JP5691792B2 - 金属板の圧延方法及び圧延機 - Google Patents

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Description

本発明は、金属板の圧延方法、圧延機及びこれによって製造された金属板に関する。
金属板材の圧延作業においては、大きな圧延荷重により作業ロールに撓み等の弾性変形が生じ、この結果、圧延された板材に幅方向の板厚差が生じてしまう。このような板厚差は板クラウンと呼ばれる。一般的に、圧延された板材は、幅方向中央部が厚く、幅方向縁部に向かって薄くなる傾向にある。この中央部における板厚と縁部から所定の距離に設けられたクラウン定義点における板厚との差を板クラウンと呼んでいる。
また、圧延パス入側と圧延パス出側との間で板厚に対する板クラウンの比(以下、「クラウン比率」という)が変化すると、板材の幅方向中央部と幅方向縁部との間で材料の延伸量に差が生じ、その結果、形状(平坦度)が乱れる場合がある。斯かる形状の乱れとしては、主に、板材の幅方向中央部の伸びが幅方向縁部の伸びよりも大きい場合に生じる中伸びと、板材の幅方向縁部の伸びが幅方向中央部の伸びよりも大きい場合に生じる耳伸びとが挙げられる。
金属板材の圧延作業においては、圧延板の板クラウン及び形状が重要な品質指標となっており、板クラウン・形状制御に関する技術が数多く開示されている。
例えば、特許文献1には、入側板クラウン、目標板厚及び目標出側板クラウン等に基づいて算出される出側平坦度の予想値が許容範囲内に収まるような板クラウンを目標板クラウンとして求め、出側板クラウンがこの目標板クラウンとなるように形状制御アクチュエータの設定条件を、例えば作業ロールベンディング装置のベンディング力を制御する圧延方法が開示されている。
特許文献2には、圧延機出側の平坦度を実際に測定すると共に、測定される出側平坦度が高くなるように(すなわち、圧延された板材が平坦になるように)、作業ロールベンディング装置のベンディング力を制御する圧延方法が開示されている。
特許文献3には、ロードセルによって検出された圧延荷重に基づいてメカニカル板クラウンが一定になるように圧延機のロールベンディング力を制御すること、及び圧延機の出側に設けられた形状計による実測値から算出された伸びひずみ差が所望の値となるように圧延機のロールベンディング力を制御することが開示されている。
特許文献4には、圧延機出側の板クラウンを測定すると共に、測定された板クラウンがメカニカル板クラウンと等しくなるように作業ロールベンディング装置のベンディング力を制御することが開示されている。
特許文献5には、圧延機入側の板クラウン及び圧延機出側の板クラウンを測定すると共に、これら実測値に基づいて圧延に伴うクラウン比率変化を求め、これに基づいて算出される平坦度が許容範囲内となるようにクラウン制御用のアクチュエータ、例えば作業ロールベンディング装置を制御することが開示されている。
特開平6−71319号公報 特公昭48−42539号公報 特開昭59−130614号公報 特開平4−200811号公報 特開平7−251213号公報 特開平6−87011号公報 特開昭62−220205号公報
本城、佐藤、口、「板圧延におけるIHI形状制御装置」、IHI技報、株式会社IHI、平成20年6月発行、第48巻第2号、第93頁〜第100頁(特に、図3(第94頁)) 西岡、水谷、堀、児島、小川、「圧延ペアクロスミルにおける大圧下圧延技術」、新日鉄技報、新日本製鐵株式会社、平成9年11月、第365号、第9頁〜第17頁(特に、図7(第12頁))
ところで、厚板圧延機あるいは薄板熱間圧延の粗圧延機のように板厚の厚い製品を多パスのリバース圧延で製造する圧延機では、上下作業ロール間の間隙(ロール開度)を少なくとも圧延素材の板厚と同等まで拡げることが可能であることが必要である。このため、斯かる圧延機としては、例えば図1に開示されたものが用いられている(例えば、特許文献6参照)。
図1に示した圧延機は、上作業ロールチョック3−1を上補強ロールチョック4−1に繋がるアーム部が保持する形式であり、このアーム部に上作業ロール1−1のインクリースベンディング装置6−1、6−2が組み込まれている。このような形式とすることで、大きなロール開度をとることができる。
ここで、インクリースベンディング装置とは、板幅中央部のロール開度を小さくする方向の力を作業ロールチョックに与える油圧装置を意味しており、そのアクチュエータである油圧シリンダーを含む装置の総称である。しかし、本発明では、説明を簡単にするため、インクリースベンディング装置とは、特に断りの無い限り、そのアクチュエータである油圧シリンダーを指すものとする。また、本明細書では、インクリースベンディング装置によって作業ロールに負荷される力をインクリースベンディング力と称する。
なお、図1に示した圧延機では、下作業ロール1−2のインクリースベンディング装置6−3、6−4は圧延機ハウジング9に繋がるプロジェクトブロックに組み込まれているが、大きなロール開度をとることができる圧延機形式としては、上下とも補強ロールチョック4−1、4−2が作業ロールチョック3−1、3−2を保持する形式も従来技術として存在する。
ところが、図1に示したような典型的な厚板圧延機は、先述したようにロール開度を大きくとることが必要であるがゆえに、強力なロールベンディング力を付与することができないという問題がある。これは、圧下装置11によって上下位置が設定・制御される上補強ロールチョック4−1に繋がるアーム部が上作業ロールチョック3−1を保持することになるため、当該アーム部にインクリースベンディング装置6−1、6−2を組み込むことが必要になるが、当該アーム部には構造上大きさに制約があるため、インクリースベンディング装置として大容量の油圧シリンダーを組み込むことが困難だからである。
例えば、作業ロール直径800mm程度のホットストリップミル仕上圧延機でも±150tf/chockを超える能力の作業ロールベンディング装置が実用化されている。これに対して、作業ロール直径1000mm程度の厚板圧延機では±120tf/chock程度の作業ロールベンディング装置しか実用化されていない。
ここで、ロールベンディング効果の指標となるロールたわみは、負荷された曲げモーメントが同じであればロールの断面二次モーメントに反比例する。したがって、同等のベンディング力を付加できるロールベンディング装置を具備していたとしても、作業ロール直径1000mmの厚板圧延機のロールベンディング効果は、作業ロール直径800mmのホットストリップミル仕上げ圧延機に比べて約60%も劣ることになる。
この結果、従来の厚板圧延機の作業ロールベンディング機構では、非特許文献1に示されているように、制御可能なメカニカル板クラウンは狭幅材については数十ミクロン、広幅材についても数百ミクロンに留まっている。これは、非特許文献2に示されているメカニカル板クラウン制御の必要量に比べて不足していることがわかる。
ここで、特許文献1〜5に記載の板クラウン・形状制御では、作業ロールのベンディング力を変化させることで、圧延板材の板クラウンや形状(平坦度又は急峻度)を制御している。ところが、従来から用いられている厚板圧延機では、上述したように強力なロールベンディング力を付与することができないため、圧延される板材の板クラウン等を目標とする量だけ変化させるのに必要なベンディング力を作業ロールに作用させることができない場合がある。したがって、特許文献1〜5に記載の板クラウン・形状の制御方法は、ホットストリップミル等の薄板圧延機においては用いられることはあるが、厚板圧延機では実用的なものとは言えなかった。
このため、厚板圧延機において板クラウン・形状制御を行うに当たっては、一般に、ロールクロス機能やロールシフト機能を備えた圧延機が実用化され主に活用されている。しかしながら、ロールクロス機能やロールシフト機能は、圧延中に迅速に設定変更することが困難である。従って、圧延中の外乱因子を取り除くことが不可能であるため、形状制御端としては不完全と言わざるを得ない。
