JP3625326B2 - ゴルフボール - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴルフボールに関し、さらに詳しくは、打球感(打球時のフィーリング)が良好で、かつ高反撥性能で、飛距離が大きいゴルフボールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ゴルフボールのカバー用樹脂としては、アイオノマー樹脂が広範に使用されている(例えば、特開昭49−49727号公報)。これはアイオノマー樹脂が反撥性能や耐カット性などに優れているという理由によるものである。
【0003】
しかしながら、アイオノマー樹脂は高剛性であるため、このアイオノマー樹脂をカバーに用いたゴルフボールは、打球感が硬くて悪いという問題がある。
【0004】
そこで、アイオノマー樹脂にゴムを混合(ブレンド)することによって、打球感を改善しようとする試みが種々なされてきたが、いまだ充分な成果をあげるにいたっていない。
【0005】
例えば、特開昭55−133440号公報には、アイオノマー樹脂とエチレン−α−オレフィン系共重合体ゴムとの混合物を過酸化物で架橋する方法が提案されているが、過酸化物で架橋する場合、アイオノマー樹脂も架橋されてしまうため、打球感を充分に改善することができなかった。
【0006】
また、特開平6−79017号公報では、アイオノマー樹脂とジエン系ゴムとを混合し、その混合物中のジエン系ゴムを架橋する方法が提案されているが、架橋速度や架橋ゴム粒子径について考慮されていないため(すなわち、相溶化について何ら判断されていないため)、ジエン系ゴムがアイオノマー樹脂中で連続層をとり得ることがあり、そのため、表面処理の際に荒れが起こるなど、作業性面での不利が多かった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、アイオノマー樹脂をカバー材料として用いたゴルフボールにおいては、打球感を改善するために種々の試みがなされてきたが、それらは打球感を充分に改善することができなかったり、作業性の低下を招くなどの問題があった。
【0008】
したがって、本発明は、作業性やアイオノマー樹脂の有する高い反撥性能を低下させることなく、打球感をソフトにして、打球感が良好で、かつ高反撥性能で、飛距離が大きいゴルフボールを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、アイオノマー樹脂と上記アイオノマー樹脂と相溶し得る部分を有するジエン系ゴムとの少なくとも二成分を特定割合で含む混合物の動的架橋物でカバーを構成するときは、作業性やアイオノマー樹脂の有する反撥性能を低下させることなく、打球感をソフトにすることができ、打球感が良好で、かつ高反撥性能で、飛距離の大きいゴルフボールが容易に得られることを見出し、本発明を完成するにいたった。
【0010】
本発明をさらに詳細に説明すると、本発明者らは、先にアイオノマー樹脂中でジエン系ゴムを動的架橋することによって、アイオノマー樹脂に基づく高反撥性能とジエン系ゴムに基づく柔軟さを兼ね備え、飛距離が大きく、かつ打球感がソフトで良好なゴルフボールを提供し得るカバー用組成物を得た。そして、その中で、動的架橋したジエン系ゴムの粒子径が小さくなればなるほど、打球感がソフトで、かつ反撥性能が優れたゴルフボールが得られることも見出した。
【0011】
しかしながら、単に動的架橋するだけでは、ジエン系ゴムの粒子径を微細化するのに限界があることも判明した。また、ジエン系ゴムの粒子径が大きい場合は、ゴルフボール作製時のペイント前処理などの表面処理時に、表面の荒れが生じ、その荒れ部分を補修するための作業が必要になって、作業性が低下するとともに、ペイントの密着性も悪くなるため、これらの面でもジエン系ゴムの粒子径が小さい方が好ましいことが判明した。
【0012】
