JP3617553B2 - オレフィン水添複合触媒及び水添共役ジエン系重合体の製造方法 - Google Patents

オレフィン水添複合触媒及び水添共役ジエン系重合体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、オレフィン化合物水添用複合触媒、及び該触媒を用いて共役ジエン系重合体または、共役ジエンとビニル芳香族炭化水素との共重合体中のオレフィン性不飽和二重結合を選択的に水添することによる水添共役ジエン系ポリマ−の製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
オレフィン性不飽和二重結合を有する化合物の水添触媒としては、一般的に不均一系触媒と均一系触媒とが知られている。前者の不均一系触媒は、広く工業的に用いられているが均一系触媒と比べると一般に活性が低く、所望の水添反応を行う為には多量の触媒を要し、高温高圧下で行われるので不経済になる。一方、後者の均一系触媒は、通常均一系で水添が進行するので不均一系と比べると活性が高く触媒使用量が少なくて済み、より低温、低圧で水添出来る特徴があるが、反面、触媒調製が煩雑で触媒自体の安定性も充分とはいえず、再現性にも劣り好ましくない副反応を併発しやすいという欠点を有している。また、立体障害を有するアルキル基置換のオレフィン性不飽和二重結合を水添する場合に於て充分な水添活性は得られていない。従って高活性で取扱の容易な水添触媒の開発が強く望まれているのが現状である。
【0003】
一方、オレフィン性不飽和二重結合を含有する重合体は、不飽和二重結合が加硫等に有利に利用される反面、かかる二重結合は耐熱性、耐酸化性等の安定性に劣る欠点を有している。これらの安定性に劣る欠点は、重合体を水添して重合体鎖中の不飽和二重結合をなくすことにより著しく改善される。しかし、重合体を水添する場合には低分子化合物を水添する場合に比べて、反応系の粘度や重合体鎖の立体障害等の影響を受けて水添し難くなる。さらに水添終了後、触媒を物理的に除去することが極めて難しく、実質上完全に分離することが出来ない等の欠点がある。従って経済的に有利に重合体を水添する為には、脱灰の不要な程度の使用量で活性を示す高活性水添触媒、あるいは極めて容易に脱灰出来る触媒の開発が強く望まれている。
【0004】
本発明者らは既に特定のチタノセン化合物とアルキルリチウムを組み合わせて、オレフィン化合物を水添する方法(特開昭61−33132号公報、特開平1−53851号公報)、メタロセン化合物と有機アルミニウム、亜鉛、マグネシウムとを組み合わせてオレフィン性不飽和(共)重合体を水添する方法(特開昭61−28507号公報、特開昭62−209103号公報)、特定のチタノセン化合物とアルキルリチウムとの組合せでオレフィン性不飽和基含有リビングポリマ−を水添させる方法(特開昭61−47706号公報、特開昭63−5402号公報)等を既に発明した。しかし、これらの方法は高活性なものの、水添触媒の取扱い方が難しく、長期貯蔵安定性にも難があった。
【0005】
一方、特定のチタノセン化合物とアルコキシリチウムとの組合せでオレフィン性不飽和二重結合含有ポリマ−中のオレフィン性二重結合を水添する方法(特開平1−275605号公報)も開示されている。この方法では更に還元剤としてアルコキシリチウム以外の高価な有機金属化合物を必要とする。また、特定のチタノセン化合物とオレフィン化合物と還元剤の組合せでオレフィン性不飽和二重結合含有ポリマ−中のオレフィン性二重結合を水添する方法(特開平2−172537号公報)が開示されている。これは貯蔵安定性や活性再現性を効果として挙げているが、1ケ月以上に渡る長期貯蔵安定性が十分でない欠点があった。そこで、本発明者らはこれら問題点を解決する為に特定のミクロ構造を有する液状ゴム、特定のチタノセン、還元剤との組合せでオレフィン化合物を水添させる方法を出願した(特開平4−96905号公報)。しかし、この方法でも数カ月に渡る長期貯蔵安定性が十分でなく、さらなる改善が望まれていた。
【0006】
【本発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、安定で取扱易く、数ケ月に渡る長期貯蔵に耐え、水添反応時には極めて少ない使用量で再現性良く活性を示す超高活性水添触媒を提供すること、及び該触媒を用いて、耐候性、耐酸化性、耐オゾン性に優れた水添重合体の製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用】
上記課題を解決する為に、本発明の第1は、下記(A)から(D)成分より構成され、(C)の存在下、(A)を(B)で還元させた後に(D)を添加し、調合することを特徴とするオレフィン化合物水添用複合触媒、である。
【0008】
(A)次の一般式(1)で示されるチタノセン化合物の少なくとも一種。
【化4】
Figure 0003617553
(但し、R、Rは、C〜C12の炭化水素基、アリ−ロキシ基、アルコキシル基、ハロゲン基、及び、カルボニル基から選択された基を表し、R、Rは同一でも異なっていてもよい。Cpはシクロペンタジエニル基を表す。)
【0009】
(B)還元能力を有する含Li、Na、K、Mg、Ba、Zn、Al、Ca化合物から選ばれる少なくとも一種の還元剤。
(C)側鎖オレフィン性不飽和二重結合量の全体オレフィン性不飽和二重結合量に対する分率が0.3〜1であるオレフィン性不飽和二重結合含有重合体。
(D)アルコ−ル化合物、エ−テル化合物、チオエ−テル化合物、ケトン化合物、スルホキシド化合物、カルボン酸化合物、カルボン酸エステル化合物、アルデヒド化合物、ラクトン化合物、アミン化合物、アミド化合物、ニトリル化合物、エポキシ化合物及びオキシム化合物の群から選ばれる少なくとも1種の極性化合物。
【0010】
本発明の第2は、上記(A)から(D)成分の他に下記(E)成分より構成され、(C)(E)の存在下、(A)を(B)で還元させた後に(D)を添加し、調合することを特徴とするオレフィン化合物水添用複合触媒、である。
(E)次の一般式(2)で表されるアルカリ化合物。
OM ・・・(2)
(但し、Mはリチウム、ナトリウム及びカリウムから選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属原子。RはC〜C12のアルキル基、アリ−ル基、アラルキル基または酸素原子及び/または窒素原子を有する炭化水素基を表す。)
【0011】
本発明の第3は、上記(A)から(D)成分の他に下記(E)成分より構成され、(C)の存在下、(A)を(B)で還元させた後に(D)(E)を添加し、調合することを特徴とするオレフィン化合物水添用複合触媒、である。
(E)下記一般式(化7)で表されるアルカリ化合物。
OM ・・・(2)
(但し、Mはリチウム、ナトリウム及びカリウムから選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属原子。RはC〜C12のアルキル基、アリ−ル基、アラルキル基または酸素原子及び/または窒素原子を有する炭化水素基を表す。)
【0012】
本発明の第4は、共役ジエン系重合体、または共役ジエンとビニル芳香族炭化水素との共重合体を、不活性有機溶媒中にて水素と接触させて該ポリマ−のオレフィン性不飽和二重結合を水添するに際し、請求項1〜3記載の複合触媒を予め触媒槽にて調合し、これを水添槽に移送し、該水添の触媒とすることを特徴とする水添共役ジエン系ポリマ−の製造方法、である。
【0013】
本発明の第5は、共役ジエン系重合体、または共役ジエンとビニル芳香族炭化水素との共重合体を、不活性有機溶媒中にて水素と接触させて該ポリマ−のオレフィン性不飽和二重結合を水添するに際し、請求項2または3記載の複合触媒を該水添の触媒とすることを特徴とする水添共役ジエン系ポリマ−の製造方法、である。
本発明において、共役ジエン系重合体または共役ジエンとビニル芳香族炭化水素との共重合体は、好ましくはその共役ジエン部分が1,3−ブタジエン及び/またはイソプレンであって、ビニル芳香族炭化水素がスチレン及び/またはα−メチルスチレンである。
【0014】
本発明に係わる一般式(1)で表されるチタノセン化合物の少なくとも一種(A)と還元力を有する化合物(B)と、側鎖に特定の割合以上のオレフィン性不飽和二重結合を有するオレフィン性不飽和二重結合含有重合体(C)とを組み合わせて共役ジエン系重合体、または共役ジエンとビニル芳香族炭化水素との共重合体のオレフィン性不飽和二重結合を選択的に水添する方法はすでに本発明者らによって出願されている(特開平4−96905号公報)。本発明者らは、この先願オレフィン水添触媒の活性をさらに向上させ、数ケ月に渡る貯蔵安定性に優れる水添触媒につき、さらに鋭意検討した結果、(C)特定のミクロ構造を有する液状オレフィン性不飽和二重結合含有重合体の存在下、(A)特定の構造を有するチタノセン化合物を(B)還元能力を有する特定の金属化合物で還元させた後に(D)アルコ−ル化合物、エ−テル化合物、チオエ−テル化合物、ケトン化合物、スルホキシド化合物、カルボン酸化合物、カルボン酸エステル化合物、アルデヒド化合物、ラクトン化合物、アミン化合物、アミド化合物、ニトリル化合物、エポキシ化合物及びオキシム化合物の群から選ばれる少なくとも1種の極性化合物を添加して調合した水添複合触媒が共役ジエン系重合体または、共役ジエンとビニル芳香族炭化水素との共重合体のオレフィン性不飽和二重結合を脱灰の不要なレベルの使用量、穏和な条件下にて選択的に水添し、触媒の長期活性安定性にも優れることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0015】
本発明に係わる水添触媒成分(A)は下記一般式(1)で示される。
