JP3627298B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、潤滑剤を保有した磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスク等)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
強磁性金属材料を蒸着等の手法により非磁性支持体上に被着し、これを磁性層とした、いわゆる金属薄膜型の磁気記録媒体や、非常に微細な磁性粒子と樹脂結合剤とを含む磁性塗料を非磁性支持体上に塗布し、これを磁性層とした、いわゆる塗布型の磁気記録媒体では、磁性層表面の平滑性が極めて良好であるため、磁気ヘッドやガイドローラー等の摺動部材に対する実質的な接触面積が大きい。従って、摩擦係数が大きくなり、凝着現象(いわゆる張り付き)が起き易く、走行性や耐久性に欠ける等、問題点が多い。
【0003】
例えば、8ミリビデオデッキに挿入されたテープは、10個以上のガイドピンを通って、ドラムに巻き付けられる。その際、ピンチローラーとキャプスタンによってテープテンションとテープ走行速度は一定に保たれていて、テンションは約20g、走行速度は 0.5cm/sである。
【0004】
この走行系において、テープの磁性層はステンレス製の固定されたガイドピンと接触する構造になっている。そのために、テープ表面の摩擦が大きくなると、テープがスティックスリップを起こして、いわゆるテープ鳴きという現象が起き、再生画面のひきつれを起こす。
【0005】
また、テープとヘッドとの相対速度は非常に大きく、特にポーズ状態では同じ場所での高速接触となるので、磁性層の摩耗の問題が生じ、再生出力の低下につながる。蒸着テープの場合には磁性層が非常に薄いので、この問題は更に深刻となる。
【0006】
ハードディスク装置では、CSS(コンタクト・スタート・ストップ)といって、回転前には磁気ヘッドはディスクに接触しており、高速で回転を始めると、発生する空気流によって浮上するタイプである。それゆえ、起動停止あるいは起動時には媒体を擦って走行するので、そのときの摩擦増加が逆に大きな問題となっている。
【0007】
商品レベルの信頼性を保つには、CSS操作を2万回行った後の摩擦係数が特に 0.5以下であることが望まれる。また、高速で回転しているので、ヘッドと媒体によるヘッドクラッシュの問題も薄膜媒体では課題の一つである。
【0008】
そこで、これら問題点を改善するために、各種の潤滑剤を使用することが検討されており、従来より、高級脂肪酸やそのエステル等を上記磁気記録媒体の磁性層に添加したり或いはトップコートすることにより、摩擦係数を抑えようとする試みがなされている。
【0009】
ところで、磁気記録媒体に使用される潤滑剤には、その性質上、非常に厳しい特性が要求され、従来用いられている潤滑剤では対応することが難しいのが現状である。
【0010】
即ち、磁気記録媒体に使用される潤滑剤には、
(1) 寒冷地での使用に際して所定の潤滑効果が確保されるように、低温特性に優れること、
(2) 磁気ヘッドとのスペーシングが問題となるので、極めて薄く塗布できることと、その場合にも十分な潤滑特性が発揮されること、
(3) 長期間、あるいは長時間の使用に耐え、潤滑効果が持続すること、
等が要求される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、磁気記録媒体の分野においては、使用される潤滑剤の能力不足に起因して、走行性、耐久性等の実用特性、特にシャトル走行試験における再生出力のレベルダウン等の実用特性に不満を残している。
【0012】
そこで、本発明は、各種使用条件下において優れた潤滑性が保たれると共に、長時間に亘り潤滑効果が持続され、走行性、耐摩耗性、耐久性等に優れた磁気記録媒体を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上述の目的を達成せんものと鋭意研究を重ねた結果、非磁性支持体上に少なくとも磁性層を有してなる磁気記録媒体であって、前記磁性層上にカーボン膜が形成され、かつ、特定の炭化水素酸無水物と特定の炭化水素エステルとの混合系潤滑剤、特に長鎖炭化水素基を有する炭化水素酸無水物と炭化水素エステルとの混合系潤滑剤を塗布することにより、優れた潤滑効果が得られることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0014】
即ち、本発明は、少なくとも磁性層を有する磁気記録媒体において、前記磁性層上にカーボン膜が形成され、かつ下記の一般式[I]で表される炭化水素酸無水物と下記の一般式[ II ]で表される炭化水素エステルとの混合物からなる混合系潤滑剤が前記カーボン膜上に保有(特に塗布)されていることを特徴とする磁気記録媒体に係るものである。
【0015】
一般式[I]:
1−CO−O−CO−R2
(但し、この一般式において、R1及びR2は、互いに同一の若しくは異なる炭化水素基からなる疎水基である。)
【0016】
そして、この一般式[I]において、R1及びR2が下記の構造からなる。
1:CH3(CH2m
2:CH3(CH2n
(但し、mは0〜19の整数、nは3〜23の整数、m+nは8〜38の整数であり、mは0〜10の整数、nは3〜16の整数、m+nは12〜22の整数であるのが好ましい。)
【0017】
一般式[II]:
3−COO−R4
(但し、R3及びR4は、互いに同一の若しくは異なる炭化水素基からなる疎水基である。)
【0018】
そして、この一般式[II]において、R3及びR4が下記の構造からなる。
3:CH3(CH2p
4:CH3(CH2q
(但し、pは5〜23の整数、qは0〜19の整数、p+qは8〜38の整数であり、pは5〜10の整数、qは2〜16の整数、p+qは12〜22の整数であるのが好ましい。)
【0019】
また、上記の潤滑剤が混合系である場合、炭化水素酸無水物と炭化水素エステルとの混合比が重量比で、炭化水素酸無水物:炭化水素エステル=(0.1〜1.2):1、更には(0.3〜0.7):1であることが望ましい。
【0020】
本発明の磁気記録媒体によれば、上記炭化水素酸無水物と上記炭化水素エステルとの混合系潤滑剤を上記のカーボン膜上に保有、特に塗布することにより潤滑剤層を形成しているので、摩擦係数を低減させ、かつシャトル耐久性を向上させることができる。
【0021】
即ち、炭化水素酸無水物と炭化水素エステルとの混合系潤滑剤をカーボン膜上に塗布すると、カーボン膜上に潤滑剤分子の極性基部位の酸無水物及びエステル部位が吸着し、疎水基部位の炭化水素基(R 、R 、R 、R )間の凝集力により潤滑膜を形成する。
【0022】
カーボン膜表面は、極性基部位(−OH、−COOH等)を有するが、カーボン膜をスパッタ法等により形成した際に生じたカーボン粉末のpH測定によると、pH=2であってかなり酸性表面であることがわかっている。このことから、カルボン酸のように酸性度が強い酸であると、カーボン膜表面には吸着し難いことが予想される。
【0023】
これに対し、本発明で使用する上記の酸無水物やエステルでは、カルボン酸より酸性度が低く、カーボン膜表面に対する吸着性はカルボン酸と比べて優れていると考えられる。従って、本発明で使用する潤滑剤成分はカーボン膜表面に強く吸着するため、摩擦係数が低減し、シャトル及びスチル耐久性が向上する。また、潤滑剤分子の疎水基部位に炭化水素基部位を有するため、潤滑剤分子間の相互作用が強固になり、ドラムやヘッド等による摩擦で潤滑膜に生じる剪断力が大きくなっても、潤滑膜が破壊されることがない。
【0024】
また、上記の酸無水物と併用される上記のエステルは融点の低いエステル類であるため、これを混合することにより、潤滑膜の膜の融点を低下させ、低温(例えば−5℃)条件下においても流動性に富んだ膜状態を維持することにより、良好な潤滑特性を得ることができる。
【0025】
特に、長鎖炭化水素基を2つ有する上記の炭化水素酸無水物と上記の炭化水素エステルとの混合系潤滑剤の炭化水素基R、R、R、Rとして、その全炭素数は、R+R又はR+Rにおいては12〜38であり、14〜24が好ましい(個々のR、R、R、Rにおいては1〜23であり、1〜11又は3〜17が好ましい)。この全炭素数が小さすぎると、炭化水素が短すぎて摩擦や耐摩耗性に問題が生じ易く、また全炭素数が多すぎると、炭化水素基が長くなりすぎて潤滑剤を媒体表面に塗布する場合の汎用溶媒(トルエン、ヘキサン等)への溶解性が減少し、媒体表面に潤滑膜を形成できなくなることがある。
【0026】
上記のように、本発明は、カーボン膜を有する記録媒体に最適の潤滑膜構造を形成し、摩擦係数の低減及びシャトル耐久性を効果的かつ十分に向上させることができるものである。
【0027】
本発明による磁気記録媒体としては、非磁性支持体の表面に蒸着等の手法により磁性膜が磁性層として形成され、更にその磁性層の上にカーボン膜を形成した、いわゆる金属薄膜型の磁気記録媒体に適用することが可能である。また、この金属薄膜型の磁気記録媒体においては、非磁性支持体と磁性層との間に下地層を介した構成の磁気記録媒体に適用することもできる。また、塗布型磁気記録媒体に対しても応用が可能である。
【0028】
この場合には、適用可能な金属薄膜型の磁気記録媒体の非磁性支持体、金属磁性薄膜は何等限定されるものではなく、従来より知られるものが何でも使用できる。
【0029】
例示するならば、非磁性支持体としては、塗布型の磁気記録媒体と同様のものが使用可能である。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等のポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、セルローストリアセテート、セルロースダイアセテート、セルローストリアセテートブチレート等のセルロース誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、ポリカーボネート類、ポリアミドイミド類に代表されるような高分子材料や、アルミニウム合金、チタン合金、チタン合金等の軽金属等からなる金属板、アルミナガラス、セラミックス等により形成される支持体等が挙げられる。その形態も何ら限定されるものではなく、テープ状、シート状、ドラム状等いかなる形態であってもよい。
【0030】
この場合、非磁性支持体にAl合金板やガラス板等の剛性を有する基板を使用した場合には、基板表面にアルマイト処理等の酸化皮膜やNi−P皮膜等を形成してその表面を硬くするようにしてもよい。
【0031】
金属磁性薄膜は、メッキやスパッタリング、真空蒸着等のPVD(物理的蒸着)の手法により連続膜として形成することができ、Fe、Co、Ni等の金属やCo−Ni系合金、Co−Pt系合金、Co−Pt−Ni系合金、Fe−Co系合金、Fe−Ni系合金、Fe−Co−Ni系合金、Fe−Ni−B系合金、Fe−Co−B系合金、Fe−Co−Ni−B系合金等からなる面内磁化記録金属磁性膜やCo−Cr系合金薄膜が例示される。
【0032】
特に、面内磁化記録金属磁性薄膜の場合、予め非磁性支持体上にBi、Sb、Pb、Sn、Ga、In、Ge、Si、Tl等の低融点非磁性材料の下地層を形成しておき、金属磁性材料を垂直方向から蒸着あるいはスパッタし、金属磁性薄膜中にこれら低融点非磁性材料を拡散せしめ、配向性を解消して面内等方性を確保するとともに、抗磁性を向上させるようにしてもよい。
【0033】
こうした磁気記録媒体の表面にカーボン膜を形成する方法としては、スパッタリングが一般的であるが特に限定されるものではなく、いずれの方法も使用可能である。この場合、カーボン膜の膜厚は2〜100nm であることが望ましく、更に望ましくは5〜30nmである。
【0034】
磁気記録媒体表面のカーボン膜上に上記潤滑剤を保持せしめる方法としては、このカーボン膜表面に潤滑剤層をトップコートする方法が挙げられる。この場合、上記潤滑剤の塗布量としては、 0.5〜100mg/mであることが望ましく、1〜20mg/m であることがより好ましい。
【0035】
この潤滑剤を塗布するための溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、酢酸エチルモノエチルエーテル等のエステル系溶媒、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサン等のグリコールエーテル系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、メチレンクロリド、エチレンクロリド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロロヒドリン、ジクロロベンゼン等の塩素含有系溶媒が挙げられる。また、その他の従来公知の有機溶媒を使用することができる。
【0036】
上記潤滑剤は、単独で磁気記録媒体の潤滑剤として用いてもよいが、従来公知の潤滑剤と組み合わせて用いてもよい。即ち、上記潤滑剤は単独で磁気記録媒体の上に塗布してもよいが、従来公知の潤滑剤、例えば一般的に磁気記録媒体に使用されている長鎖のカルボン酸或いはそのエステル類、長鎖アルコール類と組み合わせて用いてもよい。
【0037】
さらに、より厳しい条件に対処し、潤滑効果を持続させるために、重量比30:70〜70:30程度の配合比で極圧剤を併用してもよい。極圧剤は、境界潤滑領域において部分的に金属接触を生じたときに、これに伴う摩擦熱によって金属面と反応し、反応生成物皮膜を形成することにより、摩擦、摩耗防止作用を行うものであって、リン系極圧剤、硫黄系極圧剤、ハロゲン系極圧剤、有機金属系極圧剤、複合系極圧剤等のいずれも使用できる。
【0038】
また、上述の潤滑剤、極圧剤の他、必要に応じて、防錆剤を併用してもよい。防錆剤としては、通常この種の磁気記録媒体の防錆剤として使用されるものであればいずれも使用でき、例えばフェノール類、ナフトール類、キノン類、窒素原子を含む複素環化合物、酸素原子を含む複素環化合物、硫黄原子を含む複素環化合物等である。
【0039】
こうした防錆剤は、上記潤滑剤と複合して用いてもよいが、上記カーボン膜上に防錆剤層を塗布した後、潤滑剤層を塗布するというように、2層以上に分けて被着すると効果が高い。
【0040】
本発明は、上記した金属薄膜型の磁気記録媒体だけでなく、非常に微細な磁性粒子と樹脂結合剤とを含む磁性塗料を非磁性支持体上に塗布し、これを磁性層とした、いわゆる塗布型の磁気記録媒体に適用してもよい。
【0041】
この場合、上記の潤滑剤を磁性層上に塗布できるが、磁性層内に添加してもよい。
【0042】
この塗布型の磁気記録媒体で使用可能な磁性粒子は、上記した磁性金属の粉末でもよいし、酸化物磁性粉末でもよい。これには、例えば、γ−Fe、Co含有γ−Fe、Co被着γ−Fe、Fe、Co含有Fe、Co被着Fe、CrO等が挙げられる。金属磁性粉末としては、上述したもの以外にも例えば、Fe−Co−B、Fe−Co−Cr−B、Mn−Bi、Mn−Al、Fe−Co−V等が挙げられ、更にこれらの種々の特性を改善する目的で、Al、Si、Ti、Cr、Mn、Cu、Zn等の金属成分が添加されたものであってもよい。また、バリウムフェライト等の六方晶系フェライトや窒化鉄等も使用可能である。
【0043】
また、この磁性層のバインダとして、従来から公知の結合剤樹脂のいずれもが併用可能である。こうした公知の樹脂の例としては、塩化ビニル系共重合体(例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−エチレン−酢酸ビニル共重合体、−SONa、−SONa等の極性基及びエポキシ基が導入された塩化ビニル系共重合体)、ニトロセルロース樹脂等のセルロース樹脂誘導体、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリウレタン系樹脂(例えば、ポリエステルポリウレタン樹脂、−SONa、−SONa等の極性基が導入されたポリウレタン系樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂)を挙げることができる。
【0044】
また、磁性層には必要に応じて、ジブチルフタレート、トリフェニルフォスフェートのような可塑剤、ジオクチルスルホナトリウムサクシネート、t−ブチルフェノール、ポリエチレンエーテル、エチルナフタレンスルホン酸ソーダ、ジラウリルサクシネート、ステアリン酸金属塩、ステアリン酸エステル類のような炭化水素系潤滑剤、シリコンオイルのようなシリコン系潤滑剤、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロカルボン酸等のフッ素系潤滑剤、或いはカーボンブラック等の帯電防止剤を添加することもできる。アルミナ或いは酸化クロム等の研磨性のある無機顔料を含有させることもできる。
【0045】
また、上述の金属薄膜型の磁気記録媒体において、磁性層である金属磁性薄膜等の他に、バックコート層等が必要に応じて形成されていてもよい。
【0046】
例えば、バックコート層は、磁性塗膜と同様に、樹脂結合剤に導電性を付与するためのカーボン系微粉末や表面粗度をコントロールするための無機顔料を添加し、塗布形成されるものである。
【0047】
本発明においては、このバックコート層に上記の潤滑剤を内添、或いはトップコートにより含有せしめてもよい。或いは、磁性塗膜、金属磁性薄膜とバックコート層にいずれも、上記の潤滑剤を内添、トップコートする等、種々の組み合わせも可能である。
【0048】
本発明が適用される磁気記録媒体としては、例えば図1に示すように、非磁性支持体1の表面に蒸着等の手法により磁性層が磁性層2として形成される、いわゆる金属薄膜型の磁気記録媒体に適用することが可能である。この金属薄膜型の磁気記録媒体において、磁性層2上に上記したカーボン膜4及び潤滑剤層3を設けている。非磁性支持体1と磁性層2との間に下地層(図示せず)を介した構成の磁気記録媒体に適用することができる。
【0049】
【発明の作用効果】
本発明による潤滑剤は、上記した特定の炭化水素酸無水物及び炭化水素エステルの混合物を潤滑剤としてカーボン膜上に保有することにより、この潤滑剤とカーボン膜との吸着性が十分となり、長時間に亘って良好な潤滑作用を発揮して、摩擦係数の低減及びシャトル及びスチル耐久性を向上させることができる。
【0050】
また、潤滑剤分子の疎水基部位に炭化水素基部位を有するため、潤滑剤分子間の相互作用が強固になり、ドラムやヘッド等による摩擦で潤滑膜に生じる剪断力が大きくなっても、潤滑膜が破壊されることがなく、耐摩耗性を保持できる。
【0051】
また、上記の酸無水物と併用される上記のエステルは融点の低いエステル類であるため、これらを併用することにより、潤滑膜の膜の融点を低下させ、低温条件下をはじめ、いかなる条件下においても流動性に富んだ膜状態を維持することにより、良好な潤滑特性を得ることができる。
【0052】
【実施例】
以下、本発明の具体的な実施例を説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではないことはいうまでもない。
【0053】
下記の表1に示す本発明に基づく潤滑剤(混合物)、又は下記の表2に示す比較例による潤滑剤を使用して、以下に示す磁気記録媒体を作成した。ここでは、金属薄膜型磁気記録媒体(蒸着テープ)に適用した例について説明する。
【0054】
実施例1
10μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムに、斜方蒸着法によりCo−Niを被着させ、膜厚100nm の強磁性金属薄膜を形成した。次に、この金属磁性薄膜表面に、スパッタリングにより膜厚15nmのカーボン膜を成膜した後、このカーボン膜上に下記表1の潤滑剤1をトルエンに溶解したものを塗布量が5mg/mとなるように塗布し、乾燥させ、8ミリ幅に裁断してサンプルテープを作製した。
【0055】
実施例2〜実施例 58
下記の表1に示す潤滑剤2〜58をそれぞれ用い、その他は実施例1と同様の方法により、対応する各サンプルテープを作製した。
【0056】
なお、実施例1〜47、49、52の潤滑剤はいずれも、混合系潤滑剤であってR〜Rにおいてm又はn=0〜23、m+n=38p又はq=1〜22、p+q=8〜36、両成分の割合A=0.3〜0.7とした。また、潤滑剤48、50、51、53については、m又はn≧17、m+n≧17、p又はq=1〜23、p+q=18〜38、A=0.5とした。潤滑剤54〜58については、Aを種々変更した。
【0057】
比較例1〜5
下記の表2に示す潤滑剤a〜eをそれぞれ用い、その他は実施例1と同様にして、対応する比較テープを作製した。
【0058】
比較例6〜8
