JP3618650B2 - 現像装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機やプリンターなどの画像形成手段として利用される電子写真方式に適用できる現像装置に係り、詳しくは、現像剤担持体表面に薄層状に形成された現像剤としてのトナー粒子が静電潜像の可視化に用いられる現像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、トナー粒子を用いた静電潜像の可視化手段として現像剤担持体表面にトナー粒子から成る薄層を形成して、これを静電潜像担持体に接近または接触させる一成分現像方式が広く利用されている。
【0003】
この方式の現像装置では、現像剤担持体にトナー層形成部材を圧接し、現像剤担持体表面に現像剤であるトナー粒子の薄層を形成するとともに、圧接部材との接触・摩擦帯電によりトナー粒子に帯電電荷を供給する。
【0004】
しかしながら、接触・摩擦帯電に依存したこの帯電方式は、帯電現象が古くから知られているにも関わらずそのメカニズムが明確に解明されていないため、トナー層の帯電均一化、あるいは帯電量の人為的制御に多大の困難を伴っている。近年、特殊な帯電特性を有する帯電制御剤が開発されるようになったが、特にカラートナーではこれを用いても帯電特性の制御は極めて困難である。
【0005】
上記のような接触・摩擦帯電を利用した現像装置に付随した問題を解消するために、トナーに対して外部から直接電荷を供給する手段が提案されている。
【0006】
このような方法として、実開昭63−138560号公報、特開平10−63096号公報などに開示された現像装置が挙げられる。実開昭63−138560号公報に開示されている現像装置は、現像担持体表面に形成されたトナー層にコロナ帯電器を用いてその直上から単極性のイオンを与えるものである。
【0007】
しかしながら、この様なコロナワイヤーを用いたコロナ帯電器は、ワイヤーの汚れに起因する軸方向に不均一な放電や、それが引き起こす帯電量のばらつき、さらにトナー粒子に電荷を一方向のみから照射することによる、トナー層の深さ方向に対する偏った電荷の付着という問題を残している。また、現像後に現像剤担持体表面に残留したトナーが帯電領域に重ねて搬送された場合にも、新たに供給された現像剤との間で帯電後の電荷量に著しいばらつきを生じてしまう。
【0008】
また、特開平10−63096号公報に開示されている現像装置は、トナー粒子の帯電電荷量を低減する手段と電荷を付与する帯電手段からなるものである。現像剤担持体と導電性あるいは半導電性部材から成る層形成ブレードとの間で生じる交流放電を利用したこの電荷低減手段は、現像剤担持体の回転方向下流側に設置された帯電装置との組み合わせで、現像後の現像剤担持体表面に残留した現像剤が繰り返し帯電領域に搬送されることによって生じる帯電量のばらつきを解消し、現像剤の均一な帯電を実現している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開平10−63096号公報に示された装置では、トナーの帯電電荷量を低減する手段を別途設ける事で低比電荷を含めた任意の帯電制御を実現しているため、除電および帯電という二つの帯電機構が必要となり、装置の大型化を招くという難点がある。
【0010】
また、放電電極としても機能するトナー層規制ブレードはトナーの付着を免れられず、付着トナーは期待する除電効果を低下させてしまう。また、トナー融着といったブレードの汚れに起因したトナー層の乱れは、別途クリーニング手段を用意して解決する必要があった。
本発明は、このような実情に鑑みてなされ、低比電荷領域を含めた極めて安定したトナーの帯電量制御と、均一なトナー層の形成とを実現することにより、良質な現像画像が得られるようにした構成簡易な現像装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述の課題を解決するための手段を以下のように構成している。
【0012】
(1)静電潜像が形成される画像担持体の表面に、現像剤担持体が近接または接触するように配置され、前記現像剤担持体の表面に担持された現像剤により、前記静電潜像を可視化するようにした現像装置において、
