JP3628572B2 - 孔版印刷装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、少なくとも二つの版胴を備えて、各版胴の間に搬送された印刷用紙の両面への同時印刷を行う孔版印刷装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
孔版印刷装置にて、両面印刷を実施しようとした場合、例えば、図8に示すように、孔版原紙Mを外周面に巻装する回転可能な円筒状の版胴101,102を二つ用いることが考えられる。各版胴101,102は、回転軸線を平行にして設けられる。また、各版胴101,102の内部には、外周面にインクを供給するスキージローラ103,104が設けられる。そして、各版胴101,102の間に印刷用紙Pを供給し、その外周面の間で印刷用紙Pを挟み、孔版原紙Mを透過したインクを印刷用紙Pに転写させることにより印刷用紙Pの両面に印刷を行う。
【0003】
また、孔版原紙Mを版胴の外周面に巻装するため、各版胴101,102には、搬送された孔版原紙Mの先端をそれぞれ版胴101,102の外周面の一部に挟持する係止機構が設けられている。この係止機構は、開閉自在なクランプ板105,106を有している。クランプ板105,106は、閉動作によって孔版原紙Mの先端部を挟み開動作によって孔版原紙Mの先端部の挟持を開放する。
【0004】
また、上記係止機構は、それぞれ版胴101,102の回転方向に孔版原紙Mの先端部が向くようにして孔版原紙Mの先端を挟持する。そして、従来の孔版印刷装置では、各版胴101,102を同じ直径とし、同じ周速度で回転するようにしている。即ち、従来の孔版印刷装置は、版胴101,102の回転時に孔版原紙Mが印刷用紙Pと接触して負荷を受けた際、孔版原紙Mの先端部が均等に引っ張られるようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の孔版印刷装置では、理論上、各版胴101,102を同じ直径として、同じ周速度で回転するように設計されているものの、版胴101(102)の全周を局部的に見ると、その径が若干異なる場合がある。このように、各版胴101,102間の径の異なりがあると、各版胴101,102に巻装された各孔版原紙Mの線速度が異なってしまい、各孔版原紙Mに対して巻装方向に動かそうとする応力が働くこととなる。
【0006】
具体的には、上側の版胴101の径が大きくなった場合、版胴101に巻装された孔版原紙Mは線速度が速くなり、直径の小さい下側の版胴102に巻装された孔版原紙Mは線速度が遅くなる。そして、図9に示すように、これら線速度の異なる各孔版原紙Mに印刷用紙Pが接触する。この場合、上側の版胴101の孔版原紙Mは、回転方向に抗する応力F1を受けるが、先端部が係止機構にて挟持されているために移動することがない。ところが、下側の版胴102の孔版原紙Mは、回転方向に順んずる応力F2を受けるため、係止機構にて挟持されている先端部方向に移動して本来の位置からズレしまう。これにより、線速度の遅い下側の版胴102に巻装された孔版原紙Mがなす印刷画像が縮んだり、該孔版原紙Mに皺が生じたり、あるいは、該孔版原紙Mが版胴102の印刷領域(インクを通過させる領域)を覆いきれない位置まで移動することで印刷用紙Pを汚してしまう等の問題がある。
【0007】
そこで本発明は、上記課題を解消するために、複数の版胴の間にて印刷用紙の両面に同時印刷を行う場合に、各版胴に巻装された孔版原紙の移動を防止することができる孔版印刷装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明による請求項1に記載の孔版印刷装置は、円筒状に形成されて自身の中心軸線周りに回転可能とされ、互いに外周面を接触し得る二つの版胴と、 