JP3622846B2 - 粘質材用ミーリング工具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、焼入れ前の金型鋼などの粘質材にフライス加工を行う際、特に、耐溶着性及び耐摩耗性に優れることで工具寿命が長く、高精度の加工面粗さが得られる粘質材用ミーリング工具に関する。
【0002】
【従来の技術】
フライス加工を行うミーリング工具において、従来、WC基超硬合金やサーメットからなる基材の表面に炭化チタン、窒化チタン、炭窒化チタン、酸化アルミニウムなどを蒸着させて硬質被膜層を施すことで、耐摩耗性を向上させ、工具寿命を向上させることが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のミーリング工具では、特に、ロックウェル硬さHC=40未満の比較的低硬度である焼入れ前の金型鋼や合金鋼などの粘質材をフライス加工する場合、加工中に工具表面に溶着や凝着が発生し易い。そのため、加工中にこれら溶着物や凝着物が工具表面に対して着脱を繰り返すことで、硬質被膜層の剥離や破壊による摩耗、欠損が進行して炭素鋼などをフライス加工する場合に比べて、工具寿命が短いという問題がある。
【0004】
また、近年、環境問題から切削油を用いない乾式加工が増加している。しかし、乾式加工では、切削油の潤滑効果が得られないため、工具表面に被削材が溶着や凝着し易く、工具寿命が低下したり、仕上げ面粗さが悪化するなどという問題もある。
【0005】
そこで、特許第2105396号(特公平7−73802号)公報には、刃先稜線部及びその近傍の硬質被膜層の表面粗さを規定することで、局所的損傷を防止することが記載されている。また、特許第2825693号(特開平5−57507号)公報には、刃先稜線部からすくい面側及び逃げ面側にかけての硬質被膜層の表面を機械的に研磨し、刃先部に酸化アルミニウムを露出させることで耐溶着性を向上させることが記載されている。更に、特許第3006453号(特開平8−11005号)公報には、刃先稜線部の酸化アルミニウム膜を部分的に、又は全域に亘って除去することで溶着による膜の剥離や欠損を抑制することが記載されている。
【0006】
しかし、これらの技術では、比較的低硬度である焼入れ前の金型鋼や合金鋼などの粘質材のように工具の硬質被膜層の成分と反応して溶着や凝着を起こし易い被削材をフライス加工する場合、工具寿命の低下を抑えるのには十分でない。
【0007】
また、溶着物や凝着物により被削材表面の粗さが悪化するため、高い加工精度が要求される仕上げ加工においては、所望の仕上げ面粗さが得られないなどの問題もある。
【0008】
そこで、本発明は、溶着や凝着が生じにくく、かつ摩耗の進行を防止することで工具寿命がより長く、高精度の仕上げ面粗さが得られる粘質材用ミーリング工具を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明粘質材用ミーリング工具は、基材上に硬質被膜層を具える粘質材用ミーリング工具において、前記基材は、1種類以上の鉄族金属を含む結合相と、周期律表IVa、Va、VIa族の元素及びAl、Siの炭化物、窒化物、酸化物およびそれらの固溶体よりなる群から選択される1種類以上の化合物を含む硬質相とからなり、刃先稜線部にはチャンファーホーニング部を有し、前記硬質被膜層のうち、チャンファーホーニング部の最外層が部分的に異なることを特徴とする。
【0010】
本発明は、以下の知見に基づくものである。
(1) 溶着や凝着の発生を抑制するためには、フライス加工中の切削抵抗を低減する必要がある。この切削抵抗を低減するには、刃先稜線部にチャンファーホーニング部を施すことが有効である。
【0011】
(2) チャンファーホーニング部を有するミーリング工具において溶着や凝着は、チャンファーホーニング部内のすくい面側境界部付近及び逃げ面側境界部付近の二ヶ所で発生し易い。
【0012】
(3) 工具において使用した箇所(コーナー)の識別を容易にするために、通常、硬質被膜層の最外層としてチタン化合物層又はジルコニウム化合物層を用い、着色している。しかし、これらの化合物は、被削材の成分と反応して工具表面に溶着や凝着を発生し易い。
【0013】
(4) 硬質被膜層の最外層としてチタン化合物層又はジルコニウム化合物層以外の別の成分からなる層を具える場合、溶着や凝着が発生し易いすくい面側境界部付近及び逃げ面側境界部付近の二ヶ所において溶着や凝着の抑制に効果がある。しかし、チャンファーホーニング部内においてすくい面側境界部付近及び逃げ面側境界部付近の二ヶ所以外の場所では、耐摩耗性が低下する。一方、酸化アルミニウム層は、溶着や凝着の防止に効果がある。
【0014】
