JP3621785B2 - 水素分離構造体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多孔質体上に、水素を分離するPdまたはPd合金からなる膜を有する水素分離構造体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の水素分離構造体は、水素を選択的に透過させるPdの性質を利用するものであり、例えば、特公平5−53527号公報の技術が知られている。すなわち、図7に示すように、水素分離構造体100は、多孔質セラミックスからなる基材102と、Pdを無電解メッキにより上記基材102に形成した無電解メッキ層104と、この無電解メッキ層104上にPdを電解メッキにより形成した電解メッキ層106とを備えている。
【0003】
この水素分離構造体100の電解メッキ層106に、水素を含有する混合ガスを晒すと、Pdからなる電解メッキ層106は、水素を選択的に透過させる。そして、透過した水素は、多孔質の無電解メッキ層104及び基材102を通過する。これにより、混合ガスから純粋な水素ガスを得ることができる。
【0004】
このような水素を透過させるメカニズムをさらに詳細に説明する。混合ガスの圧力を電解メッキ層106の面に加えて、その表面に水素分子が吸着すると、水素分子は原子状となりさらにプロトンと電子に電離して、電解メッキ層106内を拡散し、電解メッキ層106の反対側の膜表面で再結合し、水素分子として離脱する。そして、水素ガスは、無電解メッキ層104、基材102に形成された孔を通過して、基材102の裏面側から流出する。
【0005】
ここで、混合ガスから水素ガスを分離する速度は、電解メッキ層106の膜厚に比例する。すなわち、水素の分離過程において、Pd膜の吸着等の表面反応と比較して、Pd膜内を水素が透過する速度が遅く、これが律速段階になる。ここで、水素の透過量Qは、次式(1)に示される。この式から分かるように、透過量Qは膜厚tに反比例するから、Pd膜の膜厚tが薄くなれば水素の透過量Qを大きくすることができる。
Q=A・t−1・△P1/2・exp(−B/RT) … (1)
ここで、A,Bは定数、△PはPd膜をはさむ混合ガスと基材102内の圧力差であり、Tは絶対温度、Rがガス定数である。
【0006】
このように、電解メッキ層106の膜厚を薄くすることは、水素ガスの時間当たりの透過量Qを大きくするのに有効であるだけでなく、高価なPdの材料量を減らすことから好ましい。しかし、Pdの膜厚を薄くし過ぎると、Pdの膜自身で形状を維持できない。このため、上記従来の技術では、Pdからなる電解メッキ層106を多孔質セラミックスなどからなる上記基材102で支持して、機械的強度を高めている。
【0007】
なお、電解メッキ層106を薄くすると、多孔質の基材102の孔を完全に埋めることができない。このため、従来の技術では、無電解メッキ層104により、多孔質の基材102の孔径を小さくして、小さくした孔を薄い電解メッキ層106で埋めることにより、緻密な電解メッキ層106を形成している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、水素分離構造体を備えた装置を、自動車などに搭載することが検討されているが、自動車に搭載した場合には、低温から高温までの広い温度範囲に耐える必要がある。ところが、上述した雰囲気下に、水素分離構造体100を設置すると、無電解メッキ層104及び電解メッキ層106に亀裂が発生したり、基材102から剥離したりするという問題があった。
【0009】
本発明は、上記従来の技術の問題を解決するものであり、低温から高温までの広い温度範囲で変動する雰囲気下に設置されても、PdまたはPd合金からなる膜に亀裂が生じたり、Pd膜が基材から剥離したりすることなく、しかもコストダウンを実現できる水素分離構造体を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上記課題を解決するためになされた第1の発明は、
水素ガス及び他の元素のガスを含む混合ガスから、水素ガスを選択的に透過させる水素分離構造体において、
多孔質セラミックスまたは多孔質ガラスからなる基材と、
基材上に積層された第1層と、
第1層上に積層され、PdまたはPd合金からなる第2層と、
を備え、
上記第1層は、基材の表面の孔の一部を埋めるように形成され、その材料がPdを含まない金属、その金属の粉末に無機材料を混合した材料、またはSiOまたはAlまたはZrOを含む無機材料のいずれかであり、かつその熱膨張係数が上記基材と第2層との間の値の材料で形成され、
