JP3621052B2 - 防音壁 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄道軌道、道路などに設置される防音壁の構造に関するものであり、特に優れた防音性能を有する防音壁に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、鉄道軌道、道路などに設置される防音壁には、その防音性能を確保するために、コンクリート等の比較的重い素材が用いられてきた。特に、騒音だけでなく大きな振動の発生を伴う、鉄道高架橋等に設置する防音壁については、そのほとんどがコンクリート製、もしくは鉄製支柱にコンクリートパネルを取り付けたものであった。
【0003】
最近になって、主として施工性向上の観点から、軽量な防音壁の需要が高まり、コンクリートに限らず、プラスチックなどの軽量な素材を用いた防音壁が開発されつつある。しかし、特に鉄道高架橋等に設置する防音壁については、車両通過時に発生する振動により、防音壁が軽量であると共振しやすくなり、その共振により防音性能が低下する可能性があるため、軽量な防音壁を採用することが難しかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明の課題は、特に鉄道高架橋等の大きな振動を伴う箇所についても、防音性能を低下させることのない、軽量構成の採用が可能な防音壁を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に係る防音壁は、鉄道軌道、道路などに設置される防音壁において、鉄道軌道、道路などに設置される防音壁において、防音壁を構成する部分として少なくとも防音部と建築物躯体への取付部とを有し、かつ防音部を除く防音壁の構成部分のいずれかに、他の部分よりも弾性率または剛性の低い箇所が存在することを特徴とするものからなる。
【0006】
上記他の部分よりも弾性率または剛性の低い部分とは、防音壁内に防音壁構成部分の一部として設けられるものであり、防音壁と建築物躯体との間に設けられる通常の防振ゴムなどの防振部材あるいは振動吸収部材とは異なるものである。すなわち、本発明に係る防音壁は鉄道軌道、道路などに対し屋外に設けられるものであるので、通常の単なる防振ゴム等を使用すると雨や日光に曝されて経年劣化により十分に長い耐用年数が期待できないため、十分に長い耐用年数を確保できる防音壁構成部分の一部として、上記他の部分よりも弾性率または剛性の低い部分が設けられる。
【0007】
上述の他の部分よりも弾性率または剛性の低い部分は、防音部を支える柱体または該柱体を建築物躯体に固定する取付部の一部分として構成することができる。また、他の部分よりも弾性率または剛性の低い部分は、防音部を支える柱体と、柱体を建築物躯体に固定する取付部との間に設けられることもできる
【0008】
この他の部分よりも弾性率または剛性の低い部分は、次のような特性を備えていることが好ましい。たとえば、他の部分よりも弾性率または剛性の低い部分に対して、その部分よりも防音部側にある部分の総重量の10倍の荷重を負荷したときに、他の部分よりも弾性率または剛性の低い部分の最大変形量が1mm以上であることが好ましい。
【0009】
すなわち、防音壁そのものを、バネに支えられた質点と考えると、その質点バネ系の固有振動数fは、
f=1/2π×√(K/M)
K:バネ定数
M:質量
となる。これより、
K=(2πf)×M
となり、バネ定数Kを、上式で得られる値よりも小さく(軟らかく)すれば、fを超える振動数の振動は、質点に伝わりにくいものと考えられる。そして、fを、人間の耳障りな音にならない50Hzとすると、
K=10万×M
となる。ここで、単位をSI系からkg、mmに読み替えると、
10万×M(N/m)=10×M(kgf/mm)
となり、これは、自重の10倍の荷重を負荷した場合、1mm変形するバネに相当する。したがって、前述の如く、他の部分よりも弾性率または剛性の低い部分よりも防音部側にある部分の総重量の10倍の荷重を負荷したときに、他の部分よりも弾性率または剛性の低い部分の最大変形量が1mm以上であると、優れた防振効果が得られ、それによって優れた防音効果が得られることになる。
【0010】
また、より具体的には、他の部分よりも弾性率または剛性の低い部分は、厚さ6mm以下の金属製単板で形成することができる。また、他の部分よりも弾性率または剛性の低い部分は、厚さ10mm以下の繊維強化プラスチック製単板で形成することもできる。
【0011】
