JP3605208B2 - 新規なビスフェノール化合物及びその製造方法 - Google Patents

新規なビスフェノール化合物及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なビスフェノール化合物及びその製造方法に関し、詳しくは、2個のフェノール核の間に1,3 −フェニレンビス(イソプロピリデン)結合又は1,4−フェニレン(イソプロピリデン)結合を有するビスフェノール化合物であって、2個のフェノール核上において、水酸基に対してメタ位にメチル基を有し、且つ、両オルト位に親油性のアルキル基を有する新規なビスフェノール化合物と、その製造方法、特に、高純度品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ビスフェノール化合物は、従来より、ポリカーボネート、ポリアリレート等の熱可塑性エンジニアリングプラスチックの原料や、また、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂の原料として、広く用いられている。
近年、特に、電気電子分野における機器の小型化、高性能化に伴って、それらに用いられる有機材料についても、機械的特性や熱的特性の向上のみならず、耐湿性、電気絶縁性、低誘電性等の一層の向上が強く求められるに至っている。
【0003】
更に、ビスフェノール化合物は、上述したようなプラスチックの原料としてのみならず、エポキシ樹脂の硬化剤、感熱記録用の顕色剤、退色防止剤、保存安定剤、酸化防止剤、殺菌剤、防菌防黴剤等の各種添加剤としても有用に用いられており、ますますその重要性を増している。
【0004】
ビスフェノール化合物は、例えば、Eugen Mueller 編、METHODEN DER ORGANI−SCHEN CHEMIE (HOUBEN−WEYL), Band VI/1c, “Phenol”, Teil 2, pp. 1021−1061,Georg Thieme Verlag Stuttgart (1976)に多数のものが記載されており、その後も、上述したような樹脂の高性能化、高機能化の要請に応えるために、新たなビスフェノール化合物が多数、提案されている。
このようなビスフェノール化合物の中で、2個のフェノール核の間にフェニレンジイソプロピリデン結合を有するビスフェノール化合物は、そのフェニレンジイソプロピリデン結合がサイズが大きく、且つ、親油性である。
【0005】
従って、そのようなビスフェノール化合物は、現在、工業的に大量に製造されているビスフェノールA等のアルキレン結合を有するビスフェノール化合物に比べて、水酸基当りの分子量が大幅に小さくなり、それ故、そのようなビスフェノール化合物を用いて製造されるポリカーボネートやポリアクリレート等の熱可塑性プラスチックスは、ビスフェノールAを原料として用いる通常の熱可塑性プラスチックスに比べて、炭酸結合やエステル結合等の極性基の分子量当りの密度が大幅に低下するので、耐加水分解性や低吸水性等の耐水特性が大幅に向上し、そのために耐絶縁性や低誘電性等の電気特性にもすぐれることが期待できる。
【0006】
更に、分子内にフェニレンジイソプロピリデン結合を有するビスフェノール化合物は、一般的なビスフェノールA等、アルキレン結合を介するビスフェノール化合物に比べて、サイズが大きなフェニレンジイソプロピリテン結合を介しているので、フェノール性水酸基間の距離が長いという特徴を有する。それ故、例えば、エポキシ樹脂の硬化剤等、硬化性樹脂の組成物の成分として用いる場合には、上述の熱可塑性プラスチックスの場合に発現すると期待される効果に加えて、硬化物の分子構造において、架橋点間の距離が長くなるので、耐衝撃性や耐たわみ性等の可撓性にすぐれた硬化成形物を得ることができる。
【0007】
以上のような理由によって、従来、数々のフェニレンビスプロピリデン結合を有するビスフェノール化合物が提案されている。特に、2個のフェノール核の間にフェニレンビスプロピリデン結合を有すると共に、2個のフェノール核にアルキル基のような親油性の置換基を有するビスフェノール化合物は、そのような置換基をもたないものに比べて、それを原料とするプラスチックスの耐水特性が一層向上し、更に、そのために電気特性も向上するので、多くの提案がなされている。
【0008】
