JP3609880B2 - 車両の空調制御装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗員の上半身に向けて空調用エアを吹き出すベント吹出口と、乗員の下半身に向けて空調エアを吹き出すフット吹出口と、上記ベント吹出口およびフット吹出口に供給される空調用エアを制御するモード切換ダンパとを有する車両の空調制御装置に関するものである。
【0002】
【従来例】
従来、例えば特開平5−116521号公報に示されるように、空調用エアを冷却する冷却用熱交換器と、空調用エアを加熱する加熱用熱交換器と、この加熱用熱交換器に通風される空調用エアの割合を調節するエアミックスダンパとを有する車両の空調制御装置において、車室内に供給される空調用エアの吹出温度および吹出風量をパラメータとして快適度指数の特性式を予め設定し、この特性式に基づいて算出された快適度指数を目標快適度指数に一致させるように上記吹出温度および吹出風量の制御値をそれぞれ決定し、これらの値に基づいて上記エアミックスダンパの開度および送風機の出力を制御することが行われている。
【0003】
すなわち、上記空調制御装置は、上記特性式から算出された快適度指数を予め設定された目標値に一致させるように空調用エアの吹出温度の制御値および吹出風量の制御値をそれぞれ設定し、この吹出温度の制御値に基づいてエアミックスダンパの開度を制御することにより、上記加熱用熱交換器への通風量とこの加熱用熱交換器をバイパスする風量との割合を調節して乗員に吹き付けられる空調用エアの体感温度を制御するとともに、上記吹出風量に制御値に基づいて送風機の出力を制御することにより、乗員に吹き付けられる空調用エアの風量を適正値に制御することが行われている。
【0004】
また、上記空調制御装置は、夏季等において車室内温度を低下させる場合に、冷却用熱交換器で冷却された空調用エアを、通風ダクトに設けられたベント吹出口から乗員の上半身に吹き出すベントモードの制御状態とするとともに、冬季等において車室内温度を上昇させる場合に、加熱用熱交換器で加熱された空調用エアを、通風ダクトに設けられたフット吹出口から乗員の下半身に吹き出すヒートモードの制御状態とするように構成されている。
【0005】
そして、上記ベント吹出口から空調用エアを吹き出すベントモードの制御時に、上記演算手段によって演算された上半身の快適度指数に基づいて、ベントモードの制御状態が適正であるか否かを判定するとともに、フット吹出口から空調用エアを吹き出すヒートモードの制御時に、上記演算手段によって演算された下半身の快適度指数に基づいて、ヒートモードの制御状態が適正であるか否かを判定し、この判定結果に応じて上記モード切換ダンパを開閉制御することにより、適正な吹出口を選択するように構成されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記構成の空調制御装置では、ベント吹出口から乗員の上半身に空調用エアを吹き出すベントモードの制御時に、上半身の快適度指数が適正範囲内にあると判定された場合に、下半身も快適状態にあるとみなして上記ベントモードの制御状態を継続するとともに、フット吹出口から乗員の下半身に空調用エアを吹き出すヒートモードの制御時に、下半身の快適度指数が適正範囲内にあると判定された場合に、上半身も快適状態にあるとみなして上記ベントモードの制御状態を継続するように構成されているため、必ずしも全身の快適度が満足されるとは限らないという問題があった。
【0007】
すなわち、モード切換ダンパの開閉制御により空調用エアの吹出口を選択する吹出モードの制御時に、ベントモードを選択すると、フット吹出口が閉じられるため、例えばベント吹出口から冷たい空調エアを乗員の上半身に吹き出す冷房運転状態において、下半身に空調用エアを吹き出さないで下半身の快適度が満足されているかどうかが考慮されないため、下半身に空調用エアが吹き出さないことにより下半身の不快度が増大するという事態の発生を防止できないという問題があった。
【0008】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、空調用エアの吹出モード制御を適正に実行して乗員の全身を快適状態に維持することができる車両の空調制御装置を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、空調用エアを冷却する冷却用熱交換器と、空調用エアを加熱する加熱用熱交換器と、乗員の上半身に向けて空調用エアを吹き出すベント吹出口と、乗員の下半身に向けて空調エアを吹き出すフット吹出口と、上記ベント吹出口およびフット吹出口に供給される空調用エアを制御するモード切換ダンパとが通風ダクトに設けられた車両の空調制御装置において、上記空調用エアの吹出温度と吹出風量とをパラメータとして予め設定された特性式に基づいて空調制御時に乗員が体感する快適度指数を演算する演算手段と、この演算手段によって演算された快適度指数を目標快適度指数に近づけるように空調用エアの吹出温度および吹出風量の制御値の最適な組合せを選択する選択手段と、上記演算手段によって演算された無風状態における下半身の快適度指数に基づいてベント吹出口から空調エアを吹き出すベントモードの制御状態が適正であるか否かを判定するとともに、上記演算手段によって演算された無風状態における上半身の快適度指数に基づいてフット吹出口から空調エアを吹き出すヒートモードの制御状態が適正であるか否かを判定し、その判定データに応じて上記モード切換ダンパを開閉制御する吹出モード制御手段とを設けたものである。
【0010】
上記の構成によれば、ベント吹出口から乗員の上半身に空調エアが吹き出されるベントモードの制御時に、下半身の快適度を加味した吹出モードの適否が判定されるとともに、フット吹出口から乗員の下半身に空調エアが吹き出されるヒートモードの制御時に、上半身の快適度を加味した吹出モードの適否が判定され、この判定データに応じた空調制御が実行されることになる。
【0011】
請求項2に係る発明は、上記請求項1記載の車両の空調制御装置において、選択手段によって選択された吹出温度の制御値に応じ、吹出モード制御手段による判定条件を変更するように構成したものである。
【0012】
上記の構成によれば、吹出温度の制御値に応じて吹出モード制御手段による吹出モードの適否判定に適した条件が設定され、この判定条件に基づいて空調制御条件および環境条件に適合した吹出モードの適否判定が行われることになる。
【0013】
請求項3に係る発明は、上記請求項2記載の車両の空調制御装置において、選択手段によって選択された吹出温度の制御値が予め設定された上限値以上であることが確認された場合に、ベントモードの制御状態が不適正であると判定するように構成したものである。
【0014】
上記の構成によれば、吹出モード制御手段によって吹出温度の制御値が上限値以上であると判定され、ベントモードの制御時に、乗員の上半身に暑すぎる空調用エアが吹き付けられていることが確認された場合に、ベントモードの制御状態が不適正であると判定され、ベント吹出口およびフット吹出口から空調用エアを吹き出すバイレベルモード、またはフット吹出口から空調用エアを吹き出すヒートモードの制御が実行されることになる。
【0015】
請求項4に係る発明は、上記請求項2記載の車両の空調制御装置において、選択手段によって選択された吹出温度の制御値が予め設定された下限値以下であることが確認された場合に、ヒートモードの制御状態が不適正であると判定するように構成したものである。
【0016】
上記の構成によれば、吹出モード制御手段によって吹出温度の制御値が下限値以下であると判定され、ヒートモードの制御時に、乗員の下半身に冷えすぎた空調用エアが吹き付けられていることが確認された場合に、ヒートモードの制御状態が不適正であると判定され、ベント吹出口およびフット吹出口の両方から空調用エアを吹き出すバイレベルモード、またはベント吹出口から空調用エアを吹き出すベントモードの制御が実行されることになる。
【0017】
請求項5に係る発明は、上記請求項1または2記載の車両の空調制御装置において、吹出モード制御手段により判定された吹出モードの判定データに応じ、ベント吹出口から空調用エアを吹き出すベントモードと、フット吹出口から空調用エアを吹き出すヒートモードと、ベント吹出口およびフット吹出口の両方から空調エアを吹き出すバイレベルモードのいずれかを選択してモード切換ダンパを開閉制御するように構成したものである。
【0018】
上記の構成によれば、ベント吹出口のみから空調エアが吹き出されるベントモードの制御時に実行される下半身の快適度を加味した吹出モードの判定データと、フット吹出口から空調エアが吹き出されるヒートモードの制御時に実行される上半身の快適度を加味した吹出モードの判定データとの二種類の判定データに応じ、上記ベントモードとヒートモードとバイレベルモードとからなる三態様の吹出モードうちの一つが選択され、この吹出モードに対応した空調制御が実行されることになる。
【0019】
請求項6に係る発明は、上記請求項1または2記載の車両の空調制御装置において、吹出モード制御手段によりベントモードの制御状態とヒートモードの制御状態とがいずれも適正であると判定された場合、およびベントモードの制御状態とヒートモードの制御状態とがいずれも不適正であると判定された場合に、ベント吹出口およびフット吹出口の両方から空調エアを吹き出すバイレベルモードを選択してモード切換ダンパを開閉制御するように構成したものである。
【0020】
上記の構成によれば、ベントモードの吹出制御とヒートモードの吹出制御とのいずれを選択すればよいのかを明確に判定できない場合に、バイレベルモードが選択されてベント吹出口とフット吹出口との両方から空調用エアが吹き出され、乗員に不快感が与えらることのない空調制御が実行されることになる。
【0021】
【実施例】
図1は、本発明の実施例に係る車両の空調制御装置の全体構成図である。この車両の空調制御装置は、空調用エアを車室内に導く通風ダクト1を有し、この通風ダクト1の上流側部には、外気を導入するための外気導入口2と、車室内のエアを導入するための内気導入口3と、上記外気導入口2および内気導入口3を選択的に開閉する切換ダンパ4からなる切換手段とが配設されている。
【0022】
上記通風ダクト1には、ベント吹出口5と、フット吹出口6と、デフロスタ吹出口7とが下流側部に設けられるとともに、モード切換ダンパ8,9,10が所定位置に設けられている。このモード切換ダンパ8〜10は、上記各吹出口5〜7に連通するダクト部分を選択的に開閉することにより、各吹出口5〜7から導出される空調用エアの吹出量を調節するように構成されている。
【0023】
例えば、車室内を冷却する冷房運転時には、上記ベント吹出口5に配設されたモード切換ダンパ8のみを開状態として乗員の上半身に空調エアを吹き出すベントモードの制御を実行するように構成されている。これに対して車室内を加熱する暖房運転時には、上記フット吹出口6に配設されたモード切換ダンパ9を開状態として乗員の下半身空調エアを吹き出し、あるいはフット吹出口6とデフロスタ吹出口7とに配設されたモード切換ダンパ9,10を開状態として乗員の下半身およびウインド面に空調エアを吹き出すヒートモードの制御を実行するように構成されている。
【0024】
また、上記ベント吹出口5およびフット吹出口6から乗員の全身に空調用エアを吹き出すバイレベルモードの制御時には、上記両モード切換ダンパ8,9をそれぞれ開状態とするとともに、このモード切換ダンパ8,9の開度を調節することにより、上記吹出口5,6から吹き出される空調エアの吹出割合が所定値に制御されるようになっている。
【0025】
また、上記空調装置は、通風ダクト1の上流側部に配設された可変風量式の送風機11と、その下流側に配設された冷却用熱交換器12と、その下流側に配設されたエアミックスダンパ13および加熱用熱交換器14とを有している。上記送風機11は、外気導入口2または内気導入口3から通風ダクト1内に取り入れられたエアを、上記各吹出口5〜7を介して車室内に吹き出すように構成されている。
【0026】
また、上記冷却用熱交換器12は、エバポレータとしての機能を有し、コンプレッサ15、コンデンサ16およびレシーバー17を有する冷媒循環回路Xに接続されている。上記コンプレッサ15は、電磁クラッチのON/OFF制御によってエンジン18の回転要素に対して選択的に締結または開放されるようになっている。上記加熱用熱交換器14は、ヒータコアとして構成され、エンジン18の冷却水循環路に接続されている。上記加熱用熱交換器14に通水されるエンジン冷却水の流量は、エアミックスダンパ13と関連して制御される図外の開閉制御弁によって制御される。
【0027】
