JP3624520B2 - 液晶配向剤および液晶表示素子 - Google Patents

液晶配向剤および液晶表示素子 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶配向剤および液晶表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、液晶表示素子としては、透明導電膜が設けられている基板の当該表面にポリイミドなどからなる液晶配向膜を形成して液晶表示素子用基板とし、その2枚を対向配置して、その間隙内に正の誘電異方性を有するネマチック型液晶の層を形成してサンドイッチ構造のセルとし、当該液晶分子の長軸が一方の基板から他方の基板に向かって連続的に90度捻れるようにした、いわゆるTN(Twisted Nematic)型液晶セルを有するTN型液晶表示素子が知られている。また、最近においては、TN型液晶表示素子に比してコントラストが高くて、その視角依存性の少ないSTN(Super Twisted Nematic)型液晶表示素子が開発されている。このSTN型液晶表示素子は、ネマチック型液晶に光学活性物質であるカイラル剤をブレンドしたものを液晶として用い、当該液晶分子の長軸が基板間で180度以上にわたって連続的に捻れる状態となることにより生じる複屈折効果を利用するものである。これらTN型液晶表示素子およびSTN型液晶表示素子における液晶の配向は、通常、ラビング処理が施された液晶配向膜により発現されるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の液晶表示素子にあっては、電圧を印加したときに発生するイオン性電荷が液晶配向膜に吸着されるため、電圧の印加を解除した後の表示画面に残像を生じ、電圧印加時と解除時との液晶表示素子の明暗の差が小さくなるために十分なコントラストが得られないという問題がある。本発明は、このような問題を解決するためになされたものである。
【0004】
本発明の第1の目的は、良好な配向特性を発現することができるとともに、液晶表示素子において電圧の印加を解除してから残像が消去されるまでの時間(以下、「残像消去時間」という。)の短い液晶配向膜を形成することができる液晶配向剤を提供することにある。本発明の第2の目的は、良好な配向特性を発現することができるとともに、残像消去時間の短い液晶配向膜を具備する液晶表示素子を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の液晶配向剤は、1,3−ジビニルベンゼンおよび1,4−ジビニルベンゼンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と無水マレイン酸とをディールスアルダー反応に供することによって得られるテトラカルボン酸二無水物を含有するテトラカルボン酸二無水物と、下記一般式(I)で表されるジアミン化合物とを反応させることによって得られるポリアミック酸、並びに、当該ポリアミック酸を脱水閉環させることによって得られるイミド化重合体から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする
【0006】
【化2】
一般式(I)
N−R−NH
(式中、Rは2価の有機基を示す。)
【0007】
本発明の液晶表示素子は、上記の液晶配向剤から得られる液晶配向膜を具備してなることを特徴とする
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
<テトラカルボン酸二無水物>
本発明の液晶配向剤を得るためのポリアミック酸の製造方法では、その合成反応に供されるテトラカルボン酸二無水物として、1,3−ジビニルベンゼンおよび1,4−ジビニルベンゼンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と無水マレイン酸とをディールスアルダー反応させることによって得られるテトラカルボン酸二無水物(以下、「特定テトラカルボン酸二無水物」ともいう。)を使用する。さらに詳しくは、1,3−ジビニルベンゼンおよび/または1,4−ジビニルベンゼン1モルに対し、無水マレイン酸1〜4モル、好ましくは2〜3モルを、重合禁止剤の存在下、80〜150℃で反応させることにより、特定テトラカルボン酸二無水物が得られる。
ここで重合禁止剤としては、ヒドロキノン、フェロセン、2,5−ジメチルピロール、p−t−ブチルカテコールクロラニル、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩などを挙げることができ、これらは単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
上記特定テトラカルボン酸二無水物の具体例としては、下記の構造式で表される化合物(1)〜(8)が挙げられる。1,3−ジビニルベンゼンと無水マレイン酸からは、通常、化合物(1)〜(4)の混合物が得られ、1,4−ジビニルベンゼンと無水マレイン酸からは、通常、化合物(5)〜(8)の混合物が得られるが、各々の混合物を80〜150℃でさらに加熱することにより、それぞれ化合物(1)および化合物(5)の存在割合が高くなる。