そこで、本発明は、上記(1)〜(4)の知見に基づき、硬質被膜層のうち、チャンファーホーニング部内において溶着や凝着が発生し易い領域の最外層と、摩耗が進行し易い領域の最外層とが異なる構成である。この構成により、本発明は、溶着や凝着を防止することに併せて摩耗の進行をも防止することで工具寿命を長くできると共に、より平滑な仕上げ面粗さを得ることができる。特に、本発明は、比較的低硬度の焼入れ前の金型鋼や合金鋼などの粘質材のフライス加工において、長期に亘り優れた工具性能と、高精度の仕上げ面粗さとを得ることができる。
【0015】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明粘質材用ミーリング工具において、硬質被膜層のうちチャンファーホーニング部は、中央部と、この中央部の両側に位置しすくい面側境界部を含む第一、及び逃げ面側境界部を含む第二領域とを具え、第一領域及び第二領域の少なくとも一方の最外層は酸化アルミニウム層であり、中央部の最外層はTiC1− −y又はZrC1−x−y(0≦x、y、x+y≦1)層であることが好ましい。即ち、硬質被膜層のうちチャンファーホーニング部において、溶着や凝着が生じ易いすくい面側境界部付近及び逃げ面側境界部付近の領域(第一、二領域)の最外層を酸化アルミニウム層とし、摩耗が進行し易い領域(中央部)の最外層をチタン化合物層又はジルコニウム化合物層とする。このとき、aを硬質被膜層のうちチャンファーホーニング部における幅、cを中央部の幅、b、dをそれぞれ第一、第二領域の幅とすると、0≦b<1/2a、0≦d<1/2a、0.2≦c/a<1を満たすものとする。b<1/2a、d<1/2a、0.2≦c/aとするのは、b≧1/2a、d≧1/2a、c/a<0.2とすると、最外層がチタン化合物層又はジルコニウム化合物層である範囲が小さく、摩耗の進行を抑制しにくいからである。
【0016】
なお、すくい面側境界部を介して第一領域とすくい面側の平滑面と繋がる領域、及び逃げ面側境界部を介して第二領域と逃げ面側の平滑面と繋がる領域も、第一、第二領域と同様に最外層を酸化アルミニウム層とすることが好ましい。このとき、前者の領域の範囲は、すくい面境界部からすくい面側の平滑面に向かって0.5mm以下、後者の領域の範囲は、逃げ面境界部から逃げ面側の平滑面に向かって0.1mm以下が好ましい。この範囲を超えても、溶着や凝着の防止に対する効果の上昇は見られないからである。
【0017】
上記酸化アルミニウム層は、実質的にα型酸化アルミニウムで構成されることが好ましい。α型酸化アルミニウムは、高温安定型の結晶構造で強度、耐熱性が高い。そのため、膜自体の強度を高くすることができ、被削材と直接接する部分の最外層に有効だからである。また、膜自体の強度を向上させることで、引いては、工具の強度も向上できる。
【0018】
α型酸化アルミニウム層の厚さは、0.5〜15μmであることが好ましい。厚さが0.5μm未満であると上記α型酸化アルミニウムの効果がでず、膜の強度を向上することが難しく、15μmを超えると膜中の引張応力の増大によって膜の強度が低下するためである。
【0019】
このようなα型酸化アルミニウム層は、公知の方法によって形成することができる。
【0020】
上記TiC1− −y又はZrC1−x−y(0≦x、y、x+y≦1)層においてx、yは、成膜の際の条件を変化させることにより変えることができ、物理的蒸着法(PVD)や化学的蒸着法(CVD)などの公知の方法により行うとよい。
【0021】
硬質被膜層のうちチャンファーホーニング部と、刃先稜線部のすくい面側境界部からすくい面にかけて少なくとも200μm以上の範囲及び刃先稜線部の逃げ面側境界から逃げ面にかけて少なくとも50μm以上の範囲の少なくとも一方とが、表面粗さ(Rmax)0.20μm以下(基準長さ5μmとする)であることが望ましい。
【0022】
硬質被膜層のうち、チャンファーホーニング部の表面粗さ(Rmax)を0.20μm以下とするのは、0.20μmを超えると表面の凹凸部に溶着や凝着が生じ易くなるからである。
【0023】
刃先稜線部のすくい面側境界部からすくい面にかけて少なくとも200μmまでの範囲では、切り屑の擦過によるクレーター摩耗が発生することがある。そこで、本発明では、少なくともこの範囲を平滑化することで、切り屑の流れをスムーズにしてクレーター摩耗を抑制し、クレーター摩耗による工具の損傷を改善する。このとき、表面粗さ(Rmax)を0.20μm以下とする範囲は、被削材や切削条件に応じて適宜広くするとよいが、刃先稜線部のすくい面側境界部からすくい面にかけて500μmまでの範囲とすることがより望ましい。
【0024】
刃先稜線部の逃げ面側境界部から逃げ面にかけて少なくとも50μmまでの範囲では、硬質被膜層のマイクロチッピングに伴う切り屑の溶着による異常摩耗が進行することがある。また、硬質被膜層の表面の凹凸や付着した溶着物などが被削材に転写され被削材の仕上げ面粗さを悪化させることもある。そこで、本発明では、少なくともこの範囲を平滑化することで、異常摩耗の抑制や仕上げ面粗さを向上させる。表面粗さ(Rmax)を0.20μm以下とする範囲は、被削材や切削条件に応じて適宜広くするとよいが、刃先稜線部の逃げ面側境界部から逃げ面にかけて200μmまでの範囲とすることがより望ましい。
