JP3635762B2 - 半導体基板表面欠陥の検査方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、LSI等の基板として用いられる半導体基板の特性を劣化させる表面欠陥を自動検査する検査方法に係り、新たなフローパターンの認識アルゴリズムにより、フローパターン密度とスモールピット密度を個別に認識、測定し、基板面内全体にわたって表面欠陥の分別評価やその密度分布の測定を可能にした半導体基板表面欠陥の検査方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種デバイスの基板として用いられる半導体基板、例えば、シリコンウェーハの表面をas−grown状態で欠陥選択エッチングすると、表面欠陥が顕在化される。従来は、光学顕微鏡を用いた目視検査によって各種表面欠陥の密度計測が行われてきた。
【0003】
例えば、表1に示すごとく、観察される欠陥には種々の特徴がある。しかし、従来、ウェーハ全面にわたって詳細な表面欠陥密度分布を計測することは非常に困難であり、その結果、重要な情報が見落とされていた。
【0004】
【表1】
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
表面欠陥はデバイス特性を劣化させるが、各種表面欠陥がウェーハ特性に与える影響は、現在のところ明確ではない。そのため、単純な表面欠陥だけでなく、フローパターンのような複雑な形状の表面欠陥に対しても、分別評価や密度分布の測定をウェーハ面内にわたって、詳細に行える画像処理装置が望まれている。
【0006】
最近、欠陥の自動計測や特徴量の抽出を定量的に行う方法が提案されてきている。例えば、カメラから入力された検査画像と参照画像との間で差演算を行って、画像拡大処理および濃淡変換処理の後に疑似欠陥を排除して、真の欠陥のみを計測する方法(特許開4−16752号)が提案されている。ところが、欠陥の分別評価を行っていないという欠点がある。
【0007】
また、2値化された欠陥像について個々の面積、凹凸を特徴量として抽出し、基準となる画像と比較して、欠陥数を計測する方法(特許開2−177548号)が提案されているが、欠陥の特徴量の抽出は行えるものの単純なピットのみに限られるといった欠点があった。
【0008】
この発明は、光学顕微鏡を用いた各種表面欠陥の密度計測において、表面欠陥密度の面内分布測定を可能となし、また、画像より面積と形状を測定して、表面欠陥の分別評価を可能とする半導体基板表面欠陥の検査方法の提供を目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
発明者は、光学顕微鏡とCCDカメラを用いて撮影した被測定半導体基板の測定用画像を2値化した画像より、欠陥像の面積及び形状を抽出して欠陥数を計測する表面欠陥の検査方法において、表面欠陥の分別評価が可能な方法を目的に種々検討した結果、読み込みして処理した2値化画像より微小粒子画像をノイズとして除去した計測用画面を作成し、これを特定方法でスキャンすると、本来のフローパターンの場合には、増加した後パターン長さの減少はあまり見られないが、付随パターンの場合には増加後にパターン長さの大きな減少が見られることから、正確なフローパターンの認識、計測が可能なことを知見し、さらに、フローパターン密度とスモールピット密度との間には違いがあることを知見し、この発明を完成した。
【0010】
この発明は、表面欠陥を顕在化させた被測定半導体基板を光学顕微鏡とCCDカメラを用いて撮影した測定画像をコンピュータにて画像処理することにより、上記基板表面の欠陥数を計測する半導体基板表面欠陥の検査方法である。
