JP3632790B2 - プランジャー支持機構 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、雌型に供給された溶融ガラス塊(以下、「ゴブ」と称する)を雄型でプレス成型してTVブラウン管及びCRT等のパネル、ファンネル等のガラス成型品にプレス成型するモールド成型装置のプランジャー支持機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
ボトム金型(雌型)にゴブを供給し、このボトム金型の上方に配置されたプランジャー(雄型)を昇降装置により下降移動させ、ボトム金型内のゴブをプランジャーで押圧成型してガラス製品にプレス成型するモールド成型装置が知られている。このようなモールド成型装置では、プランジャーとボトム金型の相互の位置がズレていると、生産されるガラス製品の肉厚にバラツキが発生したり、プランジャーとボトム金型とが干渉したりするため、ボトム金型に対するプランジャーの位置合わせが必要になる。
【0003】
そこで、本願出願人は、プランジャーの上部に設けられたプランジャーフランジをフローティング状態で保持することにより、プランジャーを水平方向に移動自在に支持し、そして、キーとキー溝によってプランジャーをボトム金型に案内させてボトム金型に対する位置合わせを可能にしたプランジャー支持機構を提案している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記プランジャー支持機構では図23(A)に示すように、ボトム金型1の軸心1Aに対してプランジャー2の軸心2Aがズレていても、プランジャーフランジ3がプランジャー支持機構4によってフローティング状態で保持されているので、図23(B)に示すようにプランジャー2の軸心2Aがボトム金型1の軸心1Aに合うようにプランジャー2が矯正移動されながらゴブ5を押圧成型するという利点がある。
【0005】
しかしながら、前記プランジャー支持機構では、昇降装置のロッド6もプランジャー2の矯正移動に追従して弾性変形(傾斜)してしまうため、プランジャー2を昇降装置によってボトム金型1から引き上げようとすると、前記ロッド6の復元力がプランジャー支持機構4、プランジャーフランジ3を介してプランジャー2に伝達する。このため、プランジャー2も元の位置に復元しようとするので、図23(C)に示すようにプランジャー2の先端部分2Bが、押圧成型したファンネル7の肉厚の薄い基端部7Aに接触してしまい、ファンネル7の基端部7Aにひび割れや欠けが発生するという欠点がある。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、ガラス成型品のひび割れや欠けを防止して品質の良いガラス成型品を安定してプレス成型することができるモールド成型装置のプランジャー支持機構を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決する為の手段】
本発明は、前記目的を達成する為に、溶融ガラス塊が内部に供給されるボトム金型と、該ボトム金型の上方に配置され、下降移動されることにより前記ボトム金型内の溶融ガラス塊を押圧成型してガラス製品にプレス成型するプランジャーと、前記プランジャーの上部に設けられたプランジャーフランジをフローティング状態で保持することにより該プランジャーを水平方向に移動自在に支持するフローティング支持部と、前記フローティング支持部を介して前記プランジャーを昇降移動させる昇降装置と、を備えたプランジャー支持機構に於いて、前記フローティング支持部を前記昇降装置に対して揺動自在に支持したことを特徴としている。
【0008】
本発明は、ガラス成型品に生じるひび割れや欠けの原因が、ボトム金型からプランジャーを引き上げる際に昇降装置の復元力がフローティング支持部を介してプランジャーに伝達する点にあることに着目し、この原因を防止するために、フローティング支持部を昇降装置に対して揺動自在に支持したものである。
これにより、プランジャーの引き上げ時における昇降装置の復元力は前記揺動動作によって吸収されてフローティング支持部に伝達しないので、プランジャーはボトム金型に心出しされた状態、即ち揺動手段で揺動されて傾斜した状態で引き上げられる。従って、ガラス成型品にはひび割れや欠けが生じない。
【0009】
請求項2記載の発明は、フローティング支持部に中心復元装置を設け、この中心復元装置によってプランジャーの軸心をフローティング支持部の軸心に合わせるようにしたものである。
請求項3記載の発明は、前記中心復元装置として非接触型の中心復元装置を採用し、プランジャーの軸心をフローティング支持部の軸心に非接触で合わせるようにしたものである。このように、非接触で軸合わせをすると、接触式で軸合わせする機構と比較して、プランジャーフランジの磨耗を防止できるので、正確に軸合わせを行うことができる。
【0010】
請求項4記載の発明は、複数本のハンガー部材によってフローティング支持部を昇降装置に吊り下げ支持し、これらのハンガー部材に設けた球面軸受によって前記フローティング支持部を揺動自在に支持したものである。これにより、フローティング支持部は昇降装置に対して円滑に揺動する。
請求項5記載の発明は、ボールジョイントで前記揺動動作を可能としたもので、これにより、フローティング支持部は昇降装置に対して円滑に揺動する。
【0011】
請求項6記載の発明は、粘性流体装置による粘性流体の抵抗で前記揺動動作を可能としたもので、これにより、フローティング支持部は粘性流体の粘性抵抗によって昇降装置に対し円滑に揺動する。
請求項7記載の発明は、姿勢保持手段によって前記フローティング支持部を所定の揺動位置で保持するようにしたもので、プランジャーがボトム金型に心出しされた状態、即ち揺動手段で揺動されて傾斜した状態を前記姿勢保持手段で保持させれば、プランジャーは前記傾斜状態が保持されたまま引き上げられるので、ガラス成型品に生じるひび割れや欠けを確実に防止できる。
【0012】
請求項8記載の発明は、フローティング支持部にウエイト部材を取り付けることにより、フローティング支持部を昇降装置に対して揺動させて、プランジャーの軸心をボトム金型の軸心に予め合わせるようにしたものである。これにより、プランジャーは、ボトム金型の軸心に合った状態でゴブを押圧成型し、そして、引き上げ時も同様にボトム金型の軸心に合った状態で引き上げられるので、ガラス成型品にはひび割れや欠けが生じない。
【0013】
請求項9記載の発明は、フローティング支持部に中心復元装置を設け、この中心復元装置によって、プランジャーフランジの周面に圧縮空気を供給し、プランジャーの軸心をフローティング支持部の軸心に非接触で合わせるようにしたものである。このように、非接触で軸合わせをすると、接触式で軸合わせする機構と比較して、プランジャーフランジの磨耗を防止できるので、正確に軸合わせを行うことができる。
【0014】
請求項10記載の発明は、フローティング支持部に自成絞りノズルを形成し、該自成絞りノズルから圧縮空気を供給してプランジャーフランジをフローティング状態で保持するようにしたものである。このように自成絞りノズルを採用すると、毛細管絞りノズルと比較して、空気圧調整の自由度が大きくなり、また、プランジャーフランジの自励振動を防止することができるので、プランジャーフランジをバランス良くフローティング状態で支持することができる。
【0015】
請求項11記載の発明は、プランジャーをプランジャーフランジに対して揺動自在に支持したものである。
これにより、プランジャーの引き上げ時における昇降装置の復元力は、前記プランジャーに対するプランジャーフランジの揺動動作によって吸収されてプランジャーに伝達しないので、プランジャーはボトム金型に心出しされた状態で引き上げられる。従って、ガラス成型品にはひび割れや欠けが生じない。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係るプランジャー支持機構の好ましい実施の形態について詳説する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るプランジャー支持機構が適用されたファンネル成型用モールド成型装置の要部側面図である。同図に示すモールド成型装置10はボトム金型12、プランジャー14、及びプランジャー支持機構16等を有している。
【0017】