前記現像剤担持体は、誘電性部材からなり、現像用の直流電源に接続され、かつ、絶縁被覆の施された導電性部材からなる現像剤規制部材が、前記現像剤担持体に、対向・圧接するように配置されて、交流コロナ放電用電源と接続され、
前記現像剤担持体上に、前記現像剤規制部材との間で形成された狭ギャップ部で発生させた交流コロナ放電と、前記現像剤担持体の保持する充電電位とで、前記現像剤に所望の帯電電荷を付与し、
前記現像剤担持体の充電電位極性を制御することにより、前記現像剤担持体表面に形成された現像剤の帯電極性を正極または負極に可変的に設定する充電電圧制御部を設けたことを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、現像剤担持体の充電電位と交流コロナ放電現象を利用することにより、現像剤に帯電電荷を付与するので、帯電制御が容易となり、現像剤に均一な帯電電荷を付与することができる。
【0014】
また、このトナー粒子の帯電は、現像剤担持体の誘電性を利用するため、(従来のような)複雑な帯電機構を用いることなく、低比電荷の範囲内での帯電量制御が可能となる。
さらに、現像剤担持体の充電電位極性を制御することにより、現像剤の帯電極性を容易に切り変えることができるため、複雑な除電装置を必要とすることなく、除電作用をおこないつつ、トナー層に所望の帯電電荷を与えることができる。
【0015】
(2)前記現像剤担持体の体積抵抗率が104 〜106 Ωcmであることを特徴とする。
【0016】
体積抵抗率を104 Ωcmより小さくすると、現像剤担持体は充電電位を保持できなくなり、また、体積抵抗率を106 Ωcmより大にすると、現像剤担持体の充放電時定数が極めて大きくなり、1サイクル内で充放電が終了しないため、現像剤の帯電制御が極めて困難となる。
【0017】
この構成によれば、現像剤担持体を電気的に誘電性を有する物質で構成し、かつ、その体積抵抗率を104 Ωcm以上とすることにより、充電電流のリークを防止することができ、かつ、106 Ωcm以下に設定することにより、現像剤担持体の充電電位を有効に機能させることができる。従って、現像剤の帯電制御が容易となる。
【0018】
(3)前記現像剤規制部材の表面が、膜厚50μm以下の平滑な絶縁膜で被覆されていることを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、絶縁膜の膜厚を50μm以下にしたことにより、現像剤担持体との接触界面で発生する放電電圧を低く抑えることができる。また、その絶縁膜の表面を平滑にしたことにより、トナー粒子の薄層を形成しやすくなる。
【0022】
(4)前記現像剤規制部材と現像剤担持体とが、同じ回転方向で対向・圧接し、前記現像剤規制部材が、前記現像剤担持体の表面に形成されたトナー層をかき落とすように構成したことを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、現像剤担持体と現像剤規制部材の表面同士が互いに逆向きに摺接するので、現像剤規制部材が、現像剤担持体の表面に形成されたトナー層をかき落とすように作用し、現像剤規制部材の表面は、自身の回転によって、常に、浄化されることとなる。
【0024】
(5)前記絶縁被覆の施された導電性の現像剤規制部材に印加される交流放電電圧は、圧接部軸方向全域で交流コロナ放電の発生可能な電圧以上に設定され、かつ放電部で現像剤が往復運動することを特徴とする。
【0025】
この構成によれば、現像剤担持体表面のトナー粒子は狭ギャップ領域で往復運動するので、現像剤担持体表面でのトナー粒子の再配置が促進され、トナー粒子は極めて均一な薄層を形成する。
【0026】
また、トナー粒子の小径化に伴って要求される低比電荷での帯電制御を実現し、同時に凝集の無い極めて均一なトナー層を得ることで、現像の安定化と画質の向上とを図ることが可能となる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の一実施形態に係る現像装置につき図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は現像装置の構成を示し、この現像装置は、電荷の有無で表された静電潜像を表面に形成した静電潜像担持体(画像担持体)1に対向するように配設した現像剤担持体(矢印13方向に回転する)2を有し、その現像剤担持体2は、独立に回転を可能で、静電潜像担持体1と接近するか、あるいは接するように配置され、その現像剤担持体2の表面に形成された一成分現像剤(以下、現像剤という)を用いて、静電潜像担持体1の表面に形成された静電潜像を可視化する。
【0028】
(構成および動作)
その現像装置は、静電潜像を可視化するための現像剤としてのトナー粒子15を薄層の状態で担持搬送する現像剤担持体2と、そのトナー粒子15を層形成しさらに電荷を付与するために絶縁薄膜部材で披覆された導体からなる現像剤規制部材(矢印14方向に回転する)3と、現像剤担持体2を充電するための導電性ローラ(矢印16方向に回転する)4と、現像槽内のトナー粒子15を攪拌するための攪拌部材6と、攪拌部材6を介して現像剤担持体2ヘトナー粒子15を供給する現像剤供給部材5とから構成され、これら各部材およびトナー粒子15がハウジング10内に収納されている。
【0029】
さらに、現像剤規制部材3で交流放電を発生させるための交流コロナ放電用電源9と、現像剤担持体2の充電電位を制御するために導電性ローラ4に直流電源を印加する充電電圧制御電源7と、および現像用の直流電圧を現像剤担持体2に印加する現像用電源8とを備えている。その充電電圧制御電源7は、充電電圧制御部として機能する制御ユニット4(図2参照)に接続され、その制御ユニット4からの指令で、現像剤担持体2の充電電位極性を制御することにより、現像剤担持体2の表面に形成された現像剤の帯電極性を正極または負極へと可変的に設定(任意に選択)できるようにしている。
【0030】
その現像剤規制部材3は、現像剤担持体2と同じ回転方向で当接(摺接)するため、現像剤規制部材3が、現像剤担持体2の表面のトナー層をかき取るように作用すると共に、交流コロナ放電の放電電極となる現像剤規制部材3の表面の現像剤による汚染も現像剤担持体2によって払拭され、現像剤規制部材3は常に清浄な状態に保持される。
【0031】
さらに、より一層の清浄化を図るべく、現像剤規制部材3の表面に付着したトナー粒子15を、常時、かき落とすために、厚さ100μmのステンレス製のブレード11の先端部を、現像剤規制部材3の表面に摺接させている。従って、その現像剤規制部材3の表面は、自身の回転によって、常に、清浄化されることとなる。
【0032】
現像剤担持体2には、トナー粒子15の帯電極性と同極性の直流電圧が現像用電源8から印加され、対向して配置された静電潜像担持体1に形成された静電潜像にトナー粒子が付着または反発するのに必要な電界強度が保持される。この現像剤担持体2は、ベースとなるウレタンゴムにカーボンブラックを分散させたものであり、その体積抵抗率を104 〜106 Ωcmの範囲に設定することにより、上記の帯電制御をおこなうための条件が満たされる。
【0033】
体積抵抗率を104 Ωcmより小さくすると、現像剤担持体2は充電電位を保持できなくなり、また、体積抵抗率を106 Ωcmより大きくすると、現像剤担持体2の充放電時定数が極めて大きくなり、1サイクル内で充放電が終了しないため、現像剤の帯電制御が極めて困難となる。
【0034】
従って、この現像剤担持体2を電気的に誘電性を有する物質で構成し、かつ、その体積抵抗率を、充電電流のリークを防止するために104 Ωcm以上とし、同時に、現像剤担持体2の充電電位を有効に機能させるために106 Ωcm以下に、つまり、104 Ωcm≦体積抵抗率≦106 Ωcmに設定すればよい。
【0035】
現像剤規制部材3は、導体である金属製の円筒表面を絶縁薄膜で覆ったものであり、その薄膜部材としては絶縁性の高いポリエチレン・テレフタレートあるいはポリエステルなどが好適であり、現像剤担持体2との接触界面で発生する放電電圧を低く設定する目的から、その膜厚は50μm程度にするのが望ましい。また、トナー粒子の薄層を形成するために、その絶縁性薄膜の表面は極めて平滑であることが好ましい。
【0036】
この絶縁被覆された現像剤規制部材3は、上述したように、現像材担持体2と対向・圧接するように配置され、現像剤の(静電潜像担持体1側への)排出を規制する。また、この現像剤規制部材3には、交流コロナ放電用電源9が接続され、現像材担持体2との間で形成された狭ギャップ部で交流コロナ放電を発生させるように構成されている。
【0037】
交流コロナ放電用電源9の電圧値は、絶縁薄膜を介して現像剤担持体2との接触界面でコロナ放電を発生させることができる程度の大きさが必要とされ、その値は現像剤規制部材3を覆う絶縁薄膜の材質や膜厚で決定される。
【0038】
例えば、現像剤担持体2を円筒状に構成した時の直径を32mm、誘電層の厚さを7mm、その抵抗値を106 Ωcm、比誘電率を1167とし、現像剤規制部材3をステンレス製の直径16mmの円筒形状とし、その絶縁皮膜を厚さ50μmのポリエチレン・テレフタレート製とした場合、交流印加電圧を1250V0−P 、その周波数を2kHzとすることで、前述の帯電制御と均一なトナー層の形成とを実現することができる。
【0039】
現像剤規制部材3に印加する電圧がこの値よりも小さい場合、接触界面で発生する放電が、現像剤規制部材3の軸方向全域で発生せず、放電により生成された電荷担体を極めて局部的にトナー層へ付与することになり、トナー粒子の帯電分布が極めて不均一なものとなる。また、印加電圧を極端に大きな値にすると、接触界面でのコロナ放電は火花放電へと進展し、現像剤担持体2の表面を炭化させてしまう。なお、好ましい交流印加電圧値は、1200〜1650V0−P である。
【0040】
円筒状に成形されたステンレス製の導電性ローラ4は、現像剤担持体2を充電するために接触するよう構成され、かつ、現像剤担持体2と連れ回り回転する。また、導電性ローラ4には直流電圧電源7が接続され充電電位が決定される。
【0041】
現像剤供給部材(矢印17方向に回転する)5は、ステンレス製シャフトにウレタンスポンジを同軸円筒状に加工したものであり、現像剤担持体2と同じ回転方向に所定の周速が与えられて回転し、現像剤供給電源(直流電圧電源)12に接続される。
【0042】
導電性ローラ4は、現像剤担持体2の表面に残留したトナー粒子の回収をもおこない、現像剤供給部材5は現像剤攪拌部材6から運ばれた現像剤を効率よく現像剤担持体2へ供給する。
【0043】
なお、現像剤供給部材5は、使用するウレタンスポンジの抵抗率によって、現像剤担持体2の充電電極を兼ねることも可能である。
【0044】
トナー粒子15は、スチレンーアクリル共重合体の基材にカーボンブラックを添加した平均粒径5.5μmの粒子であり、交流コロナ放電による帯電後には現像剤担持体2の表面に厚さ11〜16μmのトナー層を形成する。
【0045】
図2は、現像装置の制御系統を示し、10は制御ユニットで、各種演算機能を有するCPUと記憶機能を有するROMとRAMを具備し、ROMに格納された制御プログラムに従い各部材に制御指令を送出し、現像のために必要な制御をおこなう。その制御ユニット10の入力側には、現像装置が組み込まれている画像形成装置または外部からの印字要求についての情報が入力され、出力側には、現像剤担持体2、現像剤規制部材3、導電性ローラ4、現像剤供給部材5および現像剤攪拌部材6の各駆動源(または駆動手段)と、充電電圧制御電源(直流)7、現像用電源(直流)8、交流コロナ放電用電源9および現像剤供給電源(直流)12が接続される。
【0046】
(トナー帯電メカニズム)
以下に、上記構成により実現されるトナー帯電メカニズムについて、詳細に説明する。
現像剤担持体2の表面に現像剤を介して圧接される導電性の現像剤規制部材3は、交流放電電圧9を印加されて生じた放電現象を利用することにより、現像剤担持体2の表面に形成された現像剤の帯電制御をおこない、かつ、均一なトナー層の形成を実現する。
【0047】
現像剤担持体2の充電電位を図3に基づいて説明すると、前述したように、制御ユニット4からの指令で、充電電圧制御電源7から導電性ローラ4に印加する直流電圧の極性を制御(正極または負極を選択)することにより、現像剤担持体2の充電電位は正極性または負極性に制御可能であり、図3では両者を併せて図示している。
【0048】
現像剤担持体2の充電及び回転を停止させた時刻を横軸ゼロとすると、測定経過時間に対する現像剤担持体2の充電電位を含めたトナー層表面電位Vd +Vt の減衰特性が得られる。なお、トナー層表面電位は、市販の表面電位計を用いて測定した。
【0049】
時間の経過とともに現像剤担持体2の電荷は抵抗率および静電容量に依存した放電時定数に従って消失し、最終的にトナー層の帯電電位のみが表面電位として測定される。Vd1, Vd2で表された電位差が現像剤担持体2の充電電位であり、この電位差がトナーの帯電に利用される。
【0050】
図3には、現像剤担持体2の充電電位を示し、また、図4には、電位差Vd1となる条件で、現像剤規制部材3へ交流放電電圧を印加した時に得られるトナー層表面電位Vd +Vt の変化を示す。なお、導電性ローラ4に印加する直流電圧が正極性の場合を示している。
【0051】
領域Aでは、現像剤担持体2を充電中に得られる表面電位が測定される。領域Bでは、現像剤規制部材3へ交流放電電圧を印加中であるので、交流コロナ放電の除電作用により、表面電位がゼロとなって観測される。領域Cからは、現像剤担持体2の充電及び回転の停止、そして交流放電電圧を切断した状態で測定されるトナー層表面電位Vd +Vt の減衰特性が現われ、現像剤担持体2の充電電位Vd1が失われる過程で、トナー層単体の帯電電位Vt は充電電位Vd1の逆極性の帯電電位として表れる。
【0052】
次いで、図5には、現像剤担持体2を正極に充電した場合に作用する帯電機構、つまり、現像剤担持体2が正極の充電電位を持った時の交流コロナ放電下でのトナー粒子15の帯電メカニズム(トナー飛翔なし)を拡大して示す。
【0053】
トナー粒子15は、現像剤規制部材3と現像剤担持体2との機械的な力で、現像剤担持体2の表面に薄層状に堆積する。現像剤規制部材3へ交流コロナ放電電圧を印加すると、その狭ギャップ領域は正負の電荷担体に満たされる。この放電で生じた正負両電荷担体は、トナー層の帯電電位および現像剤担持体2の表面電位をゼロとするようにトナー層表面に堆積する。
【0054】
ここで電子および正イオンの大部分が現像剤担持体2の表面に形成されたトナー粒子15に保持されると、トナー層単体の総電荷量は、現像剤担持体2の帯電電位Vd1をキャンセルするのに費やされた電荷担体の分だけ、トナー層の総電荷量ゼロからの偏りとして保持されることとなる。
【0055】
この結果、トナー層単体の電荷量はゼロとならず、現像剤担持体2の帯電電位Vd1と逆極性の帯電電荷が余分にトナー層に残り、トナー層表面電位Vd +Vt を0Vとする除電作用を行いながら、トナー層には所望の帯電電荷を与えることが可能となる。
【0056】
この様に、本現像装置は、現像剤担持体2の充電電位を制御することにより、現像剤担持体2の表面に形成されたトナー粒子15の帯電極性を正極または負極へと任意に選択可能(可変的に設定が可能)であり、また、その充電電位を制御することにより、トナー粒子15の帯電量を制御可能とし、これにより、安定したトナー粒子15の帯電量制御と、均一なトナー層の形成とを実現して、良質な現像画像を形成することができる。
【0057】
また、本発明の別の実施形態として、絶縁被覆の施された(導電性)現像剤規制部材3に印加される交流放電電圧のゼロトウピーク電圧V0−P を現像剤担持体2との圧接部近傍の軸方向全域で発生可能な放電電圧以上とし、同時に交流放電電圧の周波数を狭ギャップでのトナー粒子の飛翔運動を可能にする値とした場合について説明する。
【0058】
この場合、現像剤担持体2の表面のトナー粒子15は狭ギャップ領域で往復運動し、現像剤担持体2の表面でのトナー粒子15の再配置を実現する。その結果、トナー粒子15は極めて均一な薄層を形成することになる。
【0059】
現像剤担持体2を正極に充電した場合に作用する除電・帯電機構、つまり、現像剤担持体2が正極の充電電位を持った時の交流コロナ放電下でのトナー粒子15の帯電メカニズム(トナー飛翔あり)を拡大して図6に示す。
【0060】
現像剤規制部剤3と現像剤担持体2との狭ギャップ領域に形成される交番電界に従ってトナー粒子15が往復運動を行うよう、交流放電電圧の周波数を設定する。この飛翔過程でトナー粒子15が電子又は正イオンと触れることで、トナー粒子15が保持していた帯電電荷は一時的に中和され、帯電量はゼロとなる。
【0061】
現像剤担持体2が狭ギャップを移動することで、トナー粒子15は現像剤担持体2の表面に再配置され再び層状態を形成する。放電領域はさらに継続するため、トナー層は前述の帯電過程と同様に、現像剤担持体2の充電電位を利用することで帯電電荷を得る。
【0062】
図6は現像剤担持体2と現像剤規制部材3との接触界面で放電が発生した時の電荷担体とトナー粒子15との関係を表した説明図であり、トナー粒子15の帯電メカニズムを表している。電界の作用により放電領域を往復運動するトナー粒子15は、電子と正イオンの混在する空間でその帯電電荷を中和される。
【0063】
中和されたトナー粒子15が現像剤担持体2の表面に堆積し、層を形成した後に、コロナ放電によって生成された電子または正イオンは、現像剤担持体2の充電電位を含めたトナー層の表面電位をゼロとするようにトナー層表面に降り注ぐ。その結果、トナー粒子15があらかじめ保持していた帯電電荷の除電と、それに引き続くトナー粒子15の帯電とを、一つの機構で達成可能となる。
【0064】
図7は、導電性ローラ4への印加電圧V4 と現像剤供給部材5への印加電圧V5 の値を変えた時に得られた、帯電直後からの現像剤担持体2の充電電位を含めたトナー層表面電位Vd +Vt の変化を表している。
【0065】
このとき、現像剤担持体2の充電電位Vd は、
Vd =初期帯電電位Vi −収束電位Vc
で与えられる。Vi およびVc は、それぞれ、T=0およびT→∞の場合のトナー層表面電位Vd +Vt である。例えば、減衰曲線1の場合には、Vi =−55V、Vc =−35Vより、
Vd =Vi −Vc =−55−(−35)=−20V
となる。
【0066】
同様に、減衰曲線2の場合には、Vi =Vc =0Vより、
Vd =Vi −Vc =0V
となる。
【0067】
また、減衰曲線3の場合には、Vi =−5V、Vc =−13Vより、
Vd =Vi −Vc =−5−(−13)=+8V
となる。
【0068】
使用したトナーは負極性の帯電特性を有する平均粒径5.5μmの粒子である。本実施形態では、導電性ローラ4と共に現像剤供給部材5も充電部材として機能しており、現像剤担持体2の充電電位Vd は、充電電圧制御電源7および現像剤供給電源12の印加電圧を制御することによりおこなう。
【0069】
横軸は、V4,V5 への電圧供給および現像剤担持体2の回転を停止した瞬間からの経過時間を表している。印加電圧の設定により初期帯電電位は異なり、時間の経過とともに現像剤担持体2の電荷は自身の抵抗率および静電容量に依存した放電時定数に従って失われ、最終的にトナー層の帯電電位のみが表面電位として表れる。
【0070】
また、以上説明したように、印加電圧の設定により、現像剤担持体2の充電電位Vd を負極性(曲線1)、充電電位ゼロ(曲線2)あるいは正極性(曲線3)と任意に選択することが可能となる。
【0071】
このような充電状態で交流コロナ放電をトナー層に対して付与すると、現像剤担持体2の充電電位Vd が負極性の条件ではトナー層を正帯電の領域で、また、現像剤担持体2の充電電位Vd が正極性の条件ではトナー層を負帯電の領域で制御可能となる。
【0072】
例えば、導電性ローラ4に印加する充電電圧制御電源7の電圧値V3と現像剤供給部材5に印加する現像剤供給電源12の電圧値V4 と、現像剤担持体2の充電電位との関係は、以下の関係にある。
【0073】
【表1】
【0074】
条件1で得られたトナー層に交流コロナ放電を付与し、その比電荷量を測定したところ、通常の一成分現像に利用される接触・摩擦帯電方法で−30μC/g程度に帯電するトナー粒子15を、+7.2μC/gとすることが可能となり、同時に、トナー粒子15の往復運動に伴う再配置によって現像剤担持体2の表面に極めて均一なトナー層を形成することができた。
【0075】
同様に、現像剤担持体2の充電電位が正極性となるような表2に示す条件2’の設定から、現像剤担持体2の帯電電位を+21Vとなる条件を選択し、上記条件の交流コロナ放電を付与したところ、−10.6μC/gという極めて低比電荷のトナー粒子15と均一なトナー層を得ることができた。
【0076】
【表2】
【0077】
【発明の効果】
請求項1によれば、現像剤担持体の充電電位と交流コロナ放電現象を利用することにより、現像剤に帯電電荷を付与するので、帯電制御が容易となり、現像剤に均一な帯電電荷を付与することができる。
【0078】
また、このトナー粒子の帯電量は、現像剤担持体の誘電性を利用するため、従来の装置のような複雑で多段階の帯電機構を用いることなく、低比電荷の範囲内での帯電量制御が可能となり、均一なトナー層を形成することができ、バラツキない高品位の画像現像を得ることができる。また、装置の構成が簡素となるため、装置を安価に提供することができる。
さらに、現像剤担持体の充電電位極性を制御することにより、現像剤の帯電極性を容易に設定変更(切り換え)できるため、複雑な除電装置を必要とすることなく、除電作用をおこないつつ、トナー層に所望の帯電電荷を与えることができる。
【0079】
請求項2によれば、現像剤担持体を電気的に誘電性を有する物質で構成し、かつ、その体積抵抗率を104 Ωcm以上とすることにより、充電電流のリークを防止し、かつ、106 Ωcm以下に設定することにより、現像剤担持体の充電電位を有効に機能させることができ、現像剤の帯電制御が容易となる。
【0080】
請求項3によれば、絶縁膜の膜厚を50μm以下にしたことにより、現像剤担持体との接触界面で発生する放電電圧を低く抑えることができる。また、その絶縁膜の表面を平滑にしたことにより、トナー粒子の薄層を形成しやすくなる。
【0082】
請求項4によれば、現像剤担持体と現像剤規制部材の表面同士が互いに逆向きに摺接するので、現像剤規制部材が、現像剤担持体の表面に形成されたトナー層をかき落とすように作用し、現像剤規制部材の表面は、自身の回転によって、常に、浄化されることとなる。
【0083】
請求項5によれば、現像剤担持体表面のトナー粒子は狭ギャップ領域で往復運動するので、現像剤担持体表面でのトナー粒子の再配置が促進され、トナー粒子は極めて均一な薄層を形成することになる。
【0084】
また、トナー粒子の小径化に伴って要求される低比電荷での帯電制御を実現し、同時に凝集の無い極めて均一なトナー層を得ることで、現像の安定化と画質の向上とを図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る現像装置の構成図である。
【図2】同制御系統図である。
【図3】同現像剤担持体の充電電位減衰曲線を示すグラフである。
【図4】同交流コロナ放電を付与した場合の現像剤担持体充電電位の変化を示すグラフである。
【図5】同トナー粒子帯電メカニズム(トナー飛翔なし)の説明図である。
【図6】同トナー粒子帯電メカニズム(トナー飛翔あり)の説明図である。
【図7】同トナー層表面電位の変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1−画像担持体
2−現像剤担持体
3−現像剤規制部材
8−直流電源
10−充電電圧制御部(制御ユニット)
12−交流コロナ放電用電源
Claims (5)
- 静電潜像が形成される画像担持体の表面に、現像剤担持体が近接または接触するように配置され、前記現像剤担持体の表面に担持された現像剤により、前記静電潜像を可視化するようにした現像装置において、
前記現像剤担持体は、誘電性部材からなり、現像用の直流電源に接続され、かつ、絶縁被覆の施された導電性部材からなる現像剤規制部材が、前記現像剤担持体に、対向・圧接するように配置されて、交流コロナ放電用電源と接続され、
前記現像剤担持体上に、前記現像剤規制部材との間で形成された狭ギャップ部で発生させた交流コロナ放電と、前記現像剤担持体の保持する充電電位とで、前記現像剤に所望の帯電電荷を付与し、
前記現像剤担持体の充電電位極性を制御することにより、前記現像剤担持体表面に形成された現像剤の帯電極性を正極または負極に可変的に設定する充電電圧制御部を設けたことを特徴とする現像装置。 - 前記現像剤担持体の体積抵抗率が104 〜106 Ωcmであることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
- 前記現像剤規制部材の表面が、膜厚50μm以下の平滑な絶縁膜で被覆されていることを特徴とする請求項1または2記載の現像装置。
- 前記現像剤規制部材と現像剤担持体とが、同じ回転方向で対向・圧接し、前記現像剤規制部材が、前記現像剤担持体の表面に形成されたトナー層をかき落とすように構成したことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の現像装置。
- 前記現像剤規制部材に印加される交流放電電圧は、圧接部軸方向全域で前記交流コロナ放電の発生可能な電圧以上に設定され、かつその放電部で現像剤が往復運動することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の現像装置。
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