JP3603991B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は電動機の動力をステアリング系に直接作用させ、ドライバの操舵力の軽減を図る電動パワーステアリング装置に係り、特に補正信号の有無によって電動機を駆動する信号の方向が操舵トルクの方向と逆になっても電動機を駆動して補正制御を行う電動パワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の電動パワーステアリング装置は、特開平6−305429号公報に開示されているように、ハンドルに加えられる操舵トルクに対応した電気信号(操舵トルク信号)を電動機の駆動電流(電動機電流)の目標値に変換し、さらに、この目標値をPWM(パルス幅変調)信号に変換して電動機駆動回路(例えば、スイッチング素子で構成されたブリッジ回路)を駆動制御し、電動機駆動回路を介して電動機がPWM駆動され、目標値に応じた駆動電流が電動機に流れる。
【0003】
電動機をPWM駆動することにより、電動機の動力を補助操舵力(アシストトルク)としてステアリング系に作用させ、ドライバの手動操舵力に補助操舵力をアシストさせてドライバの操舵力の軽減が図られている。
【0004】
また、特開平6−305429号公報に開示された電動パワーステアリング装置は、PWM信号と電動機の駆動電流、または電動機の駆動電流から操舵トルク信号を逆算し、逆算した操舵トルク信号とハンドルに加わる操舵トルクに対応した操舵トルク信号とを比較し、逆算した操舵トルク信号が操舵トルク信号と一致しない場合には異常と判定し、電動機駆動回路の動作を停止させる。
【0005】
このように、特開平6−305429号公報に開示された電動パワーステアリング装置は、電動機を駆動するためのメインの制御系を構成するCPUの異常動作により、操舵トルクに対応した電動機の駆動電流値が異常と判定された時には、電動機の駆動を停止させることができる。
【0006】
また、従来の電動パワーステアリング装置において、方向禁止回路を備え、操舵トルクが加えられている方向(例えば、右操舵)に対応して操向輪(タイヤ)を右方向に転舵するよう電動機を回転(例えば、正回転)させるための電動機電流は許容するが、操舵トルクが加えられている方向(例えば、右操舵)に対して電動機を逆回転させる電動機電流は、メインの制御系(例えば、CPU)の動作が異常と判断して禁止させるものも知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
特開平6−305429号公報に開示された電動パワーステアリング装置は、ハンドルに加わる操舵トルク信号と、この操舵トルク信号に対応して発生するPWM信号と電動機の駆動電流(電動機電流)、または電動機の駆動電流から逆算した操舵トルク信号とを比較し、両者が一致しない場合には電動機の駆動を禁止する構成のため、電動機を駆動するメインの制御系に路面状態による車両挙動に対応して駆動電流(電動機電流)の目標値を補正、例えば前輪の滑り角と後輪の滑り角の差(滑り角差)に応じてオーバステア補正量またはアンダステア補正量により目標値を減少補正する場合には、電動機に流れる電流は所望の電動機電流値よりも減少し、この電動機電流値から逆算した操舵トルク信号とハンドルに加わる操舵トルク信号が一致しなくなり、車両挙動の変化に対する補正制御という正常な制御であるにも拘わらず電動機の駆動を禁止してしまう課題がある。
【0008】
また、方向禁止回路を備えた従来の電動パワーステアリング装置は、操舵トルクの方向と反対方向に電動機を回転させる電動機電流を禁止するため、例えば車両挙動の変化をオーバステア補正量またはアンダステア補正量により補正する制御等による制御量が大きく、電動機から操舵トルクの方向と反対方向に補助操舵力(アシストトルク)をステアリング系に作用させて操舵を安定させるような場合には、方向禁止回路が動作して電動機の駆動を禁止してしまい、所望の操舵特性が実現できない課題がある。
【0009】
このように、路面状態によっては、操舵トルクの方向と逆方向に操舵補助力を作用させ、ドライバの操舵力を重くしても車両挙動を安定にするための操舵特性を実現することが要望されている。
【0010】
前述のような課題は、例えば特開平9−156528号公報に開示されているように、自車の進行方向方位角と道路の接線方向方位角の偏差を少なくする方向に電動機トルクを作用させるようにした電動パワーステアリング装置においても発生する。
【0011】
この発明はこのような課題を解決するためなされたもので、その目的は操舵方向と電動機の駆動方向が異なっても、メイン制御系の動作が正常な場合には電動機の駆動を許容し、操舵特性の自由度を広げることができる電動パワーステアリング装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するためこの発明に係る電動パワーステアリング装置は、ステアリング系に補助操舵力を付加する電動機と、ステアリング系の操舵トルクを検出する操舵トルクセンサと、電動機に流れる電動機電流を検出して電動機電流信号を出力する電動機電流検出手段と、少なくとも操舵トルクセンサからの操舵トルク信号に基づいて目標電流信号を設定する目標電流信号設定手段、操舵トルク信号とは無関係に補正信号を出力する補正手段、目標電流信号を補正信号で補正した基本目標電流信号と電動機電流信号の偏差信号に基づいて電動機制御信号を出力する駆動制御手段を備えた電動機制御手段、少なくとも操舵トルク信号に基づいて参照信号を設定する参照信号設定手段、基本目標電流信号と参照信号を比較して電動機制御信号の電動機駆動手段への供給を許可または禁止する出力禁止手段を有する制御手段と、電動機制御信号により電動機を駆動する電動機駆動手段とを備えた電動パワーステアリング装置において、出力禁止手段は、基本目標電流信号と参照信号との差が基準値を越える時に電動機制御信号の出力を禁止するとともに、補正信号が発生している時の基準値を補正信号が発生していない時の基準値よりも大きく設定したことを特徴とする。
