JP3630395B2 - 半導体レーザ素子およびその製造方法 - Google Patents

半導体レーザ素子およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスク用に好適に用いられる高出力動作が可能な半導体レーザ素子およびその製造方法に関し、特に、共振器端面およびその近傍に窓領域を設けた端面窓型の半導体レーザ素子およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ディスク用の半導体レーザ素子においては、光出射端面の劣化を抑制して高出力で高い信頼性を達成することが重要である。このため、共振器端面およびその近傍に活性層からのレーザ光を吸収しない窓領域を設けた、所謂、端面窓型の半導体レーザ素子の開発が盛んに進められている。この素子構造は、例えば特開平8−111560号公報や特開平9−23037号公報に開示されている。
【0003】
図7は特開平8−111560号公報に開示されている半導体レーザ素子の構造を示す斜視図である。
【0004】
この半導体レーザ素子の製造においては、基板1上に下クラッド層2、量子井戸活性層3、第1上クラッド層4を成長後、光出射端面およびその近傍に相当する量子井戸活性層3にSiイオンを打ち込んで、不純物注入と拡散によって活性層無秩序化領域(窓領域)14を形成する。その上に第2上クラッド層9とキャップ層10をリッジストライプ6状に設け、リッジストライプ6の側面を電流ブロック層38で埋め込む。そして、リッジストライプ6上および電流ブロック層38上にわたってコンタクト層12を設け、基板1側には電極15を、コンタクト層12上には電極16を設ける。
【0005】
この従来技術では、光出射端面およびその近傍における量子井戸活性層3の無秩序化領域14でのバンドギャップが、共振器内部の量子井戸活性層3からのレーザ光に対して透明領域、即ち窓領域となる。よって、端面部における活性層の光吸収が抑制されて、高出力動作時の端面劣化が抑制される。
【0006】
図8は特開平9−23037号公報に開示されている半導体レーザ素子の構造を示す斜視図である。
【0007】
この半導体レーザ素子に製造においては、基板1上に下クラッド層2、量子井戸活性層3、第1上クラッド層4およびコンタクト層12を成長後、コンタクト層12上に内部ストライプ52に相当する開口部を設けたSiO膜(図示せず)を形成する。そして、熱処理によりSiO膜で生成される結晶中の空孔を光出射端面およびその近傍に相当する量子井戸活性層3に拡散させて活性層無秩序化領域(窓領域)14を形成する。そして、コンタクト層12の上部から内部ストライプ52に相当する領域以外の領域51にプロトンを注入して、電流狭窄と光閉じ込めを可能とする内部ストライプ52を共振器内部に形成する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の半導体レーザ素子には、以下のような問題点がある。
【0009】
特開平8−111560号公報に開示されている半導体レーザ素子では、端面およびその近傍に電流阻止機能を有する部分を設けていないので、窓領域となる活性層無秩序化領域14に電流が流れる。この電流により生成されたキャリヤはレーザ発振に寄与しない発光または発熱になるので、動作電流が増大する。さらに、その無効電流により生じる発熱によって窓領域での結晶劣化が生じ、高出力時における半導体レーザ素子の信頼性が低下するという問題がある。
【0010】
これに対して、特開平9−23037号公報に開示されている半導体レーザ素子では、窓領域となる活性層無秩序化領域14に電流が流れるのを防ぐために、プロトン注入により高抵抗領域からなる端面電流阻止部を設けている。しかしながら、この方法では、プロトン注入の際にプロトン打ち込み領域が活性層3にまで及ぶと活性層3の結晶に欠陥が生じるので、レーザ光が散乱されて損失を生じる。そこで、プロトン打ち込み領域は活性層からかなり離れたところ、通常は1.0μm以上離れたところに形成されるため、この端面電流阻止構造では電流阻止機能が不十分となって活性層無秩序化領域に電流が流れてしまう。その結果、特開平8−111560号公報と同様に、動作電流の増大、および活性層無秩序化領域での結晶劣化による高出力時の信頼性低下の問題が生じる。
【0011】
本発明はこのような従来技術の課題を解決すべくなされたものであり、窓領域となる活性層無秩序化領域への電流注入を抑制して、無効電流による動作電流の増大を防ぐと共に活性層無秩序化領域での結晶劣化による信頼性低下を防いで、動作電流が低く信頼性が高い高出力の端面窓型の半導体レーザ素子およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の半導体レーザ素子は、少なくとも第1導電型の下クラッド層と第2導電型の第1上クラッド層と、両クラッド層で挟まれた量子井戸活性層を有し、少なくとも光出射端面およびその近傍に、該量子井戸活性層を無秩序化した窓領域を備えている半導体レーザ素子において、該窓領域上方であって該第1上クラッド層上部分に電流阻止部を有し、該電流阻止部上および該電流阻止部が設けられていない第1上クラッド層上部分にわたってリッジストライプ状に第2導電型の第2上クラッド層を備えており、そのことにより上記目的が達成される。
【0013】
前記電流阻止部は、少なくとも第1導電型の端面電流阻止層を有する構成とすることができる。
【0014】
前記端面電流阻止層と前記第2上クラッド層との間に保護層を有するのが好ましい。
【0015】
前記端面電流阻止層および前記第1上クラッド層がAlGa1−xAs(0≦x≦1)または(AlGa1−yIn1−zP(0≦y≦1、0≦z≦1)からなり、該端面電流阻止層のAl組成比が該第1上クラッド層のAl組成比よりも小さいのが好ましい。
