JP3611521B2 - 情報記録用紙 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗工型及び非塗工型の情報記録用紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
ゴミ焼却場等において廃棄物を焼却すると、廃棄物中の塩素等が要因となり、ダイオキシン類を発生する虞がある。
【0003】
ダイオキシン類は300℃前後の温度での焼却により発生しやすいことが判っており、近年、ゴミ焼却場では800〜1000℃の高温で完全燃焼させるようにし、ダイオキシン類発生の防止を図っている。
【0004】
しかし、例え高温で燃焼したとしても、燃焼によって発生した燃焼排ガスが、その後、冷えて300℃前後になると、ダイオキシン類を合成してしまう。特に、排ガスを電気集塵機で徐塵する場合、最も効率よく機能する処理温度が300℃前後であるため、大きな問題として残る。
【0005】
一方、近年、限りある資源の有効利用という観点から、様々な製品について、その再利用が進んでいる。例えば、紙などは、これを回収した後、古紙パルプとし、この古紙パルプを利用して再生紙としている。このことは、廃棄物の減量化につながり、しいては、ダイオキシン類の発生を抑制することにつながるので望ましいものといえる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、企業秘密や個人情報等が記録(記載)された情報記録古紙は、記録内容が第三者に漏れるのを防止するため、いまだその大部分が焼却処分されている。そして、特に、情報記録古紙が(情報記録用)再生紙に情報を記録したものである場合、原料となる古紙パルプとして塩素漂白古紙パルプを用いていることが多いため、焼却処分による塩素、ダイオキシン類の発生量が増加する。これらの問題は、近年の情報記録の高速化に伴い、情報記録古紙が増加する傾向にあるため、より大きな問題となる。
【0007】
そこで、本発明の課題は、情報記録用紙が再利用に適さず、通常焼却処分するという現状を利用して、ゴミ処分場等において廃棄物を焼却した際に発生する、塩素や、塩素を一要因として発生するダイオキシン類の大気中への放出を抑制すること、つまり、塩素や、ダイオキシン類の大気中への放出を抑制することのできる情報記録用紙を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決した本発明は、次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
パルプ原料に、レーザー回析法による中心粒径が0.5〜30μmであり、かつ600〜1000℃の温度で焼却すると活性アルミナに変化する、粉末結晶で結晶水を含む水酸化アルミニウムを3〜20質量%内添して抄紙したことを特徴とする情報記録用紙。
【0009】
<請求項2記載の発明>
古紙パルプを5質量%以上含有するパルプ原料に、レーザー回析法による中心粒径が0.5〜30μmであり、かつ600〜1000℃の温度で焼却すると活性アルミナに変化する、粉末結晶で結晶水を含む水酸化アルミニウムを3〜20質量%内添して抄紙したことを特徴とする情報記録用紙。
【0010】
<請求項3記載の発明>
少なくとも基材片面に塗工層を有する情報記録用紙であって、
前記塗工層が、レーザー回析法による中心粒径が0.5〜30μmであり、かつ600〜1000℃の温度で焼却すると活性アルミナに変化する、粉末結晶で結晶水を含む水酸化アルミニウムを、対他の塗工成分比で3〜20質量%含有することを特徴とする情報記録用紙。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる情報記録用紙は、ノンインパクト式、静電記録式、インパクト式、サーマルヘッド式、インクジェット式等、いずれの方式による情報記録にも適用可能なものであり、主に(1)塗工型又は非塗工型の情報記録用紙において、基材が水酸化アルミニウムを含有するものと、(2)塗工型の情報記録用紙において、塗工層が水酸化アルミニウムを含有するものと、がある。そこで、以下では、基材が水酸化アルミニウムを含有する場合の非塗工型情報記録用紙の実施の形態と、塗工層が水酸化アルミニウムを含有する場合の塗工型情報記録用紙の実施の形態とを詳説する。なお、基材及び塗工層のいずれもが水酸化アルミニウムを含有する形態等も考えられるが、本実施の形態では説明を省略する。
【0012】