上記加熱用熱交換器14の通風量は、上記冷却用熱交換器12と加熱用熱交換器14との間に配設されたエアミックスダンパ13の開度に応じて制御されるようになっている。このエアミックスダンパ13は、冷却用熱交換器12を通過した空調用エアを選択的に加熱用熱交換器14に案内し、このエアミックスダンパ13の位置制御に応じて加熱用熱交換器14で加熱されるエアと、加熱用熱交換器14を迂回するエアとの混合比を調節するように構成されている。
【0028】
すなわち、上記エアミックスダンパ13は、空調用エアの全てを加熱用熱交換器14を通さずに上記各吹出口5〜7に送る実線で示す全閉位置と、空調用エアの全てを加熱用熱交換器14を介して上記各吹出口5〜7に送る仮想線で示す全開位置とに選択的に設定し得るとともに、空調用エアの一部を加熱用熱交換器14を介して上記各吹出口5〜7に送る中間位置に設定し得るようになっている。
【0029】
そして、上記エアミックスダンパ13は、空調用エアの全てが上記加熱用熱交換器14に供給される全閉位置(θ=1)と、空調用エアの全てが上記加熱用熱交換器14を迂回する全開位置(θ=0)との間で、開度θが無段階に調節されることにより、空調用エアの吹出温度を、開度θ=1にて得られる最高温度と、開度θ=0にて得られる最低温度との範囲内で、上記空調用エアの混合比に応じて無段階に調節するように構成されている。
【0030】
また、上記車両の空調制御装置は、内外気切換ダンパ4を駆動する電動モータ19、モード切換ダンパ8〜10を駆動する電動モータ20および上記エアミックスダンパ13を駆動するサーボモータ21からなる各種ダンパの駆動手段と、上記各モータ19〜20の作動状態および送風器11の送風量を制御する制御部22と、空調条件をマニュアル設定するための操作部23とを備えている。
【0031】
上記操作部23には、乗員によって操作される各種スイッチ類、例えば空調の自動制御またはマニュアル制御を選択するオートスイッチ23aと、乗員が要求する車室内温度の設定値TSETをマニュアル設定する車室内温度の設定スイッチ23bと、内外気の導入割合をマニュアル設定する内外気の切換スイッチ23cと、吹出モードを選択する吹出モードの切換スイッチ23dと、デフロスター吹出口7の開度をマニュアル設定するデフロスタースイッチ23eとが設けられている。上記車室内温度の設定スイッチ23bは、車室内温度の設定値TSETを18°C〜32°Cの範囲内で入力するように構成されている。
【0032】
上記制御部22は、図2に示すように、安定化電源32に接続され、操作部23等に設けられた表示部に表示データを出力するCPU(マイクロプロセッサ)30を有している。このCPU30は、ドライバー35〜37を介して上記各モータ19〜20を駆動させるとともに、ドライバー38を介して上記コンプレッサ15の電源クラッチ31を締結または開放するように構成されている。すなわち、上記制御部22は、上記駆動モータ19,20を作動させて空調モードを切り換えるとともに、サーボモータ21を作動させてエアミックスダンパ13の開度θを調節するようになっている。
【0033】
また、上記制御部22は、送風機11のブロアモータ11aを駆動するD/A変換機33およびドライバー34を有し、このドライバー34に入力される制御信号に応じて上記ブロアモータ11aを作動または停止させるとともに、ブロアモータ11aに対する印加電圧を制御することにより、送風機11の送風量を調節して空調制御装置の吹出風量を制御するように構成されている。
【0034】
さらに、上記空調制御装置は、環境条件を検出する各種センサ類、例えば通風ダクト1内に導入された内気温度等に基づいて車室内温度TRを検出する室温センサ24と、外気温度TAを検出する外気温センサ25と、日射量TSを検出する日射センサ26と、冷却用熱交換器12の出口温度TEを検出するダクトセンサ27と、エンジン冷却水の温度TWを検出する水温センサ28と、エアミックスダンパ13の開度θを検出するポテンショメータ29とを有し、これらのセンサ24〜29の検出信号が上記CPU30に入力されるようになっている。
【0035】
上記制御部22内には、図3に示すように、上記各センサ24〜29の検出信号に応じ、空調制御装置の熱交換能力と車体に作用する熱負荷との熱バランスを制御して車室内温度TRを上記設定値TSETに維持するための基本条件、つまり空調制御装置から空調用エアの吹出温度の制御値TOと、吹出風量(送風機11の送風量)の制御値Vとの相関関係を求める第1演算手段40が設けられている。
【0036】
例えば空調制御装置の熱交換能力をQA、外気温度TAと車室内温度TRとの温度差による伝熱負荷をQU、日射による熱負荷をQS、乗員の人体発熱による熱負荷をQM、エンジン等の車両機器類から発生する熱負荷をQEとすると、冷房運転時の熱収支は、下記の熱バランス式(1)により定義される。
【0037】
QA=QU−QS−QM−QE……(1)
ここに、
QA=Cp・γ・V(TO−TR)
QU=K・A(TR−TA)
QS=KS・TSである。
【0038】
上記式において、Cpは空気定圧比熱、γは空気の比重、Kは熱通過率、Aは伝熱面積、KSは日射−伝熱変換係数、TSは日射量の温度換算値である。また、上記式(1)において、乗員の人体発熱による熱負荷QMおよびエンジン等の車両機器類から発生する熱負荷QEは近似的に一定であるとみなし、これを定数Cに置き換えると、上記の式(1)を下記の熱バランス式(2)によって表現することができる。
【0039】
Cp・γ・V(TO−TR)=K・A(TR−TQ)−KS・TS−C…(2)
上記式(2)において、車室内温度TRと、マニュアル設定された車室内温度の設定値TSETとが実質的に等しいと仮定すると、上記の式(2)を下記の熱バランス式(3)により表現することができる。
【0040】
Cp・γ・V(TO−TSET)=K・A(TSET−TA)−KR・TS−C…(3)
したがって、上記式(3)に基づいて空調用エアの吹出温度の制御値TOと吹出風量の制御値Vとの相関関係を求めることができる。
【0041】
また、上記制御部22は、乗員が体感する快適度の指標、つまり空調制御に対する乗員の満足を示す指標となる快適度指数Fを演算する第2演算手段41を有している。上記快適度指数Fは、車両に作用する環境条件(外気温度TA、車室内温度TRおよび日射量TS)における上記空調用エアの吹出温度の制御値TOおよび吹出風量の制御値Vからなる空調制御条件に対応する乗員の快適度を示している。
【0042】
上記快適度指数Fには、頭部を中心とした上半身側の快適度および脚部を中心とした下半身側の快適度を総合した全身の快適度を示す快適度指数F3と、無風状態における上半身の快適度を示す快適度指数F6と、無風状態における下半身の快適度を示す快適度指数F7と、吹出モードの制御時における上半身の快適度を示す快適度指数F8と、吹出モードの制御時における下半身の快適度を示す快適度指数F9とがある。
【0043】
上記全身の快適度指数F3は、下記の特性式(4)に基づいて設定される。
【0044】
F3={α・K101+(1−α)K107}V+{α・K102+(1−α)K108}・TO+{α・K103+(1−α)K109}TR+{α・K104+(1−α)K110}・TA+{α・K105+(1−α)K111}TS+{α・K106+(1−α)K112}+{(TA−K113)・K114+K115}…(4)
上記式(4)において、αは、外気導入制御状態における車両熱負荷から車室内部品の熱容量を引いた安定制御時の車両熱負荷に応じ、0〜1の範囲内で直線的に変化するように設定された係数である。また、K101〜K106は乗員の上半身に関する係数および定数、K107〜K112は乗員の下半身に関する係数および定数であり、それぞれ予め実験により求められて制御部22に記憶されている。なお、上記{(TA−K113)・K114+K115}の項は、F3=5を乗員が暑くも寒くもないと感じる快適点とするための補正項である。
【0045】
上記式(4)に基づいて全身の快適度指数F3が、空調制御条件および環境条件の変化に応じて算出されることになる。そして、一般的には上記快適度指数F3の値が5となった場合に、乗員が最も快適であると感じ、5よりも小さな値になると、乗員が寒さを体感し、5よりも大きな値となると、乗員が暑さを体感するように設定されている。
【0046】
また、上記無風状態における上半身の快適度指数F6は、空調制御条件に関係なく環境条件のみに基づいて演算される値であり、下記の特性式(5)に基づいて設定される。
【0047】
F6=K601・TR+K602・TA+K603・TS+K604…(5)上記式(5)において、K601〜K604は、定数一覧表から読出されれる係数である。
【0048】
上記無風状態における下半身の快適度指数F7は、空調制御条件に関係なく環境条件のみに基づいて演算される値であり、下記の特性式(6)に基づいて設定される。
【0049】
F7=K701・TR+K702・TA+K703・TS+K704…(6)上記式(6)において、K701〜K704は、定数一覧表から読出されれる係数である。
【0050】
また、上記吹出モードの制御時における上半身の快適度を示す快適度指数F8は、上記全身の快適度指数F3の上半身の快適度を基本としたものであり、下記の特性式(7)に基づいて設定される。
【0051】
F8=K801・V+K802・TO+K803・TR+K804・TA+K805・TS+K806…(7)
上記の式(7)において、K801〜K806は、車両熱負荷に応じて変化する係数である。
【0052】
上記吹出モードの制御時における下半身の快適度を示す快適度指数F9は、上記全身の快適度指数F3の下半身の快適度を基本としたものであり、下記の特性式(8)に基づいて設定される。
【0053】
F9=K901・V+K902・TO+K903・TR+K904・TA+K905・TS+K906…(8)
上記の式(8)において、K901〜K906は、車両熱負荷に応じて変化する係数である。
【0054】
さらに、上記制御部22には、上記第2演算手段41によって求められた快適度指数Fを、目標快適度指数FTSETに最も近付けるように、上記空調用エアの吹出温度の制御値TOおよび吹出風量の制御値Vの最適な組合せを選択する選択手段42と、この選択手段42によって選択された空調用エアの吹出温度の制御値TOおよび吹出風量の制御値Vと吹出モードとに基づき、上記エアミックスダンパ13の開度θおよび送風機11の送風量制御する作動制御手段43とが設けられている。
【0055】
上記目標快適度指数FTSETは、図4に示すように、乗員によって入力された車室内温度の設定値TSETに応じて0から11の範囲内で変化するグラフから読出され、上記車室内温度の設定値TSETが25°Cの場合には、目標快適度指数FTSETが5に設定されるようになっている。
【0056】
また、作動制御手段43には、上記第2演算手段41によって求められた快適度指数に基づいてモード切換ダンパ8〜10の開閉位置を制御する吹出モード制御手段44が設けられている。この吹出モード制御手段44は、第2演算手段41によって演算された無風状態における下半身の快適度指数F7に基づいてベント吹出口5から空調エアを吹き出すベントモードの制御状態が適正であるか否かを判定するとともに、上記第2演算手段41によって演算された無風状態における上半身の快適度指数F6に基づいてフット吹出口5から空調エアを吹き出すヒートモードの制御状態が適正であるか否かを判定し、その判定結果に応じて上記モード切換ダンパ8〜10の開閉位置を制御する機能を有している。
【0057】
また、上記吹出モード制御手段44は、選択手段42によって選択された吹出温度の制御値TOに応じ、後述するように上記ベントモードおよびヒートモードの制御状態が適正であるか否かの判定条件を変更するとともに、上記吹出温度の制御値TOが予め設定された高温の基準値、つまり所定の上限値以上であることが確認された場合に、ベントモードの制御状態が不適正であると判定し、かつ吹出温度の制御値TOが予め設定された低温の基準値、つまり所定の下限値以下であることが確認された場合に、ヒートモードの制御状態が不適正であると判定するように構成されている。
【0058】
さらに、上記吹出モード制御手段44は、その判定結果に応じ、ベント吹出口5から空調用エアを吹き出すベントモードと、フット吹出口6およびデフロスタ吹出口7から空調用エアを吹き出すヒートモードと、ベント吹出口5およびフット吹出口6の両方から空調エアを吹き出すバイレベルモードのいずれかを選択してモード切換ダンパ8〜10を制御することにより、空調制御条件および環境条件に対応した吹出モードの制御を実行するように構成されている。
【0059】
上記空調制御装置の基本制御動作を図5に示すフローチャートに基づいて説明する。この制御動作がスタートすると、まずステップS1において、初期設定を行った後、ステップS2において、乗員が車室内温度の設定スイッチ23bを操作することによって設定された車室内温度の設定データおよび上記各センサ24〜29の検出データを入力する。