前記ボトム金型12はインデックステーブル18上に開放部20を上方に向けて固定され、その内部にゴブ22が供給される。このゴブ22は、プランジャー14の下降移動によって図2に示すように押圧成型され、これにより図3に示すファンネル24にプレス成型される。また、図1において前記ボトム金型12は、インデックステーブル18上に所定の間隔で複数台(本装置では11台)設置されており、各々に充填されたゴブ22、22…がインデックステーブル18の回転でプランジャー14の下方に間欠移動されて、前記プランジャー14によってファンネル24(図3参照)に順次プレス成型される。
【0018】
前記プランジャー14は、その上部が前記プランジャー支持機構16に支持されている。プランジャー支持機構16については後述する。前記プランジャー支持機構16はヘッド28の下部に固定され、このヘッド28の上部には油圧ラムシリンダ30のロッド32が固定されている。従って、油圧ラムシリンダ30のロッド32を伸縮動作させると、前記ヘッド28がインナーコラム34、アウターコラム36にガイドされて昇降移動することにより、プランジャー14がプランジャー支持機構16を介して成型方向、引き上げ方向に昇降移動する。前記プランジャー14の周辺部には複数本のキー38が配設され、このキー38に形成されたキー溝40に当接し前記キー38をガイドする爪42がボトム金型12の上部に設けられている。
【0019】
ところで、前記プランジャー支持機構16は図4に示すように、フローティング支持部44と揺動支持部46とから成る。
前記フローティング支持部44は、プランジャー14の上部に設けられたフランジ48を圧縮空気によってフローティング支持するものである。前記フランジ48は、枠体50の内部に形成された隙間52に配置され、この隙間52に毛細管絞りノズル54、54…を介して供給される圧縮空気によってフローティング状態で支持される。前記毛細管絞りノズル54、54…は、前記枠体50の上部、下部に多数形成され、各々の毛細管絞りノズル54、54…は図示しないパイプを介して圧縮空気供給源に接続されている。
【0020】
前記揺動支持部46は、前記フローティング支持部44をヘッド28に対して揺動自在に支持するもので、ハンガーピン56と球面軸受58とから構成されている。
前記ハンガーピン56は、プランジャー軸心14Aの同心円上に3本配置され、各々が前記ヘッド28の下部に固定された中間プレート60の貫通孔62と前記枠体50の上部に形成された貫通孔64とを介して挿通配置されている。ハンガーピン56は、上部に形成された大径部66によって前記貫通孔62からの脱落が防止され、また、下部にナット68によって固定された軸受支持プレート70によって前記貫通孔64からの脱落が防止されている。これにより、フローティング支持部44は、3本のハンガーピン56、56、56を介してヘッド28に吊り下げ支持されている。
【0021】
前記軸受支持プレート70上には、前記球面軸受58(球面座)が形成される。この球面軸受58はプランジャー軸心14A上に形成されて、枠体50に固着された平面座72に押圧当接される。従って、この球面軸受58によりフローティング支持部44の揺動動作が円滑に行えるようになっている。
次に、前記の如く構成された本実施の形態に係るプランジャー支持機構の作用について、図5に示す模式図を用いて説明する。
【0022】
先ず、プレス時には、図5(A)に示すように、ボトム金型12の軸心12Aに対してプランジャー14の軸心14Aがズレていても、プランジャーフランジ48がフローティング支持部44によって圧縮空気によりフローティング状態で支持されているので、図5(B)に示すようにプランジャー14の軸心14Aがボトム金型12の軸心12Aに合うようにプランジャー14が矯正移動されながらゴブ22を押圧成型する。これにより、ゴブ22からファンネル24がプレス成型される。また、この時、中間プレート60及びその上方に位置するヘッド28、ロッド32(図1参照)は、プランジャー14の矯正移動に追従して弾性変形(傾斜)している。
【0023】
そして、成型終了後、プランジャー14を引き上げようとすると、その際に生じる前記中間プレート60等の復元力は図5(C)に示すように、前記揺動支持部46によって吸収されるので、フローティング支持部44には伝達しない。これにより、プランジャー14は、軸心14Aがボトム金型12の軸心12Aと一致した状態、即ち揺動支持部46で揺動されて傾斜した状態で引き上げられるようになるので、プランジャー14の先端部によるファンネル24のこじりは生じない。従って、本実施の形態では、ファンネル24に生じるひび割れや欠けを防止することができる。
【0024】
図6は、本発明の第2の実施の形態に係るプランジャー支持機構を示す要部断面図で、図4に示した第1の実施の形態と同一、若しくは類似の部材については同一の符号を付してその説明は省略する。
図6に示すプランジャー支持機構は、揺動支持部としてボールジョイント74を採用したものである。前記ボールジョイント74の球体部76は、枠体50の上面でプランジャー軸心14A上に設けられ、また、ボールジョイント74の球面座78は中間プレート60の下部に埋め込まれている。
【0025】
このように構成されたプランジャー支持機構も、図4に示したプランジャー支持機構と同様に、フローティング支持部44が中間プレート60に対して揺動するので、ファンネル24に生じるひび割れや欠けを防止することができる。
図7は、本発明の第3の実施の形態に係るプランジャー支持機構を示す要部断面図で、図4に示した第1の実施の形態と同一、若しくは類似の部材については同一の符号を付してその説明は省略する。
【0026】
図7に示すプランジャー支持機構は、揺動支持部としてシリコン、又はポリブデン等の粘性流体80を採用したものである。前記粘性流体80は、ハンガーピン56の下部に固着された容器82内に充填されると共に、この容器82の上縁部に設けられたパッキン84を介して枠体50との間で密封されている。これにより、フローティング支持部44は粘性流体80の粘性抵抗によって中間プレート60に対して揺動するので、ファンネル24に生じるひび割れや欠けを防止することができる。
【0027】
一方、プランジャー軸心14A上に位置する前記枠体50の上面には、前記容器82に連通する開口部86が形成され、この開口部86には、粘性流体80の油圧を高めるためのピストン88が嵌入されている。前記ピストン88は、油圧シリンダ90のロッド92にピン94を介して回動自在に連結されている。
前記ロッド92の伸長動作で粘性流体80の油圧が高められると、その油圧の反力が枠体50に作用するので、フローティング支持部44を所定の揺動位置で保持することができる。本実施の形態では、油圧シリンダ90、ピストン88等でフローティング支持部44の姿勢保持装置が構成されている。
【0028】
従って、本実施の形態ではプランジャー14の引き上げ時に、前記油圧シリンダ90を作動させて粘性流体80の油圧を高めると、プランジャー14はボトム金型12に心出しされた状態のまま引き上げられるので、ファンネル24に生じるひび割れや欠けを確実に防止できる。
図8は、図4に示した第1の実施の形態のプランジャー支持機構に、フローティング支持部44の姿勢保持装置を設けたものである。
【0029】
同図に示す姿勢保持装置は、ボビン96及びコア98等から成る電磁石式のもので、ヘッド28の下面周部に所定の間隔で複数台設置されている。前記ボビン96はヘッド28に固定されると共にボビン96内にはコア98が配置され、このコア98は、電源部100からボビン96に電圧を印加すると昇降移動する。このコア98にはロッド102が固着されており、ロッド102には断面L字状の受け板104が支持されている。
【0030】
このように構成された姿勢保持装置によれば、プランジャー14の引き上げ時に、前記各々の姿勢保持装置を作動させてコア98、98…を上昇移動させると、各々の受け板104、104…が枠体50の下面に当接する。この状態を保持すれば、プランジャー14はボトム金型12に心出しされた状態のまま、即ち傾斜した状態のまま引き上げられるので、ファンネル24に生じるひび割れや欠けを確実に防止できる。
【0031】
図9は、図8に示した電磁石式の姿勢保持装置に代えて、モータ106と送りネジ棒108等から成る機械式の姿勢保持装置を設けたものである。
前記モータ106は、ヘッド28の下面周部に所定の間隔で複数台設置され、送りネジ棒108はモータ106の回転によって昇降移動する。送りネジ棒108の下部には受け板104が支持されている。
【0032】