【0016】
前記保護層および前記端面電流阻止層がAlGa1−xAs(0≦x≦1)または(AlGa1−yIn1−zP(0≦y≦1、0≦z≦1)からなり、該保護層のAl組成比が該端面電流阻止層のAl組成比よりも小さいのが好ましい。
【0017】
前記端面電流阻止層の厚みが0.01μm以上0.3μm以下であるのが好ましい。
【0018】
前記保護層の厚みが0.001μm以上0.03μm以下であるのが好ましい。
【0019】
前記端面電流阻止層のキャリヤ濃度が5×1017cm−3以上5×1018cm−3以下であるのが好ましい。
【0020】
前記電流阻止部と前記窓領域とは共振器方向の長さが略等しいのが好ましい。
【0021】
前記窓領域は共振器方向の長さが10μm以上60μm以下であるのが好ましい。
【0022】
前記窓領域は、前記量子井戸活性層を構成する結晶中に空孔を拡散させて無秩序化したものであるのが好ましい。
【0023】
前記端面電流阻止層および前記保護層のAl組成比が0.1以下であるのが好ましい。
【0024】
前記量子井戸活性層から前記端面電流阻止層まで、または前記量子井戸活性層から前記保護層までの層厚方向の距離が0.4μm以下であるのが好ましい。
【0025】
本発明の半導体レーザ素子の製造方法は、第1導電型の基板上に、少なくとも第1導電型の下クラッド層、量子井戸活性層、第2導電型の第1上クラッド層、第2導電型の保護層および第1導電型の端面電流阻止層を順次成長させる工程と、成長表面にSiO膜を形成し、該SiO膜と該端面電流阻止層とを、少なくとも光出射端面およびその近傍の上方を残して除去する工程と、熱アニールにより該SiO膜下方の該量子井戸活性層部分を選択的に無秩序化する工程と、該SiO膜を除去し、該端面電流阻止層上および該電流阻止層が設けられていない保護層上部分にわたって第2導電型の第2上クラッド層を成長させる工程とを含み、そのことにより上記目的が達成される。
【0026】
本発明の半導体レーザ素子の製造方法は、第1導電型の基板上に、少なくとも第1導電型の下クラッド層、量子井戸活性層、第2導電型の第1上クラッド層、第2導電型の保護層および第1導電型の端面電流阻止層を順次成長させる工程と、該端面電流阻止層を、少なくとも光出射端面およびその近傍の上方を残して除去する工程と、不純物拡散により該端面電流阻止層下方の該量子井戸活性層部分を選択的に無秩序化する工程と、該端面電流阻止層上および該電流阻止層が設けられていない保護層上部分にわたって第2導電型の第2上クラッド層を成長させる工程とを含み、そのことにより上記目的が達成される。
【0027】
以下、本発明の作用について説明する。
【0028】
本発明にあっては、共振器端面およびその近傍の活性層無秩序化領域(窓領域)上に設けた電流阻止部によって、窓領域に流れる無効電流を抑制して動作電流を低減する。さらに、窓領域の無効電流による発熱が抑制されるので結晶劣化が発生し難く、高出力動作時の信頼性が向上する。電流阻止部から窓領域までの距離(層厚方向)は第1上クラッド層厚にほぼ等しくなり、その層厚は比較的薄いので、電流阻止部から窓領域に流れる無効電流が十分に抑制される。
【0029】
電流阻止部に第1導電型の端面電流阻止層を設ければ、第1導電型の下クラッド層、第2導電型の第1上クラッド層、第1導電型の端面電流阻止層および第2導電型の第2上クラッド層の順に極性が交互に異なる複数の半導体層が配置されて電流が阻止される。よって、各半導体層の層厚やキャリヤ濃度等のパラメータを調整することにより、十分な電流阻止機能が得られる。
【0030】
さらに、端面電流阻止層と第2上クラッド層との間に第導電型の保護層を設ければ、端面電流阻止層の組成比、層厚、キャリヤ濃度等のパラメータを独立に制御して電流阻止機能を調整可能である。さらに、端面電流阻止層と第1上クラッド層との間にエッチングストップ層として機能する他の保護層を設けてもよい。
【0031】
上記端面電流阻止層および第1上クラッド層をAlGa1−xAs(0≦x≦1)または(AlGa1−yIn1−zP(0≦y≦1、0≦z≦1)で構成し、端面電流阻止層のAl組成比を第1上クラッド層のAl組成比よりも小さくすれば、端面電流阻止層上に再成長させた第2上クラッド層の結晶欠陥の発生が抑制される。
【0032】
また、上記保護層および上記端面電流阻止層をAlGa1−xAs(0≦x≦1)または(AlGa1−yIn1−zP(0≦y≦1、0≦z≦1)で構成し、保護層のAl組成比を端面電流阻止層のAl組成比よりも小さくすれば、端面電流阻止層の組成および層厚の設計自由度が向上し、さらに、保護層上に再成長させた第2上クラッド層の結晶欠陥の発生が抑制される。
【0033】
上記端面電流阻止層の厚みが0.01μm未満では電流阻止機能が低下するので0.01μm以上であるのが好ましい。また、端面電流阻止層の厚みが0.3μmを超えると第2上クラッド層の表面高さが端面部と内部とで大きく異なり、第2上クラッド層のリッジストライプ幅が端面部と内部とで異なってレーザ発振が不安定になるので0.3μm以下であるのが好ましい。
【0034】
上記保護層の厚みが0.001μm未満では表面保護機能が低下し、その上に再成長させた第2上クラッド層の結晶欠陥が増大するので0.001μm以上であるのが好ましい。また、保護層の厚みが0.03μmを超えると端面部と内部とで光閉じ込め状態が異なり、光結合損失が生じてレーザ発振効率が低下するので0.03μm以下であるのが好ましい。
【0035】
上記端面電流阻止層のキャリヤ濃度が5×1017cm−3未満では電流阻止機能が不十分になるので5×1017cm−3以上であるのが好ましい。また、端面電流阻止層のキャリヤ濃度が5×1018cm−3を超えると端面電流阻止層のドーパント不純物が隣接する半導体層に拡散して極性変動を引き起こし、電流阻止機能が不十分になるので5×1018cm−3未満であるのが好ましい。
