JP3616968B2 - 有害水中生物防除剤および防汚塗料 - Google Patents
有害水中生物防除剤および防汚塗料 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3616968B2 JP3616968B2 JP21893694A JP21893694A JP3616968B2 JP 3616968 B2 JP3616968 B2 JP 3616968B2 JP 21893694 A JP21893694 A JP 21893694A JP 21893694 A JP21893694 A JP 21893694A JP 3616968 B2 JP3616968 B2 JP 3616968B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- resin
- copper
- integer
- vinyl chloride
- antifouling paint
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)
- Paints Or Removers (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、船舶、ブイ、橋梁、臨海工業プラント、火力発電所や原子力発電所の冷却水取水路、海底油田掘削リグ、港湾施設、海洋土木工事用海水汚濁防止帯等(以下、水中構造物と記す。)に付着する有害水中生物の防除剤およびスライムの防除剤に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
水中構造物には水中、特に海水中に生息する種々の動植物等が付着して悪影響を及ぼすことが多い。例えば、船舶においては水中生物の付着により、航行速度の低下、燃料消費の増大等があり、冷却水取水路において取水量の減少等がある。
これまで、こうした水中構造物を水中生物の付着から護るために亜酸化銅等の銅化合物が使用されてきたが、その効果は必ずしも充分なものとはいえなかった。
【0003】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、一般式
【化4】
〔式中、Rは、同一または相異なり、ハロゲン原子、アルキル基またはアルコキシ基を表わし、nは0から5の整数を表わす。Xは、同一または相異なり、ハロゲン原子、ニトロ基、アルキル基またはアルコキシ基を表わし、mは0から4の整数を表わす。但し、Rnがアルキル基のみを表わす場合またはRnがアルコキシ基のみを表わす場合、nは1から3の整数を表わす。また、RnにおけるRが相異なる場合は、nは2または3の整数を表わす。〕
で示されるN−フェニルベンゾイソチアゾロン誘導体が有害水中生物およびスライムの防除に有効であるというものである。
【0004】
即ち、本発明は、一般式化4で示されるN−フェニルベンゾイソチアゾロン誘導体、および必要によりさらに銅化合物または銅単体を有効成分として含有する有害水中生物およびスライムの防除剤を提供するものである。また、本発明は、塗料成分に一般式化4で示されるN−フェニルベンゾイソチアゾロン誘導体、および必要によりさらに銅化合物または銅単体が添加されてなる防汚塗料ならびに該塗料を水中構造物に塗布することによる有害水中生物の付着防止または抑制方法をも提供するものである。
【0005】
本発明において用いられる一般式化4で示されるN−フェニルベンゾイソチアゾロン誘導体は、米国特許第3012039号明細書、特公昭51−113号公報等に記載の方法によるかまたはそれに準じた方法で製造できる。
一般式化4において、RおよびXのハロゲン原子はフッ素原子、塩素原子、臭素原子または沃素原子を意味し、アルキル基はメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、 sec−ブチル基、tert−アミル基、ペンチル基、ヘキシル基、デシル基等の一般に炭素数1〜10のアルキル基を意味し、アルコキシ基はメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、 sec−ブトキシ基、tert−アミルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、デシルオキシ基等の一般に炭素数1〜10のアルコキシ基を意味し、アルキル基としては炭素数1〜4のもの、アルコキシ基としても炭素数1〜4のものが概して好ましい。
【0006】
本発明により防除される有害水中生物としては、例えば、イガイ類等の軟体動物、フジツボ類、カンザシゴカイ類、コケムシ類、ホヤ類、ヒドロ虫類などの有害水中動物、アオサ、アオノリ、シオグサ、コンブ、ハバノリ、珪藻類などの有害水中植物等が挙げられ、これらの有害水中生物の付着防止および抑制効果は長時間持続するものである。
【0007】
一般式化4で示されるN−フェニルベンゾイソチアゾロン誘導体を有害水中生物およびスライム防除に用いる場合、溶液、乳剤等種々の形態で使用できるが、水中構造物に付着する有害水中生物を防除するには塗料の形態で使用するのが好ましい。一般式化4で示されるN−フェニルベンゾイソチアゾロン誘導体は、樹脂、顔料、溶媒等からなる塗料成分に添加した際に、塗料の増粘、変質等の悪影響を与えることはなく、また、貯蔵安定性に悪影響を与えることもない。
【0008】
本発明の防汚塗料において、塗料成分として含まれる樹脂としては、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−ビニルイソブチルエーテル共重合体、塩化ゴム系樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、合成ゴム、シリコンゴム、シリコン系樹脂、石油系樹脂、油性樹脂、ロジンエステル系樹脂、ロジン系石鹸、ロジン等が挙げられ、中でも塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−ビニルイソブチルエーテル共重合体、アクリル樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂が好ましい。
【0009】
また、本発明の防汚塗料は、塩素化パラフィン、トリメタクレジルホスフェート等の樹脂に添加される可塑剤の他に、ベンガラ、二酸化チタン等の着色顔料、酸化亜鉛、シリカ末等の体質顔料、キシレン、メチルイソブチルケトン等の溶媒などを含有することができる。
【0010】
本発明の有害水中生物剤および防汚塗料には、その効果を高めるために銅化合物または銅単体を添加するのが好ましい。
用いられる銅化合物または銅単体としては、亜酸化銅、ロダン銅、オキシン銅、ナフテン酸銅、銅グリシネート、塩化第一銅、炭酸第一銅、金属銅等が挙げられ、中でも亜酸化銅が好ましい。
【0011】