しかるに、本発明においては、アイオノマー樹脂と上記アイオノマー樹脂と相溶し得る部分を有するジエン系ゴムとを混合することによって、両者を微粒子状態で相溶させ、しかも、その混合物を動的架橋に付すことによって、アイオノマー樹脂と相溶し得る部分を有するジエン系ゴムを動的架橋しているので、アイオノマー樹脂中に分散するゴム粒子がより一層微細化し、それによって成形加工時の表面の荒れも解消されて作業性の低下が抑制され、しかも打球感がソフトでかつ高反撥性能で飛距離が大きいゴルフボールが得られるようになったのである。
【0013】
本発明において、アイオノマー樹脂と上記アイオノマー樹脂と相溶し得る部分を有するジエン系ゴムとの混合比は、重量比で40:60〜99:1である。
【0014】
アイオノマー樹脂の混合比が上記範囲より少ない場合は、アイオノマー樹脂の有する高反撥性能が損なわれて飛距離が低下し、またアイオノマー樹脂の混合比が上記範囲より多くなると、アイオノマー樹脂の性質が強く出て、打球感を改善することができなくなるおそれがある。そして、このアイオノマー樹脂と上記アイオノマー樹脂と相溶し得る部分を有するジエン系ゴムとの混合比としては、特に重量比で50:50〜95:5が好ましい。
【0015】
アイオノマー樹脂と相溶し得る部分を有するジエン系ゴムは、アイオノマー樹脂の有する高い反撥性能を低下させることなく、打球感をソフトにするためのものであるが、その一部は通常のジエン系ゴムであってもよい。ただし、この通常のジエン系ゴムをアイオノマー樹脂と相溶し得る部分を有するジエン系ゴムと併用する場合、アイオノマー樹脂と上記アイオノマー樹脂と相溶し得る部分を有するジエン系ゴムと通常のジエン系ゴムとからなる混合物中において、アイオノマー樹脂と相溶し得る部分を有するジエン系ゴムが1重量%以上であることが必要であり、特に5重量%以上であることが好ましい。
【0016】
つぎに、アイオノマー樹脂および上記アイオノマー樹脂と相溶し得る部分を有するジエン系ゴムについて詳細に説明する。
【0017】
アイオノマー樹脂としては、例えば、三井デュポンポリケミカル(株)製のハイミラン1605(商品名、ナトリウムイオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂)、ハイミラン1707(商品名、ナトリウムイオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂)、ハイミラン1706(商品名、亜鉛イオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂)、ハイミランAM7315(商品名、亜鉛イオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂)、ハイミランAM7317(商品名、亜鉛イオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂)、ハイミラン1555(商品名、ナトリウムイオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂)、ハイミラン1557(商品名、亜鉛イオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂)、エクソン化学社製のアイオテック7010(商品名、亜鉛イオン中和エチレン−アクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂)、アイオテック8000(商品名、ナトリウムイオン中和エチレン−アクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂)、デュポン社製のサーリン7930(商品名、リチウムイオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂)、サーリン8511(商品名、亜鉛イオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂)、サーリン8512(商品名、ナトリウムイオン中和エチレン−メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂)などが挙げられる。ただし、これらは例示であって、これらのみに限定されるものではない。