【0009】
【化3】
Figure 0003624520
【0010】
【化4】
Figure 0003624520
【0011】
なお、ポリアミック酸の合成反応に供されるテトラカルボン酸二無水物として、特定テトラカルボン酸二無水物以外の化合物を本発明による効果が損なわれない範囲で併用することも可能である。ここで、合成反応に供されるテトラカルボン酸二無水物全体に占める特定テトラカルボン酸二無水物の割合は0.1〜100モル%とされ、好ましくは50〜100モル%とされる。
【0012】
併用することのできるテトラカルボン酸二無水物としては、例えばブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−メチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−エチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−メチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−エチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−エチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物などの脂肪族または脂環式テトラカルボン酸二無水物;
【0013】
ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物などの芳香族テトラカルボン酸二無水物を挙げることができ、これらは単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0014】
これらのうち、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物および1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオンが、得られるポリアミック酸が塗布性に優れ、さらには該ポリアミック酸を脱水閉環して得られるイミド化重合体が溶媒への溶解性に優れたものになることから好ましい。
【0015】
<ジアミン化合物>
本発明において、ポリアミック酸の合成反応に供される、上記一般式(I)で表されるジアミン化合物としては、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,5−ジアミノナフタレン、3,3−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)−10−ヒドロアントラセン、2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、2,2’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメトキシビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、4,4’−ビス[(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニル、トリフルオロメチルフェニル−4−(3,5−ジアミノフェニル)シクロヘキサンなどの芳香族ジアミン;1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、4,4−ジアミノヘプタメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6,2,1,02.7 ]−ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)などの脂肪族または脂環式ジアミン;下記化学式(i)〜(iii) で表される化合物を挙げることができ、これらのうち、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンおよび4,4’−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリンが好ましい。これらのジアミン化合物は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0016】
【化5】
Figure 0003624520
【0017】
<ポリアミック酸>
本発明の液晶配向剤を得るためのポリアミック酸(以下、「ポリアミック酸A」ともいう。)の製造方法は、特定テトラカルボン酸二無水物を含有するテトラカルボン酸二無水物と、上記一般式(I)で表されるジアミン化合物とを反応させることを特徴とする。
【0018】
ポリアミック酸Aの合成反応に供されるテトラカルボン酸二無水物(特定テトラカルボン酸二無水物および併用されるテトラカルボン酸二無水物)とジアミン化合物の使用割合は、ジアミン化合物に含まれるアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基が0.2〜2.0当量となる割合が好ましく、さらに好ましくは0.3〜1.2当量となる割合である。
【0019】
