JP3636071B2 - 血圧計用カフ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、血圧、脈波、生体情報などを手首で測定するのに適した血圧計用カフに関し、詳しくは主に手首を圧迫するカフの構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、カフによる圧迫法を用いた血圧計は、カフを動脈が完全に閉塞するまで加圧し、その後徐々に減圧してカフの圧迫力に重畳した動脈の脈波信号を捉え、その振幅変化を基に最高、最低、および平均血圧を判定する。圧迫する部位は上腕、手首などが用いられ、自動的に血圧を測定する電子血圧計が知られている。手首には橈骨、尺骨、腱、筋肉および上腕動脈が分岐した橈骨動脈と尺骨動脈と呼ばれる2本の太い動脈が走行している。カフによる圧迫法を用いた手首血圧計では、カフを用いてこの2本の動脈を同時に阻血し、減圧することにより捉えた脈波信号から血圧を判定している。
【0003】
しかしながら、2本の動脈を同時に阻血するためには大きなカフの圧迫力が必要であるため、使用者にとっては大きな圧迫感がある。また一般に橈骨動脈よりも尺骨動脈の方が手首表面から深い位置にあり、阻血後のカフ減圧時に尺骨動脈の脈波信号が橈骨動脈の脈波信号より先に出現することから血圧判定に誤差を生じやすい。
【0004】
したがって従来から、橈骨動脈、あるいは尺骨動脈のみを阻血し、血圧を判定する方法が試みられ、特許出願されている(例えば特願平11−166023号)。このような従来技術としては、例えば図7〜9に示すようにカフ1を手首周方向に、手首手掌側の腱9が配置されている硬い組織エリア50から橈骨茎状突起部7に至るまで巻回すると共に、尺骨動脈4までは巻回しないようにし、この状態でカフ1にて手首2を圧迫することにより橈骨動脈3のみを圧迫して、血圧を測定するものがある。
【0005】
このような従来技術においては、手首2に巻回されたカフ1を例えば26.7kPa(200mmHg)まで加圧して手首を圧迫することにより橈骨動脈3を阻血した後、例えば0.4kPa/s(3mmHg/s)の降下速度で加圧力を降下させながら、脈圧成分を検出し、図13に示すようなカフ圧−脈圧曲線から血圧値を推定するものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のような従来技術においては、図12に示すように、橈骨茎状突起部7の中央部7aは手首2の皮膚の表面側に向けて***しているので、図5に示すグラフのP2のように、カフ1にて圧迫されている領域における橈骨動脈3に働く圧迫力は、橈骨茎状突起部7の中央部7aと手首2の表面との間に配置さされている部分では、その上流側及び下流側よりも圧迫力が高くなってしまう。このため、カフ1にて圧迫されている領域では、橈骨動脈3は橈骨茎状突起部7の中央部7aと手首2の表面との間で阻血がされたしても、それより上流側の圧迫力が低い部分に血流が流れ込んでしまうおそれがあり、また図7に示すように橈骨動脈3と尺骨動脈4とは手掌側において環状に連結されているので、橈骨茎状突起部7の中央部7aと手首2の表面との間よりも下流側の圧迫力が低い部分にも血流が逆流して流れ込んでしまうおそれがある。
【0007】
このようにカフ1にて圧迫されている領域において、橈骨動脈3に血流が流れ込んでしまうと、図13に示すようにカフ圧−脈圧曲線にノイズNが重畳し、血圧の測定精度が悪化する原因となってしまうものであった。