実施例1において、潤滑剤として、長鎖炭化水素酸無水物のみを用いた場合(比較例6)、長鎖炭化水素エステルのみを用いた場合(比較例7)、更には、実施例1において、カーボン膜を成膜しなかったもの(比較例8)について、対応する比較テープを作製した。
【0059】
Figure 0003627298
【0060】
Figure 0003627298
【0061】
Figure 0003627298
【0062】
Figure 0003627298
【0063】
Figure 0003627298
【0064】
Figure 0003627298
【0065】
Figure 0003627298
【0066】
Figure 0003627298
【0067】
そして、上記のようにして作製された各テープについて、温度25℃、湿度60%のとき、温度−5℃のとき、温度40℃、湿度80%の条件下での摩擦係数、スチル及びシャトル耐久性について測定を行った。スチル耐久性については、ポーズ状態での出力の3dB低下までの減衰時間を評価した。シャトル耐久性は、1回につき2分間のシャトル走行を行い、出力が3dB低下するまでのシャトル回数で評価した。その結果を下記の表3〜表4に示す。
【0068】
Figure 0003627298
【0069】
Figure 0003627298
【0070】
Figure 0003627298
【0071】
Figure 0003627298
【0072】
Figure 0003627298
【0073】
Figure 0003627298
【0074】
Figure 0003627298
【0075】
Figure 0003627298
【0076】
Figure 0003627298
【0077】
Figure 0003627298
【0078】
Figure 0003627298
【0079】
Figure 0003627298
【0080】
Figure 0003627298
【0081】
Figure 0003627298
【0082】
以上に示した結果から、本発明に基づいて、磁性層の表面にカーボン膜を形成すると共に、潤滑剤として炭化水素酸無水物と炭化水素エステルとの混合系潤滑剤を使用することにより、摩擦係数、スチル耐久性、シャトル耐久性等が、各種条件でも劣化することなく非常に良好な結果が得られた。特に、潤滑剤成分において、m=0〜19、n=23、m+n=38、p=5〜23、q=0〜19、p+q=8〜38、A=0.1〜1.2(特に0.3〜0.7)のときに結果が良好である。
【0083】
これに反し、比較例のものは、使用条件によって潤滑性が不十分となり、また長期に亘り、その潤滑性を保つことができないため、走行性、耐摩耗性、耐久性が劣化する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1・・・非磁性支持体
2・・・金属磁性薄膜
3・・・潤滑剤層
4・・・カーボン膜

Claims (1)

  1. 少なくとも磁性層を有する磁気記録媒体において、前記磁性層上にカーボン膜が形成され、炭化水素酸無水物と炭化水素エステルとの混合物からなる潤滑剤が前記カーボン膜上に保有されており、前記炭化水素酸無水物が下記の一般式〔I〕で表され、前記炭化水素エステルが下記の一般式[II]で表されることを特徴とする磁気記録媒体。
    一般式[I]:
    1−CO−O−CO−R2
    [但し、この一般式[I]において、R1及びR2は、互いに同一の若しくは異なる下記の構造からなる炭化水素基である。
    1:CH3(CH2m
    2 :CH3(CH2n
    (但し、mは0〜19の整数、nは3〜23の整数、m+nは8〜38の整数である。)]
    一般式[II]:
    3−COO−R4
    [但し、この一般式[II]において、R3及びR4は、互いに同一の若しくは異なる下記の構造からなる炭化水素基である。
    3:CH3(CH2p
    4:CH3(CH2q
    (但し、pは5〜23の整数、qは0〜19の整数、p+qは8〜38の整数である。)]
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