【化5】
Figure 0003617553
(但し、R、Rは、C〜C12の炭化水素基、アリ−ロキシ基、アルコキシル基、ハロゲン基、及び、カルボニル基から選択された基を表し、R、Rは同一でも異なっていてもよい。Cpはシクロペンタジエニル基を表す。)
【0016】
、RのC〜C12の炭化水素基としては例えば次の一般式(3)で表される置換基も含まれる。
【化6】
Figure 0003617553
(但し、RからRは水素あるいはCからCのアルキル炭化水素基を示し、RからRのうち一つ以上は水素であり、n=0または1である)
【0017】
一般式(3)のうち、RからRがすべてアルキル基のものはおそらくは立体障害の為に水添活性が若干劣り、好ましくない場合がある。
また、アルキル炭化水素基が中心金属に対しオルトの位置にある化合物は活性は高いものの合成が困難であるので好ましくない。
係る触媒成分(A)の具体例としては、ビス(η−シクロペンタジエニル)チタニウムジメチル、ビス(η−シクロペンタジエニル)チタニウムジエチル、ビス(η−シクロペンタジエニル)チタニウムジn−ブチル、ビス(η−シクロペンタジエニル)チタニウムジ−sec−ブチル、ビス(η−シクロペンタジエニル)チタニウムジヘキシル、ビス(η−シクロペンタジエニル)チタニウムジオクチル、ビス(η−シクロペンタジエニル)チタニウムジメトキシド、ビス(η−シクロペンタジエニル)チタニウムジエトキシド、ビス(η−シクロペンタジエニル)チタニウムジプロポキシド、ビス(η−シクロペンタジエニル)チタニウムジブトキシド、ビス(η−シクロペンタジエニル)チタニウムジフェニル、ビス(η−シクロペンタジエニル)チタニウムジ−m−トリル、ビス(η−シクロペンタジエニル)チタニウムジ−p−トリル、ビス(η−シクロペンタジエニル)チタニウムジ−m,p−キシリル、ビス(η−シクロペンタジエニル)チタニウムジ−4−エチルフェニル、ビス(η−シクロペンタジエニル)チタニウムジ−4−ヘキシルフェニル、ビス(η−シクロペンタジエニル)チタニウムジフェノキシド、ビス(η−シクロペンタジエニル)チタニウムジフルオライド、ビス(η−シクロペンタジエニル)チタニウムジブロマイド、ビス(η−シクロペンタジエニル)チタニウムジイオダイド、ビス(η−シクロペンタジエニル)チタニウムクロライドメチル、ビス(η−シクロペンタジエニル)チタニウムクロライドエトキサイド、ビス(η−シクロペンタジエニル)チタニウムクロライドフェノキシド、ビス(η−シクロペンタジエニル)チタニウムジベンジル等が挙げられる。これらは単独あるいは相互に組み合わせて用いることが出来る。これらチタノセン化合物のうち、共役ジエン系重合体または、共役ジエンとビニル芳香族炭化水素との共重合体中のオレフィン性不飽和二重結合に対する水添活性が高く、かつ温和な条件で不飽和二重結合を良好に選択的に水添する好ましいものとしては、ビス(η−シクロペンタジエニル)チタニウムジメチル、ビス(η−シクロペンタジエニル)チタニウムジ−n−ブチル、ビス(η−シクロペンタジエニル)チタニウムジ−p−トリル、ビス(η−シクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、ビス(η−シクロペンタジエニル)チタニウムジカルボニル、ビス(η−シクロペンタジエニル)チタニウムジフェニル、ビス(η−シクロペンタジエニル)チタニウムジベンジルが挙げられる。さらに空気中でも安定に取扱え、(B)の還元性金属化合物と組合せた場合、最も活性の発現しやすい特に好ましいものはビス(η−シクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド、ビス(η−シクロペンタジエニル)チタニウムジ−p−トリルであり、後者は、溶剤溶解性にも優れるので最も好ましい。
【0018】
一方、触媒成分(B)としては、触媒成分(A)のチタノセン化合物を還元する能力のある有機金属化合物や含金属化合物が用いられる。これらは有機リチウム化合物、有機ナトリウム化合物、有機カリウム化合物、有機亜鉛化合物、有機バリウム化合物、有機マグネシウム化合物、有機アルミニウム化合物等を挙げることが出来るが、単独あるいは相互に(A)と組み合わせて用いることによって重合体を水添することができる。
【0019】
含Li化合物の具体例としては、メチルリチウム、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、イソブチルリチウム、t−ブチルリチウム、n−ペンチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、シクロペンタジエニルリチウム、m−トリルリチウム、p−トリルリチウム、キシリルリチウム、ジメチルアミノリチウム、ジエチルアミノリチウム等の有機リチウム化合物が挙げられる。また、トリメチルシリルリチウム、ジエチルメチルシリルリチウム、ジメチルエチルシリルリチウム、トリエチルシリルリチウム、トリフェニルシリルリチウム等の有機ケイ素リチウム化合物でも良い。
【0020】
含Na化合物の具体例としては、メチルナトリウム、エチルナトリウム、n−プロピルナトリウム、イソプロピルナトリウム、n−ブチルナトリウム、sec−ブチルナトリウム、イソブチルナトリウム、t−ブチルナトリウム、n−ペンチルナトリウム、n−ヘキシルナトリウム、フェニルナトリウム、シクロペンタジエニルナトリウム、m−トリルナトリウム、p−トリルナトリウム、キシリルナトリウム、ナトリウムナフタレン等の有機ナトリウム化合物が挙げられる。
【0021】
含K化合物の具体例としては、メチルカリウム、エチルカリウム、n−プロピルカリウム、イソプロピルカリウム、n−ブチルカリウム、sec−ブチルカリウム、イソブチルカリウム、t−ブチルカリウム、n−ペンチルカリウム、n−ヘキシルカリウム、トリフェニルメチルカリウム、フェニルカリウム、フェニルエチルカリウム、シクロペンタジエニルカリウム、m−トリルカリウム、p−トリルカリウム、キシリルカリウム、カリウムナフタレン等の有機カリウム化合物が挙げられる。
【0022】
含Zn化合物としては、ジエチル亜鉛、ビス(η−シクロペンタジエニル)亜鉛、ジフェニル亜鉛等が挙げられ、さらに含Mg化合物としては、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、エチルブチルマグネシウム、メチルマグネシウムブロマイド、エチルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムブロマイド、エチルマグネシウムクロライド、フェニルマグネシウムブロマイド、フェニルマグネシウムクロライド、t−ブチルマグネシウムクロライド、t−ブチルマグネシウムブロマイド等の有機亜鉛化合物が挙げられる。
【0023】
さらに含Al化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド、ジメチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムジクロライド、メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、トリフェニルアルミニウム、トリ(2−エチルヘキシル)アルミニウム、(2−エチルヘキシル)アルミニウムジクロリド、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン等の有機アルミニウム化合物が挙げられる。
【0024】
さらに含Ca化合物としては、ジアルキルカルシウム、ジフェニルカルシウム、ジアリ−ルカルシウム化合物等を、有機バリウム化合物としては、ジアルキルバリウム、ジフェニルバリウム、ジアリ−ルバリウム等が挙げられる。
これらの他にリチウムハイドライド、カリウムハイドライド、ナトリウムハイドライド、カルシウムハイドライド等のアルカリ(土類)金属水素化物や、リチウムアルミニウムハイドライド、ナトリウムアルミニウムハイドライド、カリウムアルミニウムハイドライド、ジイソブチルナトリウムアルミニウムハイドライド、トリ(t−ブトキシ)アルミニウムハイドライド、トリエチルナトリウムアルミニウムハイドライド、ジイソブチルナトリウムアルミニウムハイドライド、トリエチルナトリウムアルミニウムハイドライド、トリエトキシナトリウムアルミニウムハイドライド、トリエチルリチウムアルミニウムハイドライド等の2種以上の金属を含有する水素化物でも構わない。
【0025】
以上の還元剤である触媒成分(B)は二種以上を相互に混合して使用してもさしつかえないし、二種以上相互の錯体(ア−ト錯体)であってもよい。
これらア−ト錯体の中には次の一般式(4)、(5)で表される錯体も含まれる。
(AlR) ・・・(4)
(MgR) ・・・(5)
(但し、式中Mはリチウム原子、ナトリウム原子及びカリウム原子から選ばれた少なくとも一種のアルカリ金属原子、Rはアルキル基、アリ−ル基またはアラルキル基、Rはアルキル基、アリ−ル基、アラルキル基またはハロゲン原子、Rはハロゲン原子、Rはアルキル基、アリ−ル基、アラルキル基、アルコキシ基またはアリロキシ基を示す)で表される錯化合物のなかから選ばれる少なくとも一種。
【0026】
触媒成分(C)の側鎖のオレフィン性不飽和二重結合量全体のオレフィン性不飽和二重結合量に対する分率が0.3〜1であるオレフィン性不飽和二重結合含有重合体の製造に用いられるモノマ−の例としては共役ジエンが挙げられ、一般に4〜約12個の炭化水素を有する共役ジエンが挙げられる。具体的な例としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、等が挙げられる。これらは、単独または二種以上共重合させてもいい。工業的に有利に展開でき、取扱が比較的容易な1,3−ブタジエン、イソプレンが特に好ましく、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン/イソプレン共重合体が好ましい。