このように構成された姿勢保持装置によれば、プランジャー14の引き上げ時に、前記各々のモータ106、106を作動させて送りネジ棒108、108…を上昇移動させると、各々の受け板104、104…が枠体50の下面に当接する。この状態を保持すれば、プランジャー14はボトム金型12に心出しされた状態のまま、即ち傾斜した状態のまま引き上げられるので、ファンネル24に生じるひび割れや欠けを確実に防止できる。
【0033】
図10は、図4に示した第1の実施の形態のプランジャー支持機構に、ウエイト部材110を着脱自在に取り付けて、プランジャー軸心14Aをボトム金型軸心12Aに予め合わせるようにしたものである。
前記ウエイト部材110、110…は、枠体50に植設された棒材112に選択された個数分だけ挿入配置されている。
【0034】
このように、ウエイト部材110、110を用いてプランジャー軸心14Aをボトム金型軸心12Aに予め合わせておくと、プランジャー14は、その軸心14Aがボトム金型軸心12Aに合った状態でゴブ22を押圧成型し、そして、引き上げ時も同様にボトム金型軸心12Aに合った状態で引き上げられるので、ファンネル24にはひび割れや欠けが生じない。
【0035】
図11は、中心復元装置の第1の実施の形態を示す断面図である。この中心復元装置は、プランジャー軸心をフローティング支持部の軸心、即ち枠体軸心に合わせるためのものであり、図4、図6、若しくは図7に示したプランジャー支持機構に併用したものである。
図11に示す中心復元装置120は、枠体50の外周部に所定の間隔をもって複数台設置されている。前記中心復元装置120は、枠体50の孔部51に嵌入固定されるケース122を有し、このケース122の内部には3つの筒状空間部124、126、128が形成されている。両側の空間部124、128にはスプリング130が各々配置され、また、このスプリング130の付勢力によって空間部124、128から先端が突出されたピン132、132が配置されている。前記ピン132、132の先端にはパッド134が取り付けられ、このパッド134は前記スプリング130の付勢力によりプランジャーフランジ48の外周平坦部49に向けて付勢されている。
【0036】
前記中央の空間部126には、ノズル136が図中左右方向に摺動自在に設けられている。このノズル136は、ケース122の蓋138の空気導入孔140から供給された圧縮空気を、前記パッド134に形成された吹出ノズル142に導くもので、これにより前記圧縮空気は吹出ノズル142からフランジ48の外周平坦部49に向けて吹き出される。また、前記パッド134は、ノズル136の球状先端部136Aに揺動自在に支持されている。
【0037】
前記の如く構成された中心復元装置120によれば、全ての中心復元装置120、120…の吹出ノズル142、142…からフランジ48の外周平坦部49に向けて同一圧力の圧縮空気を一斉に吹き出すと、フランジ48は、前記圧縮空気の空気圧に押されてプランジャー軸心がフローティング支持部の軸心に合うように矯正移動する。また、この時、パッド134は、前記空気圧の反力を受けるので、スプリング130の付勢力に抗してフランジ48の外周平坦部49から退避移動する。従って、フランジ48は、パッド134と非接触状態が保持された状態で元の位置に復帰移動する。
【0038】
このように、本実施の形態の中心復元装置120によれば、非接触でプランジャー軸心をフローティング支持部の軸心に軸合わせできるので、接触式で軸合わせする中心復元装置と比較して、プランジャーフランジ48の磨耗を防止でき、これにより、正確に軸合わせを行うことができる。
また、フランジ48の回転方向の位置がズレていると、フランジ48の外周平坦部49の面に対してパッド134の面が平行に倣おうとするために、2本のピン132、132の突出量に差が生じて、2本のスプリング130、130の収縮量(付勢力)に差が生じる。しかし、この時には、収縮量の大きいスプリング130の付勢力が、収縮量の小さいスプリング130の付勢力に勝るため、パッド134は図11に示した元の位置に復元しはじめる。そして、このパッド134の復元移動に追従してフランジ48も、元の位置に回転移動しはじめる。従って、フランジ48は元の回転位置に復帰する。
【0039】
図12は、中心復元装置の第2の実施の形態を示す断面図であり、図11に示した中心復元装置120と同一若しくは類似の部材については同一の符号を付してその説明は省略する。
図12に示す中心復元装置143は、ボビン144及びコア146を採用した電磁石式のものである。ボビン144は筒状ケース148の外周部に固定されている。コア146は、ケース148の内周部に沿って摺動自在に配置されて、前記ボビン144に印加される電圧値に応じてその移動量が制御されている。
【0040】
前記コア146には、スプリング130、130を介してピン132、132が配置される。ピン132、132の先端にはパッド134が取り付けられている。また、ケース148の中央部にはノズル150が図中左右方向に移動自在に設けられている。このノズル150は、空気導入孔152から供給された圧縮空気を、前記パッド134に形成された吹出ノズル142に導くものである。
【0041】
前記の如く構成された中心復元装置143によれば、先ず、ボビン144に所定の電圧を印加してコア146をフランジ48に向けて移動させて、パッド134をフランジ48の外周平坦部49に近接させる。次に、中心復元装置143、143…の吹出ノズル142、142…からフランジ48の外周平坦部49に向けて同一圧力の圧縮空気を一斉に吹き出すと、フランジ48は、前記圧縮空気の空気圧に押されてプランジャー軸心がフローティング支持部の軸心に合うように矯正移動する。また、この時、パッド134は、前記空気圧の反力を受けるので、スプリング130の付勢力に抗してフランジ48の外周平坦部49から退避移動する。従って、フランジ48は、パッド134と非接触状態が保持された状態で元の位置に復帰移動する。
【0042】
このように、本実施の形態の中心復元装置143も、図11に示した中心復元装置120と同様に、非接触でプランジャー軸心をフローティング支持部の軸心に軸合わせできるので、プランジャーフランジ48の磨耗を防止でき、正確に軸合わせを行うことができる。
また、フランジ48の回転方向の位置がズレていると、フランジ48の外周平坦部49の面に対してパッド134の面が平行に倣おうとするために、2本のピン132、132の突出量に差が生じて、2本のスプリング130、130の収縮量(付勢力)に差が生じる。しかし、この時には、収縮量の大きいスプリング130の付勢力が、収縮量の小さいスプリング130の付勢力に勝るため、パッド134は図11に示した元の位置に復元しはじめる。そして、このパッド134の復元移動に追従してフランジ48も、元の位置に回転移動しはじめる。従って、フランジ48は元の回転位置に復帰する。
【0043】
図13は、中心復元装置の第3の実施の形態が適用されたフランジ48と枠体50の半断面図であり、図14は前記中心復元装置の要部拡大断面図である。
同図に示す中心復元装置154は、フランジ48の外周部に向けて圧縮空気を吹き出すノズル156、156…を枠体50の外周部に所定の間隔で形成し、且つ、前記圧縮空気を受けるフランジ48の外周面にテーパ状の空気受け面158、158…を形成したものである。
【0044】
前記空気受け面158には空気排気通路160が連通され、空気排気通路160はフランジ48の中央部に形成された外部排気孔162に連通されている。
前記の如く構成された中心復元装置154によれば、中心復元装置154の全てのノズル156、156…からフランジ48の外周面に向けて同一圧力の圧縮空気を一斉に吹き出すと、フランジ48は、前記圧縮空気の空気圧に押されて移動し、プランジャー軸心14Aがフローティング支持部の軸心44Aに合う元の位置に復帰する。
【0045】
また、フランジ48の回転方向の位置がズレていると、ノズル156から吹き出された圧縮空気は空気受け面158のテーパ面158Aに衝突する。これによりフランジ48は、圧縮空気とテーパ面158Aとの作用によって回転方向の力が加えられて回転し、前記圧縮空気が前記テーパ面158Aに衝突しない元の回転位置(図14に示す位置)で停止する。従って、フランジ48の回転方向の位置ズレが修正される。
【0046】
図15は、枠体50に形成されたリセス55付きの毛細管絞りノズル54の拡大断面図である。そして、図16は、前記毛細管絞りノズル54に代えて採用された自成絞りノズル164の拡大断面図であり、自成絞りノズル164から圧縮空気を供給してプランジャーフランジ48をフローティング状態で保持するようにしたものである。このように自成絞りノズル164を採用すると、毛細管絞りノズル54と比較して、空気圧調整の自由度が大きくなり、また、プランジャーフランジ48の自励振動を防止することができるので、プランジャーフランジ48をバランス良くフローティング状態で保持することができる。