すなわち、他の部分よりも弾性率または剛性の低い部分は、各種の方法によって形成できる。たとえば、他の部分よりも軟らかい材質(たとえば、スチールに対してアルミ、金属に対して繊維強化プラスチック(FRP)、FRPに対してはゴムなど)を用いることにより、この部分を構成できる。また、他の部分よりも形状的に軟らかくする(たとえば、厚さを薄くする、サンドイッチ構成を単板にするなど)ことにより、この部分を構成することもできる。また、FRPの場合には、強化繊維の配向を変更したり(たとえば、0°配向を45°配向に変更)や強化繊維の含有量を変更することによって、他の部分よりも弾性率または剛性の低くすることが可能である。これらのいずれの手法を用いても差し支えない。特にこの部分をFRPで構成する場合には、強化繊維の配向を工夫することにより、強度を落とすことなく剛性を落とすことができるので、風圧に耐えなければならない防音壁の場合には、理想的なものを実現できる可能性が高い。
【0012】
本発明における防音部は特に限定されず、コンクリート製や金属製、繊維強化プラスチック製のもののいずれでもよい。防音壁全体の軽量性を重視する場合には、とくに繊維強化プラスチックを用いて構成したものが好ましい。たとえば、少なくとも防音部が、心材と心材の両面側に位置する繊維強化プラスチック製のスキン材とで構成されていることが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の防音壁の望ましい実施の形態について、実施例に基づいて説明する。
【0014】
【実施例】
実施例1
図1および図2は、本発明の実施例1に係る防音壁の斜視図で、図1は正面側から見た図、図2はその背面側から見た図である。実際の設置に際しては図の防音壁1を複数個水平方向や上下方向に併設して連続した防音壁を構成する。いずれの側を車輌の通行側にするかはその用途や設置場所によるが、鉄道車輌の場合は通常、背面側を車輌の通行側にする。
【0015】
本実施例では、防音壁1は、防音部2と、柱体3と、取付部4とで構成され、これらが一体的に成形されている。本実施例においては、取付部4は防音部2の下部に設けられている。ただし、設置場所によっては、防音部2の左右または上部であってもよく、このような態様も本発明に含まれる。
【0016】
防音部2は、騒音の拡散防止と保線作業員の転落防止とを達成するための平面形状に形成されており、かつ、複数の防音部2を連接できるよう、矩形状に形成されている。断面構造は、図1に示すように、中心に位置する心材2dと、その両面側に位置するスキン材2a、2bと、両スキン材2a、2bをつなぐリブ2cとからなり、これらは一体成形されている。防音部2の外形寸法は、用途にもよるが、鉄道高架橋における高欄として使用する場合は、縦寸法Hが500〜3000mm、好ましくは1000〜2000mm、横寸法(幅)Wは1体で最大25m位まで実現可能であり(それ以上になると、寸法的に運搬が難しくなる。)、比較的小型のものを連接する場合、横寸法Wが500〜2000mm、厚さTが10〜100mmの各範囲内であることが、騒音の拡散防止と保線作業員の転落防止の観点上好ましい。横寸法Wが比較的大きい場合には、防音部2の少なくとも一部を、高架橋などのカーブに沿って湾曲した湾曲部に形成し、防音壁として曲面部を有するものに構成することもできる。
【0017】
心材2dは、防音とともに、曲げ剛性確保のためのスペーサの役割をするものであり、その材質としては、例えば30倍発泡の硬質ウレタン発泡体等の軽量の材料を用いることが好ましいが、その他木材、ハニカム材としてもよい。また、防音効果を高めるために振動減衰効果の高い材料を選択する等、特殊な機能を付加するための材料を用いてもよい。心材2dの好ましい厚さtは8〜98mmの範囲であり、より好ましくは30〜70mmの範囲内である。
【0018】
スキン材2a、2bは、本発明の防音壁の外表面を構成するもので、繊維強化プラスチックで構成されている。強化繊維としては、例えばガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等が挙げられ、その繊度は100〜2000dtexの範囲内のものが好ましいが、小片の落下防止等の観点からは200〜1000dtexがより好ましい。また、マトリクス樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂等が挙げられるが、小片の落下防止の観点からはエポキシ樹脂を用いるのが好ましい。強化繊維の体積含有率Vfとしては、15〜60%が好ましく、30〜50%がより好ましい。また、防音部2の全厚さTと、各スキン材2a、2bの厚さtとの比T:tとしては、5:1〜50:1の範囲内にあることが好ましい。この範囲を超えてスキン材2a、2bの厚さtが厚くなると、本発明の防音壁の特徴である軽量性が損なわれる。また、逆にスキン材2a、2bがこの範囲よりも薄くなると、防音壁に必要な主として台風時等の風圧に対する強度が十分に発現できなくなるおそれがある。とくに軽量性を確保するためには、柱体3と取付部4を除く、防音部2の単位面積あたりの重量が、10〜60kg/mの範囲内にあることが好ましい。