【0060】
次に、ステップS3において、目標快適度指数FTSETを演算した後、ステップS4において、車室内温度TRの安定目標値、つまりターゲット温度TTRGを、車両熱負荷に応じて演算する。また、ステップS5において、空調用エアの吹出温度TOの制御値および吹出風量の制御値Vを、上記目標快適度指数FTSETと、上記第2演算手段41によって求められた快適度指数F3の演算値とに基づいて求めるとともに、その最適な組合せを上記選択手段42において選択する。
【0061】
また、ステップS6において、切換ダンパ4の開閉位置を調節することにより、内外気の導入割合を制御する内外気制御を実行した後、ステップS7において上記吹出温度および吹出風量の制御値TO,Vに基づいてエアミックスダンパ13の開度θおよび送風機11の送風量を制御することにより、空調用エアの吹出温度および吹出風量を制御する。
【0062】
また、ステップS8において、上記各モード切換ダンパ8〜10の開閉位置を調節することにより、空調用エアの吹出モードを制御するとともに、ステップS9において、コンプレッサ15の作動状態をON、OFF制御するコンプレッサ制御を実行する。
【0063】
上記基本制御動作のステップS8において、吹出モード制御手段44により実行される空調用エアの吹出モード制御のうち、ベントモードの制御状態が適正であるか否かを判定する制御動作を、図6に示すフローチャートに基づいて説明する。上記制御動作がスタートすると、まずステップS11において、空調用エアの吹出温度の制御値TOが予め設定された第1基準値β1以下であるか否かを判定し、YESと判定された場合には、ステップS12において、無風状態における下半身の快適度指数F7と、目標快適度指数FTSETとの偏差(F7−FTSET)が、予め設定された第1基準値γ1以下であるか否かを判定する。
【0064】
上記ステップS12でNOと判定された場合には、上記吹出温度の制御値TOが第1基準値β1以下の状態で、上記下半身の快適度指数F7と目標快適度指数FTSETとの偏差(F7−FTSET)が上記第1基準値γ1にりも大きくなって下半身が適度に暖かい状態にあると考えられるため、ステップS13において、ベントモードの制御状態が適正であるとする制御信号を出力する。
【0065】
これに対してステップS12でYESと判定され、上記偏差(F7−FTSET)が第1基準値β1以下であることが確認された場合には、下半身が寒すぎる状態にあると考えられるため、ステップS14において、ベントモードの制御状態が不適正であるとする制御信号を出力する。
【0066】
また、上記ステップS11でNOと判定されて上記吹出温度の制御値TOが第1基準値β1よりも大きいことが確認された場合には、ステップS15において、空調用エアの吹出温度の制御値TOが、第1基準値β1よりも高い値として予め設定された第2基準値(上限値)β2未満であるか否かを判定する。このステップS15でYESと判定され、上記吹出温度の制御値TOがβ1<TO<β2の範囲内にあることが確認された場合には、ステップS16において、吹出モードにおける上半身の快適度指数F8と、目標快適度指数FTSETとの偏差(F8−FTSET)が予め設定された第2基準値γ2以下であるか否かを判定する。
【0067】
上記ステップS16でNOと判定された場合には、上半身の快適度指数F8が目標快適度指数FTSETよりもかなり大きく、上半身が暑すぎる状態にあると考えられるため、ステップS14に移行して上記ベントモードの制御状態が不適正であるとする制御信号を出力する。
【0068】
上記ステップS16でYESと判定された場合には、ステップS17において、吹出モードにおける上半身の快適度指数F8と、無風状態における下半身の快適度指数F7との偏差(F8−F7)が予め設定された第3基準値γ3以下であるか否かを判定する。このステップS17でNOと判定され、上記上半身の快適度指数F8と、下半身の快適度指数F7との偏差(F8−F7)が大きく、下半身が寒すぎる状態にあることが確認された場合には、ステップS14に移行して上記ベントモードの制御状態が不適正であるとする制御信号を出力する。
【0069】
これに対して上記ステップS17でYESと判定され、上記偏差(F8−F7)が第3基準値γ3以下であることが確認された場合には、上半身の快適度指数F8と下半身の快適度指数F7とがいずれも満足すべき状態にあると考えられるため、ステップS13に移行してベントモードの制御状態が適正であるとする制御信号を出力する。
【0070】
また、上記ステップS15でNOと判定され、空調用エアの吹出温度の制御値TOが上記第2基準値(上限値)β2以上であることが確認された場合には、空調用エアの吹出温度が高すぎる状態にあると考えられるため、ステップS14に移行してベントモードの制御状態が不適正であるとする制御信号を出力してリターンする。
【0071】
この結果、ベント制御モードにおいて、図7に示すように、上記吹出温度の制御値TOが、第1基準値β1以下の状態にある場合には、無風状態における下半身の快適度指数F7に基づく適否判定が行われ、β1<TO<β2の範囲内にある場合には、吹出モードにおける上半身の快適度指数F8と、無風状態における下半身の快適度指数F7とに基づく適否判定が行われ、かつ第2基準値β2以上である場合には、空調用エアの吹出温度の制御値TOに対応した第2基準値β2に基づく適否判定が行われることになる。
【0072】
なお、上記各基準値β1,β2およびγ1〜γ3は、制御のハンチングを防止するため、図7に示すように、それぞれ2種類の値が設定され、その一方が使用されるように構成されている。例えば、上記吹出温度の制御値TOの判定基準となる第1基準値β1は、前回の制御時に吹出温度の制御値TOが第1基準値β1以上である判定されている場合に、小さな値の基準値KT07が使用され、前回の制御時に吹出温度の制御値TOが第1基準値β1未満である判定されている場合に、大きな値の基準値KT08が使用されるようになっている。
【0073】
また、吹出温度の判定基準となる第2基準値β2は、前回の制御時に吹出温度の制御値TOが第2基準値β2以上である判定されている場合に、小さな値の基準値KT09が使用され、前回の制御時に吹出温度の制御値TOが第2基準値β2未満であると判定されている場合に、大きな値の基準値KT10が使用される。
【0074】
また、上記快適度指数の判定基準となる第1基準値γ1は、前回の制御時にベント制御モードが適正(OK)状態である場合に、小さな値の基準値KT01が作用され、前回の制御時にベントモードの制御状態が不適正(NG)である判定されている場合に、大きな値の基準値KT02が使用される。また、上記第2,第3基準値γ2,γ3は、前回の制御時にベントモードの制御状態が不適正(NG)である判定されている場合に、それぞれ小さな値の基準値KT03,KT05が使用され、前回の制御時にベント制御モードが適正(OK)状態である場合に、それぞれ大きな値の基準値KT04,KT06が使用されるようになっている。
【0075】
次に、吹出モード制御手段44により実行される空調用エアの吹出モードのうち、ヒートモードの制御状態が適正であるか否かを判定する制御動作を、図8に示すフローチャートに基づいて説明する。上記制御動作がスタートすると、まずステップS21において、空調用エアの吹出温度の制御値TOが予め設定された低温の第3基準値(下限値)β3以下であるか否かを判定し、YESと判定された場合には、空調エアの吹出温度が低すぎて下半身が寒い状態にあると考えられるため、ステップS22において、ヒートモードの制御状態が不適正であるとする制御信号を出力する。
【0076】
また、上記ステップS21でNOと判定された場合には、ステップS23において、空調用エアの吹出温度の制御値TOが、上記第3基準値β3よりも高い値として予め設定された第4基準値β4未満であるか否かを判定する。上記ステップS23でYESと判定され、上記吹出温度の制御値TOがβ3<TO<β4の範囲内にあることが確認された場合には、ステップS24において、吹出モードにおける下半身の快適度指数F9と、目標快適度指数FTSETとの偏差(F9−FTSET)が予め設定された第4基準値γ4以上であるか否かを判定する。
【0077】
上記ステップS24でNOと判定された場合には、下半身の快適度指数F9が目標快適度指数FTSETよりもかなり小さく、下半身が寒すぎる状態にあると考えられるため、ステップS22に移行して上記ヒートモードの制御状態が不適正であるとする制御信号を出力する。
【0078】
これに対して上記ステップS24でYESと判定され、上記偏差(F9−FTSET)が第4基準値γ4以上であることが確認された場合には、ステップS25において、無風状態における上半身の快適度指数F6と、吹出モードにおける下半身の快適度指数F9との偏差(F6−F9)が予め設定された第5基準値γ5以下であるか否かを判定する。このステップS25でNOと判定された場合には、上記上半身の快適度指数F6と下半身の快適度指数F9との偏差(F6−F9)が大きく、上半身が暑すぎる状態にあると考えられるため、ステップS22に移行してヒートモードの制御状態が不適正であるとする制御信号を出力する。
【0079】
これに対してステップS26でYESと判定された場合には、上半身の快適度F6と下半身の快適度F9とがいずれも満足すべき状態にあると考えられるため、ステップS26において、ヒートモードの制御状態が適正であるとする制御信号を出力する。
【0080】
また、上記ステップS23でNOと判定され、空調用エアの吹出温度の制御値TOが上記第4基準値β4以上であることが確認された場合には、ステップS27において、無風状態における上半身の快適度指数F6と、目標快適度指数FTSETとの偏差(F6−FTSET)が、予め設定された第6基準値γ6以下であるか否かを判定する。
【0081】
上記ステップS27でYESと判定された場合には、吹出温度の制御値TOが第4基準値β4以上の状態で、上記上半身の快適度指数F6と目標快適度指数FTSETとの偏差(F6−FTSET)が上記第6基準値γ6以下であるために、上半身が適度に涼しい状態にあると考えられるので、ステップS26に移行してヒートモードの制御状態が適正であるとする制御信号を出力する。これに対してステップS27でNOと判定された場合には、上半身が暑すぎる状態にあると考えられるので、ステップS22に移行してヒートモードの制御状態が不適正であるとする制御信号を出力してリターンする。
【0082】
この結果、ヒートモードの制御状態おいて、図9に示すように、上記吹出温度の制御値TOが、第3基準値β3以下の状態にある場合には、この吹出温度制御値TOに対応した第3基準値β3に基づく適否判定が行われ、β3<TO<β4の範囲内にある場合には、無風状態における上半身の快適度指数F6と、吹出モードにおける下半身の快適度指数F9とに基づく適否判定が行われ、かつ第4基準値β4よりも高い場合には、無風状態における上半身の快適度指数F6に基づく適否判定が行われることになる。
【0083】
なお、上記ヒートモードの制御状態における各基準値γ4〜γ6およびβ3,β4は、制御のハンチングを防止するため、図9に示すように、それぞれ2種類の値(KH01とKH02、KH03とKH04、KH05とKH06、KH07とKH08、KH09とKH10)が設定され、その一方が使用されるように構成されている。
【0084】
次に、上記モード制御手段44により実行される吹出モードのうち、吹出口を選択する制御動作を図10に示すフローチャートに基づいて説明する。上記制御動作がスタートすると、まずステップS31において、ベントモードの判定データが適正状態であることを示しているか否を判定し、YESと判定された場合には、ステップS32において、ヒートモードの判定データが適正状態であることを示しているか否を判定する。
【0085】
上記ステップS32でYESと判定され、ベントモードおよびヒートモードの制御状態がいずれも適正であることが確認された場合には、ステップS33において、ベント吹出口5とフット吹出口6との両方から空調用エアを吹き出すバイレベルモードの吹出モードを選択する制御信号を出力する。
【0086】
これに対して上記ステップS32でNOと判定され、ベントモードの制御状態が適正で、ヒートモードの制御状態が不適正であることが確認された場合には、ステップS34において、ベント吹出口5から空調用エアを吹き出すベントモードの吹出モードを選択する制御信号を出力する。
【0087】
また、上記ステップS31でNOと判定され、ベントモードの制御状態が不適正であることが確認された場合には、ステップS35において、ヒートモードの判定データが適正状態であることを示しているか否を判定する。このステップS35でNOと判定され、ベントモードおよびヒートモードの制御状態がいずれも不適正であることが確認された場合には、ステップS33に移行して上記バイレベルモードの吹出モードを選択する制御信号を出力する。
【0088】
これに対して上記ステップS35でYESと判定され、ベントモードの制御状態が不適正で、ヒートモードの制御状態が適正であることが確認された場合には、ステップS36において、フット吹出口6から空調用エアを吹き出すヒートモードの吹出モードを選択する制御信号を出力してリターンする。
【0089】
このようにベント吹出口5から空調エアを吹き出すベントモードの制御時に、上記第2演算手段41により演算された無風状態における下半身の快適度指数F7に基づいて、吹出モードの適否を判定し、このベントモードの制御状態が不適正であると判定された場合に、上記モード切換ダンパ8,9の開閉位置を調節して他の吹出モードに移行させるように構成したため、車室内温度が低すぎるために乗員の下半身が寒すぎるという事態の発生を確実に防止し、全身の快適度を満足する空調制御を実行することができる。
【0090】
また、フット吹出口6から空調エアを吹き出すヒートモードの制御時に、上記第2演算手段41によって演算された無風状態における上半身の快適度指数F6に基づき、上記吹出モードの適否を判定し、このヒートモードの制御状態が不適正であると判定された場合に、上記モード切換ダンパ8,9の開閉位置を調節して他の吹出モードに移行させるように構成したため、車室内温度が高すぎるために乗員の上半身が暑すぎるという事態の発生を確実に防止し、全身の快適度を満足する空調制御を実行することができる。
【0091】
また、上記実施形態では、選択手段42によって選択された吹出温度の制御値TOに応じ、吹出モード制御手段44による判定条件を変更するように構成したため、空調用エアの吹出温度および乗員の快適度とに基づき、簡単な構成で吹出モードを適否を正確に判定することができる。
【0092】
例えば、ベント吹出口5から冷たい空調エアを吹き出すベントモードの制御状態おいて、上記吹出温度の制御値TOが予め設定された第1基準β1以下であり、空調エアの吹出温度が高くないことが確認された場合には、上半身の快適度は満足すべき状態にあると考えられるため、無風状態における下半身の快適度指数F7のみに基づいて上記ベントモードの制御状態が適正であるか否かを判定することができ、この判定結果に応じて吹出モードを設定することにより、全身の快適度を容易かつ正確に満足させることができる。
【0093】
また、上記ベントモードの制御状態おいて、上記吹出温度の制御値TOが第1基準値β1と第2基準値β2との範囲内にあり、必ずしも上半身の快適度を満足すべき状態にあるとは限らない場合には、無風状態における下半身の快適度指数F7と、吹出モードの上半身の快適度指数8との両方に基づいて上記ベントモードの制御状態が適正であるか否かを判定し、この判定結果に応じて吹出モードを設定することにより、全身の快適度を正確に満足させることができる。
【0094】
さらに、上記実施形態では、ベントモードの制御状態おいて、上記吹出温度の制御値TOが第2基準値(上限値)β2以上であり、ベント吹出口5から乗員の上半身に暑すぎる空調用エアが吹き付けられていることが確認された場合には、上記快適度指数に基づく判定を行うことなく、上記ベントモードの制御状態が不適正であると判定して他の制御モードに移行するように構成したため、極めて簡単な構成で乗員の快適度を満足させる空調制御を正確に実行することができる。
【0095】
また、上記実施形態では、フット吹出口6から暖かい空調エアを吹き出すヒートモードの制御状態おいて、上記吹出温度の制御値TOが第3基準値(下限値)β3以下であり、フット吹出口6から乗員の下半身に冷たすぎる空調用エアが吹き付けられていることが確認された場合には、上記快適度指数に基づく判定を行うことなく、上記ヒートモードの制御状態が不適正であると判定して他の制御モードに移行するように構成したため、極めて簡単な構成で乗員の快適度を満足させる空調制御を適正に実行することができる。
【0096】
そして、上記ヒートモードの制御状態おいて、上記吹出温度の制御値TOが第3基準値β3と第4基準値β4との範囲内にあり、下半身の快適度を満足すべき状態にあるか否かが明確でない場合には、無風状態における上半身の快適度指数F6と、吹出モードの下半身の快適度指数9との両方に基づいて上記ヒートモードの制御状態が適正であるか否かを判定し、この判定結果に応じた吹出モードを選択することにより、全身の快適度を満足させる空調制御を実行することができる。
【0097】
さらに、上記ヒートモードの制御状態おいて、吹出温度の制御値TOが予め設定された第4基準β4以上であり、空調エアの吹出温度が高くないことが確認された場合には、下半身の快適度は満足すべき状態にあると考えられるため、無風状態における上半身の快適度指数F6のみに基づいて上記ヒートモードの制御状態が適正であるか否かを判定することができ、この判定結果に応じた吹出モードを選択することにより、全身の快適度を容易かつ正確に満足させる空調制御を実行することができる。
【0098】
また、上記実施形態では、吹出モード制御手段44により判定された二種類の吹出モードの判定データに応じ、ベント吹出口5から空調用エアを吹き出すベントモードと、フット吹出口6およびデフロスタ吹出口7から空調用エアを吹き出すヒートモードと、ベント吹出口5およびフット吹出口6の両方から空調エアを吹き出すバイレベルモードからなる三態様のモードうちの一つを選択してモード切換ダンパ8〜10の開閉位置を制御するように構成したため、簡単な構成で適正に吹出モードの制御を実行することができる。
【0099】
すなわち、上記第2演算手段41によって演算された快適度指数に基づいて上記バイレベルモードの制御状態の適否を判定するように構成することも考えられが、このように構成した場合には、上記判定制御の動作が複雑になるとともに、制御のハンチングが生じ易い等の問題がある。これに対して、上記のように二種類の判定データに基づいて三態様の吹出モードを設定するように構成した場合には、判定制御動作を簡略化して制御のハンチングを防止しつつ、車両に作用する熱負荷に適合した吹出口から空調エアを吹き出して車室内の環境を適正に制御することができる。
【0100】
さらに、上記実施形態では、吹出モード制御手段44によりベントモードの制御状態とヒートモードの制御状態とがいずれも適正であると判定された場合、またはベントモードの制御状態とヒートモードの制御状態とがいずれも不適正であると判定された場合に、ベント吹出口5およびフット吹出口6の両方から空調エアを吹き出すバイレベルモードの制御状態を選択してモード切換ダンパ8〜10の開閉位置を制御するように構成したため、上記ベントモードもしくはヒートモードのいずれの制御状態を選択すればよいのかを明確に判別することができなくなるという事態を確実に防止することができるとともに、乗員に不快感を与えることなく、空調制御を適正に制御することができる。
【0101】
なお、上記バイレベルモードの制御を実行する際に、図11に示すように、選択手段41によって選択された吹出温度の制御値TOと、吹出モードにおける上半身の快適度指数F8と目標快適度指数FTSETとの偏差(F8−FTSET)とをパラメータとして設定されたテーブルから、三種類のバイベルモードI,II,IIIのうちの一つを選択するように構成してもよい。
【0102】
例えば、上記吹出温度の制御値TOが予め設定された第5基準値β5(KBL5,KBL6)以下であることが確認された場合には、ベント吹出口5から吹出量が75%に設定されるとともに、フット吹出口6からの吹出量が25%に設定されたバイベルモード(B/L)Iを選択し、かつ上記吹出温度の制御値TOが上記第5基準値β5と、第6基準値β6(KBL7,KBL8)との範囲内にあることが確認された場合には、上半身の快適度指数F8と目標快適度指数FTSETとの偏差(F8−FTSET)に基づいて上記バイベルモードIまたはバイレベルモードIIの一方を選択するように構成してもよい。
【0103】
すなわち、上記偏差(F8−FTSET)が第7基準値γ7(KBL3,KBL4)以上であることが確認された場合には、上記バイベルモードIを選択するとともに、上記上記偏差(F8−FTSET)が第7基準値γ7(KBL3,KBL4)未満であることが確認された場合には、ベント吹出口5から吹出量が60%に設定されるとともに、フット吹出口6からの吹出量が40%に設定されたバイベルモードIIを選択する。
【0104】
また、上記吹出温度の制御値TOが予め設定された第6基準値β6(KBL7,KBL8)以上であることが確認された場合には、上記偏差(F8−FTSET)が第8基準値γ8(KBL1,KBL2)以上であることが確認された場合に、上記バイベルモードIIを選択し、かつ偏差(F8−FTSET)が第8基準値γ8(KBL1,KBL2)未満であることが確認された場合に、ベント吹出口5から吹出量が45%に設定されるとともに、フット吹出口6からの吹出量が55%に設定されたバイベルモードIIIを選択するようにしてもよい。
【0105】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、演算手段によって演算された無風状態における下半身の快適度指数に基づいてベント吹出口から空調エアを吹き出すベントモードの制御状態が適正であるか否かを判定するとともに、演算手段によって演算された無風状態における上半身の快適度指数に基づいてフット吹出口から空調エアを吹き出すヒートモードの制御状態が適正であるか否かを判定し、その判定結果に応じて上記モード切換ダンパを開閉制御して吹出モードの制御を実行するように構成したたため、上記ベントモードの制御時に、下半身の快適度が考慮されずに、上半身のみに対する空調制御が行われて下半身の不快度が増大したり、ヒートモードの制御時に、上半身の快適度が考慮されずに、下半身のみに対する空調制御が行われて上半身の不快度が増大したりするという事態の発生を確実に防止し、全身の快適度を効果的に満足させることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る車両の空調制御装置の全体構成図である。
【図2】空調制御装置の概略構成を示す説明図である。
【図3】空調制御装置の構成を機能的に示すブロック図である。
【図4】車室内温度の設定温度と目標快適度指数との対応関係を示す特性図である。
【図5】空調制御装置の基本制御動作を示すフローチャートである。
【図6】ベントモードの適否を判定する制御動作を示すフローチャートである。
【図7】ベントモードの適否判定用のテーブルを示す説明図である。
【図8】ヒートモードの適否を判定する制御動作を示すフローチャートである。
【図9】ヒートモードの適否判定用のテーブルを示す説明図である。
【図10】吹出モードを選定する制御動作を示すフローチャートである。
【図11】バイレベルモードの適否判定用のテーブルを示す説明図である。
【符号の説明】
1 通風ダクト
5 ベント吹出口
6 フット吹出口
8,9,10 モード切換ダンパ
12 冷却用熱交換器
14 暖房用熱交換器
41 第2演算手段
42 選択手段
44 ベントモード制御手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗員の上半身に向けて空調用エアを吹き出すベント吹出口と、乗員の下半身に向けて空調エアを吹き出すフット吹出口と、上記ベント吹出口およびフット吹出口に供給される空調用エアを制御するモード切換ダンパとを有する車両の空調制御装置に関するものである。
【0002】
【従来例】
従来、例えば特開平5−116521号公報に示されるように、空調用エアを冷却する冷却用熱交換器と、空調用エアを加熱する加熱用熱交換器と、この加熱用熱交換器に通風される空調用エアの割合を調節するエアミックスダンパとを有する車両の空調制御装置において、車室内に供給される空調用エアの吹出温度および吹出風量をパラメータとして快適度指数の特性式を予め設定し、この特性式に基づいて算出された快適度指数を目標快適度指数に一致させるように上記吹出温度および吹出風量の制御値をそれぞれ決定し、これらの値に基づいて上記エアミックスダンパの開度および送風機の出力を制御することが行われている。
【0003】
すなわち、上記空調制御装置は、上記特性式から算出された快適度指数を予め設定された目標値に一致させるように空調用エアの吹出温度の制御値および吹出風量の制御値をそれぞれ設定し、この吹出温度の制御値に基づいてエアミックスダンパの開度を制御することにより、上記加熱用熱交換器への通風量とこの加熱用熱交換器をバイパスする風量との割合を調節して乗員に吹き付けられる空調用エアの体感温度を制御するとともに、上記吹出風量に制御値に基づいて送風機の出力を制御することにより、乗員に吹き付けられる空調用エアの風量を適正値に制御することが行われている。