(基材が水酸化アルミニウムを含有する場合)
この場合の情報記録用紙は、パルプ原料に水酸化アルミニウムを3〜20質量%内添して、あるいは、古紙パルプを5質量%以上含有するパルプ原料に、水酸化アルミニウムを3〜20質量%内添して抄紙したものである。
【0013】
しかし、原料となるパルプ自体については、その種類を何ら限定するものでなく、通常の情報記録用紙の場合と同様のパルプを使用することができる。例えば、ダグラスファー、ラジアータパイン、杉材等の針葉樹天然パルプ、ユーカリ、オーク等の広葉樹を主原料としたクラフトパルプ(KP)、セミケミカルパルプ(SCP)、砕木パルプ(GP)、セミグランドパルプ(SGP)、リファイナーグランドパルプ(RGP)等から一種あるいは数種を適宜選択して使用することができる。また、古紙パルプとしては、ダインキングパルプ(DIP)、ウェイストパルプ(WP)の何れをも使用することができる。
【0014】
そして、これらのパルプ原料には、印刷適性・不透明度・平滑性等、使用用途にあわせた機能を付加するため、通常の情報記録用紙の場合と同様、無機顔料を添加することができる。無機顔料としては、例えば、クレー、タルク、カオリン・ケイ酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、二酸化チタン、酸化アルミニウム等から一種あるいは数種を適宜選択して使用することができる。
【0015】
また、無機顔料とともに、サイズ剤、紙力増強剤、歩留向上剤、染料、導電剤(食塩)等も使用することができる。サイズ剤としては、ロジン系の各種サイズ剤を使用することができる。紙力増強剤としては、外添、内添を問わず澱粉、変成澱粉、カチオン澱粉、ポリアクリルアミドメラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、PVA等から一種あるいは数種を適宜選択して使用することができる。歩留向上剤としては、ポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、アクリル酸ナトリウム、カチオン澱粉等から一種あるいは数種を適宜選択して使用することができる。染料としては、例えば、直接染料、カチオン性染料、塩基性染料等、市販している染料から一種あるいは数種を適宜選択して使用することができる。
【0016】
ところで、本発明に係る情報記録紙は、前述したとおり、水酸化アルミニウムを含有するものであるが、この水酸化アルミニウムとしては、例えば、ボーキサイト、バイヤライト、ノルドストランダイト、ベーマイト、ダイアスポア等の普通粒・粗粒・細粒微細の白色粉末結晶で結晶水を含み、200℃を超えると急激に脱水分解を起こし600〜1000℃になると多孔質で高比表面積を有する活性アルミナに変化するものを使用できる。活性アルミナは多孔質であるため、孔の中に微細気体成分を吸着する性質を有する。したがって、本発明に係る情報記録用紙を焼却すると、基材が含有する水酸化アルミニウムが活性アルミナに変質して、焼却により発生した塩素、ダイオキシン類や、人体に害を及ぼす重金属類等を吸着し、結果、これらの物質が燃焼ガスとともに大気中に飛散するのを防ぐことができる。
【0017】
このような性質を有する水酸化アルミニウムは、パルプ原料に、3〜20質量%、より好ましくは5〜10質量%内添して、抄紙する。水酸化アルミニウムの内添割合が少ないと、塩素やダイオキシン類等の吸着効果に劣る。水酸化アルミニウムの内添割合が多いと、吸着効果は向上するものの、抄紙が困難になるとともに、シングルワイヤーもしくはツインワイヤー長網抄紙機においてワイヤーの損耗が大きくなる、印字・印刷時にヘッドや版、搬送装置の磨耗が生じる、印字・印刷面のこすれ、色落ち、剥がれ落ちが生じる等の問題が発生する。長網抄紙機による紙の裏面(ワイヤー面)は、脱水、サクションにより、表面に比べて水酸化アルミニウムの露出が少なくなるので、印字のこすれ防止という観点からは、印字を裏面に行う方が好ましい。また、抄紙機としてツインワイヤーフォーマーを使用すれば、水酸化アルミニウムが紙に対しあんこ状に存在することとなり、その露出が少なくなるので、印字のこすれによる汚れを防止することができる。
【0018】
本発明で使用する水酸化アルミニウムの粒径は、レーザー回析法による中心粒径が0.5〜30μm、特に1.0〜5μmであるとよい。
【0019】
水酸化アルミニウムの中心粒径を30μm以下にすると、水酸化アルミニウムは抄紙に際して紙層の繊維間に入り込むので、水分の吸収、放出による繊維の伸縮作用に干渉する働きを示すようになり、用紙搬送性、寸法安定性、カール防止効果が向上する。また、水酸化アルミニウムの中心粒径を5μm以下にすると、紙層の繊維間に留まる水酸化アルミニウムの粒子数が多くなるので、ヒートロール・フラッシュ部等の加熱部で熱を受けた瞬間に吸着水を放出する吸熱反応を起こし易くなり、しかも紙表面が平坦になることから、用紙表面の放熱作用が強くなり、情報記録時(印字時)の蓄熱量が軽減され、トナーの定着性が向上する。
【0020】
以上に対し、水酸化アルミニウムの中心粒径を0.5μm未満にすると、焼却時に活性アルミナが排ガスとともに大気に飛散することがある、活性アルミナの比表面積自体は広くなるが吸着可能量が少なくなることから塩素・ダイオキシン類・重金属類、等の吸着量が少なくなる、たとえ歩留まり向上剤を使用するとしても抄紙機ワイヤー部・プレス部での脱水に際して、ワイヤーを通過する水酸化アルミニウムが多くなり抄紙機のワイヤー摩耗を早める、等の問題が生じる。また、水酸化アルミニウムの中心粒径を30μm超にすると、活性アルミナの吸着可能量は多くなるが比表面積が狭くなることから塩素・ダイオキシン類・重金属類、等の吸着量が少なくなる、抄紙機ワイヤー部・プレス部での脱水によりワイヤー詰まりが生じ抄紙機のワイヤー摩耗を早める、白水中に含まれた水酸化アルミニウムが配管、ポンプ内に堆積し操業性を悪化させる、情報記録用紙の表面性が悪くなる、印字・印刷時にヘッドや版、搬送装置の磨耗が生じる、用紙自身の摩擦係数が著しく高くなる、等の問題が生じる。
【0021】
(塗工層が水酸化アルミニウムを含有する場合)
この場合の情報記録用紙は、少なくとも基材片面に塗工層を有するもので、この塗工層が水酸化アルミニウムを3〜20質量%、より好ましくは5〜10質量%含有することを特徴とするものである。水酸化アルミニウムの内添割合が少ないと、塩素やダイオキシン類等の吸着効果に劣る。水酸化アルミニウムの内添割合が多いと、吸着効果は向上するものの、印字・印刷時にヘッドや版、搬送装置の磨耗が生じる、印字・印刷面のこすれ、色落ち、剥がれ落ちが生じる等の問題が発生する。
【0022】
本発明で使用する水酸化アルミニウムの粒径は、レーザー回析法による中心粒径が0.5〜30μmであるとよい。
【0023】
水酸化アルミニウムの中心粒径を30μm以下にすると、塗工層表面が平坦になることから、用紙搬送性が向上する。これに対し、水酸化アルミニウムの中心粒径を30μm超にすると、活性アルミナの吸着可能量は多くなるが比表面積が狭くなることから塩素・ダイオキシン類・重金属類、等の吸着量が少なくなる、情報記録用紙の表面性が悪くなる、印字・印刷時にヘッドや版、搬送装置の磨耗が生じる、用紙自身の摩擦係数が著しく高くなる、等の問題が生じる。また、水酸化アルミニウムの中心粒径を0.5μm未満にすると、焼却時に活性アルミナが排ガスとともに大気に飛散することがある、活性アルミナの比表面積自体は広くなるが吸着可能量が少なくなることから塩素・ダイオキシン類・重金属類、等の吸着量が少なくなる、等の問題が生じる。
【0024】
ところで、本発明に使用するパルプ原料については、その種類を何ら限定するものではなく、例えば「基材が水酸化アルミニウムを含有する場合」で示したパルプ原料を用いたものを使用することができる。
【0025】
また、塗工層を構成する組成物の主成分についても、その種類を何ら限定するものでなく、通常の塗工型情報記録用紙と同様のものを使用することができ、例えば、バインダー成分としてスチレン−ブタジエン系、アクリロニトリル−ブタジエン系、メチルメタクリレート−ブタジエン系、アクリロニトリル−スチレン系、アクリル系、PVA系、ピグメントとしてクレー、タルク、カオリン・ケイ酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、二酸化チタン、酸化アルミニウム等を使用することができる。
【0026】
また、基材に対する塗工層の形成方法についても、通常の塗工型情報記録用紙の場合と同様に行うことができる。
【0027】
【実施例】
以下、本発明の実施例を示す。なお、以下断りのない限り部及び%は固形分質量基準でいう。
【0028】
<非塗工型情報記録用紙>
(実施例1)