上記第2層は、第1層の表面の孔を埋めるように形成されたこと、
を特徴とする。
【0011】
第1の発明における水素分離構造体は、水素を含んだ混合ガスの圧力を加えると、PdまたはPd合金からなる第2層は、水素を選択的に透過させる。ここで、基材および第1層は、多孔質の材料で形成されているから、第2層を透過した水素を通すのに妨げとならない。このように、水素分離構造体は、混合ガスから水素を分離する。
【0012】
また、第2層を支持する基材は、機械的強度を高くすることが容易な多孔質セラミックスまたは多孔質ガラスで形成されており、第2層自身の機械的強度で、該第2層の形状を保つ必要がなく、その第2層の厚さを薄くすることができる。これにより、第2層を形成する高価なPdの材料量を減らせると共に、水素ガスの分離速度を早めることができる。
【0013】
また、第1の発明の水素分離構造体では、低温と高温との間で変動する雰囲気下にも使用できるように以下の構成が採られている。すなわち、基材と第2層との間には、第1層が形成されている。第1層は、その熱膨張係数が基材と第2層との中間の値となっている。この第1層は、水素分離構造体を、温度変動の激しい雰囲気下に晒したときに、基材と、第2層との間に加わる応力を緩和し、基材から第2層が剥離するのを防止する。
【0014】
このような、熱膨張係数が基材と第2層との中間の値である材料としては、Ti,Cr,Ir,Moから選ばれた1種または2種以上の金属またはこれらの合金により形成することができる。また、第1層は、Tiなどの金属またはこれらの合金に、酸化物などの無機材料を混合したものであってもよい。
【0015】
第2の発明は、第1層と第2層との間に、第3層を介在させたものである。第3層は、水素分離構造体が高温の雰囲気に晒されたときに、第1層の金属が熱拡散して、第2層内に侵入するのを防止するものである。すなわち、第3層は、第1層を形成するTiなどが第1層内に拡散して結晶構造を乱すことを妨げて、第2層による水素ガスを選択的に透過させる作用が低下するのを防止する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以上説明した本発明の構成・作用を一層明らかにするために、以下本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0017】
図1は本発明の一実施の形態に係る水素分離構造体10を示す断面図である。図1において、水素分離構造体10は、基材12と、第1層14と、第2層16とを備え、これらを積層することにより形成されている。基材12は、セラミックス粉末などを焼成した多孔体である。第1層14は、Tiなどからなる膜であり、基材12の孔を完全に埋めない多孔体として形成されている。すなわち、基材12及び第1層14は、水素ガスを通過させるための大きな圧力を生じないために多孔体となっている。第2層16は、PdまたはPd合金からなる緻密な層であり、水素を選択的に透過させる性質を有するものである。
【0018】
以下、水素分離構造体10を構成する各部材について詳細に説明する。
【0019】
(1) 基材12
基材12は、水素分離構造体10の機械的強度を高めるための部材であり、このような性質を満たす材料として、多孔質ガラス、多孔質セラミックスを用いることができる。基材12の厚さは、下記の条件を満たし、使用条件に耐え得る機械的強度を有するものであればよい。
【0020】
基材12に多孔質材料を用いたのは、水素ガスの透過に障害とならないことなどを考慮して定めたものであり、その目的を達成するために、平均粒径で50Å〜0.2μmであることが好ましい。これは、50Åμm以下であると、水素ガスが透過する際の障害となり、所望の透過量が得られなくなるためであり、一方、0.2μmを越えると、後述する第2層16の膜厚を薄くできないからである。
【0021】
(2) 第1層14
第1層14は、以下の▲1▼〜▲3▼の条件を考慮して、Ti,Cr,Ir,Moの金属またはその合金、これらの合金粉末に無機材料を混合した材料、またはSiO2、Al、ZrO等の酸化物から形成されている。
▲1▼ 上記基材12の材料と、PdまたはPd合金との間の熱膨張係数を有すること。以下にそれらの熱膨張係数を記載する。
Figure 0003621785
▲2▼ 水素脆性を生じない性質を有する材料であること。
これは、水素脆性による基材12と第2層16との剥離を防止するためである。
▲3▼ 基材12及び第2層16を形成するPdまたはPd合金と密着性のよい材料であること。