例えば、古くは、西ドイツ特許第2063052号公報に、1,4 −ビス〔2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−プロピル〕ベンゼンが記載されており、これを原料として用いて得られるポリカーボネートが耐水特性にすぐれていることが示されている。また、ヨーロツパ特許公開公報第27844号公報にも、上記ビスフェノール化合物を原料として用いることによって、物性のすぐれたポリ(エステルカーボネート)を与えることが記載されている。特開平5−222156号公報には、1,3−ビス〔2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−プロピル〕ベンゼンが電気特性にすぐれたエポキシ樹脂組成物を形成することが記載されている。
【0009】
更に、メチル基に代えて、サイズの一層大きい置換基を導入したフェニレンビスプロピリデン結合を有するビスフェノール化合物も提案されている。例えば、西ドイツ特許第2523106号公報、西ドイツ特許第2523107号公報、特開昭58−121230号公報等には、1,3 −ビス〔2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)−2−プロピル〕ベンゼンが記載されている。また、西ドイツ特許第2012285号公報、西ドイツ特許第2523106号公報、西ドイツ特許第2523107号公報、西ドイツ特許第2065975号公報等には、1,4 −ビス〔2−(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)−2−プロピル〕ベンゼンが記載されている。更に、特開昭58−121230号公報には、1,4 −ビス〔2−(4−ヒドロキシ−3−t−ブチル−6−メチルフェニル)−2−プロピル〕ベンゼンも記載されている。
【0010】
しかし、上述したようなサイズの大きな置換基をフェノール核上に導入したフェニレンビスプロピリデン結合を有するビスフェノール化合物をプラスチックスの原料として用いれば、置換基のサイズの増大による親油性の向上は望めるが、一方では、そのような置換基が分子軸に対して片寄って導入されることによって、生成されるプラスチックスのボリマー分子間の自由体積が増大し、そのような空隙を通してサイズの小さな水分子が容易に導入するようになるので、耐水特性の面から、従って、電気特性の面からは、そのようなビスフェノール化合物を用いることは、必ずしも得策ではない。
【0011】
以上のような観点から、2個のフェノール核の間にフェニレンビスプロピリデン結合を有し、プラスチックスの原料として理想的であるビスフェノール化合物は、分子軸に対して対称であり、且つ、フェノール性水酸基とフェニレンビスプロピリデン結合の双方に均等に置換基効果が及ぶような分子構造を有するものであると考えられる。しかし、従来、そのような構造を有するビスフェノール化合物は知られていない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、2個のフェノール核の間にフェニレンビスプロピリデン結合を有するビスフェノール化合物の上述したような事情に鑑みて、ポリカーボネートやポリアリレート等の熱可塑性プラスチックスの原料として用いた場合に、従来よりも一層の耐水性の向上と、それに従って電気特性の向上が期待でき、更に、エポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂の原料とした場合には、熱可塑性樹脂において期待される上記特性に加えて、耐衝撃性や耐撓み性等の可撓性の向上が期待できる新規なビスフェノール化合物と、そのようなビスフェノール化合物の製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明による新規なビスフェノール化合物は、一般式(I)
【0014】
【化5】
Figure 0003605208
【0015】
(式中、Rは炭素原子数1〜3のアルキル基を示し、2個のイソプロピリデン基はフェニレン基に相互にメタ位又はパラ位で結合している。)
で表わされることを特徴とする。
【0016】
このような本発明による新規なビスフェノール化合物は、酸性化合物の存在下、アルコール系溶媒中で、一般式(II)
【0017】
【化6】
Figure 0003605208
【0018】
(式中、Rは炭素数1〜3のアルキル基を示す。)
で表わされる3−メチル−2,6−ジアルキルフェノールと、一般式(III)
【0019】
【化7】
Figure 0003605208
【0020】
(式中、2個のイソプロピリデン基はフェニレン基に相互にメタ位又はパラ位で結合している。)
で表わされるビス(ヒドロキシイソプロピル)ベンゼンとを反応させることによって得ることができる。
【0021】