【0036】
上記電流阻止部と窓領域とで共振器方向の長さを略等しくすれば、窓領域に流れる無効電流を抑制するのに効果的である。
【0037】
上記窓領域は共振器方向の長さが10μm未満では共振器内部の活性層から窓領域に注入されたキャリヤが共振器端面まで到達し、端面で非発光再結合による発熱が生じて端面が劣化するので10μm以上であるのが好ましい。また、窓領域の共振器方向の長さが60μmを超えるとレーザ発振に必要な利得が低下し、発振閾値電流が増大して動作電流が増大するので60μm以下であるのが好ましい。
【0038】
窓領域を形成する際に、結晶中に空孔を拡散させて量子井戸活性層を無秩序化すれば、各半導体層の極性変動が生じず、極性が交互に異なる複数の半導体層による電流阻止機能が低下しない。
【0039】
上記端面電流阻止層または保護層のAl組成比が0.1以下であればGaが吸収されやすく、結晶中に空孔が生じ易いので、熱アニール温度を上昇させることなく量子井戸活性層の無秩序が可能となり、各半導体層の極性変動がさらに生じ難くなる。
【0040】
上記量子井戸活性層から端面電流阻止層まで、または量子井戸活性層から保護層までの層厚方向の距離が0.4μmを超えると、端面部での電流阻止機能が不十分になり、窓領域に電流が流れてしまうので0.4μm以下であるのが好ましい。
【0041】
本発明の製造方法にあっては、端面およびその近傍の活性層無秩序化領域と電流阻止部との位置合わせをセルフアラインによって高精度で行うことができるので、プロセスが簡素化され、量産化に適している。
【0042】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0043】
(実施形態1)
図1は実施形態1の半導体レーザ素子の構造を示す斜視図であり、図2はそのリッジストライプ中央部分における共振器方向(図1のA−A’線部分)の断面図である。
【0044】
この半導体レーザ素子は、n−GaAs基板1上に、厚さ2μmのn−Al0.5Ga0.5As下クラッド層2、3層の厚さ8nmのAl0.1Ga0.9Asウエル層(図示せず)とその間に設けられた2層の厚さ8nmのAl0.35Ga0.65Asバリヤ層(図示せず)とそれらを挟む一対の厚さ30nmのAl0.35Ga0.65Asガイド層(図示せず)で構成されるノンドープ多重量子井戸活性層3、厚さ0.2μmのp−Al0.5Ga0.5As第1上クラッド層4および厚さ3nmのp−GaAs第1保護層5が設けられている。
【0045】
その上の幅2.5μmのリッジストライプ6は、共振器端面およびその近傍が厚さ100nmのn−Al0.5Ga0.5As端面電流阻止層7、厚さ3nmのp−GaAs第2保護層8、厚さ1.2μmのp−Al0.5Ga0.5As第2上クラッド層9および厚さ0.7μmのp−GaAsキャップ層10で構成され、共振器内部には端面電流阻止層7および第2保護層8を有さない構成となっている。リッジストライプ6の側面は厚さ0.7μmのn−Al0.7Ga0.3As電流ブロック層11および厚さ1.2μmのp−GaAs平坦化層13で埋め込まれている。リッジストライプ6上と平坦化層13上にわたって厚さ3μmのp−GaAsコンタクト層12が設けられてその上にp型電極16が設けられ、基板1側にはn型電極15が設けられている。
【0046】
さらに、共振器端面およびその近傍の量子井戸活性層3は、共振器方向の長さが25μmの活性層無秩序化領域14を有している。なお、この半導体レーザ素子の共振器長さは600μmである。
【0047】
この半導体レーザ素子は、例えば以下のようにして作製することができる。
【0048】
図3(a)に示すように、n−GaAs基板1上に有機金属気相成長法(MOCVD法)によりn−Al0.5Ga0.5As下クラッド層2、3層のAl0.1Ga0.9Asウエル層と2層のAl0.35Ga0.65Asバリヤ層と2層のAl0.35Ga0.65Asガイド層で構成される多重量子井戸活性層3、p−Al0.5Ga0.5As第1上クラッド層4、p−GaAs第1保護層5、n−Al0.5Ga0.5As端面電流阻止層7およびp−GaAs第2保護層8を成長する。
【0049】
次に、スパッタリングにより厚み0.5μmのSiO膜を第2保護層8の全面に蒸着し、フォトリソグラフィとリフトオフにより図3(b)に示すようなSiOストライプ列21を共振器方向の周期600μmで幅50μmに形成する。このSiOストライプ列21をマスクとして、第2保護層8と端面電流阻止層7をエッチングしてストライプ列状にする。
【0050】
続いて、850℃で60秒の熱アニールを行ってSiOストライプ列21の直下の量子井戸活性層3を無秩序化することにより、図3(c)に示すような活性層無秩序化領域14を形成する。
【0051】
その後、SiOストライプ列21を除去し、第1保護層5上および第2保護層8上にわたってp−Al0.5Ga0.5As第2上クラッド層9およびp−GaAsキャップ層10を第2回目のMOCVD法により成長し、フォトリソグラフィとエッチングにより図3(d)に示すようなリッジストライプ6を形成する。
【0052】
次に、リッジストライプ6の側面に、n−Al0.7Ga0.3As電流ブロック層11およびp−GaAs平坦化層13を第3回目のMOCVD法により埋め込み成長する。続いて、リッジストライプ6上と平坦化層13上にわたって第4回目のMOCVD法によりp−GaAsコンタクト層12を成長する。
【0053】