【0004】
また、上記空調制御装置は、夏季等において車室内温度を低下させる場合に、冷却用熱交換器で冷却された空調用エアを、通風ダクトに設けられたベント吹出口から乗員の上半身に吹き出すベントモードの制御状態とするとともに、冬季等において車室内温度を上昇させる場合に、加熱用熱交換器で加熱された空調用エアを、通風ダクトに設けられたフット吹出口から乗員の下半身に吹き出すヒートモードの制御状態とするように構成されている。
【0005】
そして、上記ベント吹出口から空調用エアを吹き出すベントモードの制御時に、上記演算手段によって演算された上半身の快適度指数に基づいて、ベントモードの制御状態が適正であるか否かを判定するとともに、フット吹出口から空調用エアを吹き出すヒートモードの制御時に、上記演算手段によって演算された下半身の快適度指数に基づいて、ヒートモードの制御状態が適正であるか否かを判定し、この判定結果に応じて上記モード切換ダンパを開閉制御することにより、適正な吹出口を選択するように構成されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記構成の空調制御装置では、ベント吹出口から乗員の上半身に空調用エアを吹き出すベントモードの制御時に、上半身の快適度指数が適正範囲内にあると判定された場合に、下半身も快適状態にあるとみなして上記ベントモードの制御状態を継続するとともに、フット吹出口から乗員の下半身に空調用エアを吹き出すヒートモードの制御時に、下半身の快適度指数が適正範囲内にあると判定された場合に、上半身も快適状態にあるとみなして上記ベントモードの制御状態を継続するように構成されているため、必ずしも全身の快適度が満足されるとは限らないという問題があった。
【0007】
すなわち、モード切換ダンパの開閉制御により空調用エアの吹出口を選択する吹出モードの制御時に、ベントモードを選択すると、フット吹出口が閉じられるため、例えばベント吹出口から冷たい空調エアを乗員の上半身に吹き出す冷房運転状態において、下半身に空調用エアを吹き出さないで下半身の快適度が満足されているかどうかが考慮されないため、下半身に空調用エアが吹き出さないことにより下半身の不快度が増大するという事態の発生を防止できないという問題があった。
【0008】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、空調用エアの吹出モード制御を適正に実行して乗員の全身を快適状態に維持することができる車両の空調制御装置を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、空調用エアを冷却する冷却用熱交換器と、空調用エアを加熱する加熱用熱交換器と、乗員の上半身に向けて空調用エアを吹き出すベント吹出口と、乗員の下半身に向けて空調エアを吹き出すフット吹出口と、上記ベント吹出口およびフット吹出口に供給される空調用エアを制御するモード切換ダンパとが通風ダクトに設けられた車両の空調制御装置において、上記空調用エアの吹出温度と吹出風量とをパラメータとして予め設定された特性式に基づいて空調制御時に乗員が体感する快適度指数を演算する演算手段と、この演算手段によって演算された快適度指数を目標快適度指数に近づけるように空調用エアの吹出温度および吹出風量の制御値の最適な組合せを選択する選択手段と、上記演算手段によって演算された無風状態における下半身の快適度指数に基づいてベント吹出口から空調エアを吹き出すベントモードの制御状態が適正であるか否かを判定するとともに、上記演算手段によって演算された無風状態における上半身の快適度指数に基づいてフット吹出口から空調エアを吹き出すヒートモードの制御状態が適正であるか否かを判定し、その判定データに応じて上記モード切換ダンパを開閉制御する吹出モード制御手段とを設けたものである。
【0010】
上記の構成によれば、ベント吹出口から乗員の上半身に空調エアが吹き出されるベントモードの制御時に、下半身の快適度を加味した吹出モードの適否が判定されるとともに、フット吹出口から乗員の下半身に空調エアが吹き出されるヒートモードの制御時に、上半身の快適度を加味した吹出モードの適否が判定され、この判定データに応じた空調制御が実行されることになる。
【0011】
請求項2に係る発明は、上記請求項1記載の車両の空調制御装置において、選択手段によって選択された吹出温度の制御値に応じ、吹出モード制御手段による判定条件を変更するように構成したものである。
【0012】
上記の構成によれば、吹出温度の制御値に応じて吹出モード制御手段による吹出モードの適否判定に適した条件が設定され、この判定条件に基づいて空調制御条件および環境条件に適合した吹出モードの適否判定が行われることになる。
【0013】
請求項3に係る発明は、上記請求項2記載の車両の空調制御装置において、選択手段によって選択された吹出温度の制御値が予め設定された上限値以上であることが確認された場合に、ベントモードの制御状態が不適正であると判定するように構成したものである。
【0014】
上記の構成によれば、吹出モード制御手段によって吹出温度の制御値が上限値以上であると判定され、ベントモードの制御時に、乗員の上半身に暑すぎる空調用エアが吹き付けられていることが確認された場合に、ベントモードの制御状態が不適正であると判定され、ベント吹出口およびフット吹出口から空調用エアを吹き出すバイレベルモード、またはフット吹出口から空調用エアを吹き出すヒートモードの制御が実行されることになる。
【0015】
請求項4に係る発明は、上記請求項2記載の車両の空調制御装置において、選択手段によって選択された吹出温度の制御値が予め設定された下限値以下であることが確認された場合に、ヒートモードの制御状態が不適正であると判定するように構成したものである。
【0016】
上記の構成によれば、吹出モード制御手段によって吹出温度の制御値が下限値以下であると判定され、ヒートモードの制御時に、乗員の下半身に冷えすぎた空調用エアが吹き付けられていることが確認された場合に、ヒートモードの制御状態が不適正であると判定され、ベント吹出口およびフット吹出口の両方から空調用エアを吹き出すバイレベルモード、またはベント吹出口から空調用エアを吹き出すベントモードの制御が実行されることになる。
【0017】
請求項5に係る発明は、上記請求項1または2記載の車両の空調制御装置において、吹出モード制御手段により判定された吹出モードの判定データに応じ、ベント吹出口から空調用エアを吹き出すベントモードと、フット吹出口から空調用エアを吹き出すヒートモードと、ベント吹出口およびフット吹出口の両方から空調エアを吹き出すバイレベルモードのいずれかを選択してモード切換ダンパを開閉制御するように構成したものである。
【0018】
上記の構成によれば、ベント吹出口のみから空調エアが吹き出されるベントモードの制御時に実行される下半身の快適度を加味した吹出モードの判定データと、フット吹出口から空調エアが吹き出されるヒートモードの制御時に実行される上半身の快適度を加味した吹出モードの判定データとの二種類の判定データに応じ、上記ベントモードとヒートモードとバイレベルモードとからなる三態様の吹出モードうちの一つが選択され、この吹出モードに対応した空調制御が実行されることになる。
【0019】
請求項6に係る発明は、上記請求項1または2記載の車両の空調制御装置において、吹出モード制御手段によりベントモードの制御状態とヒートモードの制御状態とがいずれも適正であると判定された場合、およびベントモードの制御状態とヒートモードの制御状態とがいずれも不適正であると判定された場合に、ベント吹出口およびフット吹出口の両方から空調エアを吹き出すバイレベルモードを選択してモード切換ダンパを開閉制御するように構成したものである。
【0020】
上記の構成によれば、ベントモードの吹出制御とヒートモードの吹出制御とのいずれを選択すればよいのかを明確に判定できない場合に、バイレベルモードが選択されてベント吹出口とフット吹出口との両方から空調用エアが吹き出され、乗員に不快感が与えらることのない空調制御が実行されることになる。
【0021】
【実施例】
図1は、本発明の実施例に係る車両の空調制御装置の全体構成図である。この車両の空調制御装置は、空調用エアを車室内に導く通風ダクト1を有し、この通風ダクト1の上流側部には、外気を導入するための外気導入口2と、車室内のエアを導入するための内気導入口3と、上記外気導入口2および内気導入口3を選択的に開閉する切換ダンパ4からなる切換手段とが配設されている。
【0022】
上記通風ダクト1には、ベント吹出口5と、フット吹出口6と、デフロスタ吹出口7とが下流側部に設けられるとともに、モード切換ダンパ8,9,10が所定位置に設けられている。このモード切換ダンパ8〜10は、上記各吹出口5〜7に連通するダクト部分を選択的に開閉することにより、各吹出口5〜7から導出される空調用エアの吹出量を調節するように構成されている。
【0023】
例えば、車室内を冷却する冷房運転時には、上記ベント吹出口5に配設されたモード切換ダンパ8のみを開状態として乗員の上半身に空調エアを吹き出すベントモードの制御を実行するように構成されている。これに対して車室内を加熱する暖房運転時には、上記フット吹出口6に配設されたモード切換ダンパ9を開状態として乗員の下半身空調エアを吹き出し、あるいはフット吹出口6とデフロスタ吹出口7とに配設されたモード切換ダンパ9,10を開状態として乗員の下半身およびウインド面に空調エアを吹き出すヒートモードの制御を実行するように構成されている。
【0024】
また、上記ベント吹出口5およびフット吹出口6から乗員の全身に空調用エアを吹き出すバイレベルモードの制御時には、上記両モード切換ダンパ8,9をそれぞれ開状態とするとともに、このモード切換ダンパ8,9の開度を調節することにより、上記吹出口5,6から吹き出される空調エアの吹出割合が所定値に制御されるようになっている。
【0025】
また、上記空調装置は、通風ダクト1の上流側部に配設された可変風量式の送風機11と、その下流側に配設された冷却用熱交換器12と、その下流側に配設されたエアミックスダンパ13および加熱用熱交換器14とを有している。上記送風機11は、外気導入口2または内気導入口3から通風ダクト1内に取り入れられたエアを、上記各吹出口5〜7を介して車室内に吹き出すように構成されている。
【0026】
また、上記冷却用熱交換器12は、エバポレータとしての機能を有し、コンプレッサ15、コンデンサ16およびレシーバー17を有する冷媒循環回路Xに接続されている。上記コンプレッサ15は、電磁クラッチのON/OFF制御によってエンジン18の回転要素に対して選択的に締結または開放されるようになっている。上記加熱用熱交換器14は、ヒータコアとして構成され、エンジン18の冷却水循環路に接続されている。上記加熱用熱交換器14に通水されるエンジン冷却水の流量は、エアミックスダンパ13と関連して制御される図外の開閉制御弁によって制御される。
【0027】
上記加熱用熱交換器14の通風量は、上記冷却用熱交換器12と加熱用熱交換器14との間に配設されたエアミックスダンパ13の開度に応じて制御されるようになっている。このエアミックスダンパ13は、冷却用熱交換器12を通過した空調用エアを選択的に加熱用熱交換器14に案内し、このエアミックスダンパ13の位置制御に応じて加熱用熱交換器14で加熱されるエアと、加熱用熱交換器14を迂回するエアとの混合比を調節するように構成されている。
【0028】
すなわち、上記エアミックスダンパ13は、空調用エアの全てを加熱用熱交換器14を通さずに上記各吹出口5〜7に送る実線で示す全閉位置と、空調用エアの全てを加熱用熱交換器14を介して上記各吹出口5〜7に送る仮想線で示す全開位置とに選択的に設定し得るとともに、空調用エアの一部を加熱用熱交換器14を介して上記各吹出口5〜7に送る中間位置に設定し得るようになっている。
【0029】
そして、上記エアミックスダンパ13は、空調用エアの全てが上記加熱用熱交換器14に供給される全閉位置(θ=1)と、空調用エアの全てが上記加熱用熱交換器14を迂回する全開位置(θ=0)との間で、開度θが無段階に調節されることにより、空調用エアの吹出温度を、開度θ=1にて得られる最高温度と、開度θ=0にて得られる最低温度との範囲内で、上記空調用エアの混合比に応じて無段階に調節するように構成されている。
【0030】