また、本発明の有害水中生物剤および防汚塗料には、必要により、他の公知の防汚剤をさらに含有させることができる。具体的には、例えば、日本造船研究協会第209研究部会において見出された防汚剤、ジンクジメチルジチオカーバメイト、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、N,N−ジメチル−N’−(3,4−ジクロロフェニル)ウレア、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、N−(フルオロジクロロメチルチオ)フタルイミド、N,N−ジメチル−N’−フェニル−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド、2−ピリジンチオール−1−オキシド亜鉛塩、テトラメチルチウラムジスルフィッド、Cu−10%Ni固溶合金、N−(2,4,6−トリクロロフェニル)マレイミド、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォニル)ピリジン、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメイト、ジヨードメチルパラトリルスルホン、ビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメイト、テトラフェニルボランピリジン塩等が挙げられる。
【0012】
一般式化4で示されるN−フェニルベンゾイソチアゾロン誘導体は、本発明の有害水中生物剤、スライム防除剤または防汚塗料中に通常0.1〜60重量%、好ましくは0.1〜40重量%含有される。防汚塗料の場合、60重量%を越えると形成される塗膜にクラック、剥離等の欠陥が生じやすくなることから好ましくない。
【0013】
本発明の有害水中生物剤または防汚塗料において、銅化合物または銅単体が添加される場合、その添加量は特に限定されないが、一般に、一般式化4で示されるN−フェニルベンゾイソチアゾロン誘導体と銅化合物または銅単体との重量比が1:0.1〜1:100の範囲内が好ましい。また、一般式化4で示されるN−フェニルベンゾイソチアゾロン誘導体と銅化合物または銅単体との総重量は、全体の0.1〜80重量%であることが好ましい。防汚塗料の場合、80重量%を越えると形成される塗膜にクラック、剥離等の欠陥が生じやすくなることから好ましくない。
尚、一般式化4で示されるN−フェニルベンゾイソチアゾロン誘導体は低刺激性であることから、例えば本発明の防汚塗料はスプレー等により塗布する際にも安全といえる。
次に、本発明において用いられるN−フェニルベンゾイソチアゾロン誘導体の具体例を化合物番号と共に示すが、本発明はこれらの例のみに限定されるものではない。
【0014】
(1) N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(2) N−(2−クロロフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(3) N−(3−クロロフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(4) N−(4−クロロフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(5) N−(4−ブロモフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(6) N−(2−フロオロフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(7) N−(4−フロオロフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(8) N−(2−メチルフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(9) N−(3−メチルフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(10) N−(4−メチルフェニル)ベンゾイソチアゾロン
【0015】
(11) N−(2−エチルフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(12) N−(3−エチルフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(13) N−(4−エチルフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(14) N−(2−イソプロピルフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(15) N−(4−イソプロピルフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(16) N−(2−メトキシフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(17) N−(3−メトキシフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(18) N−(4−メトキシフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(19) N−(4−エトキシフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(20) N−(4−ブトキシフェニル)ベンゾイソチアゾロン
【0016】
(21) N−(2,4−ジクロロフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(22) N−(3,4−ジクロロフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(23) N−(3,5−ジクロロフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(24) N−(2,6−ジクロロフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(25) N−(2,4,6−トリクロロフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(26) N−(2,3,4,5,6−ペンタクロロフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(27) N−(2,4−ジフルオロフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(28) N−(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(29) N−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(30) N−(2,4−ジメチルフェニル)ベンゾイソチアゾロン
【0017】
(31) N−(3,4−ジメチルフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(32) N−(3,5−ジメチルフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(33) N−(2,6−ジメチルフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(34) N−(2,4,6−トリメチルフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(35) N−(3,4−ジメトキシフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(36) N−(3,5−ジメトキシフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(37) N−(3,4,5−トリメトキシフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(38) N−(2−クロロ−4−メチルフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(39) N−(2−フルオロ−4−クロロフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(40) N−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェニル)ベンゾイソチアゾロン