LBKP(フリーネス470cc)25部、NBKP(フリーネス550cc)5部、古紙パルプ(漂白の際に塩素を使用したため、塩素を含有する。)70部からなるパルプスラリー(パルプ原料)に、レーザー回析法による中心粒子径が1.0μmの水酸化アルミニウム(日本軽金属社製)を3部、PAM(日本PMC:DS−414)を0.05部、ロジンサイズ剤(日本PMC:AL−104)を0.15部、歩留向上剤(ハイモ社製:DR−5500)、食塩を0.01部加え、ツインワイヤー抄紙機により800m/分で抄造した。
【0029】
(実施例2〜4及び比較例1)
実施例1の水酸化アルミニウムの配合量を変化させて、実施例2〜4及び比較例1とした。
【0030】
(実施例5〜8及び比較例2)
実施例1〜4及び比較例1のパルプ原料を、LBKP(フリーネス470cc)95部、NBKP(フリーネス550cc)5部からなるパルプスラリーに替え、実施例5〜8及び比較例2とした。
【0031】
(実施例9〜16及び比較例3〜6)
実施例2及び6の水酸化アルミニウムの中心粒子径を変化させて、実施例9〜16及び比較例3〜6とした。
【0032】
(試験及び結果)
抄造によるワイヤー磨耗度、及びサンプルの熱伝導性、用紙搬送性、カール、トナー定着性を調べた。また、サンプルを小型焼却炉にて940℃〜1000℃の温度で焼却した際の、排ガス中の塩化水素発生量(時間平均値:数値を丸めてある)も調べた。結果を表1に示す。なお、評価基準は、次記のとおりである。
【0033】
・ワイヤー磨耗度:実施例・比較例確認時に作成したパルプスラリーを用いて、JIS標準角形手抄マシンを用いて連続200枚、64g/m2のシート透きを行いワイヤー表面を電子顕微鏡で撮影した。なお、ワイヤーはパルプスラリーのサンプル毎に新品ワイヤーと交換した。
【0034】
・熱伝導性評価:サンプルをA4サイズに断裁し、リコー製NIPプリンター(FT−9100)にて連続5000枚印字した。その後、30分間静置し、印字後サンプルの2500枚目に接触型デジタル温度計(井内製)を差し込み、紙面温度を測定した。評価結果は、65℃以下を◎、66〜73℃を○、74〜85℃を△、86℃以上を×とした。なお、各サンプルへの印字インターバルを15分間とることにより、条件を統一した。
【0035】
・用紙搬送性:サンプルをA4サイズに断裁し、リコー製NIPプリンター(FT−9100)にて連続3000枚印字し、重送、紙詰まり枚数を確認した。なお、各サンプルへの印字インターバルを15分間とることにより、条件を統一した。
【0036】
・生カール:サンプルをJISP−8111の条件で調湿した後、10cm角に断裁し、ガラス板上に置き、JIS1級金尺にて4角の盛り上がり平均を測定した。
【0037】
・ヒートカール:サンプルをJISP−8111の条件で調湿した後、10cm角に断裁し、110℃の条件に設定したオーブンドライヤーの中に1分間入れた。その後、オーブンドライヤーから取り出し、ガラス板上に置き、JIS1級金尺にて4角の盛り上がり平均を測定した。
【0038】
・NIP印字カール:サンプルをA4サイズに断裁し、リコー性NIPプリンター(FT−9100)にて連続1000枚印字した。その後、印字サンプルを取り出し、ガラス板上に置き、JIS1級金尺にて4角の盛り上がり平均を測定した。
【0039】
・トナー定着性:サンプルをA4サイズに断裁し、リコー性NIPプリンター(FT−9100)にて連続2500枚印字した。次いで、印字後サンプルに50kgの加重を5分間掛け、中央部分を取り出し一枚一枚めくり、触診・音・トナーの剥がれ状況を確認した。評価結果は、非常に良好を◎、良好を○、普通を△、やや悪いを▲、悪いを×とした。
【0040】
【表1】
【0041】
表1から、基材が水酸化アルミニウムを3質量%以上含有すると、特に5質量%以上含有すると、塩化水素の発生量が減ることがわかった。また、基材の含有する水酸化アルミニウムの量が10質量%以下になるように抄紙すれば、ワイヤー磨耗の早まり、及びトナー定着性の低下を避けられることがわかった。さらに、水酸化アルミニウムの中心粒径を30μm以下にすると、用紙搬送性、カール防止効果が向上することが、5μm以下にすると、用紙の熱伝導性、トナー定着性が向上することが分かった。これに対し、水酸化アルミニウムを0.5μm未満または30μm超にすると、塩化水素発生量が増え、しかもワイヤー磨耗の早まることがわかった。
【0042】
<塗工型情報記録用紙>
(実施例17)
実施例2のサンプルを基材とし、この基材の片面に、水酸化アルミニウム3部、シリカ(徳山化学 ファインシールX−60)65部、バインダー(住友化学 スミカフレックス401)25部、定着剤(里田化学 ジェットフィックス30)10部を混合した塗料を12g/m2となるように塗工機を用いて塗工し、実施例17とした。