また、図1に示した作業ロール1−1、1−2は圧延操業によって補強ロールよりも損耗しやすいために定期的なロール組み替えが必要である。このため、その組み替え作業の度にインクリースベンディング装置の油圧配管を着脱しなければならない。これによってロール組み替え時間が長くなるだけでなく、配管着脱時に油圧配管内に微小異物が混入する可能性が高くなる。
このため、この圧延機では、高応答油圧制御のためのサーボバルブを採用することができない。また、補強ロールチョック4−1、4−2は圧延機ハウジング9に対して相対移動するため、補強ロールチョック4−1、4−2内に組み込まれたインクリースベンディング装置6−1、6−2、6−3、6−4への油圧配管は、補強ロールチョック4−1、4−2と圧延機ハウジング9との間で柔構造を持つ着脱自在な配管(フレキシブル配管等)であることが必要になる。しかしながら、フレキシブル配管を採用すると、柔構造であるため油圧の変動を吸収・緩和してしまうことがあり、その結果、インクリースベンディング装置の応答性の低下を招く。したがって、インクリースベンディング装置の応答性を高めることは困難である。
ここで、例えば特許文献3〜5に記載の板クラウン・形状制御では、板材の圧延中に作業ロールベンディング装置のベンディング力を変更することも提案されている。このように板材の圧延中に何らかの実測値に基づいてベンディング力のフィードバック制御を行う場合、インクリースベンディング装置の応答性が低いと、実測値の変化に追従するように迅速にベンディング力を変化させることができず、その結果、圧延中の外乱因子を取り除くことができないばかりか、圧延後の板材の板クラウンや形状等が圧延進行方向において変化してしまう場合がある。
なお、ホットストリップミル仕上圧延機としては、例えば、図2に示したような圧延機も知られている(例えば、特許文献7)。この圧延機では、インクリースベンディング装置6−1、6−2が圧延機ハウジング9に繋がるプロジェクトブロック5−1、5−2に組み込まれている。このため、ロール組み替え作業の度にインクリースベンディング装置の油圧配管を着脱する必要がない。したがって、この圧延機は、応答性の高いロールベンディング装置とすることができる。
しかしながら、この圧延機は、上作業ロール1−1に作用するオフセット分力等の圧延方向力を支持するのは作業ロールチョック3−1とプロジェクトブロック5−2との接触面である。そのため、圧下装置11を操作してロール開度を大きくすると、作業ロールの回転中心が該接触面の外側となって作業ロールチョック3−1の姿勢が不安定となる。結果として、大きなロール開度をとることができない。このため、大きなロール開度が必要な厚板圧延機ではこの圧延機が採用されることはほとんどない。
そこで、上記課題に鑑みて、本発明の目的は、大きなロール開度が必要な厚板圧延機や薄板熱間圧延の粗圧延機等において、ベンディング装置により板クラウン又は形状を適切に制御可能な圧延機及び圧延方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意検討を重ねた結果、ハウジングからその内側方向に突出するプロジェクトブロックを、パスラインに対して下側にシフトし、パスラインに対して上下非対称にするように設置することにより、以下のことが可能となることを見出した。
(a)上作業ロールチョックにかかる圧延方向力を常にハウジングで受ける構造とできること。これにより、安定して作業ロールチョックを支えることができる。
(b)上記プロジェクトブロックに、上下インクリースベンディング装置を組み込むことができること。これにより、大容量・大ストロークの強力ベンディング装置を備えることができる。
(c)また、インクリースベンディング装置をプロジェクトブロックに組み込むことで、油圧配管を固定化でき、サーボバルブを適用することができること。これにより高応答のインクリースベンディング力の制御が可能となる。
また、これらの装置上の発明により、以下の圧延機操業方法が可能となることも見出した。
(d)応答性の低いディクリースベンディング装置であっても、応答性の速いインクリースベンディング装置との協働により、高応答のベンディング力制御が可能となること。これにより、製品品質、圧延歩留が大きく改善される。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、その要旨は以下のとおりである。
(1)上下一対の作業ロールとこれらをそれぞれ支持する上下一対の補強ロールとを有する金属板の圧延機であって、前記上下作業ロールの少なくともいずれか一方にベンディング力を負荷する油圧シリンダーが、圧延機ハウジングの内側に突出するように該圧延機ハウジングに一体的に形成されたプロジェクトブロックに配備され、下作業ロール胴部に負荷される圧延方向力が、前記プロジェクトブロックと下作業ロールチョックとの接触面によって支持され、上作業ロール胴部に負荷される圧延方向力が、前記プロジェクトブロックの上方に位置する圧延機ハウジングウィンドウと上作業ロールチョックとの接触面によって支持された圧延機による、金属板の圧延方法において、圧延パス出側の板クラウンがその目標値となるようなベンディング力を算出し、該算出されたベンディング力が付与されるように上記油圧シリンダーを制御する、金属板の圧延方法。
(2)上記ベンディング力を算出する際には、圧延荷重とベンディング力と圧延パス出側の板クラウンとの関係を表すモデル式に圧延荷重の実測値又は推定値を代入して計算される上記圧延パス出側の板クラウンがその目標値となるように該ベンディング力が算出される、(1)に記載の金属板の圧延方法。
(3)板クラウン測定装置により圧延パス出側の板クラウンが測定され、該圧延パス出側の板クラウンの実測値と推定値との誤差が小さくなるように上記モデル式が補正される、(2)に記載の金属板の圧延方法。
(4)上記モデル式は、ある圧延パスにおける圧延荷重とベンディング力と出側板クラウンとに加えて該圧延パス入側の板クラウンとの関係を表すモデル式であり、上記ベンディング力を算出する際には、圧延パス入側の板クラウンの実測値又は推定値が上記モデル式に代入される、(2)又は(3)に記載の金属板の圧延方法。
(5)上記ベンディング力を算出する際には、該ベンディング力は、上記圧延パス出側の板クラウンの実測値と目標値との差に基づいてこれら圧延パス出側の板クラウンの実測値が目標値に一致するように算出される、(1)に記載の金属板の圧延方法。
(6)上記圧延パス出側の板クラウンの目標値が該圧延パス中は所定の一定値である、(1)〜(5)のいずれか1つに記載の金属板の圧延方法。
(7)上記圧延パス出側の板クラウンの目標値は、圧延パス入側のクラウン比率と圧延パス出側のクラウン比率との差が一定になるように設定される、(1)〜(5)のいずれか1つに記載の金属板の圧延方法。
(8)平坦度測定装置により圧延パス出側の平坦度が測定され、該平坦度の実測値と、平坦度の算出値との差に基づいて、該差が小さくなるように上記モデル式が補正される、(7)に記載の金属板の圧延方法。
(9)上下一対の作業ロールとこれらをそれぞれ支持する上下一対の補強ロールとを有する金属板の圧延機であって、前記上下作業ロールの少なくともいずれか一方にベンディング力を負荷する油圧シリンダーが、圧延機ハウジングの内側に突出するように該圧延機ハウジングに一体的に形成されたプロジェクトブロックに配備され、下作業ロール胴部に負荷される圧延方向力が、前記プロジェクトブロックと下作業ロールチョックとの接触面によって支持され、上作業ロール胴部に負荷される圧延方向力が、前記プロジェクトブロックの上方に位置する圧延機ハウジングウィンドウと上作業ロールチョックとの接触面によって支持された圧延機による、金属板の圧延方法において、圧延パス出側の平坦度がその目標値となるようなベンディング力を算出し、該算出されたベンディング力が付与されるように上記油圧シリンダーを制御する、圧延方法。
(10)一つの圧延板材の板厚が圧延方向に変化するように該圧延板材の圧延中のロール開度が変化せしめられる、(1)〜(9)のいずれか1つに記載の圧延方法