【0018】
(41) N−(t−ブチルフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(42) N−(2,6−ジフルオロフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(43) N−(4−ヨードフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(44) N−(4−クロロ−2−メトキシ−5−メチルフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(45) N−(2,4−ジクロロ−3−メチルフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(46) N−(4−エトキシ−3,5−ジクロロフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(47) N−(2−クロロ−4−メトキシ−3−メチルフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(48) N−(4−メトキシ−3−クロロフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(49) N−(3−クロロ−2,4−ジフルオロフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(50) N−(3,4−ジエトキシフェニル)ベンゾイソチアゾロン
【0019】
(51) 4−フルオロ−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(52) 5−フルオロ−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(53) 6−フルオロ−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(54) 7−フルオロ−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(55) 4−クロロ−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(56) 5−クロロ−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(57) 6−クロロ−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(58) 7−クロロ−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(59) 4−ブロモ−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(60) 5−ブロモ−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
【0020】
(61) 6−ブロモ−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(62) 7−ブロモ−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(63) 6−ヨード−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(64) 4−メチル−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(65) 5−メチル−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(66) 6−メチル−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(67) 7−メチル−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(68) 6−エチル−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(69) 7−プロピル−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(70) 4−メトキシ−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
【0021】
(71) 5−メトキシ−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(72) 6−メトキシ−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(73) 7−メトキシ−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(74) 5−エトキシ−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(75) 7−イソプロポキシ−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(76) 4−ニトロ−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(77) 5−ニトロ−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(78) 6−ニトロ−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(79) 7−ニトロ−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(80) 5,7−ジニトロ−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
【0022】