その後、基板1側とコンタクト層12表面に電極15、16を形成し、活性層無秩序化領域14の中央部が共振器端面になるようにへき開を行って光出射端面に反射率12%のコーティングを行い、反対側の端面には反射率95%のコーティングを行う。これにより、共振器長が600μmで活性層無秩序化領域(窓領域)14の共振器方向の長さが25μmの半導体レーザ素子が得られる。
【0054】
このようにして得られた本実施形態の半導体レーザ素子に対して、電極15、16に電圧を印加してリッジストライプ内部とそれに相当する活性層に電流を注入することにより、光出射端面からレーザ光が得られる。本実施形態の半導体レーザ素子は、発振閾値電流が20mA、スロープ効率が1W/A、最大光出力が400mWであり、熱飽和で光出力が制限されて端面劣化は生じなかった。本実施形態の半導体レーザ素子を温度60℃、光出力CW200mWでエージング試験に投入したところ、5000時間以上にわたって安定に走行した。
【0055】
比較のために、端面およびその近傍に電流阻止部を設けずに、それ以外は本実施形態の半導体レーザ素子と同様に端面およびその近傍の活性層を無秩序化した構造の半導体レーザ素子を作製した。この比較例の半導体レーザ素子では、発振閾値電流が30mAに増大し、スロープ効率が0.7W/Aに低下し、最大光出力は150mWまで低下して端面劣化が見られた。この比較例の半導体レーザ素子を温度60℃、光出力CW200mWでエージング試験に投入したところ、100時間以内に全ての素子が劣化した。
【0056】
このように本実施形態によれば、端面およびその近傍に電流阻止部を設けて活性層無秩序化領域(窓領域)に流れる無効電流を抑制することにより、動作電流の低減を図ることができると共に高出力動作時にも高い信頼性が得られる。
【0057】
さらに、本実施形態の半導体レーザ素子では、端面電流阻止層7から活性層無秩序化領域14までの距離(層厚方向)が第1上クラッド層4の厚さにほぼ等しくなり、その層厚は0.2μmと比較的薄いので、端面電流阻止層7から活性層無秩序化領域14に流れる無効電流を十分に抑制して低動作電流で高い信頼性を有する高出力の半導体レーザ素子が得られる。
【0058】
さらに、本実施形態の半導体レーザ素子では、n型の下クラッド層2、p型の第1上クラッド層4、p型の第1保護層5、n型の端面電流阻止層7、およびp型の第2保護層8とp型の第2上クラッド層9の順に、極性が交互に異なる複数の半導体層を配置して電流阻止機能を実現している。よって、各半導体層の層厚やキャリヤ濃度等のパラメータを調整することにより、電流阻止機能を調整することができる。従って、活性層無秩序化領域に注入される無効電流をさらに制御良く抑制することができ、低動作電流で信頼性が高い高出力の半導体レーザ素子が得られる。
【0059】
さらに、本実施形態の半導体レーザ素子では、端面電流阻止層7と第2上クラッド層9との間に第2保護層8を設けているので、端面電流阻止層7の組成比、層厚、キャリヤ濃度等のパラメータを独立に制御して電流阻止機能を調整することができる。
【0060】
ところで、本実施形態の半導体レーザ素子において、Al0.5Ga0.5As端面電流阻止層7はAl組成比が高いので、その上に直接p−Al0.5Ga0.5As第2上クラッド層9を再成長させると結晶欠陥が発生し、結晶欠陥を介した無効電流が増大する。そこで、本実施形態では、端面電流阻止層7と第2上クラッド層9との間に端面電流阻止層7のAl組成比よりも小さいGaAsからなる第2保護層8を設けており、その上に再成長した第2上クラッド層9の結晶欠陥を抑制して無効電流増大を防ぐことができる。
【0061】
さらに、端面電流阻止層7の厚みが0.01μm未満では電流阻止機能が低下し、0.3μmを超えると端面部と内部とで第2上クラッド層9の表面高さが大きく異なり、リッジストライプの幅が変化してレーザ発振が不安定になる。そこで、本実施形態の半導体レーザ素子では端面電流阻止層7の厚みを0.1μmにしてある。これにより、電流阻止機能を維持すると共に安定したレーザ発振を得ることができる。
【0062】
さらに、第2保護層8の厚みが0.001μm未満では表面保護機能が低下してその上に再成長させた第2上クラッド層9の結晶欠陥が増大し、0.03μmを超えると端面部と内部とで光閉じ込め状態が異なり、光結合損失が生じてレーザ発振効率が低下する。そこで、本実施形態の半導体レーザ素子では第2保護層の厚みを0.003μmにしてある。これにより、第2上クラッド層9の結晶欠陥による特性劣化を防止すると共に端面部と内部での光結合損失によるレーザ発振効率の低下を防ぐことができる。
【0063】
さらに、端面電流阻止層7のキャリヤ濃度が5×1017cm−3未満では電流阻止機能が不十分になって活性層無秩序化領域14に無効電流が流れ、5×1018cm−3を超えると端面電流阻止層7のドーパント不純物が隣接する半導体層に拡散して極性変動を引き起こし、電流阻止機能が不十分になる。そこで、本実施形態の半導体レーザ素子では端面電流阻止層7のキャリヤ濃度を2×1018cm−3にしてある。これにより、端面電流阻止機能を維持して活性層無秩序化領域14に流れる無効電流を抑制することができる。なお、端面電流阻止層7のドーパント不純物としては、SeまたはSiを用いることができる。
【0064】
さらに、本実施形態の半導体レーザ素子では、端面電流阻止層7の長さと活性層無秩序化領域14とで共振器方向の長さを略等しくしてあるので、活性層無秩序化領域14に流れる無効電流を効果的に抑制することができる。
【0065】
さらに、活性層無秩序化領域14の共振器方向の長さが10μm未満では共振器内部の活性層から窓領域に注入されたキャリヤが共振器端面まで到達し、端面で非発光再結合による発熱が生じて端面が劣化する。一方、活性層無秩序化領域14の共振器方向の長さが60μmを超えるとレーザ発振に必要な利得が低下し、発振閾値電流が増大して動作電流が増大する。そこで、本実施形態の半導体レーザ素子では、活性層無秩序化領域14の共振器方向の長さを25μmにしてある。これにより、端面劣化による信頼性低下を防ぐと共に低動作電流でのレーザ発振を得ることができる。