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みて為されたものであり、手首を圧迫することにより橈骨動脈に圧迫力をかけて血圧を測定するにあたり、カフが装着されて圧迫されている領域において橈骨動脈に血流方向に沿って圧迫力を均一な分布でかけることにより、橈骨動脈の血流を阻血している場合における、橈骨動脈のカフにて圧迫されている領域において、橈骨茎状突起部の中央部に対する上流側や下流側から血流が流れ込むことを防止して、このような血流によるノイズの発生を抑制し、正確な血圧、脈波等の測定を行なうことができる血圧計用カフを提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る血圧計用カフは、手首周方向に巻回されて手首2を圧迫する血圧計用カフ1において、カフ1の手首周方向の長さは、手首手掌側の腱9が配置されている硬い組織エリア50を起点として橈骨5側に巻き付けたときに橈骨動脈3を通り少なくとも橈骨茎状突起部7に至り且つ尺骨動脈4には至らないような長さを有すると共に、カフ1の前腕長手方向の長さは、少なくとも橈骨茎状突起部7の略直上において橈骨動脈3を局所的に圧迫するための長さを有し、橈骨茎状突起部7の中央部7aの略直上に配置される中央カフ1aと、橈骨茎状突起部7の中央部7aに対する前腕長手方向の両端側にそれぞれ配置される二つの側部カフ1b,1bとを前腕長手方向に連設して前記カフ1を形成し、装着状態における中央カフ1aの手首表面側の面から手首とは反対側の面の間の寸法が、側部カフ1b,1bよりも小さく形成されて、カフ1を手首周方向に巻回させて圧迫させた際の、橈骨茎状突起部7の中央部7aに対する前腕長手方向の両端側でのカフ1から手首2表面への圧迫力が、橈骨茎状突起部7の中央部7aの略直上での圧迫力よりも大きくなるように形成して成ることを特徴とするものである。
【0010】
また請求項2に係る血圧計用カフは、手首周方向に巻回されて手首2を圧迫する血圧計用カフ1において、カフ1の手首周方向の長さは、手首手掌側の腱9が配置されている硬い組織エリア50を起点として橈骨5側に巻き付けたときに橈骨動脈3を通り少なくとも橈骨茎状突起部7に至り且つ尺骨動脈4には至らないような長さを有すると共に、カフ1の前腕長手方向の長さは、少なくとも橈骨茎状突起部7の略直上において橈骨動脈3を局所的に圧迫するための長さを有し、手首表面側における前記カフ1の外装を構成するシート材8の厚みを、橈骨茎状突起部7の中央部7aの略直上に配置される部分の方が、橈骨茎状突起部7の中央部7aに対する前腕長手方向の両端側にそれぞれ配置される部分よりも厚くなるように形成して、カフ1を手首周方向に巻回させて圧迫させた際の、橈骨茎状突起部7の中央部7aに対する前腕長手方向の両端側でのカフ1から手首2表面への圧迫力が、橈骨茎状突起部7の中央部7aの略直上での圧迫力よりも大きくなるように形成して成ることを特徴とするものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0015】
本実施形態のカフ1は、図7〜9に示すように、手首周方向イに沿って装着されるものであり、例えば外装がウレタン、シリコンなどの可撓性のシート材で形成された矩形状の袋体で構成されている。図8はカフ1を手首2に装着した場合を手首断面から見た図であり、図7は手首2に装着しカフ1を真上から見た図である。ここでは、カフ1の手首周方向の長さは、手首手掌側の腱9などが配置された硬い組織エリア50を起点として橈骨5側に巻き付けたときに橈骨動脈3を通り少なくとも橈骨茎状突起部7に至り且つ尺骨動脈4には至らないような長さLであり、また、前腕長手方向ロ(手首長手方向)の長さは、少なくとも橈骨茎状突起部7の略直上において橈骨動脈3を局所的に圧迫するための長さDとを有しており、尺骨動脈4を圧迫せずに、橈骨動脈3のみを圧迫、または阻血できるようになっている。
【0016】
なお、カフ1の手首周方向イの長さの範囲は、図8に示すように、カフ1の一端aを手首手掌側の硬い組織エリア50のうちの最も尺骨動脈4側(図8の右側)に位置する腱9を起点として橈骨5側に巻き付けたときにカフ1の手首周方向イの先端bが尺骨動脈4の手前で止まる最大長さL2と、手首手掌側の硬い組織エリア50のうちの最も橈骨動脈3側(図8の左側)に位置する腱9を起点として橈骨5側に巻き付けたときにカフ1の手首周方向イの先端bが橈骨茎状突起部7まで達して止まる最短長さL1との間で適宜変更可能である。ここでは、図8に示すように、手首手掌側の腱9などの硬い組織エリア50の中間側に位置する腱9を起点として橈骨茎状突起部7を通り、手首2の約半周をカバーできる長さL3に設定されている。