(81) 4,5,6,7−テトラフルオロ−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(82) 5−クロロ−7−フルオロ−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(83) 5−メトキシ−7−クロロ−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(84) 6−クロロ−N−(4−クロロフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(85) 6−クロロ−N−(2,3,4−トリクロロフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(86) 5−メチル−N−(3−フルオロフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(87) 6−メトキシ−N−(4−クロロ−2−メチルフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(88) 6−メトキシ−N−(2,3,4,5,6−ペンタクロロフェニル)
ベンゾイソチアゾロン
(89) 7−メチル−N−(2−メチル−4−クロロ−5−メトキシフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(90) 5,7−ジメチル−N−(2−メチル−4−クロロ−5−メトキシフェニル)ベンゾイソチアゾロン
【0023】
【実施例】
次に、実施例および試験例にて、より具体的に本発明を説明する。尚、例中に特にことわりのない限り「部」は「重量部」を表わす。また、一般式化4で示されるN−フェニルベンゾイソチアゾロン誘導体は上述の化合物番号で示す。
【0024】
実施例1〜実施例9および比較例1
化合物(1)、(4)、(8)、(16)、(57)、(67)、(72)および(80)に、それぞれ後述の表1および表2に示す配合成分(重量部)を添加し、ペイントコンディショナーで混合分散して、実施例1〜実施例9の塗料を得た。また、同様の方法で比較例1の塗料を得た。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
尚、実施例中で用いた樹脂の記号および商品名は、以下のものを意味する。
ラロフレックスMP−45;
ドイツBASF社製塩化ビニル−ビニルイソブチルエーテル共重合体
プライオライトS−5B;
米国グッドイヤー社製スチレン−ブタジエン共重合体
アエロジル#200;
ドイツデグサ社製シリカ粉末
【0027】
試験例1
実施例1〜実施例9および比較例1で得られた塗料をショッププライマーおよびビニルタール系防食塗料を塗付した300×100×3.2mmのサンドブラスト鋼板に乾燥膜厚が100μmとなるようエアースプレーで塗装した。この試験板を7日間乾燥後、広島県広島湾宮島沖に静置浸漬し、有害水中動物および有害水中植物、さらにスライムの付着の程度を調査した。その結果を表3に示す。表中の有害水中動物および有害水中植物の付着量は汚損生物の付着面積パーセントで示した。また、スライムの付着量は次の数値で示した。
0:スライムの付着無し 3:スライムの付着中程度
1:スライムの付着微少程度 4:スライムの付着中〜多程度
2:スライムの付着少程度 5:スライムの付着多程度
【0028】
【表3】
【0029】
実施例10〜実施例18および比較例2〜比較例4
次に公知の剤および本化合物(1)、(4)、(8)、(16)、(57)、(67)、(72)および(80)を用いて実施例1〜実施例9と同様の方法にて表4および表5に示す配合成分の塗料を得た。また、同様の方法で比較例2〜比較例4の表5に示す配合成分(重量部)の塗料を得た。
【0030】
【表4】
【0031】
【表5】
【0032】
試験例2
試験例1と同様の方法にて試験評価を行った。その結果を表6に示す。
【表6】
【0033】
試験例3
実施例1〜実施例4、実施例10〜実施例13、比較例2および比較例4で得られた塗料を用いて、長崎県、広島県および新潟県の3ヶ所の海域で操業する小型漁船へのパッチ状実船試験塗装を実施した。6ヶ月経過後の有害水中動物および有害水中植物、さらにスライムの付着程度の評価を試験例1と同様に行った。その結果を表7に示す。なお、表中の「−」は試験未実施を意味する。
【0034】
【表7】
【0035】
【発明の効果】
一般式化4で示されるN−フェニルベンゾイソチアゾロン誘導体を有効成分とする本発明の有害水中生物防除剤、スライム防除剤および防汚塗料は優れた効力を有し、しかも長期間にわたってその効果を持続することから、種々の用途に用いることができる。
【産業上の利用分野】
本発明は、船舶、ブイ、橋梁、臨海工業プラント、火力発電所や原子力発電所の冷却水取水路、海底油田掘削リグ、港湾施設、海洋土木工事用海水汚濁防止帯等(以下、水中構造物と記す。)に付着する有害水中生物の防除剤およびスライムの防除剤に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
水中構造物には水中、特に海水中に生息する種々の動植物等が付着して悪影響を及ぼすことが多い。例えば、船舶においては水中生物の付着により、航行速度の低下、燃料消費の増大等があり、冷却水取水路において取水量の減少等がある。
これまで、こうした水中構造物を水中生物の付着から護るために亜酸化銅等の銅化合物が使用されてきたが、その効果は必ずしも充分なものとはいえなかった。
【0003】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、一般式
【化4】
〔式中、Rは、同一または相異なり、ハロゲン原子、アルキル基またはアルコキシ基を表わし、nは0から5の整数を表わす。Xは、同一または相異なり、ハロゲン原子、ニトロ基、アルキル基またはアルコキシ基を表わし、mは0から4の整数を表わす。但し、Rnがアルキル基のみを表わす場合またはRnがアルコキシ基のみを表わす場合、nは1から3の整数を表わす。また、RnにおけるRが相異なる場合は、nは2または3の整数を表わす。〕
で示されるN−フェニルベンゾイソチアゾロン誘導体が有害水中生物およびスライムの防除に有効であるというものである。
【0004】
即ち、本発明は、一般式化4で示されるN−フェニルベンゾイソチアゾロン誘導体、および必要によりさらに銅化合物または銅単体を有効成分として含有する有害水中生物およびスライムの防除剤を提供するものである。また、本発明は、塗料成分に一般式化4で示されるN−フェニルベンゾイソチアゾロン誘導体、および必要によりさらに銅化合物または銅単体が添加されてなる防汚塗料ならびに該塗料を水中構造物に塗布することによる有害水中生物の付着防止または抑制方法をも提供するものである。
【0005】
本発明において用いられる一般式化4で示されるN−フェニルベンゾイソチアゾロン誘導体は、米国特許第3012039号明細書、特公昭51−113号公報等に記載の方法によるかまたはそれに準じた方法で製造できる。
一般式化4において、RおよびXのハロゲン原子はフッ素原子、塩素原子、臭素原子または沃素原子を意味し、アルキル基はメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、 sec−ブチル基、tert−アミル基、ペンチル基、ヘキシル基、デシル基等の一般に炭素数1〜10のアルキル基を意味し、アルコキシ基はメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基、 sec−ブトキシ基、tert−アミルオキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、デシルオキシ基等の一般に炭素数1〜10のアルコキシ基を意味し、アルキル基としては炭素数1〜4のもの、アルコキシ基としても炭素数1〜4のものが概して好ましい。
【0006】