【0066】
本実施形態の半導体レーザ素子の製造においては、GaAs第2保護層8の上にSiOストライプ列21を形成し、これをマスクとして第2保護層8および端面電流阻止層7をエッチングしている。さらに、熱アニールによりSiO膜に第2保護層のGaを吸収させて結晶中に空孔を形成し、その空孔を多重量子井戸活性層3まで拡散させることによりSiOストライプ列21の下方に活性層無秩序化領域14を形成している。これにより、端面およびその近傍の活性層無秩序化領域14と端面電流阻止層7との位置合わせをセルフアラインによって高精度に行うことができるので、プロセスが簡素化され、量産化に適している。
【0067】
なお、結晶中の空孔発生量や空孔拡散距離を制御するためには、アニール温度や時間を考慮する必要がある。
【0068】
また、本実施形態では活性層無秩序化領域14を端面幅方向全体に形成していますが、実施形態2のようにリッジストライプ6の下方のみに形成することもできる。
【0069】
また、本実施形態では、活性層無秩序化領域14を形成する際に、結晶中に空孔を拡散させて量子井戸活性層3を無秩序化しているので、p型第2保護層8、n型端面電流阻止層7、p型第1上クラッド層4、量子井戸活性層3、n型クラッド層2等の各半導体層の極性変動が生じない。よって、極性が交互に異なる複数の半導体層による電流阻止機能を低下させることなく活性層無秩序化領域14に注入される無効電流を抑制することができる。
【0070】
さらに、本実施形態において、SiO膜下部の第2保護層8がGaAsからなり、Al組成比が0.1以下であるのでGaが吸収されやすく、結晶中に空孔が生じ易い。よって、熱アニール温度を上昇させることなく量子井戸活性層の無秩序が可能となり、各半導体層の極性変動をさらに生じ難くすることができる。
【0071】
さらに、本実施形態において、量子井戸活性層3から端面電流阻止層7までの層厚方向の距離が0.4μmを超えると、端面部での電流阻止機能が不十分になり、活性層無秩序化領域14に電流が流れてしまう。そこで、本実施形態では、端面電流阻止層7から量子井戸活性層3までの距離を約0.2μmにしてある。これにより、動作電流を低減すると共に活性層無秩序化領域での結晶劣化を防いで高出力動作時の信頼性を向上させることができる。
【0072】
(実施形態2)
図4は実施形態2の半導体レーザ素子の構造を示す斜視図であり、図5はそのリッジストライプ中央部分における共振器方向(図4のB−B’線部分)の断面図である。
【0073】
この半導体レーザ素子は、n−GaAs基板1上に、厚さ2μmのn−(Al0.7Ga0.30.5In0.5P下クラッド層31、2層の厚さ8nmのGa0.5In0.5Pウエル層(図示せず)とその間に設けられた1層の厚さ5nmの(Al0.5Ga0.50.5In0.5Pバリヤ層(図示せず)とそれらを挟む一対の厚さ30nmの(Al0.5Ga0.50.5In0.5Pガイド層(図示せず)で構成されるノンドープ多重量子井戸活性層32、厚さ0.2μmのp−(Al0.7Ga0.30.5In0.5P第1上クラッド層33および厚さ5nmのp−Ga0.5In0.5P第1保護層34が設けられている。
【0074】
その上の幅5.0μmのリッジストライプ6は、共振器端面およびその近傍が厚さ500nmのn−(Al0.2Ga0.80.5In0.5P端面電流阻止層35、厚さ1.2μmのp−(Al0.7Ga0.30.5In0.5P第2上クラッド層36および厚さ0.7μmのp−GaAsキャップ層10で構成され、共振器内部には端面電流阻止層35を有さない構成となっている。リッジストライプ46の側面は厚さ1.9μmのn−GaAs電流ブロック層37で埋め込まれている。リッジストライプ46上と電流ブロック層37上にわたって厚さ3μmのp−GaAsコンタクト層12が設けられてその上にp型電極16が設けられ、基板1側にはn型電極15が設けられている。
【0075】
さらに、共振器端面およびその近傍の量子井戸活性層32は、共振器方向の長さが20μmの活性層無秩序化領域14を有している。なお、この半導体レーザ素子の共振器長さは800μmである。
【0076】
この半導体レーザ素子は、例えば以下のようにして作製することができる。
【0077】
図6(a)に示すように、n−GaAs基板1上に分子線エピタキシー法(MBE法)によりn−(Al0.7Ga0.30.5In0.5P下クラッド層31、2層のGa0.5In0.5Pウエル層と1層の(Al0.5Ga0.50.5In0.5Pバリヤ層と2層の(Al0.5Ga0.50.5In0.5Pガイド層で構成されるノンドープ多重量子井戸活性層32、p−(Al0.7Ga0.30.5In0.5P第1上クラッド層33、p−Ga0.5In0.5P第1保護層34およびn−(Al0.2Ga0.80.5In0.5P端面電流阻止層35を成長する。
【0078】
次に、厚み0.3μmのZnO膜を端面電流阻止層35の全面に蒸着し、フォトリソグラフィとリフトオフにより図6(b)に示すようなZnOドット列41を共振器方向の周期800μmで長さ40μm、幅5μmに形成する。このZnOドット列41をマスクとして、端面電流阻止層35をエッチングしてドット列状にする。
【0079】
続いて、700℃で3時間のアニールを行ってZnOドット列41の直下の量子井戸活性層32を無秩序化することにより、図6(c)に示すような活性層無秩序化領域14を形成する。
【0080】