また、上記車両の空調制御装置は、内外気切換ダンパ4を駆動する電動モータ19、モード切換ダンパ8〜10を駆動する電動モータ20および上記エアミックスダンパ13を駆動するサーボモータ21からなる各種ダンパの駆動手段と、上記各モータ19〜20の作動状態および送風器11の送風量を制御する制御部22と、空調条件をマニュアル設定するための操作部23とを備えている。
【0031】
上記操作部23には、乗員によって操作される各種スイッチ類、例えば空調の自動制御またはマニュアル制御を選択するオートスイッチ23aと、乗員が要求する車室内温度の設定値TSETをマニュアル設定する車室内温度の設定スイッチ23bと、内外気の導入割合をマニュアル設定する内外気の切換スイッチ23cと、吹出モードを選択する吹出モードの切換スイッチ23dと、デフロスター吹出口7の開度をマニュアル設定するデフロスタースイッチ23eとが設けられている。上記車室内温度の設定スイッチ23bは、車室内温度の設定値TSETを18°C〜32°Cの範囲内で入力するように構成されている。
【0032】
上記制御部22は、図2に示すように、安定化電源32に接続され、操作部23等に設けられた表示部に表示データを出力するCPU(マイクロプロセッサ)30を有している。このCPU30は、ドライバー35〜37を介して上記各モータ19〜20を駆動させるとともに、ドライバー38を介して上記コンプレッサ15の電源クラッチ31を締結または開放するように構成されている。すなわち、上記制御部22は、上記駆動モータ19,20を作動させて空調モードを切り換えるとともに、サーボモータ21を作動させてエアミックスダンパ13の開度θを調節するようになっている。
【0033】
また、上記制御部22は、送風機11のブロアモータ11aを駆動するD/A変換機33およびドライバー34を有し、このドライバー34に入力される制御信号に応じて上記ブロアモータ11aを作動または停止させるとともに、ブロアモータ11aに対する印加電圧を制御することにより、送風機11の送風量を調節して空調制御装置の吹出風量を制御するように構成されている。
【0034】
さらに、上記空調制御装置は、環境条件を検出する各種センサ類、例えば通風ダクト1内に導入された内気温度等に基づいて車室内温度TRを検出する室温センサ24と、外気温度TAを検出する外気温センサ25と、日射量TSを検出する日射センサ26と、冷却用熱交換器12の出口温度TEを検出するダクトセンサ27と、エンジン冷却水の温度TWを検出する水温センサ28と、エアミックスダンパ13の開度θを検出するポテンショメータ29とを有し、これらのセンサ24〜29の検出信号が上記CPU30に入力されるようになっている。
【0035】
上記制御部22内には、図3に示すように、上記各センサ24〜29の検出信号に応じ、空調制御装置の熱交換能力と車体に作用する熱負荷との熱バランスを制御して車室内温度TRを上記設定値TSETに維持するための基本条件、つまり空調制御装置から空調用エアの吹出温度の制御値TOと、吹出風量(送風機11の送風量)の制御値Vとの相関関係を求める第1演算手段40が設けられている。
【0036】
例えば空調制御装置の熱交換能力をQA、外気温度TAと車室内温度TRとの温度差による伝熱負荷をQU、日射による熱負荷をQS、乗員の人体発熱による熱負荷をQM、エンジン等の車両機器類から発生する熱負荷をQEとすると、冷房運転時の熱収支は、下記の熱バランス式(1)により定義される。
【0037】
QA=QU−QS−QM−QE……(1)
ここに、
QA=Cp・γ・V(TO−TR)
QU=K・A(TR−TA)
QS=KS・TSである。
【0038】
上記式において、Cpは空気定圧比熱、γは空気の比重、Kは熱通過率、Aは伝熱面積、KSは日射−伝熱変換係数、TSは日射量の温度換算値である。また、上記式(1)において、乗員の人体発熱による熱負荷QMおよびエンジン等の車両機器類から発生する熱負荷QEは近似的に一定であるとみなし、これを定数Cに置き換えると、上記の式(1)を下記の熱バランス式(2)によって表現することができる。
【0039】
Cp・γ・V(TO−TR)=K・A(TR−TQ)−KS・TS−C…(2)
上記式(2)において、車室内温度TRと、マニュアル設定された車室内温度の設定値TSETとが実質的に等しいと仮定すると、上記の式(2)を下記の熱バランス式(3)により表現することができる。
【0040】
Cp・γ・V(TO−TSET)=K・A(TSET−TA)−KR・TS−C…(3)
したがって、上記式(3)に基づいて空調用エアの吹出温度の制御値TOと吹出風量の制御値Vとの相関関係を求めることができる。
【0041】
また、上記制御部22は、乗員が体感する快適度の指標、つまり空調制御に対する乗員の満足を示す指標となる快適度指数Fを演算する第2演算手段41を有している。上記快適度指数Fは、車両に作用する環境条件(外気温度TA、車室内温度TRおよび日射量TS)における上記空調用エアの吹出温度の制御値TOおよび吹出風量の制御値Vからなる空調制御条件に対応する乗員の快適度を示している。
【0042】
上記快適度指数Fには、頭部を中心とした上半身側の快適度および脚部を中心とした下半身側の快適度を総合した全身の快適度を示す快適度指数F3と、無風状態における上半身の快適度を示す快適度指数F6と、無風状態における下半身の快適度を示す快適度指数F7と、吹出モードの制御時における上半身の快適度を示す快適度指数F8と、吹出モードの制御時における下半身の快適度を示す快適度指数F9とがある。
【0043】
上記全身の快適度指数F3は、下記の特性式(4)に基づいて設定される。
【0044】
F3={α・K101+(1−α)K107}V+{α・K102+(1−α)K108}・TO+{α・K103+(1−α)K109}TR+{α・K104+(1−α)K110}・TA+{α・K105+(1−α)K111}TS+{α・K106+(1−α)K112}+{(TA−K113)・K114+K115}…(4)
上記式(4)において、αは、外気導入制御状態における車両熱負荷から車室内部品の熱容量を引いた安定制御時の車両熱負荷に応じ、0〜1の範囲内で直線的に変化するように設定された係数である。また、K101〜K106は乗員の上半身に関する係数および定数、K107〜K112は乗員の下半身に関する係数および定数であり、それぞれ予め実験により求められて制御部22に記憶されている。なお、上記{(TA−K113)・K114+K115}の項は、F3=5を乗員が暑くも寒くもないと感じる快適点とするための補正項である。
【0045】
上記式(4)に基づいて全身の快適度指数F3が、空調制御条件および環境条件の変化に応じて算出されることになる。そして、一般的には上記快適度指数F3の値が5となった場合に、乗員が最も快適であると感じ、5よりも小さな値になると、乗員が寒さを体感し、5よりも大きな値となると、乗員が暑さを体感するように設定されている。
【0046】
また、上記無風状態における上半身の快適度指数F6は、空調制御条件に関係なく環境条件のみに基づいて演算される値であり、下記の特性式(5)に基づいて設定される。
【0047】
F6=K601・TR+K602・TA+K603・TS+K604…(5)上記式(5)において、K601〜K604は、定数一覧表から読出されれる係数である。
【0048】
上記無風状態における下半身の快適度指数F7は、空調制御条件に関係なく環境条件のみに基づいて演算される値であり、下記の特性式(6)に基づいて設定される。
【0049】
F7=K701・TR+K702・TA+K703・TS+K704…(6)上記式(6)において、K701〜K704は、定数一覧表から読出されれる係数である。
【0050】
また、上記吹出モードの制御時における上半身の快適度を示す快適度指数F8は、上記全身の快適度指数F3の上半身の快適度を基本としたものであり、下記の特性式(7)に基づいて設定される。
【0051】
F8=K801・V+K802・TO+K803・TR+K804・TA+K805・TS+K806…(7)
上記の式(7)において、K801〜K806は、車両熱負荷に応じて変化する係数である。
【0052】
上記吹出モードの制御時における下半身の快適度を示す快適度指数F9は、上記全身の快適度指数F3の下半身の快適度を基本としたものであり、下記の特性式(8)に基づいて設定される。
【0053】
F9=K901・V+K902・TO+K903・TR+K904・TA+K905・TS+K906…(8)
上記の式(8)において、K901〜K906は、車両熱負荷に応じて変化する係数である。
【0054】
さらに、上記制御部22には、上記第2演算手段41によって求められた快適度指数Fを、目標快適度指数FTSETに最も近付けるように、上記空調用エアの吹出温度の制御値TOおよび吹出風量の制御値Vの最適な組合せを選択する選択手段42と、この選択手段42によって選択された空調用エアの吹出温度の制御値TOおよび吹出風量の制御値Vと吹出モードとに基づき、上記エアミックスダンパ13の開度θおよび送風機11の送風量制御する作動制御手段43とが設けられている。
【0055】
上記目標快適度指数FTSETは、図4に示すように、乗員によって入力された車室内温度の設定値TSETに応じて0から11の範囲内で変化するグラフから読出され、上記車室内温度の設定値TSETが25°Cの場合には、目標快適度指数FTSETが5に設定されるようになっている。
【0056】
また、作動制御手段43には、上記第2演算手段41によって求められた快適度指数に基づいてモード切換ダンパ8〜10の開閉位置を制御する吹出モード制御手段44が設けられている。この吹出モード制御手段44は、第2演算手段41によって演算された無風状態における下半身の快適度指数F7に基づいてベント吹出口5から空調エアを吹き出すベントモードの制御状態が適正であるか否かを判定するとともに、上記第2演算手段41によって演算された無風状態における上半身の快適度指数F6に基づいてフット吹出口5から空調エアを吹き出すヒートモードの制御状態が適正であるか否かを判定し、その判定結果に応じて上記モード切換ダンパ8〜10の開閉位置を制御する機能を有している。
【0057】
また、上記吹出モード制御手段44は、選択手段42によって選択された吹出温度の制御値TOに応じ、後述するように上記ベントモードおよびヒートモードの制御状態が適正であるか否かの判定条件を変更するとともに、上記吹出温度の制御値TOが予め設定された高温の基準値、つまり所定の上限値以上であることが確認された場合に、ベントモードの制御状態が不適正であると判定し、かつ吹出温度の制御値TOが予め設定された低温の基準値、つまり所定の下限値以下であることが確認された場合に、ヒートモードの制御状態が不適正であると判定するように構成されている。
【0058】
さらに、上記吹出モード制御手段44は、その判定結果に応じ、ベント吹出口5から空調用エアを吹き出すベントモードと、フット吹出口6およびデフロスタ吹出口7から空調用エアを吹き出すヒートモードと、ベント吹出口5およびフット吹出口6の両方から空調エアを吹き出すバイレベルモードのいずれかを選択してモード切換ダンパ8〜10を制御することにより、空調制御条件および環境条件に対応した吹出モードの制御を実行するように構成されている。
【0059】
上記空調制御装置の基本制御動作を図5に示すフローチャートに基づいて説明する。この制御動作がスタートすると、まずステップS1において、初期設定を行った後、ステップS2において、乗員が車室内温度の設定スイッチ23bを操作することによって設定された車室内温度の設定データおよび上記各センサ24〜29の検出データを入力する。
【0060】
次に、ステップS3において、目標快適度指数FTSETを演算した後、ステップS4において、車室内温度TRの安定目標値、つまりターゲット温度TTRGを、車両熱負荷に応じて演算する。また、ステップS5において、空調用エアの吹出温度TOの制御値および吹出風量の制御値Vを、上記目標快適度指数FTSETと、上記第2演算手段41によって求められた快適度指数F3の演算値とに基づいて求めるとともに、その最適な組合せを上記選択手段42において選択する。
【0061】
また、ステップS6において、切換ダンパ4の開閉位置を調節することにより、内外気の導入割合を制御する内外気制御を実行した後、ステップS7において上記吹出温度および吹出風量の制御値TO,Vに基づいてエアミックスダンパ13の開度θおよび送風機11の送風量を制御することにより、空調用エアの吹出温度および吹出風量を制御する。
【0062】
また、ステップS8において、上記各モード切換ダンパ8〜10の開閉位置を調節することにより、空調用エアの吹出モードを制御するとともに、ステップS9において、コンプレッサ15の作動状態をON、OFF制御するコンプレッサ制御を実行する。
【0063】