本発明により防除される有害水中生物としては、例えば、イガイ類等の軟体動物、フジツボ類、カンザシゴカイ類、コケムシ類、ホヤ類、ヒドロ虫類などの有害水中動物、アオサ、アオノリ、シオグサ、コンブ、ハバノリ、珪藻類などの有害水中植物等が挙げられ、これらの有害水中生物の付着防止および抑制効果は長時間持続するものである。
【0007】
一般式化4で示されるN−フェニルベンゾイソチアゾロン誘導体を有害水中生物およびスライム防除に用いる場合、溶液、乳剤等種々の形態で使用できるが、水中構造物に付着する有害水中生物を防除するには塗料の形態で使用するのが好ましい。一般式化4で示されるN−フェニルベンゾイソチアゾロン誘導体は、樹脂、顔料、溶媒等からなる塗料成分に添加した際に、塗料の増粘、変質等の悪影響を与えることはなく、また、貯蔵安定性に悪影響を与えることもない。
【0008】
本発明の防汚塗料において、塗料成分として含まれる樹脂としては、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−ビニルイソブチルエーテル共重合体、塩化ゴム系樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、合成ゴム、シリコンゴム、シリコン系樹脂、石油系樹脂、油性樹脂、ロジンエステル系樹脂、ロジン系石鹸、ロジン等が挙げられ、中でも塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−ビニルイソブチルエーテル共重合体、アクリル樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂が好ましい。
【0009】
また、本発明の防汚塗料は、塩素化パラフィン、トリメタクレジルホスフェート等の樹脂に添加される可塑剤の他に、ベンガラ、二酸化チタン等の着色顔料、酸化亜鉛、シリカ末等の体質顔料、キシレン、メチルイソブチルケトン等の溶媒などを含有することができる。
【0010】
本発明の有害水中生物剤および防汚塗料には、その効果を高めるために銅化合物または銅単体を添加するのが好ましい。
用いられる銅化合物または銅単体としては、亜酸化銅、ロダン銅、オキシン銅、ナフテン酸銅、銅グリシネート、塩化第一銅、炭酸第一銅、金属銅等が挙げられ、中でも亜酸化銅が好ましい。
【0011】
また、本発明の有害水中生物剤および防汚塗料には、必要により、他の公知の防汚剤をさらに含有させることができる。具体的には、例えば、日本造船研究協会第209研究部会において見出された防汚剤、ジンクジメチルジチオカーバメイト、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、N,N−ジメチル−N’−(3,4−ジクロロフェニル)ウレア、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、N−(フルオロジクロロメチルチオ)フタルイミド、N,N−ジメチル−N’−フェニル−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド、2−ピリジンチオール−1−オキシド亜鉛塩、テトラメチルチウラムジスルフィッド、Cu−10%Ni固溶合金、N−(2,4,6−トリクロロフェニル)マレイミド、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォニル)ピリジン、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメイト、ジヨードメチルパラトリルスルホン、ビスジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオカーバメイト、テトラフェニルボランピリジン塩等が挙げられる。
【0012】
一般式化4で示されるN−フェニルベンゾイソチアゾロン誘導体は、本発明の有害水中生物剤、スライム防除剤または防汚塗料中に通常0.1〜60重量%、好ましくは0.1〜40重量%含有される。防汚塗料の場合、60重量%を越えると形成される塗膜にクラック、剥離等の欠陥が生じやすくなることから好ましくない。
【0013】
本発明の有害水中生物剤または防汚塗料において、銅化合物または銅単体が添加される場合、その添加量は特に限定されないが、一般に、一般式化4で示されるN−フェニルベンゾイソチアゾロン誘導体と銅化合物または銅単体との重量比が1:0.1〜1:100の範囲内が好ましい。また、一般式化4で示されるN−フェニルベンゾイソチアゾロン誘導体と銅化合物または銅単体との総重量は、全体の0.1〜80重量%であることが好ましい。防汚塗料の場合、80重量%を越えると形成される塗膜にクラック、剥離等の欠陥が生じやすくなることから好ましくない。
尚、一般式化4で示されるN−フェニルベンゾイソチアゾロン誘導体は低刺激性であることから、例えば本発明の防汚塗料はスプレー等により塗布する際にも安全といえる。
次に、本発明において用いられるN−フェニルベンゾイソチアゾロン誘導体の具体例を化合物番号と共に示すが、本発明はこれらの例のみに限定されるものではない。
【0014】
(1) N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(2) N−(2−クロロフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(3) N−(3−クロロフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(4) N−(4−クロロフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(5) N−(4−ブロモフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(6) N−(2−フロオロフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(7) N−(4−フロオロフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(8) N−(2−メチルフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(9) N−(3−メチルフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(10) N−(4−メチルフェニル)ベンゾイソチアゾロン
【0015】
(11) N−(2−エチルフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(12) N−(3−エチルフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(13) N−(4−エチルフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(14) N−(2−イソプロピルフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(15) N−(4−イソプロピルフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(16) N−(2−メトキシフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(17) N−(3−メトキシフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(18) N−(4−メトキシフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(19) N−(4−エトキシフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(20) N−(4−ブトキシフェニル)ベンゾイソチアゾロン