【0025】
表面粗さ(Rmax)を基準長さ5μmにおいて最大高さ0.20μm以下としたのは、0.20μmより大きければ上記の所望の効果が得られないためであり、0.20μmより小さければ小さいほど好ましい。
【0026】
表面粗さ(Rmax)の測定方法は、例えば、走査型電子顕微鏡写真による硬質被膜層の断面から観察することにより行えばよい。
【0027】
上記所定の表面粗さに制御する方法として、例えば、バフ、ブラシ、バレルや弾性砥石などによる研磨が好ましい。この他、マイクロブラスト、イオンビーム照射による表面改質も適用できる。
【0028】
硬質被膜層のうち、すくい面側境界部付近を除くすくい面及び逃げ面側境界部付近を除く逃げ面の少なくとも一方は、Ti(C)(w+x+y+z=1、w、x、y、z≧0)の少なくとも1層からなる内層と、TiC1−x−y又はZrC1−x−y(0≦x、y、x+y≦1)層の少なくとも1層からなる外層と、酸化アルミニウム層からなる中間層とを有することが望ましい。このとき、合計厚さは2〜20μmとすることが好ましい。
【0029】
内層を硬度が高くこすり摩耗に強いTi(C)(w+x+y+z=1、w、x、y、z≧0)の少なくとも1層から形成することで、高い耐摩耗性を得ることができる。また、中間層を酸化アルミニウム層とすることで、内層のTi(C)層を溶着や凝着から保護することができる。
【0030】
ここで、酸化アルミニウムを硬質被膜層の最外層に全面的に配置すると、切削加工現場において使用済みの箇所(コーナー)が識別困難であるという問題がある。このような問題を解決するために、酸化アルミニウム層の上に識別層としてTiC1−x−y或いはZrC1−x−y(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦x+y≦1)層のうち少なくとも1層を外層、特に最外層として、着色することが好ましい。
【0031】
すくい面側の平滑面及び逃げ面側の平滑面の少なくとも一方に施す上記硬質被膜層の合計厚さは2〜20μmであることが望ましい。厚さが2μm未満であると耐摩耗性が不足し、20μmを超えると硬質被膜層の強度が低下してチッピングや欠損が生じ易くなり、このチッピングに伴って溶着や凝着が起こり易くなるためである。
【0032】
硬質被膜層において内層の少なくとも1層は、柱状晶組織を有する炭窒化チタンからなることが好ましい。このとき、硬質被膜層は、耐チッピング性と耐摩耗性とを両立することができる。特に、断続切削や部品加工などの切削加工において、中間層や外層による内層の破壊を防止しつつ、高い摩耗性を得ることができる。例えば、中間層として酸化アルミニウム層を具える場合、酸化アルミニウム層から受ける損傷を防ぐことができる。
【0033】
この炭窒化チタン層の厚さは、1〜18μmであることが望ましい。厚さが1μm未満であると耐摩耗性が低下し、18μmを超えると膜の強度が低下するためである。
【0034】
硬質被膜層のうち、基材と接する最内層は、基材との密着強度が高い粒状組織を有する窒化チタンからなることが好ましい。このとき、内層と基材との密着強度を改善することで、更に工具の性能を向上させることができる。
【0035】
この窒化チタン層の厚さは、0.2〜3μmであることが好ましい。厚さが0.2μm未満であると、膜における密着強度の改善の効果が少なく、3μmを超えると、耐摩耗性が低下するからである。
【0036】
このような硬質被膜層の形成には、公知の物理的蒸着法(PVD)や化学的蒸着法(CVD)を利用するとよい。
【0037】
チャンファーホーニング部は、すくい面側からみてすくい面側境界部から逃げ面側境界部間の幅が0.05〜0.5mmであり、ホーニング角度がすくい面に対して5〜40°であることが望ましい。
【0038】
すくい面側境界部から逃げ面側境界部間の幅が0.05mm未満又はホーニング角度が5°未満であると、フライス加工において刃先の強度が不足し、チッピングや欠損が発生し易くなるからである。同幅が0.5mmより大きい又はホーニング角度が40°より大きいと、切削抵抗が大きくなり過ぎて、チッピングの抑制などの効果が得られないためである。また、チャンファーホーニング部は、すくい面側及び逃げ面側の少なくとも一方のエッジを円弧状とした複合ホーニングとしてもよい。円弧状のホーニング(丸ホーニング)を具えることで、チャンファーホーニングだけの場合よりもよりチッピングを抑制することができるからである。なお、チッピングを制御することにより、チッピングに伴う溶着や凝着を低減させることができる。
【0039】