【0022】
第1層14は、第2層16を透過した水素ガスを、その圧力損失を大きくしないように基材12上に多孔体となるように形成することが必要である。このような第1層14を形成する方法としては、各種の方法を採ることができるが、例えば、電解メッキ、無電解メッキなどのCVD法、真空蒸着法、スパッタリング等のPVD法を適用することができる。また、第1層14の厚さは、0.01〜5μmであることが好ましい。これは、0.01μm以下であると、上述した剥離を防止する効果が得られないためであり、5μm以上であると、多孔質の基材12の孔を封止して水素ガスの通過に支障となるためである。
【0023】
(3) 第2層16
第2層16は、Pdが100重量%、またはPdが10重量%以上含有する合金から形成され、水素分離膜として使用に耐え得る緻密な膜である。Pd合金としては、水素を選択的に透過させる性質を得る条件を満たしたうえで、他の使用条件を考慮して、Ru,Ir等のVII族元素、Cu,Ag,Au等のIb族元素を含有したものを適用できる。第2層16を形成する方法としては、第1層14と同様に、各種の方法を採ることができるが、つまり、電解メッキ、無電解メッキなどのCVD法、真空蒸着法、スパッタリング等のPVD法を適用することができる。
【0024】
第2層16の厚さは、0.5〜20μmであることが好ましい。これは、0.5μm以下であると、第1層14の孔を封止することができず、水素を選択的に透過させる作用が得られないためであり、また、20μm以上であると、第2層16を薄くできるという本発明の作用・効果を得られないためである。
【0025】
次に、上記水素分離構造体10による水素分離作用について説明する。水素分離構造体10を混合ガスに晒して、第2層16側に混合ガスを加圧すると、基材12の反対側の面との間に差圧を生じる。そして、第2層16に吸着された水素は、第2層16内を透過し、さらに多孔質の第1層14、基材12を通過して流出する。これにより、混合ガスから純粋な水素ガスを得ることができる。なお、第2層16側に混合ガスを加圧した場合を説明したが、基材12側に混合ガスを加圧しても同様な作用が得られる。
【0026】
上記水素分離構造体10によれば、第2層16を支持する基材12は、機械的強度を高くすることが容易な多孔質セラミックスまたは多孔質ガラスで形成されており、第2層16自身の機械的強度を高める必要がない。よって、第2層16を薄くでき、水素ガスの透過量を増加させることができ、また、高価なPdの材料量を減らし、コストダウンを実現できる。
【0027】
また、第1層14は、基材12上に積層されたときに、多孔体からなる基材12の孔を小さくするから、薄い第2層16を積層しても、第2層16は第1層14の孔を埋める。すなわち、第2層16は、薄い膜であっても、水素分離作用に支障となるような漏れを生じることのない緻密な膜を形成することができる。
【0028】
さらに、第1層14は、基材12と第2層16との間の熱膨脹係数の値の材料で形成されているから、低温と高温との熱サイクルの変動が激しい雰囲気下に使用されても、これらの熱膨脹差に伴って発生する基材12と第2層16との間に加わる応力を緩和する。これにより、第1層14は、エンジンルーム等の熱サイクルの過酷な雰囲気に晒されても、第2層16に亀裂や剥離が生じることを防止し、水素分離構造体10の耐久性及び信頼性を向上させることができる。
【0029】
次に、他の実施の形態にかかる水素分離構造体について説明する。図2は水素分離構造体10Bを示す断面図である。水素分離構造体10Bは、第1層14と第2層16との間に第3層18が介在している構成のほかは、図1の水素分離構造体10と同じ構成である。
【0030】
第3層18は、高温雰囲気下において、第1層14の金属が熱拡散により第2層16内に侵入して、第2層16の劣化を防止するためのものである。第3層18は、SiO,Al,ZrO、等の酸化物を用いて、水素の透過に支障のない多孔質の膜により実現できる。なお、第3層18の製造方法として、第1層14、第2層16と同様な方法を用いることができる。
【0031】
【実施例】
次に、上記実施の形態に係る水素分離構造体を管状に形成した実施例について説明する。図3は水素分離構造体20の一部を模式的に示す説明図である。図3において、水素分離構造体20は、基材22と、この基材22上に積層された第1層24と、第1層24上に積層された第2層26とを備えている。
【0032】