【0016】
(21) N−(2,4−ジクロロフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(22) N−(3,4−ジクロロフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(23) N−(3,5−ジクロロフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(24) N−(2,6−ジクロロフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(25) N−(2,4,6−トリクロロフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(26) N−(2,3,4,5,6−ペンタクロロフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(27) N−(2,4−ジフルオロフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(28) N−(2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(29) N−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(30) N−(2,4−ジメチルフェニル)ベンゾイソチアゾロン
【0017】
(31) N−(3,4−ジメチルフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(32) N−(3,5−ジメチルフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(33) N−(2,6−ジメチルフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(34) N−(2,4,6−トリメチルフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(35) N−(3,4−ジメトキシフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(36) N−(3,5−ジメトキシフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(37) N−(3,4,5−トリメトキシフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(38) N−(2−クロロ−4−メチルフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(39) N−(2−フルオロ−4−クロロフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(40) N−(2,6−ジクロロ−4−メチルフェニル)ベンゾイソチアゾロン
【0018】
(41) N−(t−ブチルフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(42) N−(2,6−ジフルオロフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(43) N−(4−ヨードフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(44) N−(4−クロロ−2−メトキシ−5−メチルフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(45) N−(2,4−ジクロロ−3−メチルフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(46) N−(4−エトキシ−3,5−ジクロロフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(47) N−(2−クロロ−4−メトキシ−3−メチルフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(48) N−(4−メトキシ−3−クロロフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(49) N−(3−クロロ−2,4−ジフルオロフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(50) N−(3,4−ジエトキシフェニル)ベンゾイソチアゾロン
【0019】
(51) 4−フルオロ−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(52) 5−フルオロ−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(53) 6−フルオロ−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(54) 7−フルオロ−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(55) 4−クロロ−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(56) 5−クロロ−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(57) 6−クロロ−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(58) 7−クロロ−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(59) 4−ブロモ−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(60) 5−ブロモ−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
【0020】
(61) 6−ブロモ−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(62) 7−ブロモ−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(63) 6−ヨード−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(64) 4−メチル−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(65) 5−メチル−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(66) 6−メチル−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(67) 7−メチル−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(68) 6−エチル−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(69) 7−プロピル−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(70) 4−メトキシ−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