【0013】
この発明に係る出力禁止手段は、基本目標電流信号と参照信号との差が基準値を越える時に電動機制御信号の出力を禁止するとともに、補正信号が発生している時の基準値を補正信号が発生していない時の基準値よりも大きく設定したので、マイクロプロセッサで構成する電動機制御手段に異常が発生して基本目標電流信号が異常値となった場合には、電動機駆動手段(ブリッジ回路)の動作を禁止して電動機の駆動を禁止することができる。
【0014】
この発明に係る出力禁止手段は、補正信号が発生している時の基準値を補正信号が発生していない時の基準値よりも大きく設定できるので、正常な補正制御で基本目標電流信号の方向が反対になる基準値を大きく設定し、操舵トルクと反対方向の基本目標電流信号を大きくしても電動機の駆動を許容することができる。
【0015】
また、この発明に係る出力禁止手段は、基本目標電流信号と参照信号の差の絶対値を演算する偏差絶対値演算手段、補正信号が発生していることを検出する信号検出手段、この信号検出手段からの検出信号に基づいて2つの基準値の一方を選択する切替手段、偏差絶対値演算手段からの絶対値と切替手段で選択した基準値とを比較して禁止信号を出力する比較手段を有する出力禁止判定手段を備えたことを特徴とする。
【0016】
この発明に係る出力禁止手段は、基本目標電流信号と参照信号の差の絶対値を演算する偏差絶対値演算手段、補正信号が発生していることを検出する信号検出手段、この信号検出手段からの検出信号に基づいて2つの基準値の一方を選択する切替手段、偏差絶対値演算手段からの絶対値と切替手段で選択した基準値とを比較して禁止信号を出力する比較手段を有する出力禁止判定手段を備えたので、基本目標電流信号と参照信号の大きさ、および補正信号の有無によって電動機駆動手段(ブリッジ回路)の動作を許容または禁止することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
なお、本発明はメイン制御系を構成する電動機制御手段の基本目標電流信号と電動機制御手段の動作を監視する参照信号とに基づいて電動機制御手段の異常を検出して電動機の駆動を禁止するとともに、基本目標電流信号の符号が参照信号の符号(操舵トルクの方向)と異なっていても、補正信号の有無によって正常な補正制御の場合には、操舵トルクと反対方向の電動機の駆動を許容して操舵特性の自由度を広げるものである。
【0018】
図1はこの発明に係る電動パワーステアリング装置の全体構成図である。
図1において、電動パワーステアリング装置1は、ステアリングホイール2、ステアリング軸3、ハイポイドギア4、ピニオン5aおよびラック軸5bなどからなるラック&ピニオン機構5、タイロッド6、操向車輪としての前輪7、補助トルク(補助操舵力)をステアリング系に作用する電動機8、制御手段13、電動機駆動手段14、電動機電流検出手段15を備える。
【0019】
また、電動パワーステアリング装置1は、車両に作用するヨー角速度を検出し、ヨー角速度に対応した電気信号に変換されたヨー角速度信号Yを出力するヨー角速度センサ9、前輪の切れ角を検出し、前輪の切れ角に対応した電気信号に変換された切れ角信号δを出力する切れ角センサ10、車速を検出し、車速に対応した電気信号に変換された車速信号Vを出力する車速センサ11、ステアリングホイール2に作用する操舵トルクを検出し、操舵トルクに対応した電気信号に変換された操舵トルク信号Tを出力する操舵トルクセンサ12を備える。
なお、切れ角信号δはステアリング軸の操舵角から算出してもよい。
【0020】
ヨー角速度信号Y、切れ角信号δ、および操舵トルク信号Tは、それぞれ大きさと方向を有し、制御手段13に供給される。
なお、ヨー角速度信号Y、切れ角信号δおよび操舵トルク信号Tの方向は、時計回り方向を正(プラス)とし、反時計回り方向を負(マイナス)とする。
【0021】
ステアリングホイール2を操舵すると、ステアリング軸3に加えられる手動操舵トルクは、ラック&ピニオン機構5を介してピニオン5aの回転力がラック軸5bの軸方向の直線運動に変換され、タイロッド6を介して前輪7の操向を変化させる。
【0022】
手動の操舵トルクをアシストするため、操舵トルク信号Tに対応して電動機8が駆動されると、電動機トルクがハイポイドギア4を介して倍力された補助トルク(アシストトルク)に変換されてステアリング軸3に作用し、ドライバの操舵力を軽減する。
【0023】