【0017】
従って、カフ1の手首周方向イの一端aを硬い組織エリア50に位置させ、これを起点としてカフ1を橈骨5側に巻いて橈骨動脈3と橈骨茎状突起部7とを圧迫し、且つ尺骨動脈4を圧迫しないようにすることで、カフ1を橈骨動脈3が生体表面に最も近い位置である橈骨茎状突起部7を含むように装着でき、尺骨動脈4を阻血せずに橈骨動脈3のみを阻血できるようになる。これにより、手首2に存在する2本の太い動脈3,4のうち、片方の橈骨動脈3だけを圧迫するのでカフ1が捉える脈波信号は正確なものとなる。つまり、両動脈を圧迫する従来方式の問題における2本の動脈の脈波信号の干渉による影響がないものとなり、血圧判定精度への影響を軽減でき、信頼性の高い血圧、脈波測定等の測定を実施でき、正確な血圧値を判定することができる。
【0018】
しかも、カフ1の長さを手首手掌側の腱9などの硬い組織エリア50を起点として少なくとも橈骨茎状突起部7に至る長さとすることで、橈骨動脈3の位置の個人差に十分に対応できるものとなり、そのうえ加圧中のカフ1の位置ずれや動脈の逃げをなくすことができると同時に、カフ1による阻血部位が局所的であるため、使用者の圧迫感が少なく、例えば手首周長が135cm〜220cmまで橈骨動脈3の位置の個人差に影響なく阻血できて、装着者への負担が少ない理想的なカフ1による阻血を実行できるものである。
【0019】
図10はカフ1を湾曲状に形成する場合において、手首2の外周の少なくとも4分の1を含む長さLを有し、手首断面の長径軸ハと手首2外周との阻血する動脈側の交点60を通り、且つ腱9から橈骨茎状突起部7までの手首外周に合わせた湾曲形状にした場合を示している。これにより、手首2において曲率半径の小さい橈骨茎状突起部7への密着性が良く、圧迫感を感じることなくカフ1のずれを防止でき、圧力伝達効率が良くなる。
【0020】
図1は、カフ1を手首2に装着した場合における、前腕長手方向に沿った、参考例の断面図である。カフ1の外装を構成するシート材8の厚みは全体に亘って略均一に形成されており、このシート材8のうち、装着状態において手首2とは反対側に配置される外側シート材8aは平面状に形成されている。一方、手首2の表面側に配置される内側シート材8bは屈曲成形されることにより、橈骨茎状突起部7の中央部7aの略直上に配置される部分において手首2の表面側に開口する凹部10が形成されている。このためカフ1の外側シート材8aと内側シート材8bとの間の寸法、すなわちカフ1の手首2表面側の面から手首2とは反対側の面の間の寸法は、橈骨茎状突起部7の中央部7aの略直上と、橈骨茎状突起部7の中央部7aに対して前腕長手方向の両端側とでは、前者の方が小さく形成されている。
【0021】
このように形成されたカフ1の内部を加圧することによりカフ1にて手首2を圧迫すると、カフ1は橈骨茎状突起部7の中央部7aの略直上に配置されている部分よりも、橈骨茎状突起部7の中央部7aに対して前腕長手方向の両端側に配置されている部分の方が、膨脹量が大きくなるものであり、このため、カフ1から手首2の表面にかけられる圧迫力は、橈骨茎状突起部7の中央部7aに対する前腕長手方向の両端側でのカフ1から手首2表面への圧迫力の方が、橈骨茎状突起部7の中央部7aの略直上での圧迫力よりも大きくなる。
【0022】