【0021】
(71) 5−メトキシ−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(72) 6−メトキシ−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(73) 7−メトキシ−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(74) 5−エトキシ−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(75) 7−イソプロポキシ−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(76) 4−ニトロ−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(77) 5−ニトロ−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(78) 6−ニトロ−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(79) 7−ニトロ−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(80) 5,7−ジニトロ−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
【0022】
(81) 4,5,6,7−テトラフルオロ−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(82) 5−クロロ−7−フルオロ−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(83) 5−メトキシ−7−クロロ−N−フェニルベンゾイソチアゾロン
(84) 6−クロロ−N−(4−クロロフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(85) 6−クロロ−N−(2,3,4−トリクロロフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(86) 5−メチル−N−(3−フルオロフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(87) 6−メトキシ−N−(4−クロロ−2−メチルフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(88) 6−メトキシ−N−(2,3,4,5,6−ペンタクロロフェニル)
ベンゾイソチアゾロン
(89) 7−メチル−N−(2−メチル−4−クロロ−5−メトキシフェニル)ベンゾイソチアゾロン
(90) 5,7−ジメチル−N−(2−メチル−4−クロロ−5−メトキシフェニル)ベンゾイソチアゾロン
【0023】
【実施例】
次に、実施例および試験例にて、より具体的に本発明を説明する。尚、例中に特にことわりのない限り「部」は「重量部」を表わす。また、一般式化4で示されるN−フェニルベンゾイソチアゾロン誘導体は上述の化合物番号で示す。
【0024】
実施例1〜実施例9および比較例1
化合物(1)、(4)、(8)、(16)、(57)、(67)、(72)および(80)に、それぞれ後述の表1および表2に示す配合成分(重量部)を添加し、ペイントコンディショナーで混合分散して、実施例1〜実施例9の塗料を得た。また、同様の方法で比較例1の塗料を得た。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
尚、実施例中で用いた樹脂の記号および商品名は、以下のものを意味する。
ラロフレックスMP−45;
ドイツBASF社製塩化ビニル−ビニルイソブチルエーテル共重合体
プライオライトS−5B;
米国グッドイヤー社製スチレン−ブタジエン共重合体
アエロジル#200;
ドイツデグサ社製シリカ粉末
【0027】
試験例1
実施例1〜実施例9および比較例1で得られた塗料をショッププライマーおよびビニルタール系防食塗料を塗付した300×100×3.2mmのサンドブラスト鋼板に乾燥膜厚が100μmとなるようエアースプレーで塗装した。この試験板を7日間乾燥後、広島県広島湾宮島沖に静置浸漬し、有害水中動物および有害水中植物、さらにスライムの付着の程度を調査した。その結果を表3に示す。表中の有害水中動物および有害水中植物の付着量は汚損生物の付着面積パーセントで示した。また、スライムの付着量は次の数値で示した。
0:スライムの付着無し 3:スライムの付着中程度
1:スライムの付着微少程度 4:スライムの付着中〜多程度
2:スライムの付着少程度 5:スライムの付着多程度
【0028】
【表3】
【0029】
実施例10〜実施例18および比較例2〜比較例4
次に公知の剤および本化合物(1)、(4)、(8)、(16)、(57)、(67)、(72)および(80)を用いて実施例1〜実施例9と同様の方法にて表4および表5に示す配合成分の塗料を得た。また、同様の方法で比較例2〜比較例4の表5に示す配合成分(重量部)の塗料を得た。
【0030】
【表4】
【0031】
【表5】
【0032】
試験例2
試験例1と同様の方法にて試験評価を行った。その結果を表6に示す。
【表6】
【0033】
試験例3
実施例1〜実施例4、実施例10〜実施例13、比較例2および比較例4で得られた塗料を用いて、長崎県、広島県および新潟県の3ヶ所の海域で操業する小型漁船へのパッチ状実船試験塗装を実施した。6ヶ月経過後の有害水中動物および有害水中植物、さらにスライムの付着程度の評価を試験例1と同様に行った。その結果を表7に示す。なお、表中の「−」は試験未実施を意味する。
【0034】
【表7】
【0035】
【発明の効果】
一般式化4で示されるN−フェニルベンゾイソチアゾロン誘導体を有効成分とする本発明の有害水中生物防除剤、スライム防除剤および防汚塗料は優れた効力を有し、しかも長期間にわたってその効果を持続することから、種々の用途に用いることができる。
Claims (14)
- 請求項1記載のN−フェニルベンゾイソチアゾロン誘導体と銅化合物または銅単体とを有効成分として含有することを特徴とする有害水中生物防除剤。
- 銅化合物または銅単体が、亜酸化銅、ロダン銅、オキシン銅、ナフテン酸銅、銅グリシネート、塩化第一銅、炭酸第一銅または金属銅である請求項3記載の有害水中生物防除剤。
- 銅化合物が亜酸化銅である請求項3記載の有害水中生物防除剤。
- さらに、銅化合物または銅単体が添加されてなる請求項5記載の防汚塗料。
- 銅化合物または銅単体が、亜酸化銅、ロダン銅、オキシン銅、ナフテン酸銅、銅グリシネート、塩化第一銅、炭酸第一銅または金属銅である請求項7記載の防汚塗料。