上記基材22は、外径10φmm×長さ170mm、厚さ0.8mmの管体であり、多孔質ガラス、または多孔質セラミックスの多孔質体から形成されている。多孔質体材料としては、多孔質ガラス(例えば、伊勢化学工業株式会社製)、多孔質セラミックス(商品名:セラミックフィルタ、東芝セラミックス株式会社製)を用いることができる。基材22の多孔質の平均粒径は、0.005〜0.2μmである。また、上記第1層24はTiを厚さ2μmに蒸着し、第2層26はPdを厚さ1.5〜2μmに蒸着することにより形成されている。
【0033】
次に、水素分離構造体20の製造方法について説明する。まず、上述した管状の基材22を準備し、この基材22をアセトン等の有機溶剤及び流水で洗浄することにより、基材22の表面等に付着している有機物及び無機物等を除去した。続いて、洗浄後の基材22を真空蒸着装置の槽内にセットし、250℃の雰囲気下において基材22の表面に付着している水分を蒸発させ、後の工程の第1層24との密着性を高める処理を施した。
【0034】
続いて、真空蒸着装置の槽内の雰囲気を1×10−6Torr(1.33×10−4Pa)以下にし、基材22上に第1層24を形成した。第1層24は、Tiのガス圧を2〜4×10−6Torr(2.66〜5.32×10−1Pa)に設定し、2μmの厚さに形成した。
【0035】
続いて、第1層24上に第2層26を形成した。第2層26は、真空蒸着装置の槽内を再度、1×10−6Torr(1.33×10−4Pa)の雰囲気にし、Pdのガス圧を2〜4×10−6Paに設定し、1.5〜2μmの厚さに形成した。
【0036】
この水素分離構造体20を用いて水素ガスを分離する実験は、図4に示す透過/分離試験装置30を用いて行なった。図4は透過/分離試験装置30を示す構成図である。透過/分離試験装置30は、上記水素分離構造体20を収納したガス分離管32と、このガス分離管32に水素と窒素との混合ガスを供給するガス供給装置34とを備えている。
【0037】
図5はガス分離管32を拡大して示す断面図である。図5において、ガス分離管32は、水素分離構造体20を収納するための収納室35を有するケース本体36と、ケース本体36の上下の開口をOリングを介して封止する上蓋37及び下蓋38と、水素分離構造体20を加熱するヒータ39(図4参照)とを備えている。
【0038】
上記ケース本体36の内壁と水素分離構造体20との間には、外側スペース40が形成され、この外側スペース40にガス供給装置34の管路53b,53gを介して混合ガスが供給・排出され、また、水素分離構造体20の内側には、内側スペース41が形成され、この内側スペース41から管路53fを介して混合ガスから分離された水素ガスが送り出される。
【0039】
図4に戻り、ガス供給装置34は、ガス分離管32に混合ガスを供給する供給系50と、水素分離構造体20により分離された水素ガスと他のガスとを排出する排出系60と、を備えている。供給系50は、水素供給源51と窒素供給源52とを備えており、管路53a〜管路53dを介してガス分離管32の外側スペース40に接続されている。また、管路53cには、管路53eを介してガス分離管32の内側スペース41に接続されている。
【0040】
また、排出系60には、ガス分離管32の内側スペース41に管路53fが接続され、この管路53fから水素ガスが排出され、さらに、外側スペース40に管路53gが接続され、この管路53gから窒素ガスが排出される。なお、ガス供給装置34は、流量バルブ54,55を備えるとともに、供給系50に減圧バルブ56,57、チェックバルブ58及び開閉バルブ59a,59b,59cが設けられ、排出系60にニードルバルブ61が設けられている。
【0041】
次に、上記水素分離構造体20により、混合ガスから水素ガスを分離する実験について説明する。水素供給源51及び窒素供給源52から供給される水素ガス及び窒素ガスの圧力を減圧バルブ56,57で調節すると共に、開閉バルブ59a,59bを開くと、水素ガスと窒素ガスは混合ガスとなって、管路53a〜53dを介して水素分離構造体20の外側スペース40に供給される。このとき、水素ガス及び窒素ガスの流量は、流量バルブ54,55によりそれぞれ一定値に調節される。次に、ニードルバルブ61を徐々に閉めて、外側スペース40に加わるガス圧を増加させて、外側スペース40と内側スペース41との差圧を2kg/cmに設定して、水素分離構造体20により水素ガスの透過を促進させた。この状態にて、水素分離構造体20を透過して管路53fから流出するガスを分析した。なお、水素分離構造体20は、自動車に搭載した使用環境での特性を調べるために、ヒータ39により500℃に加熱した。