(11)上下一対の作業ロールとこれらをそれぞれ支持する上下一対の補強ロールとを有する金属板の圧延機において、前記上下作業ロールにそれぞれベンディング力を負荷する油圧シリンダーが、圧延機ハウジングの内側に突出したプロジェクトブロックに配備され、下作業ロール胴部に負荷される圧延方向力が、前記プロジェクトブロックと下作業ロールチョックとの接触面によって支持され、上作業ロール胴部に負荷される圧延方向力が、前記プロジェクトブロックの上方に位置する圧延機ハウジングウィンドウと上作業ロールチョックとの接触面によって支持され、圧延パス出側の板クラウンがその目標値となるようなベンディング力を算出する演算装置と、該算出されたベンディング力が付与されるように上記油圧シリンダーを制御する油圧シリンダー制御装置とを具備する、金属板の圧延機。
本発明によれば、大きなロール開度が必要な厚板圧延機において、ベンディング装置により板クラウン又は形状を適切に制御することができる。
従来技術の圧延機の例を示す図である。 従来技術の圧延機の例を示す図である。 本発明に係る圧延機の構造の一例を示す側面図である。 上下のインクリースベンディング装置の配置例を示す透視平面図である。 上下のインクリースベンディング装置の配置例を示す透視平面図である。 第一実施形態における圧延方法の制御手段を概略的に示すフローチャートである。 第二実施形態における圧延方法の制御手段を概略的に示すフローチャートである。 第三実施形態における圧延方法の制御手段を概略的に示すフローチャートである。 第四実施形態における圧延方法の制御手段を概略的に示すフローチャートである。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同様な構成要素には同一の参照番号を付す。まず、図3〜図5を参照して、本発明に係る圧延機の構造について説明する。
図3は本発明に係る圧延機の構造の一例を示す側面図である。図3に示すように、本発明に係る圧延機は、上下一対の作業ロール1−1、1−2とこれらをそれぞれ支持する上下一対の補強ロール2−1、2−2とを具備する。
また、本発明に係る圧延機は、上作業ロール1−1にインクリースベンディング力を負荷する上インクリースベンディング装置6−1、6−2と、下作業ロール1−2にインクリースベンディング力を負荷する下インクリースベンディング装置6−3、6−4とを具備する。これら上インクリースベンディング装置6−1、6−2及び下インクリースベンディング装置6−3、6−4は、圧延機ハウジング9の内側に突出したプロジェクトブロック5−1、5−2に設けられる。
この点については、図2に示す従来の圧延機と同じである。しかしながら、本発明に係る圧延機は、抜本的な見直しを行って、図2に示す従来の圧延機の問題点を解決している。すなわち、圧延機の構造設計上の観点、特にロール開度を大きくとるための観点から、プロジェクトブロック5−1、5−2の位置、ならびに上作業ロールチョック3−1の形状などを変えた。
図2に示す従来の圧延機では、大きなロール開度をとることができない。この圧延機は、プロジェクトブロック5−1、5−2を被圧延材10の通過する位置(パスライン)に対してほぼ上下対称になるように配置している。このため、上作業ロールチョック3−1とプロジェクトブロック5−2とが接触する接触面によって、上作業ロール1−1に作用するオフセット分力等の圧延方向力、すなわち、被圧延材10や上補強ロール2−1等から上作業ロール1−1の胴部に負荷される圧延方向力を支持する構造だからである。
この構造では、ロール開度を大きくするに従い、上作業ロール1−1の回転中心位置(圧延方向力の作用点)と上作業ロールチョック3−1が上方に移動し、前記圧延方向力を支持するプロジェクトブロック5−2との接触面積が減少する。したがって、ロール開度を大きくするにしたがって上作業ロールチョック3−1の姿勢が不安定となり、大きなロール開度をとることができない。
本発明に係る圧延機は上記問題点を解決する。本発明に係る圧延機は、図3に示すように、ハウジング9からその内側方向に突出するプロジェクトブロック5−1、5−2を、パスラインに対して下側にシフトした位置に配置する。すなわち、図2に示す従来の圧延機とは異なり、パスラインに対して上下非対称になるように、プロジェクトブロック5−1、5−2を配置する。さらに、上作業ロールチョック3−1は、プロジェクトブロック3−1との接触により圧延力を支えられるのではなく、ハウジングウィンドウとの接触により圧延力が支えられるように構成される。
これにより、本発明に係る圧延機では、上作業ロールチョック3−1とプロジェクトブロック5−2より上方のハウジングウィンドウ12との接触面によって、上作業ロール1−1に作用するオフセット分力等の圧延方向力、すなわち、被圧延材10や上補強ロール2−1等から上作業ロール1−1の胴部に負荷される圧延方向力を支持する。
このような構造にすれば、圧延機の圧下装置11を操作してロール開度を大きくしても、上作業ロールチョック3−1とハウジングウィンドウとが接触する面積は一切変化しない。したがって、上作業ロールチョック3−1の姿勢は、ロール開度にかかわらず常に安定して保持されることになる。
図2に示すように、上下のインクリースベンディング装置をプロジェクトブロックに配備した圧延機は周知ではある。しかし、本発明に係る圧延機は、プロジェクトブロック5−1、5−2の位置、ならびに上作業ロールチョック3−1の形状について抜本的な見直しを行って、上作業ロール1−1の胴部に負荷される圧延方向力を、上作業ロールチョック3−1とプロジェクトブロック5−2の上方のハウジングウィンドウ12との接触面で支持する構造としたので、大きなロール開度をとることができる。
さらに、本発明に係る圧延機では、上作業ロール1−1にインクリースベンディング力を負荷する上インクリースベンディング装置6−1、6−2と、下作業ロール1−2にインクリースベンディング力を負荷する下インクリースベンディング装置6−3、6−4を、ハウジング9の内側に突出したプロジェクトブロック5−1、5−2に配備している。そのため、作業ロールの組み替え作業の度にインクリースベンディング装置の油圧配管を着脱する必要がなく、応答性の高いインクリースベンディング装置とすることができる。これは、固定配管された油圧配管を介してそれぞれの油圧制御弁に接続することができ、高応答油圧制御のためのサーボバルブを採用することができるからである。
なお、本発明に係る圧延機において、下作業ロール1−2の胴部に負荷される圧延方向力は、下作業ロールチョック3−2とプロジェクトブロック5−2との接触面によって支持される。このため、図1に示す本発明に係る圧延機は、下作業ロールチョック3−2のプロジェクトブロック5−1、5−2に挟み込まれる部分の高さを大きくしている。
また、ロール開度は、主に上作業ロールチョックを上下に移動させることにより調整するので、下作業ロールチョックの上下の移動量は少ない。そのため、ロール開度が大きくなるにしたがい、下作業ロールの姿勢が不安定になることはない。
図4は上下のインクリースベンディング装置の配置例を示す断面平面図である。つまり、プロジェクトブロック5−1、5−2のパスライン高さの断面図である。
本発明に係る圧延機では、上下のインクリースベンディング装置を、プロジェクトブロックの断面平面図上で互いにずらして配備することが望ましい。例えば、図4に示すように、上インクリースベンディング装置6−1、6−2と、下インクリースベンディング装置6−3、6−4とを、作業ロール1−2の軸方向にシフトした位置関係となるように配備することが望ましい。このようにすれば、上下のインクリースベンディング装置が互いに干渉しない。上インクリースベンディング装置6−1、6−2のストロークを大きくして、さらに大きなロール開度をとることができる。
なお、図4では下インクリースベンディング装置6−3、6−4は入側、出側それぞれ油圧シリンダーを2本としている。しかし、油圧シリンダーを1本として上インクリースベンディング装置6−1、6−2と干渉しないように作業ロール1−2の軸方向に異なる位置に配置することでも同様の効果を得ることができる。