制御手段13は、マイクロプロセッサを基本に各種演算手段、処理手段、判定手段、メモリ等で構成し、少なくとも操舵トルク信号Tに対応した目標電流信号を発生する目標電流信号発生手段、目標電流信号と電動機電流検出手段15が検出した電動機電流IMに対応した電動機電流信号IMFとの差(負帰還)に応じた電動機制御信号VO(例えば、オン信号、オフ信号およびPWM信号の混成信号)を発生する駆動制御手段を有する電動機制御手段を備え、目標電流信号と電動機電流信号IMFの差が速やかに0となるように電動機駆動手段14の駆動を制御する。
【0024】
また、制御手段13は、滑り角差推定手段、補正量出力手段等からなり、補正手段を構成する、例えば車両挙動判定手段を備え、ヨー角速度信号Y、切れ角信号δ、車速信号Vおよび車両の寸法パラメータ(ホイールベース)に基づいて前輪の滑り角と後輪の滑り角の差(角差信号)を演算で推定し、この差(角差信号)の大きさに基づいてアンダステア補正量およびオーバステア補正量を決定し、この補正量で目標電流信号を補正した新たな目標電流信号を基本目標電流信号として発生する。
【0025】
さらに、制御手段13は、前輪の滑り角と後輪の滑り角の差(角差信号)の方向(P)およびヨー角速度信号Yの方向(N)を比較することにより、車両の状態(車両挙動)がアンダステア領域またはオーバステア領域のいずれであるかを判定する。
【0026】
また、制御手段13は、少なくとも操舵トルクに対応した参照信号を発生する参照信号設定手段を備える。
なお、参照信号は、目標電流信号発生手段が発生する目標電流信号と同じに設定する。
【0027】
制御手段13は、電動機制御手段からの基本目標電流信号と参照信号設定手段からの参照信号の大きさおよび方向(極性)に基づいて基本目標電流信号の許容範囲を決定し、基本目標電流信号が許容範囲を超える場合には、電動機駆動手段14へ供給する電動機制御信号VOを禁止する出力禁止手段を備える。
【0028】
電動機駆動手段14は、例えば4個のパワーFET(電界効果トランジスタ)、絶縁ゲート・バイポーラトランジスタ(IGBT)等のスイッチング素子からなるブリッジ回路で構成し、電動機制御信号VOに基づいてPWM(パルス幅変調)の電動機電圧VMを出力し、電動機8を正回転または逆回転にPWM駆動する。
【0029】
電動機電流検出手段15は、電動機8と直列に接続された抵抗器またはホール素子等で電動機電流IMを電圧に変換して検出し、電動機電流IMに対応した電動機電流信号IMFを制御手段13にフィードバック(負帰還)する。
【0030】
図2は本発明に係る電動パワーステアリング装置の一実施の形態基本要部ブロック構成図である。
図2において、電動パワーステアリング装置1の制御手段13は、マイクロプロセッサで構成し、メインの制御系を形成する目標電流信号設定手段21、偏差演算手段22 、駆動制御手段23、補正手段を構成する車両挙動判定手段24、減算手段25を備えた電動機制御手段を備える。
【0031】
また、制御手段13は、マイクロプロセッサや個別(デスクリート)部品のディジタル回路で構成した参照信号設定手段16、出力禁止手段17を備える。
【0032】
目標電流信号設定手段21は、ROM等のメモリで構成し、予め図9に示す車速信号Vをパラメータにした操舵トルク信号T−目標電流信号IMS特性データを記憶しておき、車速センサ11および操舵トルクセンサ12からそれぞれ車速信号V、操舵トルク信号Tが供給されると、対応する目標電流信号IMSデータを読み出し、目標電流信号IMSを減算手段25に供給する。
なお、図9に示す目標電流信号IMSは車速信号Vが大きくなるに伴い(Vl→Vm→Vh)、同じ操舵トルク信号Tに対して目標電流信号IMSを小さく設定して高車速領域における車両の挙動が安定するように設定する。
【0033】
偏差演算手段22は、減算器または減算機能を備え、減算手段25から供給される基本目標電流信号IHと、電動機電流検出手段15から供給される電動機電流信号IMFとの偏差ΔI(=IH−IMF)を演算し、偏差信号ΔI(=IH−IMF)を駆動制御手段23に供給する。
【0034】
駆動制御手段23は、PIDコントローラ、電動機制御信号発生手段等を備え偏差演算手段22から供給される偏差信号ΔIに比例(P)、積分(I)および微分(D)制御を施した後、これら比例・積分・微分(PID)制御を施した信号を混合した混合信号に基づいてハンドルの右操舵または左操舵に対応したPWMの電動機制御信号VDを発生し、電動機制御信号VDを出力禁止手段17に供給する。
【0035】
車両挙動判定手段(補正手段)24は、滑り角差推定手段、方向判定手段、選択手段、アンダステア補正量出力手段、オーバステア補正量出力手段等を備え、車速センサ11から供給される車速信号V、ヨー角速度センサ9から供給されるヨー角速度信号Yおよび切れ角センサ10から供給される切れ角信号δから車両の前輪滑り角(βf)と車両の後輪滑り角(βr)との差(角差βfr=βf−βr)を演算し、この角差信号(βfr)基づいてアンダステア補正量(DA)、オーバステア補正量(DO)を発生し、アンダステア補正量(DA)またはオーバステア補正量(DO)に対応した補正信号IDを減算手段25および出力禁止手段17に供給する。
【0036】
図3はこの発明に係る車両挙動判定手段(補正手段)の要部ブロック構成図である。
図3において、車両挙動判定手段(補正手段)24は、車速係数発生手段26、滑り角差推定手段30、選択手段31、方向判定手段32、アンダステア補正量出力手段33、オーバステア補正量出力手段34、乗算手段35、乗算手段36、加算手段37、角差変化量演算手段39、角差変化係数発生手段40を備える。