【0047】
尚、前記毛細管絞りノズル54のリセス55の径d 1 は20mmであり、これに対して自成絞りノズル164の径d 2 は0.8mmである。
本実施の形態では、ファンネル成型用モールド成型装置10について説明したが、これに限られるものではなく、パネル成型用モールド成型装置にも適用することができる。
【0048】
本実施の形態では、圧縮空気によってプランジャーフランジ48をフローティング状態で支持するようにしたが、これに限られるものではない。例えば、図17に示すように、プランジャーフランジ48と枠体50との間に転がりローラ170を介在させて、この転がりローラ170、170によってプランジャーフランジ48を枠体50に対してフローティング状態で支持しても良い。また、図18に示すように枠体50を使用せず、ヘッド28に平行リンク機構172、172を介してプランジャーフランジ48をフローティング状態で支持しても良い。更に、図19に示すようにプランジャーフランジ48と枠体50との間に油膜174を形成し、この油膜174によってプランジャーフランジ48をフローティング状態で支持しても良い。また、図20に示すように枠体50の上面、下面に電磁石176、176…を配置させ、これらの電磁石176、176…の磁力によってプランジャーフランジ48をフローティング状態で支持しても良い。
【0049】
本実施の形態では、圧縮空気を採用した非接触式の中心復元装置について説明したが、これに限られるものではなく、磁力、油膜等の非接触手段を採用した非接触式の中心復元装置を用いても良い。
また、本実施の形態では、非接触式の中心復元装置について説明したが、これに限られるものではなく、スプリング等を用いた接触式の中心復元装置を採用しても良い。この場合、前記スプリングを、プランジャーフランジ48の周面に所定の間隔で押圧当接するように配置すれば、プランジャーフランジ48は各々のスプリングの付勢力が等しくなる位置、即ち中心位置に復元する。
【0050】
図21は、本発明に係るプランジャー支持機構の他の実施の形態を示す原理図である。
同図に示すプランジャー支持機構は、フローティング支持部44を昇降装置に対して揺動自在に支持したものとは異なり、プランジャーフランジ48に対してプランジャー14をボールジョイント180を介して揺動自在に支持したものである。
【0051】
前記プランジャー支持機構においても、プランジャー14の引き上げ時における昇降装置の復元力は、前記ボールジョイント180の揺動動作によって吸収されてプランジャー14に伝達しないので、ガラス成型品にはひび割れや欠けが生じない。
図22は、本発明に係るプランジャー支持機構の他の実施の形態を示す原理図である。
【0052】
同図に示すプランジャー支持機構は図21に示したプランジャー支持機構と同様に、プランジャーフランジ48に対してプランジャー14を揺動自在に支持したものである。前記プランジャー支持機構は、図4に示した揺動支持部46と略同じ構造で、3本のハンガーピン182、182、182と球面軸受184から構成されている。
【0053】
前記プランジャー支持機構においても、プランジャー14の引き上げ時における昇降装置の復元力は、前記ハンガーピン182…と球面軸受184とによる揺動動作によって吸収されてプランジャー14に伝達しないので、ガラス成型品にはひび割れや欠けが生じない。但し、図21、図22に示した実施の形態は、微妙なセッティングを要する揺動部がプランジャー14側に、即ち、高温になりやすい側にあり熱変形を受けやすいため、図4、図6、図7に示した実施の形態と比較すると、揺動部のセッティングが難しくなる。また、図21、図22に示した実施の形態は、ウエイト部材等の傾斜調整部材を金型に近い部分に取り付けなければならないので、プレス動作時に邪魔になるおそれがあり、この観点からみると図4、図6、図7に示した実施の形態が有利である。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係るプランジャー支持機構によれば、フローティング支持部を昇降装置に対して揺動自在に支持し、昇降装置の復元力を揺動動作で吸収してプランジャーを傾斜した状態で引き上げるようにしたので、ガラス成型品に生じるひび割れや欠けを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るプランジャー支持機構が適用されたモールド成型装置の側面図
【図2】ファンネル成型時のプランジャーとボトム金型の状態を示す説明図
【図3】ファンネルの縦断面図
【図4】図1に示したプランジャー支持機構の断面図
【図5】図1に示したプランジャー支持機構の動作説明図
【図6】本発明の第2の実施の形態に係るプランジャー支持機構の断面図
【図7】本発明の第3の実施の形態に係るプランジャー支持機構の断面図
【図8】図1に示したプランジャー支持機構に適用された第1の姿勢保持装置の実施例を示す説明図
【図9】図1に示したプランジャー支持機構に適用された第2の姿勢保持装置の実施例を示す説明図
【図10】図1に示したプランジャー支持機構にウエイト部材を取り付けてボトム金型軸心と芯出しした状態を示す説明図
【図11】第1の中心復元機構の実施例を示す要部断面図
【図12】第2の中心復元機構の実施例を示す要部断面図
【図13】第3の中心復元機構の実施例を示す半断面図
【図14】第3の中心復元機構の要部断面図
【図15】毛細管絞りノズルの断面図
【図16】自成絞りノズルの断面図
【図17】転がり手段によってプランジャーフランジをフローティング状態で支持した図
【図18】リンク機構によってプランジャーフランジをフローティング状態で支持した図
【図19】油膜によってプランジャーフランジをフローティング状態で支持した図
【図20】磁力によってプランジャーフランジをフローティング状態で支持した図
【図21】ボールジョイントによってプランジャーをプランジャーフランジに対して揺動自在に支持した説明図
【図22】ハンガーピンと球面軸受とによってプランジャーをプランジャーフランジに対して揺動自在に支持した説明図
【図23】従来のプランジャー支持機構の動作説明図
【符号の説明】
10…モールド成型装置
12…ボトム金型
14…プランジャー
16…プランジャー支持機構
24…ファンネル
30…油圧ラムシリンダ
44…フローティング支持部
46…揺動支持部
48…フランジ
50…枠体
56、182…ハンガーピン
58、184…球面軸受
74、180…ボールジョイント
80…粘性流体
120、143、154…中心復元装置
164…自成絞りノズル
【発明の属する技術分野】
本発明は、雌型に供給された溶融ガラス塊(以下、「ゴブ」と称する)を雄型でプレス成型してTVブラウン管及びCRT等のパネル、ファンネル等のガラス成型品にプレス成型するモールド成型装置のプランジャー支持機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
ボトム金型(雌型)にゴブを供給し、このボトム金型の上方に配置されたプランジャー(雄型)を昇降装置により下降移動させ、ボトム金型内のゴブをプランジャーで押圧成型してガラス製品にプレス成型するモールド成型装置が知られている。このようなモールド成型装置では、プランジャーとボトム金型の相互の位置がズレていると、生産されるガラス製品の肉厚にバラツキが発生したり、プランジャーとボトム金型とが干渉したりするため、ボトム金型に対するプランジャーの位置合わせが必要になる。
【0003】
そこで、本願出願人は、プランジャーの上部に設けられたプランジャーフランジをフローティング状態で保持することにより、プランジャーを水平方向に移動自在に支持し、そして、キーとキー溝によってプランジャーをボトム金型に案内させてボトム金型に対する位置合わせを可能にしたプランジャー支持機構を提案している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記プランジャー支持機構では図23(A)に示すように、ボトム金型1の軸心1Aに対してプランジャー2の軸心2Aがズレていても、プランジャーフランジ3がプランジャー支持機構4によってフローティング状態で保持されているので、図23(B)に示すようにプランジャー2の軸心2Aがボトム金型1の軸心1Aに合うようにプランジャー2が矯正移動されながらゴブ5を押圧成型するという利点がある。
【0005】
しかしながら、前記プランジャー支持機構では、昇降装置のロッド6もプランジャー2の矯正移動に追従して弾性変形(傾斜)してしまうため、プランジャー2を昇降装置によってボトム金型1から引き上げようとすると、前記ロッド6の復元力がプランジャー支持機構4、プランジャーフランジ3を介してプランジャー2に伝達する。このため、プランジャー2も元の位置に復元しようとするので、図23(C)に示すようにプランジャー2の先端部分2Bが、押圧成型したファンネル7の肉厚の薄い基端部7Aに接触してしまい、ファンネル7の基端部7Aにひび割れや欠けが発生するという欠点がある。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、ガラス成型品のひび割れや欠けを防止して品質の良いガラス成型品を安定してプレス成型することができるモールド成型装置のプランジャー支持機構を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決する為の手段】
本発明は、前記目的を達成する為に、溶融ガラス塊が内部に供給されるボトム金型と、該ボトム金型の上方に配置され、下降移動されることにより前記ボトム金型内の溶融ガラス塊を押圧成型してガラス製品にプレス成型するプランジャーと、前記プランジャーの上部に設けられたプランジャーフランジをフローティング状態で保持することにより該プランジャーを水平方向に移動自在に支持するフローティング支持部と、前記フローティング支持部を介して前記プランジャーを昇降移動させる昇降装置と、を備えたプランジャー支持機構に於いて、前記フローティング支持部を前記昇降装置に対して揺動自在に支持したことを特徴としている。
【0008】
本発明は、ガラス成型品に生じるひび割れや欠けの原因が、ボトム金型からプランジャーを引き上げる際に昇降装置の復元力がフローティング支持部を介してプランジャーに伝達する点にあることに着目し、この原因を防止するために、フローティング支持部を昇降装置に対して揺動自在に支持したものである。
これにより、プランジャーの引き上げ時における昇降装置の復元力は前記揺動動作によって吸収されてフローティング支持部に伝達しないので、プランジャーはボトム金型に心出しされた状態、即ち揺動手段で揺動されて傾斜した状態で引き上げられる。従って、ガラス成型品にはひび割れや欠けが生じない。
【0009】
請求項2記載の発明は、フローティング支持部に中心復元装置を設け、この中心復元装置によってプランジャーの軸心をフローティング支持部の軸心に合わせるようにしたものである。
請求項3記載の発明は、前記中心復元装置として非接触型の中心復元装置を採用し、プランジャーの軸心をフローティング支持部の軸心に非接触で合わせるようにしたものである。このように、非接触で軸合わせをすると、接触式で軸合わせする機構と比較して、プランジャーフランジの磨耗を防止できるので、正確に軸合わせを行うことができる。
【0010】
請求項4記載の発明は、複数本のハンガー部材によってフローティング支持部を昇降装置に吊り下げ支持し、これらのハンガー部材に設けた球面軸受によって前記フローティング支持部を揺動自在に支持したものである。これにより、フローティング支持部は昇降装置に対して円滑に揺動する。
請求項5記載の発明は、ボールジョイントで前記揺動動作を可能としたもので、これにより、フローティング支持部は昇降装置に対して円滑に揺動する。
【0011】
請求項6記載の発明は、粘性流体装置による粘性流体の抵抗で前記揺動動作を可能としたもので、これにより、フローティング支持部は粘性流体の粘性抵抗によって昇降装置に対し円滑に揺動する。
請求項7記載の発明は、姿勢保持手段によって前記フローティング支持部を所定の揺動位置で保持するようにしたもので、プランジャーがボトム金型に心出しされた状態、即ち揺動手段で揺動されて傾斜した状態を前記姿勢保持手段で保持させれば、プランジャーは前記傾斜状態が保持されたまま引き上げられるので、ガラス成型品に生じるひび割れや欠けを確実に防止できる。
【0012】
請求項8記載の発明は、フローティング支持部にウエイト部材を取り付けることにより、フローティング支持部を昇降装置に対して揺動させて、プランジャーの軸心をボトム金型の軸心に予め合わせるようにしたものである。これにより、プランジャーは、ボトム金型の軸心に合った状態でゴブを押圧成型し、そして、引き上げ時も同様にボトム金型の軸心に合った状態で引き上げられるので、ガラス成型品にはひび割れや欠けが生じない。
【0013】
請求項9記載の発明は、フローティング支持部に中心復元装置を設け、この中心復元装置によって、プランジャーフランジの周面に圧縮空気を供給し、プランジャーの軸心をフローティング支持部の軸心に非接触で合わせるようにしたものである。このように、非接触で軸合わせをすると、接触式で軸合わせする機構と比較して、プランジャーフランジの磨耗を防止できるので、正確に軸合わせを行うことができる。
【0014】
請求項10記載の発明は、フローティング支持部に自成絞りノズルを形成し、該自成絞りノズルから圧縮空気を供給してプランジャーフランジをフローティング状態で保持するようにしたものである。このように自成絞りノズルを採用すると、毛細管絞りノズルと比較して、空気圧調整の自由度が大きくなり、また、プランジャーフランジの自励振動を防止することができるので、プランジャーフランジをバランス良くフローティング状態で支持することができる。
【0015】
請求項11記載の発明は、プランジャーをプランジャーフランジに対して揺動自在に支持したものである。
これにより、プランジャーの引き上げ時における昇降装置の復元力は、前記プランジャーに対するプランジャーフランジの揺動動作によって吸収されてプランジャーに伝達しないので、プランジャーはボトム金型に心出しされた状態で引き上げられる。従って、ガラス成型品にはひび割れや欠けが生じない。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係るプランジャー支持機構の好ましい実施の形態について詳説する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るプランジャー支持機構が適用されたファンネル成型用モールド成型装置の要部側面図である。同図に示すモールド成型装置10はボトム金型12、プランジャー14、及びプランジャー支持機構16等を有している。
【0017】
前記ボトム金型12はインデックステーブル18上に開放部20を上方に向けて固定され、その内部にゴブ22が供給される。このゴブ22は、プランジャー14の下降移動によって図2に示すように押圧成型され、これにより図3に示すファンネル24にプレス成型される。また、図1において前記ボトム金型12は、インデックステーブル18上に所定の間隔で複数台(本装置では11台)設置されており、各々に充填されたゴブ22、22…がインデックステーブル18の回転でプランジャー14の下方に間欠移動されて、前記プランジャー14によってファンネル24(図3参照)に順次プレス成型される。
【0018】
前記プランジャー14は、その上部が前記プランジャー支持機構16に支持されている。プランジャー支持機構16については後述する。前記プランジャー支持機構16はヘッド28の下部に固定され、このヘッド28の上部には油圧ラムシリンダ30のロッド32が固定されている。従って、油圧ラムシリンダ30のロッド32を伸縮動作させると、前記ヘッド28がインナーコラム34、アウターコラム36にガイドされて昇降移動することにより、プランジャー14がプランジャー支持機構16を介して成型方向、引き上げ方向に昇降移動する。前記プランジャー14の周辺部には複数本のキー38が配設され、このキー38に形成されたキー溝40に当接し前記キー38をガイドする爪42がボトム金型12の上部に設けられている。
【0019】
ところで、前記プランジャー支持機構16は図4に示すように、フローティング支持部44と揺動支持部46とから成る。
前記フローティング支持部44は、プランジャー14の上部に設けられたフランジ48を圧縮空気によってフローティング支持するものである。前記フランジ48は、枠体50の内部に形成された隙間52に配置され、この隙間52に毛細管絞りノズル54、54…を介して供給される圧縮空気によってフローティング状態で支持される。前記毛細管絞りノズル54、54…は、前記枠体50の上部、下部に多数形成され、各々の毛細管絞りノズル54、54…は図示しないパイプを介して圧縮空気供給源に接続されている。