本発明粘質材用ミーリング工具は、ロックウェル硬さHC=40未満の比較的低硬度である焼入れ前の金型鋼や合金鋼などをフライス加工する際に用いることが好適である。また、本発明粘質材用ミーリング工具としては、例えば、回転可能な工具本体の先端部に具える交換型の刃部などが挙げられる。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明ミーリング工具において刃先稜線部付近における断面図である。工具1は、基材2上に複数の硬質被膜層3が形成されている。
【0041】
基材2は、刃先部分である刃先稜線部4と、刃先稜線部4を挟んで水平方向に繋がるすくい面側の平滑面5、垂直方向に繋がる逃げ面側の平滑面6とを具える。刃先稜線部4には、切削の際における刃先のチッピングなどを防止するためにエッジホーニングを施したチャンファーホーニング部を具える。本発明工具では、硬質被膜層3のうち、このチャンファーホーニング部の最外層が部分的に異なる。
【0042】
なお、刃先稜線部4とすくい面側の平滑面5との境界部が刃先稜線部4のすくい面側境界部7であり、刃先稜線部4と逃げ面側の平滑面6との境界部が刃先稜線部4の逃げ面側境界部8である。また、本例においてチャンファーホーニング部は、すくい面側境界部7から逃げ面側境界部8までの領域である。
【0043】
エッジホーニングには、すくい面側と逃げ面側とを一定の角度で直線的に結んで設けたもの(図1、2参照)や、円弧状の丸ホーニング(図3参照)があり、少なくとも一方のエッジを丸ホーニングとした複合ホーニング(図4参照)としてもよい。このとき、各境界部7、8におけるチッピングなどをより防止することができる。
【0044】
硬質被膜層3は、基材2上に被膜材料をPVDやCVDにより蒸着させることで形成される。被膜層3は、内層にチタン化合物層3A、中間層に酸化アルミニウム層3B、外層にチタン化合物層又はジルコニウム化合物層3Cを具えることが最適である。
【0045】
本発明は、このように基材2上に複数の硬質被膜層3を施した工具1を人工ブラシなどにより研磨することで、チャンファーホーニング部における硬質被膜層3の最外層を異ならせる。具体的には、図1に示すように、特に、チャンファーホーニング部において溶着や凝着が生じ易いすくい面側境界部7付近の第一領域7a及び逃げ面側境界部8付近の第二領域8aのチタン化合物層又はジルコニウム化合物層3Cを除去し、中間層として施した酸化アルミニウム層3Bを露出させ、この酸化アルミニウム層3Bを最外層とする。このとき、すくい面側境界部7を介して第一領域7aとすくい面側の平滑面5と繋がる領域7b、及び逃げ面側境界部8を介して第二領域8aと逃げ面側の平滑面6と繋がる領域8bも、第一、第二領域7a、8aと同様に最外層を酸化アルミニウム層3Bとすることが好ましい。また、摩耗が進行し易いチャンファーホーニング部の中央部4aは、チタン化合物層又はジルコニウム化合物層3Cを除去せず、そのままチタン化合物層又はジルコニウム化合物層3Cとする。
【0046】
TiC1− −yなどのチタン化合物又はZrC1−x−yなどのジルコニウム化合物が最外層であると、一般に被削材の成分と反応して溶着を起こし易い。一方、酸化アルミニウムは、化学的に安定であり、被削材との溶着・凝着性が低い。そこで、本発明は、溶着や凝着が生じ易いすくい面側境界部7付近や逃げ面側境界部8付近の最外層を酸化アルミニウム層3Bとする。すくい面側境界部7付近として、すくい面境界部7を挟んでチャンファーホーニング部の第一領域7a及びすくい面側の平滑面5側の一部(領域7b)を含む。逃げ面側境界部8付近として、逃げ面側境界部8を挟んでチャンファーホーニング部の第二領域8a及び逃げ面側の平滑面6の一部(領域8b)を含む。
【0047】
一方、TiC1− −yなどのチタン化合物又はZrC1−x−yなどのジルコニウム化合物は、こすり摩耗に強いため、摩耗の生じ易いところに施す硬質被膜層として適する。そこで、本発明において摩耗が生じ易いのチャンファーホーニング部の中央部4aは、ブラシなどで研磨せずチタン化合物層又はジルコニウム化合物層3Cを最外層とする。
【0048】
上記構成を具える本発明粘質材用ミーリング工具1は、チャンファーホーニング部全域の最外層が同一成分である従来のミーリング工具と比較して、フライス加工などの加工中の溶着や凝着を防止すると共に、摩耗を抑制する。そのため、従来よりも工具寿命をより長くすることができる。また、溶着や凝着などの防止により平滑な仕上げ面粗さが得られる。
【0049】
(試験例1)