ポリアミック酸Aの合成反応は、有機溶媒中において、通常0〜150℃、好ましくは0〜100℃の温度条件下で行われる。ここで、有機溶媒としては、合成されるポリアミック酸Aを溶解できるものであれば特に制限はなく、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミドなどの非プロトン系極性溶媒;m−クレゾール、キシレノール、フェノール、ハロゲン化フェノールなどのフェノール系溶媒を例示することができる。また、有機溶媒の使用量(a)は、通常、テトラカルボン酸二無水物およびジアミン化合物の総量(b)が、反応溶液の全量(a+b)に対して0.1〜30重量%になるような量であることが好ましい。
【0020】
なお、前記有機溶媒には、ポリアミック酸Aの貧溶媒であるアルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類などを、生成するポリアミック酸Aが析出しない範囲で併用することができる。斯かる貧溶媒の具体例としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジエチル、ジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、トリクロロエタン、クロルベンゼン、o−ジクロルベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどを挙げることができる。
【0021】
以上のようにして、ポリアミック酸Aを溶解してなる反応溶液が得られる。そして、この反応溶液を大量の貧溶媒中に注いで析出物を得、この析出物を減圧下乾燥することによりポリアミック酸Aを得ることができる。また、このポリアミック酸Aを再び有機溶媒に溶解させ、次いで貧溶媒で析出させる工程を1回または数回行うことにより、ポリアミック酸Aを精製することができる。
【0022】
<イミド化重合体>
本発明の液晶配向剤を得るためのイミド化重合体(以下、「イミド化重合体B」ともいう。)の製造方法は、ポリアミック酸Aを脱水閉環させることを特徴とする。イミド化重合体Bを得るための具体的方法としては下記方法(1)および方法(2)を挙げることができる。なお、イミド化重合体Bは、一般的にはポリイミドを意味するが、下記方法(2)においてポリイソイミドが生成する場合があり、本明細書におけるイミド化重合体Bは、「ポリイミド」と「ポリイソイミド」とを意味するが、合成の容易性からポリイミドであることが好ましい。
【0023】
方法(1):
ポリアミック酸Aを加熱する方法。この方法における加熱温度は、通常60〜250℃とされ、好ましくは100〜170℃とされる。加熱温度が60℃未満では反応が十分に進行せず、加熱温度が250℃を超えると得られるイミド化重合体Bの分子量が低下することがある。
【0024】
方法(2):
ポリアミック酸Aを有機溶媒に溶解し、この溶液中に脱水剤および脱水閉環触媒を添加し必要に応じて加熱することにより脱水閉環させる方法。この方法において、脱水剤としては、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸などの酸無水物を用いることができる。脱水剤の使用量は、ポリアミック酸Aの繰り返し単位1モルに対して1.6〜20モルとするのが好ましい。また、脱水閉環触媒としては、例えばピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミンなどの第3級アミンを用いることができるが、これらに限定されるものではない。脱水閉環触媒の使用量は、使用する脱水剤1モルに対して0.5〜10モルとするのが好ましい。なお、脱水閉環に用いられる有機溶媒としては、ポリアミック酸Aの合成に用いられるものとして例示した有機溶媒を挙げることができる。なお、この方法の場合、ポリアミック酸Aは精製されたものであることは必要なく、ポリアミック酸Aの合成反応溶液をそのまま反応に供することもできる。脱水閉環の反応温度は、通常0〜180℃、好ましくは60〜150℃とされる。上記脱水閉環の反応条件をコントロールすることによって、イミド化率を任意に調整することができる。
【0025】
なお、特定テトラカルボン酸二無水物を含有するテトラカルボン酸二無水物と、ジイソシアネート化合物とを反応させることにより、上記方法(1)、(2)により得られるイミド化重合体Bと実質的に同一の化学構造を有するイミド化重合体を合成することもできる。
【0026】
