JP3640410B2 - 海水温度差を利用した発電・淡水化装置 - Google Patents
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- Y02W10/37—Wastewater or sewage treatment systems using renewable energies using solar energy
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は海水の温度差を利用した発電・淡水化装置、更に詳しくは比較的深海域に浮揚するバージ等に設置して海水温度差を効果的に利用して発電と淡水化とを同時に行うことができる装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自然エネルギーの利用を図るため風力や波力又は太陽熱を利用することが提案され、その一部は実用化されつつある。海水の温度差を利用してエネルギーを回収する方法もその一つであり、この方法は海水の表層の28℃程度と500〜600m程度の深層の7℃程度の海水温度差を効果的に利用して電力等を得ようとするものである。
【0003】
この海水温度差発電の一例を示すと、図4に示すように蒸発器1で得られたアンモニアガスGを管路L1 でアンモニアタービン2に供給してこのアンモニアタービン2を作動して発電機3を駆動して電力を発生させ、このアンモニアタービン2で低温低圧となったアンモニアガスG’を管路L2 を介して凝縮器4に供給し、こゝで深層海水ポンプ5で管路L3 を介して供給される低温の深層海水W1 によって冷却されて凝縮して液体アンモニアLGとなり、管路L4 を経由してアンモニアポンプ6で加圧して蒸発器1に供給する。そしてこの蒸発器1において表層海水ポンプ7により管路L5 を介して供給される高温の表層海水W2 より熱を受けてアンモニアガスGを発生するようになっている。
【0004】
また、一方で海水温度差発電とは独立して海水を淡水化する装置が提案されている。なお、海水温度差発電は、陸地より遠く離れた海域に浮揚する浮体上にプラントを設置して行うものであるので、このプラントを操作する人達の生活水が必要であり、このプラントは必要なものである。
この淡水化装置は、図5に示すように分離膜装置8の冷却側8a に冷却水ポンプ9で管路L6 を経由して低温の深層海水W1 を供給する。そして、原海水投入ポンプ10で表層海水W2 を海水ポンプ11を有する管路L7 を経由して熱交換器12に供給して昇温させた後、分離膜装置8の高温側8b に供給するようにしている。この高温側8b には膜体8c が配置されており、この膜体8c を表層海水W2 の一部が蒸気の状態で透過し、この蒸気は冷却側8a を流れる低温の深層海水W1 によって冷却されて淡水W3 となり、真空ポンプ13を経て貯槽14に回収するようになっている。
【0005】
前記のように海水温度差発電装置と、海水の淡水化装置とは独立して実施されており、両者を合体化して効率化を図るという手段が提案されていなかった。ところで、海水温度差発電装置と海水淡水化装置には次のような大きな問題があった。
即ち、図4に示す発電装置の場合は、海水より大量の熱を得るために蒸発器1と凝縮器4に大量の海水を供給する必要があり、そのため深層海水ポンプ5と表層海水ポンプ7を駆動する電力は発電量の20%も必要とするために有効に利用できる電力が減少するばかりでなく、更に通常は表層海水W2 の温度が28℃程度と比較的低く、十分な熱量を確保するためには蒸発器1に大量の表層海水W2 を供給する必要とすることから装置が大型化するという問題があった。また、図5に示す淡水化装置の場合は、冷却水ポンプ9と原海水投入ポンプ10に多量の動力を必要とするという問題があった。
【0006】
前記のように海水温度差発電装置と海水淡水化装置には各種の問題が存在しているが、これをまとめると次のようになる。
1)海水温度差発電装置
ア)深層海水と表層海水の温度差が比較的小さい。
イ)深層と表層との海水の温度差が小さいことから、十分な熱量を得るためには大量の海水を必要とする。具体的には発電量12.5MWで30 t/sもの海水を必要とする。
【0007】
ウ)イ)のように、大量の海水を移送する必要があることから大型の海水ポンプが必要となる。
エ)タービンの冷却用に使用した温排水が多量に廃棄され、エネルギーが無駄になる。
2)海水淡水化装置
A)十分な熱量を得るために海水を大量に必要とする。但し、1)の方法とは比較にならない程度に少ない。
【0008】
B)海水を大量に必要とするために大型の海水ポンプを必要とする。
C)廃棄される温排水が多量に発生する。
D)淡水製造のため海水を温める必要がある。
本発明は前記海水温度差発電方法と海水淡水化方法との両方法の欠点を分析した結果、両者を結合することによってこれらの欠点を大幅に改善できることを見出し、提案することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の基本的な技術思想は、(ア〜C)、(イ〜B)、(ウ〜A)及び(エ〜D)の2条件あるいはそれ以上の条件を相互に組合わせることによって両工程の欠点を互いに補完させて結合された両工程の総合的な効率化を図ろうとするものである。
【0010】
本発明に係る海水温度差を利用した発電・淡水化装置は、表層海水と深層海水との温度差を利用して熱媒を蒸発させ、得られた蒸気によって発電用タービンを駆動して発電する装置と、表層海水と深層海水との温度差を利用して海水を淡水化する装置とを併設し、前記両装置に深層海水を供給する海水ポンプを兼用すると共に、前記発電装置側の温排水を淡水化装置の熱源とし、前記淡水化装置側の温排水を発電装置側の熱媒を加熱する熱源に利用することを特徴としている。
【0011】
表層海水を海水ポンプによって発電装置側と海水淡水化装置側とに圧力損失の調整用具を介して逆流を防止しながら供給するように構成している。また、この圧力損失の調整用具はバルブあるいはオリフイスを使用するのがよい。更に、海水を淡水化する装置は膜分離装置を使用するのが好ましい。
【0012】
【作 用】
海水温度差を利用した発電設備に海水淡水化装置を併設したので、海水淡水化装置の海水ポンプを削減することが可能となる。海水淡水化装置の排水の熱を発電装置側の熱媒を加熱する熱源として利用できるので、熱を効率的に利用することができる。
【0013】
【実 施 例】
以下、図1及び2に基づき本発明による海水温度差利用による発電・淡水化装置の実施例を説明する。
(実施例−1)
図1は「電力優先」の実施例のプロセスフローシートであり、蒸発器21でガス化したアンモニアガスGは例えば22.9℃程度の温度で管路22からアンモニアタービン23に供給され、このアンモニアタービン23を作動させて発電機24(出力:129.5MW)を駆動する。
【0014】
そしてこのアンモニアタービン23で使用されたアンモニアガスG’は低温となって管路25から凝縮器26に供給され、こゝで深層海水ポンプ27(出力:14.4MW)により管路28を経て7℃程度の深層海水W1 (流量:2.92×105 kg/s)により冷却されて凝縮し、例えば12.5℃程度の液体アンモニアLGとなってアンモニアポンプ29により管路30を経て蒸発器21に供給される。
【0015】
そしてこの蒸発器21には表層海水ポンプ31により管路32を経て供給される28℃程度の表層海水W2 (流量:3.52×105 kg/s)と、後述する管路33から供給される約41.8℃程度の加熱海水W4 (流量:1.35×103 kg/s)との混合海水W5 (流量:3.52×105 kg/s)が28℃程度となって供給され、液体アンモニアLGを気化させる。このようにして海水温度差発電が行なわれるのである。
【0016】
一方、分離膜装置34の冷却側34aには管路28上で、かつ深層海水ポンプ27の下流側に連結された管路35から約7℃程度の深層海水W1 (流量:1.10×103 kg/s)が供給され、膜体34cを透過した蒸気を冷却した後、約25℃に昇温し、管路36において蒸発器21から送出された海水と合流して系外へ排出される。
【0017】
表層海水ポンプ31により管路32に供給された表層海水W2 (流量:1.39×103 kg/s)の一部は管路37から熱交換器38に至り、こゝで55℃程度の加熱海水W4 となって分離膜装置34の高温側34bに至り、その一部が膜体34cを水蒸気となって透過して真空側34dに至り、こゝで冷却されて透過液となる。即ち、淡水(流量:34.7kg/s)が製造されることになる。なお、40は真空側34d内を真空に保持するための真空ポンプである。
【0018】
分離膜装置34の高温側34bに供給された加熱海水W4 は、これを通過する間に41.8℃程度に減温されて加熱海水W5 となって管路33から管路32に流入し、蒸発器21に供給される。
この場合、実際の運転においては前記した発電系と淡水化系においては圧力損失が異なる。即ち、一般には淡水化系の圧力損失が大きい(抵抗が大きい)ために表層海水ポンプ31から供給される表層海水W2 が蒸発器21側へ流入し易く、管路37への流入量が減少する傾向がある。そのため、この管路32にバルブ39を設けてこれによって自動的に圧力制御して分離膜装置34側へ供給される表層海水W2 の流量を調節する。このバルブ39の代わりに流量を管路にオリフイスを設けて流量を調節するようにしてもよい。
【0019】
なお、41は凝縮器26の排出管路であり、更に42は熱交換器21を通過した海水W5 の一部をアンモニアタービン23の軸受冷却水として利用して60℃程度に昇温させて熱交換器38の熱源とするための管路である。
図2に図1におけるラインを丸印内の記号で示し、物質・熱収支を下記の表1に示している。
【0020】
(実施例−2)
図3は「淡水優先」の実施例のプロセスフローシートであり、淡水の製造量を増加させ、その代わりに淡水製造の排熱を用いてアンモニア蒸発器の大きさを小さくすることを目的としたものである。図3と図2との装置を比較すると、蒸発器の入口での海水温度が28℃から39℃と高くなっている。従って、ΔTm が大きくなるので熱交換器の伝熱面積を小さくすることができ、熱交換器全体の大きさを小さくすることができる。
【0021】
【発明の効果】
本発明にかかる海水温度差を利用した発電・淡水化装置は、表層海水W2 と深層海水W1 との温度差を利用して熱媒を蒸発させ、得られた蒸気によって発電用タービン23を駆動して発電する装置と、表層海水W2 と深層海水W1 との温度差を利用して海水を淡水化する装置34とを併設し、前記両装置に深層海水W1 を供給する海水ポンプ27を兼用すると共に、前記発電装置側の温排水を淡水化装置の熱源とし、前記淡水化装置側の温排水を発電装置側の熱媒を加熱する熱源に利用することを特徴としており、次の効果を奏することができる。
【0022】
A)発電装置側の深層海水ポンプ27を淡水化装置側の深層海水ポンプと兼用するために高価なポンプを1台あるいは少数台準備するだけで良く、ポンプ購入費のコストを低減することができる。
なお、ポンプの容量にもよるが、103 〜105 t/h の容量のポンプは1台では実現できず、複数台のものを必要とする。従って、淡水化装置のポンプも複数台あり、このポンプ台数の削減による建設費の低下は大きいものがある。
【0023】
B)淡水化装置の分離膜装置と34より排出される高温の温排水W5 を発電装置側の蒸発器21の熱原として使用することにより、この熱交換器21を小型化することができ、これもまた熱交換器21の製造コストを低減することができることになる。
C)タービン23の軸受部分を冷却した冷却水を淡水化装置の熱交換器38の熱原として使用することにより、表層海水W2 を温めるヒータが不要となる。
【0024】
D)既設の海水温度差発電装置に、海水温度差淡水化装置を併設することによって陸地より離れた海域の発電設備に生活用淡水を供給することができるので、一連の装置を効率的に設置し、運転することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示すフローシートである。
【図2】図2のフローシートにおける物質・熱収支を示すための図である。
【図3】本発明の第2の実施例を示すフローシートである。
【図4】従来の海水温度差発電装置の一例を示すフローシートである。
【図5】従来の海水温度差淡水化装置の一例を示すフローシートである。
【符号の説明】
21 蒸発器 22,25,28,30,32,33 管路
23 アンモニアタービン 26 凝縮器 27 深層海水ポンプ
29 アンモニアポンプ 31 表層海水ポンプ 34 分離膜装置
34a 冷却側 34b 高温側 34c 膜体 34d 真空側
38 熱交換器 39 圧力損失の調整用具:バルブ
40 真空ポンプ 41 排水管路
【産業上の利用分野】
本発明は海水の温度差を利用した発電・淡水化装置、更に詳しくは比較的深海域に浮揚するバージ等に設置して海水温度差を効果的に利用して発電と淡水化とを同時に行うことができる装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自然エネルギーの利用を図るため風力や波力又は太陽熱を利用することが提案され、その一部は実用化されつつある。海水の温度差を利用してエネルギーを回収する方法もその一つであり、この方法は海水の表層の28℃程度と500〜600m程度の深層の7℃程度の海水温度差を効果的に利用して電力等を得ようとするものである。
【0003】
この海水温度差発電の一例を示すと、図4に示すように蒸発器1で得られたアンモニアガスGを管路L1 でアンモニアタービン2に供給してこのアンモニアタービン2を作動して発電機3を駆動して電力を発生させ、このアンモニアタービン2で低温低圧となったアンモニアガスG’を管路L2 を介して凝縮器4に供給し、こゝで深層海水ポンプ5で管路L3 を介して供給される低温の深層海水W1 によって冷却されて凝縮して液体アンモニアLGとなり、管路L4 を経由してアンモニアポンプ6で加圧して蒸発器1に供給する。そしてこの蒸発器1において表層海水ポンプ7により管路L5 を介して供給される高温の表層海水W2 より熱を受けてアンモニアガスGを発生するようになっている。
【0004】
また、一方で海水温度差発電とは独立して海水を淡水化する装置が提案されている。なお、海水温度差発電は、陸地より遠く離れた海域に浮揚する浮体上にプラントを設置して行うものであるので、このプラントを操作する人達の生活水が必要であり、このプラントは必要なものである。
この淡水化装置は、図5に示すように分離膜装置8の冷却側8a に冷却水ポンプ9で管路L6 を経由して低温の深層海水W1 を供給する。そして、原海水投入ポンプ10で表層海水W2 を海水ポンプ11を有する管路L7 を経由して熱交換器12に供給して昇温させた後、分離膜装置8の高温側8b に供給するようにしている。この高温側8b には膜体8c が配置されており、この膜体8c を表層海水W2 の一部が蒸気の状態で透過し、この蒸気は冷却側8a を流れる低温の深層海水W1 によって冷却されて淡水W3 となり、真空ポンプ13を経て貯槽14に回収するようになっている。
【0005】
前記のように海水温度差発電装置と、海水の淡水化装置とは独立して実施されており、両者を合体化して効率化を図るという手段が提案されていなかった。ところで、海水温度差発電装置と海水淡水化装置には次のような大きな問題があった。
即ち、図4に示す発電装置の場合は、海水より大量の熱を得るために蒸発器1と凝縮器4に大量の海水を供給する必要があり、そのため深層海水ポンプ5と表層海水ポンプ7を駆動する電力は発電量の20%も必要とするために有効に利用できる電力が減少するばかりでなく、更に通常は表層海水W2 の温度が28℃程度と比較的低く、十分な熱量を確保するためには蒸発器1に大量の表層海水W2 を供給する必要とすることから装置が大型化するという問題があった。また、図5に示す淡水化装置の場合は、冷却水ポンプ9と原海水投入ポンプ10に多量の動力を必要とするという問題があった。
【0006】
前記のように海水温度差発電装置と海水淡水化装置には各種の問題が存在しているが、これをまとめると次のようになる。
1)海水温度差発電装置
ア)深層海水と表層海水の温度差が比較的小さい。
イ)深層と表層との海水の温度差が小さいことから、十分な熱量を得るためには大量の海水を必要とする。具体的には発電量12.5MWで30 t/sもの海水を必要とする。
【0007】
ウ)イ)のように、大量の海水を移送する必要があることから大型の海水ポンプが必要となる。
エ)タービンの冷却用に使用した温排水が多量に廃棄され、エネルギーが無駄になる。
2)海水淡水化装置
A)十分な熱量を得るために海水を大量に必要とする。但し、1)の方法とは比較にならない程度に少ない。
【0008】
B)海水を大量に必要とするために大型の海水ポンプを必要とする。
C)廃棄される温排水が多量に発生する。
D)淡水製造のため海水を温める必要がある。
本発明は前記海水温度差発電方法と海水淡水化方法との両方法の欠点を分析した結果、両者を結合することによってこれらの欠点を大幅に改善できることを見出し、提案することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の基本的な技術思想は、(ア〜C)、(イ〜B)、(ウ〜A)及び(エ〜D)の2条件あるいはそれ以上の条件を相互に組合わせることによって両工程の欠点を互いに補完させて結合された両工程の総合的な効率化を図ろうとするものである。
【0010】
本発明に係る海水温度差を利用した発電・淡水化装置は、表層海水と深層海水との温度差を利用して熱媒を蒸発させ、得られた蒸気によって発電用タービンを駆動して発電する装置と、表層海水と深層海水との温度差を利用して海水を淡水化する装置とを併設し、前記両装置に深層海水を供給する海水ポンプを兼用すると共に、前記発電装置側の温排水を淡水化装置の熱源とし、前記淡水化装置側の温排水を発電装置側の熱媒を加熱する熱源に利用することを特徴としている。
【0011】
表層海水を海水ポンプによって発電装置側と海水淡水化装置側とに圧力損失の調整用具を介して逆流を防止しながら供給するように構成している。また、この圧力損失の調整用具はバルブあるいはオリフイスを使用するのがよい。更に、海水を淡水化する装置は膜分離装置を使用するのが好ましい。
【0012】
【作 用】
海水温度差を利用した発電設備に海水淡水化装置を併設したので、海水淡水化装置の海水ポンプを削減することが可能となる。海水淡水化装置の排水の熱を発電装置側の熱媒を加熱する熱源として利用できるので、熱を効率的に利用することができる。
【0013】
【実 施 例】
以下、図1及び2に基づき本発明による海水温度差利用による発電・淡水化装置の実施例を説明する。
(実施例−1)
図1は「電力優先」の実施例のプロセスフローシートであり、蒸発器21でガス化したアンモニアガスGは例えば22.9℃程度の温度で管路22からアンモニアタービン23に供給され、このアンモニアタービン23を作動させて発電機24(出力:129.5MW)を駆動する。
【0014】
そしてこのアンモニアタービン23で使用されたアンモニアガスG’は低温となって管路25から凝縮器26に供給され、こゝで深層海水ポンプ27(出力:14.4MW)により管路28を経て7℃程度の深層海水W1 (流量:2.92×105 kg/s)により冷却されて凝縮し、例えば12.5℃程度の液体アンモニアLGとなってアンモニアポンプ29により管路30を経て蒸発器21に供給される。
【0015】
そしてこの蒸発器21には表層海水ポンプ31により管路32を経て供給される28℃程度の表層海水W2 (流量:3.52×105 kg/s)と、後述する管路33から供給される約41.8℃程度の加熱海水W4 (流量:1.35×103 kg/s)との混合海水W5 (流量:3.52×105 kg/s)が28℃程度となって供給され、液体アンモニアLGを気化させる。このようにして海水温度差発電が行なわれるのである。
【0016】
一方、分離膜装置34の冷却側34aには管路28上で、かつ深層海水ポンプ27の下流側に連結された管路35から約7℃程度の深層海水W1 (流量:1.10×103 kg/s)が供給され、膜体34cを透過した蒸気を冷却した後、約25℃に昇温し、管路36において蒸発器21から送出された海水と合流して系外へ排出される。
【0017】
表層海水ポンプ31により管路32に供給された表層海水W2 (流量:1.39×103 kg/s)の一部は管路37から熱交換器38に至り、こゝで55℃程度の加熱海水W4 となって分離膜装置34の高温側34bに至り、その一部が膜体34cを水蒸気となって透過して真空側34dに至り、こゝで冷却されて透過液となる。即ち、淡水(流量:34.7kg/s)が製造されることになる。なお、40は真空側34d内を真空に保持するための真空ポンプである。
【0018】
分離膜装置34の高温側34bに供給された加熱海水W4 は、これを通過する間に41.8℃程度に減温されて加熱海水W5 となって管路33から管路32に流入し、蒸発器21に供給される。
この場合、実際の運転においては前記した発電系と淡水化系においては圧力損失が異なる。即ち、一般には淡水化系の圧力損失が大きい(抵抗が大きい)ために表層海水ポンプ31から供給される表層海水W2 が蒸発器21側へ流入し易く、管路37への流入量が減少する傾向がある。そのため、この管路32にバルブ39を設けてこれによって自動的に圧力制御して分離膜装置34側へ供給される表層海水W2 の流量を調節する。このバルブ39の代わりに流量を管路にオリフイスを設けて流量を調節するようにしてもよい。
【0019】