【0018】
また、アイオノマー樹脂と相溶し得る部分を有するジエン系ゴムにおける母体となるジエン系ゴムとしては、例えば、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)などが挙げられる。
【0019】
そして、本発明において、上記アイオノマー樹脂と相溶し得る部分を有するジエン系ゴムにおけるアイオノマー樹脂と相溶し得るとは、アイオノマー樹脂と相溶性が良いか、あるいはアイオノマー樹脂中の残存カルボキシル基と反応し得る官能基を有することを意味する。
【0020】
上記における相溶性が良いとは、アイオノマー樹脂に上記アイオノマー樹脂と相溶し得る部分を有するジエン系ゴムが微粒子として分散していることをいい、電子顕微鏡などでミクロ的に観察した時にそれぞれが10μm以下の微粒子として分散しており、特に2μm以下の微粒子として分散していることが好ましい。
【0021】
上記のようなアイオノマー樹脂と相溶性の良いものとしては、アイオノマー樹脂は主鎖がエチレンであるので、エチレン系ポリマーが適しており、そのような観点から、エチレンプロピレンジエンゴム、ブタジエンゴムなどが好ましい。
【0022】
一方、アイオノマー樹脂中の残存カルボキシル基と反応し得る部分としては、ジエン系ゴムに結合した無水マレイン酸、オキサゾリン基、エポキシ基、グリシジル基などが挙げられ、そのようなアイオノマー樹脂中のカルボキシル基と反応し得る部分を有するジエン系ゴムとしては、例えば、無水マレイン酸を一構成成分とするジエン系ゴム、オキサゾリン基を一構成成分とするジエン系ゴム、エポキシ基を一構成成分とするジエン系ゴム、またはグリシジル基を一構成成分とするジエン系ゴムなどが挙げられる。
【0023】
上記無水マレイン酸を一構成成分とするジエン系ゴムとしては、無水マレイン酸をジエン系ゴムの主鎖に付加したものや、無水マレイン酸をジエン系ゴムの主鎖に共重合したものなどが挙げられる。このような無水マレイン酸を一構成成分とするジエン系ゴムの具体例としては、例えば、無水マレイン化ブタジエンゴム、無水マレイン化エチレンプロピレンゴム、無水マレイン化エチレンプロピレンジエンゴムなどが挙げられる。これらの無水マレイン酸を一構成成分とするジエン系ゴムは、その無水マレイン酸がアイオノマー樹脂の残存カルボキシル基と反応する。
【0024】
オキサゾリン基を一構成成分とするジエン系ゴムとしては、例えば、オキサゾリン基をジエン系ゴムの主鎖に付加したものや、オキサゾリン基をジエン系ゴムの主鎖に共重合したものなどが挙げられる。そして、これらのオキサゾリン基を一構成成分とするジエン系ゴムは、そのオキサゾリン基がアイオノマー樹脂の残存カルボキシル基と反応する。
【0025】
エポキシ基を一構成成分とするジエン系ゴムとしては、例えば、エポキシ含有基をジエン系ゴムの主鎖に付加したものや、エポキシ含有基をジエン系ゴムの主鎖に共重合したものなどが挙げられ、具体的には例えば、エポキシ化EPDM(エポキシ化エチレンプロピレンジエンゴム)やエポキシ化SBS(エポキシ化スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体)などが挙げられる。そして、これらのエポキシ基を一構成成分とするジエン系ゴムは、そのエポキシ基がアイオノマー樹脂の残存カルボキシル基と反応する。
【0026】
グリシジル基を一構成成分とするジエン系ゴムとしては、例えば、グリシジルメタクリレート基、グリシジルアクリレート基、アリルグリシジルエーテル基、ブテンカルボン酸エステル基などを有するジエン系ゴムが挙げられる。そして、これらのグリシジル基を一構成成分とするジエン系ゴムは、そのグリシジル基がアイオノマー樹脂の残存カルボキシル基と反応する。また、これらのアイオノマー樹脂と相溶し得る部分を有するジエン系ゴムはその2種以上を併用してもよい。
【0027】
動的架橋を行うための架橋剤としては、ゴム用の加硫剤、加硫促進剤、樹脂架橋剤などが挙げられ、それらから1種類あるいは2種類以上組み合わせて用いることができる。
【0028】