基材の材料粉末を配合し、ボールミルにより10時間湿式混合して乾燥した後、特定の形状の圧粉体にプレス成形した。本例では、型番SDKN42MTの形状の切削チップとした。次に、上記圧粉体を焼結炉内に挿入し1400Kの温度で1時間真空焼結を行った。その後、刃先部分にホーニング処理を施した。この基材上に通常のCVD法(従来と同様の所定の温度、ガス、圧力条件)により、複数の硬質被膜層を被覆した。この切削チップの刃先稜線部、すくい面側境界部付近や逃げ面側境界部付近に人工ブラシで研磨・ラッピング処理を施した。表1に各試料の基材及び硬質被膜層、表2に各試料においてチャンファーホーニング部のa、b、c、dの関係及び最外層、表3に作製した表面削り用カッターの形態を示す。
【0050】
(基材の原料粉末)
重量%
A TaC:3、NbN:1、TiC:2 Co:6 WC:88
B Co:10 WC:90
C TiCN:2、TaNbC:3 Co:8 WC:87
【0051】
(チャンファーホーニング部の幅及び角度)
すくい面境界部から逃げ面境界部間l(図2参照):0.20mm
ホーニング角度θ(図2参照):すくい面に対して25°
【0052】
(チャンファーホーニング部における各領域の幅)
チャンファーホーニング部:a
中央部:c
第一、第二領域:それぞれb、d
なお、各領域の幅は、硬質被膜層における幅とする。
【0053】
(硬質被膜層の表面粗さ(Rmax))
チャンファーホーニング部:0.1μm
すくい面側境界部からすくい面にかけて500μmの範囲:0.1μm
逃げ面側境界から逃げ面にかけて200μmの範囲:0.1μm
但し、表面粗さ(Rmax)は、基準長さ5μmにおける最大高さとする。
【0054】
表1において硬質被膜層とは、研磨・ラッピング処理前の積層状態を示す。また、表1において、特に断りがない限りTiNは粒状組織、TiCNは、柱状晶組織であり、Alは、α型酸化アルミニウムである。これらのことは、後述する他の試験例においても同様とする。
【0055】
【表1】
Figure 0003622846
【0056】
【表2】
Figure 0003622846
【0057】
【表3】
Figure 0003622846
【0058】
上記各試料を用いて以下の条件でフライス加工を行い、カッターに取り付けた試料1個に溶着や凝着が生じるまでの被削量及び溶着や凝着が生じた際の摩耗量を測定した。表4に試験に被削材(焼入れ前のもの)及び試験条件を示す。被削量の評価は、被削材(300mm×100mm)を1枚スライスした切削量(切削長)を1パスとした。その結果を表5に示す。
【0059】
【表4】
Figure 0003622846
【0060】
【表5】
Figure 0003622846
【0061】
表5に示すように、硬質被膜層のうち、チャンファーホーニング部の最外層が異なる実施例1−1〜1−34は、7〜10パスという優れた耐溶着性、耐凝着性を示すと共に、0.30mm未満という優れた耐摩耗性を示す。特に、実施例1−1、1−2、1−7〜1−15、1−18〜1−20、1−24〜1−26、1−30〜1−32は、切削長10パス、摩耗量0.20mm以下であり、極めて優れていた。また、これら実施例1−1、1−2、1−7〜1−15、1−18〜1−20、1−24〜1−26、1−30〜1−32は、特に高精度の仕上げ面粗さを得ることができた。
【0062】
なお、実施例1−1、1−2、1−7〜1−15、1−18〜1−20、1−24〜1−26、1−30〜1−32において、すくい面側境界部を介して第一領域とすくい面側の平滑面と繋がる領域7b(図1参照)、及び逃げ面側境界部を介して第二領域と逃げ面側の平滑面と繋がる領域8b(同)の最外層がAlである場合、より耐溶着性、耐凝着性に優れることが確認できた。このとき、領域7bの範囲は、すくい面境界部からすくい面側の平滑面に向かって0.5mm以下、領域8bの範囲は、逃げ面境界部から逃げ面側の平滑面に向かって0.1mm以下であった。
【0063】
第一又は第二領域のいずれかのみの最外層がAlである実施例1−3、1−4は、8パス目を切削し始めてすぐにすくい面側境界部付近又は逃げ面側境界部付近において溶着や凝着が生じていることが確認された。中央部が比較的大きく第一及び第二領域が比較的小さい実施例1−5は、最外層がAlである範囲が狭いことで、実施例の中で比較的溶着や凝着が生じ易かったが、摩耗は少なかった。中央部が比較的小さく第一及び第二領域が比較的大きい実施例1−6は、8パス目を切削し始めて半ばまで溶着や凝着が生じなかったが、摩耗は多いほうであった。これらのことからチャンファーホーニング部において中央部の幅cは、1/3a程度が適することが分かる。更に、中央部の幅cを変えて調べると幅cは、1/3a〜3/5aが最適であることが確認できた。
【0064】
最内層のTiNの厚さを変えた実施例1−17〜1−21において、厚さ0.1μmである実施例1−17は、切削するに従って摩耗が進行することが確認された。また、厚さ3.5μmである実施例1−21は、実施例の中で摩耗が多いほうであった。これらのことから、最内層の厚さは、0.2〜3.0μmが特に適することが分かる。更に、TiNが粒状組織でない実施例1−22は、被膜層と基材との密着強度が比較的低く、実施例1−18〜1−20に比べて性能が劣った。このことから、最内層のTiNは、粒状組織が好ましいことが分かる。