上記基本制御動作のステップS8において、吹出モード制御手段44により実行される空調用エアの吹出モード制御のうち、ベントモードの制御状態が適正であるか否かを判定する制御動作を、図6に示すフローチャートに基づいて説明する。上記制御動作がスタートすると、まずステップS11において、空調用エアの吹出温度の制御値TOが予め設定された第1基準値β1以下であるか否かを判定し、YESと判定された場合には、ステップS12において、無風状態における下半身の快適度指数F7と、目標快適度指数FTSETとの偏差(F7−FTSET)が、予め設定された第1基準値γ1以下であるか否かを判定する。
【0064】
上記ステップS12でNOと判定された場合には、上記吹出温度の制御値TOが第1基準値β1以下の状態で、上記下半身の快適度指数F7と目標快適度指数FTSETとの偏差(F7−FTSET)が上記第1基準値γ1にりも大きくなって下半身が適度に暖かい状態にあると考えられるため、ステップS13において、ベントモードの制御状態が適正であるとする制御信号を出力する。
【0065】
これに対してステップS12でYESと判定され、上記偏差(F7−FTSET)が第1基準値β1以下であることが確認された場合には、下半身が寒すぎる状態にあると考えられるため、ステップS14において、ベントモードの制御状態が不適正であるとする制御信号を出力する。
【0066】
また、上記ステップS11でNOと判定されて上記吹出温度の制御値TOが第1基準値β1よりも大きいことが確認された場合には、ステップS15において、空調用エアの吹出温度の制御値TOが、第1基準値β1よりも高い値として予め設定された第2基準値(上限値)β2未満であるか否かを判定する。このステップS15でYESと判定され、上記吹出温度の制御値TOがβ1<TO<β2の範囲内にあることが確認された場合には、ステップS16において、吹出モードにおける上半身の快適度指数F8と、目標快適度指数FTSETとの偏差(F8−FTSET)が予め設定された第2基準値γ2以下であるか否かを判定する。
【0067】
上記ステップS16でNOと判定された場合には、上半身の快適度指数F8が目標快適度指数FTSETよりもかなり大きく、上半身が暑すぎる状態にあると考えられるため、ステップS14に移行して上記ベントモードの制御状態が不適正であるとする制御信号を出力する。
【0068】
上記ステップS16でYESと判定された場合には、ステップS17において、吹出モードにおける上半身の快適度指数F8と、無風状態における下半身の快適度指数F7との偏差(F8−F7)が予め設定された第3基準値γ3以下であるか否かを判定する。このステップS17でNOと判定され、上記上半身の快適度指数F8と、下半身の快適度指数F7との偏差(F8−F7)が大きく、下半身が寒すぎる状態にあることが確認された場合には、ステップS14に移行して上記ベントモードの制御状態が不適正であるとする制御信号を出力する。
【0069】
これに対して上記ステップS17でYESと判定され、上記偏差(F8−F7)が第3基準値γ3以下であることが確認された場合には、上半身の快適度指数F8と下半身の快適度指数F7とがいずれも満足すべき状態にあると考えられるため、ステップS13に移行してベントモードの制御状態が適正であるとする制御信号を出力する。
【0070】
また、上記ステップS15でNOと判定され、空調用エアの吹出温度の制御値TOが上記第2基準値(上限値)β2以上であることが確認された場合には、空調用エアの吹出温度が高すぎる状態にあると考えられるため、ステップS14に移行してベントモードの制御状態が不適正であるとする制御信号を出力してリターンする。
【0071】
この結果、ベント制御モードにおいて、図7に示すように、上記吹出温度の制御値TOが、第1基準値β1以下の状態にある場合には、無風状態における下半身の快適度指数F7に基づく適否判定が行われ、β1<TO<β2の範囲内にある場合には、吹出モードにおける上半身の快適度指数F8と、無風状態における下半身の快適度指数F7とに基づく適否判定が行われ、かつ第2基準値β2以上である場合には、空調用エアの吹出温度の制御値TOに対応した第2基準値β2に基づく適否判定が行われることになる。
【0072】
なお、上記各基準値β1,β2およびγ1〜γ3は、制御のハンチングを防止するため、図7に示すように、それぞれ2種類の値が設定され、その一方が使用されるように構成されている。例えば、上記吹出温度の制御値TOの判定基準となる第1基準値β1は、前回の制御時に吹出温度の制御値TOが第1基準値β1以上である判定されている場合に、小さな値の基準値KT07が使用され、前回の制御時に吹出温度の制御値TOが第1基準値β1未満である判定されている場合に、大きな値の基準値KT08が使用されるようになっている。
【0073】
また、吹出温度の判定基準となる第2基準値β2は、前回の制御時に吹出温度の制御値TOが第2基準値β2以上である判定されている場合に、小さな値の基準値KT09が使用され、前回の制御時に吹出温度の制御値TOが第2基準値β2未満であると判定されている場合に、大きな値の基準値KT10が使用される。
【0074】
また、上記快適度指数の判定基準となる第1基準値γ1は、前回の制御時にベント制御モードが適正(OK)状態である場合に、小さな値の基準値KT01が作用され、前回の制御時にベントモードの制御状態が不適正(NG)である判定されている場合に、大きな値の基準値KT02が使用される。また、上記第2,第3基準値γ2,γ3は、前回の制御時にベントモードの制御状態が不適正(NG)である判定されている場合に、それぞれ小さな値の基準値KT03,KT05が使用され、前回の制御時にベント制御モードが適正(OK)状態である場合に、それぞれ大きな値の基準値KT04,KT06が使用されるようになっている。
【0075】
次に、吹出モード制御手段44により実行される空調用エアの吹出モードのうち、ヒートモードの制御状態が適正であるか否かを判定する制御動作を、図8に示すフローチャートに基づいて説明する。上記制御動作がスタートすると、まずステップS21において、空調用エアの吹出温度の制御値TOが予め設定された低温の第3基準値(下限値)β3以下であるか否かを判定し、YESと判定された場合には、空調エアの吹出温度が低すぎて下半身が寒い状態にあると考えられるため、ステップS22において、ヒートモードの制御状態が不適正であるとする制御信号を出力する。
【0076】
また、上記ステップS21でNOと判定された場合には、ステップS23において、空調用エアの吹出温度の制御値TOが、上記第3基準値β3よりも高い値として予め設定された第4基準値β4未満であるか否かを判定する。上記ステップS23でYESと判定され、上記吹出温度の制御値TOがβ3<TO<β4の範囲内にあることが確認された場合には、ステップS24において、吹出モードにおける下半身の快適度指数F9と、目標快適度指数FTSETとの偏差(F9−FTSET)が予め設定された第4基準値γ4以上であるか否かを判定する。
【0077】
上記ステップS24でNOと判定された場合には、下半身の快適度指数F9が目標快適度指数FTSETよりもかなり小さく、下半身が寒すぎる状態にあると考えられるため、ステップS22に移行して上記ヒートモードの制御状態が不適正であるとする制御信号を出力する。
【0078】
これに対して上記ステップS24でYESと判定され、上記偏差(F9−FTSET)が第4基準値γ4以上であることが確認された場合には、ステップS25において、無風状態における上半身の快適度指数F6と、吹出モードにおける下半身の快適度指数F9との偏差(F6−F9)が予め設定された第5基準値γ5以下であるか否かを判定する。このステップS25でNOと判定された場合には、上記上半身の快適度指数F6と下半身の快適度指数F9との偏差(F6−F9)が大きく、上半身が暑すぎる状態にあると考えられるため、ステップS22に移行してヒートモードの制御状態が不適正であるとする制御信号を出力する。
【0079】
これに対してステップS26でYESと判定された場合には、上半身の快適度F6と下半身の快適度F9とがいずれも満足すべき状態にあると考えられるため、ステップS26において、ヒートモードの制御状態が適正であるとする制御信号を出力する。
【0080】
また、上記ステップS23でNOと判定され、空調用エアの吹出温度の制御値TOが上記第4基準値β4以上であることが確認された場合には、ステップS27において、無風状態における上半身の快適度指数F6と、目標快適度指数FTSETとの偏差(F6−FTSET)が、予め設定された第6基準値γ6以下であるか否かを判定する。
【0081】
上記ステップS27でYESと判定された場合には、吹出温度の制御値TOが第4基準値β4以上の状態で、上記上半身の快適度指数F6と目標快適度指数FTSETとの偏差(F6−FTSET)が上記第6基準値γ6以下であるために、上半身が適度に涼しい状態にあると考えられるので、ステップS26に移行してヒートモードの制御状態が適正であるとする制御信号を出力する。これに対してステップS27でNOと判定された場合には、上半身が暑すぎる状態にあると考えられるので、ステップS22に移行してヒートモードの制御状態が不適正であるとする制御信号を出力してリターンする。
【0082】
この結果、ヒートモードの制御状態おいて、図9に示すように、上記吹出温度の制御値TOが、第3基準値β3以下の状態にある場合には、この吹出温度制御値TOに対応した第3基準値β3に基づく適否判定が行われ、β3<TO<β4の範囲内にある場合には、無風状態における上半身の快適度指数F6と、吹出モードにおける下半身の快適度指数F9とに基づく適否判定が行われ、かつ第4基準値β4よりも高い場合には、無風状態における上半身の快適度指数F6に基づく適否判定が行われることになる。
【0083】
なお、上記ヒートモードの制御状態における各基準値γ4〜γ6およびβ3,β4は、制御のハンチングを防止するため、図9に示すように、それぞれ2種類の値(KH01とKH02、KH03とKH04、KH05とKH06、KH07とKH08、KH09とKH10)が設定され、その一方が使用されるように構成されている。
【0084】
次に、上記モード制御手段44により実行される吹出モードのうち、吹出口を選択する制御動作を図10に示すフローチャートに基づいて説明する。上記制御動作がスタートすると、まずステップS31において、ベントモードの判定データが適正状態であることを示しているか否を判定し、YESと判定された場合には、ステップS32において、ヒートモードの判定データが適正状態であることを示しているか否を判定する。
【0085】
上記ステップS32でYESと判定され、ベントモードおよびヒートモードの制御状態がいずれも適正であることが確認された場合には、ステップS33において、ベント吹出口5とフット吹出口6との両方から空調用エアを吹き出すバイレベルモードの吹出モードを選択する制御信号を出力する。
【0086】
これに対して上記ステップS32でNOと判定され、ベントモードの制御状態が適正で、ヒートモードの制御状態が不適正であることが確認された場合には、ステップS34において、ベント吹出口5から空調用エアを吹き出すベントモードの吹出モードを選択する制御信号を出力する。
【0087】
また、上記ステップS31でNOと判定され、ベントモードの制御状態が不適正であることが確認された場合には、ステップS35において、ヒートモードの判定データが適正状態であることを示しているか否を判定する。このステップS35でNOと判定され、ベントモードおよびヒートモードの制御状態がいずれも不適正であることが確認された場合には、ステップS33に移行して上記バイレベルモードの吹出モードを選択する制御信号を出力する。
【0088】
これに対して上記ステップS35でYESと判定され、ベントモードの制御状態が不適正で、ヒートモードの制御状態が適正であることが確認された場合には、ステップS36において、フット吹出口6から空調用エアを吹き出すヒートモードの吹出モードを選択する制御信号を出力してリターンする。
【0089】
このようにベント吹出口5から空調エアを吹き出すベントモードの制御時に、上記第2演算手段41により演算された無風状態における下半身の快適度指数F7に基づいて、吹出モードの適否を判定し、このベントモードの制御状態が不適正であると判定された場合に、上記モード切換ダンパ8,9の開閉位置を調節して他の吹出モードに移行させるように構成したため、車室内温度が低すぎるために乗員の下半身が寒すぎるという事態の発生を確実に防止し、全身の快適度を満足する空調制御を実行することができる。
【0090】