その特徴ある点は、上記コンピュータによる画像処理が、(1)表面欠陥を含む前記測定画像から背景画像を除去するステップと、(2)背景画像を除去した前記測定画像を強調処理するステップと、(3)強調処理された前記測定画像を2値化処理するステップと、(4)2値化処理された前記測定画像から所定のサイズ以下の微小粒子画像をノイズとして除去して計測用画面とするステップとを含み、前記欠陥数の計測が、(5)前記ステップ(4)で得られた計測用画面を所定の横長測定枠で下から上方向にスキャニングして測定枠内に入ったパターンの長さを計測し、前記パターンの長さに基づいてフローパターンと付随パターンを分別することによりフローパターンを測定するステップと、(6)前記ステップ(4)で得られた計測用画面において欠陥の特徴量計測手法を用いてスモールピットを測定するステップとからなることにある。
【0011】
【発明の実施の形態】
この発明による半導体基板表面欠陥の自動検査装置の概略図を図1に示す。この自動検査装置は、平面2軸方向に移動可能にしたXYステージに被測定半導体基板を載置し、自動焦点装置並びにCCDカメラを有する半導体基板検査用光学顕微鏡にて、被測定半導体基板を観察する。XYステージ並びに自動焦点装置はホストコンピュータ(ホストPC)にて制御され、CCDカメラからの画像入力信号は画像処理用コンピュータで処理されて欠陥の抽出と面積、密度を求められ、その計測データー等はホストコンピュータでデーター処理され、画像データーは画像記憶装置に記録される構成からなる。
【0012】
画像処理による検査方法のフローチャートを図2に示す。CCDカメラからの測定画像は背景画像を除いた後、輪郭強調処理され、強調処理された画像に対して2値化処理を行う。続いて、微小粒子をノイズとして除去する。この段階で、表1に示す表面欠陥の混在した画像が得られるが、両欠陥の認識アルゴリズムが異なるため分離して考える。
【0013】
詳述すると、まず、全く欠陥のない背景画像(B)を例えば256階調のグレースケールで取り込み、同様に欠陥を含む測定画像(I)を取り込み、次いで画像の差演算処理(I−B)を行い、欠陥測定画像からほぼ背景を除去する。続いて、輪郭強調処理する。これは、強調処理を行わないときは、背景を除去した欠陥測定画像と画面上の画像の明るさは比例関係にあるものを、元の画像の暗いところはさらに暗く、明るいところはさらに明るくする強調処理によって、差演算処理された画像のコントラストをより鮮明にする。
【0014】
取り込み後に背景除去して強調処理を行った画像は、取込み時の階調のままであるが、この画像に対して、例えば20の明るさを閾値として2値化処理を行う。この2値化処理においてほぼ欠陥のみが分離された画像が得られるが、閾値より僅かに明るい明るさをもった背景がノイズとして2値化画像に取り込まれてしまう。これらは本来の欠陥と比べて明らかに小さいので、ある閾値以下のサイズの微小粒子をノイズとして除去することによって、欠陥のみの2値化像を得ることができる。
【0015】
フローパターンは、図3に示すように本来のフローパターンとは異なる、付随パターンを伴うことがあるため、それらの分離を行って計測する必要がある。そこで、この発明では新たにフローパターンの認識アルゴリズムを考案した。フローパターン認識アルゴリズムを図4に示す。このアルゴリズムでは、2値化画像の中で横長の窓、すなわち測定画面一杯の横幅で縦長さを測定時間とフローパターン寸法とを考慮した画面高さの数十分の1の長さに設定した横長測定枠を用いて画面を下から上へとスキャンさせる。そのとき、枠内に入ったパターンの長さを計測する。
【0016】
図3に見られるフローパターンを測定したときの結果を図5に示す。本来のフローパターンの場合には、増加した後パターン長さの減少はあまり見られないが、付随パターンの場合には増加後にパターン長さの大きな減少が見られるという特徴がある。両者の間にはこの様な顕著な違いが見られるため、減少の度合いの閾値を設定することによって、図示のごとく分別を行うことができる。
【0017】
一方、スモールピットについては、画像処理コンピュータにより以下の欠陥の特徴量計測手法を用いて、面積、形状の測定を行った。すなわち、画像において、各々のスモールピットは多数のピクセルの塊として認識されており、面積とはピットを構成するピクセル数、形状は例えば凹凸の度合いというパラメーターを用いてピットの面積と形状の測定を行う。これはビットの外周長と面積からなるパラメータでピットが円形になる程1に近づき、円形からずれるに従って大きくなる。各種欠陥でこのパラメータは大きく異なるため、欠陥の分離を行うことができる。