前記版胴の一方に設けられ、該版胴の外周面の回転方向に沿って巻装される製版済の孔版原紙の先端部及び後端部を挟持する係止機構と、前記版胴の他方に設けられ、該版胴の外周面の回転方向に沿って巻装される製版済の孔版原紙の先端部のみを挟持する係止機構と、を備え、前記一方の版胴の周速度を、他方の版胴の周速度よりも遅い周速度とすることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の孔版印刷装置は、前記各版胴の周速度は、前記各版胴の外周面をなす径を変えることにより設定されることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の孔版印刷装置は、前記孔版原紙の後端部を版座上に移動させ又は押し付ける手段として、前記版胴の一方の外周近傍にファン又はローラを設けたことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第一実施の形態を図面を参照して具体的に説明する。この第一実施の形態は、本願の参考例である。
図1は本発明の孔版印刷装置の印刷部に係る構成の第一実施の形態を示す側面図、図2は前記印刷部の係止機構を示す側面図、図3は前記係止機構の平面図の半部、図4は前記係止機構の平面図の他の半部、図5は前記係止機構の動作図、図6は前記印刷部の部分拡大図である。
【0012】
図1に示すように、本例の孔版印刷装置における印刷部は、第一版胴1(上側)と第二版胴2(下側)を有している。
まず、第一版胴1は、図1及び図2に示すように、基体3を有している。基体3は、共通の中心軸線上に同軸に配置された一対の円板状部材4と、前記一対の円板状部材4を連結する基材としての第一版座5を備えている。第一版座5の長手方向は、円板状部材4の中心軸線と平行である。
【0013】
図3及び図4に示すように、円板状部材4の外側の端面には、従動歯車6がそれぞれ同軸に固定されている。基体3の近傍には、図示しない駆動源に連動する駆動軸7が配置されている。駆動軸7は円板状部材4の中心軸線と平行であり、その両端には駆動歯車8がそれぞれ固定されている。駆動歯車8は従動歯車6に噛み合っている。図示しない駆動源を駆動すれば、駆動軸7が回転して駆動歯車8が従動歯車6を回転させ、基体3が自身の中心軸線の周りに、図1,図2,図5,図6に矢印で示す反時計廻り方向に回転駆動される。
【0014】
第一版座5には、第一保持手段10が設けられている。図2乃至図4に示すように、第一保持手段10は、第一版座5に固定された複数の回転支点11と、回転支点11に回動可能に支持された回転軸12と、回転軸12に取り付けられた金属製の第一クランプ板13を有する。回転軸は基体3の中心軸線に平行である。図3に示すように、回転軸12の一端部には第一連結板14が設けられている。第一連結板14は、後述する駆動機構に着脱可能に連結される。
【0015】
第一版座5の一端部には、インク通過性部材15の一端部が取り付けられている。このインク通過性部材15の一端部は、第一版胴1の回転方向について上流側である。インク通過性部材15は、外周縁部分がインク不通過性であり中程がインク通過性とされ、かつ可撓性の素材からなる。このインク通過性部材15は、その一対の側縁部が前記一対の円板状部材4の周面に摺接するように回転方向の下流に向けて基体3に巻装される。インク通過性部材15の他端部には、軸線方向に細長い第二版座16が固定されている。
【0016】
インク通過性部材15の他端部は、第一版胴1の回転方向について下流側である。インク通過性部材15の他端部に固定された第二版座16は、弾性部材であるバネ17を介して前記第一版座5の他端部に取り付けられている。図2に示すように、第二版座16の一部は第一版座5の一部に重なり、摺動可能に重なっている。このように、インク通過性部材15はバネ17の弾性力によって回転方向の下流側に引っ張られ、一対の円板状部材4の周面に巻き付けられている。従って、インク通過性部材15は全体として円筒状である。インク通過性部材15は内側から押せば円板状部材4の周面を滑って外に向けて膨出し、力をなくせばバネ17によってもとの状態に戻る。
【0017】