- 銅化合物が亜酸化銅である請求項8記載の防汚塗料。
- 塗料成分が、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−ビニルイソブチルエーテル共重合体、塩化ゴム系樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、合成ゴム、シリコンゴム、シリコン系樹脂、石油系樹脂、油性樹脂、ロジンエステル系樹脂、ロジン系石鹸およびロジンより選ばれる一種以上の樹脂を含有する請求項6記載の防汚塗料。
- 塗料成分が、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−ビニルイソブチルエーテル共重合体、塩化ゴム系樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、合成ゴム、シリコンゴム、シリコン系樹脂、石油系樹脂、油性樹脂、ロジンエステル系樹脂、ロジン系石鹸およびロジンより選ばれる一種以上の樹脂を含有する請求項7記載の防汚塗料。
- 塗料成分が、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−ビニルイソブチルエーテル共重合体、塩化ゴム系樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、合成ゴム、シリコンゴム、シリコン系樹脂、石油系樹脂、油性樹脂、ロジンエステル系樹脂、ロジン系石鹸およびロジンより選ばれる一種以上の樹脂を含有する請求項8記載の防汚塗料。
- 塗料成分が、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−ビニルイソブチルエーテル共重合体、塩化ゴム系樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、合成ゴム、シリコンゴム、シリコン系樹脂、石油系樹脂、油性樹脂、ロジンエステル系樹脂、ロジン系石鹸およびロジンより選ばれる一種以上の樹脂を含有する請求項9記載の防汚塗料。
- 請求項6記載の防汚塗料を水中構造物に塗布することを特徴とする有害水中生物の付着防止または抑制方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21893694A JP3616968B2 (ja) | 1993-09-17 | 1994-09-13 | 有害水中生物防除剤および防汚塗料 |
Applications Claiming Priority (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5-231373 | 1993-09-17 | ||
JP23137393 | 1993-09-17 | ||
JP5-333792 | 1993-12-27 | ||
JP33379293 | 1993-12-27 | ||
JP21893694A JP3616968B2 (ja) | 1993-09-17 | 1994-09-13 | 有害水中生物防除剤および防汚塗料 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07233014A JPH07233014A (ja) | 1995-09-05 |
JP3616968B2 true JP3616968B2 (ja) | 2005-02-02 |
Family
ID=27330216
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP21893694A Expired - Fee Related JP3616968B2 (ja) | 1993-09-17 | 1994-09-13 | 有害水中生物防除剤および防汚塗料 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3616968B2 (ja) |
-
1994
- 1994-09-13 JP JP21893694A patent/JP3616968B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07233014A (ja) | 1995-09-05 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP7309857B2 (ja) | 防汚保護のための組成物 | |
BR112021009728A2 (pt) | composição anti-incrustação e seu uso, tinta para pintura anti-incrustação e método para inibir bioincrustação marinha | |
JP3404558B2 (ja) | 水中付着生物防汚剤 | |
EP0659847B1 (en) | Anti-fouling compositions and fouling control of harmful aquatic organisms | |
JP3616968B2 (ja) | 有害水中生物防除剤および防汚塗料 | |
EP0644243B1 (en) | Anti-fouling compositions or fouling control of harmful aquatic oranisms | |
JP2873141B2 (ja) | 水中防汚塗料組成物 | |
JP2993574B2 (ja) | 水中防汚剤組成物 | |
JPS5940124B2 (ja) | 水中生物付着防止剤 | |
JP2000143417A (ja) | トリフェニルボロン化合物と有機窒素化合物を含有する水中防汚塗料 | |
JPH05331009A (ja) | 水中有害生物防除剤 | |
JPH09323909A (ja) | 有害水中生物防除剤、水中防汚塗料および漁網処理剤 | |
JPS5835161B2 (ja) | スイチユウボウオザイ | |
JPH1192307A (ja) | 防汚剤 | |
JP2003226845A (ja) | 海中用防汚塗料組成物 | |
JP2005263975A (ja) | 防汚塗料組成物 | |
JPS59170004A (ja) | 水中生物忌避剤 | |
JPH0543413A (ja) | 水中有害生物防除剤 | |
JP2002356475A (ja) | 新規なトリフェニル(アルキレンジアミン)ボロンとピリチオンとの付加塩及びその用途 | |
JPH10279839A (ja) | 海中防汚塗料組成物 | |
JPH0576504B2 (ja) | ||
JPH05339110A (ja) | 水中有害生物防除剤 | |
JPH02127479A (ja) | 水中防汚剤 | |
JPH0525408A (ja) | 水中防汚塗料組成物 | |
JP2003146811A (ja) | フジツボ類防除組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20041019 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20041028 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |