JP3616155B2 - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、熱可塑性樹脂組成物に関し、詳しくは、成形性に優れ、離型性,潤滑性,撥水性,機械的強度等に優れた成形品となり得る熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性樹脂、中でもアクリロニトリル・スチレン樹脂(AS樹脂)とアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS樹脂)は優れた物理特性を有するため、様々な成形材料として広く使用されている。しかし、この種の熱可塑性樹脂は、成形性,離型性,潤滑性,撥水性等の特性に劣るという欠点があった。一方、シリコーンオイルとかシリコーン生ゴムと称される線状のポリオルガノシロキサンは、優れた界面特性を有するため、熱可塑性樹脂の成形性、離型性、潤滑性、撥水性等の特性を改良するための添加剤として使用されている。従来、このような熱可塑性樹脂にポリオルガノシロキサンを配合して、その特性を改良する試みがなされている(特公昭57−10144号公報参照)。しかし、一般にポリオルガノシロキサンと熱可塑性樹脂、中でもAS樹脂あるいはABS樹脂とは相溶性が悪く、このような熱可塑性樹脂中にポリオルガノシロキサンを微細な形態で均一に分散させることは困難であった。このため、ポリオルガノシロキサンを添加配合した熱可塑性樹脂は作業性が悪く、またその成形品においても、表面にポリオルガノシロキサンが滲み出したり、両者の相分離による外観不良が発生するなどの問題や、機械的強度が低下したり、成形品ごとの成形性、離型性、潤滑性、撥水性、機械的強度等のバラツキが大きい等の問題点があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは上記問題点を解決するために鋭意研究した結果、熱可塑性樹脂とポリオルガノシロキサンの相溶性を向上させるために特定の第3成分を配合すれば、上記問題点が一挙に解決されるという事実を見出して、本発明に到達した。 即ち、本発明の目的は、成形性に優れ、離型性、潤滑性、撥水性、機械的強度等に優れた成形品となり得る熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段およびその作用】
本発明は、(A)芳香族ビニル化合物および不飽和脂肪族ニトリル化合物からなる共重合体、芳香族ビニル化合物,不飽和脂肪族ニトリル化合物およびジエン系ゴム質重合体からなる共重合体、およびこれらの混合物から選ばれる熱可塑性樹脂 100重量部、
(B)25℃における粘度が100万センチストークス以上のポリオルガノシロキサン 0.1〜200重量部、
および
(C)芳香族ビニル化合物、不飽和脂肪族ニトリル化合物およびオルガノシロキサン化合物からなる共重合体 0.1〜200重量部
からなる熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0005】
本発明に使用される(A)成分の熱可塑性樹脂は、(A)芳香族ビニル化合物および不飽和脂肪族ニトリル化合物からなる共重合体、芳香族ビニル化合物,不飽和脂肪族ニトリル化合物およびジエン系ゴム質重合体からなる共重合体、およびこれらの混合物から選ばれる熱可塑性樹脂である。このような(A)成分の1つは、芳香族ビニル化合物と不飽和脂肪族ニトリル化合物からなる共重合体であるが、芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられ、不飽和脂肪族ニトリル化合物としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。このような共重合体の種類や分子量や製造方法は特に限定されない。本発明においては、かかる共重合体の中でもアクリロニトリル・スチレン共重合体が好ましく使用される。(A)成分のもう1つは、芳香族ビニル化合物、不飽和脂肪族ニトリル化合物およびジエン系ゴム質重合体からなる共重合体であるが、芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられ、不飽和脂肪族ニトリル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられ、そして、ジエン系ゴム質重合体としては、ポリブタジエン、スチレン・ブタジエン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体等が挙げられる。このような共重合体の種類や分子量や製造方法は特に限定されない。かかる共重合体としては、例えば、ジエン系ゴム質重合体に芳香族ビニル化合物と不飽和脂肪族ニトリル化合物の混合物をグラフト重合して得られたもの、あるいはこのグラフト共重合体と芳香族ビニル化合物と不飽和脂肪族ニトリル化合物の混合物を重合して得られた共重合体とを混合して得られたもの等がある。本発明においては、かかる共重合体の中でもアクリロニトリル・スチレン・ブタジエン三元共重合体が好ましく使用される。