図5も上下のインクリースベンディング装置の配置例を示す断面平面図である。つまり、プロジェクトブロック5−1、5−2のパスライン高さの断面図である。図5に示すように、上インクリースベンディング装置6−1、6−2と、下インクリースベンディング装置6−3、6−4とを、圧延方向にシフトした位置関係としてもよい。このような配置でも上下のインクリースベンディング装置は互いに干渉しない。上インクリースベンディング装置6−1、6−2のストロークを大きくして、さらに大きなロール開度をとることができる。
本発明に圧延機によれば、ロール開度を大きくすることができるため、一つの圧延機においてロール開度を大きく変化させることが要求される厚板圧延機(厚さ3mm以上の金属板の圧延機)、特にリバース圧延機において適切な圧延を行うことができる。
ここまでは、主に解決課題の一つである大きなロール開度を得る観点から、本発明に係る圧延機の構造について説明してきた。次に、この構造によれば、他の解決課題である強力なロールベンディング力の付与及び応答性の向上についても容易に達成できることを説明する。
図1は従来技術に係る圧延機であり、この圧延機はロール開度を大きくとることができる。
しかしながら、この従来の圧延機では、強力なロールベンディング力を付与することができない。すなわち、上インクリースベンディング装置6−1、6−2は、上補強ロールチョック4−1から下方に突出したアーム部に組み込まれる。しかしながら、このアーム部には上インクリースベンディング装置の十分な設置スペースが得られない。このため、大容量および大ストロークの上インクリースベンディング装置6−1、6−2を配備することができず、よって図1の従来の圧延機では、強力なインクリースベンディング力を付与することができなかった。
また、この圧延機では例えば上ディクリースベンディング装置を設ける場合には、上ディクリースベンディング装置を上補強ロールチョック4−1のアーム部に対向する位置に配置することになる。したがって、上ディクリースベンディング装置の設置スペースがロールの軸心に寄ってしまう。このため、上補強ロールの軸受けと干渉するので、大容量・大ストロークの上ディクリースベンディング装置7−1、7−2を配備することができない。このため、図1の従来の圧延機では、強力なディクリースベンディング力を付与することができなかった。
なお、ディクリースベンディング装置とは、板幅中央部のロール開度を大きくする方向の力を作業ロールチョックに与える油圧装置を意味しており、そのアクチュエータである油圧シリンダーを含む装置の総称である。しかし、本明細書では、説明を簡単にするために、ディクリースベンディング装置とは、特に断りの無い限り、そのアクチュエータである油圧シリンダーを指すものとする。また、本明細書では、ディクリースベンディング装置によって作業ロールに負荷される力をディクリースベンディング力と称する。
さらに、本明細書では、特に断りの無い限り、インクリースベンディング装置とディクリースベンディング装置との双方を合わせてベンディング装置と呼び、インクリースベンディング力とディクリースベンディング力との合力をベンディング力(インクリースベンディング力を正とする)と称する。例えば、インクリースベンディング力が100トン、ディクリースベンディング力が20トンである場合、ベンディング力は80トンとなる。
一方、図3に示すように本発明に係る圧延機では、圧延機のハウジング9からその内側方向に突出するプロジェクトブロック5−1、5−2に、上インクリースベンディング装置6−1、6−2が配備される。したがって、上インクリースベンディング装置6−1、6−2の十分な設置スペースを確保することが可能であり、上インクリースベンディング装置6−1、6−2として大容量・大ストロークの油圧シリンダーを用いることができる。これにより、上作業ロール1−1に大きなディクリースベンディング力を負荷することが可能となる。
また、本発明に係る圧延機では、上ディクリースベンディング装置を上補強ロールチョック4−1のアーム部に対向する位置に配置する必要はない。このため、上ディクリースベンディング装置の設置スペースが上補強ロールの軸受と干渉することはなく、よって上ディクリースベンディング装置7−1、7−2として大容量・大ストロークの油圧シリンダーを用いることができる。これにより、上作業ロール1−1に大きなディクリースベンディング力を負荷することが可能となる。
すなわち、プロジェクトブロック5−1、5−2の位置、ならびに上作業ロールチョック3−1の形状について抜本的な見直しを行って、上作業ロール1−1の胴部に負荷される圧延方向力を、上作業ロールチョック3−1とハウジングウィンドウ12との接触面によって支持する構造とした本発明に係る圧延機によれば、大きなロール開度をとることができるとともに、強力なロールベンディング力を付与することもできる。
また、図1の従来の圧延機では、作業ロール1−1、1−2の組み替え作業の際に、インクリースベンディング装置の油圧配管を着脱しなければならない。このため、配管着脱時には油圧配管内に微小異物が混入する可能性が高くなる。高応答油圧制御を行うことができるサーボバルブは微小異物の混入によって故障し易いため、図1の圧延機ではサーブバルブを採用することができない。
また、インクリースベンディング装置6−1、6−2が組み込まれる補強ロールチョック4−1はハウジング9に対して相対移動する。このため、インクリースベンディング装置6−1、6−2と補強ロールチョック4−1との間の油圧配管には柔構造を持つ着脱自在な配管が必要になる。しかしながら、フレキシブル配管等の柔構造を持つ配管を採用すると、柔構造であるため油圧の変動を吸収・緩和してしまうことがあり、その結果、インクリースベンディング装置の応答性の低下を招く。
これに対して、図3に示しように本発明に係る圧延機では、インクリースベンディング装置6−1、6−2を補強ロールチョック4−1、4−2ではなく、ハウジング9に一体的に形成されたプロジェクトブロック5−1、5−2に設けられる。このため、作業ロールの組み替え作業の度にインクリースベンディング装置の油圧配管を着脱する必要がなくなり、その結果、高応答油圧制御のためのサーボバルブを用いることができる。また、インクリースベンディング装置6−1、6−2に連通する油圧配管に柔構造を持つ配管を用いる必要がなくなる。したがって、本発明に係る圧延機では、インクリースベンディング装置の応答性を高いものとすることができる。
次に、本発明に係る圧延方法、特にベンディング装置の制御方法について説明する。
まず、本制御方法において使用するモデル式について説明する。一般に各圧延パス前後の板クラウンの変化は、下記式(1)で表される。
Figure 0005691792
ここで、Hは当該圧延パス入側における被圧延板材の板厚(入側板厚)、hは当該圧延パス出側における被圧延板材の板厚(出側板厚)、CHは当該圧延パス入側における被圧延板材の板クラウン(入側板クラウン)、Chは当該圧延パス出側における被圧延板材の板クラウン(出側板クラウン)をそれぞれ示す。また、c1は補正項であり、通常、c1にはゼロを与えることが多い。以下の説明では、補正項c1はゼロであるものとして説明するが、補正項c1がゼロ以外の場合にも本発明を適用することができる。なお、入側板厚H及び出側板厚hは、実測により、又はロール開度と圧延荷重とミル剛性とに基づくゲージメータ式を用いた推定により、比較的正確に把握することができる。このため、本発明においては、これらは既知の値として取り扱う。
また、上記式(1)におけるηは、クラウン比率遺伝係数を示している。ここで、クラウン比率遺伝係数とは、他の圧延条件が全て同一のままで圧延パス入側におけるクラウン比率(入側板クラウン比率)CH/HのみがδCH/Hだけ変動したときに圧延パス出側におけるクラウン比率(出側板クラウン比率)Ch/hに与える影響係数を意味する。したがって、この場合に生じる出側板クラウンの変化量をδChとすると、下記式(2)のような関係を有する。
Figure 0005691792
このように出側板クラウン比率が入側板クラウン比率の影響を受けるのは、入側板クラウンが変化することによって当該圧延パスにおける延伸の板幅方向分布にわずかな差が生じ、その結果、ロールバイト内における張力の幅方向分布が変化するというメカニズムで説明できる。ここで、クラウン比率遺伝係数は、異なる圧延条件に対しては異なる値を取るものの、圧延条件が大きく変化しない限り、圧延パス中はほとんど変化しない。
