JP3606090B2 - 自動車の配線構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の配線構造に関し、特に、常時電流が流れているASLラインの短縮を図りながら、他の電線長さが長くなることも抑制し、かつ、側面衝突時に発生しやすいフロアハーネスの損傷発生防止を図るものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、一般的に、図3に示すように、自動車において常時電流が流れているASLライン(所謂生電源線)1は、自動車のエンジンルームXの左前位置に搭載されたエンジン側ジャンクションボックス2と室内側Yの運転席側の右側に搭載される室内側ジャンクションボックス3とを接続するために、エンジン側ジャンクションボックス2からエンジンルームXの略全長を横断させた後、後方向に屈折させて、エンジンルームX内で車長方向に延在させ、その後、エンジンルームXと室内Yを仕切る車体パネル4に設けた貫通孔5を通して室内Yに引き出し、室内側ジャンクションボックス3と接続している。
【0003】
室内側ジャンクションボックス3を運転席近傍の右側に搭載するのは、運転席近傍に電装品6A、6B…やスイッチ7A,7B…が集中配置されているためであり、よって、室内側ジャンクションボックス3内の分岐回路から、これら電装品やスイッチへの電線wの長さを短くしたいためである。
【0004】
しかしながら、上記配置とすると、常時電流が流れているASLライン1の長さが非常に長くなる。このASLラインには常時電流が流れているため、外部干渉材等により短絡が発生する可能性がたかい。そのため、ASLラインをプロテクタ等で保護しているが、ASLラインの全長が大であるためASLライン全体をプロテクタで保護するにはコスト高になり、かつ、各種の機器が集中配置されているエンジンルームX内でスペースをとる問題がある。
【0005】
さらに、運転席側近傍に配置した室内側ジャンクションボックス3に接続されるフロアハーネス8は図3に示すように、自動車の右側面に沿って配置されて、FUELポンプ9やリヤ側のコンビネーションランプ10に接続されることとなる。このように、自動車の右側面に沿ってフロアハーネス8が配置されると、自動車の側面接触や側面衝突でフロアハーネス8にダメージが発生しやすくなる問題がある。このフロアハーネス8にはFUELポンプ9の駆動源への回路が遮断されると、走行できなくなる恐れもある。
【0006】
上記したASLラインが長くなる問題を解消すべく、図4に示すように、室内側ジャンクションボックス3を助手席側に左側に配置し、エンジンルームXで左前に配置するエンジン側ジャンクションボックス2と室内側ジャンクションボックス3とを車長方向で直線状に接続し、ASLライン1を最短としたものが提供されている。この場合、車体パネル4に設ける貫通孔5は左側に形成され、この貫通孔5を通して他のワイヤハーネスと共にASLラインは最短の直線長さとなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、室内側ジャンクションボックス3を助手席側に配置すると、上記のように自動車幅方向の反対側の運転席側近傍の電装品6A、6B…やスイッチ7A,7B…が集中配置されているため、室内側ジャンクションボックス3内の分岐回路とこれら電装品やスイッチ類とを接続する電線wの長さが大となり、この点で、コストアップの要因が発生する。
【0008】
また、運転席側に室内側ジャンクションボックス3を配置した場合とは反対側の自動車の左側面に沿ってフロアハーネスが配索されることとなるため、自動車の側面接触や側面衝突でフロアハーネスがダメージを受け易い問題は解消されていない。
【0009】
本発明は上記した問題に鑑みてなされたもので、ASLラインを短くしながら、他の電線の長さも大とせず、しかも、フロアハーネスの安全性を高めることを課題としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、自動車に搭載するジャンクションボックスとして、エンジンルームの左右一方側に搭載する1つのエンジン側ジャンクションボックスと、室内側の幅方向の中央部にのみ搭載している1つの室内側ジャンクションボックスとからなる2つのジャンクションボックスを備え、
上記エンジン側ジャンクションボックスから室内側へと車長方向で直線状に配索され、エンジンルームと室内とを仕切る車体パネルの左右一方側に設けた貫通孔を通して室内側へと引き出した後に屈曲させて室内側中央に搭載する上記室内側ジャンクションボックスに接続するASLライン(生電源線)とを備え、上記室内側ジャンクションボックスの内部に分岐回路を収容し、これら分岐回路と運転席近傍に配置する電装品およびスイッチ類と電線を介して接続し、
さらに、上記室内側ジャンクションボックスに自動車の幅方向の中央部を通すフロアハーネスを接続し、該フロアハーネスはFUELポンプと接続する分岐線を備えると共にリヤ側先端を分岐させてコンビネーションランプと接続している自動車の配線構造を提供している。
【0011】
上記構成とすると、運転席に室内側ジャンクションボックスを配置する場合と比較してASLラインを大幅に短縮でき、ASLラインに対する外部干渉材による干渉を減少でき、かつ、ASLラインへ取り付けるプロテクタを小型化できる。一方、助手席側に室内側ジャンクションボックスを配置した場合と比較すると、ASLラインは若干長くなるが、運転席近くの電装品やスイッチ類への電線長さを大幅に短くできる。特に、運転席から中央部よりの電装品やスイッチ類への電線長さを非常に短くすることができる。
【0012】