【0043】
(実施例18〜20及び比較例7)
実施例17の水酸化アルミニウムの配合量を変化させて、実施例18〜20及び比較例7とした。
【0044】
(実施例21〜24及び比較例8,9)
実施例18の水酸化アルミニウムの中心粒子径を変化させて、実施例21〜24及び比較例8,9とした。
【0045】
(試験及び結果)
サンプルに対しインクジェットプリンター(エプソンPM−770)で印字を行い、用紙搬送性、カール、コックリング性を調べた。また、サンプルを小型焼却炉にて940℃〜1000℃の温度で焼却した際の、排ガス中の塩化水素発生量(時間平均値:数値を丸めてある)も調べた。結果を表2に示す。なお、評価基準は、次記のとおりである。
【0046】
・カール(印字前):サンプルをA4サイズに断裁し、断裁したサンプルをガラス板上に置き、JIS1級金尺にて4角の盛り上がり平均を測定した。
【0047】
・カール(印字後):サンプルをA4サイズに断裁し、断裁したサンプルに対し、パーソナルコンピューター(シャープ製 FJ−30)と接続したカラーインクジェットプリンター(エプソン製 PM−770)によって、ISO300の画像を印字した。そして、印字サンプルを、ガラス板上に置き、JIS1級金尺にて4角の盛り上がり平均を測定した。
【0048】
・コックリング性(印字後):サンプルをA4サイズに断裁し、断裁したサンプルに対し、パーソナルコンピューター(シャープ製 FJ−30)と接続したカラーインクジェットプリンター(エプソン製 PM−770)によって、ISO300の画像を印字した。そして、印字面のボコツキを目視にて確認した。評価結果は、非常に良好を◎、良好を○、普通を△、やや悪いを▲、悪いを×とした。
【0049】
・用紙搬送性(印字後):サンプルをA4サイズに断裁し、断裁したサンプルに対し、パーソナルコンピューター(シャープ製 FJ−30)と接続したカラーインクジェットプリンター(エプソン製 PM−770)によって、ISO300の画像を連続3000枚印字し、重送、紙詰まり枚数を確認した。なお、各サンプルへの印字インターバルを15分間とることにより、条件を統一した。
【0050】
【表2】
【0051】
表2から、塗工層が水酸化アルミニウムを、対他の塗工成分比で3質量%以上含有すると、特に5質量%以上含有すると、塩化水素の発生量が減ることがわかった。また、塗工層の含有する水酸化アルミニウムの量が10質量%以下になるようにすれば、コックリング性が良好になり、トナー定着性の低下を避けられることがわかった。また、水酸化アルミニウムの中心粒径を30μm以下にすると、用紙搬送性の向上することが、0.5μm未満または30μm超にすると、塩化水素発生量が増えることがわかった。
【0052】
さらに、表1と表2との対比から、表1において実証したカール防止効果は、基材表面に塗工層を形成しても、低下しないことがわかった。なお、表2の各サンプルは、全て基材として実施例2の水酸化アルミニウム含有基材を使用している。
【0053】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明に係る情報記録用紙によれば、ゴミ処分場等において廃棄物を焼却した際に発生する、塩素や、塩素を一要因として発生するダイオキシン類の大気中への放出を抑制することができる。
Claims (3)
- パルプ原料に、レーザー回析法による中心粒径が0.5〜30μmであり、かつ600〜1000℃の温度で焼却すると活性アルミナに変化する、粉末結晶で結晶水を含む水酸化アルミニウムを3〜20質量%内添して抄紙したことを特徴とする情報記録用紙。
- 古紙パルプを5質量%以上含有するパルプ原料に、レーザー回析法による中心粒径が0.5〜30μmであり、かつ600〜1000℃の温度で焼却すると活性アルミナに変化する、粉末結晶で結晶水を含む水酸化アルミニウムを3〜20質量%内添して抄紙したことを特徴とする情報記録用紙。
- 少なくとも基材片面に塗工層を有する情報記録用紙であって、
前記塗工層が、レーザー回析法による中心粒径が0.5〜30μmであり、かつ600〜1000℃の温度で焼却すると活性アルミナに変化する、粉末結晶で結晶水を含む水酸化アルミニウムを、対他の塗工成分比で3〜20質量%含有することを特徴とする情報記録用紙。
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