【0020】
前記揺動支持部46は、前記フローティング支持部44をヘッド28に対して揺動自在に支持するもので、ハンガーピン56と球面軸受58とから構成されている。
前記ハンガーピン56は、プランジャー軸心14Aの同心円上に3本配置され、各々が前記ヘッド28の下部に固定された中間プレート60の貫通孔62と前記枠体50の上部に形成された貫通孔64とを介して挿通配置されている。ハンガーピン56は、上部に形成された大径部66によって前記貫通孔62からの脱落が防止され、また、下部にナット68によって固定された軸受支持プレート70によって前記貫通孔64からの脱落が防止されている。これにより、フローティング支持部44は、3本のハンガーピン56、56、56を介してヘッド28に吊り下げ支持されている。
【0021】
前記軸受支持プレート70上には、前記球面軸受58(球面座)が形成される。この球面軸受58はプランジャー軸心14A上に形成されて、枠体50に固着された平面座72に押圧当接される。従って、この球面軸受58によりフローティング支持部44の揺動動作が円滑に行えるようになっている。
次に、前記の如く構成された本実施の形態に係るプランジャー支持機構の作用について、図5に示す模式図を用いて説明する。
【0022】
先ず、プレス時には、図5(A)に示すように、ボトム金型12の軸心12Aに対してプランジャー14の軸心14Aがズレていても、プランジャーフランジ48がフローティング支持部44によって圧縮空気によりフローティング状態で支持されているので、図5(B)に示すようにプランジャー14の軸心14Aがボトム金型12の軸心12Aに合うようにプランジャー14が矯正移動されながらゴブ22を押圧成型する。これにより、ゴブ22からファンネル24がプレス成型される。また、この時、中間プレート60及びその上方に位置するヘッド28、ロッド32(図1参照)は、プランジャー14の矯正移動に追従して弾性変形(傾斜)している。
【0023】
そして、成型終了後、プランジャー14を引き上げようとすると、その際に生じる前記中間プレート60等の復元力は図5(C)に示すように、前記揺動支持部46によって吸収されるので、フローティング支持部44には伝達しない。これにより、プランジャー14は、軸心14Aがボトム金型12の軸心12Aと一致した状態、即ち揺動支持部46で揺動されて傾斜した状態で引き上げられるようになるので、プランジャー14の先端部によるファンネル24のこじりは生じない。従って、本実施の形態では、ファンネル24に生じるひび割れや欠けを防止することができる。
【0024】
図6は、本発明の第2の実施の形態に係るプランジャー支持機構を示す要部断面図で、図4に示した第1の実施の形態と同一、若しくは類似の部材については同一の符号を付してその説明は省略する。
図6に示すプランジャー支持機構は、揺動支持部としてボールジョイント74を採用したものである。前記ボールジョイント74の球体部76は、枠体50の上面でプランジャー軸心14A上に設けられ、また、ボールジョイント74の球面座78は中間プレート60の下部に埋め込まれている。
【0025】
このように構成されたプランジャー支持機構も、図4に示したプランジャー支持機構と同様に、フローティング支持部44が中間プレート60に対して揺動するので、ファンネル24に生じるひび割れや欠けを防止することができる。
図7は、本発明の第3の実施の形態に係るプランジャー支持機構を示す要部断面図で、図4に示した第1の実施の形態と同一、若しくは類似の部材については同一の符号を付してその説明は省略する。
【0026】
図7に示すプランジャー支持機構は、揺動支持部としてシリコン、又はポリブデン等の粘性流体80を採用したものである。前記粘性流体80は、ハンガーピン56の下部に固着された容器82内に充填されると共に、この容器82の上縁部に設けられたパッキン84を介して枠体50との間で密封されている。これにより、フローティング支持部44は粘性流体80の粘性抵抗によって中間プレート60に対して揺動するので、ファンネル24に生じるひび割れや欠けを防止することができる。
【0027】
一方、プランジャー軸心14A上に位置する前記枠体50の上面には、前記容器82に連通する開口部86が形成され、この開口部86には、粘性流体80の油圧を高めるためのピストン88が嵌入されている。前記ピストン88は、油圧シリンダ90のロッド92にピン94を介して回動自在に連結されている。
前記ロッド92の伸長動作で粘性流体80の油圧が高められると、その油圧の反力が枠体50に作用するので、フローティング支持部44を所定の揺動位置で保持することができる。本実施の形態では、油圧シリンダ90、ピストン88等でフローティング支持部44の姿勢保持装置が構成されている。
【0028】
従って、本実施の形態ではプランジャー14の引き上げ時に、前記油圧シリンダ90を作動させて粘性流体80の油圧を高めると、プランジャー14はボトム金型12に心出しされた状態のまま引き上げられるので、ファンネル24に生じるひび割れや欠けを確実に防止できる。
図8は、図4に示した第1の実施の形態のプランジャー支持機構に、フローティング支持部44の姿勢保持装置を設けたものである。
【0029】
同図に示す姿勢保持装置は、ボビン96及びコア98等から成る電磁石式のもので、ヘッド28の下面周部に所定の間隔で複数台設置されている。前記ボビン96はヘッド28に固定されると共にボビン96内にはコア98が配置され、このコア98は、電源部100からボビン96に電圧を印加すると昇降移動する。このコア98にはロッド102が固着されており、ロッド102には断面L字状の受け板104が支持されている。
【0030】
このように構成された姿勢保持装置によれば、プランジャー14の引き上げ時に、前記各々の姿勢保持装置を作動させてコア98、98…を上昇移動させると、各々の受け板104、104…が枠体50の下面に当接する。この状態を保持すれば、プランジャー14はボトム金型12に心出しされた状態のまま、即ち傾斜した状態のまま引き上げられるので、ファンネル24に生じるひび割れや欠けを確実に防止できる。
【0031】
図9は、図8に示した電磁石式の姿勢保持装置に代えて、モータ106と送りネジ棒108等から成る機械式の姿勢保持装置を設けたものである。
前記モータ106は、ヘッド28の下面周部に所定の間隔で複数台設置され、送りネジ棒108はモータ106の回転によって昇降移動する。送りネジ棒108の下部には受け板104が支持されている。
【0032】
このように構成された姿勢保持装置によれば、プランジャー14の引き上げ時に、前記各々のモータ106、106を作動させて送りネジ棒108、108…を上昇移動させると、各々の受け板104、104…が枠体50の下面に当接する。この状態を保持すれば、プランジャー14はボトム金型12に心出しされた状態のまま、即ち傾斜した状態のまま引き上げられるので、ファンネル24に生じるひび割れや欠けを確実に防止できる。
【0033】
図10は、図4に示した第1の実施の形態のプランジャー支持機構に、ウエイト部材110を着脱自在に取り付けて、プランジャー軸心14Aをボトム金型軸心12Aに予め合わせるようにしたものである。
前記ウエイト部材110、110…は、枠体50に植設された棒材112に選択された個数分だけ挿入配置されている。
【0034】
このように、ウエイト部材110、110を用いてプランジャー軸心14Aをボトム金型軸心12Aに予め合わせておくと、プランジャー14は、その軸心14Aがボトム金型軸心12Aに合った状態でゴブ22を押圧成型し、そして、引き上げ時も同様にボトム金型軸心12Aに合った状態で引き上げられるので、ファンネル24にはひび割れや欠けが生じない。
【0035】
図11は、中心復元装置の第1の実施の形態を示す断面図である。この中心復元装置は、プランジャー軸心をフローティング支持部の軸心、即ち枠体軸心に合わせるためのものであり、図4、図6、若しくは図7に示したプランジャー支持機構に併用したものである。
図11に示す中心復元装置120は、枠体50の外周部に所定の間隔をもって複数台設置されている。前記中心復元装置120は、枠体50の孔部51に嵌入固定されるケース122を有し、このケース122の内部には3つの筒状空間部124、126、128が形成されている。両側の空間部124、128にはスプリング130が各々配置され、また、このスプリング130の付勢力によって空間部124、128から先端が突出されたピン132、132が配置されている。前記ピン132、132の先端にはパッド134が取り付けられ、このパッド134は前記スプリング130の付勢力によりプランジャーフランジ48の外周平坦部49に向けて付勢されている。