【0065】
内層のTiCNの厚さを変えた実施例1−23〜1−27において、厚さ0.8μmである実施例1−23は、実施例の中で摩耗が多いほうであった。また、厚さが18.5μmである実施例1−27は、膜強度が比較的低く摩耗が多くなった。これらのことから、内層のTiCNは、1.0〜18.0μmが特に適することが分かる。更に、TiCNが柱状晶組織でない実施例1−28は、膜の強度が比較的低く、実施例1−24〜1−26に比べて性能が劣った。このことから、内層のTiCNは、柱状晶組織が好ましいことが分かる。
【0066】
中間層のAlの厚さを変えた実施例1−29〜1−33において、厚さ0.3、15.5μmである実施例1−29、1−33は、膜強度が比較的低く摩耗が多くなった。従って、中間層のAlは、0.5〜15.0μmが特に適することが分かる。更に、Alがα型でない(κ型酸化アルミニウム)実施例1−34は、α型酸化アルミニウムを被覆した実施例1−7などよりも膜強度が比較的低く、摩耗が多くなった。このことから、中間層の酸化アルミニウムは、α型が好ましいことが分かる。
【0067】
内層をTiCNのみとした実施例1−16は、最内側から順にTiN、TiCNを被覆した実施例1−7などよりも密着強度が比較的低く、摩耗が多くみられた。このことから、内層は、最内側から順にTiN層、TiCN層を具えることが特に好ましいことが分かる。
【0068】
一方、実施例と同様に基材に硬質被膜を被覆後、チャンファーホーニング部に研磨処理などを施していない比較例1−1は、チャンファーホーニング部の最外層がTiCNOであるため、5パスで溶着が生じた。実施例と同様に基材に硬質被膜を被覆後、チャンファーホーニング部において最外層のTiNを研磨処理して除去し、研磨後のチャンファーホーニング部全域の最外層をAlとした比較例1−2は、6パスまで溶着が生じなかったが、摩耗が多くみられた。硬質被膜層を基材から近い順にTiN、TiCN、Alとし、チャンファーホーニング部を研磨処理して中央部の最外層をAl、第一及び第二領域の最外層をTiCNとした比較例1−3は、耐溶着性、耐摩耗性の双方とも非常に悪かった。これら比較例1−1〜1−3はいずれも高精度な仕上げ面粗さは得られなかった。
【0069】
(試験例2)
上記試験例1で用いた実施例1−1、1−2、1−7、比較例1−1、1−3を用いて、被削材のロックウェル硬さ(HC=20、35、40、45)を変えて、試験例1と同様にカッターに取り付けた試料1個に溶着や凝着が生じるまでの被削量及び溶着や凝着が生じた際の摩耗量を調べてみた。その結果、いずれの実施例1−1、1−2、1−7も、HC=40、45の被削材では、切削が進むにつれて膜のチッピングが生じ、高精度な仕上げ面粗さを得ることができにくかった。一方、HC=20、35の被削材では、いずれの実施例1−1、1−2、1−7も切削長9パス以上、摩耗量0.20mm以下であり、良好な耐溶着性や耐凝着性、及び耐摩耗性を有することが確認できた。このことから、本願発明ミーリング工具は、ロックウェル硬さHC=40未満の比較的低硬度の材料をフライス加工する際に用いることが好ましいことが分かる。これに対し、比較例1−1は、いずれの被削材に対しても、切削長5パス、摩耗量0.50mm以上であり、高精度な仕上げ面粗さが得られなかった。比較例1−3は、特にHC=35、20の被削材において、耐溶着性や耐凝着性、耐摩耗性の双方とも非常に悪く、高精度な仕上げ面粗さが得られなかった。このことから、比較例1−3は、粘質材の加工に適していないことが分かる。
【0070】
(試験例3)
(1)上記試験例1で用いた実施例1−7を用いて、硬質被膜層のうち、チャンファーホーニング部及び刃先稜線部のすくい面側境界部からすくい面にかけての領域において表面粗さを変えて摩耗量を調べてみた。試験は、試験例1と同様に行った。表面粗さは、ブラシによる研磨を施すことによって変化させた。なお、表面粗さ(Rmax)は、基準長さ5μmにおける最大高さで表す。その結果を表6に示す。
【0071】
【表6】
Figure 0003622846
【0072】
表6に示すように、硬質被膜のうち、チャンファーホーニング部の表面粗さが小さいほど摩耗が小さいことが分かる。特に、表面粗さ(Rmax)が0.20μm以下であると、摩耗が0.30mm未満となって、耐摩耗性に優れることが分かる。また、刃先稜線部のすくい面側境界部からすくい面にかけての領域は、範囲が大きいほど摩耗が小さいことが分かる。特に、表面粗さ(Rmax)が0.20μm以下で、上記領域が200μm以上であると、摩耗が0.20mm以下となり、更に、同500μm以上であると摩耗が0.15mm以下となって、耐摩耗性に極めて優れることが分かる。併せて、チャンファーホーニング部の表面粗さを0.10μmとして、刃先稜線部のすくい面側境界部からすくい面にかけての領域における表面粗さ(Rmax)を変えて摩耗を調べてみた。すると、表面粗さ(Rmax)が0.20μm以下であると、摩耗が0.40mm未満であり、更に、上記領域の表面粗さ(Rmax)が0.20μm以下の範囲が200μm以上であると、摩耗が0.20mm以下となって、特に優れていることが確認できた。このことから、チャンファーホーニング部と、刃先稜線部のすくい面側境界部からすくい面にかけて200μm以上の範囲は、表面粗さ(Rmax)が0.20μm以下であることが好ましいことが分かる。