【0019】
また、難燃性を重視する場合には、スキン材2a、2bを形成する繊維強化プラスチックのマトリクス樹脂として高難燃性の樹脂、たとえばフェノール樹脂を用いることも可能である。
【0020】
柱体3は、防音部2の両側を支持するもので、その構成は本実施例では前述の防音部と同様、中心部の心材3bとこれを包囲する繊維強化プラスチックからなるスキン材3aとで構成されている。本実施例では、柱体3は、その外形形状が防音部2の上下方向に沿って先細になるように形成されており、防音部2と一体的に成形されている。なお、柱体3は、防音部2に強度を要する場合に必要に応じて設けるものであるが、例えば台風シーズン時のように相当の風圧に耐えるには、防音部2のスキン材2a、2bの内部に、炭素繊維強化プラスチックからなる層を少なくともスキン材に対する厚さ比で5%以上含むことが望ましい。また、さらに強化するためには、柱体3のスキン材3aも同様に炭素繊維強化プラスチックからなる層を少なくともスキン材に対する厚さ比で5%以上含むことが望ましい。また、風圧に対する防音壁のたわみや共振を防ぐ必要があるが、その場合には、防音部や柱体部におけるスキン材2a、2bやスキン材3aの強化繊維の種類や量、マトリクス樹脂の種類を適宜設計することで両部材の曲げ剛性を高くすることができる。
【0021】
このような構造を採用することにより、防音部2には柱体3間の幅方向のみに強度と剛性を持たせ、柱体部には鉛直方向にのみ強度と剛性を持たせればよくなり、繊維強化プラスチック特有の材料異方性を利用した、強度・剛性上無駄な材料を使用しない設計が可能となり、さらなる軽量化を実現することができる。
【0022】
このように、面体としての防音部2には主として横(幅)方向に強度と剛性を持たせればよいので、防音部2の繊維強化プラスチック製スキン材2a、2bが、たとえば、柱体3の延在方向に対して60°以上の傾きを持つ方向に延びる連続強化繊維を含むことが好ましい。また、リブ2cについても、面体としての防音部2には主として横(幅)方向に強度と剛性を持たせればよいので、リブ2cの少なくとも一部が、たとえば、柱体3の延在方向に対して60°以上の傾きを持つ方向に延設されていることが好ましい。
【0023】
取付部4は、本実施例では、側面形状が三角形状のものに形成されており、ケミカルアンカー5a、金属プレート5b、ナット5cなどで建築物躯体6に固定されるが、要はコンクリート面や金属面などの躯体にボルト、ナット類などの適当な締結金具で固定されればよいので、その固定手段、形状、材質、寸法などには限定されない。
【0024】
このような本実施例に係る防音壁1では、まず、軽量化が可能となる。すなわち、防音部2と柱体3とが繊維強化プラスチックからなるスキン材を用いて構成されているので、コンクリートや鉄等の一般的な金属に比べて比強度が高く、防音壁用パネルとしての必要な強度を持たせることと大幅な軽量化を図ることができ、重機類などの専用架設装置を用いずとも高所への設置を容易にできる。
【0025】
そして、本実施例においては、防音壁1内における防音部2から建築物躯体6までの間に設けられる、他の部分よりも弾性率または剛性の低い部分7は、繊維強化プラスチック製の取付部4のアンカー5aの挿通部分、つまり、取付部4の一部とし形成されている。この他の部分よりも弾性率または剛性の低い部分7は、本実施例では、厚さ6mmのガラス繊維強化プラスチック製の単板に構成されている。
【0026】
この他の部分よりも弾性率または剛性の低い部分7が、振動の防止や振動による騒音発生の防止に対し有効に作用するには、つまり、振動を有効に吸収するかあるいは振動伝播経路を有効に遮断するには、その低い弾性率または剛性を発現させるために変形を許容できるように固定されていなければならない。このこと、および、この他の部分よりも弾性率または剛性の低い部分7による効果を確認するために、以下のような試験を行った。
【0027】
図3に示すように、上記防音壁1を、加振装置の加振テーブル11上に固定し、加振時に防音壁1に伝達されてくる振動を、防音部2の上端部近傍に取り付けた加速度ピックアップ12により、振動周波数(Hz)に対する加速度(G)として測定した。
【0028】
まず、図4に示すように(図4は防音壁1を図2の矢印A方向から観た防音壁部分を示している。)、防音壁1の他の部分よりも弾性率または剛性の低い部分7を完全に加振テーブル11の上面に密着させて固定したところ、振動周波数(Hz)に対する加速度(G)の特性は図5に示すようになった。この固定方法では、他の部分よりも弾性率または剛性の低い部分7が完全に加振テーブル11の上面に密着固定されているので、部分7の独自の変形は許容されず、したがって、本発明で意図した、部分7の弱い弾性率または剛性の特性は発揮されていない。この場合、図5に示すように、軽量の防音壁1は、種々の周波数域で共振し、とくに200Hz〜300Hzの領域内でいくつかの共振点を有しており、優れた防音効果を発現しにくくなっていることがわかる。
【0029】
次に、図6に示すように、防音壁1の他の部分よりも弾性率または剛性の低い部分7を、スペーサ13を介在させて加振テーブル11の上面から浮かせた状態で固定し、部分7の変形を許容してその低い弾性率または剛性を発現可能にして測定したところ、振動周波数(Hz)に対する加速度(G)の特性は図7に示すようになった。この場合、図7に示すように、軽量の防音壁1であっても、加振テーブル11からの振動は、他の部分よりも弾性率または剛性の低い部分7により効果的に吸収あるいは遮断され、共振の発生がほとんど完全に防止されて、防音部2における振動はきわめて小さく抑えられていることがわかる。つまり、防音壁1内に、このような他の部分よりも弾性率または剛性の低い部分7が存在することにより、軽量の防音壁1であっても共振が効率よく抑えられ、所望の防音効果を発現させることが可能とされていることがわかる。
【0030】
このように、本発明では、防音壁内の建築物躯体から防音部に至るまでの経路に、他の部分よりも弾性率または剛性の低い部分を存在させることにより、きわめて有効に共振の発生を防止でき、その結果、防音部に設計的に意図した所望の性能を発揮させることが可能になる。
【0031】
実施例2
図8〜図12は、本発明の実施例2に係る防音壁およびそれを用いた試験を示している。図8は、一つの防音壁21を示しており、本実施例においては、防音部22は、平板状のパネルに構成されており、該防音部22は前述の図1に示したような、心材と心材の両面側に位置するスキン材とのサンドイッチ構造を有している。この防音部22に、金属製の柱体23、本実施例では肉厚2mmのSUS製のパイプからなる柱体23が、防音部22と一体的に設けられている。柱体23は防音部22の下方まで延び、この延設部分が建築物躯体への取付部24に構成されている。防音部22内にリブを設ける場合には、柱体23の延在方向25に対して60°以上の傾きを持つ方向26に延設されることが好ましい。また、防音部22の繊維強化プラスチック製スキン材は、柱体23の延在方向25に対して60°以上の傾きを持つ方向に延びる連続強化繊維を含むことが好ましい。
【0032】
このような防音壁21を、図9に示すように、鉄道高架橋27の防音壁として複数連接した。高架橋27の側面に対し、高架橋27の側面に設けたアンカーボルト28を用い、図10、図11にも示すようにスペーサ29を介在させて取付部24を浮かせた状態でナット30により固定した。また、取付部24の外面側には高架橋27の側面を覆うカバー31を設け、アンカーボルト32、ナット33により固定した。高架橋27のトラフ部34の鉄道側にはバラスト35が敷設されているが、反対側のトラフ部34と防音壁21との間は空間が形成されてしまうので、保線作業等のためにこの空間を埋めるべく、適当な充填ブロック36が介装されている。
【0033】
このような構成の防音壁21では、とくに図9、図11に示すように、肉厚2mmのSUS製のパイプからなる柱体23が高架橋27の側面に対し浮かせた状態で固定されているので、図11の矢印で示すように、薄いSUS製の板状体からなる柱体23の高架橋27側部分の変形が許容され、この部分が、本発明で言う、他の部分よりも弾性率または剛性の低い部分37となる。高架橋27と防音部22との間に、この他の部分よりも弾性率または剛性の低い部分37が存在することにより、高架橋27の振動は防音部22にはきわめて伝わりにくくなり、防音部22による意図した所望の防音効果が良好に発揮される。
【0034】
この効果を確認するために、図12に示すように、既存のコンクリートブロック製の防音壁を撤去した後、上記防音壁21を、その頂部の高さが側道41から6mの高さになるように、かつ、鉄道中心から2mの位置に配設し、民家42のそばの、側道41上で防音壁21設置位置から4m離れた場所で、地上1mの位置にて、マイク43により騒音レベルを測定した。その結果、コンクリートブロック製防音壁撤去前の状態での騒音レベル72dBに対して、2dB改善の70dBという測定値を得た。ちなみに、騒音レベルを2dB改善することは、一般には非常に難しいと考えられている。
【0035】
実施例3(設計例)
実際の試験は行わなかったが、本発明に係る防音壁は図13に示すように構成することも可能である。すなわち、図11に示した構造に比べ、建築物躯体51から防音壁の柱体52の反建築物躯体側に位置する板体部分53まで延びる段付アンカーボルト54を設け、該板体部分53をナット55を用いて固定する構造とすることもできる。この板体部分53を、本発明で言う、他の部分よりも弾性率または剛性の低い部分に構成することにより、図11に示したのと同様の作用、効果を得ることが可能である。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の防音壁によれば、防音壁内に他の部分よりも弾性率または剛性の低い部分を存在させることにより、鉄道高架橋等からの振動を適切に遮断して防音部に伝わらないようにすることができ、特に鉄道高架橋等の大きな振動を伴う箇所についても、軽量構成の防音壁でありながら優れた防音性能を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係る防音壁の正面方向から見た場合の斜視図である。
【図2】図1の防音壁を背面方向から見た場合の斜視図である。
【図3】図1の防音壁を加振テーブル上に固定した試験状態を示す斜視図である。
【図4】図3の試験において防音壁を直接加振テーブル上に固定した状態を示す、防音壁を図2のA方向から見た部分断面図である。
【図5】図4の状態における試験結果を示す特性図である。
【図6】図3の試験において防音壁をスペーサにより浮かして加振テーブル上に固定した状態を示す、防音壁を図2のA方向から見た部分断面図である。
【図7】図6の状態における試験結果を示す特性図である。
【図8】本発明の実施例2に係る防音壁の斜視図である。
【図9】図8の防音壁を鉄道高架橋に取り付けた状態を示す断面図である。
【図10】図9における柱体部の取付方法を示す分解斜視図である。
【図11】図10の取付方法により取り付けられた部分の断面図である。
【図12】実施例2における試験の様子を示す概略断面図である。
【図13】本発明の実施例3に係る防音壁の部分断面図である。
【符号の説明】
1 防音壁
2 防音部
2a、2b スキン材
2c リブ
2d 心材
3 柱体(部)
3a 柱体部のスキン材
3b 柱体部の心材
4 取付部
5a ケミカルアンカー
5b 金属プレート
5c ナット
6 建築物躯体
7 他の部分よりも弾性率または剛性の低い部分
11 加振テーブル
12 加速度ピックアップ
13 スペーサ
21 防音壁
22 防音部
23 柱体
24 取付部
27 高架橋
28 アンカーボルト
29 スペーサ
30 ナット
31 カバー
32 アンカーボルト
33 ナット
34 トラフ部
35 バラスト
36 充填ブロック
37 他の部分よりも弾性率または剛性の低い部分
41 側道
42 民家
43 マイク
51 建築物躯体
52 防音壁の柱体
53 他の部分よりも弾性率または剛性の低い部分としての板体部分
54 段付アンカーボルト
55 ナット

Claims (7)

  1. 鉄道軌道、道路などに設置される防音壁において、防音壁を構成する部分として少なくとも防音部と建築物躯体への取付部とを有し、かつ防音部を除く防音壁の構成部分のいずれかに、他の部分よりも弾性率または剛性の低い箇所が存在することを特徴とする防音壁。
  2. 他の部分よりも弾性率または剛性の低い部分が、防音部を支える柱体または該柱体を建築物躯体に固定する取付部の一部分であることを特徴とする、請求項1に記載の防音壁。
  3. 他の部分よりも弾性率または剛性の低い部分が、防音部を支える柱体と、柱体を建築物躯体に固定する取付部との間に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の防音壁。
  4. 他の部分よりも弾性率または剛性の低い部分に対して、その部分よりも防音部側にある部分の総重量の10倍の荷重を負荷したときに、他の部分よりも弾性率または剛性の低い部分の最大変形量が1mm以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の防音壁。
  5. 他の部分よりも弾性率または剛性の低い部分が、厚さ6mm以下の金属製単板で形成されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の防音壁。
  6. 他の部分よりも弾性率または剛性の低い部分が、厚さ10mm以下の繊維強化プラスチック製単板で形成されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の防音壁。
  7. 少なくとも防音部が、心材と心材の両面側に位置する繊維強化プラスチック製のスキン材とで構成されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の防音壁。
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