JP3611000B2 - ビニルアミン系ポリマーの水系分散液の製造方法 - Google Patents

ビニルアミン系ポリマーの水系分散液の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビニルアミン系ポリマーの水系分散液の製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、排水の凝集剤、汚泥の脱水剤、紙用添加剤として優れた効果を示すビニルアミン系ポリマーの、高濃度であっても低粘度を保ち、自動化、省力化の点でハンドリング性に優れ、油中水型エマルションポリマーのように油を使用することなく、粉末状ポリマーのように粉塵の発生がなく、作業環境改善の点でも優れた安定なビニルアミン系ポリマーの水系分散液の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
これまで、汚泥脱水剤などに使用されるカチオン性ポリマーは、主として粉末の形態で商品化され、取り扱われてきた。しかし、粉末状のポリマーは取り扱いに際して粉塵が発生するため作業の安全性に問題があり、また使用形態である水溶液とするための溶解作業に時間と手間がかかるなどの問題から、カチオン性ポリマーの液状製品が要求されている。現在、提案されている液状品としては、例えば、特開平2−105809号公報に提案されているような、ベンジルアンモニウム型カチオン性モノマーを多価アニオン塩水溶液中で重合する方法や、特開平2−222404号公報に提案されているようなN−ビニルアミドを乳化剤存在下で重合及び加水分解して油中水型エマルションを得る方法などがある。しかし、油中水型エマルションは大量の油を使うという問題点がある。
カチオン性ポリマーの中でも、ビニルアミン系ポリマーは排水の凝集剤、汚泥の脱水剤、紙用添加剤としての性能に特に優れるため、従来より開発の努力が続けられている。ビニルアミン系ポリマーは、通常N−ビニルカルボン酸アミドを主成分とするモノマーを重合して母体ポリマーを製造したのち、加水分解するという製造工程がとられている。母体ポリマーは酸又はアルカリによって加水分解することができるが、一般には無機酸が好適であるとされ、工業的には通常は塩酸が用いられている。加水分解により得られたビニルアミン系ポリマー水溶液を水系分散液とするためには、水溶液に無機塩を添加してビニルアミン系ポリマーの溶解度を低下させ、ビニルアミン系ポリマーを水媒体中で粒子状に析出させる必要がある。しかし、凝集剤、脱水剤などとして有用なビニルアミン系ポリマーは高分子量であることが要求されるため、ビニルアミン系ポリマーの水溶液は極めて高粘度であり、無機塩を添加して均一に混合しビニルアミン系ポリマーを粒子状に析出させ水系分散液とすることは困難であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、N−ビニルカルボン酸アミド単位を有するポリマーを、1工程で容易にビニルアミン系ポリマーの安定な水系分散液とする方法を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、N−ビニルカルボン酸アミド単位を有するポリマーを、水媒体中で硝酸を用いて加水分解することにより、容易にビニルアミン系ポリマーの水系分散液が得られることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)N−ビニルカルボン酸アミド単位を有するポリマーの水溶液又は水を媒体とする乳化状態若しくは懸濁状態の該ポリマーの水分散液に対して、水媒体中でN−ビニルカルボン酸アミド単位の . 〜5モル倍の硝酸を用いて加水分解することによって、水系分散液形成することを特徴とするビニルアミン系ポリマーの水系分散液の製造方法、
を提供するものである。
さらに、本発明の好ましい態様として、
(2)N−ビニルカルボン酸アミド単位を有するポリマーが、ポリ−N−ビニルホルムアミドである第(1)項記載のビニルアミン系ポリマーの水系分散液の製造方法、
(3)ポリ−N−ビニルホルムアミドの1N塩化ナトリウム水溶液を溶媒として30℃で測定した固有粘度が、1dl/g以上である第(2)項記載のビニルアミン系ポリマーの水系分散液の製造方法、
(4)N−ビニルカルボン酸アミド単位を有するポリマーが、N−ビニルホルムアミドとアクリロニトリルとのコポリマーである第(1)項記載のビニルアミン系ポリマーの水系分散液の製造方法、
)水媒体中におけるN−ビニルカルボン酸アミド単位を有するポリマーの濃度が10〜40重量%である第(1)項、第(2)項、第(3)項又は第()項記載のビニルアミン系ポリマーの水系分散液の製造方法、及び、