【0036】
前記中央の空間部126には、ノズル136が図中左右方向に摺動自在に設けられている。このノズル136は、ケース122の蓋138の空気導入孔140から供給された圧縮空気を、前記パッド134に形成された吹出ノズル142に導くもので、これにより前記圧縮空気は吹出ノズル142からフランジ48の外周平坦部49に向けて吹き出される。また、前記パッド134は、ノズル136の球状先端部136Aに揺動自在に支持されている。
【0037】
前記の如く構成された中心復元装置120によれば、全ての中心復元装置120、120…の吹出ノズル142、142…からフランジ48の外周平坦部49に向けて同一圧力の圧縮空気を一斉に吹き出すと、フランジ48は、前記圧縮空気の空気圧に押されてプランジャー軸心がフローティング支持部の軸心に合うように矯正移動する。また、この時、パッド134は、前記空気圧の反力を受けるので、スプリング130の付勢力に抗してフランジ48の外周平坦部49から退避移動する。従って、フランジ48は、パッド134と非接触状態が保持された状態で元の位置に復帰移動する。
【0038】
このように、本実施の形態の中心復元装置120によれば、非接触でプランジャー軸心をフローティング支持部の軸心に軸合わせできるので、接触式で軸合わせする中心復元装置と比較して、プランジャーフランジ48の磨耗を防止でき、これにより、正確に軸合わせを行うことができる。
また、フランジ48の回転方向の位置がズレていると、フランジ48の外周平坦部49の面に対してパッド134の面が平行に倣おうとするために、2本のピン132、132の突出量に差が生じて、2本のスプリング130、130の収縮量(付勢力)に差が生じる。しかし、この時には、収縮量の大きいスプリング130の付勢力が、収縮量の小さいスプリング130の付勢力に勝るため、パッド134は図11に示した元の位置に復元しはじめる。そして、このパッド134の復元移動に追従してフランジ48も、元の位置に回転移動しはじめる。従って、フランジ48は元の回転位置に復帰する。
【0039】
図12は、中心復元装置の第2の実施の形態を示す断面図であり、図11に示した中心復元装置120と同一若しくは類似の部材については同一の符号を付してその説明は省略する。
図12に示す中心復元装置143は、ボビン144及びコア146を採用した電磁石式のものである。ボビン144は筒状ケース148の外周部に固定されている。コア146は、ケース148の内周部に沿って摺動自在に配置されて、前記ボビン144に印加される電圧値に応じてその移動量が制御されている。
【0040】
前記コア146には、スプリング130、130を介してピン132、132が配置される。ピン132、132の先端にはパッド134が取り付けられている。また、ケース148の中央部にはノズル150が図中左右方向に移動自在に設けられている。このノズル150は、空気導入孔152から供給された圧縮空気を、前記パッド134に形成された吹出ノズル142に導くものである。
【0041】
前記の如く構成された中心復元装置143によれば、先ず、ボビン144に所定の電圧を印加してコア146をフランジ48に向けて移動させて、パッド134をフランジ48の外周平坦部49に近接させる。次に、中心復元装置143、143…の吹出ノズル142、142…からフランジ48の外周平坦部49に向けて同一圧力の圧縮空気を一斉に吹き出すと、フランジ48は、前記圧縮空気の空気圧に押されてプランジャー軸心がフローティング支持部の軸心に合うように矯正移動する。また、この時、パッド134は、前記空気圧の反力を受けるので、スプリング130の付勢力に抗してフランジ48の外周平坦部49から退避移動する。従って、フランジ48は、パッド134と非接触状態が保持された状態で元の位置に復帰移動する。
【0042】
このように、本実施の形態の中心復元装置143も、図11に示した中心復元装置120と同様に、非接触でプランジャー軸心をフローティング支持部の軸心に軸合わせできるので、プランジャーフランジ48の磨耗を防止でき、正確に軸合わせを行うことができる。
また、フランジ48の回転方向の位置がズレていると、フランジ48の外周平坦部49の面に対してパッド134の面が平行に倣おうとするために、2本のピン132、132の突出量に差が生じて、2本のスプリング130、130の収縮量(付勢力)に差が生じる。しかし、この時には、収縮量の大きいスプリング130の付勢力が、収縮量の小さいスプリング130の付勢力に勝るため、パッド134は図11に示した元の位置に復元しはじめる。そして、このパッド134の復元移動に追従してフランジ48も、元の位置に回転移動しはじめる。従って、フランジ48は元の回転位置に復帰する。
【0043】
図13は、中心復元装置の第3の実施の形態が適用されたフランジ48と枠体50の半断面図であり、図14は前記中心復元装置の要部拡大断面図である。
同図に示す中心復元装置154は、フランジ48の外周部に向けて圧縮空気を吹き出すノズル156、156…を枠体50の外周部に所定の間隔で形成し、且つ、前記圧縮空気を受けるフランジ48の外周面にテーパ状の空気受け面158、158…を形成したものである。
【0044】
前記空気受け面158には空気排気通路160が連通され、空気排気通路160はフランジ48の中央部に形成された外部排気孔162に連通されている。
前記の如く構成された中心復元装置154によれば、中心復元装置154の全てのノズル156、156…からフランジ48の外周面に向けて同一圧力の圧縮空気を一斉に吹き出すと、フランジ48は、前記圧縮空気の空気圧に押されて移動し、プランジャー軸心14Aがフローティング支持部の軸心44Aに合う元の位置に復帰する。
【0045】
また、フランジ48の回転方向の位置がズレていると、ノズル156から吹き出された圧縮空気は空気受け面158のテーパ面158Aに衝突する。これによりフランジ48は、圧縮空気とテーパ面158Aとの作用によって回転方向の力が加えられて回転し、前記圧縮空気が前記テーパ面158Aに衝突しない元の回転位置(図14に示す位置)で停止する。従って、フランジ48の回転方向の位置ズレが修正される。
【0046】
図15は、枠体50に形成されたリセス55付きの毛細管絞りノズル54の拡大断面図である。そして、図16は、前記毛細管絞りノズル54に代えて採用された自成絞りノズル164の拡大断面図であり、自成絞りノズル164から圧縮空気を供給してプランジャーフランジ48をフローティング状態で保持するようにしたものである。このように自成絞りノズル164を採用すると、毛細管絞りノズル54と比較して、空気圧調整の自由度が大きくなり、また、プランジャーフランジ48の自励振動を防止することができるので、プランジャーフランジ48をバランス良くフローティング状態で保持することができる。
【0047】
尚、前記毛細管絞りノズル54のリセス55の径d 1 は20mmであり、これに対して自成絞りノズル164の径d 2 は0.8mmである。
本実施の形態では、ファンネル成型用モールド成型装置10について説明したが、これに限られるものではなく、パネル成型用モールド成型装置にも適用することができる。
【0048】
本実施の形態では、圧縮空気によってプランジャーフランジ48をフローティング状態で支持するようにしたが、これに限られるものではない。例えば、図17に示すように、プランジャーフランジ48と枠体50との間に転がりローラ170を介在させて、この転がりローラ170、170によってプランジャーフランジ48を枠体50に対してフローティング状態で支持しても良い。また、図18に示すように枠体50を使用せず、ヘッド28に平行リンク機構172、172を介してプランジャーフランジ48をフローティング状態で支持しても良い。更に、図19に示すようにプランジャーフランジ48と枠体50との間に油膜174を形成し、この油膜174によってプランジャーフランジ48をフローティング状態で支持しても良い。また、図20に示すように枠体50の上面、下面に電磁石176、176…を配置させ、これらの電磁石176、176…の磁力によってプランジャーフランジ48をフローティング状態で支持しても良い。
【0049】
本実施の形態では、圧縮空気を採用した非接触式の中心復元装置について説明したが、これに限られるものではなく、磁力、油膜等の非接触手段を採用した非接触式の中心復元装置を用いても良い。