【0027】
また、ノルボルナジエン、シクロペンタジエン、2,3−ジヒドロジシクロペンタジエン、およびこれらのアルキル置換体を単独あるいは共重合したものでよい。
触媒成分(C)の重合体は数平均分子量が500以上1000000以下であればよい。数平均分子量が500より小さいと安定化の効果が少ないので、取扱いが容易な数平均分子量500以上の液状ゴムが望ましい。
【0028】
液状ゴムは常温で液状のものが良く、通常は数平均分子量が500〜10000の範囲のものである。数平均分子量が10000以上になると液状としての取扱いが困難になることを除いては性能上は特に問題ない。かかる触媒成分(C)の重合体においてはミクロ構造が重要である。すなわち「側鎖のオレフィン性不飽和二重結合の全体のオレフィン性不飽和二重結合に対する分率」をXとし、「(C)成分重合体の側鎖にあるオレフィン性不飽和炭素炭素二重結合数」をYとし、「(C)成分重合体の全体のオレフィン性不飽和炭素炭素二重結合全数」をZとすると「側鎖のオレフィン性不飽和二重結合の全体のオレフィン性不飽和二重結合に対する分率」はX=Y/Zで定義される。
【0029】
この値が0.3〜1にあることが必須であるが、この範囲であれば末端に水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基等の官能基を有していてもよい。
具体例を挙げるとポリブタジエンであれば全オレフィン性不飽和二重結合(シス1,4結合、トランス1,4結合、1,2結合)に対し側鎖のオレフィン不飽和二重結合(1,2結合)が0.3〜1の範囲にあれば良く、この割合が0.3より小さくなると水添触媒が不安定となって取扱いが難しく、貯蔵安定性も劣り、またうまく取り扱わないと再現性にも問題が生じる。
【0030】
また、この重合体は、共役ジエン/芳香族ビニル化合物との共重合体でもよい。芳香族ビニル化合物の具体例としては、スチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1、1−ジフェニルエチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン等が挙げられ、特にスチレンが好ましい。具体的な共重合体の例としては、ブタジエン/スチレン共重合体、イソプレン/スチレン共重合体等が最も好適である。これらの共重合体は、ランダム、ブロック、星型ブロック、テ−パ−ドブロック等いずれでもよく、特に限定されない。
【0031】
また、結合芳香族ビニル化合物の量としては70%以下が好ましい。この量が70%を越えると実質的に共役ジエン部の側鎖のオレフィン性不飽和二重結合量の全体の共重合体に占める割合が少なくなり、触媒の安定化効果が減ってしまい、比較的多量の触媒成分(C)が必要となるため、水添される共役ジエン系重合体及び共役ジエンとビニル芳香族炭化水素との共重合体の物性が変わる可能性があるので好ましくない場合がある。
【0032】
最も重要なのは(C)成分の共役ジエン部の側鎖のオレフィン性不飽和二重結合量の全体のオレフィン性二重結合に対する分率が0.3〜1であることが必要であり、好ましい分率は0.5〜0.99である。
これら触媒成分(C)は、ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、配位アニオン重合等既知の方法いずれを用いて重合してもよいが、側鎖のオレフィン性不飽和二重結合の量を増加させるには極性溶媒中あるいはその存在下で有機リチウムや有機ナトリウム化合物を触媒としてリビングアニオン重合して得るか、コバルト系チ−グラ−型触媒により配位アニオン重合で得るか、またはエチレンとジシクロペンタジエン類を共重合させて得るのが好ましい。
【0033】
かかる極性溶媒の具体例としては、テトラヒドロフラン、テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルエ−テル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコ−ルジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエ−テル、ジピペリジノエタン等が挙げられる。Li系触媒としては、メチルリチウム、エチルリチウム,n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリウム、sec−ブチルリチウム、イソブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−ペンチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、トリメチルシリルリチウム、等が挙げられる。Na系触媒としてメチルナトリウム、エチルナトリウム、n−プロピルナトリウム、イソプロピルナトリウム、n−ブチルナトリウム、sec−ブチルナトリウム、イソブチルナトリウム、フェニルナトリウム、ナトリウムナフタレン、シクロペンタジエニルナトリウム等が挙げられる。
【0034】
触媒成分(D)は、アルコ−ル化合物、エ−テル化合物、チオエ−テル化合物、ケトン化合物、スルホキシド化合物、カルボン酸化合物、カルボン酸エステル化合物、アルデヒド化合物、ラクトン化合物、アミン化合物、アミド化合物、ニトリル化合物、エポキシ化合物及びオキシム化合物の群から選ばれる少なくとも1種の極性化合物である。
【0035】
このうち、アルコ−ル化合物の具体例としてはメチルアルコ−ル、エチルアルコ−ル、プロピルアルコ−ル、イソプロピルアルコ−ル、n−ブチルアルコ−ル、イソブチルアルコ−ル、sec−ブチルアルコ−ル、tert−ブチルアルコ−ル、n−アミルアルコ−ル、イソアミルアルコ−ル、ヘキシルアルコ−ル及びその異性体、ヘプチルアルコ−ル及びその異性体、オクチルアルコ−ル及びその異性体、カプリルアルコ−ル、ノニルアルコ−ル及びその異性体、デシルアルコ−ル及びその異性体、ベンジルアルコ−ル、フェノ−ル、クレゾ−ル、2,6−ジ・tert−ブチル−p−クレゾ−ル等の一価アルコ−ル、エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ブタンジオ−ル、ペンチルグリコ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、ヘキシルグリコ−ル、ヘプチルグリコ−ル及びこれらのグリコ−ルの異性体であるグリコ−ル(二価アルコ−ル)等が挙げられる。また、グリセリン等の三価アルコ−ルやエタノ−ルアミン、グリシジルアルコ−ル等、一分子中に他の官能基を有する化合物であっても良い。
【0036】
また、エ−テル化合物の具体例としては、ジメチルエ−テル、ジエチルエ−テル、ジ−n−プロピルエ−テル、ジイソプロピルエ−テル、ジ−n−ブチルエ−テル、ジ−sec−ブチルエ−テル、ジフェニルエ−テル、メチルエチルエ−テル、エチルブチルエ−テル、ブチルビニルエ−テル、アニソ−ル、エチルフェニルエ−テル、エチレングリコ−ルジメチルエ−テル、エチレングリコ−ルジエチルエ−テル、エチレングリコ−ルジブチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルジメチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルジエチルエ−テル、フラン、テトラヒドロフラン、α−メトキシテトラヒドロフラン、ピラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン等が挙げられる。また、テトラヒドロフランカルボン酸のように一分子中に他の官能基を有する化合物でも構わない。
【0037】
また、チオエ−テル化合物の具体例としては、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド、ジ−n−ブチルスルフィド、ジ−sec−ブチルスルフィド、ジ−t−ブチルスルフィド、ジフェニルスルフィド、メチルエチルスルフィド、エチルブチルスルフィド、チオアニソ−ル、エチルフェニルスルフィド、チオフェン、テトラヒドロチオフェン等が挙げられる。
【0038】
さらにケトン化合物の具体例としては、アセトン、ジエチルケトン、ジ−n−プロピルケトン、ジイソプロピルケトン、ジ−n−ブチルケトン、ジ−sec−ブチルケトン、ジ−t−ブチルケトン、ベンゾフェノン、メチルエチルケトン、アセトフェノン、ベンジルフェニルケトン、プロピオフェノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ジアセチル、アセチルアセトン、ベンゾイルアセトン等が挙げられる。
【0039】
さらにスルホキシド化合物の具体例としては、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシド、ペンタメチレンスルホキシド、ジフェニルスルホキシド、ジベンジルスルホキシド、p−トリルスルホキシド等が挙げられる。
【0040】
さらにカルボン酸化合物の具体例としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、シクロヘキシルプロピオン酸、シクロヘキシルカプロン酸、安息香酸、フェニル酢酸、o−トルイル酸、m−トルイル酸、p−トルイル酸、アクリル酸、メタクリル酸等の一塩基酸、蓚酸、マレイン酸、マロン酸、フマル酸、琥珀酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタル酸、ジフェン酸等の二塩基酸の他、トリメリット酸、ピロメリット酸及びそれらの誘導体等の多塩基酸が挙げられる。また、例えばヒドロキシ安息香酸のように一分子中に他の官能基を有する化合物であっても構わない。