特に、本発明によれば、このような方法において、反応終了後、上記ビスフェノール化合物を含む反応液中の酸性化合物を中和し、次いで、反応液からアルコール系溶媒と未反応の3−メチル−2,6−ジアルキルフェノールとを蒸留によって系外に留去し、その後、得られた濃縮物に芳香族系炭化水素、脂肪族炭化水素、脂肪族ケトン又はこれらの2種以上の混合溶媒を加えた後、加温して溶解させた後、冷却して、上記ビスフェノールを晶析させることによって、高純度品を容易に得ることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明による新規なビスフェノール化合物は、前記一般式(I)で表わされ、従って、その具体例としては、例えば、4,4’−〔1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)〕ビス(2,3,6−トリメチルフェノール)や、4,4’−〔1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)〕ビス(2,3,6−トリメチルフェノール)を挙げることができる。
【0023】
本発明によるビスフェノール化合物の製造において、原料として用いる上記一般式(II)で表わされる3−メチル−2,6−ジアルキルフェノールにおいて、水酸基の両オルト位に位置する2個のアルキル基は、炭素原子数1〜3の比較的サイズの小さなアルキル基であるのが好ましく、そのようなアルキル基の具体例として、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基又はイソプロピル基を挙げることができる。
【0024】
従って、上記3−メチル−2,6−ジアルキルフェノールの具体例としては、例えば、2,3,6−トリメチルフェノール、3−メチル−2,6−ジエチルフェノール、3−メチル−2,6−ジプロピルフェノール、3−メチル−2,6−ジプロピルフェノール等を挙げることができる。本発明においては、これらのなかでは、特に、アルキル基のサイズが最も小さい2,3,6−トリメチルフェノールが最も好ましく用いられる。
【0025】
炭素原子数が4以上のアルキル基が置換された3−メチル−2,6−ジアルキルフェノールを用いた場合にも、本発明の方法によって、ビスフェノール化合物を得ることができる。しかしながら、そのようなビスフェノール化合物は、水酸基の両オルト位に位置するサイズの大きいアルキル基の立体障害のために、水酸基そのものの反応性が低下しており、かくして、ポリアリレートやポリカーボネート等の熱可塑性樹脂の原料として、また、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂の原料や硬化剤として、用いるには適さない。
【0026】
また、本発明によるビスフェノール化合物の製造において、原料として用いる前記一般式(III)で表わされるビス(ヒドロキシイソプロピル)ベンゼンにおいて、2個のイソプロピリデン基は、フェニレン基に相互にメタ位又はパラ位で結合している。従って、上記ビス(ヒドロキシイソプロピル)ベンゼンとしては、具体的には、1,3−ビス(2−ヒドロキシイソプロピル)ベンゼンや1,4−ビス(2−ヒドロキシイソプロピル)ベンゼンが用いられる。
【0027】
本発明によるビスフェノール化合物の製造において、3−メチル−2,6−ジアルキルフェノールとビス(ヒドロキシイソプロピル)ベンゼンとの反応において、3−メチル−2,6−ジアルキルフェノールは、ビス(ヒドロキシイソプロピル)ベンゼンに対して、2倍モル以上、通常、2〜40倍モル量の範囲で用いられるが、好ましくは、10〜30倍モル量の範囲で用いられる。
【0028】
3−メチル−2,6−ジアルキルフェノールとビス(ヒドロキシイソプロピル)ベンゼンとの反応は、酸性化合物の存在下、アルコール系溶媒中で行なわれるが、このアルコール系溶媒としては、用いる反応原料、得られる生成物の溶解度、反応条件、反応の経済性等を考慮して、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、t−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ブチルアルコール等のような低級脂肪族アルコールが好ましく用いられる。特に、メタノールが好ましく用いられる。
【0029】
本発明において、かかるアルコール系溶媒は、通常、用いるビス(ヒドロキシイソプロピル)ベンゼン100重量部に対して、10〜1000重量部、好ましくは、100〜500重量部の範囲で用いられるが、これに限定されるものではない。
【0030】