)加水分解反応の温度が40〜100℃である第(1)項、第(2)項、第(3)項、第(4)項又は第()項記載のビニルアミン系ポリマーの水系分散液の製造方法、
を挙げることができる。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明に使用するN−ビニルカルボン酸アミド単位を有するポリマーとしては、N−ビニルカルボン酸アミドのホモポリマーのほか、N−ビニルカルボン酸アミド及びN−ビニルカルボン酸アミドと共重合可能な他のモノマーのコポリマーを挙げることができる。N−ビニルカルボン酸アミドとしては、例えば、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルプロピオンアミド、N−ビニルベンズアミドなどを挙げることができるが、これらの中でN−ビニルホルムアミドを特に好適に使用することができる。
N−ビニルカルボン酸アミドと共重合するモノマーには特に制限はなく、例えば、(メタ)アクリルアミド、スチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル、N−ビニルピロリドンなどのノニオン性モノマー、(メタ)アクリル酸及びそれらのアルカリ金属塩、ビニルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸及びそれらのアルカリ金属塩などのアニオン性モノマー、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドの3級塩及び4級アンモニウム塩などのカチオン性モノマーなどを挙げることができる。これらのモノマーの中で、(メタ)アクリロニトリルは、N−ビニルカルボン酸アミドと(メタ)アクリロニトリルとのコポリマーの加水分解により、カチオン性ポリマーとして特徴ある性能を発揮するアミジン構造を生成するので、特に好適に使用することができる。
【0006】
本発明において、N−ビニルカルボン酸アミド単位を有するポリマーを得るための重合方法には特に制限はないが、使用するモノマー及び生成するポリマーの溶解性などに応じて、溶液重合、乳化重合、懸濁重合などを適宜選ぶことができる。本発明においては、N−ビニルカルボン酸アミド単位を有するポリマーの加水分解を水媒体中で行うので、水溶液重合及び水を媒体とする乳化重合又は懸濁重合を好適に使用することができる。N−ビニルカルボン酸アミド単位を有するポリマーが水溶性である場合は、モノマーを水に溶解し、雰囲気を不活性ガスにより置換し、所定温度まで昇温したのち水溶性重合開始剤を添加し、水溶液重合を行うことによってポリマーの水溶液を得ることができる。重合開始剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩など、一般的な開始剤を用いることができるが、アゾ系化合物が特に好ましい。
N−ビニルカルボン酸アミド単位を有するポリマーが水不溶性である場合は、水を媒体とする乳化重合又は懸濁重合によることができる。モノマーが水溶性であり、ポリマーが水不溶性である場合は、水溶性重合開始剤を用い、必要に応じて乳化剤又は分散剤を添加して重合し、重合の進行に伴って析出するポリマーを乳化又は懸濁状態に保って重合を進め、乳化状態又は懸濁状態のポリマーの水系分散液を得ることができる。モノマーが水不溶性であり、ポリマーも水不溶性である場合は、水溶性重合開始剤及び乳化剤を用いる公知の乳化重合、あるいは、モノマーに可溶な油溶性重合開始剤及び分散剤を用いる公知の懸濁重合によりポリマーの水系分散液を得ることができる。
本発明において、N−ビニルカルボン酸アミド単位を有するポリマーの水溶液又は水系分散液は、そのまま引き続いて、または一旦単離したのち再びN−ビニルカルボン酸アミド単位を有するポリマーの水溶液又は水系分散液として、加水分解に供することができる。加水分解により、ポリマーのN−ビニルカルボン酸アミド単位はN−ビニルアミン単位となり、さらにN−ビニルアミン単位に隣接して(メタ)アクリロニトリル単位が存在するときは、両単位間の反応によりアミジン構造が形成される。
【0007】
本発明に用いるN−ビニルカルボン酸アミド単位を有するポリマーおいて、ポリマーの全構造単位中に占めるN−ビニルカルボン酸アミド単位の割合は、本発明方法により製造した水系分散液を高分子凝集剤として用いるときは35モル%以上であることが性能上好ましい。しかし、本発明方法は、N−ビニルカルボン酸アミド単位が全構造単位中に占める割合には制限なく実施することが可能であり、安定したビニルアミン系ポリマーの水系分散液を得ることができる。