架橋剤の具体例としては、例えば、p−ベンゾイルキノンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシム、4、4’−ジチオ−ビス−ジモルフォリン、アルキルフェノール−フォルムアルデヒド、ブロミネイティッド−アルキルフェノール−フォルムアルデヒド、フェノール樹脂、クマロン樹脂、ジベンゾチアジルジスルフィド、N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、ヘキサメチレンテトラミン、メルカプトベンゾチアゾール、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウムジスルフィドなどが好適なものとして挙げられるが、これらに限定されることなく、通常のゴム配合に使用される加硫剤や加硫促進剤であれば各種のものを用いることができる。
【0029】
動的架橋とは、樹脂と未架橋ゴムと架橋剤とを混練機に投入し、架橋剤の反応温度以上で混合することによって、樹脂の海の中でゴムを架橋する手法をいい、ゴムの破断と架橋が同時に生じるので、微細化したゴム粒子を樹脂中に分散させることができ、しかも、樹脂とゴムの性質を併有する材料が得られる。このように、動的架橋によれば、独立した架橋操作が不要であり、また得られた材料は加熱すると再利用可能であるという長所を有している。
【0030】
混合方法は、特に限定されるものではなく、例えばニーダーなどの密閉型混練機やロールなどの開放型混練機などによる混合方法も採用できるが、連続生産性を考慮すると、押出機を使用した混合方法が適している。また、上記混合時に同一物質を数種以上の練り方で混合してもよい。
【0031】
カバー用組成物は、少なくとも、アイオノマー樹脂、上記アイオノマー樹脂と相溶し得る部分を有するジエン系ゴム(通常のジエン系ゴムを一部含んでいてもよい)および架橋剤を含有し、必要に応じて、それに二酸化チタン、硫酸バリウムなどの顔料、その他、安定剤、分散剤、紫外線吸収剤、光安定剤などの添加剤を適宜配合した状態で調製される。
【0032】
動的架橋は、前記のように混合中に行われるが、その動的架橋を行う温度は、架橋剤の活性化温度より20℃低い温度から250℃までが適している。例えば、オキシム系架橋剤の場合、一般に活性化温度が180℃程度であるので、動的架橋時の温度としては160〜250℃の範囲が適している。また、アルデヒド系架橋剤の場合、一般に活性化温度が120〜140℃程度であるので、動的架橋時の温度としては100〜250℃の範囲が適している。また、硫黄と加硫促進剤を併用する場合、活性化温度が一般に150℃程度であるので、動的架橋時の温度としては130〜250℃の範囲が適している。動的架橋時の温度が上記温度より低い場合は、アイオノマー樹脂と相溶し得る部分を有するジエン系ゴムなどの架橋が起こらないか、あるいは架橋反応の進行が遅いため、生産効率が悪くなるおそれがあり、また動的架橋時の温度が250℃より高くなると、アイオノマー樹脂と相溶し得る部分を有するジエン系ゴムなどの劣化が生じ、打球感をソフトにする効果などが充分に発現されなくなるおそれがある。ただし、上記の動的架橋時の温度は例示にすぎず、必ずしもそれに限られるものではない。
【0033】
動的架橋を行う際、アイオノマー樹脂と相溶し得る部分を有するジエン系ゴムなどの架橋により一旦上昇したトルクが低下し、安定する直前あるいは安定した直後に動的架橋を終了するのが好ましい。このように、動的架橋の終了は、トルク値によって管理するのが適切であるが、時間でいうと、架橋剤の種類、配合、配合物の量などによって大きく異なるが、通常、1〜60分程度であり、例えば、オキシム系架橋剤の場合は3〜60分程度で、アルデヒド系架橋剤の場合は2〜40分程度で、硫黄と加硫促進剤を併用する場合は2〜30分程度である。
【0034】
上記アイオノマー樹脂とアイオノマー樹脂と相溶し得る部分を有するジエン系ゴムとの少なくとも二成分を含む混合物の動的架橋物からなるカバー用組成物は、ソリッドゴルフボール用コア(ソリッドコア)、糸巻きゴルフボール用コア(糸巻きコア)のいずれのコアの被覆にも使用することができる。
【0035】