【0073】
(2)上記試験例1で用いた実施例1−7を用いて、硬質被膜層のうち、チャンファーホーニング部及び刃先稜線部の逃げ面側境界から逃げ面にかけての領域において、表面粗さを変えてマイクロチッピングの有無を調べてみた。試験は、試験例1と同様に行った。その結果を表7に示す。
【0074】
【表7】
Figure 0003622846
【0075】
表7に示すように、硬質被膜層のうち、チャンファーホーニング部の表面粗さが小さいほどマイクロチッピングが少ないことが分かる。特に、表面粗さ(Rmax)が0.20μm以下であると、マイクロチッピングがほとんどみられず、異常摩耗が生じにくいことが分かる。また、刃先稜線部の逃げ面側境界部から逃げ面にかけての領域は、範囲が大きいほどマイクロチッピングが少ないことが分かる。特に、表面粗さ(Rmax)が0.20μm以下で上記領域が50μm以上であると、マイクロチッピングは全くみられなかった。併せて、刃先稜線部の逃げ面側境界部から逃げ面にかけての領域における表面粗さを変えてマイクロチッピングの有無を調べてみた。すると、表面粗さ(Rmax)が0.20μm以下であると、マイクロチッピングの発生がほとんどなく、更に上記領域の表面粗さ(Rmax)が0.20μm以下である範囲が50μm以上であると、マイクロチッピングがなく、特に優れていることが確認できた。このことから、チャンファーホーニング部と、刃先稜線部の逃げ面側境界部から逃げ面にかけて50μm以上の範囲は、表面粗さ(Rmax)が0.20μm以下であることが好ましいことが分かる。
【0076】
(試験例4)
上記試験例1で用いた実施例1−7において、すくい面側の平滑面及び逃げ面側の平滑面に施される硬質被膜層の合計の厚さを変えて、溶着や凝着が生じるまでの被削量及び溶着や凝着が生じた際の摩耗を測定した。試験は、試験例1と同様に行った。その結果を表8に示す。
【0077】
【表8】
Figure 0003622846
【0078】
表8に示すように、すくい面側の平滑面及び逃げ面側の平滑面に施される硬質被膜層の合計の厚さが2.0〜20μmである試料4−2〜4−4は、耐溶着性や耐凝着性、及び耐摩耗性の双方に優れることが分かる。これに対し、すくい面側の平滑面及び逃げ面側の平滑面に施される硬質被膜層の合計の厚さが2.0μm未満である試料4−1は、2.0μm以上の試料4−2〜4−4に比べて摩耗が多かった。また、すくい面側の平滑面及び逃げ面側の平滑面に施される硬質被膜層の合計の厚さが20μmを超える試料4−5は、20μm以下の試料4−2〜4−4に比べて切削長が少なかった。なお、すくい面側の平滑面及び逃げ面側の平滑面の少なくとも一方に施される硬質被膜層の合計の厚さが2.0〜20μmであれば、耐溶着性及び耐摩耗性の双方に優れることが確認された。
【0079】
(試験例5)
上記試験例1で用いた実施例1−7を用いて、チャンファーホーニング部の幅及びホーニング角度を変えて溶着や凝着が生じるまでの被削量を測定した。試験は、試験例1と同様に行った。なお、チャンファーホーニング部の幅とは、図2に示すすくい面側境界部から逃げ面側境界部間の幅Wである。ホーニング角度とは、図2に示すすくい面に対する角度θである。その結果を表9に示す。
【0080】
【表9】
Figure 0003622846
【0081】
表9に示すように、幅Wが0.05〜0.5mm、ホーニング角度が5〜40°である試料5−4、5−6、5−8は、切削量が10パスと耐溶着性、耐凝着性に優れていることが分かる。これに対し、幅Wが0.05mm未満、0.5mm超、ホーニング角度が5°未満、40°超のいずれかを満たす試料5−1〜5−3、5−5、5−7、5−9〜5−11は、切削量が7〜8パスと試料5−4、5−6、5−8に比べて切削量が少なかった。このことから、チャンファーホーニング部の幅は0.05〜0.5mm、ホーニング角度は5〜45°が好ましいことが分かる。
【0082】
上記試験例5において、更に、すくい面側又は逃げ面側の一方のエッジを円弧状とした複合ホーニングとすると、上記の結果より切削量が多く12パスとなった。また、すくい面側及び逃げ面側の両方のエッジを円弧状とした複合ホーニングとすると、切削量が14パスとなって、より耐溶着性、耐凝着性に優れることが確認できた。