【0006】
本発明に使用される(A)成分の熱可塑性樹脂は上記のような芳香族ビニル化合物および不飽和脂肪族ニトリル化合物からなる共重合体、芳香族ビニル化合物,不飽和脂肪族ニトリル化合物およびジエン系ゴム質重合体からなる共重合体、およびこれらの混合物から選ばれる熱可塑性樹脂であるが、このような(A)成分の熱可塑性樹脂を構成する化合物としては、前記の芳香族ビニル化合物と不飽和脂肪族ニトリル化合物に加え、熱可塑性樹脂の特性を改良する目的で1種または2種以上の他のビニル化合物を含んでいてもよい。このようなビニル化合物としては、メタクリル酸、アクル酸等の不飽和カルボン酸類、メチルメタクリレート、メチルアクリレート等の不飽和カルボン酸エステル類、あるいは、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有不飽和カルボン酸エステル類等が挙げられる。
【0007】
本発明で使用される(B)成分のポリオルガノシロキサンは、本発明の熱可塑性樹脂組成物に、成形性、潤滑性、離型性、撥水性等の特性を付与する働きをする。このような(B)成分のポリオルガノシロキサンの代表例は、末端がトリオルガノシロキサン単位[R3SiO1/2(式中、Rは、メチル基,エチル基,プロピル基,クロロプロピル基,3,3,3−トリフルオロプロピル等の置換もしくは非置換のアルキル基、ビニル基,アリル基,ブテニル基,ヘキセニル基等の置換もしくは非置換のアルケニル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等の置換もしくは非置換のアラルキル基等で例示される置換もしくは非置換の1価炭化水素基である。)]あるいはヒドロキシ基からなり、末端以外のシロキサン単位が、主として、ジオルガシロキサン単位[R2SiO単位(式中、Rは前記と同じである。)からなる直鎖状のポリオルガノシロキサンやこれらに加えて、少量のRSiO3/2単位(式中、Rは前記と同じである。)]および/またはSiO2単位を含む、ポリオルガノシロキサンである。このようなポリオルガノシロキサンとしては、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ポリジメチルシロキサン,両末端ジメチルハイドロオキシシロキシ基封鎖ポリジメチルシロキサン,両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルフェニルシロキサン,両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体,両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジフェニルシロキサン,両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体,両末端トリメチルシロキシ基封鎖(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルシロキサン,両末端トリメチルシロキシ基封鎖(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体,両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体,両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン,両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体等が例示される。
【0008】
本発明の(B)成分は、これらの直鎖状のポリオルガノシロキサンに加え、本発明の目的を損なわない範囲で、前記のようなRSiO3/2単位やSiO2単位を含む分岐状のポリオルガノシロキサンを配合してもよい。このような(B)成分のポリオルガノシロキサンの25℃における粘度は、100万センチストークス以上であることが、潤滑性やその持続性に優れるため好ましい。また、このような(B)成分のポリオルガノシロキサンは、その中に含まれる200℃で10mmHg以上の蒸気圧を有する低分子量ポリオルガノシロキサンの含有量が、重量単位で50,000ppm以下であることが好ましく、20,000ppm以下であることがより好ましい。
【0009】
(B)成分の配合量は(A)成分の熱可塑性樹脂100重量部に対して0.1重量部〜200重量部である。これは、(B)成分の配合量が0.1重量部未満になると成形性,離型性,潤滑性等の特性改良効果が見られなくなり、一方、200重量部を越えると熱可塑性樹脂に対する(B)成分の容積比が大きくなりすぎ、本発明の熱可塑性樹脂組成物が固体状を呈しなくなるためである。
【0010】
本発明に使用される(C)成分の芳香族ビニル化合物、不飽和脂肪族ニトリル化合物およびオルガノシロキサン化合物からなる共重合体は、本発明の特徴となる成分であり、(A)成分の熱可塑性樹脂と(B)成分のポリオルガノシロキサンの相溶性を向上させ(A)成分の熱可塑性樹脂中に(B)成分のポリオルガノシロキサンを微細な形態で均一に分散させる働きをする。このような(C)成分の共重合体は、芳香族ビニル化合物および不飽和脂肪族ニトリル化合物が連続するブロックとオルガノシロキサン単位が連続するブロックを含むものであればよく、共重合体の分子量や構造は特に限定されない。ここで芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン,α−メチルスチレン,ビニルトルエン等が挙げられ、不飽和脂肪族ニトリル化合物としては、例えば、アクリロニトリル,メタクリロニトリル等が挙げられる。また、これらの化合物に加え、1種または2種以上の他のビニル化合物を含んでいてもよい。このようなビニル化合物としては、メタクリル酸,アクル酸等の不飽和カルボン酸類,メチルメタクリレート,メチルアクリレート等の不飽和カルボン酸エステル類、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有不飽和カルボン酸エステル類等が挙げられる。一方、オルガノシロキサン単位が連続するブロックは、主としてジオルガノシロキサン単位[R2SiO単位(式中、Rは、メチル基,エチル基,プロピル基,クロロプロピル基,3,3,3−トリフルオロプロピル等の置換もしくは非置換のアルキル基、ビニル基,アリル基,ブテニル基,ヘキセニル基等の置換もしくは非置換のアルケニル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等の置換もしくは非置換のアラルキル基等で例示される置換もしくは非置換の1価炭化水素基である。)]からなるもので、少量のRSiO3/2単位やSiO2単位を含んでいてもよい。芳香族ビニル化合物および不飽和脂肪族ニトリル化合物が連続するブロックの化合物の平均繰り返し数は5以上の範囲が好ましく、10以上の範囲がより好ましい。このような平均繰り返し数の上限は特に限定されず、一般により長い方が好ましい。一方、オルガノシロキサン化合物が連続するブロックのオルガノシロキサン単位の平均繰り返し数は5以上の範囲が好ましく、10以上の範囲がより好ましい。このような連鎖長の上限は特に限定されないが、一般により長い方が好ましい。また、このような(C)成分中の芳香族ビニル化合物または不飽和脂肪族ニトリル化合物が連続するブロックとオルガノシロキサン単位が連続するブロックとの量比は、モル比で1:0.2から0.2:1の範囲内のものが好ましく用いられる。
【0011】
このような(C)成分の共重合体としては、例えば、芳香族ビニル化合物および不飽和脂肪族ニトリル化合物が連続するブロックとオルガノシロキサン単位が連続するブロックが直鎖状につながった、いわゆるABブロック共重合体や(AB)nブロック共重合体、あるいは芳香族ビニル化合物および不飽和脂肪族ニトリル化合物が連続するブロックを主骨格とし、オルガノシロキサン単位が連続するブロックが枝状に分岐したり、オルガノシロキサン単位が連続するブロックを主骨格とし、芳香族ビニル化合物および不飽和脂肪族ニトリル化合物が連続するブロックが枝状に分岐したグラフト共重合体等が挙げられる。
このような(C)成分の芳香族ビニル化合物、不飽和脂肪族ニトリル化合物およびオルガノシロキサン化合物からなる共重合体は、アニオン重合,ラジカル重合等、従来周知の方法により製造することができる。例えば、芳香族ビニル化合物および不飽和脂肪族ニトリル化合物の混合物をリビングアニオン重合し、続いて、これにヘキサオルガノシクロトリシロキサンをアニオン重合することによりABブロック共重合体を製造することができる。また、分子末端にラジカル反応開始基を有するポリオルガノシロキサンマクロイニシエーターと芳香族ビニル化合物と不飽和脂肪族ニトリル化合物の混合物をラジカル重合して(AB)nブロック共重合体を製造することができる。また、芳香族ビニル化合物、不飽和脂肪族ニトリル化合物の混合物と分子中に少なくとも1個のラジカル反応性の不飽和基を有する線状のポリオルガノシロキサンマクロモノマーをラジカル反応触媒の存在下にラジカル重合することにより芳香族ビニル化合物または不飽和脂肪族ニトリル化合物が連続するブロックを主骨格とし、オルガノシロキサン単位が連続するブロックが枝状に分岐したグラフト共重合体を製造することができる。また、側鎖にメルカプト基を有するポリオルガノシロキサンと芳香族ビニル化合物と不飽和脂肪族ニトリル化合物の混合物をラジカル反応触媒の存在下にラジカル重合することにより、オルガノシロキサン単位が連続するブロックを主骨格とし、芳香族ビニル化合物または不飽和脂肪族ニトリル化合物が連続するブロックが枝状に分岐したグラフト共重合体を製造することができる。
【0012】