ソリッドコアとしては、1層構造のコアはもとより、2層以上の多層構造のコアであってもよく、例えば、ツーピースボール用コアとしては、ポリブタジエン100重量部に対して、アクリル酸、メタクリル酸などのα,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸またはその金属塩や、トリメチロールプロパントリメタクリレートなどの官能性モノマーなどからなる架橋剤(加硫剤)を単独または合計で10〜60重量部、酸化亜鉛、硫酸バリウムなどの充填剤を3〜30重量部、ジクミルパーオキサイドなどの過酸化物を0.5〜5重量部配合し、要すれば、さらに老化防止剤を0.1〜1重量部配合したゴム組成物をプレス架橋(加硫)により、例えば140〜170℃の温度で10〜40分間加熱圧縮して、球状架橋(加硫)物に成形することによって得られたものを用いることができる。
【0036】
糸巻きコアは、センターとそれに巻きつけた糸ゴムとからなり、センターとして液系、ゴム系のいずれも用いることができる。ゴム系のセンターとしては、例えば、前記ソリッドコアと同様のゴム組成物を架橋(加硫)することによって得られたものを用いることができる。
【0037】
糸ゴムは、従来から使用されているものを用いることができ、例えば、天然ゴムまたは天然ゴムと合成ポリイソプレンとの混合物に老化防止剤、架橋(加硫)促進剤、硫黄などを配合したゴム組成物を架橋(加硫)することによって得られたものを用いることができる。ただし、これらのソリッドコア、糸巻きコアは単なる例示であって、これら例示のもののみに限定されることはない。
【0038】
コアにカバーを被覆する方法は、得に限定されるものではなく、通常の方法で行うことができる。例えば、前記特定の動的架橋物からなるカバー用組成物をあらかじめ半球殻状のハーフシェルに成形し、それを2枚用いてコアを包み、100〜170℃で1〜15分間加圧成形するか、またはカバー用組成物を直接コア上に射出成形してコアを包み込む方法などが採用される。カバーの厚みは通常1〜4mm程度である。そして、カバー成形時、必要に応じて、ボール表面にディンプルの形成が行われ、また、ペイント仕上、スタンプなども必要に応じて施される。
【0039】
つぎに、本発明のゴルフボールの構造を図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明のゴルフボールの一例を模式的に示す断面図であり、この図1に示すゴルフボールは糸巻きゴルフボールであり、図1中、1はセンター1aと糸ゴム層1bとからなるコアであり、2はカバーで、2aはディンプルである。
【0040】
上記センター1aや糸ゴム層1bを形成するための糸ゴムは、特に特定のものに限られることなく、従来同様のものも用いることができ、そのセンター1aとしては、液系、ゴム系のいずれであってもよく、糸ゴム層1bは上記センター1aの周囲に糸ゴムを延伸状態で巻き付けることによって形成され、それによって糸巻きコアと呼ばれるコア1が形成されている。
【0041】
カバー2は、上記コア1を被覆するものであり、前記特定の動的架橋物からなるカバー用組成物から形成されたものである。そして、2aは上記カバー2に設けられたディンプルである。この図1に示すゴルフボールでは、コア1は糸巻きコアからなるが、それに代えて、例えば、ブタジエンゴムなどを主材とするゴム組成物の架橋(加硫)成形体からなるソリッドコアを用いることもできる。
【0042】
上記ディンプル2aは、必要に応じ、あるいは所望とする特性が得られるように、適した個数、態様でゴルフボールのカバー2に設けられるものであり、また、これらのゴルフボールには、必要に応じ、ボール表面にペイントやマーキングが施される。
【0043】
【発明の実施の形態】
つぎに、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はそれらの実施例にのみに限定されるものではない。
【0044】
実施例1〜4および比較例1〜4
つぎの▲1▼〜▲3▼に示す工程を経て、実施例1〜4および比較例1〜4のゴルフボールを作製した。
【0045】
