JP3621808B2 - 脚式移動ロボットの足平接地状態把握装置 - Google Patents

脚式移動ロボットの足平接地状態把握装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、脚式移動ロボットに関し、詳しくは、脚式移動ロボットの移動に際して、該ロボットの可動脚の足平部が階段のエッジ等、床の稜線部に接地した場合における該足平部の稜線部に対する接地方向や接地位置を把握するための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
二足歩行型ロボット等、脚式移動ロボットにおいては、階段での移動(昇降)、あるいは凹凸のある箇所での移動に際して、階段のエッジや凸部の上面縁部等の床の稜線部に可動脚の足平部を接地させた場合に、その稜線部に対するロボットの足平部の接地方向や接地位置を把握することが望まれる。
【0003】
例えば、二足歩行型ロボットが、ある歩容(歩幅等を規定する足運びの形態)で階段を昇る場合において、一方の可動脚の足平部を階段面に着床させるに際して、該足平部の爪先側の箇所で該階段面のエッジに接地すると、現在の歩容のままでは、次に他方の可動脚の足平部を上側の階段面に着床させるに際して、該足平部の踏み外しを生じる虞れがあり、このような場合には、ロボットの歩幅を大きくする等の処置を施す必要がある。同様に、二足歩行型ロボットが、階段を降りる場合において、一方の可動脚の足平部を階段面から離床させるに際して、該足平部の踵側の箇所で該階段面のエッジに接地すると、現在の歩容のままでは、その離床側の可動脚の足平部を次に下側の階段面に着床させるに際して、該足平部の踏み外しを生じる虞れがあり、このような場合には、ロボットの歩幅を小さくする等の処置を施す必要がある。さらに、階段の昇降に際して、ロボットの足平部が階段のエッジに対して斜めに向いた姿勢で接地するような場合には、現在の歩容のままでは、ロボットが階段に対して斜め方向に昇降することとなるため、階段の側方の壁にロボットが突き当たったり、足平部の踏み外しを生じる虞れがあり、このような場合には、ロボットの足運びの向きを修正する等の処置を施す必要がある。
【0004】
従って、このようなロボットの歩容の修正等を行うために、階段のエッジ等の稜線部にロボットの足平部が接地した場合(足平部の線接触状態での接地)に、該稜線部に対する足平部の接地方向や接地位置(これは、足平部に対する稜線部の方向や位置と言い換えてもよい)を把握することが望まれるのである。
【0005】
一方、例えばロボットによる階段の昇降時に該階段のエッジに対するロボットの足平部の接地方向や接地位置を把握する技術としては、例えば特開平7−205085号公報に本願出願人が提案したものが知られている。
【0006】
この技術では、階段面に光を反射するテープを該階段のエッジと平行に貼りつけておくと共に、ロボットの各足平部の両側部にそれぞれ複数の光センサを前後方向に並べて配置し、ロボットの足平部を階段面に着床させたとき、それらの光センサのうちのどの光センサにより前記テープが検出されるか(階段面からはみ出した部分の光センサではテープが検出されない)によって、ロボットの足平部に対する階段のエッジの位置や方向を把握するようにしている。
【0007】
尚、上記のような技術では、階段面に貼りつけるテープを例えば金属製のものとすると共に、ロボットの足平部の両側部に配列するセンサとして渦電流式近接センサを用い、該渦電流式近接センサにより、テープを検出することで、ロボットの足平部に対する階段のエッジの位置や方向を把握するようにすることも可能である。
【0008】
しかしながら、このような技術では、階段面に前記テープを貼りつけておかなければならないため、ロボットの動作環境上の制約を受け、またコスト的にも不利なものとなりやすい。また、光センサを用いたものでは、該センサあるいはテープの汚れや、ゴミの付着によって、該センサの誤検出を生じやすく、その結果、階段のエッジの位置や方向を正しく把握することができなくなる場合も多々ある。さらに、前記渦電流式近接センサを用いたものでは、金属製の階段には適用することができず、ロボットの動作環境上の制約を受けやすい。
【0009】
また、例えば特開平3−184781号公報に本願出願人が開示したように、ロボットの足底面に多数の接触センサ素子をマトリクス状に配置してなる分布型接触センサを備えたものでは、該分布型接触センサの各接触センサ素子の出力データからロボットRの足平部の足底面の接触箇所の位置や形状が判るので、ロボットの足平部を階段面に着床させた際に、足平部の足底面の階段面に接触している箇所と該階段面に接触していない箇所との境界の位置や形状を分布型接触センサの各接触センサ素子の出力データによって認識することで、階段のエッジに対する足平部の位置や方向を把握することも考えられる。
【0010】
しかしながら、このような技術では、足底面に分布型接触センサを備えるため、ロボットの移動時の着床の際等に足底面に加わる衝撃によって該センサの損傷を生じやすい。そして、これを回避するために、該分布型接触センサをゴム等の弾性材により被覆した場合には、足底面の接触箇所の位置や形状を精度よく認識することが困難なものとなってしまう。また、分布型接触センサの多数の接触センサ素子の信号を処理しなければならなため、多大な演算量を要するものとなってしまう。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる背景に鑑み、脚式移動ロボットの可動脚の足平部は階段のエッジ等の稜線部に接地した場合における該稜線部に対する足平部の接地方向や接地位置を、ロボットの種々様々の動作環境下でセンサの損傷等の不都合を生じることなく、簡単な構成で、しかも簡単な演算処理で確実且つ適正に把握することができる脚式移動ロボットの足平接地状態把握装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の脚式移動ロボットの足平接地状態把握装置はかかる目的を達成するために、複数の可動脚の離床・着床動作により移動可能であって、該可動脚が床の稜線部に接地するように生成された目標歩容に応じて移動する脚式移動ロボットにおいて、前記各可動脚の足平部の足底面から該可動脚の基部側に離間した所定の部位に、該足平部の接地時に該足平部が床から受ける抗力に基づく所定方向の作用力及びモーメントを検出するための力センサを設け、前記各可動脚の足平部が床の稜線部に接地したとき、該足平部が床から受ける抗力の中心が該稜線部沿いに移動するように該足平部を該稜線部沿いに傾動させる足平傾動手段と、該足平傾動手段による該足平部の傾動時における該足平部の複数種類の傾斜姿勢において、該足平部が床から受ける抗力の中心の該足平部の足底面上での位置を、少なくとも前記力センサの出力から検出される前記作用力及びモーメントに基づき把握する抗力中心把握手段と、該抗力中心把握手段により把握された前記足平部の複数種類の傾斜姿勢における前記抗力の中心の位置に基づき前記床の稜線部に対する該足平部の接地方向及び接地位置のうちの少なくともいずれか一方を把握する手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
かかる本発明において、前記足平部が床から受ける抗力の中心の該足平部の足底面上での位置は、力学的にその位置(点)に集中的に該抗力が作用しているとみなすことができる位置であり、この抗力の中心の位置は、前記力センサの出力によって該抗力に基づく所定方向(特定方向)の作用力及びモーメントを検出することで、その作用力及びモーメントの値から、力学的な演算によって求めることができる。より具体的には、抗力の中心の位置は、足底面に垂直な軸回りのモーメント成分以外のモーメント成分が「0」となるような作用点として求められる。
【0014】
そして、前記足平部が床の稜線部に接地したとき(このとき、該足平部の足底面と稜線部とは線接触状態となる)、前記抗力の中心は、該足平部の足底面と稜線部との接触線上に存し、この状態から該足平部を前記足平傾動手段によって稜線部沿いに傾動させると、前記抗力の中心の位置は、該稜線部沿いに前記接触線上を移動し、この移動軌跡は、足平部の足底面上における該接触線の方向や位置、ひいては前記稜線部の方向や位置を示すものとなる。
【0015】
従って、前記足平傾動手段による該足平部の傾動時における該足平部の複数種類の傾斜姿勢において、前記抗力中心位置把握手段によって、前記抗力の中心の位置を前記力センサの出力から検出される前記作用力及びモーメントに基づき把握することで、それらの各種類の足平部の傾斜姿勢における前記抗力の中心の位置から、前記足平部の接地方向及び接地位置のうちの少なくともいずれか一方を把握する手段によって、前記床の稜線部に対する該足平部の接地方向及び接地位置のうちの少なくともいずれか一方を把握することができることとなる。
【0016】
この場合、前記接地方向及び接地位置のうちの少なくともいずれか一方を把握するために必要な前記抗力の中心の位置は、前記力センサの出力により検出される前記所定方向の作用力及びモーメントに基づいて求められるので、ロボットを移動させる床の汚れ等の影響を受けることがなく、また、該力センサは、足平部の足底面から離間して設けられて、床に直接的に接触するようなことがないので、該力センサが足平部の着床時に衝撃等によって損傷を受けることもない。また、前記足平部の各種類の傾斜姿勢における前記抗力の中心の位置は、実際上、後述の如く、一つの方向の前記作用力と高々二つの軸回りの前記モーメントとを力センサの出力によって検出すれば、それらの検出値から求めることができるので、複雑な演算処理を必要としない。さらに、前記力センサは例えば公知の6軸力センサを用いて簡単に構成することができ、また、前記足平傾動手段による足平部の傾動は、ロボットに既に備えられている各可動脚の関節機構を駆動することで行うことができる。
【0017】
従って、本発明によれば、脚式移動ロボットの可動脚の足平部が階段のエッジ等の稜線部に接地した場合における該稜線部に対する足平部の接地方向や接地位置を、ロボットの種々様々の動作環境下でセンサの損傷等の不都合を生じることなく、簡単な構成で、しかも簡単な演算処理で確実に把握することができる。
【0018】
かかる本発明では、前記床の稜線部が足平部の略左右方向に延在する場合、及び足平部の略前後方向に延在する場合のいずれの場合であっても前記接地方向及び接地位置のうちの少なくともいずれか一方を把握することが可能であるが、実用的には、ロボットに階段を昇降させる場合における該階段のエッジ等のように、前記稜線部が前記足平部の略左右方向に延在する稜線部である場合における該稜線部に対する足平部の接地方向及び接地位置のうちの少なくともいずれか一方を把握することがロボットの動作制御上、重要である。
【0019】
そして、このように前記稜線部が前記足平部の略左右方向に延在する稜線部である場合において、本発明のより具体的な第1の態様では、前記足平傾動手段は、前記足平部の右側縁が前記稜線部に略点接触状態となる傾斜姿勢と該足平部の左側縁が該稜線部に略点接触状態となる傾斜姿勢との二種類の傾斜姿勢に該足平部を該稜線部沿いに左右に傾動させ、前記抗力中心把握手段は、前記足平部の二種類の傾斜姿勢のそれぞれにおける前記抗力の中心の該足平部の前後方向での位置を前記力センサの出力から検出される前記作用力及びモーメントに基づき把握し、前記足平部の接地方向及び接地位置のうちの少なくともいずれか一方を把握する手段は、前記足平部の二種類の傾斜姿勢のそれぞれに対応して前記抗力中心把握手段により把握された前記抗力の中心の該足平部の前後方向での位置に基づき、前記床の稜線部に対する該足平部の接地方向及び接地位置のうちの少なくともいずれか一方を把握する。
【0020】
すなわち、前記足平傾動手段によって、前記足平部の右側縁が前記稜線部に略点接触状態となる傾斜姿勢と該足平部の左側縁が該稜線部に略点接触状態となる傾斜姿勢との二種類の傾斜姿勢に該足平部を傾動させたとき、それぞれの傾斜姿勢で前記抗力中心位置把握手段によって把握される前記抗力の中心の該足平部の前後方向での位置は、足平部の右側縁と稜線部との接触点の該足平部の前後方向での位置、及び足平部の左側縁と稜線部との接触点の該足平部の前後方向での位置を示すものなる。また、これらの二つの接触点は、足平部の右側縁及び左側縁の箇所の点であるため、これらの接触点の足平部の左右方向での位置は、該足平部のサイズや形状によって定まるものである。
【0021】
従って、前記の二種類の傾斜姿勢での前記抗力の中心の該足平部の前後方向での位置を前記抗力中心位置把握手段によって把握することで、足平部の左右の各側縁と稜線部との接触点の足底面上での位置(二次元的な位置)が判る。そして、足平部が前記稜線部に接地した際の該足平部の足底面と稜線部との接触線は、上記の二つの接触点を結ぶ線であるので、それらの接触点の位置関係によって、前記床の稜線部に対する該足平部の接地方向及び接地位置のうちの少なくともいずれか一方を把握することができる。
【0022】
さらに具体的には、本発明の第1の態様では、前記接地方向を把握することに関し、前記足平部の接地方向及び接地位置のうちの少なくともいずれか一方を把握する手段は、例えば前記足平部の二種類の傾斜姿勢のそれぞれに対応して前記抗力中心把握手段により把握された前記抗力の中心の該足平部の前後方向での位置と、該足平部の右側縁及び左側縁間の間隔とから該足平部の前記稜線部に対する方位角を算出し、その算出した方位角により該足平部の前記稜線部に対する接地方向を把握する。
【0023】
また、前記接地位置を把握することに関し、前記足平部の接地方向及び接地位置のうちの少なくともいずれか一方を把握する手段は、例えば前記足平部の二種類の傾斜姿勢のそれぞれに対応して前記抗力中心把握手段により把握された前記抗力の中心の該足平部の前後方向での位置と、該足平部の所定の基準点から該足平部の右側縁及び左側縁までのそれぞれの間隔とから前記基準点から前記稜線部までの該足平部の前後方向の距離を算出し、その算出した距離により該足平部の前記稜線部に対する接地位置を把握する。