このとき、橈骨動脈3には、橈骨茎状突起部7の中央部7aと手首2の表面との間に配置されている部分については、橈骨茎状突起部7の中央部7aが手首2の表面側に向けて***しているために充分な圧迫力がかけられ、また橈骨茎状突起部7の中央部7aに対して前腕長手方向の両端側にそれぞれ配置されている部分については、この部分におけるカフ1から手首2にかかる圧迫力が大きくなっているため、同様に充分な圧迫力がかけられる。この結果、カフ1が装着されて圧迫力がかけられている領域において、図5のP1に示すように、橈骨動脈3には血流の上流側から下流側に亘ってほぼ均一な分布で圧迫力がかけられることとなる。
【0023】
従って、カフ1からの圧迫力によってカフ1の装着部位で橈骨動脈3の血流が阻血される場合には、血流はカフ1の装着部位において橈骨動脈3の上流側から下流側に亘って全体的に阻血されることとなり、カフ1の装着部位において橈骨動脈3の上流側や下流側から血流が流れ込むことを防止することができる。従って、カフ圧−脈圧曲線を測定した場合には図6に示すようにノイズが重畳しないカーブが測定でき、高い測定精度にて血圧の測定を行なうことができるものである。
【0024】
図2は、他の参考例における、カフ1を手首2に装着した場合での、前腕長手方向に沿った断面図を示すものである。この実施形態では、カフ1の外装を構成するシート材8のうち、装着状態において手首2とは反対側に配置される外側シート材8aと、手首2側に配置される内側シート材8bとは、いずれも平面状に形成されており、カフ1の外側シート材8aと内側シート材8bとの間の寸法、すなわちカフ1の手首2表面側の面から手首2とは反対側の面の間の寸法は、全体に亘ってほぼ等しく形成されている。また内側シート材8bの表面には、橈骨茎状突起部7の中央部7aに対する前腕長手方向の両端側に配置される部分において、シリコンやウレタンゴム等からなる弾性部材11が、内側シート材8bの表面から手首2の表面側に向けて突出するように添設されている。
【0025】
このように形成されたカフ1の内部を加圧することによりカフ1にて手首2を圧迫すると、カフ1の膨脹量は全体に亘ってほぼ均一なものであるが、橈骨茎状突起部7の中央部7aの略直上においては手首2は内側シート材8bの表面にて圧迫されるのに対して、橈骨茎状突起部7の中央部7aに対する前腕長手方向の両端側においては手首2は内側シート材8bの表面から突出する弾性部材11にて圧迫されることとなり、このため、カフ1から手首2の表面にかけられる圧迫力は、橈骨茎状突起部7の中央部7aに対する前腕長手方向の両端側でのカフ1から手首2表面への圧迫力の方が、橈骨茎状突起部7の中央部7aの略直上での圧迫力よりも大きくなる。
【0026】
この結果、図1に示す参考例の場合と同様に、カフ1が装着されて圧迫力がかけられている領域において、橈骨動脈3には血流の上流側から下流側に亘ってほぼ均一な分布で圧迫力がかけられることとなり、ノイズが重畳しないカフ圧−脈圧曲線のカーブが測定できて、高い測定精度にて血圧の測定を行なうことができるものである。
【0027】
図3は本発明の実施形態における、カフ1を手首2に装着した場合での、前腕長手方向に沿った断面図を示すものである。この実施形態では、カフ1は橈骨茎状突起部7の中央部7aの略直上に配置される中央カフ1aと、橈骨茎状突起部7の中央部7aに対する前腕長手方向の両端側にそれぞれ配置される二つの側部カフ1b,1bとで構成され、一方の側部カフ1b、中央カフ1a、他方の側部カフ1bを前腕長手方向に順次連設して三層構造のカフ1が形成されている。図示はしていないが、これらの中央カフ1a及び側部カフ1b,1bは、互いに連通するように形成されている。
【0028】
ここで、中央カフ1a及び各側部カフ1b,1bの外装を構成するシート材8のうち、装着状態において手首2とは反対側に配置される外側シート材8aと、手首2側に配置される内側シート材8bとの間の寸法、すなわちカフ1の手首2表面側の面から手首2とは反対側の面の間の寸法は、中央カフ1aの方が各側部カフ1b,1bよりも小さくなるように形成されている。また、中央カフ1aと各側部カフ1b,1bの外側シート材8aの表面(すなわち手首2とは反対側の表面)は略面一に形成されており、そのため中央カフ1aの内側シート材8bは各側部カフ1b,1bの内側シート材8bに対して、手首2表面とは反対側の位置に配置されており、カフ1には橈骨茎状突起部7の中央部7aの略直上に配置される部分において手首2の表面側に開口する凹部10が形成されている。