▲1▼コアの作製:
加硫天然ゴムからなるゴム製袋体に水を封入し、球状に成形してなる液系センターに、糸ゴムを延伸状態で巻き付けて糸ゴム層を形成し、外径38.5mmの糸巻きコアを作製した。
【0046】
▲2▼カバー用組成物の調製:
アイオノマー樹脂、アイオノマー樹脂と相溶し得る部分を有するジエン系ゴム、通常のジエン系ゴム、架橋剤として、それぞれ下記のものを用い、実施例1〜4については表1に記載の配合で混合するとともに動的架橋してカバー用組成物を調製し、比較例1〜3については表2に記載の配合で混合してカバー用組成物を調製し、比較例4については表2に記載の配合で混合しつつ動的架橋を行ってカバー用組成物を調製した。なお、上記混合は二軸押出機(スクリュー径45mm、L/D=25)を用いて、各ゾーン温度=165〜225℃で行った。ただし、各成分をあらかじめオープンロールにより予備混合し、その混合物を上記押出機に供給した。動的架橋に要した時間はいずれも5分であり、また、表中における各成分の配合量は重量部である。
【0047】
アイオノマー樹脂:
ハイミラン1605〔商品名、三井デュポンポリケミカル(株)製、ナトリウムイオン中和エチレン−メタクリル酸共重合系アイオノマー樹脂〕
【0048】
アイオノマー樹脂と相溶し得る部分を有するジエン系ゴム:
AN−PB〔商品名、日本曹達(株)製、マレイン化ブタジエンゴム〕
【0049】
ジエン系ゴム:
エスプレン505A〔商品名、住友化学工業(株)製、エチレンプロピレンジエンゴム〕
【0050】
架橋剤:
タッキロール250〔商品名、田岡化学工業(株)製、ブロミネイティッド−アルキルフェノール−フォルムアルデヒド〕
【0051】
▲3▼ゴルフボールの作製:
上記▲2▼のカバー用組成物をペレット状に成形し、そのペレット状カバー用組成物を用いてハーフシェルを成形し、それを2枚用いて前記▲1▼のコアを包み、150℃で2分間加熱成形することによって、外径が42.7mmで、重さが45.1〜45.3gの範囲内の8種類の糸巻きゴルフボールを作製した。
【0052】
得られたゴルフボールの飛距離を測定し、かつ打球感を評価した。また、カバー用組成物におけるアイオノマー樹脂中の分散ゴム粒子の粒子径を測定した。ゴム粒子の粒子径、ゴルフボールの飛距離の測定方法、打球感の評価方法は、それぞれ次の通りである。
【0053】
ゴム粒子の粒子径の測定および平均粒子径の算出方法
まず、測定用試料は、前記▲2▼のカバー用組成物をペレット状に成形し、そのペレット状カバー用組成物を160℃で3分間加圧下でシート状に加熱成形することによって作製した。そして、ミクロトームによって試料表面を平滑にカットし、走査型電子顕微鏡(JEOL社製T−220A)を用い、OsO4 染色後の試料の反射電子像写真を撮影し、その任意の60個のゴム粒子の垂直方向の長さを測定し、その数平均による数値を平均粒子径とした。
【0054】
飛距離の測定方法:
ツルーテンパー社製スイングロボットにウッド1番クラブを取り付け、ヘッドスピード45m/sで各ボール8個ずつを打撃し、その落下点までの距離を測定する。結果はその平均値で示す。
【0055】
打球感の評価方法:
ゴルフプレーヤー5人によりボールをウッド1番クラブで実打し、各人が感じとった打球感を下記の7段階評価で分類する。
HH: 硬すぎて、悪い。
H : 硬い。
AH: 少し硬めだが良い範囲内にある。
A : ちょうど良い。
AS: 少しやわらかめだが良い範囲内にある。
S : やわらかい。
SS: やわらかすぎて、悪い。
【0056】
表1に実施例1〜4のカバー用組成物の配合、ゴム粒子の平均粒子径、得られたゴルフボールの飛距離、打球感の評価結果を示し、表2に比較例1〜4のカバー用組成物の配合、ゴム粒子の平均粒子径、得られたゴルフボールの飛距離、打球感の評価結果を示す。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
表1に示す結果から明らかなように、実施例1〜4は、飛距離が大きく、かつ良好な打球感を有していた。これは、アイオノマー樹脂のハイミラン1605(商品名)に対して、アイオノマー樹脂と相溶し得る部分を有するジエン系ゴムであるAN−PB(商品名)を混合(ブレンド)し、かつ動的架橋したことによるものである。
