JP3604626B2 - 箔圧延機における箔形状の制御装置並びにかかる箔形状の制御方法 - Google Patents

箔圧延機における箔形状の制御装置並びにかかる箔形状の制御方法 Download PDF

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、箔圧延機における箔形状の制御装置並びにかかる箔形状の制御方法に係り、特に、箔圧延直後の箔圧延材の幅方向の形状に応じて、複数種類の形状制御用アクチュエータを操作することにより、箔圧延材の箔形状を制御する制御装置と、そのような箔圧延材の箔形状の制御をより高精度に行ない得る方法に関するものである。
【0002】
【背景技術】
良く知られているように、4段圧延機や6段圧延機等の圧延機を用いて、アルミニウムやアルミニウム合金の如き板状金属材料の圧延を行なう場合、得られる圧延板材において、その幅方向の両端部が波打つ耳波や、その中央部が波打つ中伸び等の形状不良が生じると、圧延板材の破断や品質低下等が惹起せしめられて、目的とする圧延板材の生産性が著しく低下せしめられることとなる。
【0003】
このため、従来の圧延機においては、一般に、圧下レベリング調整装置、ワークロールベンディング力調整装置、ワークロールベンディング差力調整装置、及びクラウン量可変ロール油圧調整装置等の形状制御用アクチュエータが設けられ、それら複数種類の形状制御用アクチュエータがそれぞれ操作されることによって、得られる圧延板材の板形状の目標形状への修正が図られている。
【0004】
ところで、かくの如き複数種類の形状制御用アクチュエータを備えた従来の圧延機を用いて、目標形状に対してより正確に対応した形状の圧延板材を得るための方法の一つとして、圧延機に、圧延直後の圧延板材の幅方向の形状を検出可能な形状検出装置を設け、かかる形状検出装置にて検出される検出値が目標値に一致するように、それら各形状制御用アクチュエータを操作することにより、圧延板材の板形状を制御するようにした手法が、従来から知られており、また、近年では、そのような手法を基にして、圧延板材の板形状制御を、更に一層高精度に行ない得るようにした制御方法や制御装置が、種々提案されてきている。
【0005】
例えば、特開平10−43806号公報には、複数種類の形状制御用アクチュエータを、応答時間の違いによって複数のグループに分類し、グループ分けされた形状制御用アクチュエータを、それぞれ、応答時間に応じた方法で制御することにより、各形状制御用アクチュエータ間における相互干渉の問題を解消し、以て制御性能の向上が図られ得るようにした制御装置が、明らかにされている。
【0006】
また、特開平11−123428号公報には、形状制御用アクチュエータ(形状制御機構)を、その操作時における製品欠陥の発生率の違いによって複数のグループに分類し、それら複数のグループのうち、製品欠陥の発生率の小さいグループに属する形状制御用アクチュエータから順に、その操作量を調整して、圧延板材の板形状の制御を行なう方法が、開示されている。
【0007】
さらに、特公平7−34930号公報には、形状検出装置における板形状の検出遅れの補償を行なうと共に、得られる圧延板材の形状不良の要因となる外乱を推定して、形状制御用アクチュエータの応答遅れの補償を行ないつつ、圧延板材の板形状の制御を行なう方法が、明らかにされている。
【0008】
ところが、前記4段圧延機や6段圧延機等の圧延機を用いて、アルミニウムの金属板材等から、圧延板材よりも極めて厚さの薄い箔圧延材を得る箔圧延を行なう際に、上述せる如き圧延板材の板形状の各種の制御方法や制御装置をそのまま利用しても、得られる箔圧延材の箔形状の制御を精度良く行なうことが困難であったのであり、それ故に、目標形状に一致した箔形状を有する箔圧延材を得ることが出来なかったのである。
【0009】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、箔圧延材の箔形状を高精度に制御することが出来、以て目標形状に一致した箔形状を有する箔圧延材の成形を可能ならしめる、箔圧延機における箔形状の制御装置を提供することにある。また、本発明にあっては、箔圧延材の箔形状の高性能制御を達成し得る手法を提供することも、別の技術的課題とするものである。
【0010】
【解決手段】
そして、本発明者は、上述の如き課題を解決するために、種々検討を重ねた結果、数μm〜数百μmの範囲の極めて厚さの薄い箔圧延材を得る箔圧延では、圧延材料として用いられる金属板材の板幅や板厚、材質等の、所謂圧延条件が異なると、形状制御用アクチュエータを同じ条件で操作しても、箔圧延材の形状変化特性に差異が生ずることが、判明したのであり、従って、このことから、圧延条件によって形状制御用アクチュエータの操作量を調整することが、箔圧延における箔形状制御をより高精度に行なう上で、極めて重要であることを見出したのである。
【0011】
すなわち、本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものであって、その要旨とするところは、圧下レベリング調整装置、ワークロールベンディング力調整装置、ワークロールベンディング差力調整装置、及びクラウン量可変ロール油圧調整装置の四つの形状制御用アクチュエータと、箔圧延直後の箔圧延材の幅方向の形状を検出する形状検出装置とを備えた箔圧延機における箔形状の制御装置であって、前記形状検出装置にて検出される前記箔圧延材の幅方向の形状の検出値に基づいて、該箔圧延材の箔形状不良を表現する複数の形状パラメータを演算する演算手段と、該演算手段にて算出された複数の形状パラメータの中から、前記箔圧延材の圧延条件に応じて、前記形状制御用アクチュエータで制御する形状パラメータを選択する選択手段と、該選択手段にて選択された形状パラメータを制御する形状制御用アクチュエータの操作量を演算すると共に、その算出された操作量で、該形状制御用アクチュエータを操作するアクチュエータ操作手段とを有し、かかるアクチュエータ操作手段にて、該形状制御用アクチュエータの操作することにより、前記箔圧延材の箔形状を制御するようにしたことを特徴とする、箔圧延機における箔形状の制御装置にある。
【0012】
要するに、かくの如き本発明に従う、箔圧延機における箔形状の制御装置にあっては、演算手段にて算出された、箔圧延材の形状不良を表現する複数の形状パラメータの中から、選択手段により、箔圧延材の圧延条件に応じて、形状制御用アクチュエータで制御する形状パラメータが選択されるようになっているところから、例えば、様々な圧延条件に応じた各形状制御用アクチュエータの単位操作量当たりにおける形状パラメータの変化量を、各形状パラメータ毎に予め測定しておき、その上で、箔圧延の実施時の圧延条件において、形状制御用アクチュエータの単位操作量当たりにおける変化量が大きく、箔形状の形状制御に大きな影響を及ぼす形状パラメータを選択したり、或いは様々な圧延条件に応じた各形状制御用アクチュエータの特性を予め把握しておき、その上で、箔圧延の実施時の圧延条件に応じて、特性が十分に発揮され得る形状制御用アクチュエータで有効に制御可能な形状パラメータを選択する等、実際に行なわれる箔圧延の圧延条件に応じて、各形状制御用アクチュエータで制御するのに最適な形状パラメータを、複数の形状パラメータの中から、選択手段にて選択することが出来、そして、そのようにして選択された形状パラメータを制御する形状制御用アクチュエータを、アクチュエータ操作手段により、該操作手段にて算出された操作量で操作することが可能となるのである。
【0013】
それ故、かかる本発明に従う、箔圧延機における箔形状の制御装置においては、圧延条件に応じて、箔圧延材の形状不良を修正するのに最適な形状制御用アクチュエータを最適な操作量で操作することが出来るのである。
【0014】
従って、かくの如き本発明に従う、箔圧延機における箔形状の制御装置にあっては、箔圧延材の箔形状をより高精度に制御することが出来、それによって、目標形状に一致した箔形状を有する箔圧延材の成形を、極めて効果的に実現せしめ得ることとなるのである。そして、その結果として、箔圧延材の破断や品質低下の発生を未然に防止して、目的とする箔圧延材の生産性の向上を極めて有利に達成することが可能となるのである。
【0015】
なお、このような本発明に従う箔圧延機における箔形状の制御装置の好ましい態様の一つによれば、前記箔圧延材に対して加えられる圧延荷重の変化による前記形状パラメータの変化を表現するモデルに基づいて、該箔圧延材の該圧延荷重変化による形状変化の補償量を演算し、その算出された補償量で、該箔圧延材の該圧延荷重変化による形状変化を補償する第一の補償手段が設けられ、かかる第一の補償手段にて、該箔圧延材の該圧延荷重変化による形状変化が補償されつつ、前記箔圧延材の箔形状が制御されるように構成される。
【0016】
このような構成を採用すれば、各種の圧延条件の違いだけでなく、圧延荷重の変化によって惹起される箔圧延材の箔形状不良が、極めて効果的に且つ適正に修正され得、以て、目標形状により正確に対応した箔圧延材の成形が可能となるのである。
【0017】
また、本発明に従う箔圧延機における箔形状の制御装置の有利な別の態様の一つによれば、前記形状制御用アクチュエータの操作による前記形状パラメータの変化を表現するモデルと、該形状制御用アクチュエータの動的特性を表現するモデルと、前記形状検出装置の前記箔形状の検出遅れ時間を表現するモデルとに基づいて、該形状制御用アクチュエータ同士の間における相互干渉と前記形状パラメータの検出遅れとを補償する第二の補償手段が更に設けられ、かかる第二の補償手段にて、該形状制御用アクチュエータ同士の間における相互干渉と該形状パラメータの検出遅れとが補償されつつ、前記箔圧延材の箔形状が制御されるように構成されることとなる。
【0018】
このような構成を有する、箔圧延機における箔形状の制御装置においては、選択された形状パラメータが、それを制御すべく操作される形状制御用アクチュエータのみによって制御されて、かかる形状パラメータの制御に対して、他の形状制御用アクチュエータの影響が及ぼされることが有利に解消され得ると共に、圧延機のワークロール直下での箔圧延材の形状不良、即ち、修正されるべき箔圧延材の形状不良が正確に把握され得るのであり、それによって、箔圧延材の箔形状が、より一層高精度に且つ安定的に制御され得ることとなるのである。
【0019】
さらに、本発明に従う箔圧延機における箔形状の制御装置の他の望ましい態様の一つによれば、前記四つの形状制御用アクチュエータの他に、クーラントを備えてなる箔圧延機における箔形状の制御装置に対して、該形状制御用アクチュエータにより箔形状が制御された前記箔圧延材に未だ残存する形状不良を修正するように、該クーラントの操作量を調整しつつ、該クーラントを操作するクーラント操作手段が、更に設けられることとなる。
【0020】
このような構成を採用すれば、例えば、四つの形状制御用アクチュエータでは修正の困難な、箔圧延材の局所的な形状不良(形状パラメータの高次成分にて表現される形状不良)等が、クーラントによって安定的に且つ的確に修正され得るのであり、それによって、目標形状に対して、更に一層正確に対応した箔形状を有する箔圧延材の成形が、より確実に実現され得るのである。
【0021】
そして、本発明にあっては、前述せる如き別の技術的課題を解決するために、圧下レベリング調整装置、ワークロールベンディング力調整装置、ワークロールベンディング差力調整装置、及びクラウン量可変ロール油圧調整装置の四つの形状制御用アクチュエータを備えた箔圧延機における箔形状の制御方法にして、箔圧延直後の箔圧延材の幅方向の形状を検出し、その検出値に基づいて、該箔圧延材の箔形状不良を表現する複数の形状パラメータを演算した後、それら算出された複数の形状パラメータの中から、前記箔圧延材の圧延条件に応じて、前記形状制御用アクチュエータで制御する形状パラメータを選択し、その後、該選択された形状パラメータを制御する形状制御用アクチュエータを操作することにより、前記箔圧延材の箔形状の制御を行なうようにしたことを特徴とする箔圧延機における箔形状の制御方法をも、その要旨とするものである。
【0022】
要するに、この本発明手法は、圧延条件に応じて、制御すべき形状パラメータを選択し、そして、その形状パラメータを形状制御用アクチュエータで制御するようにしたものであるところから、圧延条件に応じた形状パラメータの最適制御が可能となる。
【0023】
従って、そのような本発明に従う、箔圧延機における箔形状の制御方法によれば、箔圧延材の箔形状の高性能制御が達成され得、それによって、目標形状に一致した形状を有する箔圧延材を、優れた生産性と高い安定性とをもって確実に得ることが出来るのである。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的に明らかにするために、本発明に係る、箔圧延機における箔形状の制御装置と、かかる箔形状の制御方法の具体的な構成について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0025】
先ず、図1には、本発明に従う構造を有する箔形状の制御装置の一例としてのアルミ箔形状の制御装置と、それが設置されるアルミ箔圧延機とが、それぞれモデル的に示されている。かかる図1からも明らかなように、本実施形態の制御装置10が設置されるアルミ箔圧延機12は、一般的な4段圧延機からなり、上下方向に所定の間隔をおいて位置せしめられた一対のワークロール14a,14bと、それらを上下に挟んで位置せしめられた一対のバックアップロール16a,16bとを有して、構成されている。なお、ここでは、一対のバックアップロール16a,16bのうち、下側に位置するバックアップロール16bが、公知のクラウン量可変機構を内蔵したクラウン量可変ロール(以下、VCロールという)にて構成されている。
【0026】
また、かかるアルミ箔圧延機12には、ワークロールベンディング力調整装置18とワークロールベンディング差力調整装置20とクラウン量可変ロール油圧調整装置22(以下、VCロール油圧調整装置22という)と圧下レベリング調整装置24とクーラント26の五つの形状制御用アクチュエータが設けられている。これら五つの形状制御用アクチュエータは、何れも、従来より公知の構造を有しており、それらのアクチュエータがそれぞれ操作されることによって、箔圧延材たるアルミ箔28の箔形状が種々変化せしめられるようになっている。
【0027】
さらに、アルミ箔圧延機12の出側には、アルミ箔28の幅方向の形状を検出する形状検出装置30が設けられている。この形状検出装置30も、従来より公知の構造を有するもので、外周面に複数のロードセル(図示せず)が設けられてなるロール形態を呈しており、かかるロールの外周面に、圧延されたアルミ箔28が接触せしめられて、該アルミ箔28の幅方向の複数箇所における張力が各ロードセルにて測定されることにより、アルミ箔28の幅方向の張力分布が検出され、それに基づいて、圧延直後のアルミ箔28の幅方向の箔形状が検出され得るように構成されている。
【0028】
更にまた、このようなアルミ箔圧延機12においては、ロードセル等にて構成された荷重検出装置32も設けられており、箔圧延時においてアルミ箔28に加えられる圧延荷重の変化量が、かかる荷重検出装置32にて検出されるようになっている。なお、図1中、36は、圧延されたアルミ箔28を巻き取るための巻取り機である。
【0029】
一方、制御装置10は、演算手段としての演算部38と選択手段としての選択部40とを有している。そして、この演算部38に対して、前記形状検出装置30にて検出されたアルミ箔28の幅方向の形状と該アルミ箔28の目標形状との偏差が入力されて、かかる演算部38により、そのような偏差に基づいて、圧延されたアルミ箔28の形状不良を表現する複数の形状パラメータが、演算されるようになっている。
【0030】
また、選択部40には、演算部38にて算出された複数の形状パラメータと、アルミ箔28を与えるアルミ板材34の板厚や板幅、材質等、アルミ箔28を圧延する際の圧延条件とが入力されるようになっている。そして、この選択部40において、入力された複数の形状パラメータの中から、上述の如き圧延条件に応じて、前記クーラント26を除いた四つの形状制御用アクチュエータ18,20,22,24で制御する形状パラメータが、それぞれ選択されるように構成されている。
【0031】
さらに、かかる制御装置10は、アクチュエータ操作手段としての第一及び第二操作部42,44と、クーラント操作手段としての第三操作部46とを有している。それら三つの操作部のうち、第一操作部42には、前記圧下レベリング調整装置24で制御せしめるべく選択部40にて選択された形状パラメータと前記ワークロールベンディング差力調整装置20で制御させるべく選択部40にて選択された形状パラメータとが、それぞれ、選択部40から入力されるようになっている。なお、選択部40では、第一操作部42に入力される形状パラメータとして、アルミ箔圧延機12の左右において非対称的な調整が行なわれる圧下レベリング調整装置24とワークロールベンディング差力調整装置20にて有効に制御される、形状近似次数が奇数次の成分のうちの何れかが、選択されるようになっている。
【0032】
そして、この第一操作部42において、それに入力される二つの形状パラメータをそれぞれ制御する圧下レベリング調整装置24の操作量とワークロールベンディング差力調整装置20の操作量とが演算され、その算出された操作量で、それら二つの形状制御用アクチュエータ24,20が、各々操作されるように構成されているのである。
【0033】
また、第二操作部44には、前記ワークロールベンディング力調整装置18で制御せしめるべく選択部40にて選択された形状パラメータと前記VCロール油圧調整装置22で制御させるべく選択部40にて選択された形状パラメータとが、それぞれ、選択部40から入力されるようになっている。なお、この第二操作部44に入力される形状パラメータとしては、アルミ箔圧延機12の左右において対称的な調整が行なわれるワークロールベンディング力調整装置18とVCロール油圧調整装置22にて有効に制御可能な、形状近似次数が偶数次の成分が、選択部40にて選択されるようになっている。
【0034】
そして、そのような第二操作部44において、それに入力される二つの形状パラメータをそれぞれ制御するワークロールベンディング力調整装置18の操作量とVCロール油圧調整装置22の操作量とが演算され、その算出された操作量で、それら二つの形状制御用アクチュエータ18,22が、各々操作されるようになっているのである。
【0035】
さらに、第三操作部46には、クーラント26を除く四つの形状制御用アクチュエータ18〜24にて形状不良が修正されて、箔形状が制御されたアルミ箔28の、前記形状検出装置30にて検出される幅方向の形状と目標形状との偏差が入力されるようになっている。そして、この第三操作部46において、それに入力される形状偏差を無くすように、換言すれば、前記四つの形状制御用アクチュエータ18〜24にて箔形状が制御されたアルミ箔28に未だ残存する形状不良を修正するように、クーラント26の操作量、つまり、クーラント26の図示しないノズルからの冷却液の噴射位置や噴射量等が調整されて、クーラント26が操作されるようになっているのである。
【0036】
更にまた、このような制御装置10には、第一の補償手段としての第一補償部48が設けられている。この第一補償部48にあっては、前記荷重検出装置32にて検出される、アルミ箔28に対する圧延荷重の変化量が入力されるようになっており、この入力される圧延荷重の変化量と、かかる圧延荷重の変化による形状パラメータの変化を表現するモデルに基づいて、該圧延荷重変化に対する補償量が演算され、その算出された補償量で、圧延荷重変化に由来するアルミ箔28の形状変化が補償されるようになっている。
【0037】
また、制御装置10においては、クーラント26を除いた四つの形状制御用アクチュエータ18〜24を操作する第一及び第二操作部42,44が、それら四つの形状制御用アクチュエータ18〜24の操作に際して、各形状制御用アクチュエータ18〜24で制御される形状パラメータの変化を表現するモデルと、各形状制御用アクチュエータ18〜24の動的特性を表現するモデルと、形状検出装置30によるアルミ箔28の箔形状の検出の遅れ時間を表現するモデルとに基づいて、形状制御用アクチュエータ18〜24同士の間における相互干渉と、各形状パラメータの検出遅れの補償とを、公知の手法により行ない得るようになっている。つまり、ここでは、第一及び第二操作部42,44が、形状制御用アクチュエータ18〜24同士の間における相互干渉と、各形状パラメータの検出遅れとを補償する第二の補償手段としての機能も兼備して、構成されているのである。
【0038】
ところで、かくの如き構造とされた制御装置10によって、アルミ箔圧延機12にて圧延されるアルミ箔28の箔形状の制御を行なう際には、例えば、以下の如き手順にて、その操作が進められることとなる。
【0039】
すなわち、先ず、形状検出装置30にて、箔圧延直後のアルミ箔28の幅方向の形状を検出する一方で、検出される該アルミ箔28の幅方向の形状に基づいて、演算部38で、圧延されるアルミ箔28の箔形状不良を表現する複数の形状パラメータを算出する。
【0040】
具体的には、例えば、形状検出装置30で検出されるアルミ箔28の幅方向の形状と該アルミ箔28の目標形状との偏差に基づいて、特公平7−34930号公報に記載される、圧延板材の板形状不良を表現する形状パラメータの算出方法と同様な方法によって、下式(1)にて示される如き形状パラメータ:ΔΛsiを演算する。そして、そのような形状パラメータ:ΔΛsiとして、例えば、ワークロールベンディング力調整装置18、ワークロールベンディング差力調整装置20、圧下レベリング調整装置22、及びVCロール油圧調整装置24の四つの形状制御用アクチュエータで容易に制御可能である形状偏差の近似次数が1〜8次の8個の形状パラメータ:ΔΛs1〜ΔΛs8を得るのである。なお、このような形状パラメータ:ΔΛsiの算出方法は、上記した例示のものに限定されるものではなく、例えば、上述の如き形状偏差を用いることなく、形状検出装置30にて検出されるアルミ箔28の幅方向形状から、直接に形状パラメータを導出しても良い。
【0041】
【数1】
Figure 0003604626
〔但し、i:検出された形状偏差の近似次数
w:アルミ箔の幅
x:幅方向位置
t:時刻
τ:形状検出装置の検出遅れ
f(x,t−τ):形状検出装置の配設位置での幅方向箔形状分布の目標値からの偏差
(x):任意の互いに異なる関数〕
【0042】
次いで、演算部38で算出された8個の形状パラメータ:ΔΛs1〜ΔΛs8の中から、アルミ箔28を箔圧延する際の圧延条件、例えば、アルミ箔28を与えるアルミ板材34の板厚や板幅、材質等に応じて、ワークロールベンディング力調整装置18、ワークロールベンディング差力調整装置20、圧下レベリング調整装置22、及びVCロール油圧調整装置24の四つの形状制御用アクチュエータで制御するのに最適な形状パラメータを、選択部40において、各形状制御用アクチュエータ18〜24毎に、それぞれ一つずつ選択する。
【0043】
ここでの形状パラメータの選択方法も、特に限定されるものではなく、例えば、様々な圧延条件に応じた、前記四つの形状制御用アクチュエータ18〜24のそれぞれのものの単位操作量当たりにおける各形状パラメータ:ΔΛs1〜ΔΛs8の変化量を、種々の実験や試験等により、各形状パラメータ:ΔΛs1〜ΔΛs8毎に予め測定しておき、その上で、実際に行なわれるアルミ箔28の箔圧延の圧延条件において、形状制御用アクチュエータ18〜24の単位操作量当たりにおける変化量が大きく、アルミ箔28の箔形状の制御に大きな影響を及ぼす形状パラメータ:ΔΛs1〜ΔΛs8を、各形状制御用アクチュエータ18〜24毎に選択する方法や、或いは様々な圧延条件に応じた各形状制御用アクチュエータ18〜24の特性を予め把握しておき、その上で、アルミ箔圧延の実施時の圧延条件に応じて、特性が十分に発揮され得る形状制御用アクチュエータ18〜24で有効に制御可能な形状パラメータ:ΔΛs1〜ΔΛs8を、各形状制御用アクチュエータ18〜24毎に選択する方法等が、適宜に採用されることとなる。
【0044】
なお、前述の如く、圧下レベリング調整装置24とワークロールベンディング差力調整装置20は、アルミ箔圧延機12の左右において非対称的な調整が行なわれるようになっているため、それらの形状制御用アクチュエータ24,20で制御するのに最適な形状パラメータとしては、8個の形状パラメータ:ΔΛs1〜ΔΛs8の中から、特に形状偏差の近似次数が奇数次の成分:ΔΛs1,ΔΛs3,ΔΛs5,ΔΛs7のうちの何れかが選択される。また、ワークロールベンディング力調整装置18とVCロール油圧調整装置22は、アルミ箔圧延機12の左右において対称的な調整が行なわれるようになっているため、それらの形状制御用アクチュエータ18,22で制御するのに最適な形状パラメータとしては、8個の形状パラメータ:ΔΛs1〜ΔΛs8の中から、特に形状偏差の近似次数が偶数次の成分:ΔΛs2,ΔΛs4,ΔΛs6,ΔΛs8のうちの何れかが選択されることとなる。
【0045】
次に、選択部40にて選択された形状パラメータを制御する形状制御用アクチュエータ18〜24を、第一及び第二操作部42,44により、そこで算出された操作量に基づいて、それぞれ操作し、またその際に、アルミ箔28の圧延荷重変化による形状変化の補償と、形状制御用アクチュエータ18〜24同士の間における相互干渉に対する補償と、形状パラメータの検出遅れに対する補償とを行なうのである。つまり、それらの補償を行ないつつ、第一及び第二操作部42,44にて、各形状制御用アクチュエータ18〜24を操作するのであるが、これは、アルミ箔圧延機12におけるアルミ箔28の箔形状変化を表す入出力関係のモデル式に基づいて、それぞれ、実行されることとなる。
【0046】
以下、前記した複数種類の補償を行ないながら、第一及び第二操作部42,44によって各形状制御用アクチュエータ18〜24を操作する方法について説明するが、ここでは、ワークロールベンディング力調整装置18で制御する形状パラメータとして、形状偏差の近似次数が4次の形状パラメータ:ΔΛs4(形状パラメータの4次成分:ΔΛs4)が選択され、また、VCロール油圧調整装置22で制御する形状パラメータとして、形状偏差の近似次数が2次の形状パラメータ:ΔΛs2(形状パラメータの2次成分:ΔΛs2)が選択された場合を例示して、詳述することとする。
【0047】
すなわち、形状パラメータの2次成分と4次成分とを選択し、これらを制御する場合、アルミ箔圧延機12におけるアルミ箔28の形状変化を表す入出力関係を示すモデル式は、下式(2)〜(5)のように表される。
【0048】
【数2】
Figure 0003604626
【数3】
Figure 0003604626
【数4】
Figure 0003604626
【数5】
Figure 0003604626
〔但し、ΔP:VCロール圧力変化
ΔP:ベンディング力変化
:VCロール油圧調整装置を一次遅れ系で近似したときの時定数
:ベンディング力調整装置を一次遅れ系で近似したときの時定数
Δu:VCロール圧力の変更指令
Δu:ベンディング力の変更指令
ΔΛ:アルミ箔圧延機直下での形状パラメータの2次成分の変化量
ΔΛ:アルミ箔圧延機直下での形状パラメータの4次成分の変化量
ij:VCロール油圧調整装置とベンディング力調整装置の操作時における形状パラメータの変化を表す係数
pi:圧延荷重の変化時における形状パラメータの変化を表す係数
ΔP:圧延荷重の変化量
L:形状検出装置の検出遅れ(むだ)時間を表す係数
ΔΛs2:形状検出装置の検出値に基づいて算出される形状パラメータの2次成分の変化量
ΔΛs4: 形状検出装置の検出値に基づいて算出される形状パラメータの4次成分の変化量
s:ラプラス演算子〕
【0049】
なお、上記四つのモデル式〔式(2)〜(5)〕では、式(2)にて、ワークロールベンディング力調整装置18とVCロール油圧調整装置22の動的特性を表現するモデル式が示されていると共に、式(3)の第1項にて、それら二つの形状制御用アクチュエータ18,22の操作による各形状パラメータの変化を表現するモデル式が、また式(3)の第2項にて、アルミ箔28に加えられる圧延荷重の変化による各形状パラメータの変化を表現するモデル式が、それぞれ示されている。更に、式(4)及び式(5)では、形状検出装置でのアルミ箔28の箔形状の検出遅れ(むだ)時間を表現するモデル式が示されている。また、式(3)から明らかなように、このモデル式においては、アルミ箔圧延機12の直下での形状パラメータの2次成分と4次成分の変化(ΔΛとΔΛ)が、VCロール油圧調整装置22の操作とワークロールベンディング力調整装置18の操作の影響が、互いに干渉する系となっている。
【0050】
ここで、VCロール油圧調整装置22とワークロールベンディング力調整装置18の応答速度が十分に速いところから、式(2)のモデル式にて示された、それら二つの形状制御用アクチュエータ18,22の動的特性を無視しても、実用上、何等の問題も生じない。そのため、式(3)を、下式(6)のように近似することが出来る。
【数6】
Figure 0003604626
【0051】
従って、上記した式(6)を用いて、VCロール油圧調整装置22とワークロールベンディング力調整装置18の操作量を、下式(7)により求めるのである。このような演算は、VCロール油圧調整装置22とワークロールベンディング力調整装置18を操作する第二操作部44にて、行なわれることとなる。
【数7】
Figure 0003604626
〔但し、[x]−1:[x]の逆行列
Δu’:VCロール圧力の新たな制御指令
Δu’:ベンディング力の新たな制御指令〕
【0052】
そして、ここでは、上記した式(6)、式(7)、及び式(3)から下式(8)のような関係が得られ、これによって、VCロール油圧調整装置22とワークロールベンディング力調整装置18の操作に際して、それらの間における静的な非干渉化が達成される。換言すれば、かくして、VCロール油圧調整装置22とワークロールベンディング力調整装置18の間における相互干渉が補償されることとなるのである。
【数8】
Figure 0003604626
【0053】
また、圧延荷重に変動が生じている場合、つまりΔP≠0である場合には、圧延荷重の変化による形状パラメータの2次成分と4次成分の変化量(ΔΛとΔΛ)を、上記式(8)において0と為せば良い。従って、圧延荷重の変化による形状変化の補償量を、次式(9)により求めるのである。なお、この演算は、第一補償部48にて行なわれる。また、次式(9)において、Kpiは、前記せる如く、圧延荷重の変化時における形状パラメータの変化を表す係数であるが、この係数は、圧延条件等により、計算或いは実験的に導出され得るものである。
【数9】
Figure 0003604626
【0054】
一方、形状パラメータの検出遅れの補償は、例えば、良く知られているスミス法等のむだ時間補償のための制御方法を用いて制御系を設計することによって、比較的に容易に実現されることとなる。
【0055】
かくして、上記式(9)にて求められる補償量で、アルミ箔28の圧延荷重変化による箔形状変化を補償しつつ、前記式(7)にて求められる操作量で、VCロール油圧調整装置22とワークロールベンディング力調整装置18を操作することによって、それら二つの形状制御用アクチュエータ18,22同士の間における相互干渉と形状パラメータの検出遅れをも考慮した上で、選択部40にて選択された二つの形状パラメータを、VCロール油圧調整装置22とワークロールベンディング力調整装置18によって制御して、アルミ箔28の箔形状不良を修正し、以てアルミ箔28の箔形状を、目標形状に一致するように制御するのである。
【0056】
そして、そのようにして、前記二つの形状制御用アクチュエータ18,22にて箔形状が制御されたアルミ箔28において、例えば、局所的な形状不良等が未だ残存する場合等にあっては、それら二つの形状制御用アクチュエータ18,22による箔形状の制御後に、残存する形状偏差に応じて、第三操作部46により、クーラント26の操作量、つまり、クーラント26の図示しないノズルからの冷却液の噴射位置や噴射量等を調整しつつ、クーラント26を操作して、アルミ箔28の箔形状の制御を更に実施するのである。
【0057】
このように、本実施形態にあっては、アルミ箔28の圧延条件に応じて、クーラント26を除いた四つの形状制御用アクチュエータ18〜24で制御するのに最適な形状パラメータが、選択部40において、各形状制御用アクチュエータ18〜24毎にそれぞれ一つずつ選択され、そして、各形状制御用アクチュエータ18〜24が、第一及び第二操作部42,44にて、圧延条件に応じた操作量で操作されることにより、選択された各形状パラメータが、それら各形状制御用アクチュエータ18〜24にて制御されて、アルミ箔28の箔形状が目標形状となるように制御されるようになっているところから、アルミ箔28の箔形状を制御するのに最適な形状制御用アクチュエータを最適な操作量で操作することが可能となっているのである。
【0058】
従って、このような本実施形態によれば、アルミ箔28の箔形状がより高精度に制御され得、その結果として、目標形状に一致した箔形状を有するアルミ箔28が、極めて安定的に且つ確実に得られることとなるのである。
【0059】
また、本実施形態においては、前記四つの形状制御用アクチュエータ18〜24を操作する際に、アルミ箔28の圧延荷重変化による形状変化の補償と、形状制御用アクチュエータ18〜24同士の間における相互干渉に対する補償と、形状パラメータの検出遅れに対する補償が行なわれるようになっているところから、アルミ箔28の箔形状の制御精度が、様々な外乱等によって低下せしめられるようなことが効果的に防止され得て、かかるアルミ箔28の箔形状が、更に一層高精度に制御され得るのである。
【0060】
さらに、本実施形態にあっては、第三操作部46により調整された操作量でクーラント26が操作されて、前記四つの形状制御用アクチュエータ18〜24にて箔形状が制御されたアルミ箔28の箔形状が更に制御され得るようになっているところから、それら四つの形状制御用アクチュエータ18〜24では修正が困難な局所的な形状不良等が有利に修正され得、それによって、目標形状に対してより一層正確に対応した箔形状を有するアルミ箔28を得ることが可能となるのである。
【0061】
ところで、前記実施形態では、本発明を四段圧延機からなるアルミ箔圧延機の制御装置に対して適用したものの例を示したが、本発明は、その他、アルミ箔以外の金属箔を圧延する、四段圧延機以外のものも含む各種の箔圧延機における制御装置の何れに対しても、有利に適用され得るものであることは、勿論である。
【0062】