該イミド化重合体の合成に用いられるジイソシアネート化合物としては、例えばヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート化合物;シクロヘキサンジイソシアネートなどの脂環式ジイソシアネート化合物;ジフェニルメタン−4,4’ −ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4’ −ジイソシアネート、ジフェニルスルホン−4,4’ −ジイソシアネート、ジフェニルスルフィド−4,4’ −ジイソシアネート、1,2−ジフェニルエタン−p,p’ −ジイソシアネート、2,2−ジフェニルプロパン−p,p’ −ジイソシアネート、2,2−ジフェニル−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−p,p’ −ジイソシアネート、2,2−ジフェニルブタン−p,p’ −ジイソシアネート、ジフェニルジクロロメタン−4,4’ −ジイソシアネート、ジフェニルフルオロメタン−4,4’ −ジイソシアネート、ベンゾフェノン−4,4’ ジイソシアネート、N−フェニル安息香酸アミド−4,4’ −ジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート化合物を挙げることができ、これらは、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。なお、この反応には特に触媒は必要とされず、反応温度は、通常50〜200℃、好ましくは100〜160℃である。また、上記の方法によって得られるイミド化重合体Bの溶液に対しては、ポリアミック酸Aの精製方法と同様の操作を行なうことにより、イミド化重合体Bを精製することができる。
【0027】
<重合体の対数粘度>
以上のようにして得られるポリアミック酸Aおよびイミド化重合体B(以下、これらの重合体を総称して「特定重合体」ともいう。)は、その対数粘度(ηln)の値が、通常0.05〜10dl/g、好ましくは0.05〜5dl/gである。なお、この明細書において、対数粘度(ηln)の値は、N−メチル−2−ピロリドンを溶媒として用い、ポリマー濃度が0.5g/100ミリリットルである溶液について30℃で粘度の測定を行い、下記数式によって求められるものである。
【0028】
【数1】
Figure 0003624520
【0029】
<末端修飾型の特定重合体>
上記の製造方法により得られる特定重合体は、分子末端が修飾されて分子量が調節された末端修飾型のものであってもよい。末端修飾型の特定重合体を用いることにより、本発明の効果が損われることなく液晶配向剤の塗布特性などを改善することができる。このような末端修飾型の特定重合体は、酸一無水物、モノアミン化合物、モノイソシアネート化合物などを反応系に添加することにより合成することができる。
【0030】
ここで、酸一無水物としては、例えば無水マレイン酸、無水フタル酸、無水ナジック酸などを挙げることができる。また、モノアミン化合物としては、例えばアニリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−ヘプタデシルアミン、n−オクタデシルアミン、n−エイコシルアミンなどを挙げることができる。また、モノイソシアネート化合物としては、フェニルイソシアネート、ナフチルイソシアネートなどを挙げることができる。
【0031】
<液晶配向剤>
上記の製造方法により得られるポリアミック酸および/またはイミド化重合体は液晶配向剤として用いられるが、該液晶配向剤は、ポリアミック酸Aおよびイミド化重合体Bから選ばれる少なくとも1種の重合体を有機溶媒中に溶解含有させて構成される。この液晶配向剤を構成する有機溶媒としては、ポリアミック酸Aの合成反応に用いられるものとして例示した溶媒を挙げることができる。また、ポリアミック酸Aの合成反応の際に併用することができるものとして例示した貧溶媒も適宜選択して併用することができる。
【0032】
該液晶配向剤における特定重合体の濃度は、粘性、揮発性などを考慮して選択されるが、好ましくは1〜10重量%の範囲とされる。すなわち、該液晶配向剤は、基板表面に塗布・乾燥されて、液晶配向膜となる被膜が形成されるが、濃度が1重量%未満である場合には、この被膜の膜厚が過小となって良好な液晶配向膜を得ることができず、濃度が10重量%を超える場合には、被膜の膜厚が過大となって良好な液晶配向膜を得ることができず、また、液晶配向剤の粘性が増大して塗布特性が劣るものとなる。
【0033】
該液晶配向剤には、特定重合体の基板表面に対する接着性を向上させる観点から、官能性シラン含有化合物が含有されていてもよい。斯かる官能性シラン含有化合物としては、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシランなどを挙げることができる。
【0034】
<液晶表示素子>
上記液晶配向剤を用いて得られる液晶表示素子は、例えば次の方法によって製造することができる。
【0035】
(1)パターニングされた透明導電膜が設けられている基板の一面に、液晶配向剤を例えばロールコーター法、スピンナー法、印刷法などの方法によって塗布し、次いで、塗布面を加熱することにより被膜を形成する。ここに、基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスなどのガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネートなどのプラスチックからなる透明基板を用いることができる。また、基板の一面に設けられる透明導電膜としては、酸化スズ(SnO)からなるNESA膜(米国PPG社登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In −SnO )からなるITO膜などを用いることができ、これらの透明導電膜のパターニングには、フォト・エッチング法や予めマスクを用いる方法が用いられる。液晶配向剤の塗布に際しては、基板表面および透明導電膜と液晶配向剤の被膜との接着性をさらに良好にするために、基板の該表面に、官能性シラン含有化合物、官能性チタン含有化合物などを予め塗布することもできる。また加熱温度は80〜250℃とされ、好ましくは120〜200℃とされる。形成される被膜の膜厚は、通常0.001〜1μmであり、好ましくは0.005〜0.5μmである。なお、ポリアミック酸を含有する液晶配向剤は、塗布後に有機溶媒を除去することによって液晶配向膜となる被膜を形成するが、さらに加熱することによって脱水閉環を進行させ、イミド化された被膜とすることもできる。