また、フット吹出口6から空調エアを吹き出すヒートモードの制御時に、上記第2演算手段41によって演算された無風状態における上半身の快適度指数F6に基づき、上記吹出モードの適否を判定し、このヒートモードの制御状態が不適正であると判定された場合に、上記モード切換ダンパ8,9の開閉位置を調節して他の吹出モードに移行させるように構成したため、車室内温度が高すぎるために乗員の上半身が暑すぎるという事態の発生を確実に防止し、全身の快適度を満足する空調制御を実行することができる。
【0091】
また、上記実施形態では、選択手段42によって選択された吹出温度の制御値TOに応じ、吹出モード制御手段44による判定条件を変更するように構成したため、空調用エアの吹出温度および乗員の快適度とに基づき、簡単な構成で吹出モードを適否を正確に判定することができる。
【0092】
例えば、ベント吹出口5から冷たい空調エアを吹き出すベントモードの制御状態おいて、上記吹出温度の制御値TOが予め設定された第1基準β1以下であり、空調エアの吹出温度が高くないことが確認された場合には、上半身の快適度は満足すべき状態にあると考えられるため、無風状態における下半身の快適度指数F7のみに基づいて上記ベントモードの制御状態が適正であるか否かを判定することができ、この判定結果に応じて吹出モードを設定することにより、全身の快適度を容易かつ正確に満足させることができる。
【0093】
また、上記ベントモードの制御状態おいて、上記吹出温度の制御値TOが第1基準値β1と第2基準値β2との範囲内にあり、必ずしも上半身の快適度を満足すべき状態にあるとは限らない場合には、無風状態における下半身の快適度指数F7と、吹出モードの上半身の快適度指数8との両方に基づいて上記ベントモードの制御状態が適正であるか否かを判定し、この判定結果に応じて吹出モードを設定することにより、全身の快適度を正確に満足させることができる。
【0094】
さらに、上記実施形態では、ベントモードの制御状態おいて、上記吹出温度の制御値TOが第2基準値(上限値)β2以上であり、ベント吹出口5から乗員の上半身に暑すぎる空調用エアが吹き付けられていることが確認された場合には、上記快適度指数に基づく判定を行うことなく、上記ベントモードの制御状態が不適正であると判定して他の制御モードに移行するように構成したため、極めて簡単な構成で乗員の快適度を満足させる空調制御を正確に実行することができる。
【0095】
また、上記実施形態では、フット吹出口6から暖かい空調エアを吹き出すヒートモードの制御状態おいて、上記吹出温度の制御値TOが第3基準値(下限値)β3以下であり、フット吹出口6から乗員の下半身に冷たすぎる空調用エアが吹き付けられていることが確認された場合には、上記快適度指数に基づく判定を行うことなく、上記ヒートモードの制御状態が不適正であると判定して他の制御モードに移行するように構成したため、極めて簡単な構成で乗員の快適度を満足させる空調制御を適正に実行することができる。
【0096】
そして、上記ヒートモードの制御状態おいて、上記吹出温度の制御値TOが第3基準値β3と第4基準値β4との範囲内にあり、下半身の快適度を満足すべき状態にあるか否かが明確でない場合には、無風状態における上半身の快適度指数F6と、吹出モードの下半身の快適度指数9との両方に基づいて上記ヒートモードの制御状態が適正であるか否かを判定し、この判定結果に応じた吹出モードを選択することにより、全身の快適度を満足させる空調制御を実行することができる。
【0097】
さらに、上記ヒートモードの制御状態おいて、吹出温度の制御値TOが予め設定された第4基準β4以上であり、空調エアの吹出温度が高くないことが確認された場合には、下半身の快適度は満足すべき状態にあると考えられるため、無風状態における上半身の快適度指数F6のみに基づいて上記ヒートモードの制御状態が適正であるか否かを判定することができ、この判定結果に応じた吹出モードを選択することにより、全身の快適度を容易かつ正確に満足させる空調制御を実行することができる。
【0098】
また、上記実施形態では、吹出モード制御手段44により判定された二種類の吹出モードの判定データに応じ、ベント吹出口5から空調用エアを吹き出すベントモードと、フット吹出口6およびデフロスタ吹出口7から空調用エアを吹き出すヒートモードと、ベント吹出口5およびフット吹出口6の両方から空調エアを吹き出すバイレベルモードからなる三態様のモードうちの一つを選択してモード切換ダンパ8〜10の開閉位置を制御するように構成したため、簡単な構成で適正に吹出モードの制御を実行することができる。
【0099】
すなわち、上記第2演算手段41によって演算された快適度指数に基づいて上記バイレベルモードの制御状態の適否を判定するように構成することも考えられが、このように構成した場合には、上記判定制御の動作が複雑になるとともに、制御のハンチングが生じ易い等の問題がある。これに対して、上記のように二種類の判定データに基づいて三態様の吹出モードを設定するように構成した場合には、判定制御動作を簡略化して制御のハンチングを防止しつつ、車両に作用する熱負荷に適合した吹出口から空調エアを吹き出して車室内の環境を適正に制御することができる。
【0100】
さらに、上記実施形態では、吹出モード制御手段44によりベントモードの制御状態とヒートモードの制御状態とがいずれも適正であると判定された場合、またはベントモードの制御状態とヒートモードの制御状態とがいずれも不適正であると判定された場合に、ベント吹出口5およびフット吹出口6の両方から空調エアを吹き出すバイレベルモードの制御状態を選択してモード切換ダンパ8〜10の開閉位置を制御するように構成したため、上記ベントモードもしくはヒートモードのいずれの制御状態を選択すればよいのかを明確に判別することができなくなるという事態を確実に防止することができるとともに、乗員に不快感を与えることなく、空調制御を適正に制御することができる。
【0101】
なお、上記バイレベルモードの制御を実行する際に、図11に示すように、選択手段41によって選択された吹出温度の制御値TOと、吹出モードにおける上半身の快適度指数F8と目標快適度指数FTSETとの偏差(F8−FTSET)とをパラメータとして設定されたテーブルから、三種類のバイベルモードI,II,IIIのうちの一つを選択するように構成してもよい。
【0102】
例えば、上記吹出温度の制御値TOが予め設定された第5基準値β5(KBL5,KBL6)以下であることが確認された場合には、ベント吹出口5から吹出量が75%に設定されるとともに、フット吹出口6からの吹出量が25%に設定されたバイベルモード(B/L)Iを選択し、かつ上記吹出温度の制御値TOが上記第5基準値β5と、第6基準値β6(KBL7,KBL8)との範囲内にあることが確認された場合には、上半身の快適度指数F8と目標快適度指数FTSETとの偏差(F8−FTSET)に基づいて上記バイベルモードIまたはバイレベルモードIIの一方を選択するように構成してもよい。
【0103】
すなわち、上記偏差(F8−FTSET)が第7基準値γ7(KBL3,KBL4)以上であることが確認された場合には、上記バイベルモードIを選択するとともに、上記上記偏差(F8−FTSET)が第7基準値γ7(KBL3,KBL4)未満であることが確認された場合には、ベント吹出口5から吹出量が60%に設定されるとともに、フット吹出口6からの吹出量が40%に設定されたバイベルモードIIを選択する。
【0104】
また、上記吹出温度の制御値TOが予め設定された第6基準値β6(KBL7,KBL8)以上であることが確認された場合には、上記偏差(F8−FTSET)が第8基準値γ8(KBL1,KBL2)以上であることが確認された場合に、上記バイベルモードIIを選択し、かつ偏差(F8−FTSET)が第8基準値γ8(KBL1,KBL2)未満であることが確認された場合に、ベント吹出口5から吹出量が45%に設定されるとともに、フット吹出口6からの吹出量が55%に設定されたバイベルモードIIIを選択するようにしてもよい。
【0105】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、演算手段によって演算された無風状態における下半身の快適度指数に基づいてベント吹出口から空調エアを吹き出すベントモードの制御状態が適正であるか否かを判定するとともに、演算手段によって演算された無風状態における上半身の快適度指数に基づいてフット吹出口から空調エアを吹き出すヒートモードの制御状態が適正であるか否かを判定し、その判定結果に応じて上記モード切換ダンパを開閉制御して吹出モードの制御を実行するように構成したたため、上記ベントモードの制御時に、下半身の快適度が考慮されずに、上半身のみに対する空調制御が行われて下半身の不快度が増大したり、ヒートモードの制御時に、上半身の快適度が考慮されずに、下半身のみに対する空調制御が行われて上半身の不快度が増大したりするという事態の発生を確実に防止し、全身の快適度を効果的に満足させることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る車両の空調制御装置の全体構成図である。
【図2】空調制御装置の概略構成を示す説明図である。
【図3】空調制御装置の構成を機能的に示すブロック図である。
【図4】車室内温度の設定温度と目標快適度指数との対応関係を示す特性図である。
【図5】空調制御装置の基本制御動作を示すフローチャートである。
【図6】ベントモードの適否を判定する制御動作を示すフローチャートである。
【図7】ベントモードの適否判定用のテーブルを示す説明図である。
【図8】ヒートモードの適否を判定する制御動作を示すフローチャートである。
【図9】ヒートモードの適否判定用のテーブルを示す説明図である。
【図10】吹出モードを選定する制御動作を示すフローチャートである。
【図11】バイレベルモードの適否判定用のテーブルを示す説明図である。
【符号の説明】
1 通風ダクト
5 ベント吹出口
6 フット吹出口
8,9,10 モード切換ダンパ
12 冷却用熱交換器
14 暖房用熱交換器
41 第2演算手段
42 選択手段
44 ベントモード制御手段
Claims (6)
- 空調用エアを冷却する冷却用熱交換器と、空調用エアを加熱する加熱用熱交換器と、乗員の上半身に向けて空調用エアを吹き出すベント吹出口と、乗員の下半身に向けて空調エアを吹き出すフット吹出口と、上記ベント吹出口およびフット吹出口に供給される空調用エアを制御するモード切換ダンパとが通風ダクトに設けられた車両の空調制御装置において、上記空調用エアの吹出温度と吹出風量とをパラメータとして予め設定された特性式に基づいて空調制御時に乗員が体感する快適度指数を演算する演算手段と、この演算手段によって演算された快適度指数を目標快適度指数に近づけるように空調用エアの吹出温度および吹出風量の制御値の最適な組合せを選択する選択手段と、上記演算手段によって演算された無風状態における下半身の快適度指数に基づいてベント吹出口から空調エアを吹き出すベントモードの制御状態が適正であるか否かを判定するとともに、上記演算手段によって演算された無風状態における上半身の快適度指数に基づいてフット吹出口から空調エアを吹き出すヒートモードの制御状態が適正であるか否かを判定し、その判定データに応じて上記モード切換ダンパを開閉制御する吹出モード制御手段とを設けたことを特徴とする車両の空調制御装置。
- 選択手段によって選択された吹出温度の制御値に応じ、吹出モード制御手段による判定条件を変更するように構成したことを特徴とする請求項1記載の車両の空調制御装置。
- 選択手段によって選択された吹出温度の制御値が予め設定された上限値以上であることが確認された場合に、ベントモードの制御状態が不適正であると判定するように構成したことを特徴とする請求項2記載の車両の空調制御装置。
- 選択手段によって選択された吹出温度の制御値が予め設定された下限値以下であることが確認された場合に、ヒートモードの制御状態が不適正であると判定するように構成したことを特徴とする請求項2記載の車両の空調制御装置。
- 吹出モード制御手段により判定された吹出モード制御の判定データに応じ、ベント吹出口から空調用エアを吹き出すベントモードと、フット吹出口から空調用エアを吹き出すヒートモードと、ベント吹出口およびフット吹出口の両方から空調エアを吹き出すバイレベルモードのいずれかを選択してモード切換ダンパを開閉制御するように構成したことを特徴とする請求項1または2記載の車両の空調制御装置。
- 吹出モード制御手段によりベントモードの制御状態とヒートモードの制御状態とがいずれも適正であると判定された場合、およびベントモードの制御状態とヒートモードの制御状態とがいずれも不適正であると判定された場合に、ベント吹出口およびフット吹出口の両方から空調エアを吹き出すバイレベルモードを選択してモード切換ダンパを開閉制御するように構成したことを特徴とする請求項1または2記載の車両の空調制御装置。
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