ酸ナトリウムは添加しなかった以外は,実施例1に従った。得られた強磁性金属粉および磁気テープの各特性を表1および表2に併記した。
【表1】
Figure 0003640577
【0051】
【表2】
Figure 0003640577
【0052】
表1〜表2に見られるように,実施例1〜2のものでは,SFD値0.25以下,角形比(SQx=Br/Bm)0.93以上,保磁力2400(Oe )以上の高特性の磁気テープが得られるのに対し,比較例のものではその値が達成できず,電磁変換特性が必ずしも良好ではない。
【0053】
〔実施例n〕
硝酸イットリウムの添加量をY/Feの原子比(%)で0〜15at.%の範囲で変化させ,また,ケイ酸ナトリウムの添加量をSi/Feの原子比(%)で0〜11at.%の範囲で変化させた以外は,実施例1に従った。得られた各磁気テープについて,SFD,Br/Bm(SQxと表示)および保磁力(Hcxと表示)を測定し,これらの値を,強磁性粉末中のY量とSi量を横軸と縦軸として平面図上で等高線で表現し,これを図1〜図3に示した。
【0054】
図1は,各強磁性金属粉末中の各Y量at.%(Feに対するYの原子百分比)とSi量at.%(Feに対するSiの原子百分比)がどのように磁気テープのSFD値に影響するかを等高線で表示したものである。図1から,SFD値はSi被着量の特定範囲とY被着量の特定範囲で最も低くなるボトム領域があることがわかる。本例ではFeに対するSi被着量がほぼ4〜9at.%,Y被着量がほぼ4〜8at.%の領域ではSFD値は0.25以下となる。
【0055】
図2は,各強磁性金属粉末中の各Y量at.%(Feに対するYの原子百分比)とSi量at.%(Feに対するSiの原子百分比)がどのように磁気テープのBr/Bm(SQx)に影響するかを等高線で表示したものである。図2から,SQxはSi被着量の特定範囲とY被着量の特定範囲でピークを示す領域があることがわかる。本例では,Feに対するSi被着量がほぼ3〜11at.%,Y被着量がほぼ4〜9at.%でSQxは0.93以上となる。
【0056】
図3は,各強磁性金属粉末中の各Y量at.%(Feに対するYの原子百分比)とSi量at.%(Feに対するSiの原子百分比)がどのように磁気テープの保磁力(Hcx)に影響するかを等高線で表示したものである。図3から,HcxはSi被着量の特定範囲とY被着量の特定範囲でピークを示す領域があることがわかる。高いHcxを得るに望ましいY被着量は2〜13%でSi被着量は2〜9%である。
【0057】
図1〜3の結果から,SFD値0.25以下,角形比(SQx=Br/Bm)0.93以上,保磁力2400(Oe )以上さらには2500(Oe )以上の,従来のものにはない高特性の磁気テープが得られることがわかる。この全要件を満たす場合の,強磁性金属粉末のY被着量とSi被着量は特定の狭い領域にあり,Y被着量についてはFeに対して4〜9at.%,Si被着量についてはFeに対して2〜9at.%である。
【0058】
Al固溶オキシ水酸化鉄または酸化鉄の焼結防止に及ぼすSiとYの効果を比較すると,Siの方がYよりも焼結防止効果が低いこと,Yはその被着量が多くなるに従って焼結防止効果は高くなるが,あまり多すぎると配向特性が低下してくる。すなわち,Si単独被着では粒子の針状性保持効果を高いものの焼結時に粒子間を結合させる傾向があり,Y単独被着では,その被着量が多くなると粒子が凝集しやすくなる(TEM像で確認)ので,あまり多すぎると凝集による配向特定の低下が見られるようになる。ところが,SiとYを複合被着させた場合には,前記の試験に見られるように,或る狭い被着量領域において,テープ特性の向上が見られ,Y単独での効果が飽和する付近でSiを共存させると,今までにないSFD値が得られている。このことは,粒子間を結合させるSiの作用がYによって抑制され,同時にYによってSiの形状保持効果が有利に発現できたのではないかと推察される。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように,本発明によると,高密度磁気記録に適した塗布型磁気記録媒体の性能向上に大きく貢献できる強磁性金属粉末およびその先駆物質が提供される。とくに,本発明によれば,これまでの水準を超えた保磁力が2500(Oe )以上,角形比(Br/Bm)が0.93以上およびSFD値が0.25以下の磁気テープが製作できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】強磁性金属粉末へのY被着量(Feに対する原子比%)とSi被着量(Feに対する原子比%)が,その強磁性金属粉末を用いた磁気テープのSFDにどのように影響するかを等高線で示した関係図である。
【図2】強磁性金属粉末へのY被着量(Feに対する原子比%)とSi被着量(Feに対する原子比%)が,その強磁性金属粉末を用いた磁気テープのSQx(角形比)にどのように影響するかを等高線で示した関係図である。
【図3】強磁性金属粉末へのY被着量(Feに対する原子比%)とSi被着量(Feに対する原子比%)が,その強磁性金属粉末を用いた磁気テープのHcx(保磁力)にどのように影響するかを等高線で示した関係図である。

Claims (6)

  1. 酸化鉄に、Co、Al、SiおよびR(RはYを含む希土類元素の少なくとも一種を表す)を含有させた針状粒子からなる磁性粉製造用先駆物質であって、該針状粒子が、Feに対してCoを0超え〜50at.%含有し且つFeに対して0.1〜30at.%のAlを固溶した酸化鉄粒子の表層部に、SiとR(ただし、粒子中のSi含有量はFeに対して0.1〜10at.%でR含有量はFeに対して0.1〜15at.%である)を含む層が被着したものである磁性粉製造用先駆物質。
  2. 粒子中のR含有量はFeに対して1〜13at.%、Si含有量はFeに対して1〜10at.%である請求項1に記載の磁性粉製造用先駆物質。
  3. Al固溶Co含有の酸化鉄の粒子表面に先ずR層が被着し、その表層にSi層が被着している請求項1または2に記載の磁性粉製造用先駆物質。
  4. 酸化鉄に、Co、Al、SiおよびR(RはYを含む希土類元素の少なくとも一種を表す)を含有させた針状粒子からなる粉末をガス還元してなる強磁性金属粉末であって、還元前の前記の針状粒子が、Feに対してCoを0超え〜50at.%含有し且つFeに対して0.1〜30at.%のAlを固溶した酸化鉄粒子の表層部に、SiとR(ただし、粒子中のSi含有量はFeに対して0.1〜10at.%でR含有量はFeに対して0.1〜15at.%である)を含む層が被着したものである、強磁性金属粉末。
  5. R含有量がFeに対して1〜13at.%、Si含有量がFeに対して1〜10at.%である請求項4に記載の強磁性金属粉末。
  6. R含有量がFeに対して4〜9at.%、Si含有量がFeに対して2〜9at.%である請求項4に記載の強磁性金属粉末。
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