【0024】
すなわち、前記足平部の右側縁及び左側縁間の間隔(足平部の幅)は、足平部の左右の各側縁と稜線部との接触点の間の足平部の左右方向における位置関係(左右方向の距離)を示すものであるので、これと、前記抗力中心把握手段により把握される上記の各接触点の足平部の前後方向での位置とから、幾何学的な演算によって、それらの接触点を結ぶ線に対する足平部の方位角、すなわち、前記稜線部に対する足平部の方位角を求めることができ、これによって稜線部に対する足平部の接地方向を把握することができる。
【0025】
また、前記足平部の基準点から該足平部の右側縁及び左側縁までのそれぞれの間隔は、足平部の左右方向における前記の各接触点の基準点に対する位置を示すものであると共に、前記抗力中心把握手段により把握される前記の各接触点の前後方向における位置から足平部の前後方向での各接触点の基準点に対する位置が判る。従って、これらのデータから幾何学的な演算によって、前記基準点から各接触点を結ぶ線までの該足平部の前後方向の距離、すなわち前記基準点から前記稜線部までの該足平部の前後方向の距離(これは、足平部の前後方向における稜線部の基準点に対する位置を示す)を算出することができ、これによって、該足平部の前記稜線部に対する接地位置を把握することができる。
【0026】
このような本発明の第1の態様によれば、前記足平部の右側縁が前記稜線部に略点接触状態となる傾斜姿勢と該足平部の左側縁が該稜線部に略点接触状態となる傾斜姿勢との二種類の傾斜姿勢において、前記抗力中心位置把握手段によって足平部の前後方向における前記抗力の中心の位置を前記力センサの出力によって検出される作用力及びモーメントに基づいて把握することで、あとは簡単な演算処理によって該足平部の前記稜線部に対する接地方向や接地位置を把握することができるので、その把握のための処理を極めて簡単に行うことができる。
【0027】
尚、このような本発明の第1の態様において、前記抗力中心把握手段により前記抗力の中心の前記足平部の前後方向での位置を把握するために前記力センサの出力から検出する前記作用力は、前記足平部の足底面に垂直な方向での作用力であり、該力センサの出力から検出する前記モーメントは該足平部の足底面の所定の位置に設定された左右方向の軸回りのモーメントであり。これらの作用力とモーメントとを検出すれば、力学的な演算によって前記抗力の中心の前記足平部の前後方向での位置を把握することができる。
【0028】
上記のような本発明の第1の態様では、足平部の接地方向や接地位置を把握するために、該足平部の右側縁及び左側縁間の間隔や、該足平部の基準点から該足平部の右側縁及び左側縁までのそれぞれの間隔とを用いる。このため、該接地方向や接地位置を精度よく把握するためには、足平部の傾動に際して、該足平部の右側縁と左側縁とをそれぞれ確実に稜線部に点接触させる必要がある。
【0029】
そこで、本発明のより具体的な第2の態様では、前記稜線部は前記足平部の略左右方向に延在する稜線部である場合に、前記足平傾動手段は、前記足平部を前記稜線部沿いに少なくとも左右いずれかの一方側に傾動させ、前記抗力中心把握手段は、前記足平傾動手段による前記足平部の傾動時の該足平部の互いに異なる二種類の傾斜姿勢のそれぞれにおける前記抗力の中心の該足平部の前後方向及び左右方向での位置を前記力センサの出力から検出される前記作用力及びモーメントに基づき把握し、前記足平部の接地方向及び接地位置のうちの少なくともいずれか一方を把握する手段は、前記足平部の二種類の傾斜姿勢のそれぞれに対応して前記抗力中心把握手段により把握された前記抗力の中心の該足平部の前後方向及び左右方向での位置に基づき、前記床の稜線部に対する該足平部の接地方向及び接地位置のうちの少なくともいずれか一方を把握する。
【0030】
すなわち、本発明の第2の態様では、前記足平傾動手段によって前記足平部を前記稜線部沿いに少なくとも左右いずれかの一方側に傾動させたときの該足平部の互いに異なる二種類の傾斜姿勢において、それぞれ前記抗力中心把握手段によって、足平部の前後方向及び左右方向の二方向での前記抗力の中心の位置を把握することで、足平部の足底面と稜線部との足平部の非傾動状態での当初の接触線上における二つの点の上記前後及び左右の二方向での足底面上の位置(二次元的な位置)が把握されることとなる。そして、これらの二点を結ぶ線が上記接触線で、この接触線に対する足平部の方向や位置が、前記稜線部に対する足平部の接地方向や接地位置を示す。
【0031】
従って、前記の二種類の傾斜姿勢での前記抗力の中心の該足平部の前後及び左右方向での位置、すなわち、前記接触線上の二つの点のそれぞれの足底面上における位置を把握することで、それらの点の位置関係から、前記稜線部に対する足平部の接地方向及び接地位置のうちの少なくともいずれか一方を把握することができる。
【0032】
さらに具体的には、本発明の第2の態様では、前記接地方向を把握することに関し、前記足平部の接地方向及び接地位置のうちの少なくともいずれか一方を把握する手段は、例えば前記足平部の二種類の傾斜姿勢のそれぞれに対応して前記抗力中心把握手段により把握された前記抗力の中心の該足平部の前後方向及び左右方向での位置から該足平部の前記稜線部に対する方位角を算出し、その算出した方位角により該足平部の接地方向を把握する。
【0033】
また、前記接地位置を把握することに関し、前記足平部の接地方向及び接地位置のうちの少なくともいずれか一方を把握する手段は、例えば前記足平部の二種類の傾斜姿勢のそれぞれに対応して前記抗力中心把握手段により把握された前記抗力の中心の該足平部の前後方向及び左右方向での位置から該足平部の所定の基準点から前記稜線部までの該足平部の前後方向の距離を算出し、その算出した距離により該足平部の前記稜線部に対する接地位置を把握する。
【0034】
すなわち、本発明の第2の態様では、前述のように前記接触線上の二つの点のそれぞれの位置(二次元的な位置)を前記抗力中心把握手段によって把握することで、それらのデータから、前記第1の態様の場合と同様に、幾何学的な演算によって、上記の二つの点を結ぶ線に対する足平部の方位角、すなわち、前記稜線部に対する足平部の方位角を求めることができ、これによって稜線部に対する足平部の接地方向を把握することができる。
【0035】
また、前記接触線上の二つの点の位置の把握したデータから、前記第1の態様の場合と同様に、幾何学的な演算によって、足平部の基準点から上記の二つの点を結ぶ線までの該足平部の前後方向の距離、すなわち前記基準点から前記稜線部までの該足平部の前後方向の距離を算出することができ、これによって、該足平部の前記稜線部に対する接地位置を把握することができる。
【0036】
このような本発明の第2の態様によれば、足平部の二種類の傾斜姿勢における前記抗力の中心の足平部の前後及び左右方向の位置を把握するため、前記接地方向や接地位置を精度よく適正に把握することができる。また、足平部の傾動に際しては、該足平部の各側縁が両線部に点接触状態となるように傾動させずとも、該足平部を大まかに左右あるいはいずれか一方の側に傾動させればよいので、その足平部の傾動のためのロボットの制御を簡単に行うことができる。
【0037】
尚、このような本発明の第2の態様において、前記抗力中心把握手段により前記抗力の中心の前記足平部の前後方向での位置を把握するために前記力センサの出力から検出する前記作用力は、前記足平部の足底面に垂直な方向での作用力であり、該力センサの出力から検出する前記モーメントは該足平部の足底面の所定の位置に設定された左右方向の軸及び前後方向の軸のそれぞれの軸回りのモーメントであり、これらの作用力とモーメントとを検出すれば、力学的な演算によって前記抗力の中心の前記足平部の前後方向及び左右方向での位置を把握することができる。
【0038】
また、本発明のより具体的な第3の態様では、前記稜線部が前記足平部の略左右方向に延在する稜線部である場合に、前記足平傾動手段は、前記足平部を前記稜線部沿いに少なくとも左右いずれかの一方側に傾動させ、前記抗力中心把握手段は、前記足平傾動手段による前記足平部の傾動途中の時々刻々の傾斜姿勢において前記抗力の中心の該足平部の前後方向及び左右方向での位置を前記力センサの出力から検出される前記作用力及びモーメントに基づき時系列的に把握し、前記足平部の接地方向及び接地位置のうちの少なくともいずれか一方を把握する手段は、前記抗力中心把握手段により把握された前記抗力の中心の該足平部の前後方向及び左右方向での位置の時系列データに基づき前記足平部の非傾動状態での該足平部と前記稜線部との接触線を近似する関数式を求め、その求めた関数式に基づき、前記床の稜線部に対する該足平部の接地方向及び接地位置のうちの少なくともいずれか一方を把握する。
【0039】
すなわち、本発明の第3の態様では、前記足平傾動手段によって、前記足平部を前記該稜線部沿いに少なくとも左右いずれかの一方側に傾動させる際に、その傾動途中の時々刻々の傾斜姿勢において、前記抗力中心把握部によって、前記抗力の中心の該足平部の前後方向及び左右方向での位置を把握することで、足平部の足底面と稜線部との足平部の非傾動状態での当初の接触線上に存する多数の点の前後及び左右方向での位置(二次元的な位置)が把握されることとなる。そして、これらの点を通る線が上記接触線で、この接触線に対する足平部の方向や位置が、前記稜線部に対する足平部の接地方向や接地位置を示す。また、上記の各点を通る接触線は、それらの各点の前後及び左右方向での位置に基づいて、最小二乗法等の統計的手法によって、該接触線を近似する関数式により表現することができる。
【0040】
従って、足平部の時々刻々の傾動途中で前記抗力中心把握部によって把握される前記抗力の中心の該足平部の前後方向及び左右方向での位置の時系列データから前記足平部の非傾動状態での該足平部と前記稜線部との接触線を近似する関数式を求めることができ、このように該接触線を近似する関数式を求めれば、該関数式に基づいて、前記接触線に対する足平部の方向及び位置のうちの少なくともいうずれか一方、すなわち、前記稜線部に対する足平部の接地方向及び接地位置のうちの少なくともいずれか一方を把握することができる。
【0041】
さらに具体的には、本発明の第3の態様では、前記接地方向を把握することに関し、前記足平部の接地方向及び接地位置のうちの少なくともいずれか一方を把握する手段は、例えば前記関数式から該足平部の前記稜線部に対する方位角を求め、その求めた方位角により該足平部の前記稜線部に対する接地方向を把握する。
【0042】
また、前記接地位置を把握することに関し、前記足平部の接地方向及び接地位置のうちの少なくともいずれか一方を把握する手段は、例えば前記関数式から前記足平部の所定の基準点から前記稜線部までの該足平部の前後方向の距離を求め、その求めた距離により該足平部の前記稜線部に対する接地位置を把握する。
【0043】
すなわち、本発明の第3の態様では、前述のように前記接触線を近似する関数式を求めることで、該関数式から前記接触線に対する足平部の方位角、すなわち、前記稜線部に対する足平部の方位角を求めることができ、これによって稜線部に対する足平部の接地方向を把握することができる。
【0044】
また、前記関数式を求めることで、該関数式によって、足平部の基準点から前記接触線までの該足平部の前後方向の距離、すなわち前記基準点から前記稜線部までの該足平部の前後方向の距離を算出することができ、これによって、該足平部の前記稜線部に対する接地位置を把握することができる。
【0045】
このような本発明の第3の態様によれば、足平部の傾動時の抗力の中心の位置の多数のデータを用いて足平部と前記稜線部との接触線を近似する関数式を求めるため、前記接地方向や接地位置を精度よく適正に把握することができる。また、この場合、該接地方向や接地位置の把握のために、足平部の傾動時の抗力の中心の位置の多数のデータを用いるため、足平部を必ずしも左右に傾動させる必要はなく、いずれか一方側のみに傾動させるようにしてもよいため、その足平部の傾動のためのロボットの制御をより一層簡単に行うことができると共に、該傾動動作を短時間で行うことができる。
【0046】
尚、このような本発明の第3の態様において、前記抗力中心把握手段により前記抗力の中心の前記足平部の前後方向での位置を把握するために前記力センサの出力から検出する前記作用力は、前記第2の態様の場合と同様、前記足平部の足底面に垂直な方向での作用力であり、該力センサの出力から検出する前記モーメントは該足平部の足底面の所定の位置に設定された左右方向の軸及び前後方向の軸のそれぞれの軸回りのモーメントであり、これらの作用力とモーメントとを検出すれば、力学的な演算によって前記抗力の中心の前記足平部の前後方向での位置及び左右方向での位置を把握することができる。
【0047】
また、本発明では、前記力センサを6軸力センサにより構成することで、前述のいずれの態様の場合であっても、必要な作用力やモーメントを検出することができる。
【0048】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施形態を図1乃至図8を参照して説明する。
【0049】
まず、図1乃至図3を参照して、本実施形態の足平接地状態把握装置を備えた脚式移動ロボットの概要構成を説明する。図1は本実施形態におけるロボットが例えば階段を昇っている様子を示す模式的説明図、図2は該ロボットが階段を降りている様子を示す模式的説明図、図3は図1の部分拡大図である。
【0050】
本実施形態ではロボットRは二足歩行型のものであり、胴体1下部の腰関節2から二本の可動脚3が延設されている。各可動脚3はいずれも同一構造を有しており、その中間部と下部とにそれぞれ膝関節4及び足首関節5を備えている。そして、足首関節5の下方に6軸力センサ6を介して大略平板状の足平部7が取着され、この足平部7の足底面7aにはゴム等の弾性材8(図3参照)が固着されている。
【0051】
尚、各関節2,4,5の屈曲あるいは揺動動作は図示しないモータ等のアクチュエータにより行われるようになっている。
【0052】