【0083】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明粘質材用ミーリング工具によれば、硬質被膜層のうち、チャンファーホーニング部の最外層を部分的に異ならせることで、耐溶着性、耐凝着性、及び耐摩耗性との双方に優れるという特有の効果を奏す。特に本発明は、ロックウェル硬さHC=40未満の比較的低硬度の焼入れ前の金型鋼などをフライス加工する際において、長期に亘って優れた工具性能を呈することができる。また本発明は、溶着や凝着を防止すると共に摩耗の進行も防止することから、高精度の仕上げ面粗さを得ることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明ミーリング工具において刃先稜線部付近における断面図である。
【図2】エッジホーニングにおいて、角度ホーニングを示す断面図である。
【図3】エッジホーニングにおいて、丸ホーニングを示す断面図である。
【図4】エッジホーニングにおいて、複合ホーニングを示す断面図である。
【符号の説明】
1 ミーリング工具 2 基材 3 硬質被膜層 4 刃先稜線部
5 すくい面側の平滑面 6 逃げ面側の平滑面
7 すくい面側境界部 7a 第一領域 7b、8b 領域 8 逃げ面側境界部
8a 第二領域
W チャンファーホーニング部の幅 θ ホーニング角度

Claims (8)

  1. 基材上に内層、中間層、外層からなる硬質被膜層を具える粘質材用ミーリング工具において、
    前記基材は、1種類以上の鉄族金属を含む結合相と、周期律表IVa、Va、VIa族の元素及びAl、Siの炭化物、窒化物、酸化物およびそれらの固溶体よりなる群から選択される1種類以上の化合物を含む硬質相とからなり、
    刃先稜線部には、チャンファーホーニング部を有し、
    前記硬質被膜層のうち、チャンファーホーニング部は、中央部と、この中央部の両側に位置しすくい面側境界部を含む第一領域、及び逃げ面側境界部を含む第二領域とを具え、
    前記硬質被膜層のうち、チャンファーホーニング部の最外層が部分的に異なっており、
    前記中央部の最外層は、外層を形成するTiC x N y O 1- -y 又は ZrC x N y O 1-x-y (0 x y x+y 1) 層であり、
    前記第一領域及び第二領域の少なくとも一方の最外層は、中間層を形成する酸化アルミニウム層であり、
    0 b 1/2a 0 d 1/2a 0.2 c/a 1 を満たすことを特徴とする粘質材用ミーリング工具。
    但し、 a は硬質被膜層のうちチャンファーホーニング部における幅、 c は中央部の幅、 b d はそれぞれ第一、第二領域の幅とする。
  2. 酸化アルミニウム層が実質的にα型酸化アルミニウムで構成され、厚さが0.5〜15μmであることを特徴とする請求項 1に記載の粘質材用ミーリング工具。
  3. 硬質被膜層のうち、チャンファーホーニング部と、刃先稜線部のすくい面側境界部からすくい面にかけて少なくとも200μm以上の範囲及び刃先稜線部の逃げ面側境界から逃げ面にかけて少なくとも50μm以上の範囲の少なくとも一方とが、表面粗さ(Rmax)0.20μm以下(基準長さ5μmとする)であることを特徴とする請求項 1 又は 2 記載の粘質材用ミーリング工具。
  4. 硬質被膜層のうち、すくい面側の平滑面及び逃げ面側の平滑面の少なくとも一方は、Ti(CwBxNyOz)(w+x+y+z=1、w、x、y、z≧0)の少なくとも1層からなる内層と、TiCxNyO1-x-y又はZrCxNyO1-x-y(0≦x、y、x+y≦1)層の少なくとも1層からなる外層と、酸化アルミニウム層からなる中間層とを有し、合計厚さが2〜20μmであることを特徴とする請求項 1 3 のいずれかに記載の粘質材用ミーリング工具。
  5. 硬質被膜層のうち、内層の少なくとも1層が柱状晶組織を有する炭窒化チタンからなり、厚さが1〜18μmであることを特徴とする請求項 1 4 のいずれかに記載の粘質材用ミーリング工具。
  6. 硬質被膜層のうち、基材と接する最内層が粒状組織を有する窒化チタンからなり、厚さが0.2〜3μmであることを特徴とする請求項 1 5のいずれかに記載の粘質材用ミーリング工具。
  7. チャンファーホーニング部は、すくい面側境界部から逃げ面側境界部間の幅が0.05〜0.5mmであり、ホーニング角度がすくい面に対して5〜40°であることを特徴とする請求項 1 6のいずれかに記載の粘質材用ミーリング工具。
  8. チャンファーホーニング部は、すくい面側及び逃げ面側の少なくとも一方のエッジを円弧状とした複合ホーニングであることを特徴とする請求項 7 記載の粘質材用ミーリング工具。
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