因みに、かかる本発明に従う箔圧延機における箔形状の制御方式の効果を確認するために、本発明者が行なった実験について、以下に示す。なお、この実験では、特に、制御装置にてVCロール油圧調整装置とワークロールベンディング力調整装置を操作することによって得られる箔形状の制御効果について、調べた。
【0063】
先ず、図1に示される如き構造を有する制御装置10を備えたアルミ箔圧延機12を準備した。次いで、広幅のアルミ板材を用いる圧延条件(1)と、狭幅のアルミ板材を用いる圧延条件(2)とにて、平坦な形状を目標形状とする箔圧延を行なうのに先だって、VCロール油圧調整装置22とワークロールベンディング力調整装置18で制御するのに最適な形状パラメータを選択するために、それら圧延条件(1)と圧延条件(2)で箔圧延を行なった際におけるVCロール油圧調整装置22とワークロールベンディング力調整装置18のそれぞれの単位操作量当たりの形状パラメータの変化量を、該形状パラメータの形状近似次数毎に、それぞれ、実験的に求めた。圧延条件(1)で箔圧延を行なった際の結果を図2と図3に、また、圧延条件(2)で箔圧延を行なった際の結果を図4と図5に、それぞれ示した。
【0064】
そして、それら図2と図3の結果から、ワークロールベンディング力調整装置18の単位操作量当たりの形状パラメータの変化量が最も大きくなっている4次成分の形状パラメータを、圧延条件(1)にて箔圧延を行なう際に、ワークロールベンディング力調整装置18にて制御すべき形状成分として、決定し、また、VCロール油圧調整装置22の単位操作量当たりの形状パラメータの変化量が最も大きくなっている2次成分の形状パラメータを、圧延条件(1)にて箔圧延を行なう際に、VCロール油圧調整装置22で制御すべき形状成分として、決定した。一方、図4と図5の結果から、ワークロールベンディング力調整装置18の単位操作量当たりの形状パラメータの変化量が最も大きくなっている8次成分の形状パラメータを、圧延条件(2)にて箔圧延を行なう際に、ワークロールベンディング力調整装置18にて制御すべき形状成分として、決定し、また、VCロール油圧調整装置22の単位操作量当たりの形状パラメータの変化量が最も大きくなっている2次成分の形状パラメータを、圧延条件(2)にて箔圧延を行なう際に、VCロール油圧調整装置22で制御すべき形状成分として、決定した。
【0065】
その後、前記圧延条件(1)にて、アルミ板材に対する箔圧延を実際に行なうと共に、この箔圧延の実施に際して、箔圧延直後のアルミ箔の幅方向の形状を検出し、その検出値と、目標とする平坦形状との偏差に基づいて、アルミ箔の箔形状不良を表現する複数の形状パラメータを演算した後、それら算出された複数の形状パラメータの中から、VCロール油圧調整装置22とワークロールベンディング力調整装置18とでそれぞれ制御する形状パラメータとして、その2次成分と4次成分とを選択し、そしてその後、第二操作部44にて算出された操作量にて、VCロール油圧調整装置22とワークロールベンディング力調整装置18とを操作した。これによって、2次成分と4次成分の形状パラメータを制御しつつ、目的とする平坦な形状のアルミ箔を得た。その際におけるアルミ箔の箔形状の目標形状との偏差の経時的変化を図6に示した。
【0066】
また、それとは別に、前記圧延条件(2)にて、アルミ板材に対する箔圧延を実際に行なうと共に、この箔圧延の実施に際して、箔圧延直後のアルミ箔の幅方向の形状を検出し、その検出値と、目標とする平坦形状との偏差に基づいて、アルミ箔の箔形状不良を表現する複数の形状パラメータを演算した後、それら算出された複数の形状パラメータの中から、VCロール油圧調整装置22とワークロールベンディング力調整装置18とでそれぞれ制御する形状パラメータとして、その2次成分と8次成分とを選択し、そしてその後、第二操作部44にて算出された操作量にて、VCロール油圧調整装置22とワークロールベンディング力調整装置18とを操作した。これによって、2次成分と8次成分の形状パラメータを制御しつつ、目的とする平坦な形状のアルミ箔を得た。その際におけるアルミ箔の箔形状の目標形状との偏差の経時的変化を図7に示した。
【0067】
図6及び図7の結果からも明らかなように、目的とするアルミ箔を与えるアルミ板材の幅が互いに異ならしめられた圧延条件(1)と圧延条件(2)の何れにおいても、VCロール油圧調整装置22とワークロールベンディング力調整装置18とで制御するのに最適な形状パラメータを選択して、制御することにより、箔形状不良が、数秒で、速やかに修正され得、それによって、目標形状を有するアルミ箔が、極めて有利に且つ確実に得られることが、明確に認識されるのである。
【0068】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明に従う箔圧延機における箔形状の制御装置にあっては、箔圧延材の箔形状をより高精度に制御することが出来、それによって、目標形状に一致した箔形状を有する箔圧延材の成形を、極めて効果的に実現せしめ得るのである。そして、その結果として、箔圧延材の破断や品質低下の発生を未然に防止して、目的とする箔圧延材の生産性の向上及び安定化を極めて有利に達成することが可能となるのである。
【0069】
また、本発明に従う箔圧延機における箔形状の制御方法によれば、箔圧延材の箔形状の高性能制御が達成され得、それによって、目標形状に一致した形状を有する箔圧延材を、優れた生産性と高い安定性とをもって確実に得ることが出来るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う構造を有する、箔圧延機における箔形状の制御装置とそれが設置される箔圧延機の構成をそれぞれモデル的に示す、一部ブロック図を含む概略説明図である。