図3を参照して、前記6軸力センサ6は、公知のものであり、足首関節5と足平部7との間で足底面7aから足首関節5側(可動脚3の基部側)に離間した箇所に、足平部7と一体的に動くように設けられている。そして、該6軸力センサ6は、ロボットRの移動(歩行)に際して、足平部7が床(階段面Ss や階段SのエッジSe )から受ける抗力F(床反力)によって該6軸力センサ6の検出基準点Qに作用する力(並進力)の3軸(3本の空間直交座標軸)方向の成分と、前記抗力Fによって6軸力センサ6の検出基準点Q回りに作用するモーメントの3軸回りの成分を検出し、その検出値に応じた信号を出力する。
【0053】
さらに具体的には、本実施形態では、前記検出基準点Qは、6軸力センサ6上で足平部7の足底面7aから足首関節5側に間隔hを存する位置に設定されている。そして、例えば図3に示すように足平部7の前後方向(長手方向)をX軸、足平部7の左右方向(幅方向。図3では紙面に垂直な方向)をY軸(図示せず)、足平部7の足底7aに垂直な方向をZ軸、前記検出基準点Qを原点とする空間直交座標軸を設定したとき、6軸力センサ6は、前記抗力Fによって該6軸力センサ6の検出基準点Qに作用する力(並進力)の各軸X,Y,Z方向の成分Fx ,Fy , Fz (図3ではFx ,Fz のみを図示している。以下、これらを単に作用力Fx ,Fy , Fz と称する)と、前記抗力Fによって該6軸力センサ6の検出基準点Qに作用するモーメントの各軸X,Y,Z回りの成分Mx ,My , Mz (図3ではMy のみを図示している。以下、これらを単にモーメントMx ,My , Mz と称する)に応じた信号を出力する。
【0054】
また、図4のブロック図を参照して、ロボットRは、その歩行制御を行うためにマイクロコンピュータにより構成されたコントローラ9を搭載しており、このコントローラ9は、その機能的構成として、ロボットRを歩行させる際の歩幅や足運びの仕方等を規定する各可動脚3の目標歩容を生成してその目標歩容に対応した前記各関節2,4,5の目標関節角(各関節2,4,5の曲げ角度の目標値)を算出する目標歩容生成部10と、その目標関節角に従って、各関節2,4,5を図示しないアクチュエータを介して駆動・制御する関節制御部11と、ロボットRが階段Sを昇降する場合に、各可動脚3の足平部7の階段SのエッジSeに対する接地方向や接地位置を把握するための処理を行う足平接地状態把握処理部12とを備えている。ここで、本実施形態では、階段SのエッジSeが床の稜線部であり、このエッジSeは、ロボットRの足平部7の略左右方向(幅方向)に延在する。
【0055】
前記目標歩容生成部10は、基本的には、人が歩行する場合と同様に、各可動脚3の足平部7の踵側から着床を開始して、さらに、足平部7の爪先側まで足底面7aを着床させ、続いて、足平部7の踵側から離床を開始して、最後に足平部7の爪先側を離床させるように目標歩容を生成する(図1及び図2参照)。
また、目標歩容生成部10は、ロボットRが階段Sを昇る場合には、図1に示すように足平部7の踵側を階段SのエッジSeから若干はみださせ、また、階段Sを降りる場合には、図2に示すように足平部7の爪先側を階段SのエッジSeから若干はみださせるように目標歩容を生成する。従って、該目標歩容は、階段Sの昇りでは、足平部7の着床開始時に足底面7aが階段SのエッジSeに線接触状態で接地し、また、階段Sの降りでは、足平部7の離床終了時に足底面7aがエッジSeに線接触状態で接地するように生成される。
【0056】
さらに、目標歩容生成部10は、ロボットRが階段Sを昇降するに際して、所定の歩数毎(例えば10歩毎)に、上記のように足平部7の足底面7aがエッジSeに線接触状態で接地しているとき(階段Sの昇りでは足平部7の着床開始時、階段Sの降りでは足平部7の離床終了時)に、ロボットRの移動動作(階段Sの昇降動作)を一旦停止するように目標歩容を生成する。そして、該目標歩容生成部10は、このロボットRの移動停止状態において、図5に実線で示すように、階段SのエッジSeに線接触状態で接地した足平部7(図では右側の足平部7)の足底面7aの右側縁がエッジSeにほぼ点接触状態となるような傾斜姿勢にエッジSe沿いに右側(図の時計回り方向)に所定角度だけ傾動させ、次いで、図5に仮想線で示すように、該足平部7の足底面7aの左側縁がエッジSeにほぼ点接触状態となるような傾斜姿勢にエッジSe沿いに左側(図の反時計回り方向)に所定角度だけ傾動させ、その後、該足平部7を階段SのエッジSeとの当初の接地状態(エッジSeとの線接触状態)に戻すように目標歩容を生成する。
【0057】
そして、目標歩容生成部10は、上記のように生成した目標歩容に対応させて前記各関節2,4,5の制御サイクル毎の目標関節角を決定し、それを関節制御部11に指示する。
【0058】
尚、目標歩容生成部10は、上記のような足平部7の傾動に際して、その傾動開始や終了を示すデータ(以下、傾動開始/終了データという)や、所定の制御サイクル毎の前記目標歩容における足平部7の目標傾斜角(以下、目標足平傾斜角という)を前記足平接地状態把握処理部12に与える。
【0059】
また、本発明の構成に対応させると、目標歩容生成部10は関節制御部11と併せて足平傾動手段13を構成するものである。
【0060】
前記足平接地状態把握処理部12は、各可動脚3の6軸力センサ6から得られる6種類の検出値Fx ,Fy , Fz ,Mx ,My , Mz のうち、前記X軸及びZ軸方向の作用力Fx ,Fz 及びY軸回りのモーメントMy から、足平部7の足底面7aに床(階段Sの階段面Ss やエッジSe )から作用する抗力の中心点(以下、床反力中心という)の、足底面7a上での足平部7の前後方向(X軸方向)における位置を所定の制御サイクル毎に算出する床反力中心算出部14(抗力中心把握手段)と、足平部7が階段SのエッジSeに接地した際の前述のような足平部7の傾動時に床反力中心算出部14により算出された床反力中心のX軸方向の位置に基づき、エッジSeに対する足平部7の接地方向及び接地位置を推定する足平接地方向/位置推定部15(足平接地方向/位置把握手段)と、6軸力センサ6から得られる前記Z軸方向の作用力Fz に基づき、足平部7の階段SのエッジSeへの接地が適正な接地状態で行われているか否かを判断して、その判断結果に基づいて足平部7の接地方向及び接地位置を推定するための処理を行うべきか否かを規定する許可/禁止指令を足平接地方向/位置推定部15に与える足平接地状態判別部16とにより構成されている。
【0061】
ここで、上記床反力中心算出部14、足平接地方向/位置推定部15及び足平接地状態判別部16をさらに説明する前に、本実施形態によって、ロボットRの足平部7が階段SのエッジSeに接地した際の該エッジSeに対する足平部7の接地方向や接地位置を推定するための原理について説明しておく。
【0062】
まず、前記床反力中心について説明すると、該床反力中心は、足平部7の着床時に該足平部7の足底面7aに床から作用する床反力(抗力)によって前記6軸力センサ6が受ける作用力(並進力)及びモーメントに関して、該床反力(これは、実際には足平部7と床との接触箇所に分布している)が集中的に作用しているとみなすことができる足底面7a上での抗力の中心点である。
【0063】
また、図3を参照して、ロボットRが例えば階段Sを昇る場合において、可動脚3の足平部7の足底面7aが、前述のような歩容によって該足平部7の階段面Ssへの着床開始時に階段SのエッジSe に線接触状態で接地したとき、前記床反力中心は足平部7の足底面7aとエッジSeとの接触線上に存在する(足底面7aに作用する抗力の全体は、該接触線上に分布している)。このような足平部7の接地状態において、足底面7a上に、該足底面7aがこれに垂直な前記Z軸と交差する点(6軸力センサ6の検出基準点Qの直下の点)を基準点Pとして設定し、この基準点Pを通って前記Y軸に平行な軸(基準点Pを通って図3の紙面に垂直な軸)回りのモーメントをM’yとすると、このモーメントM’yは、6軸力センサ6により検出されるX軸方向の作用力Fx と、Y軸回りのモーメントMy と、足底7a面から6軸力センサ6の検出基準点Qまでの間隔h(所定値)とを用いて、次式(1)により表される。
【0064】
M’y=My +Fx ・h……(1)
尚、ここでは、X軸方向の作用力Fx の正方向は、足平部7の前方向きであり、図3ではFx <0である。また、モーメントM’y,My の正方向は図3の矢印の向きである。
【0065】
さらに、上記基準点P回りのモーメントM’yは、6軸力センサ6により検出されるZ軸方向の作用力Fz と、基準点Pから足底面7aの床反力中心までのX軸方向(前後方向)の距離x(床反力中心のX軸座標。図3ではx<0)とを用いて、次式(2)により表される。
【0066】
M’y=−Fz ・x……(2)
尚、ここでは作用力Fz の正方向は、上向きである。
【0067】
そして、上記式(1),(2)から、次式(3)が得られる。
【0068】
x=−M’y/Fz =−(My +Fx ・h)/Fz ……(3)
尚、この式(3)は、階段Sを降りる場合に、足平部7の離床終了時に該足平部7の足底面7aが線接触状態で階段SのエッジSeに接地した状況においても同様に成立するものである。さらには、式(3)は、足平部7の足底面7aが階段Sの階段面Ss等に面接触状態で接地している場合、あるいは、前述の如く足平部7の足底面7aが線接触状態で階段SのエッジSeに接地した状態から該足平部7を左右に傾動させて、足底面7aの右側縁及び左側縁をそれぞれ点接触状態で階段SのエッジSsに接地させた場合(図5参照)にも成立する式である。この場合、足底面7aとエッジSsとの点接触状態では、前記床反力中心は、足底面7aとエッジSsとの接触点に合致する。
【0069】
従って、足平部7の階段SのエッジSe等への接地時における前記床反力中心のX軸方向(足平部7の前後方向)における位置が、6軸力センサ6により検出されるX軸及びZ軸方向の作用力Fx ,Fz とY軸回りのモーメントMy とを用いた式(3)により、基準点PからのX軸方向の距離x(床反力中心のX軸座標)として求めることができる。そして、足平部7が階段SのエッジSeに線接触状態で接地したとき、該足平部7の左右方向とエッジSeの延在方向とが合致しておれば(エッジSeがY軸に平行である場合)、前記床反力中心の位置xは、足平部7に対するエッジSeの位置、逆にいえば、エッジSeに対する足平部7の接地位置を示すものとなる。
【0070】
尚、本実施形態では、6軸力センサ6の検出基準点Qを該センサ6上に設定しているため、前記式(3)により床反力中心のX軸方向の位置xが求まるのであるが、6軸力センサ6の検出基準点を例えば前記足底面7a上の基準点Pに設定することも可能で、この場合には、該基準点P回りの前記モーメントM’yを6軸力センサ6によって、直接的に検出することができる。従って、この場合には、床反力中心の位置xは、モーメントM’yの検出値とZ軸方向の作用力Fz の検出値とから次式(3)’により求めることができる。
【0071】
x=−M’y/Fz ……(3)’
この場合には、X軸方向の作用力Fxは不要である。また、この場合に、6軸力センサ6によって検出されるZ軸方向の作用力Fz は、検出基準点をQ点に設定した場合と同じである。
【0072】
つまり、床反力中心のX軸方向の位置xは、足底面7a上の基準点P回りの前記モーメントM’yと足底面7aに垂直なZ軸方向の作用力Fzとを検出すれば、式(3)’により求めることができる。前記式(3)により床反力中心の位置xを求める本実施形態は、前記モーメントM’yを6軸力センサ6上に設定した検出基準点Q回りのモーメンントMyとX軸方向の作用力Fxとから前記式(1)によって間接的に検出するものである。
【0073】
一方、例えば図6に示すように、足平部7が階段SのエッジSeに対して斜め向きに接地した場合において、この状態から、足平部7の足底面7aの右側縁がエッジSeに点接触状態となる姿勢に該足平部7を右側に傾動させたときの床反力中心は、図6のA点(足底面7aの右側縁とエッジSeとの接点)であり、この傾斜姿勢(以下、右側縁接地傾斜姿勢という)で6軸力センサ6の出力(検出値)から前述の如く床反力中心のX軸方向の位置xを求めれば、A点のX軸方向の位置x(図ではx<0)が求まる。同様に、足平部7の足底面7aの左側縁がエッジSeに点接触状態となる姿勢に該足平部7を右側に傾動させたときの床反力中心は、図6のB点(足底面7aの左側縁とエッジSeとの接点)であり、この傾斜姿勢(以下、左側縁接地傾斜姿勢という)で6軸力センサ6の出力(検出値)から前記式(3)あるいは式(3)’により床反力中心のX軸方向の位置xを求めれば、B点のX軸方向の位置x(図ではx<0で、x>x)が求まる。
【0074】
尚、足平部7を左右に傾動させたとき、その傾動途中における前記床反力中心は足底面7aの両側縁間でエッジSeに沿って足平部7の傾動側に移動する。そして、足平部7の左右への傾動時に逐次、床反力中心の位置xを6軸力センサ6の出力(検出値)から前記式(3)あるいは式(3)’により求めた場合、図6に示すように足平部7がエッジSeに対して左斜めに向いているときには、足平部7の前記右側縁接地傾斜姿勢で6軸力センサ6の出力から求められる床反力中心の位置xがその符号をふまえて足平部7の傾動時の床反力中心の位置xの最小値となり、足平部7の前記左側縁接地傾斜姿勢で求められる床反力中心の位置xが足平部7の傾動時の床反力中心の位置xの最大値となる。また、逆に、足平部7がエッジSeに対して右斜めに向いているときには、足平部7の前記右側縁接地傾斜姿勢で求められる床反力中心の位置xが足平部7の傾動時の床反力中心の位置xの最大値となり、足平部7の前記左側縁接地傾斜姿勢で求められる床反力中心の位置xが足平部7の傾動時の床反力中心の位置xの最小値となる。従って、足平部7がエッジSeに対して左斜めに向いているときにおける前記接点A,Bの位置x,xは、それぞれ足平部7の左右への傾動時の床反力中心の位置xの最小値及び最大値として与えられ、足平部7がエッジSeに対して右斜めに向いているときにおける前記接点A,Bの位置x,xは、それぞれ足平部7の左右への傾動時の床反力中心の位置xの最大値及び最小値として与えられる。
【0075】
