JP3621493B2 - 水性懸濁農薬製剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性懸濁農薬製剤に関し、更に詳しくは、長期貯蔵中に分離沈降することのない水性懸濁農薬製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、農薬活性成分を高濃度に含有する農薬製剤として、乳剤、水和剤などが使用されてきた。ところが、近年は、引火性、臭い、粉立ちなどの安全性、環境衛生面の問題により、水を溶剤としてその中に農薬活性成分を分散させた水性懸濁剤(フロアブル剤ともいう)の使用が著しく増加してきている。この懸濁剤は、安全性、環境衛生面では乳剤に比べてメリットはあるが、反面、製剤の長期貯蔵時に水中に分散している農薬活性成分などの分散質が沈降して分離しやすい。ときには、沈降層が固まって再分散が困難な場合が生ずるなどのデメリットもある。
【0003】
従来、このような沈降や分離をなくして安定な分散液を得るために、界面活性剤、増粘剤や有機溶剤などの各種補助剤の種類およびその添加量について様々な研究が行われてきた。
【0004】
アルキルベンゼンを水性懸濁農薬製剤中に用いた研究としては、次のものがあげられる。
【0005】
▲1▼特開平5−132406号公報
フェノキサプロップ−エチル、スルホニルウレア系および/またはフェニル尿素系からの少なくとも1種類の除草活性化合物、芳香族溶剤または溶剤混合物およびエトキシ化トリスチリルフェノールおよび平均鎖長C13のエトキシ化立体変性合成アルコールの界面活性剤組成物(各々はホスフェートまたはアルカリまたはアミンで中和することができる)を含んでなるサスポエマルジョンに関するもの。
【0006】
▲2▼特開平2−295903号公報
水を分散媒として、液体除草剤有効成分を石油系芳香族溶媒に溶解せしめた油状物と、固体除草剤有効成分と界面活性剤とを配合してなる、温度20℃における表面張力が30〜40dyne/cm、及び温度20℃における水稲の第二葉葉身部に対する接触角が105度以下の諸物性を有する水田用除草剤組成物に関するもの、など。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
水を分散媒として用いられる水性懸濁剤は、前述のように長期間の保存安定性などに改良すべき点がある。しかし、これまで様々な改良技術が提供されてきたが、いまだ十分とはいえない。
【0008】
したがって、本発明は、長期保存安定性があり、かつ再分散性の高い水性懸濁製剤を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、水性懸濁製剤の沈降防止の技術を開発する目的で鋭意研究した。その結果、農薬活性成分、アルキルベンゼン、水溶性高分子化合物、界面活性剤および水よりなり、25℃における製剤粘度が100〜1000mPa・Sである水性懸濁農薬製剤が優れた懸濁安定性を有することを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
本発明を実施するうえで、製剤粘度が100mPa・S(25℃)より小さくては十分な製剤懸濁安定性が得られない。また、1000mPa・S(25℃)より大きくては製剤のプラスチックボトルの内避への付着残量が多くなり、かつボトルから排出するのに時間がかかりすぎるなどのデメリットが生ずる。したがって、製剤粘度は100〜1000mPa・S(25℃)が実用上最も好ましい。
【0011】
本発明に係る農薬活性成分を次に例示する。ただし、本発明は特に限定されるものではなく、水性懸濁農薬として一般に用いられるものであればよい。
【0012】
殺虫剤の例
CYAP、MPP、MEP、ECP、ピリミホスメチル、ダイアジノン、イソキサチオン、ピリダフェンチオン、クロルピリホスメチル、クロルピリホス、キルバール、マラソン、PAP、ジメトエート、チオメトン、エチルチオメトン、ホサロン、PMP、DMTP、スルプロホス、プロチオン、プロフェノホス、ピラクロホス、DDVP、モノクロトホス、BRP、CVMP、ジメチルビンホス、プロパホス、アセフェート、DEP、EPN、エチオン、NAC、MTMC、MIPC、BPMC、PHC、XMC、エチオフェンカルブ、ピリミカーブ、カルボスルファン、ベンフラカルブ、メソミル、オキサミル、チオジカルブ、アレスリン、レスメトリン、ペルメトリン、シペルメトリン、シハロトリン、シフルトリン、フェンプロパトリン、トラロメトリン、シクロプロトリン、フェンバレレート、フルシトリネート、フルバリネート、エトフェンプロックス、カルタップ、チオシクラム、ベンスルタップ、ジフルベンズロン、テフルベンズロン、クロルフルアズロン、フルフェノクスロン、テブフェノジド、ブプロフェジン、ベンゾエピン、イミダクロプリド、マシン油、ケルセン、アミトラズ、ヘキシチアゾクス、酸化フェンブタスズ、フェンピロキシメート、デブフェンピラド、ピリダベン、など。