その後、ZnOドット列41を除去し、第1保護層34上および端面電流阻止層35上にわたってp−(Al0.7Ga0.30.5In0.5P第2上クラッド層36およびp−GaAsキャップ層10を第2回目のMBE法で成長し、フォトリソグラフィとエッチングにより図6(d)に示すようなリッジストライプ6を形成する。
【0081】
次に、リッジストライプ6の側面に、n−GaAs電流ブロック層37を第3回目のMBE法により埋め込み成長する。続いて、リッジストライプ6上と電流ブロック層37上にわたって第4回目のMBE法によりp−GaAsコンタクト層12を成長する。
【0082】
その後、基板1側とコンタクト層12表面に電極15、16を形成し、活性層無秩序化領域14が共振器端面になるようにへき開を行って光出射端面に反射率8%のコーティングを行い、反対側の端面には反射率95%のコーティングを行う。これにより、共振器長が800μmで活性層無秩序化領域(窓領域)14の共振器方向の長さが20μmの半導体レーザ素子が得られる。
【0083】
このようにして得られた本実施形態の半導体レーザ素子に対して、電極15、16に電圧を印加してリッジストライプ内部とそれに相当する活性層に電流を注入することにより、光出射端面からレーザ光が得られる。本実施形態の半導体レーザ素子は、発振閾値電流が50mA、スロープ効率が0.7W/A、最大光出力が300mWであり、熱飽和で光出力が制限されて端面劣化は生じなかった。本実施形態の半導体レーザ素子を温度60℃、光出力CW200mWでエージング試験に投入したところ、5000時間以上にわたって安定に走行した。
【0084】
このように本実施形態によれば、端面およびその近傍に電流阻止部を設けて活性層無秩序化領域(窓領域)に流れる無効電流を抑制することにより、動作電流の低減を図ることができると共に高出力動作時にも高い信頼性が得られる。
【0085】
また、本実施形態の半導体レーザ素子でも、端面電流阻止層35から活性層無秩序化領域14までの距離(層厚方向)が第1上クラッド層33の厚さにほぼ等しくなり、その層厚は0.2μmと比較的薄いので、端面電流阻止層35から活性層無秩序化領域14に流れる無効電流を十分に抑制して低動作電流で高い信頼性を有する高出力の半導体レーザ素子が得られる。
【0086】
また、本実施形態の半導体レーザ素子でも、n型の下クラッド層31、p型の第1上クラッド層33、p型の第1保護層34、n型の端面電流阻止層35、およびp型の第2上クラッド層36の順に、極性が交互に異なる複数の半導体層を配置して電流阻止機能を実現している。よって、各半導体層の層厚やキャリヤ濃度等のパラメータを調整することにより、電流阻止機能を調整することができる。従って、活性層無秩序化領域に注入される無効電流をさらに制御良く抑制することができ、低動作電流で信頼性が高い高出力の半導体レーザ素子が得られる。
【0087】
さらに、本実施形態の半導体レーザ素子では、n−(Al0.2Ga0.80.5In0.5P端面電流阻止層35のAl組成比をp−(Al0.7Ga0.30.5In0.5P第1上クラッド層33のAl組成比よりも小さくしてある。よって、p−(Al0.7Ga0.30.5In0.5P第2上クラッド層36を直接第1上クラッド層33上に再成長させた場合よりも結晶欠陥の発生を抑制することができ、第2上クラッド層36の結晶欠陥を介した無効電流の増大を防ぐことができる。
【0088】
さらに、本実施形態の半導体レーザ素子でも、端面電流阻止層35の厚みを0.01μm以上0.3μm以下の範囲である0.05μmにしてあるので、電流阻止機能を維持すると共に安定したレーザ発振を得ることができる。
【0089】
さらに、本実施形態の半導体レーザ素子でも、端面電流阻止層35のキャリヤ濃度を5×1017cm−3以上5×1018cm−3以下の範囲である2××1018cm−3にしてあるので、端面電流阻止機能を維持して活性層無秩序化領域14に流れる無効電流を抑制することができる。なお、端面電流素子層35のドーパント不純物としてはSi等を用いることができる。
【0090】
さらに、本実施形態の半導体レーザ素子でも、端面電流阻止層35の長さと活性層無秩序化領域14とで共振器方向の長さを略等しくしてあるので、活性層無秩序化領域14に流れる無効電流を効果的に抑制することができる。
【0091】
さらに、本実施形態の半導体レーザ素子でも、活性層無秩序化領域14の共振器方向の長さを10μm以上60μm以下の範囲である20μmにしてあるので、端面劣化による信頼性低下を防ぐと共に低動作電流でのレーザ発振を得ることができる。
【0092】
本実施形態の半導体レーザ素子の製造においては、端面電流阻止層35の上にZnOドット列41を形成し、これをマスクとして端面電流阻止層35をエッチングしている。さらに、アニールにより不純物を多重量子井戸活性層32まで拡散させることによりZnOドット列41の下方に活性層無秩序化領域14を形成している。これにより、端面およびその近傍の活性層無秩序化領域14と端面電流阻止層35との位置合わせをセルフアラインによって高精度に行うことができるので、プロセスが簡素化され、量産化に適している。
【0093】
なお、結晶中の空孔発生量や空孔拡散距離を制御するためには、アニール温度や時間を考慮する必要がある。また、本実施形態では空孔ではなく不純物を拡散させているので、空孔拡散に比べて極性変動が生じ易い。従って、拡散温度と時間を厳密に制御してなるべく変動を起こさない条件でプロセスを行う必要がある。
【0094】
また、本実施形態では活性層無秩序化領域14をリッジストライプ6の下方のみに形成していますが、実施形態1のように端面幅方向全体に形成することもできる。
【0095】
また、本実施形態において、不純物としてはMg等を用いることもできる。
【0096】