(C)成分の配合量は、(A)成分の熱可塑性樹脂100重量部に対して0.1重量部〜200重量部である。これは、(C)成分の配合量が0.1重量部未満になると(A)成分の熱可塑性樹脂と(B)成分のポリオルガノシロキサンの相溶性を向上させる働きが見られなくなり、一方、200重量部を越えると熱可塑性樹脂組成物の機械的強度が低下するなるためである。
【0013】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記(A)成分,(B)成分および(C)成分を均一に混合することにより製造できる。この製造に使用される装置としては、一般の熱可塑性樹脂の混練に使用される回分式加熱混練装置、連続式加熱混連装置等従来周知の混練装置を用いて製造可能である。ここで、(A)、(B)および(C)成分の配合順序は任意であり、加熱混練条件は、一般に、(A)成分の熱可塑性樹脂を溶融混練する場合と同様の条件でよく、混練時間は数分以上あれば十分である。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、(A)、(B)および(C)成分に加えて、熱可塑性樹脂の改質剤や添加剤、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、マイカ、タルク、シリカ微粉末等の補強剤あるいは充填剤、有機滑剤等の成形加工性改良剤、難燃剤、帯電防止剤、顔料等の着色剤、抗菌剤等の特殊添加剤等を配合することは本発明の目的を損なわない限り差し支えない。
【0014】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、(C)成分を含有しているため熱可塑性樹脂中のポリオルガノシロキサンの分散性がよく、そのため、従来のポリオルガノシロキサンを単独で含有する熱可塑性樹脂に比べて成形性、離型性、潤滑性、撥水性、機械的強度等に優れている。本発明の熱可塑性樹脂組成物は、そのまま、射出成形や押出し成形により成形品とし使用される。また、熱可塑性樹脂、特にAS樹脂あるいはABS樹脂の改質剤として、これらの樹脂に添加配合し使用することができる。
【0015】
【実施例】
以下、本発明を実施例にて説明する。実施例および比較例中の部とあるのは重量部を意味し、粘度は25℃における測定値であり、cStはセンチストークスを表わす。また、実施例中、成形品の外観の観察、ポリオルガノシロキサン相の平均粒子径の測定、成形品の潤滑性、引張り強度および衝撃強度の測定は、次に示す方法に従って行った。
○成形品の外観の観察
試料をそのまま、あるいは、所定の熱可塑性樹脂で希釈して(希釈は、ラボプラストミルにより加熱混練することにより行った。)、加圧プレスを用いて成形し、板状試験片とした。この試験片の外観を肉眼にて観察した。観察結果は次のように表示した。
○ 均一な表面であり、フローマーク等の異常現象が見られなかった。
× ポリオルガノシロキサンの分散不良により、表面が均一でなく、フローマークが発生した。
○ポリオルガノシロキサン相の平均粒子径の測定
試料を液体窒素で冷却して、破砕した後、室温にてヘキサンに浸せきし、試料中に含まれるポリオルガノシロキサン成分を溶解除去した。破断面を走査型電子顕微鏡にて観察し、ポリオルガノシロキサンの抜けた穴径を測定することによりポリオルガノシロキサン相の平均粒子径を測定した。
○成形品の潤滑性の測定
試料をそのまま、あるいは、所定の熱可塑性樹脂で希釈して(希釈は、ラボプラストミルにより加熱混練することにより行った。)、これを加圧プレスを用いて平状試験片とした。一方、所定の熱可塑性樹脂を用いて、射出成形機を用いて円筒状試験片を成形した。両者を用いて、スラスト摩擦磨耗試験機(東洋精機製)により、1kg/cm2の圧力、50cm/sの周速度下における、動摩擦係数およびその変動幅を測定した。
○成形品の引張り強度およびアイゾット衝撃強度の測定
試料をそのまま、あるいは、所定の熱可塑性樹脂で希釈して(希釈は、ラボプラストミルを用い加熱混練することにより行った。)、これを射出成形機を用いて、引張り強度およびアイゾット衝撃強度測定用の試験片をそれぞれ成形し、JISK 6874に決められた試験法に従い、引張り強度およびアイゾット衝撃強度をそれぞれ測定した。
【0016】
【参考例1】
スチレンとアクリロニトリルが連続するブロックを主骨格とし、ジメチルシロキサン単位が連続するブロックが枝状に分岐した共重合体(a)の合成
攪拌機,還流管を備えた200mlのフラスコにα−メタクリロキシプロピル、ω−トリメチルシロキシ、ポリジメチルシロキサン(数平均分子量:6360)20g、スチレン単量体13g、アクリロニトリル単量体7gおよびトルエン80gを仕込み、反応系を窒素置換した。フラスコを65℃に加熱し、アゾイソブチロニトロル100mgを投入した後、65℃にて24時間攪拌して重合反応を行った。反応終了後、反応混合物を大過剰のイソプロピルアルコール中に投入することにより、白色の沈澱物を得た。この沈殿物を分離し、イソプロピルアルコールで洗浄後、真空乾燥し、白色固体26.0gを得た。