上記のように、足底面7aの左右の両側縁とエッジSeとの接点A,BのX軸方向の位置x,xが判れば、例えば図6に示すようにY軸とエッジSeとのなす角度θをエッジSeに対する足平部7の方位角とすれば、該方位角θは、次式(4)の幾何学的な演算によって求めることができる。
【0076】
θ=sin−1[−(x−x)/(d+d)]……(4)
ここで、式(4)中のd,dは、それぞれ足底面7a上の前記基準点Pから右側縁及び左側縁までのY軸方向の間隔である(d+dは両側縁間の間隔)。尚、本実施形態では、方位角θは、図6のように足平部7がエッジSeに対して左斜めに向いているときθ>0、足平部7がエッジSeに対して右斜めに向いているときθ<0とし、このようにすれば、上記式(4)は足平部7がエッジSeに対していずれの方向(足平部7の左右方向とエッジSeの延在方向とが合致する場合を含む)に向いていても成立する。
【0077】
また、前記のように足底面7aの左右の両側縁とエッジSeとの接点A,BのX軸方向の位置x,xが判れば、例えば図6に示すように基準点PからエッジSeまでのX軸方向での距離x(エッジSeとX軸との交点のX座標。図ではx<0)を次式(5)の幾何学的な演算によって求めることができる。
【0078】
=(d・x+d・x)/(d+d)……(5)
尚、この式(5)は、前記式(4)と同様、足平部7がエッジSeに対していずれの方向に向いていても成立する。また、式(5)においてd=dであれば、x=(x+x)/2で、これは足平部7の足底面7aとエッジSeとの接触線(前記A点、B点を結ぶ線分)の中点のX座標である。
【0079】
従って、階段SのエッジSeに接地した足平部7を左右に傾動させ、前記右側縁接地傾斜姿勢及び左側縁接地傾斜姿勢での床反力中心のX軸方向の位置x,xを6軸力センサ6の出力(検出値)から前記式(3)によって(6軸力センサ6の検出基準点を基準点Pもしくはその近傍に設定したときは式(3)’によって)求めれば、それらの位置x,xから前記式(4),(5)によって、エッジSeに対する足平部7の方位角θと、足底面7a上の基準点PからエッジSeまでのX軸方向での距離xとが判り、これによって、エッジSeに足平部7が接地した際の、エッジSeに対する足平部7の接地方向や接地位置を把握することができることとなる。
【0080】
これが本実施形態においてロボットRの足平部7が階段SのエッジSeに接地した際の該エッジSeに対する足平部7の接地方向や接地位置を推定するための原理である。
【0081】
以上のことを前提として、本実施形態では、前記図4に示した床反力中心算出部14は、6軸力センサ6から得られるX軸及びZ軸方向の作用力Fx,Fz及びY軸回りのモーメントMyから前記式(3)によって、言い換えれば、作用力Fx及びモーメントMyから前記式(1)により把握されるモーメントM’yと作用力Fzとから前記式(3)’によって、床反力中心のX軸方向の位置xを所定の制御サイクルで求める。
【0082】
また、前記足平接地方向/位置推定部15は、その詳細は後述するが、前記目標歩容生成部10から与えられる前記傾動開始/終了データや目標足平傾斜角を参照しつつ、足平部7の傾動時に床反力中心算出部14により逐次求められる床反力中心の位置xから、足平部7の前記右側縁接地傾斜姿勢及び左側縁接地傾斜姿勢での床反力中心の位置x,xを推定し、それらの位置x,xから前記式(4),(5)により、前記方位角θ及び距離xを算出する。そして、これらの方位角θ及び距離xをそれぞれ足平部7のエッジSeに対する接地方向や接地位置を示すデータとして前記目標歩容生成部10に与える。
【0083】
また、前記足平接地状態判別部16は、前記6軸力センサ6により検出されるZ軸方向の作用力Fzが小さ過ぎると、床反力中心の位置xを精度よく求めることができず、このような床反力中心の位置xのデータを用いても前記方位角θ及び距離xを精度よく求めることができないことから、6軸力センサ6から得られる上記作用力Fzが、所定値FMIN よりも大きい場合に、前記足平接地方向/位置推定部15に該作用力Fzを用いた処理を行うことを許可する指令を与え、上記作用力Fzが、所定値FMIN 以下である場合には、前記足平接地方向/位置推定部15に該作用力Fzを用いた処理を禁止する指令を与える。
【0084】
次に本実施形態におけるロボットRが階段Sを昇降する場合の作動を図7及び図8のフローチャートを参照して説明する。
【0085】
コントローラ9は、ロボットRによる階段Sの昇降に際して、図7に示すようなメインルーチン処理を所定の制御サイクルで行う。
【0086】
すなわち、コントローラ9は、前記目標歩容生成部10により、前述の如くロボットRの各可動脚3の目標歩容を生成して、その目標歩容に対応した各関節2,4,5の目標関節角を算出する(STEP1)。
【0087】
次いで、足平接地状態把握処理部12により、足平部7の階段SのエッジSeに対する接地方向及び接地位置を推定して把握するための足平接地方向/位置推定サブルーチンを処理する(STEP2)。
【0088】
この足平接地方向/位置推定サブルーチンは、図8のフローチャートに示すように行われる。
【0089】
すなわち、足平接地状態把握処理部12は、前記床反力中心算出部14により、各可動脚3の6軸力センサ6により今回の制御サイクルで検出された前記X軸方向の作用力Fxと、Z軸方向の作用力Fzと、Y軸回りのモーメントMyとを用いて、前記(3)式により床反力中心のX軸方向の位置xを算出する(STEP8−1)。尚、6軸力センサ6の検出基準点を足底面7aに設定した場合には、前述の通り、6軸力センサ6により検出される作用力FzとモーメントM’yとを用いて、前記式(3)’により床反力中心の位置xを算出する。
【0090】
次いで、足平接地状態把握処理部12は、足平部7の左右への傾動中(傾動開始時及び終了時の状態を含む)であるか否かを判断し(STEP8−2)、傾動中でない場合には、今回の制御サイクルでの足平接地方向/位置推定サブルーチンの処理を終了して、メインルーチンの処理に復帰する。
【0091】
一方、上記の判断で、足平部7の左右への傾動中である場合には(このとき、ロボットRの一方の足平部7が階段SのエッジSeに線接触状態で接地して、ロボットRによる階段Sの昇降動作は一旦停止されている)、足平接地状態把握処理部12は、前記目標歩容生成部10から与えられる前記傾動開始/終了データによって、足平部7の傾動開始時点であるか否かを判断し(STEP8−3)、傾動開始時点である場合には、前記足平接地方向/位置推定部15において、変数xMAX ,xMIN の値を前記STEP8−1で算出された床反力中心の位置xの値にセットさせると共に、変数θMAX ,θMIN の値を「0」にセットさせる(STEP8−4)。
【0092】
ここで、上記変数xMAX ,xMIN は、それぞれ足平部7の傾動中に前記STEP8−1で逐次(制御サイクル毎に)求められる床反力中心の位置xの最大値及び最小値を把握するための変数であり、変数θMAX ,θMIN は、それぞれ床反力中心の位置xの最大値及び最小値に対応する足平部7の傾斜角度を把握するための変数である。
【0093】
尚、STEP8−3の判断で、足平部7の傾動開始時点でない場合(傾動開始後の状態)には、STEP8−4の処理は省略される。
【0094】
次いで、足平接地状態把握処理部12は、前記足平接地状態判別部16によって、今回の制御サイクルで6軸力センサ6から得られた作用力Fzが所定値FMIN よりも大きいか否かを判断する(STEP8−5)。この判断で、Fz>FMIN であれば、足平接地状態判別部16から足平接地方向/位置推定部15に前述の許可指令が与えられ、このとき、該足平接地方向/位置推定部15は、次の処理を行う。
【0095】
すなわち、該足平接地方向/位置推定部15は、今回の制御サイクルにおいてSTEP8−1で求められた床反力中心の位置x(正負の符号を含む)が、現在の変数xMAX の値より大きいか否かを判断し(STEP8−6)、x>xMAX である場合には、変数xMAX の値をSTEP8−1で求められた床反力中心の位置xの値に更新すると共に、前記変数θMAX の値を今回の制御サイクルで前記目標歩容生成部10から与えられる前記目標足平傾斜角に更新する(STEP8−7)。尚、STEP8−6でx≦xMAX である場合には、STEP8−7の処理は省略され、従って、変数xMAX やθMAX の値は、現状のままに保持される。
【0096】
さらに、足平接地方向/位置推定部15は、STEP8−1で求められた床反力中心の位置xが、現在の変数xMIN の値より小さいか否かを判断し(STEP8−8)、x<xMIN である場合には、変数xMIN の値をSTEP8−1で求められた床反力中心の位置xの値に更新すると共に、前記変数θMIN の値を今回の制御サイクルで前記目標歩容生成部10から与えられる前記目標足平傾斜角に更新する(STEP8−9)。尚、STEP8−8でx≧xMIN である場合には、STEP8−9の処理は省略され、従って、変数xMIN やθMIN の値は、現状のままに保持される。
【0097】
尚、前記STEP8−5の判断で、Fz≦FMIN である場合、すなわち、6軸力センサ6により得られる作用力Fzが小さ過ぎる場合には、STEP8−1で求められる位置xの精度が低下して、その信頼性に欠けるものとなることから、前記STEP8−6〜8−9の処理は省略される。
【0098】
上記のようなSTEP8−6〜8−9の処理が、足平部7の左右への傾動中に制御サイクル毎に行われることで、その傾動時の床反力中心のX軸方向の位置xの最大値及び最小値(位置xの値が負の値であるときには、その絶対値が大きい程、小さいことに注意)がそれぞれ変数xMAX ,xMIN の最終的な値として得られ、また、位置xが最大となるときの足平部7の傾斜角度と位置xが最小となるときの足平部7の傾斜角度とがそれぞれ、変数θMAX ,θMIN の最終的な値として得られる。
【0099】
この場合、前述したように足平部7がエッジSeに対して左斜めに向いているときには(図6参照)、基本的には足平部7の前記右側縁傾動姿勢での床反力中心(図6のA点)の位置xが足平部7の傾動時の床反力中心の位置xの最小値となり、足平部7の前記左側縁傾動姿勢での床反力中心(図6のB点)の位置xが足平部7の傾動時の床反力中心の位置xの最大値となるので、前記変数xMAX ,xMIN の最終的な値がそれぞれ上記位置x,xを示すものとなる。
【0100】
また、足平部7がエッジSeに対して右斜めに向いているときには、前述のように基本的には足平部7の前記右側縁傾動姿勢での床反力中心の位置xが足平部7の傾動時の床反力中心の位置xの最大値となり、足平部7の前記左側縁傾動姿勢での床反力中心の位置xが足平部7の傾動時の床反力中心の位置xの最小値となるので、前記変数xMAX ,xMIN の最終的な値がそれぞれ上記位置x,xを示すものとなる。
【0101】
また、前記変数θMAX ,θMIN に係わる前記目標足平傾斜角度は、本実施形態では、足平部7を左側に傾動させたときの目標足平傾斜角度を正の値とし、足平部7を右側に傾動させたときの目標足平傾斜角度を負の値としている。このため、足平部7がエッジSeに対して左斜めに向いているときには、変数xMAX ,xMIN にそれぞれ対応して最終的に得られる変数θMAX ,θMIN の値はそれぞれ正の値及び負の値となる。逆に、足平部7がエッジSeに対して右斜めに向いているときには、最終的に得られる変数θMAX ,θMIN の値はそれぞれ負の値及び正の値となる。
【0102】
尚、足平部7のY軸方向とエッジSeの延在方向とが一致している場合には、STEP8−1で制御サイクル毎に求められる床反力中心の位置xは、基本的には変化せず、従って、足平部7の傾動中の前記STEP8−6〜8−9の処理において、変数θMAX ,θMIN の値は、基本的には前記STEP8−4でセットされた「0」に保持される。
【0103】
図8のフローチャートの説明に戻って、足平接地状態把握処理部12は、次に、前記目標歩容生成部10から与えられる前記傾動開始/終了データによって、足平部7の傾動終了時点であるか否かを判断し(STEP8−10)、このとき傾動終了時点である場合には、足平接地方向/位置推定部15によって、最終的な変数θMAX ,θMIN の値が、それぞれ正の値及び負の値であるか否かを判断する(STEP8−11)。このとき、θMAX >0且つθMIN <0であれば、前述の如く、足平部7はエッジSeに対して左斜め向きに接地しているので、足平接地方向/位置推定部15は、前記式(4),(5)におけるx,xの値をそれぞれ最終的な変数xMIN ,xMAX の値にセットした上で(STEP8−12)、前記式(4),(5)によって、それぞれエッジSeに対する足平部7の前記方位角θと、基準点PからエッジSeまでのX軸方向の距離xとを求める(STEP8−13)。
【0104】
また、STEP8−11の条件が成立しない場合には、足平接地方向/位置推定部15は、最終的な変数θMAX ,θMIN の値が、それぞれ負の値及び正の値であるか否かを判断する(STEP8−14)。このとき、θMAX <0且つθMIN >0であれば、前述の如く、足平部7はエッジSeに対して右斜め向きに接地しているので、足平接地方向/位置推定部15は、前記式(4),(5)におけるx,xの値をそれぞれ最終的な変数xMAX ,xMIN の値にセットした上で(STEP8−15)、前記式(4),(5)によって、前記方位角θと距離xとを求める(STEP8−13)。
【0105】
さらに、STEP8−14の条件が成立しない場合には、足平接地方向/位置推定部15は、最終的な変数θMAX ,θMIN の値が、共に「0」であるか否かを判断する(STEP8−16)。このとき、θMAX =0且つθMIN =0であれば、前述の如く、足平部7のY軸方向(左右方向)とエッジSeの延在方向とが一致しているので、足平接地方向/位置推定部15は、前記方位角θの値を「0」とし、また、前記距離xの値を、足平部7の傾動終了時の今回の制御サイクルにおけるSTEP8−1で求められた床反力中心の位置xの値(これは、足底面7aとエッジSeとの線接触状態での床反力中心のX軸方向の位置である)とする(STEP8−17)。