【図2】図1に示された制御装置を有する箔圧延機により、広幅のアルミ板材を用いる圧延条件で箔圧延を行なった際におけるワークロールベンディング力調整装置の単位操作量当たりの形状パラメータの変化量を、該形状パラメータの形状近似次数毎に求めた結果を示すグラフである。
【図3】図1に示された制御装置を有する箔圧延機により、広幅のアルミ板材を用いる圧延条件で箔圧延を行なった際におけるVCロール油圧調整装置の単位操作量当たりの形状パラメータの変化量を、該形状パラメータの形状近似次数毎に求めた結果を示すグラフである。
【図4】図1に示された制御装置を有する箔圧延機により、狭幅のアルミ板材を用いる圧延条件で箔圧延を行なった際におけるワークロールベンディング力調整装置の単位操作量当たりの形状パラメータの変化量を、該形状パラメータの形状近似次数毎に求めた結果を示すグラフである。
【図5】図1に示された制御装置を有する箔圧延機により、狭幅のアルミ板材を用いる圧延条件で箔圧延を行なった際におけるVCロール油圧調整装置の単位操作量当たりの形状パラメータの変化量を、該形状パラメータの形状近似次数毎に求めた結果を示すグラフである。
【図6】図1に示された制御装置を有する箔圧延機により、広幅のアルミ板材を用いる圧延条件で箔圧延を行なって得られたアルミ箔の箔形状の目標形状との偏差の経時的変化を示す説明図である。
【図7】図1に示された制御装置を有する箔圧延機により、狭幅のアルミ板材を用いる圧延条件で箔圧延を行なって得られたアルミ箔の箔形状の目標形状との偏差の経時的変化を示す説明図である。
【符号の説明】
10 制御装置 12 アルミ箔圧延機
14 ワークロール 16 バックアップロール
18 ワークロールベンディング力調整装置
20 ワークロールベンディング差力調整装置
22 VCロール油圧調整装置 24 圧下レベリング調整装置
26 クーラント 28 アルミ箔
30 形状検出装置 32 荷重検出装置
38 演算部 40 選択部
42 第一操作部 44 第二操作部
46 第三操作部 48 第一補償部

Claims (5)

  1. 圧下レベリング調整装置、ワークロールベンディング力調整装置、ワークロールベンディング差力調整装置、及びクラウン量可変ロール油圧調整装置の四つの形状制御用アクチュエータと、箔圧延直後の箔圧延材の幅方向の形状を検出する形状検出装置とを備えた箔圧延機における箔形状の制御装置であって、
    前記形状検出装置にて検出される前記箔圧延材の幅方向の形状の検出値に基づいて、該箔圧延材の箔形状不良を表現する複数の形状パラメータを演算する演算手段と、該演算手段にて算出された複数の形状パラメータの中から、前記箔圧延材の圧延条件に応じて、前記形状制御用アクチュエータで制御する形状パラメータを選択する選択手段と、該選択手段にて選択された形状パラメータを制御する形状制御用アクチュエータの操作量を演算すると共に、その算出された操作量で、該形状制御用アクチュエータを操作するアクチュエータ操作手段とを有し、かかるアクチュエータ操作手段にて、該形状制御用アクチュエータを操作することにより、前記箔圧延材の箔形状を制御するようにしたことを特徴とする、箔圧延機における箔形状の制御装置。
  2. 前記箔圧延材に対して加えられる圧延荷重の変化による前記形状パラメータの変化を表現するモデルに基づいて、該箔圧延材の該圧延荷重変化による形状変化の補償量を演算すると共に、その算出された補償量で、該箔圧延材の該圧延荷重変化による形状変化を補償する第一の補償手段を有し、かかる第一の補償手段にて、該箔圧延材の該圧延荷重変化による形状変化を補償しつつ、前記箔圧延材の箔形状を制御するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の箔圧延機における箔形状の制御装置。
  3. 前記形状制御用アクチュエータの操作による前記形状パラメータの変化を表現するモデルと、該形状制御用アクチュエータの動的特性を表現するモデルと、前記形状検出装置の前記箔形状の検出遅れ時間を表現するモデルとに基づいて、該形状制御用アクチュエータ同士の間における相互干渉と前記形状パラメータの検出遅れとを補償する第二の補償手段を更に有し、かかる第二の補償手段にて、該形状制御用アクチュエータ同士の間における相互干渉と該形状パラメータの検出遅れとを補償しつつ、前記箔圧延材の箔形状を制御するようにしたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の箔圧延機における箔形状の制御装置。
  4. 前記四つの形状制御用アクチュエータの他に、クーラントを備えてなる箔圧延機における箔形状の制御装置であって、該形状制御用アクチュエータにより箔形状が制御された前記箔圧延材に未だ残存する形状不良を修正するように、該クーラントの操作量を調整しつつ、該クーラントを操作するクーラント操作手段を更に有していることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の箔圧延機における箔形状の制御装置。
  5. 圧下レベリング調整装置、ワークロールベンディング力調整装置、ワークロールベンディング差力調整装置、及びクラウン量可変ロール油圧調整装置の四つの形状制御用アクチュエータを備えた箔圧延機における箔形状の制御方法にして、
    箔圧延直後の箔圧延材の幅方向の形状を検出し、その検出値に基づいて、該箔圧延材の箔形状不良を表現する複数の形状パラメータを演算した後、それら算出された複数の形状パラメータの中から、前記箔圧延材の圧延条件に応じて、前記形状制御用アクチュエータで制御する形状パラメータを選択し、その後、該選択された形状パラメータを制御する形状制御用アクチュエータを操作することにより、前記箔圧延材の箔形状の制御を行なうようにしたことを特徴とする、箔圧延機における箔形状の制御方法。
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