この白色固体をゲルパーミェーションクロマトグラフィー(GPC)、磁気共鳴スペクトル(NMR)を用いて分析したところ、スチレンとアクリロニトリルが連続するブロックの平均繰り返し数が96であり、オルガノシロキサン単位が連続するブロックのオルガノシロキサン単位の平均繰り返し数が82であり、スチレンとアクリロニトリルが連続するブロックとオルガノシロキサン単位が連続するブロックとの量比が、モル比にして1:0.85であるスチレン・アクリロニトリル・ジメチルシロキサン共重合体であることが判明した。また、この共重合体の数平均分子量は36,100であった。
【0017】
【参考例2】
オルガノシロキサン単位が連続するブロックを主骨格とし、スチレンとアクリロニトリルが連続するブロックが枝状に分岐した共重合体(b)の合成
末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチル(γ−メルカプトプロピル)シロキサン共重合体(数平均分子量:10,200、メルカプト基当量:5,100)16g、スチレン単量体15.6g、アクリロニトリル単量体8.4gおよびトルエン80gを仕込み、反応系を窒素置換した。フラスコを65℃に加熱し、アゾイソブチロニトロル100mgを投入した後、65℃にて24時間攪拌して重合反応を行った。反応終了後、反応混合物を大過剰のイソプロピルアルコール中に投入し、白色の沈澱物を得た。この沈殿物を分離し、イソプロピルアルコールで洗浄後、真空乾燥し、白色固体28.0gを得た。
この白色固体をゲルパーミェーションクロマトグラフィー(GPC)、磁気共鳴スペクトル(NMR)を用いて分析したところ、スチレンとアクリロニトリルが連続するブロックの平均繰り返し数が71であり、オルガノシロキサン単位が連続するブロックのオルガノシロキサン単位の平均繰り返し数が69であり、スチレンとアクリロニトリルが連続するブロックとオルガノシロキサン単位が連続するブロックとの量比が、モル比にして1:0.97であるスチレン・アクリロニトリル・オルガノシロキサン共重合体であることが判明した。また、この共重合体の数平均分子量は21,000であった。
【0018】
【実施例1】
アクリロニトリル・スチレン共重合体樹脂(AS樹脂)[三菱化学株式会社製,商品名サンレックスSAN−C、200℃,10kgの条件下におけるメルトフローレイト,25g/10分]19g、粘度1000万cStの末端トリメチルシロキシ基封鎖ポリジメチルシロキサン1gおよび参考例1で得られたスチレン・アクリロニトリル・ジメチルポリシロキサンからなる共重合体(a)0.5gをラボプラストミル(30ml)に入れ、220℃、100rpmの条件下にて10分間加熱混合した後、冷却し、白色固体状の熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物について、成形品の表面状態、ポリオルガノシロキサン相の平均粒子径の測定および成形品の潤滑性、引張り強度および衝撃強度の測定を行い、それらの結果を後記する表1に示した。
【0019】
【実施例2】
実施例1において、スチレン・アクリロニトリル・オルガノポリシロキサンからなる共重合体(a)の代わりに参考例2で得られた共重合体(b)を配合した以外は実施例1と同様にして、白色固体状の熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物について、成形品の表面状態、ポリオルガノシロキサン相の平均粒子径の測定を行い、それらの結果を後記する表1に示した。
【0020】
【実施例
アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)[三菱化学株式会社製,商品名サンレックスSAN−C、200℃,10kgの条件下におけるメルトフローレイト,25g/10分]10g、粘度1000万cStの末端トリメチルシロキシ基封鎖ポリジメチルシロキサン10gおよび参考例1で得られたスチレン・アクリロニトリル・オルガノポリシロキサン共重合体(a)5gをラボプラストミル(30ml)に入れ、220℃、100rpmの条件下にて10分間加熱混合した後、冷却し、白色固体状の熱可塑性樹脂組成物を得た。次に、得られた熱可塑性樹脂組成物1.0gおよび上記のAS樹脂19gをラボプラストミル(30ml)に入れ、220℃、100rpmの条件下にて10分間加熱混合後、冷却し、白色固体状の熱可塑性樹脂組成物を得た。この組成物の特性を実施例1と同様に測定して、それらの結果を後記する表1に示した。
【0021】
【実施例
実施例1において、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)の代わりに、アクリロニトリル・スチレン・ブタジエン3元共重合体(ABS樹脂)[東レ株式会社製,商品名トヨラック100、溶融粘度(220℃)、4×103ポイズ]を配合した以外は実施例1と同様にして、白色固体状の熱可塑性樹脂組成物を得た。この組成物の特性を実施例1と同様に測定して、それらの結果を後記する表1に示した。