【0106】
尚、足平部7のY軸方向とエッジSeの延在方向とが一致している場合において、6軸力センサ6の検出誤差等に起因して、足平部7の傾動中に逐次求められる床反力中心の位置xが多少ばらつき、その結果、前記STEP8−6〜8−9の処理を経て、STEP8−11あるいは8−14の条件が成立して、前記STEP8−13で前記式(4),(5)により前記方位角θと距離xとが求められる場合がある。但し、この場合において、足平部7の傾動中の床反力中心の位置xのばらつきは小さいので、STEP8−6〜8−9の処理を経て最終的に得られる変数xMAX ,xMIN の値はほぼ等しく、また、それらの値は足平部7の傾動開始時あるいは傾動終了時の床反力中心の位置xの値ともほぼ一致する。このため、この場合に式(4),(5)により求められる方位角θと距離xとは、それぞれSTEP8−17で決定する方位角θ及び距離xとほぼ一致する。従って、最終的な変数θMAX ,θMIN の値が、共に「0」である場合にも、式(4),(5)により方位角θと距離xとを求めるようにしてもよい。
【0107】
次に、STEP8−16の条件が成立しない場合、すなわち、変数θMAX ,θMIN の値が、いずれも正あるいは負の値となっている場合には、このような場合は、通常的にはあり得ない状況であるので、何らかの異常が生じたことを示すエラーフラグを「1」にセットした後(STEP8−18)、足平接地方向/位置推定サブルーチンの処理を終了して、メインルーチンの処理に復帰する。
【0108】
そして、前記STEP8−13あるいは8−17で前記方位角θと距離xとを求めたときには、前記エラーフラグを「0」にリセットした後(STEP8−19)、足平接地方向/位置推定サブルーチンの処理を終了して、メインルーチンの処理に復帰する。
【0109】
尚、前記8−10の判断で、足平部7の傾動終了時点でない場合には、前記STEP8−18を経て、今回の制御サイクルでの足平接地方向/位置推定サブルーチンの処理を終了して、メインルーチンの処理に復帰する。この場合、制御サイクル毎に、STEP8−6〜8−9の処理が継続する。
【0110】
以上のような処理によって、ロボットRの足平部7が階段SのエッジSeに接地した際の、エッジSeに対する足平部7の方位角θと、前記基準点PからエッジSeまでのX軸方向(足平部7の前後方向)の距離xとが求められ、これらの方位角θ及び距離xによって、該エッジSeに対する足平部7の接地方向及び接地位置が把握されることとなる。
【0111】
次に図7に戻って、前述のような足平接地状態把握処理部12による足平接地方向/位置推定サブルーチンの処理(STEP2)が行われた後、コントローラ9は次回以後の制御サイクルで目標歩容生成部10により生成される各可動脚3の目標歩容における歩幅等を規定するパラメータ(より具体的には、支持脚側の足平部7に対する遊脚側の足平部7の着床位置や方向を規定するパラメータ)を、前記足平接地状態把握処理部12により前述の如く得られた方位角θ(接地方向)や距離x(接地位置)に基づき適宜修正する(STEP3)。
【0112】
具体的には、例えば階段Sを昇る場合において、着床開始時における足平部7のエッジSeに対する接地位置が該足平部7の踵側よりも爪先側に偏っている場合には、他方の足平部7を次に離床・着床するに際しての歩幅を若干大きくするように目標歩容のパラメータを修正する。また、例えば着床開始時における足平部7のエッジSeに対する接地方向が左斜めに向いている場合には、他方の足平部7を次に離床・着床するに際して該足平部7を若干右斜めに向けるように目標歩容のパラメータを修正し、逆に、接地方向が左斜めに向いている場合には、他方の足平部7を次に離床・着床するに際して該足平部7を若干左斜めに向けるように目標歩容のパラメータを修正する。
【0113】
さらに、階段Sを降りる場合にあっては、離床終了時における足平部7のエッジSeに対する接地位置が該足平部7の爪先側よりも踵側に偏っている場合には、該足平部7を次に着床するに際しての歩幅を若干小さくするように目標歩容のパラメータを修正する。また、離床終了時における足平部7のエッジSeに対する接地方向が左斜め、あるいは右斜めに向いている場合には、階段Sの昇りの場合と同様に目標歩容のパラメータを修正する。
【0114】
尚、このような目標歩容のパラメータの修正は、前記STEP2のサブルーチンで前記方位角θや距離xが求められた場合に行われるものであり、足平部7の左右への傾動中は行われない。
【0115】
そして、コントローラ9はこのような修正を適宜行った後、目標歩容生成部10により算出された各関節2,4,5の目標関節角に従って、前記関節制御部11により各関節2,4,5を図示しないアクチュエータを介して駆動する(STEP4)。
【0116】
以上のようなロボットRの動作制御により、階段Sを昇る際の歩容や、階段Sを降りる際の歩容が足平部7のエッジSeに対する接地方向や接地位置に応じて適宜修正されるので、ロボットRによる階段Sの昇降を、該ロボットRが階段Sを踏み外したり、不適切な方向に階段Sを昇降したりすることなく安定して行うことができる。
【0117】
そして、このような制御を行うために必要な足平部7のエッジSeに対する接地方向や接地位置は、足平部7がエッジSeに接地したときに該足平部7を左右に傾動させ、その傾動時の6軸力センサ6からの検出値Fx,Fz,My (検出値Fx,My から得られるモーメントM’yと検出値Fz )、あるいは検出値Fz,M’y(6軸力センサ6の検出基準点を足底面7aに設定した場合)から足平部7の前記右側縁接地傾斜姿勢及び左側縁接地傾斜姿勢に対応する床反力中心のX軸方向の位置x,xを求めることで、それらの位置x,xから簡単な演算処理で前記接地方向や接地位置を把握することができる。また、該接地方向や接地位置を把握するための床反力中心の位置xは、6軸力センサ6の出力から求めるので、床の汚れ等の影響を受けないことはもちろんであり、さらに、6軸力センサ6は、足平部7の上方に配置されて床に接触することがないため、該センサ6の損傷を生じることなく耐久性を高めることができる。
【0118】
尚、本実施形態では、足平部7の前記右側縁接地傾斜姿勢及び左側縁接地傾斜姿勢に対応する床反力中心のX軸方向の位置x,xを、足平部7の傾動時の床反力中心の位置xの最大値や最小値により把握するようにしたが、足平部7の左右それぞれの側への最大傾斜角度において6軸力センサ6の出力から求められる床反力中心の位置xを前記右側縁接地傾斜姿勢及び左側縁接地傾斜姿勢に対応する床反力中心の位置x,xとして、前記式(4),(5)により前記方位角θ(接地方向)や距離x(接地位置)を求めるようにしてもよい。
【0119】
また、本実施形態では、足平部7の幅(d+d)を一定としているが、足平部7の形状は任意の形状であってもよい。この場合には、足平部7のX軸方向の任意の位置(X座標)におけるd,dの値を関数式等によりあらかじめ記憶しておき、足平部7の傾動時に前記床反力中心の位置x,xが前述の如く求められたとき、それらの位置x,xに対応するd,dの値を求め、その求めたd,dの値を用いて前記式(4),(5)の演算を行うようにすればよい。
【0120】
また、本実施形態において、前記方位角θを求める場合に、該方位角θの大きさ(絶対値)が十分に小さいとみなせるような場合には、前記式(4)の代えて、次式(4)’により方位角θを求めるようにしてもよい。
【0121】
θ=−(x−x)/(d+d)……(4)’
次に、本発明の第2の実施形態を図9乃至図12を参照して説明する。尚、本実施形態における脚式移動ロボットは前記第1の実施形態のものと同一の二足歩行型ロボット(6軸力センサを含む)であるので、該ロボットの構成については、図1乃至図3の参照符号を用いて説明を省略する。
【0122】
まず、本実施形態を具体的に説明する前に、その概要、並びに本実施形態においてロボットRの足平部7の階段SのエッジSeに対する接地方向及び接地位置を把握するための基本的な原理について説明しておく。
【0123】
前記第1の実施形態では、足平部7のエッジSeに対する接地方向を示す前記方位角θや該エッジSeに対する接地位置を示す前記距離xを求めるに際して、前記基準点Pから足平部7の左右の各側縁までのY軸方向(左右方向)の間隔d,d(これらは前記図5に示した点A,BのY軸方向の位置に相当する)を用いているため、前記方位角θや距離xを精度よく求めるためには、足平部7をその左右の各側縁を確実にエッジSeに点接触状態で接地させるように傾動させる必要がある。そして、このためには、足平部7を左右に比較的大きく傾動させる必要があるが、ロボットRの構造的な制約等によってこのような傾動が困難となる場合もあり、このような場合には、足平部7の接地方向や接地位置を把握するための前記方位角θや距離xを精度よく求めることが困難となる。
【0124】
そこで、本実施形態では、足平部7の左右への傾動に際して、前記床反力中心のX軸方向(足平部7の前後方向)の位置xだけでなく、Y軸方向(足平部7の左右方向)の位置をも把握するようにすることで、上記のような場合にも足平部7のエッジSeに対する接地方向や接地位置を精度よく把握することができるようにする。
【0125】
ここで、前記床反力中心のY軸方向の位置は、X軸方向の位置xと同様の考え方によって、次のように把握することができる。
すなわち、図9を参照して、同図9は、階段SのエッジSeに接地した足平部7を例えば右側に傾動させて、該足平部7の足底面7aの右側縁寄りの箇所でエッジSeに接地させた状態を示している。そして、この図9において、前記図3の場合と同様に、6軸力センサ6上にXYZ座標軸を設定し、足平部7が受ける抗力F(床反力)によって、足底面7a上の基準点Pを通ってX軸に平行な軸(足平部7の前後方向の軸で、図9では紙面に垂直な軸)回りに発生するモーメントをM’x(この正方向は図9の矢印の向きとする)としたとき、このモーメントM’xは、6軸力センサ6により検出されるY軸方向の作用力Fy(図9ではFy<0)と、X軸回りのモーメントMx(この正方向は図9の矢印の向きとする)と、足底7a面から6軸力センサ6の検出基準点Qまでの間隔hとを用いて、次式(6)により表される。
【0126】
M’x=Mx−Fy・h……(6)
また、図9のような足平部7の接地状態において、床反力中心のY軸方向の位置は、例えば同図9に示すような位置y(図9ではy>0)にあり、この位置yと6軸力センサ6により検出されるZ軸方向(足底面7aに垂直な方向)の作用力Fz(図9ではFz>0)とを用いて、前記モーメントM’xは次式(7)により表される。
【0127】
M’x=Fz・y……(7)
そして、上記式(6),(7)から、次式(8)が得られる。
【0128】
y=M’x/Fz =(Mx −Fy ・h)/Fz ……(8)
尚、この式(8)は、床反力中心の位置xの場合と同様、足平部7の任意の接地状態において成立するものである。また、足平部7がその足底面7aの左側縁寄りの箇所でエッジSeに接地した状態では、モーメントM’xの向きが図9の場合と逆向きになるため、式(8)により求められる床反力中心のY軸方向の位置yは負の値となる。
【0129】
従って、足平部7のエッジSe等への接地時(足平部7の傾動時を含む)における床反力中心のY軸方向(足平部7の左右方向)における位置yを、6軸力センサ6により検出されるY軸及びZ軸方向の作用力Fy ,Fz とX軸回りのモーメントMx とを用いた式(8)により求めることができる。
【0130】
また、前記第1の実施形態で説明した通り、6軸力センサ6の出力(検出値)から床反力中心のX軸方向の位置xを求めることができるので、6軸力センサ6の出力から、床反力中心のX軸方向の位置x及びY軸方向の位置yの両者を求めることができることとなる。
【0131】
尚、6軸力センサ6の検出基準点を足底面7aの基準点Pに設定した場合には、前記モーメントM’xを6軸力センサ6により直接的に検出することができるので、この場合には、次式(8)’により、床反力中心のY軸方向の位置yを求めることができることとなる。
【0132】
y=M’x/Fz ……(8)’
つまり、床反力中心のY軸方向の位置yは、足底面7aの基準点P回りのモーメントM’xとZ軸方向の作用力Fzとを直接的あるいは間接的に検出すれば、それらの検出値から求めることができる。
【0133】
次に、例えば図10に示すように足平部7が階段SのエッジSeに線接触状態で接地した状況において、この状態から該足平部7をその足底面7aが右側縁寄りの箇所で接地するような傾斜姿勢(以下、右傾斜姿勢という)に右側に傾動させたときの床反力中心と足底面7aが左側縁寄りの箇所で接地するような傾斜姿勢(以下、左傾斜姿勢という)に左側に傾動させたときの床反力中心とは、それぞれ例えば図10のC点及びD点であり、これらの点C,Dは、足平部7の非傾動状態における該足平部7の足底面7aとエッジSeとの接触線(図10の破線で示す線)上の点である。そして、これらの二点C,Dを結ぶ線の足平部7に対する方向や位置がエッジSeの足平部7に対する方向や位置を示すものとなる。
【0134】
この場合、足平部7の右側縁側のC点のX軸方向及びY軸方向の位置をそれぞれxRC,yRC(yRC>0)とし、左側縁側のD点のX軸方向及びY軸方向の位置をそれぞれxLD,yLD(yLD<0)としたとき、二点C,Dを結ぶ線に対する足平部7の方位角、すなわち、エッジSeに対する足平部7の方位角θ(エッジSeとY軸とのなす角度)は、前記第1の実施形態の場合と同様の次式(9)の幾何学的な演算によって求めることができる。
【0135】
θ=sin−1[−(xRC−xLD)/(yRC−yLD)]……(9)
また、基準点Pから、二点C,Dを結ぶ線までのX軸方向の距離、すなわち、基準点PからエッジSeまでのX軸方向の距離xは、前記第1の実施形態の場合と同様の次式(10)の幾何学的な演算によって求めることができる。
【0136】
=(yRC・xLD−yLD・xRC)/(yRC−yLD)……(10)