本発明方法により製造するビニルアミン系ポリマーの水系分散液中のポリマーは、水系分散液を高分子凝集剤として用いるときは高分子量であることが好ましい。N−ビニルカルボン酸アミド単位を有するポリマーが水溶性である場合は、加水分解に供するN−ビニルカルボン酸アミド単位を有するポリマーの分子量の指標となる、1N塩化ナトリウム水溶液を溶媒として30℃で測定した固有粘度が1dl/g以上であることが好ましく、3dl/g以上であることがより好ましい。しかし、本発明方法は、N−ビニルカルボン酸アミド単位を有するポリマーの固有粘度には制限なく実施することが可能であり、安定したビニルアミン系ポリマーの水系分散液を得ることができる。
本発明方法においては、N−ビニルカルボン酸アミド単位を有するポリマーを、水媒体中で硝酸を用いて加水分解する。水媒体中のN−ビニルカルボン酸アミド単位を有するポリマーは、水に溶解した状態であっても、水媒体中に乳化、懸濁などのように分散した状態であっても、加水分解することができる。水媒体中のN−ビニルカルボン酸アミド単位を有するポリマーの濃度は、10重量%以上であることが好ましく、15〜40重量%であることがより好ましい。使用する硝酸の量は、ポリマー中のN−ビニルカルボン酸アミド単位の1〜5モル倍であり、好ましくは1.5〜3モル倍である。硝酸の量が、ポリマー中のN−ビニルカルボン酸アミド単位の1モル倍未満であると、加水分解反応の速度が遅くなり、かつ、ビニルアミン系ポリマーの水溶媒への析出が不十分となって安定な水系分散液が得られないおそれがある。硝酸の量が、ポリマー中のN−ビニルカルボン酸アミド単位の5モル倍を超えると、反応槽などの腐蝕が進みやすくなるおそれがある。加水分解反応の温度は、40〜100℃であることが好ましく、50〜80℃であることがより好ましい。反応温度が40℃未満であると反応速度が遅くなるおそれがある。反応温度が100℃を超えると、加圧反応器が必要となり、反応の制御がむつかしくなるおそれがある。
【0008】
本発明方法において、加水分解に硝酸を使用することにより、加水分解の進行に伴って生成するビニルアミン系ポリマーが水媒体中に析出分散し、安定な水系分散液を形成するので、N−ビニルカルボン酸アミド単位を有するポリマーから直接ビニルアミン系ポリマーの水系分散液を1工程で製造することができる。したがって、従来のように一旦単離したビニルアミン系ポリマーを水媒体中に分散する方法と異なり、分散工程を省略することができる。また、製造中に高粘度のポリマー溶液を取り扱う工程がないので、設備を簡略化し、撹拌や輸送に必要な動力を節減することができる。さらに、N−ビニルカルボン酸アミドの重合又はN−ビニルカルボン酸アミドと他のモノマーとの共重合により得られるN−ビニルカルボン酸アミド単位を有するポリマーの水溶液又は水系分散液に、硝酸を加えて加水分解することにより、原料モノマーからビニルアミン系ポリマーの水系分散液を得るまでの間、一度もポリマーを単離することなく製造することができる。
本発明方法において、N−ビニルカルボン酸アミド単位を有するポリマーを硝酸を用いて加水分解することにより、ビニルアミン系ポリマーの安定な水系分散液が得られる機構は明らかでないが、水媒体中の硝酸イオンが一級アミノ基を有するビニルアミン系ポリマーに特異的に作用して塩析を促進するものと推定される。N−ビニルカルボン酸アミド単位を有するポリマーを塩酸を用いて加水分解すると、ビニルアミン系ポリマーは析出せず、高粘度の透明な水溶液となり、N−ビニルカルボン酸アミド単位を有するポリマーを硫酸を用いて加水分解すると、ポリマーの水系分散液は得られるものの、ポリマーは水に不溶となって再溶解せず、脱水剤、凝集剤や紙用添加剤として使用できないものとなる。
【0009】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
製造例1(ポリ−N−ビニルホルムアミド)
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素導入管を備えた1,000mlフラスコに、N−ビニルホルムアミド177.5g(2.5モル)及び水775gを仕込み、雰囲気を窒素で置換した。撹拌しつつ60℃に昇温し、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩の10重量%水溶液2.5gを添加し、60℃を保ったまま5時間重合を続けた。得られた粘稠なポリマー水溶液をアセトン中に添加し、析出したポリマーを真空乾燥して、白色粉末状のポリ−N−ビニルホルムアミドを得た。このポリマーの、1N塩化ナトリウム水溶液を溶媒として30℃で測定した固有粘度は6.0dl/gであった。