【0013】
殺菌剤の例
硫酸銅、生石灰、塩基性硫酸銅カルシウム、塩基性硫酸銅、塩基性塩化銅、水酸化第二銅、銅アンモニウム錯塩有機銅、ノニルフェノールスルホン銅、DBEDC、テレフタル酸銅、硫黄、ジネブ、マンネブ、マンゼブ、アンバム、ポリカーバメート、有機硫黄ニッケル塩、プロピネブ、ジラム、チウラム、チアジアジン、キャプタン、スルフェン酸系、TPN、フサライド、IBP、EDDP、トリクロホスメチル、ピラゾホス、ホセチル、チオファネートメチル、チアベンダゾール、イプロジオン、ビンクロゾリン、プロシミドン、フルオルイミド、メプロニル、フルトラニル、テクロフタラム、ペンシクロン、メタラキシル、オキサジキシル、トリアジメホン、ビテルタノール、ミクロブタニル、ヘキサコナゾール、プロピコナゾール、ジフェノコナゾール、イプコナゾール、イミベンコナゾール、トリフルミゾール、プロクラロズ、ペフラゾエート、フェナリモル、ピリフェノックス、トリホリン、ジチアノン、キノキサリン系、DPC、ジメチリモール、フルスルファミド、ベンチアゾール、ジクロメジン、トリアジン、フェリムゾン、フルアジナム、ジメトフェンカルブ、プロベナゾール、イソプロチオラン、トリシクラゾール、ピロキロン、オキソリニック酸、イミノクタジン酢酸、ブラストサイジンS、カスガマイシン、ポリオキシン、バリダマイシンA、ストレプトマイシン、PCNB、ヒドロキシイソキサゾール、エクロメゾール、メタスルホカルブ、など。
【0014】
除草剤の例
2,4−PA、MCP、MCPB、MCPP、フェノチオール、クロメプロップ、ナプロアニリド、フェノキサプロップエチル、フルアジホップ、キザロホップエチル、クロメトキシニル、ビフェノックス、IPC、フェンメディファム、ベンチオカーブ、エスプロカルブ、モリネート、ジメピペレート、ピリブチカルブ、DCPA、アラクロール、ブタクロール、プレチラクロール、テニルクロール、ブロモブチド、メフェナセット、ナプロパミド、ジフェナミド、プロピザミド、イソキサベン、アシュラム、DCMU、リニュロン、ダイムロン、メチルダイムロン、カルブチレート、イソウロン、テブチウロン、ベンスルフロンメチル、ピラゾスルフロンエチル、フラザスルフロン、チフェンスルフロン、イマゾスルフロン、CAT、アトラジン、シメトリン、プロメトリン、ジメタメトリン、シアナジン、ターバシル、ブロマシル、PAC、ベンタゾン、オキサジアゾン、ピラゾレート、ピラゾキシフェン、ベンゾフェナップ、トリフルラリン、ベスロジン、ペンディメタリン、ピクロラム、イマザピル、DPA、ピペロホス、ブタホミス、グリホサート、ビアラホス、グリホシネート、アイオキシニル、DBN、アロキシジム、セトキシジム、ACN、シンメチリン、ベンフレセート、など。
【0015】
本発明においては、これらの農薬活性成分の1種または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0016】
本発明において、水性懸濁農薬製剤中の農薬活性成分の含有量は、通常0.1〜60重量%の範囲、好ましくは5〜50重量%の範囲となるような量で用いるのがよい。
【0017】
なお、上記農薬活性成分の名称は、「農薬ハンドブック 1994年版」(社団法人 日本植物防疫協会発行)に記載の一般名である。
【0018】
次に、本発明で用いるアルキルベンゼンを示すが、本発明では下記の一般式
【化2】
で示されるうちから選ばれた1種または2種以上を含むものである。
【0019】
このような具体例としては、n−ブチルベンゼン、iso−n−ブチルベンゼン、n−アミルベンゼン、iso−アミルベンゼン、n−ヘキシルベンゼン、n−ヘプチルベンゼン、n−オクチルベンゼンなどが挙げられ、これらは単独で用いても、混合物として用いてもよい。また、これらのアルキルベンゼンは、塩化ベンジル(またはブロムベンゼン)とハロゲン化アルキルのナトリウムによるエーテル中での縮合、フェニルアルキルケトン(またはベンジルアルキルケトン)の接触水素化または他の還元、ベンゼンとハロゲン化アルキルの塩化アルミニウムによる縮合などによって製造したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、アルキル基の炭素数が4〜5の混合物であるハイゾールE(日本石油化学株式会社製商品名)(「ハイゾール」は登録商標、以下同じ)、アルキル基の炭素数が4〜9の混合物であるハイゾールF(日本石油化学株式会社製商品名)などが挙げられる。
【0020】
また、本発明でいうアルキルベンゼンには、製造過程でモノ置換体以外にジ置換体なども副成することがあるが、これらのものを分離することなく、そのまま有効に使用することができる。