尚、上記式(9),(10)は、足平部7がエッジSeに対して左右いずれの方向に向いていても成立し、また、足平部7の左右方向(Y軸方向)とエッジSeの延在方向とが一致していても成立する。
【0137】
従って、足平部7の前記右傾斜姿勢と左傾斜姿勢とにおける6軸力センサ6の出力から前記式(3)及び式(8)によって(6軸力センサ6の検出基準点を足底面7a上に設定したときは、前記式(3)’及び式(8)’によって)、床反力中心のX軸方向の位置xRC,xLD及びY軸方向の位置yRC,yLDを求めれば、式(9),(10)によって、エッジSeに対する足平部7の接地方向及び接地位置をそれぞれ示す前記方位角θ及び距離xを求めることができることとなる。
【0138】
これが、本実施形態においてロボットRの足平部7の階段SのエッジSeに対する接地方向及び接地位置を把握するための基本的な原理である。
【0139】
以上のことを前提として、次に本実施形態を具体的に説明する。
【0140】
図11のブロック図を参照して、本実施形態では、前記第1の実施形態と同様にロボットRに搭載されたコントローラ9は、該第1の実施形態同様に、その機能的構成として、目標歩容生成部10、関節制御部11及び足平接地状態把握処理部12を具備している。
【0141】
この場合、目標歩容生成部10及び関節制御部11の機能は、前記第1の実施形態のものと同一である。但し、本実施形態では、前記方位角θ(接地方向)及び距離x(接地位置)を把握するに際して足平部7の左右の各側縁を階段SのエッジSeに点接触状態で接触させるように該足平部7を左右に傾動させなくてもよいため、前記目標歩容生成部10は、階段SのエッジSeに接地した足平部7を左右に傾動させるに際しては、該足平部7を概ね、足底面7aの右側縁寄りの箇所と左側縁寄りの箇所とで接地させるように該足平部7の左右への傾動時の目標歩容を生成する。
【0142】
また、前記足平接地状態把握処理部12は、6軸力センサ6の出力から、所定の制御サイクル毎に床反力中心のX軸方向の位置x及びY軸方向の位置y(以下、これらを床反力中心の位置(x,y)と称する)を前記式(3)及び式(8)により(6軸力センサ6の検出基準点を足底面に設定したときには前記式(3)’及び式(8)’により)求める床反力中心算出部17と、足平部7の傾動時に床反力中心算出部17により逐次求められる床反力中心の位置(x,y)から、足平部7のエッジSeに対する接地方向及び接地位置をそれぞれ示す前記方位各θ及び距離xを後述するように求める足平接地方向/位置推定部18とを備え、また、前記第1の実施形態のものと同じ機能を担う足平接地状態判別部16を具備する。
【0143】
次に本実施形態におけるロボットRが階段Sを昇降する場合の作動を図12のフローチャートを参照して説明する。
【0144】
本実施形態では、コントローラ9は、ロボットRが階段Sを昇降する際に、前記第1の実施形態と同様に前記図7に示したメインルーチンの処理を所定の制御サイクルで行い、このとき、同図7のSTEP2の足平接地方向/位置推定サブルーチンの処理において、足平接地状態把握処理部12により次のように前記方位角θ及び距離xが求められる。
【0145】
すなわち、図12を参照して、足平接地状態把握処理部12は、前記床反力中心算出部17により、今回の制御サイクルにおける6軸力センサ6の出力から前記(3)式及び(8)式により床反力中心の位置(x,y)を算出する(STEP12−1)。尚、6軸力センサ6の検出基準点を足底面7aに設定した場合には、前記式(3)’及び式(8)’により床反力中心の位置(x,y)を算出する。
【0146】
次いで、足平接地状態把握処理部12は、第1の実施形態と同様、足平部7の左右への傾動中であるか否かを判断し(STEP12−2)、傾動中でない場合には、今回の制御サイクルでの足平接地方向/位置推定サブルーチンの処理を終了して、メインルーチンの処理に復帰する。
【0147】
一方、上記の判断で、足平部7の左右への傾動中である場合には(このとき、ロボットRの一方の足平部7が階段SのエッジSeに線接触状態で接地して、ロボットRによる階段Sの昇降動作は一旦停止されている)、足平接地状態把握処理部12は、前記目標歩容生成部10から与えられる前記傾動開始/終了データによって、足平部7の傾動開始時点であるか否かを判断し(STEP12−3)、傾動開始時点である場合には、前記足平接地方向/位置推定部18において、足平部7の前記右傾斜姿勢に対応する床反力中心の位置(xRC,yRC)及び前記左傾斜姿勢に対応する床反力中心の位置(xLD,yLD)(図10参照)の初期値を共に、今回の制御サイクルでSTEP12−1において求められた床反力中心の位置(x,y)、すなわち、足底面7aとエッジSeとの線接触状態での床反力中心の位置に設定する(STEP12−4)。
【0148】
尚、STEP12−3の判断で、足平部7の傾動開始時点でない場合(傾動開始後の状態)には、STEP12−4の処理は省略される。
【0149】
次いで、足平接地状態把握処理部12は、第1の実施形態と同様、前記足平接地状態判別部16によって、今回の制御サイクルで6軸力センサ6から得られた作用力Fzが所定値FMIN よりも大きいか否かを判断する(STEP12−5)。この判断で、Fz>FMIN であれば、足平接地状態判別部16から足平接地方向/位置推定部18に前述の許可指令が与えられ、このとき、該足平接地方向/位置推定部18は、次の処理を行う。
【0150】
すなわち、該足平接地方向/位置推定部18は、今回の制御サイクルにおいてSTEP12−1で求められた床反力中心のY軸方向の位置yが、現在のyRCの値より大きいか否かを判断し(STEP12−6)、y>yRCである場合には、前記右傾斜姿勢に対応する床反力中心の位置(xRC,yRC)の値をSTEP12−1で求められた床反力中心の位置(x,y)の値に更新する(STEP12−7)。この場合、足平部7の右側への傾動中は、床反力中心は基本的にはエッジSeに沿ってY軸の正側(足平部7の右側)に移動するので、床反力中心の位置(xRC,yRC)がSTEP12−7の処理で逐次更新されていくこととなる。
【0151】
尚、STEP12−6でy≦yRCである場合(例えば足平部7の左側への傾動中の場合)には、STEP12−7の処理は省略され、従って、前記右傾斜姿勢に対応する床反力中心の位置(xRC,yRC)の値は、現状のままに保持される。
【0152】
さらに、足平接地方向/位置推定部18は、STEP12−1で求められた床反力中心のY軸方向の位置yが、現在のyLDの値より小さいか否かを判断し(STEP12−8)、y<yLDである場合には、前記左傾斜姿勢に対応する床反力中心の位置(xLD,yLD)の値をSTEP12−1で求められた床反力中心の位置(x,y)の値に更新する(STEP12−9)。この場合、足平部7の左側への傾動中は、床反力中心は基本的にはエッジSeに沿ってY軸の負側(足平部7の左側)に移動するので、床反力中心の位置(xLD,yLD)がSTEP12−9の処理で逐次更新されていくこととなる。
【0153】
尚、STEP12−8でy≧yLDである場合(例えば足平部7の右側への傾動中の場合)には、STEP12−9の処理は省略され、従って、前記左傾斜姿勢に対応する床反力中心の位置(xLD,yLD)の値は、現状のままに保持される。
【0154】
また、前記STEP12−5の判断で、Fz≦FMIN である場合、すなわち、6軸力センサ6により得られる作用力Fzが小さ過ぎる場合には、STEP12−1で求められる位置(x,y)がその信頼性に欠けるものとなることから、前記STEP12−6〜12−9の処理は省略される。
【0155】
上記のようなSTEP12−6〜12−9の処理が、足平部7の左右への傾動中に制御サイクル毎に行われることで、足平部7の前記右傾斜姿勢に対応する床反力中心の位置(xRC,yRC)は、最終的にY軸方向の位置が最大(>0)となる床反力中心の位置(x,y)として与えられ、これにより足平部7がその足底面7aの右側縁寄りの箇所でエッジSeに接地するような足平部7の傾斜姿勢での床反力中心の位置(xRC,yRC)(図10のC点の位置)が求められることとなる。
【0156】
同様に、足平部7の前記左傾斜姿勢に対応する床反力中心の位置(xLD,yLD)は、最終的にY軸方向の位置が最小(<0)となる床反力中心の位置(x,y)として与えられ、これにより足平部7がその足底面7aの左側縁寄りの箇所でエッジSeに接地するような足平部7の傾斜姿勢での床反力中心の位置(xLD,yLD)(図10のD点の位置)が求められることとなる。
【0157】
次に、足平接地状態把握処理部12は、前記目標歩容生成部10から与えられる前記傾動開始/終了データによって、足平部7の傾動終了時点であるか否かを判断する(STEP12−10)。このとき傾動終了時点である場合には、足平接地方向/位置推定部18が、最終的なyRC,yLDの値が等しいか否かを判断し(STEP12−11)、yRC≠yLDであることを確認(前記式(9),(10)の分母は「0」とならないことを確認)した上で、前記式(9)の演算によりエッジSeに対する足平部7の接地方向を示す前記方位角θを求めると共に、前記式(10)の演算によりエッジSeに対する足平部7の接地方向を示す前記距離xを求め(STEP12−12)、その後、足平接地方向/位置推定サブルーチンの処理を終了して、メインルーチンの処理に復帰する。
【0158】
尚、床反力中心のY軸方向の位置は、足平部7の右側への傾動中と左側への傾動中とで、基本的には、エッジSeに沿って互いに逆向きに移動するため、前記STEP12−11の判断で、yRC=yLDとなることは基本的にはあり得ないのであるが、何らかの異常によって、yRC=yLDとなった場合には、足平接地方向/位置推定部18は、前記方位角θの値を仮的に「0」とし、また、前記距離xの値を仮的に、最終的なxRC,xLDの値の中間の値(xRC+xLD)/2とした上で(STEP12−13)、足平接地方向/位置推定サブルーチンの処理を終了して、メインルーチンの処理に復帰する。この場合、STEP12−13の処理に代えて、前記第1の実施形態のようにエラーフラグをセットする等の処理を行うようにしてもよい。
【0159】
また、前記12−10の判断で、足平部7の傾動終了時点でない場合には、今回の制御サイクルでの足平接地方向/位置推定サブルーチンの処理を終了して、メインルーチンの処理に復帰する。この場合、制御サイクル毎に、STEP12−6〜12−9の処理が継続する。
【0160】
このようにして求められた前記方位角θ及び距離xは階段SのエッジSeに対する足平部7の接地方向及び接地位置を示すデータとして前記目標歩容生成部10に与えられ、前記図7のメインルーチンにおいて、前記第1の実施形態と同様に、ロボットRの歩幅や移動方向等に係わる歩容のパラメータが適宜修正される。
【0161】
以上のように、ロボットRによる階段Sの昇降時に、足平部7が階段SのエッジSeに接地した際の該エッジSeに対する足平部7の接地方向(方位角θ)や接地位置(距離x)を求めてロボットRの歩容を適宜修正することで、前記第1の実施形態と同様に、ロボットRによる階段Sの昇降を、該ロボットRが階段Sを踏み外したり、階段Sに対して不適切な方向に移動したりすることなく、安定して行うことができる。
【0162】
そして、この場合、足平部7の傾動時の床反力中心のX軸方向の位置xだけでなく、Y軸方向の位置yも求めることで、足平部7をさほど大きく傾動させずとも、該足平部7が大まかに、その左右の各側縁寄りの箇所でエッジSeに接地するように該足平部7を左右に傾動させるだけで、それらの傾動姿勢における床反力中心の位置(x,y)からエッジSeに対する足平部7の接地方向や接地位置を精度よく把握することができる。さらには、この場合、床反力中心のX軸方向の位置xだけでなく、Y軸方向の位置yも求めることで、足平部7の形状にもよらずに、足平部7の接地方向や接地位置を精度よく把握することができる。
【0163】
また、足平部7の接地方向や接地位置を把握するための床反力中心の位置(x,y)は、6軸力センサ6の出力から前記式(3)及び(8)、あるいは前記式(3)’及び(8)’の簡単な演算で求めることができる。
【0164】
また、前記第1の実施形態と同様、接地方向や接地位置を把握するための床反力中心の位置(x,y)は、6軸力センサ6の出力から求めるので、床の汚れ等の影響を受けないことはもちろんであり、さらに、6軸力センサ6は、足平部7の上方に配置されて床に接触することがないため、該センサ6の損傷を生じることなく耐久性を高めることができる。
【0165】
尚、本実施形態では、前記式(9),(10)の演算に使用する床反力中心の位置(xRC,yRC),(xLD,yLD)を、Y軸方向の位置yが最大又は最小となる床反力中心の位置(x,y)としたが、足平部7を右側に最も大きく傾斜させたときの床反力中心の位置(x,y)を(xRC,yRC)の値とし、足平部7を左側に最も大きく傾斜させたときの床反力中心の位置(x,y)を(xLD,yLD)の値として使用するようにしてもよい。
【0166】
また、本実施形態では、足平部7を左右両側に傾動させるようにしたが、左右いずれかの一方側のみに傾動させて、その傾動時に前記図12に示した処理を行うことで、足平部7の接地方向や接地位置を把握するようにしてもよく、あるいは、左右いずれかの一方の側への足平部7の傾動時に、足平部7の互いに異なる二つの傾斜角度において求められる床反力中心の位置(x,y)から、足平部7の接地方向や接地位置を把握するようにしてもよい。
【0167】
但し、足平部7の接地方向や接地位置をできるだけ精度よく把握する上では、その把握のために用いる二つの床反力中心の位置(x,y)は、6軸力センサ6の検出誤差や演算誤差等を考慮すると、比較的大きく離間していることが好ましく、このためには、足平部7を左右いずれかの一方側にのみ傾動させるよりも、左右両側に傾動させる方が好ましい。
【0168】
また、本実施形態において、前記方位角θを求めるに際して該方位角θの大きさ(絶対値)が十分に小さいとみなせるような場合には、前記式(9)に代えて、次式(9)’により方位角θを求めるようにしてもよい。
【0169】
θ=−(xRC−xLD)/(yRC−yLD)……(9)’