上記酸性化合物としては、反応溶媒である上記アルコール系溶媒に溶解するものが好ましく、従って、例えば、塩酸、硫酸、無水硫酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、シュウ酸、ギ酸、リン酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等を好ましい具体例として挙げることができる。このような酸性化合物は、例えば、35%塩酸の場合は、ビス(ヒドロキシイソプロピル)ベンゼン100重量部に対して、1〜100重量部、好ましくは、10〜50重量部の範囲で用いられる。
【0031】
3−メチル−2,6−ジアルキルフェノールとビス(ヒドロキシイソプロピル)ベンゼンとの反応は、通常、室温から80℃、好ましくは、40〜65℃にて、窒素気流下に攪拌しながら、2〜48時間程度、通常、10〜30時間程度行なえばよい。本発明においては、通常は、反応によって生成するビスフェノール化合物は、反応溶剤に溶解し難いために、上記反応温度条件下では、反応液中に析出する。
【0032】
そこで、本発明によれば、反応終了後、得られた反応液に水酸化ナトリウム等のアルカリを加えて、pH5〜7まで中和し、酸性化合物を中和し、次いで、反応時に用いたアルコール系溶媒と未反応の3−メチル−2,6−ジアルキルフェノールを蒸留によって反応液から留去し、この後、濃縮した反応液に芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂肪族ケトン又はこれらの2種以上の混合溶媒を加え、ビスフェノール化合物を溶解させた後、冷却することによって、目的とするビスフェノール化合物を晶析させ、かくして、高純度品を容易に得ることができる。
【0033】
上記晶析溶媒は、晶析条件、精製効果、経済性等を考慮して、芳香族炭化水素としては、例えば、トルエン、キシレン、クメン等を挙げることができ、脂肪族炭化水素としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、n−デカン、2,2−ジメチルブタン、石油エーテル、石油ベンジン、リグロイン、ケロシン、石油スピリット、石油ナフサ、2−ペンテン、混合ペンテン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等を挙げることができる。また、脂肪族ケトンとしては、例えば、イソプロピルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン等を挙げることができる。
【0034】
このような晶析溶媒は、通常、濃縮した反応液100重量部に対して、10〜1000重量部、好ましくは、50〜500重量部の範囲で加えることによって、濃縮反応液から目的とするビスフェノール化合物を高純度にて晶析させることができる。
【0035】
他方、本発明によれば、反応終了後、得られた反応液をアルカリによって中和し、次いで、アルコール系溶媒と未反応の3−メチル−2,6−ジアルキルフェノールを蒸留によって反応液から留去した後、晶析溶媒を加えずに、反応液に水を加えて攪拌後、静置し、次いで、油水分離して、上記中和によって生成した塩を水層に分離することによって、目的とするビスフェノール化合物を得る方法も採用することができる。
【0036】
この方法による場合は、未反応の3−メチル−2,6−ジアルキルフェノール等、目的とするビスフェノール化合物以外の成分も多少含まれるようになるので、得られるビスフェノールの純度は低下する。反面、目的とするビスフェノール化合物は、生成した全量が回収されるので、その収率は向上する。このような粗製品を適宜の用途に供してよいことは、勿論である。
【0037】
【発明の効果】
本発明によるビスフェノール化合物は、2個のフェノール核の間に1,3−又は1,4−フェニレンビス(イソプロピリデン)基を有すると共に、フェノール核のそれぞれにおいて、その水酸基の両オルト位に炭素原子数が1〜3のアルキル基を置換基として有し、更に、その水酸基に対して、メタ位にメチル基を有する分子構造的な特徴を有し、従来、知られているビスフェノール化合物と同様に、広範な用途に有利に用いることができる。
【0038】
特に、本発明によるビスフェノール化合物を原料として用いることによって、耐加水分解性や低吸水性等の耐水特性や、絶縁性、低誘電性等の電気特性にすぐれた熱可塑性プラスチックスを得ることができる。また、本発明によるビスフェノール化合物を原料として用いることによって、上記したすぐれた特性に加えて、耐衝撃性や耐撓み性等の可撓性にすぐれる硬化成形物を与える熱硬化性プラスチックスも得ることができる。
【0039】
また、本発明によるビスフェノール化合物の製造原料の面からは、3−メチル−2,6−ジアルキルフェノールは、m−クレゾールにメタノール、エタノール等の低級アルコール類や、又はエチレン、プロピレン等のオレフィン類を反応させることによって、経済的に容易に製造することができる。