【0018】
【実施例】
<実施例1>
試料に引き上げ速度1.1mm/minのas−grownウェーハを用い、このウェーハを15分間、およそ10μm、欠陥選択エッチングしてas−grown状態での表面欠陥を顕在化させた後、図1の自動検査装置を用いて図2及び図4に示すフローでこの発明による検査を実施した。
【0019】
図6にフローパターン密度、図7にスモールピット密度の面内密度分布を示す。今回の測定は3mm間隔で行った。なお、図6、図7は本来、コンピューターに接続されたカラープリンターにて出力されたカラー画像であるが、10色の区分を10種の領域表示に変換図示してある。この発明による自動検査装置並びに検査方法によって、1.1mm/minウェーハではフローパターン密度とスモールピット密度との間には違いがあることが明確になった。
【0020】
従来の目視検査は、図8に示すような、1cm間隔の測定でしかも直径方向の1方向計測で行われることが多かった。そのため、欠陥の面内分布の測定は不可能であった。ところがこの発明により、従来法では不可能であった、表面欠陥の分別評価が可能になったといえる。
【0021】
【発明の効果】
この発明による半導体基板表面欠陥の検査方法は、2値化された画像より欠陥像の面積及び形状を抽出して欠陥数を計測する検査方法において、新たなフローパターンの認識アルゴリズムにより、フローパターン密度とスモールピット密度を個別に認識、測定し、基板面内全体にわたって表面欠陥の分別評価やその密度分布の測定を可能にしたことよって、従来不可能であったシリコンウェーハ表面欠陥の分別評価が可能となり、LSI等の基板として用いられるシリコンウェーハの高品質化に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による半導体基板表面欠陥の自動検査装置の構成を示す概略図である。
【図2】この発明による半導体基板表面欠陥の検査方法のステップを示すフローチャート図である。
【図3】この発明方法によりフローパターンを測定したときの計測用画面を示す説明図である。
【図4】この発明方法によるフローパターンの認識アルゴリズムを示す説明図である。
【図5】フローパターン長さと位置との関係を示すグラフである。
【図6】Aはこの発明方法によりコンピューターで出力したフローパターン密度分布を示す説明図であり、Bは測定位置を示す説明図である。
【図7】Aはこの発明方法によりコンピューターで出力したスモールピット密度の面内密度分布を示す説明図であり、Bは測定位置を示す説明図である。
【図8】従来方法の測定結果を示す、ウェーハ中心からの距離と欠陥数との関係を示すグラフである。
Claims (1)
- 表面欠陥を顕在化させた被測定半導体基板を光学顕微鏡とCCDカメラを用いて撮影した測定画像をコンピュータにて画像処理することにより、前記基板表面の欠陥数を計測する半導体基板表面欠陥の検査方法において、
前記コンピュータによる画像処理が、
(1)表面欠陥を含む前記測定画像から背景画像を除去するステップと、
(2)背景画像を除去した前記測定画像を強調処理するステップと、
(3)強調処理された前記測定画像を2値化処理するステップと、
(4)2値化処理された前記測定画像から所定のサイズ以下の微小粒子画像をノイズとして除去して計測用画面とするステップと
を含み、
前記欠陥数の計測が、
(5)前記ステップ(4)で得られた計測用画面を所定の横長測定枠で下から上方向にスキャニングして測定枠内に入ったパターンの長さを計測し、前記パターンの長さに基づいてフローパターンと付随パターンを分別することによりフローパターンを測定するステップと、
(6)前記ステップ(4)で得られた計測用画面において欠陥の特徴量計測手法を用いてスモールピットを測定するステップと
からなることを特徴とする半導体基板表面欠陥の検査方法。
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