【0036】
(2)液晶配向剤によって形成された被膜面を、例えばナイロン、レーヨン、コットンなどの繊維からなる布を巻き付けたロールで一定方向に擦るラビング処理を行う。これにより、液晶分子の配向能が被膜に付与されて液晶配向膜となる。なお、ラビング処理時に発生する微粉体(異物)を除去して表面を清浄な状態とするために、形成された液晶配向膜をイソプロピルアルコールなどによって洗浄することが好ましい。また、ラビング処理による方法以外に、塗膜表面に偏光紫外線を照射する方法や、ラングミュア・ブロジェット法、一軸延伸法などで塗膜を得る方法などにより、液晶配向膜を形成することもできる。
【0037】
さらに、形成された液晶配向膜の表面に紫外線を部分的に照射することにより、プレチルト角を変化させる処理(例えば特開平6−222366号公報、特開平6−281937号公報参照)、形成された液晶配向膜の表面にレジスト膜を部分的に形成し、先行のラビング処理とは異なる方向にラビング処理を行った後、前記レジスト膜を除去して、液晶配向膜の配向能を変化させるような処理(例えば特開平5−107544号公報参照)を行うことによって、作製される液晶表示素子の視野角特性を改善することもできる。
【0038】
(3)上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚作製し、それぞれの液晶配向膜における配向処理方向、すなわちラビング方向が直交または逆平行となるように、2枚の基板を、間隙(セルギャップ)を介して対向配置し、2枚の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面およびシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を注入充填し、注入孔を封止して液晶セルを構成する。そして、液晶セルの外表面、すなわち、液晶セルを構成するそれぞれの基板の他面側に、偏光板を、その偏光方向が当該基板の一面に形成された液晶配向膜のラビング方向と一致または直交するように貼り合わせることにより、液晶表示素子が得られる。
【0039】
ここに、シール剤としては、例えば硬化剤およびスペーサーとしての酸化アルミニウム球を含有するエポキシ樹脂などを用いることができる。
【0040】
液晶としては、ネマティック型液晶およびスメクティック型液晶を挙げることができ、その中でもネマティック型液晶が好ましく、例えばシッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶、エステル系液晶、ターフェニル系液晶、ビフェニルシクロヘキサン系液晶、ピリミジン系液晶、ジオキサン系液晶、ビシクロオクタン系液晶、キュバン系液晶などを用いることができる。また、これらの液晶に、例えばコレスチルクロライド、コレステリルノナエート、コレステリルカーボネートなどのコレステリック型液晶や商品名「C−15」「CB−15」(メルク社製)として販売されているようなカイラル剤などを添加して使用することもできる。さらに、p−デシロキシベンジリデン−p−アミノ−2−メチルブチルシンナメートなどの強誘電性液晶も使用することができる。
【0041】
液晶セルの外表面に貼り合わされる偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながら、ヨウ素を吸収させたH膜と称される偏光膜を酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板またはH膜そのものからなる偏光板を挙げることができる。
【0042】
【実施例】
以下、本発明を実施例により、さらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、以下の実施例および比較例において、液晶表示素子における残像消去時間および液晶の配向性についての評価方法は、以下のとおりである。
【0043】
〔残像消去時間〕
液晶セルに10Vの直流電圧を1時間印加した後、当該電圧の印加を解除し、表示画面を目視により観察して、電圧の印加を解除してから画面上の残像が消去されるまでの時間を測定した。
【0044】
〔液晶の配向性〕
電圧をオン・オフ(印加・解除)したときの異常ドメインの有無を偏光顕微鏡で観察し、異常ドメインが認められない場合を「良好」と判定した。
【0045】
(特定テトラカルボン酸二無水物の合成例i)