【0029】
このように形成されたカフ1の内部を加圧することによりカフ1にて手首2を圧迫すると、カフ1は橈骨茎状突起部7の中央部7aの略直上に配置されている中央カフ1aよりも、橈骨茎状突起部7の中央部7aに対して前腕長手方向の両端側に配置されている各側部カフ1b,1bの方が、膨脹量が大きくなるものであり、このため、カフ1から手首2の表面にかけられる圧迫力は、橈骨茎状突起部7の中央部7aに対する前腕長手方向の両端側でのカフ1から手首2表面への圧迫力の方が、橈骨茎状突起部7の中央部7aの略直上での圧迫力よりも大きくなる。
【0030】
この結果、図1に示す参考例の場合と同様に、カフ1が装着されて圧迫力がかけられている領域において、橈骨動脈3には血流の上流側から下流側に亘ってほぼ均一な分布で圧迫力がかけられることとなり、ノイズが重畳しないカフ圧−脈圧曲線のカーブが測定できて、高い測定精度にて血圧の測定を行なうことができるものである。
【0031】
図4は他の実施形態における、カフ1を手首2に装着した場合での、前腕長手方向に沿った断面図を示すものである。この実施形態では、カフ1の外装を構成するシート材8のうち、装着状態において手首2とは反対側に配置される外側シート材8aと、手首2側に配置される内側シート材8bとは、いずれも平面状に形成されており、カフ1の外側シート材8aと内側シート材8bとの間の寸法、すなわちカフ1の手首2表面側の面から手首2とは反対側の面の間の寸法は、全体に亘ってほぼ等しく形成されている。
【0032】
ここで、外側シート材8aは全体にわたってほぼ等しい厚みに形成されている。一方、内側シート材8bのうちの、橈骨茎状突起部7の中央部7aに対する前腕長手方向の両端側にそれぞれ配置される部分は、外側シート材8aとほぼ同一の厚みを有する肉薄部12bとして形成されているが、内側シート材8bのうちの橈骨茎状突起部7の中央部7aの略直上に配置される部分は、肉薄部12bよりも厚みが厚い肉厚部12aとして形成されている。
【0033】
このように形成されたカフ1の内部を加圧することによりカフ1にて手首2を圧迫すると、内側シート材8bの肉厚部12aは肉薄部12bよりも剛性が高くなっているため、膨脹量が肉薄部12bよりも小さくなる。このため手首2表面に向けてのカフ1の膨脹量は、橈骨茎状突起部7の中央部7aの略直上に配置されている部分(すなわち肉厚部12aが形成されている部分)よりも、橈骨茎状突起部7の中央部7aに対する前腕長手方向の両端側に配置されている部分(すなわち肉薄部12bが形成されている部分)の方が、大きくなり、このため、カフ1から手首2の表面にかけられる圧迫力は、橈骨茎状突起部7の中央部7aに対する前腕長手方向の両端側でのカフ1から手首2表面への圧迫力の方が、橈骨茎状突起部7の中央部7aの略直上での圧迫力よりも大きくなる。
【0034】
この結果、図1に示す参考例の場合と同様に、カフ1が装着されて圧迫力がかけられている領域において、橈骨動脈3には血流の上流側から下流側に亘ってほぼ均一な分布で圧迫力がかけられることとなり、ノイズが重畳しないカフ圧−脈圧曲線のカーブが測定できて、高い測定精度にて血圧の測定を行なうことができるものである。
【0035】