また、本実施の形態では、非接触式の中心復元装置について説明したが、これに限られるものではなく、スプリング等を用いた接触式の中心復元装置を採用しても良い。この場合、前記スプリングを、プランジャーフランジ48の周面に所定の間隔で押圧当接するように配置すれば、プランジャーフランジ48は各々のスプリングの付勢力が等しくなる位置、即ち中心位置に復元する。
【0050】
図21は、本発明に係るプランジャー支持機構の他の実施の形態を示す原理図である。
同図に示すプランジャー支持機構は、フローティング支持部44を昇降装置に対して揺動自在に支持したものとは異なり、プランジャーフランジ48に対してプランジャー14をボールジョイント180を介して揺動自在に支持したものである。
【0051】
前記プランジャー支持機構においても、プランジャー14の引き上げ時における昇降装置の復元力は、前記ボールジョイント180の揺動動作によって吸収されてプランジャー14に伝達しないので、ガラス成型品にはひび割れや欠けが生じない。
図22は、本発明に係るプランジャー支持機構の他の実施の形態を示す原理図である。
【0052】
同図に示すプランジャー支持機構は図21に示したプランジャー支持機構と同様に、プランジャーフランジ48に対してプランジャー14を揺動自在に支持したものである。前記プランジャー支持機構は、図4に示した揺動支持部46と略同じ構造で、3本のハンガーピン182、182、182と球面軸受184から構成されている。
【0053】
前記プランジャー支持機構においても、プランジャー14の引き上げ時における昇降装置の復元力は、前記ハンガーピン182…と球面軸受184とによる揺動動作によって吸収されてプランジャー14に伝達しないので、ガラス成型品にはひび割れや欠けが生じない。但し、図21、図22に示した実施の形態は、微妙なセッティングを要する揺動部がプランジャー14側に、即ち、高温になりやすい側にあり熱変形を受けやすいため、図4、図6、図7に示した実施の形態と比較すると、揺動部のセッティングが難しくなる。また、図21、図22に示した実施の形態は、ウエイト部材等の傾斜調整部材を金型に近い部分に取り付けなければならないので、プレス動作時に邪魔になるおそれがあり、この観点からみると図4、図6、図7に示した実施の形態が有利である。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係るプランジャー支持機構によれば、フローティング支持部を昇降装置に対して揺動自在に支持し、昇降装置の復元力を揺動動作で吸収してプランジャーを傾斜した状態で引き上げるようにしたので、ガラス成型品に生じるひび割れや欠けを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るプランジャー支持機構が適用されたモールド成型装置の側面図
【図2】ファンネル成型時のプランジャーとボトム金型の状態を示す説明図
【図3】ファンネルの縦断面図
【図4】図1に示したプランジャー支持機構の断面図
【図5】図1に示したプランジャー支持機構の動作説明図
【図6】本発明の第2の実施の形態に係るプランジャー支持機構の断面図
【図7】本発明の第3の実施の形態に係るプランジャー支持機構の断面図
【図8】図1に示したプランジャー支持機構に適用された第1の姿勢保持装置の実施例を示す説明図
【図9】図1に示したプランジャー支持機構に適用された第2の姿勢保持装置の実施例を示す説明図
【図10】図1に示したプランジャー支持機構にウエイト部材を取り付けてボトム金型軸心と芯出しした状態を示す説明図
【図11】第1の中心復元機構の実施例を示す要部断面図
【図12】第2の中心復元機構の実施例を示す要部断面図
【図13】第3の中心復元機構の実施例を示す半断面図
【図14】第3の中心復元機構の要部断面図
【図15】毛細管絞りノズルの断面図
【図16】自成絞りノズルの断面図
【図17】転がり手段によってプランジャーフランジをフローティング状態で支持した図
【図18】リンク機構によってプランジャーフランジをフローティング状態で支持した図
【図19】油膜によってプランジャーフランジをフローティング状態で支持した図
【図20】磁力によってプランジャーフランジをフローティング状態で支持した図
【図21】ボールジョイントによってプランジャーをプランジャーフランジに対して揺動自在に支持した説明図
【図22】ハンガーピンと球面軸受とによってプランジャーをプランジャーフランジに対して揺動自在に支持した説明図
【図23】従来のプランジャー支持機構の動作説明図
【符号の説明】
10…モールド成型装置
12…ボトム金型
14…プランジャー
16…プランジャー支持機構
24…ファンネル
30…油圧ラムシリンダ
44…フローティング支持部
46…揺動支持部
48…フランジ
50…枠体
56、182…ハンガーピン
58、184…球面軸受
74、180…ボールジョイント
80…粘性流体
120、143、154…中心復元装置
164…自成絞りノズル
Claims (11)
- 溶融ガラス塊が内部に供給されるボトム金型と、該ボトム金型の上方に配置され、下降移動されることにより前記ボトム金型内の溶融ガラス塊を押圧成型してガラス製品にプレス成型するプランジャーと、前記プランジャーの上部に設けられたプランジャーフランジをフローティング状態で保持することにより該プランジャーを水平方向に移動自在に支持するフローティング支持部と、前記フローティング支持部を介して前記プランジャーを昇降移動させる昇降装置と、を備えたプランジャー支持機構に於いて、
前記フローティング支持部を前記昇降装置に対して揺動自在に支持したことを特徴とするプランジャー支持機構。 - 前記フローティング支持部に中心復元装置を設け、該中心復元装置によって前記プランジャーの軸心を前記フローティング支持部の軸心に合わせるようにしたことを特徴とする請求項1記載のプランジャー支持機構。
- 前記中心復元装置は、前記プランジャーの軸心を前記フローティング支持部の軸心に非接触で合わせる非接触型の中心復元装置であることを特徴とする請求項2記載のプランジャー支持機構。
- 前記フローティング支持部を前記昇降装置に吊り下げ支持する複数本のハンガー部材と、該複数のハンガー部材に設けられ前記フローティング支持部を揺動自在に支持する球面軸受とで前記フローティング支持部を前記昇降装置に対して揺動自在に支持したことを特徴とする請求項1、又は2記載のプランジャー支持機構。
- ボールジョイントで前記フローティング支持部を前記昇降装置に対して揺動自在に支持したことを特徴とする請求項1、又は2記載のプランジャー支持機構。
- 粘性流体の粘性抵抗で揺動させる粘性流体装置で前記フローティング支持部を前記昇降装置に対して揺動自在に支持したことを特徴とする請求項1、又は2記載のプランジャー支持機構。
- 前記プランジャー支持機構には、前記フローティング支持部を所定の揺動位置で保持する姿勢保持手段が設けられていることを特徴とする請求項1、2、4、5又は6記載のプランジャー支持機構。
- 前記フローティング支持部には、前記プランジャーの軸心を前記ボトム金型の軸心に合わせるためのウエイト部材が着脱自在に取り付けられることを特徴とする請求項1、又は2記載のプランジャー支持機構。
- 前記フローティング支持部には、前記プランジャーフランジの周面に圧縮空気を供給して、前記プランジャーの軸心をフローティング支持部の軸心に非接触で合わせるための中心復元装置が設けられていることを特徴とする請求項1記載のプランジャー支持機構。
- 前記フローティング支持部に自成絞りノズルを形成し、該自成絞りノズルから圧縮空気を供給して前記プランジャーフランジをフローティング状態で保持するようにしたことを特徴とする請求項1、又は2記載のプランジャー支持機構。
- 溶融ガラス塊が内部に供給されるボトム金型と、該ボトム金型の上方に配置され、下降移動されることにより前記ボトム金型内の溶融ガラス塊を押圧成型してガラス製品にプレス成型するプランジャーと、前記プランジャーの上部に設けられたプランジャーフランジをフローティング状態で保持することにより該プランジャーを水平方向に移動自在に支持するフローティング支持部と、前記フローティング支持部を介して前記プランジャーを昇降移動させる昇降装置と、を備えたプランジャー支持機構に於いて、
前記プランジャーを前記プランジャーフランジに対して揺動自在に支持したことを特徴とするプランジャー支持機構。
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