第二版座16には、第二保持手段18が設けられている。図3乃至図5に示すように、第二保持手段18は、第二版座16に固定された複数の回転支点19と、回転支点19に回動可能に支持された回転軸20と、回転軸20に取り付けられた金属製の第二クランプ板21を有する。回転軸20は基体3の中心軸線に平行である。図3に示すように、回転軸21の一端部には第二連結板22が設けられている。第二連結板22は、後述する駆動手段に着脱可能に連結される。
【0018】
第一クランプ板13は、図3に示すようにインク通過性部材15の一端部側に倒れた位置で、第一版座5に配置された磁石板23aによって吸着固定される。第一クランプ板13は、磁石板23aとの間で、不図示の製版部にて製版されて搬送された孔版原紙Mの先端部を挟持する。第一クランプ板13にて先端部が挟持された孔版原紙Mは、第一版胴1の回転によりインク通過性部材15上に巻装される。
【0019】
第二クランプ板21は、図3に示すようにインク通過性部材15の他端部側に倒れた位置で、第二版座16に配された磁石板23bによって吸着固定される。第二クランプ板21は、磁石板23bとの間でインク通過性部材15上に巻装された孔版原紙Mの後端部を挟持する。
【0020】
また、2つの回転軸12,20の間に位置する第二版座16の一領域にも、磁石板23cが配置されている。第一クランプ板13と第二クランプ板21は、孔版原紙Mを保持しない開放状態にある時、この領域に重なって磁石板23cに吸着固定される。
【0021】
図3に示すように、第一版胴1の近傍の所定位置には、第一及び第二保持手段10,18を駆動するクランプ駆動手段25が設けられている。クランプ駆動手段25は、基板26と、基板26に取り付けられた第一クランプモータ27および第二クランプモータ28と、各モータがそれぞれ駆動する第一及び第二回転軸29,30を有する。そして、クランプ駆動手段25は、基板26を第一版胴1の中心軸線に平行に移動させる移動手段も有している。第一及び第二回転軸29,30は、第一版胴1が孔版原紙1の装着開始位置又は装着完了位置に設定されたときに、第一及び第二連結板14、22にそれぞれ対応する位置にある。第一版胴1がこのような位置にある時、図3中の矢印で示す移動方向に基板26が移動して回転軸29,30が連結板14,22にそれぞれ結合する。ここでクランプモータ27,28が駆動されれば、クランプ板13,21が回転する。
【0022】
図5に示すように、第一版胴1の近傍には送風手段としてのファン32が設けられている。このファン32は、孔版原紙1の持ち上がった後端部を第二版座16の上に移動させるための手段として機能する。ファン32の位置は、第一版胴1が孔版原紙1の装着完了位置に設定されたときに、第二保持手段18の回転方向のやや後方である。即ち、図5に示すように、第一版胴1の回転に伴う孔版原紙1の巻き付けが完了した時、保持されていない孔版原紙1の後端部を挟んで第二クランプ板21とファン32が対峙する。ここでファン32を作動させれば、孔版原紙1の後端部を風で移動させて第二版座16の上に押し付けることができる。そして、第二クランプ板21を閉方向に作動させることにより、孔版原紙1の後端部を第二クランプ板21と第二版座16の間に保持することができる。
【0023】
なお、孔版原紙1の後端部を第二版座16の上に押し付ける手段として、上記ファン32の他、孔版原紙Mの後端部に接触可能とされたローラ(不図示)に代えてもよい。
【0024】
このように、第一版胴1は、第一及び第二保持手段10,18と、これを駆動するクランプ駆動手段25により、自身の回転方向に沿って巻装される製版済の孔版原紙Mの両端部を挟持する係止機構を備えている。
【0025】
図1及び図6に示すように、第一版胴1の内部には、スキージローラ40が設けられている。スキージローラ40は、第一版胴1内に固定された枢軸41を介して略上下方向に揺動可能となるように支持されたローラ支持アーム42に対し、回転可能に取り付けられている。これにより、スキージローラ40は、第一版胴1の内部で昇降可能とされる。スキージローラ40は、第一版胴1に同軸に設けられた駆動ギア43と中間ギア44とスキージローラ40のギア45によって、第一版胴1の回転に連動して第一版胴1と同方向に回転駆動される。
【0026】