【0041】
さらにカルボン酸エステルの具体例としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、シクロヘキシルプロピオン酸、シクロヘキシルカプロン酸、安息香酸、フェニル酢酸、o−トルイル酸、m−トルイル酸、p−トルイル酸、アクリル酸、メタクリル酸等の一塩基酸、蓚酸、マレイン酸、マロン酸、フマル酸、琥珀酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタル酸、ジフェン酸等の二塩基酸と、メチルアルコ−ル、n−プロピルアルコ−ル、イソプロピルアルコ−ル、n−ブチルアルコ−ル、sec−ブチルアルコ−ル、t−ブチルアルコ−ル、アミルアルコ−ル、ヘキシルアルコ−ル、ヘプチルアルコ−ル、イソヘプチルアルコ−ル、sec−ヘプチルアルコ−ル、オクチルアルコ−ル及びその異性体、フェノ−ル、クレゾ−ル、グルシジルアルコ−ル等のアルコ−ル類とのエステル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のβ−ケトエステルが挙げられる。
【0042】
さらにラクトン化合物の具体例としては、β−プロピオラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、及び次の酸に対応するラクトン化合物が挙げられる。すなわち、この酸としては、2−メチル−3−ヒドロキシ−プロピオン酸、3−ヒドロキシノナノンまたは3−ヒドロキシペラルゴン酸、2−ドデシル−3−ヒドロキシプロピオン酸、2−シクロペンチル−3−ヒドロキシプロピオン酸、3−フェニル−3−ヒドロキシプロピオン酸,2−ナフチル−3−ヒドロキシプロピオン酸,2−n−ブチル−3−シクロヘキシル−3−ヒドロキシプロピオン酸、2−フェニル−3−ヒドロキシトリデカン酸、2−(2−エチルシクロペンチル)−3−ヒドロキシプロピオン酸、2−メチルフェニル−3−ヒドロキシプロピオン酸、3−ベンジル−3−ヒドロキシプロピオン酸、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピオン酸、2−メチル−5−ヒドロキシバレリル酸、3−シクロヘキシル−5−ヒドロキシバレリル酸、4−フェニル−5−ヒドロキシバレリル酸,2−ヘプチル−4−シクロペンチル−5−ヒドロキシバレリル酸,2−メチル−3−フェニル−5−ヒドロキシバレリル酸、3−(2−シクロヘキシルエチル)−5−ヒドロキシバレリル酸、2−(2−フェニルエチル)−4−(4−シクロヘキシルベンジル)−5−ヒドロキシバレリル酸、ベンジル−5−ヒドロキシバレリル酸、3−エチル−5−イソプロピル−6−ヒドロキシカプロン酸、2−シクロペンチル−4−ヘキシル−6−ヒドロキシカプロン酸、2−イクロペンチル−4−ヘキシル−6−ヒドロキシカプロン酸、3−フェニル−6−ヒドロキシカプロン酸、3−(3,5−ジエチル−シクロヘキシル)−5−エチル−6−ヒドロキシカプロン酸、4−(3−フェニル−プロピル)−6−ヒドロキシカプロン酸,2−ベンジル−5−イソブチル−6−ヒドロキシカプロン酸,7−フェニル−6−ヒドロキシル−オクトエノ酸,2,2−ジ(1−シクロヘキセニル)−5−ヒドロキシ−5−ヘプテノ酸、2,2−ジプロペニル−5−ヒドロキシ−5−ヘプテノ酸、2,2−ジメチル−4−プロペニル−3−ヒドロキシ−3,5−ヘプタジエノ酸等が挙げられる。
【0043】
さらにアミン化合物の具体例としては、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、t−ブチルアミン、n−アミルアミン、t−アミルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、アニリン、ベンジルアミン、o−アニシジン、m−アニシジン、p−アニシジン、α−ナフチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジ−t−ブチルアミン、ジ−n−アミルアミン、ジイソアミルアミン、ジベンジルアミン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−エチル−o−トルイジン、N−エチル−m−トルイジン、N−エチル−p−トルイジン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−アミルアミン、トリイソアミルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリベンジルアミン、トリフェニルメチルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジエチル−o−トルイジン、N,N−ジエチル−m−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−α−ナフチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ピロリジン、ピペリジン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、ピリジン、ピペラジン、2−アセチルピリジン、N−ベンジルピペラジン、キノリン、モルホリン等が挙げられる。
【0044】
さらにアミド化合物は、分子中に少なくとも一つの−C(=O)−N<または−C(=S)−N<結合を有する化合物であり、具体的にはN,N−ジメチルホルムアミド、N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、アセトアミド、プロピオンアミド、ベンツアミド、アセトアニリド、ベンツアニリド、N−メチルアセトアニリド、N,N−ジメチルチオホルムアミド、N,N−ジメチル−N,N’−(p−ジメチルアミノ)ベンズアミド、N−エチレン−N−メチル−8−キノリンカルボキシアミド,N,N’−ジメチルニコチンアミド,N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メチルフタルイミド、N−フェニルフタルイミド、N−アセチル−ε−カプロラクタム,N,N,N’,N’−テトラメチルフタルアミド,10−アセチルフェノキサジン、3,7−ビス(ジメチルアミノ)−10−ベンゾイルフェノチアジン、10−アセチルフェノチアジン,3,7−ビス(ジメチルアミノ)−10−ベンゾイルフェノチアジン,N−エチル−N−メチル−8−キノリンカルボキシアミド等の他、N,N’−ジメチル尿素、N,N’−ジエチル尿素、N,N’−ジメチルエチレン尿素、N,N,N’,N’−テトラメチル尿素、N,N−ジメチル−N’,N’−ジエチル尿素、N,N−ジメチル−N’,N’−ジフェニル尿素等の直鎖状尿素化合物が挙げられる。
【0045】
さらにニトリル化合物の具体例としては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル、ベンジルニトリル、アジポニトリル、マロノニトリル、N,N−ジメチルアミノ−ベンジルニトリル等が挙げられる。
【0046】
さらにエポキシ化合物の具体例としては、1,3−ブタジエンモノオキシド、1,3−ブタジエンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、1,2−エポキシシクロドデカン、1,2−エポキシデカン、1,2−エポキシエイコサン、1,2−エポキシヘプタン、1,2−エポキシヘキサデカン、1,2−エポキシオクタデカン、1,2−エポキシオクタン、エチレングリコ−ルジグリシジルエ−テル、1,2−エポキシテトラデカン、ヘキサメチレンオキシド、イソブチレンオキシド、1,7−オクタジエンエポキシド、2−フェニルプロピレンオキシド、プロピレンオキシド、トランス−スチルベンオキシド、スチレンオキシド、エポキシ化1,2−ポリブタジエン、エポキシ化アマニ油、グリシジルメチルエ−テル、グリシジルn−ブチルエ−テル、グリシジルアリルエ−テル、グリシジルメタクリレ−ト、グリシジルアクリレ−ト等が挙げられる。
【0047】
さらにオキシム化合物の具体例としては、アセトオキシム、メチルエチルケトンオキシム、ジエチルケトンオキシム、アセトフェノンオキシム、ベンゾフェノンオキシム、ベンジルフェニルケトンオキシム、シクロペンタノンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、ベンズアルデヒドオキシム等が挙げられる。
【0048】
本発明は、また、上記(A)から(D)成分の他に次の一般式(2)で表されるアルカリ化合物を(E)成分として含み、(C)(E)の存在下、(A)を(B)で還元させた後に(D)を添加し、調合することを特徴とするオレフィン化合物水添用複合触媒、及び上記(A)から(D)成分の他に次の一般式(2)で表されるアルカリ化合物を(E)成分として含み、(C)の存在下、(A)を(B)で還元させた後に(D)(E)を添加し、調合することを特徴とするオレフィン化合物水添用複合触媒も含まれる。
OM ・・・(2)
(但し、Mはリチウム、ナトリウム及びカリウムから選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属原子。RはC〜C12のアルキル基、アリ−ル基、アラルキル基、または酸素原子及び/または窒素原子を有する炭化水素基を表す。)
【0049】