【0037】
車速係数発生手段26は、ROM等のメモリを備え、予め図10に示す車速信号Vと車速係数KRの特性データを記憶しておき、車速センサ11から車速信号Vが供給されると、対応する車速係数KRを読み出して乗算手段35および乗算手段36に提供する。
【0038】
滑り角差推定手段30は、メモリ、演算機能を備え、車速信号V、ヨー角速度信号Y、切れ角信号δおよびメモリに予め設定した車両の寸法パラメータL(例えば、ホイールベース)に基づいて数1から前輪滑り角(βf)と後輪滑り角(βr)との差βfr(=βf−βr)を演算し、角差信号βfrを選択手段31、方向判定手段32および角差変化量演算手段39に供給する。
【0039】
【数1】
βfr=Y*L/V−δ
【0040】
なお、前輪滑り角(βf)および後輪滑り角(βr)は、タイヤの向きを基準としてタイヤの進行方向への角度を表わすので、時計回り方向へハンドルを切った場合、前輪タイヤの向きに対してタイヤの進行方向は反時計回り方向となり、時計回り方向を正(プラス)とすると前輪滑り角(βf)の方向は負(マイナス)となる。
【0041】
同様に、後輪滑り角(βr)も負(マイナス)となり、角差信号βfrの方向(符号)は後輪滑り角(βr)の絶対値|βr|が前輪滑り角(βf)の絶対値|βf|以上(|βr|≧|βf|)となるまでは、負(マイナス)で表わす。
また、方向判定手段32に供給するヨー角速度信号Yに代えて横加速度Gで代用してもよい。
【0042】
選択手段31は、ソフト制御のスイッチ機能を備え、方向判定手段32から供給される判定信号HOに基づいてスイッチを切り替え、滑り角差推定手段30から供給される角差信号βfrをアンダステア補正量出力手段33またはオーバステア補正量出力手段34に供給する。
【0043】
方向判定手段32は、符号比較機能を備え、滑り角差推定手段30から供給される角差信号βfrの方向信号Pと、ヨー角速度センサ9から供給されるヨー角速度信号Yの方向信号Nに基づいて、方向信号Pと方向信号Nが一致(符号が同一)する場合には、例えばHレベルの判定信号HOを選択手段31に供給し、方向信号Pと方向信号Nが異なる(符号が異なる)場合には、例えばLレベルの判定信号HOを選択手段31に供給する。
【0044】
角差信号βfrの方向信号Pとヨー角速度信号Yの方向信号Nとが異なる(不一致)場合、例えばヨー角速度信号Yが時計回り方向であって、前輪の反時計回り方向滑り角(βf)が後輪の反時計回り方向滑り角(βr)よりも大きいような場合には、ヨー角速度信号Yの方向信号Nがプラス(+)で角差信号βfrの方向信号Pがマイナス(−)となり、車両挙動のアンダステア領域と判定して選択手段31はアンダステア補正量出力手段33を選択(実線表示)する。
【0045】
一方、角差信号βfrの方向信号Pとヨー角速度信号Yの方向信号Nとが同じ(一致)場合、例えばヨー角速度Yが時計回り方向であって、後輪の反時計回り方向滑り角(βr)が前輪の反時計回り方向滑り角(βf)よりも大きいような場合には、ヨー角速度信号Yの方向信号Nがプラス(+)で角差信号βfrの方向信号Pがプラス(+)となり、車両挙動のオーバステア領域と判定して選択手段31はオーバステア補正量出力手段34を選択(破線表示)する。
【0046】
車両挙動の強いアンダステア領域とは、現在の操舵状態からこれ以上ハンドルを切り込んでも車両がこれ以上曲らない状態であり、ドライバに反力を強く感じさせてハンドルを戻した方が良いことを知らせる操舵領域である。
【0047】
なお、弱いアンダステア領域では反力の補正は不要であるので、図11に示すように角差信号βfrの絶対値|βfr|に対するアンダステア補正量DAの不感帯領域を大きく設定している。
【0048】
一方、車両の強いオーバステア領域とは、そのままでは車両がスピンする虞のある状態であり、ドライバに反力を強く感じさせてカウンタステアを行い易くしている。
【0049】
アンダステア補正量出力手段33は、ROM等のメモリを備え、予め図11に示す角差信号の絶対値|βfr|とアンダステア補正量DAとの特性データを記憶しておき、選択手段31から角差信号βfrが供給されると、対応するアンダステア補正量DAを読み出し、アンダステア補正量信号DAを乗算手段35に供給する。
【0050】
オーバステア補正量出力手段34は、ROM等のメモリを備え、予め図12に示す角差信号の絶対値|βfr|とオーバステア補正量DOとの特性データを記憶しておき、選択手段31から角差信号βfrが供給されると、対応するオーバステア補正量DOを読み出し、オーバステア補正量信号DOを乗算手段36に供給する。
【0051】
なお、アンダステア補正量DA、オーバステア補正量DOは、それぞれ図11、図12に示すように不感帯をそれぞれ独自に設定しているので、アンダステア状態またはオーバステア状態に応じた最適な補正を行うことができる。
【0052】
乗算手段35は、ソフト制御の乗算機能を備え、車速係数KR、アンダステア補正量信号DAおよび角差変化係数KVを乗算処理し、減算補正信号としてのアンダステア補正量信号IDA(=KR*KV*DA)を加算手段37に供給する。
【0053】
アンダステア補正量信号IDAは、図11に示すアンダステア補正量DAを図10に示す車速係数KRで補正するので、低車速領域ではアンダステア補正量DAを0として補正を行わず、中車速から高車速領域ではアンダステア補正量DAの特性と同じに設定することができる。