製造例2(N−ビニルホルムアミドとアクリロニトリルとのコポリマー)
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素導入管を備えた1,000mlセパラブルフラスコに、N−ビニルホルムアミド71g(1.0モル)、アクリロニトリル53g(1.0モル)及び水565gを仕込み、雰囲気を窒素で置換した。撹拌しつつ60℃に昇温し、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩の10重量%水溶液1.5gを添加し、60℃を保ったまま5時間重合を続け、水中にコポリマーが析出した懸濁物を得た。
懸濁物中の固形物をろ別し、真空乾燥して、水不溶性の白色粒子状のN−ビニルホルムアミドとアクリロニトリルとのコポリマーを得た。
参考例1
撹拌機を備えた300mlセパラブルフラスコに、製造例1で得られたポリ−N−ビニルホルムアミド20g及び純水60mlを加えて均一に溶解し、60℃まで昇温した。この水溶液に、60重量%の硝酸29.6gを純水で希釈して50mlに調製した溶液を加えた。加えた硝酸の量は、ポリマー中のN−ビニルホルムアミド単位の1.0モル倍に相当する。
60℃で8時間加水分解を続けたところ、ポリ−N−ビニルホルムアミドの水溶液は次第に白濁し、水系分散液が得られた。この水系分散液中のポリマー粒子の粒径は4〜5μmであり、ポリマーのpH=4におけるコロイド当量値は5.9meq/gであった。また、この水系分散液の安定性は良好であった。
実施例1
60重量%の硝酸44.4gを純水で希釈して50mlに調製した溶液を用い、加えた硝酸の量を、ポリマー中のN−ビニルホルムアミド単位の1.5モル倍に相当する量とした以外は、参考例1と全く同じ操作を繰り返した。
得られた水系分散液中のポリマー粒子の粒径は4〜5μmであり、ポリマーのpH=4におけるコロイド当量値は7.3meq/gであった。また、この水系分散液の安定性は良好であった。
実施例2
60重量%の硝酸59.2gを純水で希釈して50mlに調製した溶液を用い、加えた硝酸の量を、ポリマー中のN−ビニルホルムアミド単位の2.0モル倍に相当する量とした以外は、参考例1と全く同じ操作を繰り返した。
得られた水系分散液中のポリマー粒子の粒径は4〜5μmであり、ポリマーのpH=4におけるコロイド当量値は9.4meq/gであった。また、この水系分散液の安定性は良好であった。
実施例3
98重量%の硝酸54.4gを純水で希釈して50mlに調製した溶液を用い、加えた硝酸の量を、ポリマー中のN−ビニルホルムアミド単位の3.0モル倍に相当する量とした以外は、参考例1と全く同じ操作を繰り返した。
得られた水系分散液中のポリマー粒子の粒径は4〜5μmであり、ポリマーのpH=4におけるコロイド当量値は10.3meq/gであった。また、この水系分散液の安定性は良好であった。
参考例2
撹拌機を備えた300mlセパラブルフラスコに、製造例2で得られたN−ビニルホルムアミドとアクリロニトリルとのコポリマー20g及び純水60mlを仕込み、撹拌下60℃まで昇温した。さらに、60重量%の硝酸25.0gを純水で希釈して50mlに調製した溶液を加えた。加えた硝酸の量は、コポリマー中のN−ビニルホルムアミド単位の1.0モル倍に相当する。
撹拌しつつ60℃で8時間加水分解を続けたところ、加水分解前には水に不溶解であったコポリマーが、加水分解の進行に伴い一旦水に溶解し、その後再び析出し、最終的には白濁した均一な水系分散液が得られた。
得られた水系分散液中のポリマー粒子の粒径は4〜5μmであり、ポリマーのpH=4におけるコロイド当量値は6.5meq/gであった。また、この水系分散液の安定性は良好であった。
実施例4
60重量%の硝酸34.0gを純水で希釈して50mlに調製した溶液を用い、加えた硝酸の量を、ポリマー中のN−ビニルホルムアミド単位の1.5モル倍に相当する量とした以外は、参考例2と全く同じ操作を繰り返し、白濁した均一な水系分散液を得た。
得られた水系分散液中のポリマー粒子の粒径は4〜5μmであり、ポリマーのpH=4におけるコロイド当量値は7.3meq/gであった。また、この水系分散液の安定性は良好であった。
比較例1
撹拌機を備えた300mlセパラブルフラスコに、製造例1で得られたポリ−N−ビニルホルムアミド20g及び純水60mlを加えて均一に溶解し、60℃まで昇温した。この水溶液に、35重量%の塩酸29.4gを純水で希釈して50mlに調製した溶液を加えた。加えた塩化水素の量は、ポリマー中のN−ビニルホルムアミド単位の1.0モル倍に相当する。
60℃で8時間加水分解を続けたところ、ポリ−N−ビニルホルムアミドの水溶液は透明なまま次第に粘度が上昇し、高粘度の透明溶液となった。得られたポリマーのpH=4におけるコロイド当量値は、6.2meq/gであった。