また、上記式(1)におけるCMは、メカニカル板クラウンを示している。メカニカル板クラウンとは、圧延機の弾性変形から決まる板クラウンであり、圧延材と作業ロールとの間に作用する圧延荷重の幅方向分布が均一であるときの圧延機の変形から決まる上下作業ロール間の間隙分布すなわち板厚分布を、板幅中心の板厚と任意の幅方向位置の板厚との差、すなわち板クラウンで表現したものである。もしくは、メカニカル板クラウンは、圧延板材に作用する伸びひずみが板幅方向に一様となるときの圧延機の変形から決まる上下作業ロール間の間隙分布、すなわち板厚分布を、板幅中心の板厚と任意の幅方向位置の板厚との差、すなわち板クラウンで表現したものを用いる場合もある。メカニカル板クラウンは、例えば、特公平3−72364号公報に開示されているように、圧延機のロール寸法とロールプロフィル、圧延材の板幅、入・出側板厚および圧延荷重を含む圧延条件と、クラウン形状制御装置の設定値が与えられれば、圧延機の弾性変形を計算することによって、理論的に正確に求められる物理量である。
一般に、メカニカル板クラウンCMは、圧延荷重をP、ロールベンディング力をFとして下記式(3)のような計算式で与えられることが分かっている。
Figure 0005691792
ここで、cP、cFはそれぞれ、圧延荷重、ベンディング力がメカニカル板クラウンに及ぼす影響係数であり、ミルディメンジョンや圧延条件に依存する値であるが、圧延パス中はほぼ一定の値となる。c0はロールプロフィルの影響項であり、長期的に見ると熱膨張や摩耗によって変化するが、一本の被圧延板材を圧延している途中ではそれほど大きくは変化しないと考えられる。なお、本明細書では、メカニカル板クラウンを減少させる方向(板幅中央部の上下ロール間隙を減少させる方向)のベンディング力を正と定義して説明する。つまり、インクリースベンディング力の増加はベンディング力の増大を意味し、ディクリースベンディング力の増大はベンディング力の減少を意味する。
また、或る圧延パス入側におけるクラウン比率と当該圧延パス出側における板クラウン比率との差により、伸びひずみ差Δεが生じると考えられており、このことは下記式(4)により表される。
Figure 0005691792
ここで、ξは、形状変化係数であり、該圧延パスでのクラウン比率変化が伸びひずみ差となって表われる度合いを示すパラメータである。一般に、板厚が薄く、板幅が広くなるほど、形状変化係数は大きくなる。また、c2は補正項であり、通常、c2にはゼロを与えることが多い。以下の説明では、補正項c2はゼロであるものとして説明するが、補正項c2がゼロ以外の場合においても本発明を適用することができる。
この伸びひずみ差Δεは、板の平坦度を定量化する場合に用いられる急峻度λとの間で、下記式(5)に示したような式で関係付けられることが多い。なお、本明細書においては平坦度を表す指標として急峻度を用いて説明する。したがって、本明細書中で用いられる被圧延板材の「急峻度」は、事実上、被圧延板材の「平坦度」をも表している。
Figure 0005691792
次に、上記モデル式を利用した本発明に係る圧延方法について具体的に説明する。
まず、第一実施形態の圧延方法について説明する。第一実施形態では、対象となる圧延パスにおいて出側板クラウンChの推定値が一定の目標出側板クラウンChtとなるようにベンディング力の制御が行われる。
ここで、上記式(1)及び(3)において、クラウン比率遺伝係数η、入側板厚H、出側板厚h、形状変化係数ξは圧延パス中一定であると考える。したがって、出側板クラウンChは、入側板クラウンCH、圧延荷重P、ベンディング力Fに応じて変化する。
なお、当該圧延パスに導入される被圧延板材の入側板クラウンCHは、当該圧延パス以前の圧延パスにおける圧延条件に基づいて、実際に当該圧延パスにおける圧延を行う前に、例えば上記式(1)等に基づいて予め推定することができる。ここで、第1パスにおける入側板クラウンはゼロあるいは適当な値を設定すればよいことが知られている。そこで、式(1)及び(3)に入側板クラウンの推定値CHeを代入し、さらに出側板クラウンの目標値Chtを代入して、ベンディング力Fについて整理すると、当該圧延パスにおいて出側板クラウンを目標値Chtとするためのベンディング力Fは下記式(6)に示したように入側板クラウンCHeおよび圧延荷重Pの関数となる。
Figure 0005691792
従って、本実施形態では、圧延材の圧延方向各点における入側板クラウンの推定値CHeおよび圧延荷重Pを上記式(6)に代入することによってベンディング力Fを算出し、算出されたベンディング力Fを負荷するようにベンディング装置を制御するようにしている。ここで、圧延荷重Pは該圧延パスの圧延条件に基づく推定値を用いても、圧下装置11に組み込まれたロードセル16により検知された実測値を用いてもよい。
つまり、上記第一実施形態では、圧延荷重Pとベンディング力Fと出側板クラウンChとの関係を表すモデル式(1)及び(3)に圧延荷重の実測値又は推定値を代入して計算される出側板クラウンChの推定値がその目標値Chtとなるようなベンディング力Fを算出し、算出されたベンディング力Fが付与されるようにベンディング装置を制御しているといえる。より詳細には、上記第一実施形態では、圧延荷重Pとベンディング力Fと入側板クラウンCHと出側板クラウンChとの関係を表すモデル式(1)及び(3)に圧延荷重の実測値又は推定値を代入して計算される出側板クラウンChの推定値がその目標値Chtとなるようにベンディング力を算出し、算出されたベンディング力が付与されるようにベンディング装置を制御しているといえる。
図6は、第一実施形態における圧延方法の制御手順を概略的に示すフローチャートである。図6のステップS11は、対象となる圧延パスにおける圧延開始前にセットアップとして行われ、ステップS12〜S17は、実際の圧延処理中(一つの被圧延材料の圧延中、または各圧延材料の圧延前後)に繰り返し行われる。
まず、ステップS11では、対象となる圧延パスについて当該圧延パスでの圧延条件に基づいてクラウン比率遺伝係数η、入側板厚H、出側板厚h、形状変化係数ξが算出される。
次に、ステップS12において、当該圧延パス以前の圧延実績等に基づいて圧延材の制御対象位置における入側板クラウンCHeが推定される(この推定値をCHeとする)。また、ステップS13において、出側板クラウンの目標値Chtが設定される。なお、ステップS12およびステップS13では、当該パスの圧延開始前に入側板クラウンCHe及び出側板クラウンの目標値Chtを予め算出、設定しておくことも可能である。ステップS14において、圧延材の制御対象位置が圧延されるタイミングに同期して、圧延荷重を推定もしくは実測し、ステップS15において、得られた圧延荷重の実測値又は推定値を式(6)に代入することでベンディング力Fが算出される。ステップS16では、ステップS15において算出されたベンディング力Fに基づいてベンディング装置の制御が行われる。次いでステップS17において圧延処理が終了したか否かが判定され、圧延処理が終了していない場合にはステップS12〜S17が繰り返して行われる。
なお、上記実施形態では、入側板クラウンCHが当該圧延パス以前の圧延パスにおける圧延実績等に基づいて推定される。しかしながら、当該圧延パスの上流側に入側板クラウンCHを測定可能な入側板クラウン測定装置を配置し、この入側板クラウン測定装置によって入側板クラウンCHを実際に測定するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、一つの被圧延板材の圧延パス中において一定となる出側板クラウンの目標値Chtを設定し、出側板クラウンの推定値がその目標値Chtとなるようにベンディング力の制御が行われる。この出側板クラウンの目標値Chtは、様々な値に設定可能であり、例えば圧延パス出側の被圧延板材の目標平坦度(具体的には、平坦度を定量化する場合に用いられる急峻度λの目標値)に基づいて設定してもよい。
ここで、伸びひずみ差Δεは式(4)により算出され、急峻度λは伸びひずみ差Δεを用いて式(5)により算出される。平坦度を高くするためには、急峻度λ及び伸びひずみ差Δεをゼロ(、あるいは、所望の値)に近づけること、つまり式(4)の右辺をゼロに近づけることが必要である。したがって、出側板クラウンの目標値Chtは、例えば、急峻度λ及び伸びひずみ差Δεがほぼゼロになるように、下記式(7)によって算出される値とされてもよい。或いは、出側板クラウンの目標値Chtは急峻度λ及び伸びひずみ差Δεが所望の一定値になるように式(4)及び(5)等に基づいて算出される値であってもよい。換言すると、出側板クラウンの目標値Chtは、入側クラウン比率と出側クラウン比率との差がほぼゼロになるように或いは所望の一定値になるように設定されてもよい。
Figure 0005691792
いずれにしても、斯かる観点からは、上記第一実施形態では、圧延パス出側の板クラウンの推定値がその目標値となるようなベンディング力を算出し、算出されたベンディング力が付与されるようにベンディング装置を制御しているといえる。
次に、第二の実施形態として、該圧延パスにて作用する圧延荷重の推定値P0に対し、出側板クラウンの目標値Chtを実現できるベンディング力F0を設定した状態を基準に、圧延荷重の推定誤差に応じてベンディング力を補正する場合を考える。このとき、当該圧延パス以前の圧延パスにおいても出側板クラウンが圧延方向に一定な所定の目標値と一致するように制御されていた場合には、該圧延パス入側板クラウンは圧延方向に一定の値であると考えることができるので、圧延材の圧延方向各点における入側板クラウンの推定値CHeが一定値であると考える。まず、制御対象の圧延パスにおける圧延荷重は、圧延条件に基づいて実際の圧延を開始する前に予測することができる。そこで、このような圧延荷重の予測値(推定値)をP0とし、この予測値P0に相当する圧延荷重が負荷されたときに出側板クラウンChの推定値が目標値Chtになるようなベンディング力をF0とする。ここで、この圧延荷重の予測値P0に対して実際の圧延中における圧延荷重PにδP(=P−P0)だけずれが生じても、出側板クラウンを目標値Chtのまま維持するためには、この圧延荷重のずれ量δPに応じてベンディング力を操作することが必要になる。上記式(1)及び(3)を考慮すると、上記ベンディング力の基準値F0に対する操作量δFは、メカニカル板クラウンCMが一定になるように設定することが必要であり、具体的には下記式(8)のように表される。
Figure 0005691792
そこで、上記実施形態に示したようにベンディング装置に負荷すべきベンディング力Fを式(6)に基づいて算出する代わりに、予め圧延荷重の予測値P0及びこれに対応するベンディング力の基準値F0を算出し、この圧延荷重の予測値P0に対するずれ量δPに応じてベンディング力の基準値F0に対する操作量δFを変更するようにしてもよい。
図7は、第二実施形態における圧延方法の制御手順を概略的に示すフローチャートである。図7のステップS21〜S24は、対象となる圧延パスにおける圧延開始前のセットアップとして行われ、ステップS25〜S29は、実際の圧延処理中(一つの被圧延材料の圧延中、または各圧延材料の圧延前後)に繰り返し行われる。
まず、ステップS21では、対象となる圧延パスについて当該圧延パスでの圧延条件に基づいてクラウン比率遺伝係数η、入側板厚H、出側板厚h、形状変化係数ξが算出されると共に、当該圧延パスにおける圧下率(=(H−h)/H)等に基づいて圧延荷重の予測値P0が算出される。また、ステップS22において、当該圧延パス以前の圧延実績等に基づいて入側板クラウンのCHの推定が行われる(この推定値をCHeとする)。次いで、ステップS23において、出側板クラウンの目標値Chtが設定される。さらに、ステップS24では、ステップS21〜S23で算出及び設定されたクラウン比率遺伝係数η、入側板厚H、出側板厚h、形状変化係数ξ、圧延荷重の予測値P0、入側板クラウンの推定値CHe、出側板クラウンの目標値Chtを、上記式(6)に代入することによりベンディング力の基準値F0が算出される。
このようにベンディング力の基準値F0の算出完了後、被圧延板材の圧延が開始される。圧延開始後のステップS25では、圧下装置11に取り付けられたロードセル16によって圧延荷重Pが検出され、次いで、ステップS26では、圧延荷重の予測値P0と圧延荷重の実測値Pmとのずれ量δP(=Pm−P0)が算出される。次いで、ステップS27では、ステップS26で算出されたずれ量δPを式(8)に代入することにより、基準値F0に対するベンディング力の操作量δFが算出される。ステップS28では、ステップS27において算出されたベンディング力の操作量δFに基づいてベンディング装置の制御が行われる。次いでステップS29において圧延処理が終了したか否かが判定され、圧延処理が終了していない場合にはステップS25〜S29が繰り返して行われる。
なお、前述のように、当該圧延パスの上流側に入側板クラウンCHを測定可能な入側板クラウン測定装置を配置し、この入側板クラウン測定装置によって入側板クラウンCHを実際に測定するようにしてもよい。また、出側板クラウンの目標値Chtを圧延パス出側の被圧延板材の目標平坦度(具体的には、平坦度を定量化する場合に用いられる急峻度λの目標値)に基づいて設定してもよい。或いは、出側板クラウンの目標値Chtは急峻度λ及び伸びひずみ差Δεが所望の一定値になるように式(4)及び(5)等に基づいて算出される値であってもよい。
いずれにしても、斯かる観点からは、上記第二実施形態においても、圧延パス出側の板クラウンの推定値がその目標値となるようなベンディング力を算出し、算出されたベンディング力が付与されるようにベンディング装置を制御しているといえる。
次に、第三実施形態の圧延方法について説明する。第三実施形態では、対象となる圧延パスについて出側板クラウン測定装置によって測定された出側板クラウンChの実測値がその目標値Chtとなるようにベンディング力の制御が行われる。
このように、出側板クラウンChを出側板クラウン測定装置によって測定可能である場合、出側板クラウンの実測値Chmがその目標値Chtにほぼ一致している場合には、ベンディング力を操作する必要はない。一方、出側板クラウンの実測値Chmがその目標値Chtよりも大きい場合には、出側板クラウンをその目標値Chtに近づけるべくベンディング力を大きくする必要がある。逆に、出側板クラウンの実測値Chmがその目標値Chtよりも小さい場合には、出側板クラウンをその目標値に近づけるべくベンディング力を小さくする必要がある。
また、出側板クラウンをδChだけ変化させるために必要なベンディング力δFは、式(1)及び(3)のChとFとの関係から、下記式(9)のように表せる。
Figure 0005691792
そこで、本実施形態では、出側板クラウン測定装置によって測定された出側板クラウンの実測値Chmとその目標値Chtとの差δCh(=Cht−Chm)を算出すると共に、算出された差δChを上記式(9)に代入して算出されたδFだけベンディング力を操作するようにしている。換言すると、本実施形態では、出側板クラウンの実測値Chmとその目標値Chtとの差δChを算出すると共に、算出された差δChが小さくなるように又はゼロになるようにベンディング力を操作しているといえる。
図8は、第三実施形態における圧延方法の制御手順を概略的に示すフローチャートである。図8の全てのステップS31〜S36は、実際の圧延処理中(一つの被圧延材料の圧延中、または各圧延材料の圧延前後)に繰り返し行われる。
まず、ステップS31では、対象となる圧延パスについて、出側板クラウンの目標値Chtが設定される。さらに、ステップS32において、出側板クラウン測定装置によって出側板クラウンChの測定が行われる(その実測値をChmとする)。次いで、ステップS33において、出側板クラウンの実測値Chmと目標値Chtとの差δChが算出される。次いで、ステップS34では、差δChを上記式(9)に代入することにより、ベンディング量の操作量δFが算出される。ステップS35では、ステップS34において算出されたベンディング力の操作量δFに基づいてベンディング装置の制御が行われる。