次に、本発明の第3の実施形態を図13乃至図16を参照して説明する。尚、本実施形態における脚式移動ロボットは前記第1及び第2の実施形態のものと同一の二足歩行型ロボット(6軸力センサを含む)であるので、該ロボットの構成については、図1乃至図3の参照符号を用いて説明を省略する。
【0170】
まず、本実施形態の概要を説明すると、本実施形態は、前記第2の実施形態と同様に、階段SのエッジSeに接地した足平部7の傾動時に前記6軸力センサ6の出力から求められる床反力中心のX軸方向(前後方向)及びY軸方向(左右方向)の位置(x,y)を用いてエッジSeに対する足平部7の接地方向を示す前記方位角θ及び接地位置を示す前記距離xを把握するものであるが、この場合、本実施形態では、足平部7の前述のように左右に傾動させた際の時々刻々の床反力中心の位置(x,y)の多数のデータを使用して、前記方位角θ及び距離xを求めるものである。
【0171】
以上のことを前提として、次に本実施形態を具体的に説明する。
【0172】
図13のブロック図を参照して、本実施形態では、ロボットRに搭載されたコントローラ9は、前記第2の実施形態同様に、その機能的構成として、目標歩容生成部10、関節制御部11及び足平接地状態把握処理部12を具備している。
【0173】
この場合、目標歩容生成部10及び関節制御部11の機能は、前記第2の実施形態のものと同一である。
【0174】
また、前記足平接地状態把握処理部12は、前記第2の実施形態のものと同じ床反力中心算出部17と、足平部7の傾動時に床反力中心算出部17により逐次求められる床反力中心の位置(x,y)を記憶保持するバッファテーブル19と、このバッファテーブル19に記憶保持された床反力中心の位置(x,y)のデータから足平部7のエッジSeに対する接地方向及び接地位置をそれぞれ示す前記方位角θ及び距離xを後述するように求める足平接地方向/位置推定部20と、前記第1又は第2の実施形態の足平接地状態判別部16と同様に6軸力センサ6から得られるZ軸方向の作用力Fzを所定値FMIN と比較することで、床反力中心の位置(x,y)のデータの前記バッファテーブル19への記憶保持(書き込み)を許可あるいは禁止する指令(データ書込許可/禁止指令)を該バッファテーブル19に与えたり、上記の記憶保持を許可する場合に床反力中心の位置(x,y)のデータを記憶すべきバッファテーブル19の書込番地を該バッファテーブル19に指令する足平接地状態判別部21とを具備している。
【0175】
次に、本実施形態におけるロボットRが階段Sを昇降する場合の作動を説明する。
【0176】
本実施形態では、コントローラ9は、ロボットRが階段Sを昇降する際に、前記第1及び第2の実施形態と同様に前記図7に示したメインルーチンの処理を所定の制御サイクルで行い、このとき、同図7のSTEP2の足平接地方向/位置推定サブルーチンの処理において、足平接地状態把握処理部12により次のように前記方位角θ及び距離xが求められる。
【0177】
すなわち、図14のフローチャートを参照して、足平接地状態把握処理部12は、前記床反力中心算出部17により、今回の制御サイクルにおける6軸力センサ6の出力から前記(3)式及び(8)式により床反力中心の位置(x,y)を算出する(STEP14−1)。尚、6軸力センサ6の検出基準点を足底面7aに設定した場合には、前記式(3)’及び式(8)’により床反力中心の位置(x,y)を算出する。
【0178】
次いで、足平接地状態把握処理部12は、足平部7の左右への傾動中であるか否かを判断し(STEP14−2)、傾動中でない場合には、今回の制御サイクルでの足平接地方向/位置推定サブルーチンの処理を終了して、メインルーチンの処理に復帰する。
【0179】
一方、上記の判断で、足平部7の左右への傾動中である場合には(このとき、ロボットRの一方の足平部7が階段SのエッジSeに線接触状態で接地して、ロボットRによる階段Sの昇降動作は一旦停止されている)、足平接地状態把握処理部12は、前記目標歩容生成部10から与えられる傾動開始/終了データによって、足平部7の傾動開始時点であるか否かを判断し(STEP14−3)、傾動開始時点である場合には、前記足平接地状態判別部21において、バッファテーブル19のデータの書込番地を示すカウンタ値CNT を「0」に初期設定する(STEP14−4)。尚、STEP14−3で傾動開始時点でない場合にはSTEP14−4の処理は省略される。
【0180】
次いで、足平接地状態把握処理部12は、第1及び第2の実施形態と同様、前記足平接地状態判別部16によって、今回の制御サイクルで6軸力センサ6から得られた作用力Fzが所定値FMIN よりも大きいか否かを判断する(STEP14−5)。この判断で、Fz>FMIN であれば、足平接地状態判別部16からバッファテーブル19に床反力中心の位置(x,y)のデータの書込を許可する指令が与えられると共に、現在の前記カウンタ値CNT がバッファテーブル19に与えられ、このとき、該バッファテーブル19のCNT 番地の記憶エリアにSTEP14−1で求められた床反力中心の位置(x,y)のデータが書き込まれる(STEP14−6)。
【0181】
尚、STEP14−5の判断で、Fz≦FMIN である場合には、6軸力センサ6により得られる作用力Fzが小さ過ぎて、STEP14−1で求められる位置(x,y)がその信頼性に欠けるものとなることから、STEP14−6の処理は行われず、今回の制御サイクルにおける足平接地方向/位置推定サブルーチンの処理が終了される。
【0182】
次に、前記STEP14−6で床反力中心の位置(x,y)のデータがバッファテーブル19に書き込まれた後、足平接地状態把握処理部12は、前記足平接地状態判別部16においてカウンタ値CNT を「1」だけ増やした後(STEP14−7)、目標歩容生成部10から与えられる傾動開始/終了データによって、足平部7の傾動終了時点であるか否かを判断する(STEP14−8)。このとき、傾動終了時点でない場合には、今回の制御サイクルにおける足平接地方向/位置推定サブルーチンの処理が終了され、傾動終了時点である場合には、バッファテーブル19に書き込まれたデータを後述するように処理するデータ処理サブルーチンが実行される(STEP14−9)。
【0183】
以上説明したような処理によって、バッファテーブル19には、階段SのエッジSeに接地した足平部7の傾動時に、制御サイクル毎に、6軸力センサ6の出力から求められる床反力中心の位置(x,y)のデータ(但し、Fz≦FMIN の場合のデータを除く)が記憶保持され、その記憶保持されるデータの個数は最終的なカウンタ値CNT の個数となる。
【0184】
次に、前記STEP14−9のデータ処理サブルーチンを説明する前に、上記のようにバッファテーブル19に記憶保持される床反力中心の位置(x,y)のデータについて図16を参照して説明しておく。
【0185】
階段SのエッジSeに接地した足平部7を左右の傾動させたときの床反力中心は、基本的には、非傾動状態の足平部7とエッジSeとの接触線(図16の破線で示す線)上に存在するのであるが、足平部7の傾動時に6軸力センサ6の出力から実際に求められる床反力中心の位置(x,y)は、該センサ6の検出誤差等に起因して上記接触線に対して若干のばらつきを生じる。このため、前述のようにバッファテーブル19に記憶される床反力中心の位置(x,y)のデータは、例えば図16の黒点で示すような点列データとなる。
【0186】
そして、この場合、前記接触線は、この床反力中心の点列を概ね通る直線であるので、床反力中心の位置(x,y)のデータから例えば最小自乗法を用いて上記点列を近似する直線を表す関数式を求めれば、その関数式は、足平部7に対する前記接触線の方向や位置、ひいては、足平部7に対する階段SのエッジSeの方向や位置を表すものとなる。
【0187】
また、床反力中心の位置(x,y)の点列を近似する直線を表す関数式を図16に示すようにx=a・y+b(但し、aは直線の傾き、bは直線とX軸との切片)とすると、エッジSeに対する足平部の接地方向を示す前記方位角θと、エッジSeに対する足平部の接地方向を示す前記距離xとは、それぞれ次式(11),(12)により与えられる。
【0188】
θ=sin−1(−a) ……(11)
=b ……(12)
従って、床反力中心の位置(x,y)のデータから上記点列を近似する直線を表す関数式x=a・y+bを求めれば、その関数式のa,bの値から前記式(11),(12)により、方位角θ及び距離xが求められることとなる。
【0189】
以上のことを前提として、前記STEP14−9のデータ処理サブルーチンでは、足平接地状態把握処理部12は、前記足平接地方向/位置推定部20により図15のフローチャートに示す処理を行う。
【0190】
すなわち、足平接地方向/位置推定部20は、まず、バッファテーブル19に記憶されたCNT 個(=最終的なカウンタ値)の床反力中心の位置(x,y)のデータを読み込む(STEP15−1)。
【0191】
次いで、足平接地方向/位置推定部20は、STEP15−1で読み込んだ位置(x,y)のデータから、それらのデータにより表される床反力中心の点列を近似する直線の関数式x=a・y+bを、a,bを未知数として最小自乗法により求める(未知数a,bの値を決定する。STEP15−2)。
【0192】
そして、足平接地方向/位置推定部20は、STEP15−2で求めた関数式x=a・y+bのa,bの値を用いて前記式(11)によりエッジSeに対する足平部7の接地方向を示す前記方位角θを算出すると共に、前記式(12)によりエッジSeに対する足平部7の接地位置を示す前記距離xを算出し(STEP15−3)、さらにデータ処理サブルーチンを終了する。
【0193】
尚、データ処理サブルーチンが終了したときは、前記足平接地方向/位置推定サブルーチンの処理も終了する。
【0194】
このようにして求められた前記方位角θ及び距離xは階段SのエッジSeに対する足平部7の接地方向及び接地位置を示すデータとして前記目標歩容生成部10に与えられ、前記図7のメインルーチンにおいて、前記第1及び第2の実施形態と同様に、ロボットRの歩幅や移動方向等に係わる歩容のパラメータが適宜修正される。
【0195】
以上のように、ロボットRによる階段Sの昇降時に、足平部7が階段SのエッジSeに接地した際の該エッジSeに対する足平部7の接地方向(方位角θ)や接地位置(距離x)を求めてロボットRの歩容を適宜修正することで、前記第1及び第2の実施形態と同様に、ロボットRによる階段Sの昇降を、該ロボットRが階段Sを踏み外したり、階段Sに対して不適切な方向に移動したりすることなく、安定して行うことができる。
【0196】
そして、この場合、足平部7の傾動時の床反力中心の位置(x,y)の多数のデータを用いて、該床反力中心の点列を近似する関数式、換言すれば、階段SのエッジSeを近似する関数式を求めて、その関数式に基づいて、足平部7のエッジSeに対する接地方向や接地位置を把握することで、6軸力センサ6の検出誤差等の影響を最小限に抑えて、足平部7のエッジSeに対する接地方向や接地位置を精度よく把握することができる。さらには、この場合、前記第2の実施形態と同様、床反力中心のX軸方向及びY軸方向の両方向の位置(x,y)を求めるので、足平部7の形状にもよらずに、足平部7の接地方向や接地位置を精度よく把握することができる。
【0197】
また、足平部7の接地方向や接地位置を把握するための床反力中心の位置(x,y)は、前記第2の実施形態と同じ簡単な演算で求めることができ、さらに、前記第1及び第2の実施形態と同様、床の汚れ等の影響を受けないと共に、6軸力センサ6の損傷を生じることなく耐久性を高めることができる。
【0198】
尚、本実施形態では、足平部7のエッジSeに対する接地方向や接地位置を把握するに際して、足平部7を左右に傾動させるようにしたが、左右いずれの一方側のみに傾動させるようにしてもよいことは前記第2の実施形態の場合と同様である。
【0199】
また、本実施形態で、前記方位角θを求めるに際して、該方位角θの大きさ(絶対値)が十分に小さいとみなせるような場合には、前記式(11)に代えて次式(11)’により方位角θを求めるようにしてもよい。
【0200】
θ=−a ……(11)’
また、本実施形態では、足平部7の傾動時の床反力中心の点列を直線を表す関数式x=a・y+bにより近似するようにしたが、より高次の関数式により近似するようにしてもよい。この場合、上記点列を例えば二次曲線の関数式x=f(y)=c・y+d・y+eにより近似したときには、前記図16に示した足平部7のエッジSeの接地状況において(この場合、上記関数式の係数cの大きさ(絶対値)は微小なものとなる)、前記方位角θ及び距離xは、それぞれ次式(13),(14)により求めることができる。
【0201】
θ=sin−1[−(f(d)−f(−d))/(d+d)]……(13)
=f(0)=e ……(14)
尚、式(13)中のf(d)及びf(−d)は、それぞれ足平部7の右側縁及び左側縁とエッジSeとの接点のX軸方向の位置を示すものであり、従って、この式(13)は、前記第1の実施形態で説明した前記式(4)と本質的には同じものである。
【0202】
このように、足平部7の傾動時の床反力中心の点列を二次曲線の関数式x=f(y)により近似した場合には、上記のようにエッジSeに対する足平部7の接地方向や接地位置を示す方位角θや距離xを求めることができる他、次のような利点を生じる。
【0203】
すなわち、例えばロボットRが階段Sを降りる場合において、足平部7の離床終了時に、例えば図17に示すように足平部7の爪先側の部分の一部のみがエッジSeの前方にはみ出すような、足平部7のエッジSeへの不適正な接地状況が生じた場合(本実施形態では足平部7の爪先側の部分の全体が前記図16等に示したようにはみ出すのが正常である)において、足平部7を左右に傾動させたときに前述の如く得られる床反力中心の位置(x,y)のデータは、同図に黒点で示すような点列となる。つまり、足平部7がエッジSに接地している箇所では、足平部7の傾動時の床反力中心は、概ねエッジSe沿いに並ぶが、足平部7がエッジSに接地していない箇所(階段面Ss側の箇所)では、足平部7の傾動時の床反力中心は、概ね足平部7の前端縁沿いに並ぶこととなる。