比較例2
35重量%の塩酸44.1gを純水で希釈して50mlに調製した溶液を用い、加えた塩化水素の量を、ポリマー中のN−ビニルホルムアミド単位の1.5モル倍に相当する量とした以外は、比較例1と全く同じ操作を繰り返した。
ポリ−N−ビニルホルムアミドの水溶液は透明なまま次第に粘度が上昇し、高粘度の透明溶液となった。得られたポリマーのpH=4におけるコロイド当量値は、8.7meq/gであった。
比較例3
撹拌機を備えた300mlセパラブルフラスコに、製造例1で得られたポリ−N−ビニルホルムアミド20g及び純水60mlを加えて均一に溶解し、60℃まで昇温した。この水溶液に、98重量%の硫酸28.2gを純水で希釈して50mlに調製した溶液を加えた。加えた硫酸の量は、ポリマー中のN−ビニルホルムアミド単位の1.0モル倍に相当する。
60℃で8時間加水分解を続けたところ、ポリ−N−ビニルホルムアミドの水溶液は次第に白濁し、水系分散液が得られた。しかし、得られたポリマーは不溶化していた。
比較例4
98重量%の硫酸42.3gを純水で希釈して50mlに調製した溶液を用い、加えた硫酸の量を、ポリマー中のN−ビニルホルムアミド単位の1.5モル倍に相当する量とした以外は、比較例3と全く同じ操作を繰り返した。
ポリ−N−ビニルホルムアミドの水溶液は次第に白濁し、水系分散液が得られた。しかし、得られたポリマーは不溶化していた。
比較例5
撹拌機を備えた300mlセパラブルフラスコに、製造例2で得られたN−ビニルホルムアミドとアクリロニトリルとのコポリマー20g及び純水60mlを仕込み、撹拌下60℃まで昇温した。さらに、35重量%の塩酸25.0gを純水で希釈して50mlに調製した水溶液を加えた。加えた塩化水素の量は、コポリマー中のN−ビニルホルムアミド単位の1.5モル倍に相当する。
撹拌しつつ60℃で8時間加水分解を続けたところ、加水分解前には水に不溶解であったコポリマーが、加水分解の進行に伴い徐々に溶解して系の粘度が上昇し、高粘度の透明溶液となった。得られたポリマーのpH=4におけるコロイド当量値は、7.4meq/gであった。
比較例6
撹拌機を備えた300mlセパラブルフラスコに、製造例2で得られたN−ビニルホルムアミドとアクリロニトリルとのコポリマー20g及び純水60mlを仕込み、撹拌下60℃に昇温した。さらに、98重量%の硫酸24.2gを純水で希釈して50mlに調製した水溶液を加えた。加えた硫酸の量は、コポリマー中のN−ビニルホルムアミド単位の1.5モル倍に相当する。
撹拌しつつ60℃で8時間加水分解を続けたところ、最終的には白濁した水系分散液が得られたものの、ポリマーは不溶化していた。
実施例1〜4、参考例1〜2及び比較例1〜6の結果を、第1表に示す。
【0010】
【表1】
Figure 0003611000
【0011】
実施例1〜の結果から、ポリ−N−ビニルホルムアミドの加水分解に硝酸を用いる本発明方法によれば、加水分解したポリマーの安定な水系分散液が得られ、使用する硝酸の量が増加するにつれ得られるポリマーのコロイド当量値が大きくなることから、硝酸の量の増加とともに、生成するビニルアミン単位が増加していることが分かる。
実施例の結果から、N−ビニルホルムアミドとアクリロニトリルとのコポリマーの加水分解に硝酸を用いる本発明方法によれば、加水分解したポリマーの安定な水系分散液が得られ、使用する硝酸の量が増加すると得られるポリマーのコロイド当量値が大きくなることから、硝酸の量の増加とともに、生成するビニルアミン単位又はアミジン単位が増加していることが分かる。
これに対して、加水分解に塩酸を用いた比較例1、2及び5では、生成物は水系分散液とならず、高粘度の透明な水溶液となった。また、加水分解に硫酸を用いた比較例3、4及び6では、水系分散液が得られたが、ポリマーは不溶化し再溶解しないので、凝集剤などとして使用できない状態となった。
【0012】
【発明の効果】
本発明方法によれば、N−ビニルカルボン酸アミド単位を有するポリマーから、1工程で容易にビニルアミン系ポリマーの安定な水系分散液を製造することができる。

Claims (1)

  1. N−ビニルカルボン酸アミド単位を有するポリマーの水溶液又は水を媒体とする乳化状態若しくは懸濁状態の該ポリマーの水分散液に対して、水媒体中でN−ビニルカルボン酸アミド単位の . 〜5モル倍の硝酸を用いて加水分解することによって、水系分散液形成することを特徴とするビニルアミン系ポリマーの水系分散液の製造方法。
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