さらに、中央に室内側ジャンクションボックスを配置しているため、該ジャンクションボックスに接続するフロアハーネスを車幅方向の中央部に沿って配索し、従来のように側面配索でないため、自動車の側面接触や側面衝突によるダメージを殆ど無くすことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1に示すように、自動車のエンジンルームXの左前方にエンジン側ジャンクションボックス2が搭載されている一方、室内Yの幅方向の中央部、即ち、図2に示すインスツルメントパネル20内において車幅方向の略中央部に室内側ジャンクションボックス3とを搭載している。
【0014】
上記エンジン側ジャンクションボックス2と室内側ジャンクションボックス3とを接続され、常に電流が流れているASLライン1は、エンジン側ジャンクションボックス2から室内側へと車長方向で直線状に配索され、エンジンルームXと室内Yとを仕切る車体パネル4の左側に設けた貫通孔5を通して室内T側へと引き出し、その後に屈曲させて室内側中央に搭載し、上記インスツルメントパネル20の内部中央に収容している。
【0015】
上記室内側ジャンクションボックス3の内部には分岐回路(図示せず)が収容されており、これら分岐回路とハンドル15で示す運転席近傍に配置する電装品およびスイッチ類とを接続する電線wを配線している。概略的には、図1で示すように、ハンドル15よりさらに側面の窓側に配置するスイッチ7A、7B、運転席の前の電装品6B、室内側ジャンクションボックス3と背面側に配置する電装品6Aに電線wを介して接続している。よって、これらスイッチ類や電装品類への電線wの長さは助手席側にジャンクションボックスを配置した場合と比較して非常に短くなっている。
【0016】
特に、車幅方向の中央部には図2に詳細に示すように、A/Dコンピュータ40、エンジンコントロールコンピュータ41、ミラーコントロールリレー42、エアミックスアンプ43、ドアコントロールリレー44、アブソーバーコントロールコンピュータ45、サーキットオープニングリレー46、シフトロックコントロールリレー47、エアコンアンプ48等の多数の電装品が位置しており、よって、中央部に配置する室内側ジャンクションボックス3と近接するために、多数の電線wの長さが短くすることができる。
【0017】
さらに、上記室内側ジャンクションボックス3に自動車のリア側へと配索されるフロアハーネス8が接続され、該フロアハーネス8は車幅方向の中央部に沿ってリア側へと配索される。このフロアハーネス8には従来と同様にFUELポンプ9への分岐線8aを備え、リヤ側の先端では左右に分岐し、この左右の分岐線8b、8cの先端にそれぞれコンビネーションランプ10を接続している。
【0018】
上記構成とすると、ASLライン1が運転席側に室内側ジャンクションボックス3を配置した場合と比較して大幅に短縮できる。このASLライン1には樹脂成型品のプロテクタ(図示せず)を保護材として外装しているため、ASLライン1が短縮できるとプロテクタも小型化される。かつ、助手席側にジャンクションボックス3を配置していた場合と同様な経路で室内Yへ配索できるため、エンジンルームXと室内Yとをしきる車体パネル4に設けた貫通孔5を利用して室内Y側へと引き出すことができ、従来と大幅な変更を施す必要がなくなる。
【0019】
さらに、運転席近傍、特に、車幅中央に集中的に配置される多数の電装品へのジャンクションボックス3からの電線を短くでき、配索経路を単純化できると共に電線コストも低下できる。
【0020】
さらに、フロアハーネス8を車幅方向の中央部に沿ってリア側へと配索するため、側面接触や側面衝突によるフロアハーネス8の損傷を殆ど無くすことができる。その結果、フロアハーネス8に接続したFUELポンプ8への通電停止による走行停止や、リアランプが消灯する恐れはなく、自動車の安全性を向上させることができる。
【0021】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明によれば、エンジンルーム側ジャンクションボックスと室内側ジャンクションボックスとに接続され、常に電流が流れているASLラインを短縮できると共に、室内側ジャンクションボックスから多数の電装品やスイッチ類へ接続すう電線長さも短くできる。さらに、フロアハーネスを車幅方向の略中央部に沿って配索できるため、側面接触や側面衝突に対するフロアハーネスの影響を減少することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す概略図である。
【図2】上記実施形態の一部拡大斜視図である。
【図3】従来例を示す概略図である。
【図4】他の従来例を示す概略である。
【符号の説明】
1 ASLライン
2 エンジン側ジャンクションボックス
3 室内側ジャンクションボックス
4 車体パネル
5 貫通孔
6A、6B 電装品
7A、7B スイッチ
8 フロアハーネス
9 FUELポンプ
10 コンビネーションランプ
Claims (1)
- 自動車に搭載するジャンクションボックスとして、エンジンルームの左右一方側に搭載する1つのエンジン側ジャンクションボックスと、室内側の幅方向の中央部にのみ搭載している1つの室内側ジャンクションボックスとからなる2つのジャンクションボックスを備え、
上記エンジン側ジャンクションボックスから室内側へと車長方向で直線状に配索され、エンジンルームと室内とを仕切る車体パネルの左右一方側に設けた貫通孔を通して室内側へと引き出した後に屈曲させて室内側中央に搭載する上記室内側ジャンクションボックスに接続するASLライン(生電源線)とを備え、上記室内側ジャンクションボックスの内部に分岐回路を収容し、これら分岐回路と運転席近傍に配置する電装品およびスイッチ類と電線を介して接続し、
さらに、上記室内側ジャンクションボックスに自動車の幅方向の中央部を通すフロアハーネスを接続し、該フロアハーネスはFUELポンプと接続する分岐線を備えると共にリヤ側先端を分岐させてコンビネーションランプと接続している自動車の配線構造。
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