スキージローラ40は、インク通過性部材15の内周面に接触して、インク通過性部材15を外方(下側)に向けて押圧する。また、スキージローラ40は、第一版胴1の回転に同期して所定のタイミングでインク通過性部材15の内周面から離れる。スキージローラ40がインク通過性部材15の内周面から離れる時は、上記係止機構がスキージローラ40を通過する時であり、スキージローラ40と係止機構の内側の衝突が避けられる。
【0027】
なお、インクは、不図示のインク供給部を介して第一版胴1内に供給され、スキージローラ40に対して所定の間隔を置いて配置されたドクターローラ46によってスキージローラ40の周面に一定量が供給される。
【0028】
次に、第二版胴2について説明する。
第二版胴2は、上述した第一版胴1に対し、内部の構成以外については、同様に構成されている。したがって、以下に説明する第二版胴2について、第一版胴1と同一あるいは同等部分には、同一の符号を付して説明を省略する。
【0029】
第二版胴2は、上記第一版胴1の反時計廻りの回転に同期して、自身の中心軸線の周りに、図1及び図6に矢印で示す時計廻り方向(第一版胴1と反対方向)に回転駆動される。この第二版胴2の回転の駆動に際しては、例えば、第一版胴1にかかる駆動歯車8の回転に連動するように構成すればよい。
【0030】
第二版胴2は、第一版胴1と同様に、第一版座5の一端側に取り付けられたインク通過性部材15の一端部が第二版胴2の回転方向について上流側となる。また、第二版座16が固定されたインク通過性部材15の他端部は、第二版胴2の回転方向について下流側となる。即ち、第二版胴2は、基体3に係るインク通過性部材15、係止機構、クランプ駆動手段25及びファン32が、第一版胴1と対称に構成されている。また、第二版胴2は、円板状部材4の形状、及び、円板状部材4の周面に巻き付けられたインク通過性部材15がなす円筒状の径は略等しくなるように形成されている。
【0031】
図1及び図6に示すように、第二版胴2の内部には、スキージローラ50が設けられている。スキージローラ50は、第二版胴2内に固定された枢軸51を介して略上下方向に揺動可能となるように支持されたローラ支持アーム52に対し、回転可能に取り付けられている。これにより、スキージローラ50は、第一版胴1の内部で昇降可能とされる。スキージローラ50は、第二版胴2に同軸に設けられた駆動ギア53と中間ギア54とスキージローラ50のギア55によって、第二版胴2の回転に連動して第二版胴1と同方向に回転駆動される。
【0032】
第二版胴2の内部には、カム56が第二版胴2に同軸に設けられている。このカム56は、第二版胴2と共に回転する。カム56の周面には、第二版胴2にある係止機構側に向く凹部57が形成されている。また、ローラ支持アーム52には、カムフォロアローラ58が設けられている。このカムフォロアローラ58は、カム56の直上に位置する。ローラ支持アーム52は、揺動端部側がバネ59にて常に下方に引っ張られている。これにより、カムフォロアローラ58は、凹部57を含むカム56の周面に常に摺接する。
【0033】
即ち、第二版胴2の回転により共に回転するカム56は、カムフォロアローラ58が摺接する周面及び凹部57にてスキージローラ50の昇降位置を位置決めする。カムフォロアローラ58がカム56の周面に摺接している時は、スキージローラ50がインク通過性部材15の内周面に接触する。また、カムフォロアローラ58がカム56の凹部57に摺接している時は、スキージローラ50がインク通過性部材15の内周面から下側に離れる。これにより、スキージローラ50と係止機構の内側の衝突が避けられる。
【0034】
なお、インクは、不図示のインク供給部を介して第二版胴2内に供給され、スキージローラ50に対して所定の間隔を置いて配置されたドクターローラ60によってスキージローラ50の周面に一定量が供給される。
【0035】
このように構成された印刷部は、第一版胴1のスキージローラ40がインク通過性部材15を外方に押圧し、下側に膨出されたインク通過性部材15の外周面と、その下側にある第二版胴2のインク通過性部材15の外周面とが接触する。そして、第一版胴1と第二版胴2が接触する際、それぞれ同期して回転する第一及び第二版胴1,2の間に印刷用紙Pを送ることにより印刷用紙Pの両面に印刷が施される。