【0054】
乗算手段36は、ソフト制御の乗算機能を備え、車速係数KR、オーバステア補正量信号DOおよび角差変化係数KVを乗算処理し、減算補正信号としてのオーバステア補正量信号IDO(=KR*KV*DO)を加算手段37に供給する。
【0055】
オーバステア補正量信号IDOは、図12に示すオーバステア補正量DOを図10示す車速係数KRで補正するので、低車速領域ではオーバステア補正量DOを0として補正を行わず、中車速から高車速領域ではオーバステア補正量DOの特性と同じに設定することができる。
なお、オーバステア補正量DOは、アンダステア補正量DAに比べ、不感帯を狭く傾きも小さく設定する。
【0056】
加算手段37は、ソフト制御の加算機能を備え、乗算手段35から供給されるアンダステア補正量信号IDA(=KR*KV*DA)と、乗算手段36から供給されるオーバステア補正量信号IDO(=KR*KV*DO)を加算処理し、アンダステア補正量信号IDAまたはオーバステア補正量信号IDOのいずれか一方を補正信号IDとして図2に示す減算手段25および出力禁止手段17に供給する。
【0057】
角差変化量演算手段39は、微分演算機能を備え、滑り角差推定手段30から供給される角差信号βfrに微分演算を施し、角差変化量信号DV(=dβfr/dt)を角差変化係数発生手段40に供給する。
【0058】
角差変化係数発生手段40は、ROM等のメモリを備え、予め図13に示す角差変化量DVと角差変化係数KVの特性データを記憶しておき、角差変化量信号DVが供給されると、対応した角差変化係数KVを読み出して乗算手段35および乗算手段36に供給する。
【0059】
角差変化量DVは、角差信号βfrの変化を示し、したがって車両挙動の時間的な変化を表わすので、車両挙動の急激な変化に対応したアンダステア補正量信号IDA(=KR*KV*DA)またはオーバステア補正量信号IDO(=KR*KV*DO)を発生することができる。
【0060】
図2に戻り、減算手段25は、減算機能を備え、目標電流信号設定手段21から供給される目標電流信号IMSと図3に示す車両挙動判定手段24から供給される補正信号IDの差(=IMS−ID)を演算し、基本目標電流信号IH(=IMS−ID)として偏差演算手段22および出力禁止手段17の出力禁止判定手段18に供給する。
【0061】
参照信号設定手段16は、ROM等のメモリで構成し、 目標電流信号設定手段21と同様に、予め図9に示す車速信号Vをパラメータにした操舵トルク信号T−目標電流信号IMS特性データの目標電流信号IMSと同一の特性を有するを参照信号IRSに置き換えて記憶しておき、車速センサ11および操舵トルクセンサ12からそれぞれ車速信号V、操舵トルク信号Tが供給されると、対応する参照信号IRSを出力禁止手段17の出力禁止判定手段18に供給する。
なお、参照信号IRSは、図9とは異なる操舵トルク信号T−目標電流信号IMS特性データから求めるようにしてもよく、また、操舵トルク信号Tと同じ符号(方向)で、操舵トルク信号Tの絶対値に拘わらず一定の値に設定することも可能である。
【0062】
出力禁止手段17は、出力禁止判定手段18、信号停止手段19を備える。
出力禁止判定手段18は、減算機能、メモリ、信号検出機能、切替機能等を備え、電動機制御手段の偏差演算手段25から供給される基本目標電流信号IHと参照信号設定手段16から供給される参照信号IRSとの差(=IH−IRS)と、車両挙動判定手段24から供給される補正信号IDに基づいて禁止信号SKを信号停止手段19に供給する。
【0063】
図4はこの発明に係る出力禁止判定手段の実施の形態要部ブロック構成図である。
図4において、出力禁止判定手段18は、偏差絶対値演算手段41、基準値記憶手段42、信号検出手段43、切替手段44、比較手段45を備える。
【0064】
偏差絶対値演算手段41は、減算機能、絶対値演算機能を備え、基本目標電流信号IHと参照信号IRSとの差(=IH−IRS)を演算した後、絶対値演算処理を施し、偏差絶対値ΔIZ(=|IH−IRS|)を比較手段45に供給する。
【0065】
基準値記憶手段42は、ROM等のメモリで構成し、予め基準値データK1および基準値データK2を記憶しておき、基準値データK1および基準値データK2を読み出して切替手段44に供給する。
【0066】
基準値K1は絶対値とし、補正信号IDが発生している状態で、基本目標電流信号IHと参照信号IRSとの偏差絶対値ΔIZ(=|IH−IRS|)が正常な制御である上限値に設定する。
また、基準値K2は絶対値とし、補正信号IDが発生していない状態で、基本目標電流信号IHと参照信号IRSとの偏差絶対値ΔIZ(=|IH−IRS|)が正常な制御である上限値に設定する。
なお、基準値K1(絶対値)は基準値K2(絶対値)よりも大きな値(|基準値K1|>|基準値K2|)に設定する。
【0067】
信号検出手段43は、コンパレータ等のレベル比較機能を備え、車両挙動判定手段24から供給される補正信号IDと0値または低レベルのしきい値と比較して増幅し、補正信号IDが発生している場合にはHレベルの検出信号SOを切替手段44に供給する。
また、信号検出手段43は、補正信号IDが発生していない場合にはLレベルの検出信号SOを切替手段44に供給する。
【0068】
切替手44は、切替え機能を有し、信号検出手段43からHレベルの検出信号SOが提供された時には基準値記憶手段42から供給される基準値K1を選択し、基準値K(=K1)として比較手段45に供給する。
一方、切替手段44は、信号検出手段43からLレベルの検出信号SOが提供された時には基準値記憶手段42から供給される基準値K2を選択し、基準値K(=K2)として比較手段45に供給する。
【0069】
比較手段45は、比較機能、バッファ出力およびインバータ出力機能を備え、偏差絶対値演算手段41から供給される偏差絶対値ΔIZ(=|IH−IRS|)と基準値K(K1またはK2)とを比較し、偏差絶対値ΔIZが基準値K(K1またはK2)を超える場合には、Lレベルの禁止信号SK(SK1またはSK2)を図2に示す信号停止手段19に供給する。
【0070】
また、比較手段45は、偏差絶対値ΔIZが基準値K(K1またはK2)以下の場合には、Hレベルの禁止信号SK(SK1またはSK2)を信号停止手段19に供給する。
【0071】
一例として、Lレベルの禁止信号SK1は電動機8の正回転を禁止する信号であり、Lレベルの禁止信号SK2は電動機8の逆回転を禁止する信号である。
なお、正常な制御状態では、禁止信号SK(SK1,SK2)を常にHレベルに保持する。
【0072】
例えば、補正信号IDが発生しており、基本目標電流信号IHがプラス(+)で、差絶対値ΔIZが基準値K1を超えた(ΔIZ>K1)時には、それぞれ禁止信号SK1をLレベル、禁止信号SK2をHレベルに設定し、電動機8の正回転を禁止する。
【0073】
一方、補正信号IDが発生しており、基本目標電流信号IHがマイナス(−)で、偏差絶対値ΔIZ(−)が基準値−K1を下回る(ΔIZ<−K1)時には、それぞれ禁止信号SK1をHレベル、禁止信号SK2をLレベルに設定し、電動機8の逆回転を禁止する。
【0074】
また、補正信号IDが発生していなく、基本目標電流信号IHがプラス(+)で、偏差絶対値ΔIZが基準値K2を超えた(ΔIZ>K2)時には、それぞれ禁止信号SK1をLレベル、禁止信号SK2をHレベルに設定し、電動機8の正回転を禁止する。
【0075】
一方、補正信号IDが発生していなく、基本目標電流信号IHがマイナス(−)で、偏差絶対値ΔIZ(−)が基準値K2を下回る(ΔIZ<−K2)時には、それぞれ禁止信号SK1をHレベル、禁止信号SK2をLレベルに設定し、電動機8の逆回転を禁止する。
【0076】
図2に戻り、信号停止手段19は、論理積演算機能を有し、出力禁止判定手段18から供給される禁止信号SKに基づいて駆動制御手段23から供給される電動機制御信号VDを電動機制御信号VOとして電動機駆動手段14に供給したり、禁止したりする。
【0077】
図5はこの発明に係る信号停止手段の実施の形態要部ブロック構成図である。
図5において、信号停止手段19は、2入力の論理積手段19A〜19Dで構成し、論理積手段19A〜19Dのそれぞれの一方の入力には図2に示す駆動制御手段23から供給される電動機制御信号VDを形成する4つの電動機制御信号VD1〜VD4を入力する。
【0078】
図6は駆動制御手段の要部ブロック構成図を示す。
図6において、駆動制御手段23は、PIDコントローラ28、電動機制御信号発生手段29を備える。
PIDコントローラ28は、図2に示す偏差演算手段22から供給される偏差信号ΔIにP(比例)制御、I(積分)制御およびD(微分)制御を施し、PID制御を施した信号ICを電動機制御信号発生手段29に供給する。
【0079】
電動機制御信号発生手段29は、PWM信号発生手段、オン/オフ信号発生手段を備え、PIDコントローラ28から供給される信号ICに基づき、偏差信号ΔIがプラス(+)の場合にはPWM信号VPWMのVD1、オン信号VONのVD2、オフ信号VOFのVD3、オフ信号VOFのVD4を電動機制御信号VDとして信号停止手段19の論理積手段19A〜19Dのそれぞれの一方の入力に供給する。
【0080】
また、電動機制御信号発生手段29は、偏差信号ΔIがマイナス(−)の場合にはオフ信号VOFのVD1、オフ信号VOFのVD2、PWM信号VPWMのVD3、オン信号VONのVD4を信号停止手段19の論理積手段19A〜19Dのそれぞれの一方の入力に供給する。
【0081】
図5に戻り、論理積手段19Aおよび19Bのそれぞれの他方の入力には、出力禁止判定手段18から供給される禁止信号SK1を入力し、論理積手段19Cおよび19Dそれぞれの他方の入力には、出力禁止判定手段18から供給される禁止信号SK2を入力する。
【0082】
図4に示す偏差絶対値演算手段41から供給される偏差絶対値ΔIZが基準値K(K1またはK2)以下(ΔIZ≦K1,K2)の場合には禁止信号SK1,SK2がいずれもHレベルであり、信号停止手段19は、図6に示す電動機制御信号発生手段29から供給される電動機制御信号VD(VD1,VD2,VD3,VD4)をそのまま電動機制御信号VO(VO1,VO4,VO2,V03)として出力する。
【0083】
また、偏差絶対値演算手段41から供給される偏差絶対値ΔIZが基準値K(K1またはK2)を越える(ΔIZ>K1またはΔIZ>K2)場合には、基準値Kを越える側の基本目標電流信号IHの符号に対応したLレベルの禁止信号SK1またはSK2が入力された論理積手段19A〜19Dの電動機制御信号VD(VD1,VD2,VD3,VD4)の出力を禁止する。
【0084】
例えば、補正信号IDが発生しており、基本目標電流信号IHの符号がプラス(+)で、偏差絶対値ΔIZが基準値K1を超える(ΔIZ>K1)時には、論理積手段19Aおよび19Bに供給される禁止信号SK1をLレベルに設定し、電動機制御信号VD1およびVD2の出力を禁止する。
この状態では、論理積手段19Cおよび19Dに供給される禁止信号SK2をHレベルに設定し、電動機制御信号VD3およびVD4の出力を許容し、電動機制御信号V02,V03として出力する。
【0085】
また、補正信号IDが発生していなく、基本目標電流信号IHの符号がマイナス(−)の場合で、偏差絶対値ΔIZ(−)が基準値−K2を下回る(ΔIZ<−K2)時には、論理積手段19Cおよび19Dに供給される禁止信号SK2をLレベルに設定し、電動機制御信号VD3およびVD4の出力を禁止する。
この状態では、論理積手段19Aおよび19Bに供給される禁止信号SK1をHレベルに設定し、電動機制御信号VD1およびVD2の出力を許容し、電動機制御信号V01,V02として出力する。
【0086】
このように、この発明に係る出力禁止手段17は、基本目標電流信号IHと参照信号IRSとの差が基準値Kを越える時に電動機制御信号VDの出力を禁止するとともに、補正信号IDが発生している時の基準値K1よりも補正信号IDが発生していない時の基準値K2を小さく設定したので、マイクロプロセッサで構成する電動機制御手段に異常が発生して基本目標電流信号IHが異常値を発生した場合には、電動機駆動手段(ブリッジ回路)14の動作を禁止することができる。
【0087】
この発明に係る出力禁止手段17は、基本目標電流信号IHと参照信号IRSの差の絶対値ΔIZを演算する偏差絶対値演算手段41、補正信号IDが発生していることを検出する信号検出手段43、この信号検出手段43からの検出信号SOに基づいて2つの基準値K1,K2の一方を選択する切替手段44、偏差絶対値演算手段41からの絶対値ΔIZと切替手段44で選択した基準値K1,K2とを比較して禁止信号SK1,SK2を出力する比較手段45を有する出力禁止判定手段18を備えたので、基本目標電流信号IHと参照信号IRSの大きさ、および補正信号IDの有無によって電動機駆動手段(ブリッジ回路)14の動作を許容または禁止することができる。
【0088】
図7は電動機駆動手段を構成するFETブリッジ回路図である。
図7において、電動機駆動手段(FETブリッジ回路)14は、4個のFET(電界効果トランジスタ)Q1〜Q4から構成する。
FET(電界効果トランジスタ)Q1〜Q4のゲートG1〜G4には、それぞれ電動機制御信号V01〜V04が供給される。
【0089】
電動機8を正回転させる場合、Q1のゲートG1に電動機制御信号VO1としてPWM信号VPWMを供給するとともに、Q4のゲートG4に電動機制御信号VO4としてオン信号VONを供給し、Q2,Q3のゲートG2,G3には電動機制御信号V02,V03としてオフ信号VOFを供給することにより、バッテリ電源VB(12V)→FET(電界効果トランジスタ)Q1→端子M1→電動機8→端子M2→FET(電界効果トランジスタ)Q4→接地(GND)の経路で電動機電流IM+を流す。
【0090】
また、電動機8を逆回転させる場合、Q2のゲートG2に電動機制御信号VO2としてPWM信号VPWMを供給するとともに、Q3のゲートG3に電動機制御信号VO3としてオン信号VONを供給し、Q1,Q4のゲートG1,G4には電動機制御信号V01,V04としてオフ信号VOFを供給することにより、バッテリ電源VB(12V)→FET(電界効果トランジスタ)Q2→端子M2→電動機8→端子M1→FET(電界効果トランジスタ)Q3→接地(GND)の経路で電動機電流IM−を流す。
【0091】
出力禁止手段17は、FET(電界効果トランジスタ)Q1〜Q4のゲートG1〜G4に供給する電動機制御信号V01〜V04を許容または禁止することにより、電動機8の駆動を制御することができる。
【0092】
次に、この発明の出力禁止手段の動作を図8を参照して説明する。
図8はこの発明に係る電動パワーステアリング装置の出力禁止手段の動作説明図である。
(a)図は補正信号IDの有無を検出する検出信号SO波形図、(b)図は基本目標電流信号IHと参照信号IRSの差(=IH−IRS)と基準値K1,K2の関係図、(c)図は禁止信号SK1波形図、(d)図は禁止信号SK2波形図、(e)図は電動機電流IM+,IM−の許容、禁止説明図を示す。
【0093】
なお、図8は目標電流信号IMSがプラス(+)の場合についての説明図である。
また、目標電流信号IMSがマイナス(−)の場合については、(b)および(e)の符号を逆にすることで同様に扱えるので説明を省略する。
【0094】
(a)図において、時間0から時間t3までは、検出信号SOがLレベルであり、補正信号IDは発生されていない状態を示す。
また、時間t3から時間t10間は、検出信号SOがHレベルであり、補正信号IDは発生されている状態を示す。
【0095】
補正信号IDが発生されていない時間0から時間t3では、基本目標電流信号IHと参照信号IRSは同じであり、(b)図に示す基本目標電流信号IHと参照信号IRSの差(=IH−IRS)は、電動機制御手段が正常動作をしている場合には常に0値となる。
【0096】