【0042】
管路53fから流出したガスの成分は、ガスクロマトグラフィにより分析した。その結果、水素以外のガスは検出されなかった。このことから、水素分離構造体20は、ピンホールのない均一の膜が形成され、窒素ガスがピンホールから流出しないことが確認された。
【0043】
また、上記水素分離構造体20について、▲1▼耐熱性試験、▲2▼水素透過量の測定試験を行なった。
▲1▼ 耐熱性試験
水素分離構造体20を25℃〜500℃との間の温度雰囲気に晒す熱サイクル試験を行なった。その結果、水素分離構造体20には、亀裂、剥離などの不具合は発生しなかった。
【0044】
▲2▼ 水素透過量の測定試験
次に、Pdの厚さと水素ガスの透過量との関係を、複数のガス温度にて調べた。図6は混合ガスの温度と水素透過量との関係を示すグラフである。図6において、試料1がPdの厚さを1.5〜2μmに形成した実施例であり、試料2がPdの厚さを10μmに形成した比較例である。その結果、本実施例の試料1は、混合ガスの300〜500℃の温度範囲にわたって水素透過量が大きいことが分かった。
【0045】
次に、第1層24と第2層26との間に、図2で示した酸化物膜を介在させた実施例について説明する。本実施例にかかる第1層及び第2層は、図3などで説明した水素分離構造体20と同じ構成及びその方法により作製されているが、第3層を加えた点が異なる。すなわち、第3層は、上述した第1層24を形成した後に、真空蒸着装置の槽内を1×10−6Torrの雰囲気にし、SiOを1×10−4Torr(1.33×10−2Pa)の雰囲気にし、0.005〜0.05μmの厚さに形成した。
【0046】
上記工程により作製した試料を不活性ガス雰囲気下で500〜700℃に晒して、第1層を形成するTiが、第2層内に拡散されているかについて、X線マイクロアナライザ(EPMA)で分析した。その結果、Tiは第2層に拡散しておらず、高温雰囲気下でも、安定した水素分離構造体が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態にかかる水素分離構造体10を説明する説明図。
【図2】他の実施の形態にかかる水素分離構造体10Bを説明する説明図。
【図3】実施例にかかる水素分離構造体20を示す断面図。
【図4】透過/分離試験装置30を示す構成図。
【図5】水素分離構造体10を収納したガス分離管32を示す断面図。
【図6】ガス温度と水素透過量との関係を示すグラフ。
【図7】従来の水素分離構造体を説明する説明図。
【符号の説明】
10…水素分離構造体
10B…水素分離構造体
12…基材
14…第1層
16…第2層
18…第3層
20…水素分離構造体
22…基材
24…第1層
26…第2層
30…透過/分離試験装置
32…ガス分離管
34…ガス供給装置
35…収納室
36…ケース本体
37…上蓋
38…下蓋
39…ヒータ
40…外側スペース
41…内側スペース
50…供給系
51…水素供給源
52…窒素供給源
53a〜53g…管路
54,55…流量バルブ
56,57…減圧バルブ
58…チェックバルブ
59a,59b,59c…開閉バルブ
60…排出系
61…ニードルバルブ

Claims (3)

  1. 水素ガス及び他の元素のガスを含む混合ガスから、水素ガスを選択的に透過させる水素分離構造体において、
    多孔質セラミックスまたは多孔質ガラスからなる基材と、
    基材上に積層された第1層と、
    第1層上に積層され、PdまたはPd合金からなる第2層と、
    を備え、
    上記第1層は、基材の表面の孔の一部を埋めるように形成され、その材料がPdを含まない金属、その金属の粉末に無機材料を混合した材料、またはSiOまたはAlまたはZrOを含む無機材料のいずれかであり、かつその熱膨張係数が上記基材と第2層との間の値の材料で形成され、
    上記第2層は、第1層の表面の孔を埋めるように形成されたこと、
    を特徴とする水素分離構造体。
  2. 請求項1において、
    さらに、上記第1層と第2層との間に介在し、第1層の金属が第2層に熱拡散により侵入するのを防止する第3層を備えた水素分離構造体。
  3. 請求項1または請求項2において、
    上記第1層は、Ti,Cr,Ir,Moから選択された1種または2種以上の金属、またはそれらの合金あるいは、該選択された金属または合金の粉末に無機材料を混合して調製した材料から形成されている水素分離構造体。
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