図11は手首血圧計システムの一例を示している。この手首血圧計システムは、腱9から橈骨茎状突起7を含み、橈骨5の方向へ巻回するカフ1、およびカフ1を手首2に固定するバンド22、橈骨動脈3が阻血するまで加圧するポンプ23、阻血後徐々に排気する定速排気弁24、カフ1の内圧に重畳した橈骨動脈3の脈波信号を検出する圧力センサー25および例えば0.5〜10Hzのバンドパスフィルタ26、脈波信号をたとえば50Hzのサンプリングでデジタル化するA/D変換器27、血圧判定を行うCPU28、血圧測定終了後、測定値を表示させる表示器29、カフ1を急速排気する急速排気弁30により構成されている。カフ1を腱9の真上から橈骨5へ巻回させ、バンド22で手首2に固定した後、たとえば24.0kPa(180mmHg)までポンプ23によって加圧し、橈骨動脈3を阻血したのち、たとえば定速排気弁24によって0.4kPa/s(3mmHg/s)で減圧しながら、カフ1の内圧に重畳した橈骨動脈3の脈波のみを圧力センサー25及びバンドパスフィルタ26で抽出する。脈波信号はA/D変換器27でデジタル信号としてCPU28に取り込まれ、脈拍数、最高、最低血圧を判定し、表示器29に表示する。
【0036】
【発明の効果】
上記のように本発明に係る血圧計用カフは、手首周方向に巻回されて手首を圧迫する血圧計用カフにおいて、カフの手首周方向の長さは、手首手掌側の腱が配置されている硬い組織エリアを起点として橈骨側に巻き付けたときに橈骨動脈を通り少なくとも橈骨茎状突起部に至り且つ尺骨動脈には至らないような長さを有すると共に、カフの前腕長手方向の長さは、少なくとも橈骨茎状突起部の略直上において橈骨動脈を局所的に圧迫するための長さを有し、カフを手首周方向に巻回させて圧迫させた際の、橈骨茎状突起部の中央部に対する前腕長手方向の両端側でのカフから手首表面への圧迫力が、橈骨茎状突起部の中央部の略直上での圧迫力よりも大きくなるように形成するため、カフの手首周方向の一端部を手首手掌側の腱などの硬い組織エリアに位置させ、これを起点としてカフを橈骨側に向かって巻き付けることで、尺骨動脈を阻血せずに、橈骨動脈のみを阻血でき、同時に阻血した場合に生じる2本の動脈の脈波信号の干渉による血圧判定精度への影響を軽減して、信頼性の高い血圧、脈波測定等の測定を実施でき、正確な血圧値を判定することができるものであり、しかも、手首を圧迫することにより橈骨動脈を圧迫させて測定するにあたり、橈骨動脈には、橈骨茎状突起部の中央部と手首の表面との間に配置されている部分については、手首の表面側に向けて***している橈骨茎状突起部の中央部のために充分な圧迫力がかけられ、また橈骨茎状突起部の中央部に対して前腕長手方向の両端側にそれぞれ配置されている部分については、この部分におけるカフから手首にかかる圧迫力を大きくして同様に充分な圧迫力をかけることができるものであり、この結果、カフが装着されて圧迫力がかけられている領域において、橈骨動脈には血流の上流側から下流側に亘ってほぼ均一な分布で圧迫力をかけることができ、ノイズが重畳しないカフ圧−脈圧曲線のカーブが測定できて、高い測定精度にて血圧の測定を行なうことができるものである。
また、請求項1に係る発明では、橈骨茎状突起部の中央部の略直上に配置される中央カフと、橈骨茎状突起部の中央部に対する前腕長手方向の両端側にそれぞれ配置される二つの側部カフとを前腕長手方向に連設してカフを形成し、装着状態における中央カフの手首表面側の面から手首とは反対側の面の間の寸法が、側部カフよりも小さく形成するため、カフの内部を加圧することによりカフにて手首を圧迫すると、橈骨茎状突起部の中央部の略直上に配置されている中央カフよりも、橈骨茎状突起部の中央部に対して前腕長手方向の両端側に配置されている各側部カフの方が、膨脹量が大きくなり、このため、橈骨茎状突起部の中央部に対する前腕長手方向の両端側でのカフから手首表面への圧迫力を、橈骨茎状突起部の中央部の略直上での圧迫力よりも大きくすることができるものである。