【0040】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0041】
実施例1
2,3,6−トリメチルフェノール408g(3.0モル)と1,4−ビス(2−ヒドロキシイソプロピル)ベンゼン29.1g(0.15モル)をフラスコに仕込み、これにメタノール55.3gを加えて溶解させた。この溶液に濃塩酸8.1gを加え、50℃にて24時間反応させた。
【0042】
反応終了後、得られた反応混合物に水酸化ナトリウム水溶液を加えて、中和し、水層を分液した後、有機層を減圧蒸留して、溶媒と未反応の2,3,6−トリメチルフェノールを留去した。この蒸留ボトムにトルエン160gを加えて溶解させた後、30℃まで冷却し、析出した結晶を濾取して、4,4’−〔1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)〕ビス(2,3,6−トリメチルフェノール)の粗結晶40.0gを得た。この粗結晶をトルエンから再結晶することによって、純度98.0%の白色結晶を得た。
【0043】
Figure 0003605208
【0044】
【表1】
Figure 0003605208
【0045】
実施例2
2,3,6−トリメチルフェノール408g(3.0モル)と1,3−ビス(2−ヒドロキシイソプロピル)ベンゼン29.1g(0.15モル)をフラスコに仕込み、これにメタノール55.3gを加えて溶解させた。この溶液に濃塩酸8.1gを加え、50℃にて17時間反応させた。
【0046】
反応終了後、得られた反応混合物に水酸化ナトリウム水溶液を加えて中和し、水層を分液した後、有機層を減圧蒸留して、溶媒と未反応の2,3,6−トリメチルフェノールを留去した。この蒸留ボトムにn−ヘプタン50gを加えて溶解させた後、30℃まで冷却して、析出した結晶を濾取して、4,4’−〔1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)〕ビス(2,3,6−トリメチルフェノール)の純度98.5%の白色結晶32.5gを得た。
【0047】
Figure 0003605208
【0048】
【表2】
Figure 0003605208

Claims (6)

  1. 一般式(I)
    Figure 0003605208
    (式中、Rは炭素原子数1〜3のアルキル基を示し、2個のイソプロピリデン基はフェニレン基に相互にメタ位又はパラ位で結合している。)
    で表わされるビスフェノール化合物。
  2. 4,4'−〔1,3 −フェニレンビス(1−メチルエチリデン)〕ビス(2,3,6−トリメチルフェノール)。
  3. 4,4'−〔1,4 −フェニレンビス(1−メチルエチリデン)〕ビス(2,3,6−トリメチルフェノール)。
  4. 酸性化合物の存在下、アルコール系溶媒中で、一般式(II)
    Figure 0003605208
    (式中、Rは炭素数1〜3のアルキル基を示す。)
    で表わされる3−メチル−2,6−ジアルキルフェノールと、一般式(III)
    Figure 0003605208
    (式中、2個のイソプロピリデン基はフェニレン基に相互にメタ位又はパラ位で結合している。)
    で表わされるビス(ヒドロキシイソプロピル)ベンゼンとを反応させて、一般式(I)
    Figure 0003605208
    (式中、Rは炭素原子数1〜3のアルキル基を示し、2個のイソプロピリデン基はフェニレン基に相互にメタ位又はパラ位で結合している。)
    で表わされるビスフェノール化合物を製造する方法において、反応終了後、上記ビスフェノール化合物を含む反応液中の酸性化合物を中和し、次いで、反応液からアルコール系溶媒と未反応の3−メチル−2,6−ジアルキルフェノールとを蒸留によって系外に留去し、その後、得られた濃縮物に芳香族系炭化水素、脂肪族炭化水素、脂肪族ケトン又はこれらの2種以上の混合溶媒を加えた後、加温して溶解させた後、冷却して、上記ビスフェノールを晶析させることを特徴とするビスフェノール化合物の製造方法。
  5. アルコール系溶媒がメタノールである請求項4に記載のビスフェノール化合物の製造方法。
  6. アルコール系溶媒中、3−メチル− 2, 6−ジアルキルフェノールとビス(ヒドロキシイソプロピル)ベンゼンとを温度40〜65℃にて反応させる請求項4又は5に記載のビスフェノール化合物の製造方法。
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