なお、41は凝縮器26の排出管路であり、更に42は熱交換器21を通過した海水W5 の一部をアンモニアタービン23の軸受冷却水として利用して60℃程度に昇温させて熱交換器38の熱源とするための管路である。
図2に図1におけるラインを丸印内の記号で示し、物質・熱収支を下記の表1に示している。
【0020】
(実施例−2)
図3は「淡水優先」の実施例のプロセスフローシートであり、淡水の製造量を増加させ、その代わりに淡水製造の排熱を用いてアンモニア蒸発器の大きさを小さくすることを目的としたものである。図3と図2との装置を比較すると、蒸発器の入口での海水温度が28℃から39℃と高くなっている。従って、ΔTm が大きくなるので熱交換器の伝熱面積を小さくすることができ、熱交換器全体の大きさを小さくすることができる。
【0021】
【発明の効果】
本発明にかかる海水温度差を利用した発電・淡水化装置は、表層海水W2 と深層海水W1 との温度差を利用して熱媒を蒸発させ、得られた蒸気によって発電用タービン23を駆動して発電する装置と、表層海水W2 と深層海水W1 との温度差を利用して海水を淡水化する装置34とを併設し、前記両装置に深層海水W1 を供給する海水ポンプ27を兼用すると共に、前記発電装置側の温排水を淡水化装置の熱源とし、前記淡水化装置側の温排水を発電装置側の熱媒を加熱する熱源に利用することを特徴としており、次の効果を奏することができる。
【0022】
A)発電装置側の深層海水ポンプ27を淡水化装置側の深層海水ポンプと兼用するために高価なポンプを1台あるいは少数台準備するだけで良く、ポンプ購入費のコストを低減することができる。
なお、ポンプの容量にもよるが、103 〜105 t/h の容量のポンプは1台では実現できず、複数台のものを必要とする。従って、淡水化装置のポンプも複数台あり、このポンプ台数の削減による建設費の低下は大きいものがある。
【0023】
B)淡水化装置の分離膜装置と34より排出される高温の温排水W5 を発電装置側の蒸発器21の熱原として使用することにより、この熱交換器21を小型化することができ、これもまた熱交換器21の製造コストを低減することができることになる。
C)タービン23の軸受部分を冷却した冷却水を淡水化装置の熱交換器38の熱原として使用することにより、表層海水W2 を温めるヒータが不要となる。
【0024】
D)既設の海水温度差発電装置に、海水温度差淡水化装置を併設することによって陸地より離れた海域の発電設備に生活用淡水を供給することができるので、一連の装置を効率的に設置し、運転することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示すフローシートである。
【図2】図2のフローシートにおける物質・熱収支を示すための図である。
【図3】本発明の第2の実施例を示すフローシートである。
【図4】従来の海水温度差発電装置の一例を示すフローシートである。
【図5】従来の海水温度差淡水化装置の一例を示すフローシートである。
【符号の説明】
21 蒸発器 22,25,28,30,32,33 管路
23 アンモニアタービン 26 凝縮器 27 深層海水ポンプ
29 アンモニアポンプ 31 表層海水ポンプ 34 分離膜装置
34a 冷却側 34b 高温側 34c 膜体 34d 真空側
38 熱交換器 39 圧力損失の調整用具:バルブ
40 真空ポンプ 41 排水管路
Claims (4)
- 表層海水と深層海水との温度差を利用して熱媒を蒸発させ、得られた蒸気によって発電用タービンを駆動して発電する装置と、表層海水と深層海水との温度差を利用して海水を淡水化する装置とを併設し、前記両装置に深層海水を供給する海水ポンプを兼用すると共に、前記発電装置側の温排水を淡水化装置の熱源とし、前記淡水化装置側の温排水を発電装置側の熱媒を加熱する熱源に利用することを特徴とする海水温度差を利用した発電・淡水化装置。
- 表層海水を海水ポンプによって発電装置側と海水淡水化装置側とに圧力損失の調整用具を介して逆流を防止しながら供給するように構成した請求項1記載の海水温度差を利用した発電・淡水化装置。
- 圧力損失の調整用具はバルブあるいはオリフイスである請求項2記載の海水温度差を利用した発電・淡水化装置。
- 海水を淡水化する装置は膜分離装置である請求項1記載の海水温度差を利用した発電・淡水化装置。
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