無水マレイン酸52.7g、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩0.5gおよびヒドロキノン0.07gをトルエン47mlに加え、100℃に加熱して溶解させた後、ジビニルベンゼン(1,3−ジビニルベンゼン:1,4−ジビニルベンゼン=70:30の混合物)86.0gを滴下し、滴下終了後、還流加熱を行って5時間反応させた。次いで、反応生成物を分離してアセトンで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、特定テトラカルボン酸二無水物〔これを「化合物(X)とする。〕85gを得た。
【0046】
(特定テトラカルボン酸二無水物の合成例ii)
合成例iで用いたジビニルベンゼンに代えて1,3−ジビニルベンゼン85.0gを使用した以外は合成例iと同様にして、特定テトラカルボン酸二無水物〔これを「化合物(Y)とする。〕90gを得た。
【0047】
(特定テトラカルボン酸二無水物の合成例iii )
合成例iで用いたジビニルベンゼンに代えて1,4−ジビニルベンゼン85.0gを使用した以外は合成例iと同様にして、特定テトラカルボン酸二無水物〔これを「化合物(Z)とする。〕50gを得た。
【0048】
(合成実施例1)
上記化合物(X)15.55g(47.70ミリモル)と4,4’−ジアミノジフェニルメタン〔ジアミン化合物〕9.45g(47.70ミリモル)とをN−メチル−2−ピロリドン225gに溶解させ、得られた溶液を60℃で6時間反応させた。次いで、反応溶液を大過剰のメチルアルコールに注いで反応生成物を沈澱させた。その後、沈殿物を分離してメチルアルコールで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させることにより、対数粘度が0.70dl/gであるポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(A1)」とする。〕24.0gを得た。
【0049】
(合成実施例2)
合成例1で得られたポリアミック酸(A1)20.00gをN−メチル−2−ピロリドン380gに溶解し、この溶液にピリジン3.02gと、無水酢酸3.89gとを添加し、115℃で4時間加熱することにより脱水閉環させた。次いで、合成例1と同様にして、反応生成物の沈殿・分離・洗浄・乾燥を行うことにより、対数粘度が0.70dl/gであるイミド化重合体〔これを「イミド化重合体(B1)」とする。〕17.6gを得た。
【0050】
(合成実施例3)
化合物(X)の使用量を18.78g(57.60ミリモル)に変更し、4,4’−ジアミノジフェニルメタンに代えてp−フェニレンジアミン6.22g(57.60ミリモル)を使用したこと以外は合成例1と同様にして、対数粘度が0.80dl/gであるポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(A2)」とする。〕24.0gを得た。
【0051】
(合成実施例4)
ポリアミック酸(A1)に代えて、合成例3で得られたポリアミック酸(A2)20.00gを使用したこと以外は合成例2と同様にして、対数粘度が0.80dl/gであるイミド化重合体〔これを「イミド化重合体(B2)」とする。〕17.6gを得た。
【0052】
(合成実施例5)
化合物(X)18.78g(57.60ミリモル)とp−フェニレンジイソシアネート9.21g(57.60ミリモル)とを、N−メチル−2−ピロリドン225gに溶解させ、この溶液を30℃で24時間反応させた。次いで、合成例1と同様にして、反応生成物の沈殿・分離・洗浄・乾燥を行うことにより、対数粘度(ηln)が1.0dl/gであるイミド化重合体〔これを「イミド化重合体(C1)」とする。〕24.0gを得た。
【0053】
(合成実施例6)
化合物(X)に代えて、化合物(Y)15.55g(47.70ミリモル)を使用したこと以外は合成例1と同様にして、対数粘度(ηln)が0.90dl/gであるポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(A3)」とする。〕24.0gを得た。
【0054】
(合成実施例7)
化合物(X)に代えて、化合物(Z)15.55g(47.70ミリモル)を使用したこと以外は合成例1と同様にして、対数粘度(ηln)が0.60dl/gであるポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(A4)」とする。〕24.0gを得た。
【0055】
(比較合成例1)
化合物(X)に代えて1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物12.43g(63.40ミリモル)を使用し、4,4’−ジアミノジフェニルメタンの使用量を12.57g(63.40ミリモル)に変更したこと以外は合成例1と同様にして、対数粘度が1.20dl/gである比較用のポリアミック酸〔これを「ポリアミック酸(a1)」とする。〕24.0gを得た。
【0056】
(比較合成例2)
ポリアミック酸(A1)に代えて、比較合成例1で得られたポリアミック酸(a1)20.00gを使用したこと以外は合成例2と同様にして、対数粘度が1.20dl/gである比較用のイミド化重合体〔これを「イミド化重合体(b1)」とする。〕17.6gを得た。
【0057】
〔評価実施例1〕