さらに、本実施形態においても、量子井戸活性層32から端面電流阻止層35までの層厚方向の距離を0.4μm以下の範囲である約0.2μmにしてあるので、動作電流を低減すると共に活性層無秩序化領域での結晶劣化を防いで高出力動作時の信頼性を向上させることができる。
【0097】
なお、上記実施形態1および実施形態2では、光出射端面とその反対側の両端面に活性層無秩序化領域を設けたが、光出射端面のみに活性層無秩序化領域を設けても同様の効果が得られる。
【0098】
さらに、上記実施形態では多重量子井戸活性層の例について説明したが、単一量子井戸活性層に対しても同様に本発明は適用可能である。基板としては、GaAs基板以外にInP等の基板を使用することができ、第1導電型としてn型、第2導電型として半導体層を成長させた半導体レーザ素子、および第1導電型としてp型、第2導電型としてn型の半導体層を成長させた半導体レーザ素子のいずれについても本発明は適用可能である。さらに、半導体レーザ素子の製造工程において、MOCVD法やMBE法以外にCBE(化学ビームエピタキシー)法、ALE(原子層エピタキシー)法等の成長方法を用いることも可能である。
【0099】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の半導体レーザ素子によれば、共振器端面およびその近傍の活性層無秩序化領域(窓領域)上に電流阻止部を設けて活性層無秩序化領域に流れる無効電流を抑制することにより、動作電流の低減を図ると共に高出力動作時に高い信頼性が得られる。また、電流阻止部から活性層無秩序化領域までの距離(層厚方向)が十分小さいので、電流阻止部から活性層無秩序化領域に流れる無効電流を十分に抑制して、低動作電流で高い信頼性を有する高出力の半導体レーザ素子を得ることができる。
【0100】
さらに、本発明の半導体レーザ素子によれば、電流阻止機能が少なくとも第1導電型の下クラッド層、第2導電型の第1上クラッド層、第1導電型の端面電流阻止層および第2導電型の第2上クラッド層のように、極性が交互に異なる複数の半導体層で実現されるので、各半導体層の層厚やキャリヤ濃度等のパラメータを調整することにより、十分な電流阻止機能を得ることができる。従って、活性層無秩序化領域に注入される無効電流をさらに制御性良く抑制して低動作電流で高信頼性の高出力な半導体レーザ素子を得ることができる。
【0101】
さらに、本発明の半導体レーザ素子によれば、端面電流阻止層と第2上クラッド層との間に保護層を設けることにより、端面電流阻止層の組成比、層厚、キャリヤ濃度等のパラメータを独立に制御して電流阻止機能を調整することができる。
【0102】
さらに、本発明の半導体レーザ素子によれば、AlGa1−xAs(0≦x≦1)または(AlGa1−yIn1−zP(0≦y≦1、0≦z≦1)で構成した端面電流阻止層のAl組成比を第1上クラッド層のAl組成比よりも小さくすれば、端面電流阻止層上に再成長させた第2上クラッド層の結晶欠陥発生を抑制して無効電流の増大を防ぐことができる。
【0103】
さらに、本発明の半導体レーザ素子によれば、AlGa1−xAs(0≦x≦1)または(AlGa1−yIn1−zP(0≦y≦1、0≦z≦1)で構成した保護層のAl組成比を端面電流阻止層のAl組成比よりも小さくすれば、端面電流阻止層の組成および層厚の設計自由度が向上し、さらに、保護層上に再成長させた第2上クラッド層の結晶欠陥の発生を抑制して無効電流の増大を防ぐことができる。
【0104】
さらに、本発明の半導体レーザ素子によれば、端面電流阻止層の厚みを0.01μm以上0.3μm以下にすることにより、電流阻止機能を維持すると共に安定したレーザ発振を得ることができる。
【0105】
さらに、本発明の半導体レーザ素子によれば、保護層の厚みを0.001μm以上0.03μm以下にすることにより、保護層上に再成長させた第2上クラッド層の結晶欠陥の発生を抑制して特性劣化を防止することができ、それと共に端面部と内部で光結合損失によるレーザ発振効率の低下を防ぐことができる。
【0106】
さらに、本発明の半導体レーザ素子によれば、端面電流阻止層のキャリヤ濃度を5×1017cm−3以上5×1018cm−3以下にすることにより、電流阻止機能を維持して活性層無秩序化領域に流れる無効電流を抑制し、動作電流を低減することができる。
【0107】
さらに、本発明の半導体レーザ素子によれば、電流阻止部と活性層無秩序化領域とで共振器方向の長さを略等しくすることにより、活性層無秩序化領域に流れる無効電流を効果的に抑制することができる。
【0108】
さらに、本発明の半導体レーザ素子によれば、活性層無秩序化領域の共振器方向の長さを10μm以上60μm以下にすることにより、端面劣化を防ぐと共に動作電流の増大を抑制することができる。
【0109】
さらに、本発明の半導体レーザ素子によれば、活性層無秩序化領域を形成する際に、結晶中に空孔を拡散させて量子井戸活性層を無秩序化することにより、各半導体層の極性変動が生じない。よって、極性が交互に異なる複数の半導体層により得られる電流阻止機能を低下させることなく、活性層無秩序化領域に注入される無効電流を抑制することができる。
【0110】
さらに、本発明の半導体レーザ素子によれば、端面電流阻止層または保護層のAl組成比を0.1以下にすることにより、熱アニール温度を上昇させることなく量子井戸活性層を無秩序化させることができ、各半導体層の極性変動をさらに生じ難くすることができる。
【0111】
さらに、本発明の半導体レーザ素子によれば、量子井戸活性層から端面電流阻止層まで、または量子井戸活性層から保護層までの層厚方向の距離を0.4μmにすることにより、端面部での電流阻止機能を十分にして活性層無秩序化領域に流れる無効電流の発生を抑制することができる。
【0112】