【0060】
これに対し、カバーの樹脂成分としてアイオノマー樹脂のみを用いた比較例1は、表2に示すように、打球感が硬くて悪かった。また、アイオノマー樹脂にアイオノマー樹脂と相溶し得る部分を有するジエン系ゴムをブレンドすることなく、通常のジエン系ゴムをブレンドしただけで動的架橋もしていない比較例2は、飛距離が低下し、また打球感がやわらかすぎて、悪くなっていた。
【0061】
上記のように比較例2の特性が実施例1〜4に比べて悪かったのは、カバー用組成物におけるアイオノマー樹脂中のゴム粒子の平均粒子径からも判断できる。すなわち、表1〜2に示すゴム粒子の平均粒子径の対比から明らかなように、比較例2のゴム粒子の平均粒子径は実施例1〜4のゴム粒子の平均粒子径より大きく、その結果、上記のように飛距離が低下するなど、特性が悪くなったものと考えられる。これに対し、実施例1〜4が反撥性能の低下を招くことなく、打球感を良好にすることができたのは、前記のようなアイオノマー樹脂と相溶し得る部分を有するジエン系ゴムであるAN−PBのブレンドと動的架橋により、アイオノマー樹脂中に分散するゴム粒子の粒子径を小さくすることができたことによるものと考えられる。
【0062】
また、アイオノマー樹脂と相溶し得る部分を有するジエン系ゴムであるAN−PB(商品名)をアイオノマー樹脂にブレンドしても動的架橋をしなかった比較例3は、ゴム粒子の粒子径が充分に小さくならず、飛距離が小さく、かつ打球感もやわらかく適正さを欠いていた。
【0063】
また、アイオノマー樹脂と相溶し得る部分を有するジエン系ゴムであるAN−PB(商品名)のブレンド量が多かった比較例4も、飛距離が小さく、打球感もやわらかすぎて悪くなっていた。
【0064】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、打球感が良好で、かつ高反撥性能で、飛距離が大きいゴルフボールを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るゴルフボールの一例を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 コア
1a センター
1b 糸ゴム層
2 カバー
Claims (6)
- コアとカバーを有するゴルフボールにおいて、上記カバーが、(1)アイオノマー樹脂と(2)上記アイオノマー樹脂と相溶し得る部分を有するジエン系ゴムとの少なくとも二成分を含み、かつ(1)アイオノマー樹脂と(2)上記アイオノマー樹脂と相溶し得る部分を有するジエン系ゴムとの混合比が重量比で40:60〜99:1である混合物の動的架橋物からなり、かつ上記カバー中の(2)上記アイオノマー樹脂と相溶し得る部分を有するジエン系ゴムが、動的架橋されてなる、平均粒子径で10μm以下の微粒子であることを特徴とするゴルフボール。
- カバーが、(1)アイオノマー樹脂と(2)上記アイオノマー樹脂と相溶し得る部分を有するジエン系ゴムとの少なくとも二成分を含む混合物中のジエン系ゴム100重量部に対して、ジエン系ゴムの架橋剤を0.1〜30重量部混合し、少なくとも一部のジエン系ゴムを動的架橋した動的架橋物からなる請求項1記載のゴルフボール。
- アイオノマー樹脂と相溶し得る部分を有するジエン系ゴムが、無水マレイン酸を一構成成分とするジエン系ゴムである請求項1または2記載のゴルフボール。
- アイオノマー樹脂と相溶し得る部分を有するジエン系ゴムが、オキサゾリン基を一構成成分とするジエン系ゴムである請求項1または2記載のゴルフボール。
- アイオノマー樹脂と相溶し得る部分を有するジエン系ゴムが、エポキシ基を一構成成分とするジエン系ゴムである請求項1または2記載のゴルフボール。
- アイオノマー樹脂と相溶し得る部分を有するジエン系ゴムが、グリシジル基を一構成成分とするジエン系ゴムである請求項1または2記載のゴルフボール。
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