(1)液晶配向剤の調製:
合成実施例1で得られたポリアミック酸(A1)をγ−ブチロラクトンに溶解させて固形分濃度4重量%の溶液とし、この溶液を孔径1μmのフィルターで濾過して液晶配向剤を調製した。
【0058】
(2)液晶表示素子の作製:
▲1▼ 厚さ1mmのガラス基板の一面に設けられたITO膜からなる透明導電膜上に、上記のようにして調製された液晶配向剤をスピンナーを用いて塗布し、180℃で1時間乾燥することにより乾燥膜厚800Åの被膜を形成した。
【0059】
▲2▼ 形成された被膜の表面を、ナイロン製の布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンを用いてラビング処理を行うことにより液晶配向膜を作製した。ここに、ラビング処理条件は、ロール毛足押し込み長0.6mm、ロールの回転数500rpm、ステージの移動速度1cm/秒とした。
【0060】
▲3▼ 上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚作製し、それぞれの基板の外縁部に、直径17μmの酸化アルミニウム球を含有するエポキシ樹脂系接着剤をスクリーン印刷法により塗布した後、それぞれの液晶配向膜におけるラビング方向が逆平行となるように2枚の基板を間隙を介して対向配置し、外縁部同士を当接させて圧着して接着剤を硬化させた。
【0061】
▲4▼ 基板の表面および外縁部の接着剤により区画されたセルギャップ内に、ネマティック型液晶「MLC−2001」(メルク社製)を注入充填し、次いで、注入孔をエポキシ系接着剤で封止して液晶セルを構成した。その後、液晶セルの外表面に、偏光方向が当該基板の一面に形成された液晶配向膜のラビング方向と一致するように偏光板を貼り合わせることにより液晶表示素子を作製した。
【0062】
▲5▼ 上記のようにして作製された液晶表示素子について、残像消去時間を測定し、さらに液晶の配向性を評価した。評価結果を下記表1に示す。
【0063】
〔評価実施例2〜7〕
下記表1に示す処方に従って、ポリアミック酸(A1)に代えて、合成実施例2〜7で得られた特定重合体を使用したこと以外は実施例1と同様にして液晶配向剤を調製し、次いで、調製された液晶配向剤の各々を用いたこと以外は実施例1と同様にして液晶配向膜を作製した。このようにして作製された液晶表示素子の各々について、残像消去時間を測定し、さらに液晶の配向性を評価した。評価結果を下記表1に示す。
【0064】
〔比較評価例1〕
下記表1に示す処方に従って、ポリアミック酸(A1)に代えて、比較合成例1で得られたポリアミック酸(a1)を使用したこと以外は実施例1と同様にして比較用の液晶配向剤を調製し、この液晶配向剤を用いたこと以外は実施例1と同様にして液晶配向膜を作製し、この液晶表示素子について、残像消去時間を測定し、液晶の配向性を評価した。評価結果を下記表1に示す。
【0065】
〔比較評価例2〕
下記表1に示す処方に従って、ポリアミック酸(A1)に代えて、比較合成例2で得られたイミド化重合体(b1)を使用したこと以外は実施例1と同様にして比較用の液晶配向剤を調製し、この液晶配向剤を用いたこと以外は実施例1と同様にして液晶配向膜を作製し、この液晶表示素子について、残像消去時間を測定し、さらに液晶の配向性を評価した。評価結果を下記表1に示す。
【0066】
【表1】
Figure 0003624520
【0067】
【発明の効果】
本発明の液晶配向剤によれば、良好な配向特性を発現することができるとともに、液晶表示素子における残像消去時間の短い液晶配向膜を形成することができる。
上記液晶配向剤により形成される液晶配向膜は、TN型液晶表示素子およびSTN型液晶表示素子のみならずSH(Super Homeotropic)型液晶表示素子や強誘電性液晶表示素子など種々の液晶表示素子を構成するために好適に使用することができる。また、当該液晶配向膜を備えた液晶表示素子は、液晶の配向性および信頼性にも優れ、種々の装置に有効に使用することができ、例えば卓上計算機、腕時計、置時計、計数表示板、ワードプロセッサ、パーソナルコンピュータ、液晶テレビなどの表示装置として好適に用いることができる。

Claims (2)

  1. 1,3−ジビニルベンゼンおよび1,4−ジビニルベンゼンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と無水マレイン酸とをディールスアルダー反応に供することによって得られるテトラカルボン酸二無水物を含有するテトラカルボン酸二無水物と、下記一般式(I)で表されるジアミン化合物とを反応させることによって得られるポリアミック酸、並びに、当該ポリアミック酸を脱水閉環させることによって得られるイミド化重合体から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする液晶配向剤。
    【化1】
    一般式(I)
    2 N−R1 −NH2
    (式中、R1 は2価の有機基を示す。)
  2. 請求項1記載の液晶配向剤から得られる液晶配向膜を具備してなる液晶表示素子。
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