本発明の半導体レーザ素子の製造方法によれば、端面およびその近傍の活性層無秩序化領域と電流阻止部との位置合わせをセルフアラインによって高精度で行うことができる。よって、半導体レーザ素子の製造プロセスを簡素化して、量産化に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1の半導体レーザ素子の構造を示す斜視図である。
【図2】図1のA−A’線部分の断面図である。
【図3】実施形態1の半導体レーザ素子の製造工程を説明するための斜視図である。
【図4】実施形態2の半導体レーザ素子の構造を示す斜視図である。
【図5】図4のB−B’線部分の断面図である。
【図6】実施形態2の半導体レーザ素子の製造工程を説明するための斜視図である。
【図7】従来の半導体レーザ素子の構造を示す斜視図である。
【図8】従来の半導体レーザ素子の構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 基板
2、31 下クラッド層
3、32 量子井戸活性層
4、33 第1上クラッド層
5、34 第1保護層
6 リッジストライプ
7、35 端面電流阻止層
8 第2保護層
9、36 第2上クラッド層
10 キャップ層
11、37 電流ブロック層
12 コンタクト層
13 平坦化層
14 活性層無秩序化領域
15、16 電極
21 SiOストライプ列
41 ZnOドット列

Claims (15)

  1. 少なくとも第1導電型の下クラッド層と第2導電型の第1上クラッド層と、両クラッド層で挟まれた量子井戸活性層を有し、少なくとも光出射端面およびその近傍に、該量子井戸活性層を無秩序化した窓領域を備えている半導体レーザ素子において、
    該窓領域上方であって該第1上クラッド層上部分に電流阻止部を有し、該電流阻止部上および該電流阻止部が設けられていない第1上クラッド層上部分にわたってリッジストライプ状に第2導電型の第2上クラッド層を備えている半導体レーザ素子。
  2. 前記電流阻止部が、少なくとも第1導電型の端面電流阻止層を有する請求項1に記載の半導体レーザ素子。
  3. 前記端面電流阻止層と前記第2上クラッド層との間に保護層を有する請求項2に記載の半導体レーザ素子。
  4. 前記端面電流阻止層および前記第1上クラッド層がAlGa1−xAs(0≦x≦1)または(AlGa1−yIn1−zP(0≦y≦1、0≦z≦1)からなり、該端面電流阻止層のAl組成比が該第1上クラッド層のAl組成比よりも小さい請求項2または請求項3のいずれかに記載の半導体レーザ素子。
  5. 前記保護層および前記端面電流阻止層がAlGa1−xAs(0≦x≦1)または(AlGa1−yIn1−zP(0≦y≦1、0≦z≦1)からなり、該保護層のAl組成比が該端面電流阻止層のAl組成比よりも小さい請求項3または請求項4に記載の半導体レーザ素子。
  6. 前記端面電流阻止層の厚みが0.01μm以上0.3μm以下である請求項2乃至請求項5のいずれかに記載の半導体レーザ素子。
  7. 前記保護層の厚みが0.001μm以上0.03μm以下である請求項3乃至請求項6のいずれかに記載の半導体レーザ素子。
  8. 前記端面電流阻止層のキャリヤ濃度が5×1017cm−3以上5×1018cm−3以下である請求項2乃至請求項7のいずれかに記載の半導体レーザ素子。
  9. 前記電流阻止部と前記窓領域とは共振器方向の長さが略等しい請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の半導体レーザ素子。
  10. 前記窓領域は共振器方向の長さが10μm以上60μm以下である請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の半導体レーザ素子。
  11. 前記窓領域は、前記量子井戸活性層を構成する結晶中に空孔を拡散させて無秩序化したものである請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の半導体レーザ素子。
  12. 前記端面電流阻止層および前記保護層のAl組成比が0.1以下である請求項11に記載の半導体レーザ素子。
  13. 前記量子井戸活性層から前記端面電流阻止層まで、または前記量子井戸活性層から前記保護層までの層厚方向の距離が0.4μm以下である請求項2乃至請求項12のいずれかに記載の半導体レーザ素子。
  14. 第1導電型の基板上に、少なくとも第1導電型の下クラッド層、量子井戸活性層、第2導電型の第1上クラッド層、第2導電型の保護層および第1導電型の端面電流阻止層を順次成長させる工程と、
    成長表面にSiO膜を形成し、該SiO膜と該端面電流阻止層とを、少なくとも光出射端面およびその近傍の上方を残して除去する工程と、
    熱アニールにより該SiO膜下方の該量子井戸活性層部分を選択的に無秩序化する工程と、
    該SiO膜を除去し、該端面電流阻止層上および該電流阻止層が設けられていない保護層上部分にわたって第2導電型の第2上クラッド層を成長させる工程と
    を含む半導体レーザ素子の製造方法。
  15. 第1導電型の基板上に、少なくとも第1導電型の下クラッド層、量子井戸活性層、第2導電型の第1上クラッド層、第2導電型の保護層および第1導電型の端面電流阻止層を順次成長させる工程と、
    該端面電流阻止層を、少なくとも光出射端面およびその近傍の上方を残して除去する工程と、
    不純物拡散により該端面電流阻止層下方の該量子井戸活性層部分を選択的に無秩序化する工程と、
    該端面電流阻止層上および該電流阻止層が設けられていない保護層上部分にわたって第2導電型の第2上クラッド層を成長させる工程と
    を含む半導体レーザ素子の製造方法。
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