【0021】
これらの製剤中への添加量は、農薬活性成分の1重量部に対して0.02〜50重量部、好ましくは0.05〜30重量部の範囲で水性懸濁製剤中に用いることが望ましい。
【0022】
なお、本発明において使用可能なアルキルベンゼンは、上記例に限定されるものではない。
【0023】
本発明で用いる水溶性高分子化合物としては、次のものが挙げられる。ただし、本発明は、以下の例示に限定されるものではない。
【0024】
デンプン
バレイショデンプン、小麦デンプン、デキストリン
【0025】
海藻類
アルギン酸ナトリウム、カラナーギン
【0026】
植物粘質物
ローカストビーンガム、グアーガム、タラガム、タマリンドガム、アラビアガム、トラガントガム、カラヤガム、ペクチン、アラビノガラクタン、大豆おからから抽出された水溶性多糖類(ソヤファイブ)など
【0027】
微生物による粘質物
キサンタンガム、プルラン、ランザンガム
【0028】
タンパク質
カゼイン、ゼラチン、大豆タンパク質、小麦グルテン、植物タンパク分解物
【0029】
繊維質
微結晶セルロース
【0030】
水性懸濁農薬製剤中へのこれらの高分子化合物の添加量は、0.01〜10重量部の範囲、好ましくは0.05〜5重量部の範囲で水性懸濁製剤中へ用いることがよい。また、本発明に係る界面活性剤とは、農薬活性成分およびアルキルベンゼンを水中に分散させる働きを有する限り特に限定されない。そして、このような界面活性剤としては、従来既知の非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤などを用いることができる。
【0031】
(非イオン界面活性剤の例)
ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル(例:ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)、ポリオキシアルキレンアリールフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキレート、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシエチレンフェニルエーテルポリマー、など。
【0032】
(陰イオン界面活性剤の例)
リグニンスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、ジアルキルスルホサクシネート、ポリオキシエチレンアルキルアリールホスフェート、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルサルフェート、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルサルフェート、など。
【0033】
(陽イオン界面活性剤および両性界面活性剤の例)
アルキルアミン類、第4級アンモニウム塩、アルキルベタイン、アミンオキサイド、など。
【0034】
本発明においては、得られる水性懸濁農薬製剤中におけるこれらの界面活性剤の含有量が0.2〜30重量%、好ましくは0.5〜20重量%となるような量で、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
本発明の水性懸濁農薬製剤は、上記の組成のほかに、必要があれば、合成あるいは鉱物質系増粘剤、凍結防止剤、消泡剤、防バイ剤、酸化防止剤、紫外線防止剤などの補助剤を添加して攪拌するなどして分散させて得られる。
【0036】
ここに、合成あるいは鉱物質系増粘剤を具体的に示せば、例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルスターチナトリウム塩、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸とその誘導体、コロイド性含水ケイ酸アルミニウム、コロイド性含水ケイ酸マグネシウム、コロイド性含水ケイ酸アルミニウムマグネシウムなどが挙げられる。本発明においては、得られる水性懸濁農薬製剤中におけるこれらの増粘剤の含有量が0.05〜10重量%となるような量で、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0037】
なお、本発明において使用できる増粘剤は、上記例に限定されるものではない。
【0038】
また、凍結防止剤としては、具体的には、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどを挙げることができ、また、消泡剤としては、シリコン系、あるいは脂肪酸系のものを用いることができ、また、防バイ剤(防かび・防腐保存料)としては、具体的には、例えば、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、p−クロロ−メタキシレノール、p−オキシ安息香酸ブチルなどを用いることができる。本発明において使用できる補助剤は、上記例に限定されるものではない。
【0039】
【実施例】
次に、本発明の水性懸濁農薬製剤について、実施例により更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0040】
なお、以下の実施例および比較例において「部」とは、すべて「重量部」の意味である。
【0041】
実施例1
水 36部、予め溶解させたBPMC 20部とポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル 10部とアルキルベンゼンスルホン酸カルシウム 4部とハイゾールF 15部の混合液、2%キサンタンガム水溶液 10部およびエチレングリコール 5部を加え、TKホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)にて5000rpmで10分間攪拌混合し、製剤粘度が25℃において510mPa・Sである水性懸濁農薬製剤を得た。
【0042】
実施例2
実施例1のハイゾールF 15部をn−アミルベンゼン 15部に置きかえて、製剤粘度が25℃において660mPa・Sである水性懸濁農薬製剤を得た。
【0043】
実施例3
水 41部、NAC 30部、予め溶解させたポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル 5部とリグニンスルホン酸ナトリウム 3部とn−ヘキシルベンゼン 10部の混合液、アラビアガム 6部およびエチレングリコール 5部を加え、TKホモミキサーにて5000rpmで10分間攪拌混合し、製剤粘度が25℃において480mPa・Sである水性懸濁農薬製剤を得た。
【0044】
実施例4
水 49部、フサライド 30部、予め溶解させたポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル 5部とハイゾールF 1部の混合液、2%グアーガム水溶液 10部およびエチレングリコール 5部を加え、TKホモミキサーにて5000rpmで10分間攪拌混合し、製剤粘度が25℃において490mPa・Sである水性懸濁農薬製剤を得た。
【0045】
実施例5
実施例4のハイゾールF 1部をn−ブチルベンゼン 1部におきかえて、製剤粘度が25℃において480mPa・Sである水性懸濁農薬製剤を得た。
【0046】
実施例6
水 51.5部、イミベンコナゾール 15部、予め溶解させたポリオキシアルキレンアリールフェニルエーテル 10部とハイゾールE 10部の混合液、2%ラムザンガム水溶液 8部、コロイド性含水ケイ酸アルミニウム 0.5部およびエチレングリコール 5部を加え、TKホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)にて5000rpmで10分間攪拌混合し、製剤粘度が25℃において540mPa・Sである水性懸濁農薬製剤を得た。
【0047】
実施例7
実施例6のハイゾールE 10部をn−アミルベンゼン 5部とn−ヘキシルベンゼン5部に、また2%ラムザンガム水溶液 8部とコロイド性含水ケイ酸アルミニウム 0.5部を2%タラガム水溶液 4部と水4.5部におきかえて、製剤粘度が25℃において110mPa・Sである水性懸濁農薬製剤を得た。
【0048】
実施例8
水 46部、予め溶解させたフェノチオール 1部とポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル 8部とiso−アミルベンゼン 30部の混合液、2%カラナーギン水溶液 10部およびエチレングリコール 5部を加え、TKホモミキサーにて5000rpmで10分間攪拌混合し、製剤粘度が25℃において470mPa・Sである水性懸濁農薬製剤を得た。
【0049】
実施例9
実施例8のiso−アミルベンゼン 30部をn−ヘプチルベンゼン 30部におきかえて、製剤粘度が25℃において480mPa・Sである水性懸濁農薬製剤を得た。
【0050】
実施例10
水 44部、DCMU 30部、予め溶解させたポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル 4部とn−ヘプチルベンゼン 3部とn−オクチルベンゼン 2部の混合液、2%キサンタンガム水溶液 12部およびエチレングリコール 5部を加え、TKホモミキサーにて5000rpmで10分間攪拌混合し、製剤粘度が25℃において960mPa・Sである水性懸濁農薬製剤を得た。
【0051】
実施例11
実施例10の2%キサンタンガム水溶液 12部を2%アラビアガム水溶液 8部と水 4部におきかえて、製剤粘度が25℃において470mPa・Sである水性懸濁農薬製剤を得た。
【0052】
実施例12
実施例10のn−ヘプチルベンゼン 3部、n−オクチルベンゼン 2部をiso−ブチルベンゼン 5部におきかえて、製剤粘度が25℃において950mPa・Sである水性懸濁農薬製剤を得た。
【0053】
比較例1
実施例1のハイゾールF 15部を2%モナートガム水溶液 5部と水 10部におきかえて水性懸濁農薬製剤を得た。
【0054】
比較例2
実施例2の2%キサンタンガム水溶液 10部を水 10部におきかえて水性懸濁農薬製剤を得た。
【0055】
比較例3
実施例3のn−ヘキシルベンゼン 10部をアラビアガム 2部と水 8部におきかえて水性懸濁農薬製剤を得た。
【0056】
比較例4
実施例3のアラビアガム 6部をカルボキシメチルセルロースナトリウム塩
0.3部と水 5.7部におきかえて水性懸濁農薬製剤を得た。
【0057】
比較例5
実施例4のハイゾールF 1部を水 1部に、2%グアーガム水溶液 10部を3%コロイド性含水ケイ酸アルミニウム 10部におきかえて水性懸濁農薬製剤を得た。
【0058】
比較例6
実施例5のn−ブチルベンゼン 1部を水 1部におきかえて水性懸濁農薬製剤を得た。
【0059】
比較例7
実施例6のハイゾールE 10部を2%ラムザンガム水溶液 2部と水 8部におきかえて水性懸濁農薬製剤を得た。
【0060】
比較例8
実施例7の2%タラガム水溶液 4部を2部に減量し、水 2部におきかえて水性懸濁農薬製剤を得た。
【0061】
比較例9
実施例8の2%カラナーギン水溶液 10部を3%コロイド性含水ケイ酸アルミニウム・マグネシウム 10部におきかえて水性懸濁農薬製剤を得た。
【0062】
比較例10
実施例9のn−ヘプチルベンゼン 30部を2%カラナーギン水溶液 10部と水20部におきかえて水性懸濁農薬製剤を得た。
【0063】
比較例11
実施例10のn−ヘプチルベンゼン 3部とn−オクチルベンゼン 2部を水
5部におきかえて水性懸濁農薬製剤を得た。
【0064】
比較例12
実施例10の2%キサンタンガム水溶液 12部を水 12部におきかえて水性懸濁農薬製剤を得た。
【0065】
比較例13
実施例10のn−ヘプチルベンゼン 3部とn−オクチルベンゼン 2部を2%キサンタンガム水溶液 2部と水 3部におきかえて水性懸濁農薬製剤を得た。
【0066】
比較例14
実施例11のアラビアガム水溶液 8部を2部に減量し、その残りを水 6部におきかえて水性懸濁農薬製剤を得た。
【0067】
比較例15
実施例12のn−ブチルベンゼン 5部を2%キサンタンガム水溶液 2部と水 3部におきかえて水性懸濁農薬製剤を得た。
【0068】
比較例16
実施例12の2%キサンタンガム水溶液 12部を25%ポリビニルアルコール水溶液 12部におきかえて水性懸濁農薬製剤を得た。
【0069】
次に、試験例により、本発明の水性懸濁農薬製剤の有用性を示す。
【0070】
試験例1 懸濁剤長期間保存安定性試験
調製した水性懸濁農薬製剤を容量30ml(φ17mm×長さ180mm)の試験管に30ml入れ、密栓をし、20℃または40℃の恒温室に静置する。そして、それぞれ20℃で3か月後、40℃で3か月後の分離状態を、試験管中の懸濁剤が下層に沈降し、上層に生じた水層(上スキ層)と全層の高さ(cm)を測定して、下記式により算出した。
【0071】
【数1】
【0072】
試験例2 粘度測定
調製直後の水性懸濁農薬製剤の粘度をB型粘度計[(株)トキメック製]を用いてローターNo2、回転数12r.p.m、温度25℃で測定した。
【0073】
その結果は表1のとおりである。
【0074】
試験例3 排出性試験
500ml容量のポリ瓶に調製直後の水性懸濁農薬製剤を450ml入れ、25℃で1日間静置後に容器の倒立を20回くりかえした後、容器を逆さにし、水性懸濁農薬製剤を排出させる。容器の口より薬剤の滴下間隔が10秒以上になった時を終点とする。この時点で排出した薬剤の重量をはかり、容器に充填した薬剤の重量に対する割合(%)で示した。
【0075】
その結果は表1のとおりである。
【0076】
【表1】
【0077】
【発明の効果】
本発明の水性懸濁農薬製剤は、長期間にわたり貯蔵しても、農薬活性成分などの水中に懸濁している成分が分離沈降することがなく安定性が保たれる。
【0078】
したがって、長期間の貯蔵後に散布する場合も懸濁剤中に沈殿物がなく、容易に散布することができる。
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