【0036】
印刷用紙Pは、給紙部65によって印刷部に送られる。図1に示すように、給紙部65は、印刷用紙Pを積載する給紙台66を有している。給紙台66にある印刷用紙Pは、各給紙ローラ67及び紙捌き部材68によって一枚ずつ取り出される。取り出された印刷用紙Pは、上下の用紙ガイド部材69を介してタイミングローラ対70のニップ部まで搬送される。タイミングローラ対70は、印刷用紙Pを所定タイミングをもって第一及び第二版胴1,2の間へ送り込む。
【0037】
また、印刷を施された印刷用紙Pは、排紙部71によって印刷部から取り出される。図1に示すように、排紙部71は、印刷用紙Pを、第一及び第二版胴1,2の回転に際して引き離す各用紙剥離爪72を有している。用紙剥離爪72にて第一あるいは第二版胴1,2より引き離された印刷用紙Pは、排紙ベルト73に送られる。排紙ベルト73の下には、排紙ファン74が設けられていて排紙ベルト73側に印刷用紙を吸引する。排紙ベルト73に送られた印刷用紙Pは、排紙ガイド75によって排紙方向から見てU字状に形成されることによりコシ付けされて排紙台76に飛ばされる。
【0038】
以下、上記第一実施の形態による孔版印刷装置の印刷にかかる係止機構の作用を説明する。
印刷時において、同期して回転する第一及び第二版胴1,2の間に送られた印刷用紙Pは、第一版胴1の膨出したインク通過性部材15に巻装された孔版原紙Mと、第二版胴2のインク通過性部材15に巻装された孔版原紙Mの間に挟まれることとなる。各孔版原紙Mに挟まれた印刷用紙の両面には、各孔版原紙Mの穿孔部分を通過したインクが転写してそれぞれ所望の像を形成することにより印刷が行われる。
【0039】
このように印刷を行う際、孔版原紙Mが以下の如く応力を受ける。
まず、第一版胴1及び第二版胴2は、各インク通過性部材15,15がなす円筒状の径が略等しくなるように形成されている。ところが、例えば第一版胴1の径が局部的に見て大きくなった場合、第一版胴1の周速度が速くなり、インク通過性部材15に巻装された孔版原紙Mの線速度が、第二版胴2のインク通過性部材15に巻装された孔版原紙Mの線速度よりも速くなる。これにより、線速度の遅い第二版胴2側の孔版原紙Mは、第二版胴2の回転方向の先端部側に向く応力を受けることとなる。
【0040】
先端部側に向く応力を受けた第二版胴2側の孔版原紙Mは、先端部側に向けて移動しようとする。しかしながら、上記係止機構では、孔版原紙Mの後端部側をも挟持しているので、孔版原紙Mの移動はなく巻装された最初の位置を維持する。
【0041】
これにより、第二版胴2側の孔版原紙Mがなす印刷画像が縮んだり、孔版原紙Mに皺が生じたり、孔版原紙Mが第二版胴2のインク不通過性の部分を覆いきれない位置まで移動して印刷用紙を汚すようなことがない。
【0042】
なお、第二版胴2の径が局部的に大きくなった場合には、第二版胴2のインク通過性部材15に巻装された孔版原紙Mの線速度が、第一版胴1のインク通過性部材15に巻装された孔版原紙Mの線速度よりも速くなって、線速度の遅い第一版胴1側の孔版原紙Mが、第一版胴1の回転方向の先端部側に向く応力を受ける。しかしながら、第一版胴1に設けられた係止機構も、孔版原紙Mの先端部及び後端部を挟持しているので、上記の如く孔版原紙Mの移動はない。
【0043】
したがって、こうのように構成された孔版印刷装置では、第一版胴1及び第二版胴2によって印刷用紙の両面に印刷を施す場合に、第一及び第二版胴1,2に巻装された各孔版原紙Mの先端部及び後端部を挟持する係止機構を備えているので、何れの版胴1(2)に巻装された孔版原紙Mの線速度が遅くなっても、この孔版原紙Mの移動を生じさせないため、印刷用紙の両面に対して所望の印刷を行うことが可能となる。
【0044】
以下、本発明の第二実施の形態を図面を参照して具体的に説明する。この第二実施の形態は、本願の実施例である。第二実施の形態において、上記第一実施の形態の構成の一部を適応することができる。