なお、上記第三実施形態では、出側板クラウンの実測値Chmがその目標値Chtとなるようにベンディング力の制御を行っているが、第三実施形態の変形例として急峻度λを測定可能な急峻度測定装置によって測定された急峻度λがその目標値λt(通常はゼロ)となるようにベンディング力の制御を行うようにしてもよい。
すなわち、急峻度等で表される板形状とベンディング力との間には、ベンディング力を大きくすると板形状が耳伸び傾向から中伸び傾向に変化するという関係があることがわかっている。したがって、ベンディング力を大きくすると、急峻度が正の値を示すようになり、逆にベンディング力を小さくすると、急峻度が負の値を示すようになる。
そこで、本変形例では、急峻度測定装置によって測定された急峻度の測定値λmが目標値λtよりも大きい場合には、ベンディング力Fを大きくし、急峻度の測定値λmが目標値λtよりも小さい場合には、ベンディング力Fを小さくするようにしている。換言すると、本変形例では、出側急峻度(出側平坦度)の実測値とその目標値との差を算出すると共に、算出された差が小さくなるように又はほぼゼロになるようにベンディング力を操作しているといえる。
次に、第四実施形態の圧延方法について説明する。第四実施形態では、上記第一実施形態の圧延方法に基づいてベンディング力の制御を行うと共に、実際の出側板クラウンを測定し、出側板クラウンの実測値と推定値との差に基づいてモデル式に生じている誤差を補正するようにしている。
上述した第一実施形態の圧延方法では、出側板クラウンChの推定値が目標値Chtとなるようにベンディング力の制御が行われている。しかしながら、測定されていない実際の出側板クラウンChとその推定値との間に誤差が存在する場合、実際の出側板クラウンとその目標値Chとの間に誤差が生じている場合が存在しうる。
この場合、例えば式(1)において、実際の出側板クラウンとその推定値(なお、出側板クラウンの推定値が目標値となるようにベンディング力の制御が行われていることを考慮すると推定値と目標値はほぼ同一であるとも考えられる)との間の誤差δChは、入側板クラウンCHに対する推定誤差δCHおよび/またはメカニカル板クラウンCMに対する推定誤差δCMに起因して生じたものと考えると、これらの関係は式(1)を変形して下記式(10)のように表せる。
Figure 0005691792
ここで、式(10)のみでは、未知数が二つ(すなわち、入側板クラウンの推定誤差δCH及びメカニカル板クラウンCMの推定誤差δCM)存在するため、出側板クラウンの誤差δChからこれら未知数を一意に決定することはできない。しかしながら、例えば、入側板クラウンCH或いはメカニカル板クラウンのいずれか一方の推定誤差をゼロと仮定すること(例えば入側板クラウンChを実測できた場合には入側板クラウンの推定誤差をゼロと考えることができる)や、特開昭59−215205号公報に開示されたような学習方法を用いることで、これらを一意に決定することが可能である。或いは、出側板クラウンChに加えて圧延パス出側における急峻度λを実測することにより、入側板クラウンの推定誤差δCHとメカニカル板クラウンの推定誤差δCMとの両者を一意に決定することも可能である。
そこで、本実施形態では、出側板クラウン測定装置によって測定された出側板クラウンの実測値Chmに基づいて上述したように入側板クラウンの推定誤差δCH及びメカニカル板クラウンの推定誤差δCMを算出すると共に、算出された入側板クラウンの推定誤差δCH及びメカニカル板クラウンの推定誤差δCMに基づいて式(1)及び(3)を補正するようにしている。具体的には、例えば、式(1)又は式(6)の入側板クラウンCHにその推定誤差δCHを加えた値を新たな入側板クラウンとし(CH=CH+δCH)、式(3)又は式(6)の項c0にメカニカル板クラウンの推定誤差δCMを加えた値を新たなc0(c0=c0+δCM)としている。これにより、出側板クラウンが正確に目標値に一致するようにベンディング力の制御を行うことができるようになる。
したがって、上記第四実施形態では、出側板クラウン測定装置により出側板クラウンを測定すると共に、出側板クラウンの実測値と推定値との差に基づいてこの差が小さくなるように又はゼロになるようにモデル式を補正するようにしているといえる。
図9は、第四実施形態における圧延方法の制御手順を概略的に示すフローチャートである。図9のステップS41〜S48は、図7のステップS21〜S28と同様であるため、説明を省略する。
ステップS49では、出側板クラウン測定装置により出側板クラウンChが測定される。次いで、ステップS50では、図7のステップS29と同様に圧延処理が終了したか否かが判定され、圧延処理が終了していない場合には、ステップS51に進む。ステップS51では、ステップS49で測定された出側板クラウンの実測値Chmと出側板クラウンの目標値(推定値)Chtとの差δCh(=Chm−Cht)がほぼゼロであるか否かが判定される。差δChがほぼゼロであると判定された場合には、ステップS45へと進む。
一方、ステップS51において、ステップS49で測定された出側板クラウンの実測値Chmと出側板クラウンの目標値(推定値)Chtとの差δChがゼロから離れた値である場合、ステップS52へと進む。ステップS52では、上述したような方法で、メカニカル板クラウンの推定誤差δCM及び入側板クラウンの推定誤差δCHが算出される。このようにして算出されたメカニカル板クラウンの推定誤差δCM及び入側板クラウンの推定誤差δCHは、ステップS42における入側板クラウンCHeの推定の際及びステップS44における式(6)を用いたベンディング力の基準値F0の算出の際に用いられる。具体的には、例えば、ステップS42において入側板クラウンCHが、元の入側板クラウンCHに推定誤差δCHを加えた値とされ、ステップS44において式(6)の項c0が、元の項c0の値にメカニカル板クラウンの推定誤差δCMを加えた値とされる。
このようにして、ステップS50で圧延が終了したと判断されるまで繰り返して行われる。なお、ステップS50で圧延が終了したと判断された場合も、出側板クラウンの推定誤差に基づいてメカニカル板クラウンの推定誤差δCMを算出し、以降の圧延パスにおける設定計算等に反映させてもよい。
次に、第五実施形態の圧延方法について説明する。第五実施形態では、上記第一実施形態の圧延方法に基づいて急峻度がその目標値となるようにベンディング力Fの制御を行うと共に、実際の急峻度を測定し、急峻度の実測値と目標値との差に基づいてモデル式に生じている誤差を補正するようにしている。
上述したように、第一実施形態の圧延方法では、急峻度λの推定値がその目標値となるようにベンディング力の制御が行われているが、実際の急峻度λは測定されていないため、実際の急峻度とその推定値(目標値)との間に誤差が生じている場合が存在しうる。
この場合、急峻度の推定誤差δλは、例えば、入側板クラウンの推定誤差δCHと出側板クラウンδChの推定誤差とによって生じていると考えると、式(4)及び(5)の関係から、下記式(11)及び(12)のような関係を導くことができる。
Figure 0005691792
Figure 0005691792
ここで、未知数が二つ(すなわち、入側板クラウンの推定誤差δCH及び出側板クラウンの推定誤差δCh)が存在するため、急峻度の誤差δλからこれら未知数を一意に決定することはできない。しかしながら、例えば、入側板クラウンCH或いは出側板クラウンChのいずれか一方の推定誤差をゼロと仮定すること(例えば、出側板クラウンChを実測することで出側板クラウンの推定誤差をゼロと考えることができる)や、入側板クラウン、出側板クラウンともにメカニカル板クラウンの関数として表現した上で特開昭59−215205号公報に開示されたような学習方法を用いることで、これらを一意に決定することが可能である。或いは、圧延パス出側における急峻度λに加えて入側板クラウンCHを実測することにより、二つの未知数に対して二つの関係式を立てることができ、これにより未知数を一意に決定することが可能となる。