また、請求項2に係る発明では、手首表面側におけるカフの外装を構成するシート材の厚みを、橈骨茎状突起部の中央部の略直上に配置される部分の方が、橈骨茎状突起部の中央部に対する前腕長手方向の両端側にそれぞれ配置される部分よりも厚くなるように形成するため、シート材の厚みが厚くなっている部分は剛性が高くなって、カフの内部を加圧することによりカフにて手首を圧迫すると、カフの手首表面側への膨脹量が、シート材の厚みが厚くなっている部分で小さくなり、この結果橈骨茎状突起部の中央部に対する前腕長手方向の両端側でのカフから手首表面への圧迫力を、橈骨茎状突起部の中央部の略直上での圧迫力よりも大きくすることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態の参考例を示す、カフを手首に装着した場合での、前腕長手方向に沿った断面図である。
【図2】 本発明の実施の形態の他の参考例を示す、カフを手首に装着した場合での、前腕長手方向に沿った断面図である。
【図3】 本発明の実施の形態の一例を示す、カフを手首に装着した場合での、前腕長手方向に沿った断面図である。
【図4】 本発明の実施の形態の他例を示す、カフを手首に装着した場合での、前腕長手方向に沿った断面図である。
【図5】 カフにて手首を圧迫した際における橈骨動脈にかかる圧迫力を示すグラフである。
【図6】 本発明での、カフにて手首を圧迫した際におけるカフ圧−脈圧曲線を示すグラフである。
【図7】 本発明での、カフの装着状態を手首手掌側から見た平面図である。
【図8】 同上の断面図である。
【図9】 (a)は同上の側面図、(b)は斜視図である。
【図10】 更に他の実施形態の断面図である。
【図11】 血圧計の概略構成図である。
【図12】 従来技術を示す、カフを手首に装着した場合での、前腕長手方向に沿った断面図である。
【図13】 従来技術での、カフにて手首を圧迫した際におけるカフ圧−脈圧曲線を示すグラフである。
【符号の説明】
1 カフ
1a 中央カフ
1b 側部カフ
2 手首
3 橈骨動脈
4 尺骨動脈
5 橈骨
7 橈骨茎状突起部
7a 中央部
8 シート材
9 腱
11 弾性部材
50 組織エリア
Claims (2)
- 手首周方向に巻回されて手首を圧迫する血圧計用カフにおいて、カフの手首周方向の長さは、手首手掌側の腱が配置されている硬い組織エリアを起点として橈骨側に巻き付けたときに橈骨動脈を通り少なくとも橈骨茎状突起部に至り且つ尺骨動脈には至らないような長さを有すると共に、カフの前腕長手方向の長さは、少なくとも橈骨茎状突起部の略直上において橈骨動脈を局所的に圧迫するための長さを有し、橈骨茎状突起部の中央部の略直上に配置される中央カフと、橈骨茎状突起部の中央部に対する前腕長手方向の両端側にそれぞれ配置される二つの側部カフとを前腕長手方向に連設して前記カフを形成し、装着状態における中央カフの手首表面側の面から手首とは反対側の面の間の寸法が、側部カフよりも小さく形成されて、カフを手首周方向に巻回させて圧迫させた際の、橈骨茎状突起部の中央部に対する前腕長手方向の両端側でのカフから手首表面への圧迫力が、橈骨茎状突起部の中央部の略直上での圧迫力よりも大きくなるように形成して成ることを特徴とする血圧計用カフ。
- 手首周方向に巻回されて手首を圧迫する血圧計用カフにおいて、カフの手首周方向の長さは、手首手掌側の腱が配置されている硬い組織エリアを起点として橈骨側に巻き付けたときに橈骨動脈を通り少なくとも橈骨茎状突起部に至り且つ尺骨動脈には至らないような長さを有すると共に、カフの前腕長手方向の長さは、少なくとも橈骨茎状突起部の略直上において橈骨動脈を局所的に圧迫するための長さを有し、手首表面側における前記カフの外装を構成するシート材の厚みを、橈骨茎状突起部の中央部の略直上に配置される部分の方が、橈骨茎状突起部の中央部に対する前腕長手方向の両端側にそれぞれ配置される部分よりも厚くなるように形成して、カフを手首周方向に巻回させて圧迫させた際の、橈骨茎状突起部の中央部に対する前腕長手方向の両端側でのカフから手首表面への圧迫力が、橈骨茎状突起部の中央部の略直上での圧迫力よりも大きくなるように形成して成ることを特徴とする血圧計用カフ。
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