図7は本発明の孔版印刷装置の印刷部に係る構成の第二実施の形態を示す拡大した側面図である。
【0045】
なお、第二実施の形態において、上述した第一実施の形態と同一あるいは同等の構成には、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0046】
第二実施の形態における孔版印刷装置は、上述した第一実施の形態に対し、第二版胴2の構成は同様で、インク通過性部材15に巻装する孔版原紙Mの先端部及び後端部を挟持する係止機構を有している。また、第一版胴1に関しては、係止機構がインク通過性部材15に巻装される孔版原紙Mの先端部のみを挟持する構成である。この孔版原紙Mの先端部のみを挟持する構成は、図7に示すように、上述の第一版座5に第一クランプ板13を備えた構成である。また、インク通過性部材15は、上流側の端部が第一版座5に固定され、下流側の端部が第一版座5に対してバネ17にて支持されている。
【0047】
このような構成にて、第二版胴2の周速度を第一版胴1の周速度よりも遅くして、第二版胴2側の孔版原紙Mの線速度が第一版胴1側の孔版原紙Mの線速度が遅くなるように設定する。例えば、第二版胴2の径を第一版胴1の径よりも小さくする(あるいは、第一版胴1の径を第二版胴2の径よりも大きくする)ように構成する。
【0048】
以下、上記第二実施の形態による孔版印刷装置の印刷にかかる係止機構の作用を説明する。
印刷時において、同期して回転する第一及び第二版胴1,2の間に送られた印刷用紙Pは、第一版胴1の膨出したインク通過性部材15に巻装された孔版原紙Mと、第二版胴2のインク通過性部材15に巻装された孔版原紙Mの間に挟まれることとなる。各孔版原紙Mに挟まれた印刷用紙の両面には、各孔版原紙Mの穿孔部分を通過したインクが転写してそれぞれ所望の像を形成することにより印刷が行われる。
【0049】
このように印刷を行う際、孔版原紙Mが以下の如く応力を受ける。
まず、第二版胴2は第一版胴よりも周速度が遅くなるように設定されている。このため、第一版胴1のインク通過性部材15に巻装された孔版原紙Mの線速度が、第二版胴2のインク通過性部材15に巻装された孔版原紙Mの線速度よりも速くなる。これにより、線速度の遅い第二版胴2側の孔版原紙Mは、第二版胴2の回転方向の先端部側に向く応力を受けることとなる。
【0050】
先端部側に向く応力を受けた第二版胴2側の孔版原紙Mは、先端部側に向けて移動しようとする。しかしながら、上記係止機構では、孔版原紙Mの後端部側をも挟持しているので、孔版原紙Mの移動はなく巻装された最初の位置を維持する。
【0051】
これにより、第二版胴2側の孔版原紙Mがなす印刷画像が縮んだり、孔版原紙Mに皺が生じたり、孔版原紙Mが第二版胴2のインク不通過性の部分を覆いきれない位置まで移動して印刷用紙を汚すようなことがない。
【0052】
したがって、このように構成された第二実施の形態での孔版印刷装置では、第一版胴1及び第二版胴2によって印刷用紙の両面に印刷を施す場合に、第二版胴2に巻装された各孔版原紙Mの先端部及び後端部を挟持する係止機構を備え、且つ孔版原紙Mの先端部及び後端部を挟持する第二版胴2の周速度を第一版胴1の周速度よりも遅くしている。これにより、第一版胴1に巻装された孔版原紙Mには、先端部方向への移動を生じさせず、且つ第二版胴2の孔版原紙Mの移動をも生じさせないため、印刷用紙の両面に対して所望の印刷を行うことが可能となる。
【0053】
なお、上述した第二実施の形態において、第一版胴1側の係止機構を、孔版原紙Mの先端部及び後端部を挟持する構成とし、第一版胴1に巻装された孔版原紙Mの線速度が遅くなるように構成してもよく、同様の効果が得られる。
【0054】
また、第二実施の形態において、第一版胴1(あるいは第二版胴2)に巻装された孔版原紙Mの線速度を速くする構成は、径を大きくする以外に、例えば版胴1(2)の回転を駆動するための従動歯車6や駆動歯車8のギヤ比を変えるようにしてもよい。
【0055】