【0022】
【実施例
実施例2において、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)の代わりに、アクリロニトリル・スチレン・ブタジエン共重合体(ABS樹脂)[東レ株式会社製,商品名トヨラック100、溶融粘度(220℃)、4×103ポイズ]を配合した以外は実施例2と同様にして、白色固体状の熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物について、成形品の表面状態、ポリオルガノシロキサン相の平均粒子径の測定を行い、それらの結果を後記する表1に示した。
【0023】
【比較例1】
アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)[三菱化学株式会社製,商品名サンレックスSAN−C、200℃,10kgの条件下におけるメルトフローレイト,25g/10分]19g、粘度1000万cStの末端トリメチルシロキシ基封鎖ポリジメチルシロキサン1gをラボプラストミル(30ml)に入れ、220℃、100rpmの条件下にて10分間加熱混合した後、冷却し、白色固体状の熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物について、成形品の表面状態、ポリオルガノシロキサン相の平均粒子径の測定および成形品の潤滑性、引張り強度および衝撃強度の測定を行い、それらの結果を後記する表1に示した。
【0024】
【比較例2】
比較例1において、粘度1000万cStの末端トリメチルシロキシ基封鎖ポリジメチルシロキサンの代わりに、粘度1万cStの末端トリメチルシロキシ基封鎖ポリジメチルシロキサンを配合した以外は比較例1と同様にして、白色固体状の熱可塑性樹脂組成物を得た。この組成物の特性を比較例1と同様に測定して、それらの結果を後記する表1に示した。
【0025】
【比較例3】
比較例1において、アクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)の代わりに、アクリロニトリル・スチレン・ブタジエン共重合体(ABS樹脂)[東レ株式会社製,商品名トヨラック100、溶融粘度(220℃)、4×103ポイズ]を配合した以外は比較例1と同様にして、白色固体状の熱可塑性樹脂組成物を得た。この組成物の特性を比較例1と同様に測定して、それらの結果を後記する表1に示した。
【0026】
表1
Figure 0003616155
【0027】
【発明の効果】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、(A)成分〜(C)成分からなり、特に(C)成分として芳香族ビニル化合物、不飽和脂肪族ニトリル化合物およびオルガノシロキサンからなる共重合体を含有するため、熱可塑性樹脂中のポリオルガノシロキサンの分散性がよく、そのため、従来のポリオルガノシロキサンを単独で含有する熱可塑性樹脂に比べて成形性に優れ、離型性、潤滑性、撥水性、機械的強度等に優れた成形品となるという特徴を有する。

Claims (5)

  1. (A)芳香族ビニル化合物および不飽和脂肪族ニトリル化合物からなる共重合体、芳香族ビニル化合物,不飽和脂肪族ニトリル化合物およびジエン系ゴム質重合体からなる共重合体、およびこれらの混合物から選ばれる熱可塑性樹脂 100重量部、
    (B)25℃における粘度が100万センチストークス以上のポリオルガノシロキサン 0.1〜200重量部、
    および
    (C)芳香族ビニル化合物、不飽和脂肪族ニトリル化合物およびオルガノシロキサン化合物からなる共重合体 0.1〜200重量部
    からなる熱可塑性樹脂組成物。
  2. (A)成分の熱可塑性樹脂がスチレン・アクリロニトリル共重合体である請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. (A)成分の熱可塑性樹脂がスチレン・アクリロニトリル・ブタジエン3元共重合体である請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. (B)成分のポリオルガノシロキサン中に含まれる200℃で10mmHg以上の蒸気圧を有する低分子量オルガノシロキサンの含有量が50,000ppm以下である請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. (C)成分の共重合体がスチレンとアクリロニトリルからなるブロックとジメチルシロキサンからなるブロックから構成されたブロック共重合体である請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
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