かかる(E)成分の具体例としては、メトキシリチウム、エトキシリチウム、n−プロポキシリチウム、1−プロポキシリチウム、n−ブトキシリチウム、sec−ブトキシリチウム、t−ブトキシリチウム、ペンチルオキシリチウム、ヘキシルオキシリチウム、ヘプチルオキシリチウム、オクチルオキシリチウム、フェノキシリチウム、4−メチルフェノキシリチウム、4−メチルベンジルオキシリチウム、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシリチウム、ベンジルオキシリチウム、(2−ブトキシエトキシ)リチウム、[2−(N,N−ジメチルアミノ)エトキシ]リチウム、メトキシナトリウム、エトキシナトリウム、メトキシカリウム、さらにはフェノ−ルまたはフェノ−ル系の安定剤とアルキルリチウム、アルキルナトリウム、アルキルカリウムを反応させて得られるリチウムフェノラ−ト、ナトリウムフェノラ−ト、カリウムフェノラ−ト化合物も使われる。かかるフェノ−ル系安定剤の具体例としては、1−オキシ−3−メチル−4−イソプロピルベンゼン、2,6−ジ−t−ブチルフェノ−ル、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノ−ル、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾ−ル、2,6−ジ−t−ブチル−4−n−ブチルフェノ−ル、4−ヒドロキシメチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノ−ル、ブチルヒドロキシアニソ−ル、2−(1−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノ−ル、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノ−ル、2−メチル−4,6−ジノニルフェノ−ル、2,6−ジ−t−ブチル−α−ジメチルアミノ−p−クレゾ−ル、メチレン−ビス−(ジメチル−4,6−フェノ−ル)、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノ−ル)、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノ−ル)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノ−ル)、4,4’−メチレン−ビス−(2,6−ジ−t−ブチルフェノ−ル)、2,2’−メチレン−ビス−(6−α−メチル−ベンジル−p−クレゾ−ル)等が挙げられる。
【0050】
最も汎用的な安定剤である2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾ−ルの水酸基を−OLiとした2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシリチウム等が特に好適に使われる。
かかる(E)成分は、アルカリ金属または有機アルカリ金属化合物とアルコ−ル化合物、ケトン化合物、フェノ−ル及びその誘導体等と予め反応させることにより生成するアルカリ化合物を用いても良いし、リビングポリマ−の末端をアルコ−ル化合物、ケトン化合物、フェノ−ル及びその誘導体等で停止させる際に生成するアルカリ化合物をそのまま用いても良い。
【0051】
本発明の複合水添触媒はオレフィン性不飽和二重結合を有する全ての化合物に適用することができる。例えばエチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン等およびそれらの異性体等の脂肪族オレフィン、シクロペンテン、メチルシクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキセン、メチルシクロヘキセン、シクロヘキサジエン等の脂環式オレフィン、スチレン、ブタジエン、イソプレン等のモノマ−類、不飽和脂肪酸及びその誘導体、不飽和液状オリゴマ−等、分子中に少なくとも一つのオレフィン性不飽和二重結合含有低分子重合物等にも適用できる。
【0052】
また、本発明は共役ジエン共重合体、共役ジエンとオレフィン単量体の共重合体のオレフィン性不飽和二重結合の選択的水添に適用できる。ここで言う選択的水添とは共役ジエン共重合体、共役ジエンとオレフィン単量体の共重合体の共役ジエン部分のオレフィン性不飽和二重結合を選択的に水添することであり、オレフィン単量体としてビニル芳香族化合物を用いた場合、芳香環の炭素炭素二重結合は実質的に水添されないことを意味する。
共役ジエン共重合体、共役ジエンとオレフィン単量体の共重合体のオレフィン性不飽和二重結合の選択的水添物は、弾性体や熱可塑性弾性体として工業的に有用である。
【0053】
かかる共役ジエン重合体の製造に用いられる共役ジエンとしては、一般的には4〜約12個の炭素原子を有する共役ジエンが挙げられ、具体的な例としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン等が挙げられる。工業的に有利に展開でき、物性の優れた弾性体を得る上からは、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。
【0054】
ブタジエン部分のミクロ構造には、1,2結合と1,4結合(シス+トランス)とがあるが、本発明の触媒はどちらも定量的に水添することが可能である。
また、イソプレン部分には、1,2結合、3,4結合の側鎖と1,4結合(シス+トランス)の主鎖とにオレフィン性不飽和結合があり、それぞれ以下の一般式(6)、(7)、(8)の構造をとっている。
【0055】
【化7】
Figure 0003617553
【0056】
【化8】
Figure 0003617553
【0057】
【化9】
Figure 0003617553
【0058】
これらの構造、及び水添率は、H−NMRによって測定することが可能である。本発明の方法を用いるとブタジエン部分の1,2結合、1,4結合およびイソプレン部分の1,2結合(6)、3,4結合(7)の側鎖を特に選択的に水添させることが可能である。
【0059】
本発明で水添される共役ジエン系重合体の主成分として、1,3−ブタジエンを選択した場合、特に低温から室温でエラストマ−弾性を発現させるにはブタジエンユニット部分のミクロ構造として、1,2結合の量は8%以上、好ましくは20%以上であり、特に好ましい範囲は30〜80%である。また、共役ジエン系重合体の主成分として、イソプレンを選択した場合には、同様の理由によりにイソプレンユニットのミクロ構造として1、4結合の量は50%以上、さらに好ましくは75%以上である。
【0060】
また、共役ジエンの少なくとも一種と共重合可能なオレフィン単量体としては、ビニル置換芳香族炭化水素が特に好ましい。即ち、共役ジエン単位の不飽和二重結合のみを選択的に水添する本発明の効果を充分発揮し、工業的に有用で価値の高い弾性体や熱可塑性弾性体を得るためには、共役ジエンとビニル置換芳香族炭化水素との共重合体が特に重要である。用いられるビニル芳香族炭化水素の具体例としては、スチレン、tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン等が挙げられ、特にスチレン及び/またはα−メチルスチレンが好ましい。具体的な共重合体の例としては、ブタジエン/スチレン共重合体、イソプレン/スチレン共重合体、ブタジエン/イソプレン/スチレン共重合体等が工業的価値の高い水添共重合体を与えるので最も好適である。これらは、ランダム、ブロック、テ−パドブロック共重合体でも構わない。
【0061】
かかる共重合体においては、ブロック共重合体が熱可塑性弾性体として工業的に最も有用な水添重合体を与えるが、末端に少なくとも1個の共役ジエンを主としたブロックを有するブロック共重合体は、末端に共役ジエンブロックを有しない物に比べ、加工性、他のオレフィン重合体との相溶性、接着性等に優れた水添重合体を与えるので特に好適に用いられる。
本発明の触媒及び好ましい水添条件下ではかかる共重合体中のビニル置換芳香族炭化水素ユニットの炭素炭素二重結合(芳香環)の水添は実質的には起こらない。
【0062】
本発明の水添反応の好ましい実施態様は、オレフィン性不飽和二重結合を有する化合物または前記重合体を不活性有機溶媒に溶解した溶液の状態において行われる。ここで言う「不活性有機溶媒」とは、溶媒が水添反応のいかなる関与体とも反応しないものを意味する。好適な溶媒は、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタンの如き脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロヘプタンの如き脂環式炭化水素類、ジエチルエ−テル、テトラヒドロフランの如きエ−テル類の単独もしくは混合物である。また、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンの如き芳香族炭化水素も、選択された水添条件下で芳香族二重結合が水添されない場合に限って使用することができる。
【0063】
本発明の水添反応は、一般的には上記被水添物溶液を水素または不活性雰囲気下、所定の温度に保持し、撹拌下または不撹拌下にて水添触媒を添加し、ついで水素ガスを導入して所定圧に加圧することによって実施される。不活性雰囲気とは、例えば、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の水添反応のいかなる関与体とも反応しない雰囲気を意味する。空気や酸素は触媒成分を酸化したりして触媒の失活を招くので好ましくない。また窒素は水添反応時触媒毒として作用し、水添活性を低下させる場合がある。特に、水添反応器内は水素ガス単独の雰囲気であることが最も好適である。
【0064】
本発明の第1の発明である複合水添触媒は触媒槽中で適当な溶媒中で触媒成分(C)の存在下、触媒成分(A)を触媒成分(B)で還元した後に、触媒成分(D)を最後に添加させることで調製する。(A)(B)(C)の添加順序は任意で構わないが、必ず(D)が最後でなければならない。また、本発明の第2の発明である、(E)成分と共存させる場合は、▲1▼触媒成分(C)(E)の存在下、触媒成分(A)を触媒成分(B)で還元した後に、触媒成分(D)を最後に添加させる、あるいは▲2▼触媒成分(C)の存在下、触媒成分(A)を触媒成分(B)で還元した後に、触媒成分(D)(E)を最後に添加させることで調製する。この場合、(A)(B)(C)(E)の添加順序は任意で構わないが、必ず(D)が最後でなければならない。
【0065】
水添される共役ジエン系重合体または、共役ジエンとビニル芳香族炭化水素との共重合体がリビングアニオン重合で得られる場合は、活性末端を停止させる際に通常は活性末端の当モル以下ないし過剰の失活剤を添加するが、失活剤として過剰のアルコ−ルないしケトン化合物等を用いた場合には系中にアルコキシアルカリ金属〔本発明の(E)成分〕と極性化合物〔本発明の(D)成分〕が存在する場合もあり得る。この場合は水添反応系中に(A)(B)(C)(D)(E)触媒成分が存在していることになり、予め触媒槽で調合した(A)(B)(C)触媒成分の水添反応系へ添加した場合と見かけ上、区別出来ない。
【0066】
しかしながら水添槽中に予め(E)成分が存在しようがしまいが、本発明のように(C)〔または(C)(E)〕の共存下、(A)を(B)で還元させ、最後に(D)を添加させた混合物を触媒槽で調合した水添触媒の方が長期貯蔵安定性が格段に優れる。この理由は定かではないが、おそらく触媒活性種の寿命が触媒の調合方法で異なるためと考えられる。
【0067】
本発明の複合水添触媒の調合雰囲気は前記不活性雰囲気の他に、水素でも構わない。還元温度ならびに貯蔵温度は、−50℃〜50℃であり、−20℃〜30℃が特に好ましい。還元に要する時間は、還元温度によっても異なるが、25℃では、数秒から60日であり、1分〜20日が好ましい。
触媒成分(B)は、前記不活性雰囲気下で取扱うことが必要である。触媒成分(A)については空気中においても安定である場合もあるが、不活性雰囲気下で取扱うことが好ましい。
【0068】
本発明の複合水添触媒を構成する触媒成分(A)、(B)、(C)、(D)は前記不活性有機溶媒の溶液として使用する方が扱い易く好適である。溶液として用いる場合に使用する不活性有機溶媒には、水添反応のいかなる関与体とも反応しない前記各種溶媒を使用することができる。好ましくは水添反応に用いる溶媒と同一の溶媒である。
【0069】
水添反応器(水添槽)に複合水添触媒を添加する場合は、水素雰囲気下で行うのが最も好適である。添加する時の温度は、−30℃〜100℃の温度、好ましくは−10℃〜50℃の温度にて水添反応直前に添加するのが好ましい。高い水添活性および水添選択性を発現するための各触媒成分の混合比率は、触媒成分(B)の金属モル数と、触媒成分(A)のモル数との比率(以下 Metal(B)/Metal(A)モル比)で約20以下の範囲である。MetaL(B)/Metal(A)モル比20を越えると実質的な活性向上に関与しない高価な触媒成分(B)を過剰に用いることにより不経済であるばかりではなく、不必要な副反応を招き易く好ましくない。
Metal(B)/Metal(A)モル比=0.05〜20の範囲で水添活性がある。さらに好ましくは、0.05〜5の範囲であり、水添活性は著しく向上する。
【0070】
水添槽内の被水添物が、リビングアニオン重合で得られたリビング重合体である場合は、リビング末端が還元剤として作用するため、リビング活性末端を有する重合体を水添するためには、この最適なMetal(B)/Metal(A)モル比を達成するため、種々の活性水素やハロゲンを有する化合物で失活させておくのが好ましい。かかる活性水素を有する化合物としては、水およびメタノ−ル、エタノ−ル、n−プロパノール、n−ブタノール、 sec−ブタノ−ル、t−ブタノール,1−ペンタノ−ル、2−ペンタノール、3−ペンタノ−ル、1−ヘキサノ−ル、2−ヘキサノ−ル、3−ヘキサノ−ル、1−ヘプタノ−ル、2−ヘプタノ−ル、3−ヘプタノ−ル、4−ヘプタノ−ル、オクタノ−ル、ノナノ−ル、デカノ−ル、ウンデカノ−ル、ラウリルアルコ−ル、アリルアルコ−ル、シクロヘキサノ−ル、シクロペンタノ−ル、ベンジルアルコ−ル等のアルコ−ル類、フェノ−ル、o−クレゾ−ル、m−クレゾ−ル、p−クレゾ−ル、p−アリルフェノ−ル、2、6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、キシレノ−ル、ジヒドロアントラキノン、ジヒドロキシクマリン、1−ヒドロキシアントラキノン、m−ヒドロキシベンジルアルコ−ル、レゾルシノ−ル、ロイコアウリン等のフェノ−ル類が挙げられる。
【0071】
また酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酢酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、デカリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、安息香酸、などの有機カルボン酸等を挙げることができる。またハロゲンを有する化合物として塩化ベンジル、トリメチルシリルクロライド(ブロマイド)、t−ブチルシリルクロライド(ブロマイド)、メチルクロライド(ブロマイド)、エチルクロライド(ブロマイド)、プロピルクロライド(ブロマイド)、n−ブチルクロライド(ブロマイド)等を挙げることができる。これらは単独で使用しても二種以上混合しても構わない。
【0072】
触媒成分(C)の添加量は、触媒成分(A)の触媒に対して重量比で10〜500が好ましい。10より小さいと貯蔵安定化や触媒量低減化の効果は小さくなる。この比が500を越えても水添活性は良好であるが、被水添物が重合体である場合は、該水添重合体と触媒成分(C)との分離が困難なため、場合によっては物性等に影響がでる。
【0073】
被水添物がオレフィン性不飽和二重結合含有重合体であって、側鎖のオレフィン性不飽和二重結合含有量が全体のオレフィン性不飽和二重結合に対して0.3〜1である場合は、この一部を触媒槽に移送させ、触媒成分(C)としても良いし、これと別の触媒成分(C)と混合して用いても差し支えない。
触媒成分(D)の添加量は、触媒成分(B)の触媒に対し、モル比で(D)/(B)が0.01〜10の範囲では、水添活性が高く、かつ貯蔵安定性・水添活性持続性が極めて高いものとなる。
【0074】
触媒成分(E)を用いるときはその添加量は触媒成分(A)に対し、モル比で(E)/(A)が30以下、好ましくは20以下、さらに好ましくは10以下の範囲が望ましい。この比が30を越えても水添の触媒活性は保有しているが、実質的に活性向上に関与しない(E)成分を多量に用いることになり、不経済であるばかりでなく、ポリマ−のゲル化等の副反応を起こす場合があるために好ましくない。これら(E)成分は水添槽内の被水添物が、リビングアニオン重合で得られたリビング重合体である場合は、そのリビング活性末端をアルコ−ル、フェノ−ル等の誘導体で失活させる際に生成するアルカリ化合物でも構わないし、別途アルコ−ル、フェノ−ルとアルカリ金属またはアルキルアルカリ化合物を反応させて合成したアルカリ化合物を用いても構わない。
【0075】
触媒の添加量は被水添物100g当り0.002〜20ミリモルで十分である。この添加量範囲であれば被水添物のオレフィン性不飽和二重結合を優先的に水添することが可能で、共重合体中の芳香族二重結合の水添は実質的に起こらないので極めて高い水添選択性が実現される。20ミリモルを越える量の添加においても水添反応は可能であるが、必要以上の触媒使用は不経済となり、水添反応後の触媒脱灰、除去が複雑となる等不利となる。また選択された条件下で重合体の共役ジエン単位の不飽和二重結合を定量的に水添する好ましい触媒添加量は、重合体100g当り0.01〜5ミリモルである。
【0076】
本発明の水添反応は、元素状水素を用いて行われ、より好ましくはガス状で被水添物中に導入される。
水添反応は、撹拌下で行われるのがより好ましく、導入された水素を十分迅速に被水添物と接触させることができる。水添反応は一般的に0〜150℃の温度範囲で実施される。0℃未満では触媒の活性が低下し、かつ水添速度も遅くなり多量の触媒を要するので経済的でなく、また150℃を越える温度では副反応や分解、ゲル化を併発し易くなり、かつ芳香族部分の水添も起こりやすくなって水添活性が低下するので好ましくない。さらに好ましく20〜120℃の範囲である。
【0077】
水添反応に使用される水素の圧力は1〜100kg/cmが好適である。1kg/cm未満では水添速度が遅くなって実質的に頭打ちとなるので水添率を上げるのが難しくなり、100kg/cmを越える圧力では昇圧と同時に水添反応がほぼ完了し、実質的に意味がなく、不必要な副反応やゲル化を招くので好ましくない。より好ましい水添水素圧力は2〜30kg/cmであるが、触媒添加量等との相関で最適水素圧力は選択され、実質的には前記好適触媒量が少量になるに従って水素圧力は高圧側を選択して実施するのが好ましい。
【0078】
本発明の水添反応時間は、通常、数秒ないし50時間である。他の水添反応時間の選択によって水添反応時間は上記範囲内で適宜選択して実施される。
本発明の方法により、共役ジエン系共重合体および共役ジエンとビニル芳香族炭化水素との共重合体中のオレフィン性不飽和二重結合は目的に合わせて任意の水添率が得られる。95%以上の水添率も十分に可能である。
【0079】
本発明の触媒を用いて水添反応を行った溶液からは、水添された目的物を蒸留、沈澱等の化学的または物理的手段で容易に分離することができる。特に、本発明の方法により水添反応を行った重合体溶液からは、必要に応じて触媒残査を除去し、水添された重合体を溶液から容易に単離することができる。例えば、水添後の反応液にアセトンまたはアルコール等の水添重合体に対する貧溶媒となる極性溶媒を加えて重合体を沈澱させて回収する方法、反応液を撹拌下熱湯中に投入後、溶媒と共に蒸留回収する方法、または直接反応液を加熱して溶媒を留去する方法で行なうことができる。
【0080】
本発明の水添方法は、第一に使用する水添触媒量がより少量である特徴を有する。従って水添触媒がそのまま重合体に残存しても得られる水添重合体の物性に著しい影響を及ぼさず、かつ水添重合体の単離過程において触媒の大部分が分解、除去され重合体より除かれるので、触媒を脱灰したり除去したりするための特別な操作は必要とせず、極めて簡単なプロセスで実施することができる。第二に貯蔵安定性が極めて優れることである。したがって触媒の活性は数カ月たっても殆ど当初の活性をそのまま維持することが出来る。
【0081】
【実施例】
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。以下に実施例を実施するに当たり用いた水添触媒及び共役ジエン系重合体の製造例を示す。
[水添触媒合成例]
<製造例1>
ビス(η −シクロペンタジエニル)チタニウムジ(p−トリル)(触媒A)の合成
撹拌機、滴下漏斗および還流冷却器を備えた1l容量の三つ口フラスコに無水エーテル200mlを加えた。装置を乾燥ヘリウムで乾燥し、リチウムワイヤ−小片17.4g(2.5モル)をフラスコ中に切り落とし、エーテル300ml、p−ブロモトルエン171g(1モル)の溶液を室温で少量滴下した後、還流下で除々にp−ブロモトルエンのエーテル溶液を全量加えた。
反応終了後反応溶液をヘリウム雰囲気下にてろ過し、無色透明なp−トリルリチウム溶液を得た。
【0082】
乾燥ヘリウムで置換した撹拌機、滴下漏斗を備えた2l三つ口フラスコ、ビス(η−シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド99.6g(0.4モル)および無水エ−テル500mlを加えた。先に合成したp−トリルリチウムのエーテル溶液を室温撹拌下にて約2時間で滴下した。反応混合物を空気中でろ別し、不溶部をジクロロメタンで洗浄後、ろ液および洗浄液を合わせ減圧下にて溶媒を除去した。残留物を少量のジクロロメタンに溶解後、石油エ−テルを加えて再結晶を行なった。得られた結晶をろ別し、ろ液は再び濃縮させ上記操作を繰り返しビス(η−シクロペンタジエニル)チタニウムジ(p−トリル)を得た。収率は87%であった。得られた結晶は橙黄色針状である、トルエン、シクロヘキサンに対する溶解性は良好であり、融点145℃、元素分析値:C,80.0、H,6.7、Ti,13.3であった。
【0083】
<製造例2>
ビス(η −シクロペンタジエニル)チタニウムジ(フェニル)(触媒B)の合成
製造例1でp−ブロモトルエンの代わりにブロモベンゼン157g(1モル)用いた以外は同様に合成を行い、フェニルリチウムを得た。以下全く同様に合成を行い、ビス(η−シクロペンタジエニル)チタニウムジフェニルを得た。収量は120g(収率90%)であった。得られた結晶は橙黄色針状であり、トルエン、シクロヘキサンに対する溶解性はやや良好であり、融点147℃、元素分析値:C,79.5、H,6.1、Ti,14.4であった。
【0084】
<製造例3>
ビス(η −シクロペンタジエニル)チタニウムジ(3,4−キシリル)(触媒C)の合成
製造例1でp−ブロモトルエンの代わりに4−ブロモ−o−キシレン(1モル)を用いた以外は同様に合成を行い、ビス(η−シクロペンタジエニル)チタニウムジ(3,4−キシリル)を得た。収率は83%であった。得られた結晶は黄色針状晶であり、トルエン、シクロヘキサンに対する溶解性は良好であり、融点は155℃、元素分析値:C,80.6、H,7.2、Ti,12.2であった。
【0085】
[共役ジエン系重合体の重合例]
<製造例4>
ブタジエン単独重合体の重合(ポリマ−A)
2lのオ−トクレ−ブ中にシクロヘキサン500g、1,3−ブタジエンモノマ−100g、n−ブチルリチウム0.05g及びテトラヒドロフラン0.6gを加え、撹拌下60℃にて3時間重合し、ブタジエン単独重合体を得た。活性末端をt−ブタノ−ルで失活させ、60℃で12時間真空乾燥を行った。得られたブタジエン重合体は1,2−ビニル結合を38%含有し、GPCで測定した重量平均分子量は約15万であった。
なお、活性末端をt−ブタノ−ルで失活させると、t−ブトキシリチウムが遊離し、該化合物は(E)成分として機能する。
【0086】
<製造例5>
ブタジエン/スチレンランダム共重合体の重合(ポリマ−B)
2lのオ−トクレ−ブ中にシクロヘキサン400g、1,3−ブタジエンモノマ−70g、スチレンモノマ−30g、n−ブチルリチウム0.03g及びテトラヒドロフラン0.9gを加え、撹拌下40℃にて2時間重合し、ブタジエン/スチレン共重合体を得た。活性末端をメタノ−ルで失活させ、60℃で12時間真空乾燥を行った。得られた共重合体はブタジエン/スチレンの完全ランダム共重合体でブタジエン単位の1,2−ビニル結合含有率53%、GPCで測定した重量平均分子量は約19万であった。
なお、活性末端をメタノールで失活させると、メトキシリチウムが遊離し、該化合物は(E)成分として機能する。
【0087】
<製造例6>
スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の重合(ポリマ−C)
7lのオ−トクレ−ブ中にシクロヘキサン4000g、スチレンモノマ−150gとn−ブチルリチウム1.10g及びテトラヒドロフラン25gを加え、撹拌下60℃にて3時間重合し、次いで1,3−ブタジエンモノマ−を700g加えて60℃で3時間重合した。最後にスチレンモノマ−150gを添加し、60℃で3時間重合した。活性末端を水で失活させ、60℃で12時間真空乾燥を行った。得られたスチレン−ブタジエン−スチレン共重合体は完全ブロック共重合体で、結合スチレン含有量30%、ブタジエン単位の1,2−ビニル結合含有率45%、GPCで測定した重量平均分子量は約6万であった。
【0088】
(実施例1〜3)
共役ジエン系重合体として製造例6で重合したポリマ−Cを複数の水素置換した250mlの耐圧オ−トクレ−ブにそれぞれ5.0gとなるように精製乾燥させたシクロヘキサン溶液として加えた(溶液濃度5wt%)。
触媒成分(A)として製造例1〜3で合成した触媒A、触媒B及び触媒Cをそれぞれ0.0125ミリモルをシクロヘキサン50mlに溶解させ、触媒成分(B)としてsec−ブチルリチウム0.1ミリモル含むシクロヘキサン溶液とを触媒成分(C)として日本曹達(株)製液状1,2−ポリブタジエン(Nisso B−1000:1,2−ビニル結合量85%)1.8gの存在下、25℃、水素圧2.0kg/mの雰囲気下で約30分混合した触媒溶液(n−BuLi/Tiモル比=8.0)に触媒成分(D)としてn−ブタノ−ル、テトラメチレンエチレンジアミン、グリシジルメタアクリレ−トをそれぞれ0.15ミリモル含むシクロヘキサン溶液を添加した。
【0089】
直ちに各々の触媒混合溶液の1/3容量をポリマ−溶液の入った耐圧オ−トクレ−ブに打ち込み、水素圧7.0kg/mで加圧した。撹拌下、60℃で1時間水添反応を行った。反応終了後、常温常圧に戻し、多量のメタノ−ル中にポリマ−溶液を沈澱させ、濾別乾燥し、回収した。水添率は水添前後のH−NMRスペクトルを比較することで決定した。結果をそれぞれ表1、表2に示す。
【0090】
(実施例4〜6)
実施例1〜3に用いた触媒混合溶液の残り2/3容量をそのまま水素雰囲気下で2カ月間室温にて貯蔵した。この貯蔵した触媒溶液の1/2容量を実施例1〜3と全く同様のポリマ−・条件で水添反応を行った。結果をそれぞれ表1、表2に示す。
【0091】
(実施例7〜9)
実施例4〜6に用いた触媒混合溶液の残りをそのまま水素雰囲気下でさらに2カ月間室温にて貯蔵した(触媒調製時から4ケ月)。この貯蔵した触媒溶液を全量、実施例1〜6と全く同様のポリマ−・条件で水添反応を行った。結果をそれぞれ表1、表2に示す。
【0092】
(比較例1〜2)
触媒成分(A)として製造例2で合成した触媒B0.0125ミリモルをシクロヘキサン50mlに溶解させ、触媒成分(B)としてn−ブチルリチウム0.1ミリモル含むシクロヘキサン溶液とを触媒成分(C)として日本石油化学(株)製液状1,2−ポリブタジエン(B−700:1,2−ビニル結合量57%)1.8gの存在下、25℃、水素圧2.0kg/mの雰囲気下で約30分混合し、触媒溶液(n−BuLi/Tiモル比=8.0)を調製した。この触媒混合溶液を2ケ月間貯蔵し、1/3容量を実施例7同様、ポリマ−溶液の入った耐圧オ−トクレ−ブに打ち込み、他の実施例、比較例と全く同様のポリマ−、条件で水添反応を行った。さらに2ケ月間室温にて貯蔵した(触媒調製時から4ケ月)触媒混合溶液のうち、残りの1/2容量を全く同様のポリマ−、条件で水添反応を行った。結果をそれぞれ表1、表2に示す。
【0093】
(比較例3〜4)
触媒成分(A)として製造例1で合成した触媒A0.0125ミリモルをシクロヘキサン50mlに溶解させ、触媒成分(B)としてトリルリチウム0.1ミリモル含むシクロヘキサン溶液を加え、さらにこの触媒溶液(トリルリチウム/Tiモル比=8.0)に触媒成分(D)として撹拌下、n−ヘプタノ−ルを0.15ミリモル含むシクロヘキサン溶液を添加し、25℃、水素圧2.0kg/mの雰囲気下で約30分混合し、触媒混合溶液を調製した。この触媒混合溶液を2ケ月間貯蔵し、1/3容量を他の実施例、比較例と同様に、ポリマ−溶液の入った耐圧オ−トクレ−ブに打ち込み、水添反応を行った。さらに2ケ月間室温にて貯蔵した(触媒調製時から4ケ月)触媒混合溶液のうち、残りの1/2容量を全く同様のポリマ−、条件で水添反応を行った。結果をそれぞれ表1、表2に示す。
【0094】
(比較例5)
触媒成分(B)を最後に添加した以外は実施例4と全く同様に行った。結果をそれぞれ表1、表2に示す。
【0095】
【表1】
Figure 0003617553
【0096】
【表2】
Figure 0003617553
【0097】
(実施例10〜11)
触媒成分(A)として製造例1で合成した触媒A0.0125ミリモルをシクロヘキサン50mlに溶解させ、触媒成分(B)としてsec−ブチルリチウム0.1ミリモル含むシクロヘキサン溶液を触媒成分(C)として日本曹達(株)製液状1,2−ポリブタジエン(Nisso B−1000:1,2−ビニル結合量85%)1.8gの存在下、加え、25℃、水素圧2.0kg/mの雰囲気下で約30分撹拌混合した。さらにこの触媒溶液(sec−BuLi/Tiモル比=8.0)に触媒成分(D)としてt−ブタノ−ルを0.15ミリモル含むシクロヘキサン溶液を撹拌下添加し、触媒混合溶液を調製した。この触媒混合溶液を4ケ月間貯蔵し、1/3容量ずつそれぞれ5.0gのAポリマ−、Bポリマ−溶液(5wt%シクロヘキサン溶液)の入った250ml耐圧オ−トクレ−ブに打ち込み、他の実施例、比較例と全く同様に水添反応を行った。結果を実施例7と共にそれぞれ表3、表4に示す。
【0098】
(実施例12)
触媒成分(B)としてエチルブチルマグネシウム(EBM)0.05ミリモルを用いた以外は実施例10と同様に行った。結果を表3、4に示す。
(実施例13)
実施例12で触媒成分(B)としてエチルブチルマグネシウム(EBM)0.04ミリモル、トリエチルアルミニウム0.01ミリモルの混合物(錯体)を用いた以外は同様に行った。結果を表3、表4に示す。
(比較例6)
実施例10で触媒成分(C)として出光石油化学(株)製液状ポリブタジエン(R−45H:1,2−ビニル結合量23%)を用いた以外は同様に行った。結果を表3、4に示す。
【0099】
【表3】
Figure 0003617553
【0100】
【表4】
Figure 0003617553
【0101】
【発明の効果】
以上のように、本発明の触媒及び方法を採用することでオレフィン化合物・共役ジエン系重合体、または共役ジエンとビニル芳香族炭化水素との重合体の共役ジエン部分のオレフィン性不飽和二重結合の水添を、極めて選択的に高位に水添することが可能となった。また、触媒の貯蔵安定性が飛躍的に向上し、触媒の調製状態や系中の不純物の影響を受けにくく安定的に取り扱え、かつ水添直前に触媒を調製する手間もはぶけ、プロセスの合理化にもなる。また、本発明の方法により連続水添にも適用が可能となる。
本発明の方法によって得られる水添重合体は、耐候性、耐酸化性の優れた弾性体、熱可塑性弾性体もしく熱可塑性樹脂として使用され、また紫外線吸収剤、オイル、フィラ−等の添加剤を加えたり、他の弾性体や樹脂とブレンドして使用され、工業上極めて有用である。

Claims (8)

  1. 下記(A)から(D)成分より構成され、(C)の存在下、(A)を(B)で還元させた後に(D)を添加し、調合することを特徴とするオレフィン化合物水添用複合触媒。
    (A)次の一般式(1)で示されるチタノセン化合物の少なくとも一種。
    Figure 0003617553
    (但し、R1 、R2 は、C1 〜C12の炭化水素基、アリーロキシ基、アルコキシル基、ハロゲン基、及び、カルボニル基から選択された基を表し、R1 、R2は同一でも異なっていてもよい。Cpはシクロペンタジエニル基を表す。)
    (B)還元能力を有する含Li、Na、K、Mg、Ba、Zn、Al、Ca化合物から選ばれる少なくとも一種の還元剤。
    (C)側鎖オレフィン性不飽和二重結合量の全体オレフィン性不飽和二重結合量に対する分率が0.3〜1であるオレフィン性不飽和二重結合含有重合体。
    (D)アルコール化合物、エーテル化合物、チオエーテル化合物、ケトン化合物、スルホキシド化合物、カルボン酸化合物、カルボン酸エステル化合物、アルデヒド化合物、ラクトン化合物、アミン化合物、アミド化合物、ニトリル化合物、エポキシ化合物及びオキシム化合物の群から選ばれる少なくとも1種の極性化合物。
  2. 下記(A)から(E)成分より構成され、(C)(E)の存在下、(A)を(B)で還元させた後に(D)を添加し、調合することを特徴とするオレフィン化合物水添用複合触媒。
    (A)次の一般式(1)で示されるチタノセン化合物の少なくとも一種。
    Figure 0003617553
    (但し、R1 、R2 は、C1 〜C12の炭化水素基、アリーロキシ基、アルコキシル基、ハロゲン基、及び、カルボニル基から選択された基を表し、R1 、R2は同一でも異なっていてもよい。Cpはシクロペンタジエニル基を表す。)
    (B)還元能力を有する含Li、Na、K、Mg、Ba、Zn、Al、Ca化合物から選ばれる少なくとも一種の還元剤。
    (C)側鎖オレフィン性不飽和二重結合量の全体オレフィン性不飽和二重結合量に対する分率が0.3〜1であるオレフィン性不飽和二重結合含有重合体。
    (D)アルコール化合物、エーテル化合物、チオエーテル化合物、ケトン化合物、スルホキシド化合物、カルボン酸化合物、カルボン酸エステル化合物、アルデヒド化合物、ラクトン化合物、アミン化合物、アミド化合物、ニトリル化合物、エポキシ化合物及びオキシム化合物の群から選ばれる少なくとも1種の極性化合物。
    (E)次の一般式(2)で表されるアルカリ化合物。
    3 OM ・・・(2)
    (但し、Mはリチウム、ナトリウム及びカリウムから選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属原子。R3 はC1 〜C12のアルキル基、アリール基、アラルキル基または酸素原子及び/または窒素原子を有する炭化水素基を表す。)
  3. 下記(A)から(E)成分より構成され、(C)の存在下、(A)を(B)で還元させた後に(D)(E)を添加し、調合することを特徴とするオレフィン化合物水添用複合触媒。
    (A)次の一般式(1)で示されるチタノセン化合物の少なくとも一種。
    Figure 0003617553
    (但し、R1 、R2 は、C1 〜C12の炭化水素基、アリーロキシ基、アルコキシル基、ハロゲン基、及び、カルボニル基から選択された基を表し、R1 、R2は同一でも異なっていてもよい。Cpはシクロペンタジエニル基を表す。)
    (B)還元能力を有する含Li、Na、K、Mg、Ba、Zn、Al、Ca化合物から選ばれる少なくとも一種の還元剤。
    (C)側鎖オレフィン性不飽和二重結合量の全体オレフィン性不飽和二重結合量に対する分率が0.3〜1であるオレフィン性不飽和二重結合含有重合体。
    (D)アルコール化合物、エーテル化合物、チオエーテル化合物、ケトン化合物、スルホキシド化合物、カルボン酸化合物、カルボン酸エステル化合物、アルデヒド化合物、ラクトン化合物、アミン化合物、アミド化合物、ニトリル化合物、エポキシ化合物及びオキシム化合物の群から選ばれる少なくとも1種の極性化合物。
    (E)下記一般式(2)で表されるアルカリ化合物。
    3 OM ・・・(2)
    (但し、Mはリチウム、ナトリウム及びカリウムから選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属原子。R3 はC1 〜C12のアルキル基、アリール基、アラルキル基または酸素原子及び/または窒素原子を有する炭化水素基を表す。)
  4. (D)の極性化合物がアルコール化合物、カルボン酸エステル化合物、アミン化合物及びエポキシ化合物の群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のオレフィン化合物水添用複合触媒。
  5. (D)の極性化合物がアルコール化合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項4記載のオレフィン化合物水添用複合触媒。
  6. 共役ジエン系重合体、または共役ジエンとビニル芳香族炭化水素との共重合体を、不活性有機溶媒中にて水素と接触させて該ポリマーのオレフィン性不飽和二重結合を水添するに際し、請求項1〜のいずれか記載の複合触媒を予め触媒槽にて調合し、これを水添槽に移送し、該水添の触媒とすることを特徴とする水添共役ジエン系ポリマーの製造方法。
  7. 共役ジエン系重合体、または共役ジエンとビニル芳香族炭化水素との共重合体を、不活性有機溶媒中にて水素と接触させて該ポリマーのオレフィン性不飽和二重結合を水添するに際し、請求項2〜5のいずれかに記載の複合触媒を該水添の触媒とすることを特徴とする水添共役ジエン系ポリマーの製造方法。
  8. 共役ジエン系重合体、または共役ジエンとビニル芳香族炭化水素との重合体の共役ジエン部分が1,3−ブタジエン及び/またはイソプレンであり、ビニル芳香族炭化水素がスチレン及び/またはα−メチルスチレンであることを特徴とする請求項または記載の水添共役ジエン系ポリマーの製造方法。
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