そこで、本実施形態では、急峻度測定装置によって測定された出側急峻度λmに基づいて上述したように入側板クラウンの推定誤差δCH及び出側板クラウンの推定誤差δChを算出すると共に、算出された入側板クラウンの推定誤差δCH及び出側板クラウンの推定誤差δChに基づいて式(1)及び(3)を補正するようにしている。具体的には、例えば、式(4)の入側板クラウンCHにその推定誤差δCHを加えた値を新たな入側板クラウンとし(CH=CH+δCH)、また、式(4)の出側板クラウンChにその推定誤差δChを加えた値を新たなCh(=Ch+δCh)としている。これにより、式(4)における急峻度λをゼロとするような出側板クラウンを目標値としたベンディング力の制御を行うことができるようになる。
したがって、本第五実施形態では、急峻度測定装置により出側急峻度を測定すると共に、出側急峻度の実測値と推定値との差に基づいてこの差が小さくなるように又はゼロになるようにモデル式を補正するようにしている。
次に、上述したような圧延方法によって製造された金属厚板について説明する。
上述したような圧延方法によれば、金属厚板についても、ベンディング装置の適切な制御により出側板クラウンを比較的正確に目標値に一致させることができる。このため、例えば、全長に亘ってクラウン変動が100μm以下であり且つ圧延材の全長に亘って急峻度が1.0%以内の金属厚板を安定的に製造することが可能になる。
また、上述した圧延方法では、圧延中に圧延荷重が大きく変化する場合であっても出側板クラウンを比較的正確に所定の目標値に一致させることができる。したがって、例えば、一つの圧延板材の板厚が圧延方向に変化するように圧延板材の圧延中にロール開度を変化させることによって製造された厚板、すなわち圧延方向において板厚が変化している厚板、例えば差厚厚板やLP厚板等についても、圧延方向全長に亘って出側板クラウンを比較的正確に目標値に一致させることができる。
本発明は、金属厚板の圧延、特に大開度を必要とするリバース圧延機などに利用することができる。また、熱間圧延の粗工程における圧延機にも利用することができる。
1−1 上作業ロール
1−2 下作業ロール
2−1 上補強ロール
2−2 下補強ロール
3−1 上作業ロールチョック
3−2 下作業ロールチョック
4−1 上補強ロールチョック
4−2 下補強ロールチョック
5−1 入側プロジェクトブロック
5−2 出側プロジェクトブロック
5−3 入側下プロジェクトブロック
5−4 出側下プロジェクトブロック
6−1 入側上インクリースベンディング装置
6−2 出側上インクリースベンディング装置
6−3 入側下インクリースベンディング装置
6−4 出側下インクリースベンディング装置
7−1 入側上ディクリースベンディング装置
7−2 出側上ディクリースベンディング装置
7−3 入側下ディクリースベンディング装置
7−4 出側下ディクリースベンディング装置
8−1 入側補強ロールバランス装置
8−2 出側補強ロールバランス装置
9 ハウジング
10 被圧延材
11 圧下装置
12 ハウジングウィンドウ

Claims (11)

  1. 上下一対の作業ロールとこれらをそれぞれ支持する上下一対の補強ロールとを有する金属板の圧延機であって、
    前記上下作業ロールの少なくともいずれか一方にベンディング力を負荷する油圧シリンダーが、圧延機ハウジングの内側に突出するように該圧延機ハウジングに一体的に形成されたプロジェクトブロックに配備され、
    下作業ロール胴部に負荷される圧延方向力が、前記プロジェクトブロックと下作業ロールチョックとの接触面によって支持され、
    上作業ロール胴部に負荷される圧延方向力が、前記プロジェクトブロックの上方に位置する圧延機ハウジングウィンドウと上作業ロールチョックとの接触面によって支持された圧延機による、金属板の圧延方法において、
    圧延パス出側の板クラウンがその目標値となるようなベンディング力を算出し、該算出されたベンディング力が付与されるように上記油圧シリンダーを制御する、金属板の圧延方法。
  2. 上記ベンディング力を算出する際には、圧延荷重とベンディング力と圧延パス出側の板クラウンとの関係を表すモデル式に圧延荷重の実測値又は推定値を代入して計算される上記圧延パス出側の板クラウンがその目標値となるように該ベンディング力が算出される、請求項1に記載の金属板の圧延方法。
  3. 板クラウン測定装置により圧延パス出側の板クラウンが測定され、該圧延パス出側の板クラウンの実測値と推定値との誤差が小さくなるように上記モデル式が補正される、請求項2に記載の金属板の圧延方法。
  4. 上記モデル式は、ある圧延パスにおける圧延荷重とベンディング力と出側板クラウンとに加えて該圧延パス入側の板クラウンとの関係を表すモデル式であり、上記ベンディング力を算出する際には、圧延パス入側の板クラウンの実測値又は推定値が上記モデル式に代入される、請求項2又は3に記載の金属板の圧延方法。
  5. 上記ベンディング力を算出する際には、該ベンディング力は、上記圧延パス出側の板クラウンの実測値と目標値との差に基づいてこれら圧延パス出側の板クラウンの実測値が目標値に一致するように算出される、請求項1に記載の金属板の圧延方法。
  6. 上記圧延パス出側の板クラウンの目標値が該圧延パス中は所定の一定値である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の金属板の圧延方法。
  7. 上記圧延パス出側の板クラウンの目標値は、圧延パス入側のクラウン比率と圧延パス出側のクラウン比率との差が一定になるように設定される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の金属板の圧延方法。
  8. 平坦度測定装置により圧延パス出側の平坦度が測定され、該平坦度の実測値と、平坦度の算出値との差に基づいて、該差が小さくなるように上記モデル式が補正される、請求項7に記載の金属板の圧延方法。
  9. 上下一対の作業ロールとこれらをそれぞれ支持する上下一対の補強ロールとを有する金属板の圧延機であって、
    前記上下作業ロールの少なくともいずれか一方にベンディング力を負荷する油圧シリンダーが、圧延機ハウジングの内側に突出するように該圧延機ハウジングに一体的に形成されたプロジェクトブロックに配備され、
    下作業ロール胴部に負荷される圧延方向力が、前記プロジェクトブロックと下作業ロールチョックとの接触面によって支持され、
    上作業ロール胴部に負荷される圧延方向力が、前記プロジェクトブロックの上方に位置する圧延機ハウジングウィンドウと上作業ロールチョックとの接触面によって支持された圧延機による、金属板の圧延方法において、
    圧延パス出側の平坦度がその目標値となるようなベンディング力を算出し、該算出されたベンディング力が付与されるように上記油圧シリンダーを制御する、圧延方法。
  10. 一つの圧延板材の板厚が圧延方向に変化するように該圧延板材の圧延中のロール開度が変化せしめられる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の圧延方法。
  11. 上下一対の作業ロールとこれらをそれぞれ支持する上下一対の補強ロールとを有する金属板の圧延機において、
    前記上下作業ロールにそれぞれベンディング力を負荷する油圧シリンダーが、圧延機ハウジングの内側に突出するように該圧延機ハウジングに一体的に形成されたプロジェクトブロックに配備され、
    下作業ロール胴部に負荷される圧延方向力が、前記プロジェクトブロックと下作業ロールチョックとの接触面によって支持され、
    上作業ロール胴部に負荷される圧延方向力が、前記プロジェクトブロックの上方に位置する圧延機ハウジングウィンドウと上作業ロールチョックとの接触面によって支持され、
    圧延パス出側の板クラウンがその目標値となるようなベンディング力を算出する演算装置と、該算出されたベンディング力が付与されるように上記油圧シリンダーを制御する油圧シリンダー制御装置とを具備する、金属板の圧延機。
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