なお、上述した第一及び第二実施の形態において、第一版胴1のインク通過性部材15を膨出する構成としているが、第二版胴2のインク通過性部材15を膨出する構成としてもよい。さらに、インク通過性部材15は、膨出しない側の構成を可撓性の素材とせず、剛体構造をなす構成としてもよい。
【0056】
また、第一及び第二実施の形態において、第一版胴1あるいは第二版胴2の一方を膨出するような構成としているが、これに限らない。例えば、第一版胴1あるいは第二版胴2の一方を他方に対して接離する構成とし、互いの版胴1,2が接触する時に印刷用紙を供給するようにしてもよい。この場合のインク通過性部材15は、双方の版胴1,2が可撓性の素材、双方の版胴1,2が剛体構造、あるいは何れかの一方の版胴1(2)を可撓性の素材とし他方の版胴2(1)を剛体構造とすることが可能である。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように本発明による請求項1に記載の孔版印刷装置は、互いに外周面を接触し得る二つの版胴のうち、一方の版胴の周速度を他方の版胴の周速度よりも遅い周速度とし、周速度の遅い一方の版胴側の孔版原紙については、係止機構により先端部のみならず後端部側をも挟持し、周速度の早い他方の版胴側の孔版原紙については、係止機構により先端部のみを挟持させるようにしているので、印刷作業時において、版胴に対し一方及び他方の孔版原紙ともに移動することがない。これにより、孔版原紙がなす印刷画像が縮んだり、孔版原紙に皺が生じたり、孔版原紙がインク不通過性の部分を覆いきれない位置まで移動して印刷用紙を汚すようなことがなくなり、印刷用紙の両面に所望の印刷を行うことができる。ここにおいて、上記他方の版胴側では、印刷用紙の後端部の挟持操作の必要がないため、その分、孔版原紙の装着作業が容易となる。
【0058】
請求項2に記載の孔版印刷装置では、各版胴の周速度を、前記各版胴の外周面をなす径を変えることにより容易に設定することができる。
【0059】
請求項3に記載の孔版印刷装置では、上記孔版原紙の後端部を版座上に移動させ又は押し付ける手段として、前記版胴の一方の外周近傍にファン又はローラを設けたので、孔版原紙の装着作業がいっそう容易且つ確実である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の孔版印刷装置の印刷部に係る構成の第一実施の形態であって、本願の参考例を示す側面図。
【図2】前記印刷部の係止機構を示す側面図。
【図3】前記係止機構の平面図の半部。
【図4】前記係止機構の平面図の他の半部。
【図5】前記係止機構の動作図。
【図6】前記印刷部の部分拡大図。
【図7】本発明の孔版印刷装置の印刷部に係る構成の第二実施の形態であって、本願の実施例を示す拡大した側面図。
【図8】従来の孔版印刷装置を示す側面図。
【図9】従来の孔版印刷装置の印刷時の作用を示す側面図。
【符号の説明】
1…第一版胴(他方の版胴)、2…第二版胴(一方の版胴)、10…第一保持手段(係止機構)、18…第二保持手段(係止機構)。
Claims (3)
- 円筒状に形成されて自身の中心軸線周りに回転可能とされ、互いに外周面を接触し得る二つの版胴と、
前記版胴の一方に設けられ、該版胴の外周面の回転方向に沿って巻装される製版済の孔版原紙の先端部及び後端部を挟持する係止機構と、
前記版胴の他方に設けられ、該版胴の外周面の回転方向に沿って巻装される製版済の孔版原紙の先端部のみを挟持する係止機構と、
を備え、前記一方の版胴の周速度を、他方の版胴の周速度よりも遅い周速度とすることを特徴とする孔版印刷装置。 - 前記各版胴の周速度は、前記各版胴の外周面をなす径を変えることにより設定されることを特徴とする請求項1に記載の孔版印刷装置。
- 前記孔版原紙の後端部を版座上に移動させ又は押し付ける手段として、前記版胴の一方の外周近傍にファン又はローラを設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の孔版印刷装置。
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