【0204】
このため、このような点列を二次曲線の関数式x=f(y)=c・y+d・y+eにより近似したとき、係数cの大きさ(絶対値)は、前記図16のような正常な接地状況の場合(この場合係数cの大きさは微小である)よりも、大きなものとなる。このことは、ロボットRが階段を昇る場合についても同様である。従って、上記係数cの大きさがある所定値を超えた場合に、図17に示したような足平部7のエッジSeに対する接地状況が不適正なものであると判断することができ、それに応じたロボットRの動作の修正等を行うことができる。
【0205】
以上説明した本発明の前記各実施形態では、エッジSeに対する足平部7の接地方向を示す方位角θをエッジSeと足平部7の左右方向のY軸とのなす角度としたが、エッジSeと足平部7の前後方向のX軸とのなす角度を、エッジSeに対する足平部7の接地方向を示す方位角として、該方位角を前述の各実施形態と同様に足平部7の傾動時の床反力中心のデータから求めるようにしてもよい。
【0206】
また、前記各実施形態では、足底面7aの基準点PからエッジSeまでのX軸方向の距離xによりエッジSeに対する足平部7の接地位置を把握するようにしたが、前記基準点Pとは別に足平部7に任意に設定した基準点(例えば足底面7aの前端縁や後端縁の点)からエッジSeまでのX軸方向の距離により足平部7の接地位置を把握するようにしてもよい。
【0207】
また、前記各実施形態では、ロボットRが昇降する階段SのエッジSeに対する足平部7の接地方向や接地位置を把握するものを示したが、例えば凹凸のある床をロボットが移動する場合に、床の凸部の上面縁部等の稜線部にロボットの足平部が接地するような状況で、該稜線部に対する足平部の接地方向や接地位置を把握するようにすることも可能である。
【0208】
さらに、前記各実施形態では、階段SのエッジSeにようにロボットの足平部のほぼ左右方向に延在する稜線部に該足平部が接地する状況において、該足平部の接地方向や接地位置を把握するものを示したが、足平部の略前後方向に延在する稜線部にロボットの足平部が接地したような状況において、該足平部の稜線部に対する接地方向や接地位置を把握することも可能である。この場合には、足平部を稜線部沿いに前後方向に傾動させて、その傾動時の床反力中心の位置を前記各実施形態と同様に求めるようにすれば、そのデータから足平部の稜線部に対する接地方向や接地位置を把握することが可能である。
【0209】
また、前記各実施形態では、二足歩行型ロボットについて説明したが、さらに多くの可動脚を有するロボットについても本発明を適用することができる。
【0210】
また、前記各実施形態では、6軸力センサ6を用いるようにしたが、各実施形態で必要な作用力及びモーメントを検出することができるものであれば、他の力センサを使用するようにしてもよい。
【0211】
また、前記各実施形態では、足平部7を傾動させる際には、ロボットRの昇降動作(移動動作)を停止するようにしたが、ロボットRの移動動作を継続したまま、足平部7が階段SのエッジSeに接地した際に該足平部7を左右に傾動させるようにしてもよい。
また、前記各実施形態では、足平部7の傾動時の床反力中心の位置を6軸力センサ6の出力のみから求めるようにしたが、この際、足平部7の傾斜角度に応じた補正を適宜行いながら、床反力中心の位置を求めるようにすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態におけるロボットが階段を昇る様子を示す模式的説明図。
【図2】本発明の実施形態におけるロボットが階段を降りる様子を示す模式的説明図。
【図3】図1の部分拡大図。
【図4】本発明の第1の実施形態でロボットに搭載したコントローラのブロック図。
【図5】本発明の第1の実施形態によるロボットの足平部の接地方向及び接地位置の把握のための手法を説明するための説明図。
【図6】本発明の第1の実施形態によるロボットの足平部の接地方向及び接地位置の把握のための手法を説明するための説明図。
【図7】図4のコントローラによる処理を示すフローチャート。
【図8】図4のコントローラによる処理を示すフローチャート。
【図9】本発明の第2の実施形態によるロボットの足平部の接地方向及び接地位置の把握のための手法を説明するための説明図。
【図10】本発明の第2の実施形態によるロボットの足平部の接地方向及び接地位置の把握のための手法を説明するための説明図。
【図11】本発明の第2の実施形態でロボットに搭載したコントローラのブロック図。
【図12】図11のコントローラによる処理を示すフローチャート。
【図13】本発明の第3の実施形態でロボットに搭載したコントローラのブロック図。
【図14】図11のコントローラによる処理を示すフローチャート。
【図15】図11のコントローラによる処理を示すフローチャート。
【図16】本発明の第3の実施形態によるロボットの足平部の接地方向及び接地位置の把握のための手法を説明するための説明図。
【図17】本発明の第3の実施形態の変形例を説明するための説明図。
【符号の説明】
R…ロボット、Se…階段のエッジ(稜線部)、6…6軸力センサ、7…足平部、13…足平傾動手段、14,17…床反力中心算出部(抗力中心把握手段)、15,18,20…足平接地方向/位置推定部(足平接地方向/位置把握手段)。

Claims (14)

  1. 複数の可動脚の離床・着床動作により移動可能であって、該可動脚が床の稜線部に接地するように生成された目標歩容に応じて移動する脚式移動ロボットにおいて、前記各可動脚の足平部の足底面から該可動脚の基部側に離間した所定の部位に、該足平部の接地時に該足平部が床から受ける抗力に基づく所定方向の作用力及びモーメントを検出するための力センサを設け、
    前記各可動脚の足平部が床の稜線部に接地したとき、該足平部が床から受ける抗力の中心が該稜線部沿いに移動するように該足平部を該稜線部沿いに傾動させる足平傾動手段と、
    該足平傾動手段による該足平部の傾動時における該足平部の複数種類の傾斜姿勢において、該足平部が床から受ける抗力の中心の該足平部の足底面上での位置を、少なくとも前記力センサの出力から検出される前記作用力及びモーメントに基づき把握する抗力中心把握手段と、
    該抗力中心把握手段により把握された前記足平部の複数種類の傾斜姿勢における前記抗力の中心の位置に基づき前記床の稜線部に対する該足平部の接地方向及び接地位置のうちの少なくともいずれか一方を把握する手段とを備えたことを特徴とする脚式移動ロボットの足平接地状態把握装置。
  2. 前記稜線部は前記足平部の略左右方向に延在する稜線部であり、前記足平傾動手段は、前記足平部の右側縁が前記稜線部に略点接触状態となる傾斜姿勢と該足平部の左側縁が該稜線部に略点接触状態となる傾斜姿勢との二種類の傾斜姿勢に該足平部を該稜線部沿いに左右に傾動させ、前記抗力中心把握手段は、前記足平部の二種類の傾斜姿勢のそれぞれにおける前記抗力の中心の該足平部の前後方向での位置を前記力センサの出力から検出される前記作用力及びモーメントに基づき把握し、前記足平部の接地方向及び接地位置のうちの少なくともいずれか一方を把握する手段は、前記足平部の二種類の傾斜姿勢のそれぞれに対応して前記抗力中心把握手段により把握された前記抗力の中心の該足平部の前後方向での位置に基づき、前記床の稜線部に対する該足平部の接地方向及び接地位置のうちの少なくともいずれか一方を把握することを特徴とする請求項1記載の脚式移動ロボットの足平接地状態把握装置。
  3. 前記足平部の接地方向及び接地位置のうちの少なくともいずれか一方を把握する手段は、前記足平部の二種類の傾斜姿勢のそれぞれに対応して前記抗力中心把握手段により把握された前記抗力の中心の該足平部の前後方向での位置と、該足平部の右側縁及び左側縁間の間隔とから該足平部の前記稜線部に対する方位角を算出し、その算出した方位角により該足平部の前記稜線部に対する接地方向を把握することを特徴とする請求項2記載の脚式移動ロボットの足平接地状態把握装置。
  4. 前記足平部の接地方向及び接地位置のうちの少なくともいずれか一方を把握する手段は、前記足平部の二種類の傾斜姿勢のそれぞれに対応して前記抗力中心把握手段により把握された前記抗力の中心の該足平部の前後方向での位置と、該足平部の所定の基準点から該足平部の右側縁及び左側縁までのそれぞれの間隔とから前記基準点から前記稜線部までの該足平部の前後方向の距離を算出し、その算出した距離により該足平部の前記稜線部に対する接地位置を把握することを特徴とする請求項2記載の脚式移動ロボットの足平接地状態把握装置。
  5. 前記抗力中心把握手段により前記抗力の中心の前記足平部の前後方向での位置を把握するために前記力センサの出力から検出する前記作用力は、前記足平部の足底面に垂直な方向での作用力であり、該力センサの出力から検出する前記モーメントは該足平部の足底面の所定の位置に設定された左右方向の軸回りのモーメントであることを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の脚式移動ロボットの足平接地状態把握装置。
  6. 前記稜線部は前記足平部の略左右方向に延在する稜線部であり、前記足平傾動手段は、前記足平部を前記稜線部沿いに少なくとも左右いずれかの一方側に傾動させ、前記抗力中心把握手段は、前記足平傾動手段による前記足平部の傾動時の該足平部の互いに異なる二種類の傾斜姿勢のそれぞれにおける前記抗力の中心の該足平部の前後方向及び左右方向での位置を前記力センサの出力から検出される前記作用力及びモーメントに基づき把握し、前記足平部の接地方向及び接地位置のうちの少なくともいずれか一方を把握する手段は、前記足平部の二種類の傾斜姿勢のそれぞれに対応して前記抗力中心把握手段により把握された前記抗力の中心の該足平部の前後方向及び左右方向での位置に基づき、前記床の稜線部に対する該足平部の接地方向及び接地位置のうちの少なくともいずれか一方を把握することを特徴とする請求項1記載の脚式移動ロボットの足平接地状態把握装置。
  7. 前記足平部の接地方向及び接地位置のうちの少なくともいずれか一方を把握する手段は、前記足平部の二種類の傾斜姿勢のそれぞれに対応して前記抗力中心把握手段により把握された前記抗力の中心の該足平部の前後方向及び左右方向での位置から該足平部の前記稜線部に対する方位角を算出し、その算出した方位角により該足平部の接地方向を把握することを特徴とする請求項6記載の脚式移動ロボットの足平接地状態把握装置。
  8. 前記足平部の接地方向及び接地位置のうちの少なくともいずれか一方を把握する手段は、前記足平部の二種類の傾斜姿勢のそれぞれに対応して前記抗力中心把握手段により把握された前記抗力の中心の該足平部の前後方向及び左右方向での位置から該足平部の所定の基準点から前記稜線部までの該足平部の前後方向の距離を算出し、その算出した距離により該足平部の前記稜線部に対する接地位置を把握することを特徴とする請求項6記載の脚式移動ロボットの足平接地状態把握装置。
  9. 前記抗力中心把握手段により前記抗力の中心の前記足平部の前後方向での位置を把握するために前記力センサの出力から検出する前記作用力は、前記足平部の足底面に垂直な方向での作用力であり、該力センサの出力から検出する前記モーメントは該足平部の足底面の所定の位置に設定された左右方向の軸及び前後方向の軸のそれぞれの軸回りのモーメントであることを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の脚式移動ロボットの足平接地状態把握装置。
  10. 前記稜線部は前記足平部の略左右方向に延在する稜線部であり、前記足平傾動手段は、前記足平部を前記稜線部沿いに少なくとも左右いずれかの一方側に傾動させ、前記抗力中心把握手段は、前記足平傾動手段による前記足平部の傾動途中の時々刻々の傾斜姿勢において前記抗力の中心の該足平部の前後方向及び左右方向での位置を前記力センサの出力から検出される前記作用力及びモーメントに基づき時系列的に把握し、前記足平部の接地方向及び接地位置のうちの少なくともいずれか一方を把握する手段は、前記抗力中心把握手段により把握された前記抗力の中心の該足平部の前後方向及び左右方向での位置の時系列データに基づき前記足平部の非傾動状態での該足平部と前記稜線部との接触線を近似する関数式を求め、その求めた関数式に基づき、前記床の稜線部に対する該足平部の接地方向及び接地位置のうちの少なくともいずれか一方を把握することを特徴とする請求項1記載の脚式移動ロボットの足平接地状態把握装置。
  11. 前記足平部の接地方向及び接地位置のうちの少なくともいずれか一方を把握する手段は、前記関数式から該足平部の前記稜線部に対する方位角を求め、その求めた方位角により該足平部の前記稜線部に対する接地方向を把握することを特徴とする請求項10記載の脚式移動ロボットの足平接地状態把握装置。
  12. 前記足平部の接地方向及び接地位置のうちの少なくともいずれか一方を把握する手段は、前記関数式から前記足平部の所定の基準点から前記稜線部までの該足平部の前後方向の距離を求め、その求めた距離により該足平部の前記稜線部に対する接地位置を把握することを特徴とする請求項10記載の脚式移動ロボットの足平接地状態把握装置。
  13. 前記抗力中心把握手段により前記抗力の中心の前記足平部の前後方向での位置を把握するために前記力センサの出力から検出する前記作用力は、前記足平部の足底面に垂直な方向での作用力であり、該力センサの出力から検出する前記モーメントは該足平部の足底面の所定の位置に設定された左右方向の軸及び前後方向の軸のそれぞれの軸回りのモーメントであることを特徴とする請求項10乃至12のいずれかに記載の脚式移動ロボットの足平接地状態把握装置。
  14. 前記力センサは6軸力センサからなることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の脚式移動ロボットの足平接地状態把握装置。
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