時間t1からt2の間に、電動機制御手段を構成するマイクロプロセッサに異常が発生し、例えば目標電流信号IMSが異常に大きなレベル(+極性側)となり、参照信号IRSは正常のレベルである場合には、基本目標電流信号IHが異常に大きなレベルとなることによって基本目標電流信号IHと参照信号IRSの差(=IH−IRS)も大きなレベル(+極性側)となる。
【0097】
一方、時間0から時間t3では、目標電流信号IMSがプラス(+)、補正信号IDが発生されない状態であり、かつ(IH−IRS)は補正信号IDが発生されない時に設定される基準値K2を超える(斜線表示)ため、(c)図の禁止信号SK1はHレベルからLレベルとなる。
一方、(d)図の禁止信号SK2はHレベルを保持する。
【0098】
(e)図の電動機電流IMは、目標電流信号IMSが0より大きい(IMS>0)時に、プラス(+)極性の電動機電流IM+が流れ、時間t1と時間t2の間にマイクロプロセッサの異常によって過大な電動機電流IM+が流れることになるが、Lレベルの禁止信号SK1により、時間t1から時間t2間の過大な電動機電流IM+を禁止することができる。
なお、(e)図の電動機電流IM(IM+,IM−)は、説明の都合上、電動機電流IM+または電動機電流IM−が流れるか否かを示し、電流値の大小は省略する。
【0099】
次に、(a)図において、補正信号IDが発生している時間t3から時間t10では、プラス(+)極性の目標電流信号IMSがプラス(+)極性の補正信号ID(図3に示すアンダステア補正量信号IDAまたはオーバステア補正量信号IDO)で減少補正されるため、基本目標電流信号IHは、目標電流信号IMSと実質的に同じである参照信号IRSより小さい値(IH<IRS)となる。
なお、基本目標電流信号IHは、補正信号IDが目標電流信号IMSより小さい(ID<IMS)場合にはプラス(+)極性となり、補正信号IDが目標電流信号IMSより大きい(ID>IMS)場合にはマイナス(−)極性となる。
【0100】
(b)図に示す基本目標電流信号IHと参照信号IRSの差(=IH−IRS)は、補正信号IDが発生しているので常にマイナス(−)極性であり、基準値は−K1に設定される。
【0101】
時間t4から時間t5の間では、目標電流信号IMSよりも補正信号IDが大きい(IMS<ID)場合を示し、目標電流信号IMSと補正信号IDの差である基本目標電流信号IH(=IMS−ID)はマイナス(−)となる。
【0102】
時間t4から時間t5の間で、(b)図の(IH−IRS)はマイナス(−)であるが基準値−K1より大きく(IH−IRS>−K1)、(c)図の禁止信号SK1および(d)図の禁止信号SK2はいずれもHレベルを保ち、基本目標電流信号IH(=IMS−ID)がマイナス(−)であることから、(e)図の電動機電流IMは禁止されることなく電動機電流IM−が流れる。
【0103】
時間t6から時間t9の間でもマイナス(−)の電動機電流IM−が流れるが、(b)図の基本目標電流信号IHと参照信号IRSの差(=IH−IRS)が時間t7と時間t8の間でマイクロプロセッサの異常によってマイナス(−)の過大な値となり、基準値−K1を下回る(IH−IRS<−K1)ので、(c)図の禁止信号SK1はHレベルを保つが、(d)図の禁止信号SK2がLレベルとなって時間t7と時間t8の間だけマイナス(−)の電動機電流IM−を禁止する。
【0104】
このように、補正信号IDが発生しない状態で、かつ基本目標電流信号IHと参照信号IRSの差(=IH−IRS)が基準値K2を超える場合には、通常の制御では起こらない異常現象が電動機制御手段を構成するマイクロプロセッサに発生したと判定し、異常により発生する電動機制御信号VOを禁止して電動機電流IMを停止することができる。
【0105】
また、補正信号IDが発生する状態で、かつ基本目標電流信号IHと参照信号IRSの差(=IH−IRS)が基準値K1を超える場合には、通常の補正制御では起こらない異常現象が電動機制御手段を構成するマイクロプロセッサに発生したと判定し、異常により発生する電動機制御信号VOを禁止して電動機電流IMを停止することができる。
なお、本発明は、特開平9−156528号公報に開示された電動パワーステアリング装置にも適用することができる。
【0106】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明に係る出力禁止手段は、基本目標電流信号と参照信号との差が基準値を越える時に電動機制御信号の出力を禁止するとともに、補正信号が発生している時の基準値を補正信号が発生していない時の基準値よりも大きく設定したので、マイクロプロセッサで構成する電動機制御手段に異常が発生して基本目標電流信号が異常値となった場合には、電動機駆動手段(ブリッジ回路)の動作を禁止して電動機の駆動を禁止することができ、基本目標電流信号の異常値に伴う操舵特性の不安定性を解消することができる。
【0107】
また、補正信号による目標電流信号と反対方向の電動機電流を流すことができるとともに、補正信号が発生してない時よりも大きな基準値を設定することができ、操舵トルクの方向と反対方向に充分大きな補助操舵力を作用させることができ、アンダステア補正やオーバステア補正を充分に実行して車両挙動の安定化を図ることができる。
【0108】
さらに、この発明に係る出力禁止手段は、基本目標電流信号と参照信号の差の絶対値を演算する偏差絶対値演算手段、補正信号が発生していることを検出する信号検出手段、この信号検出手段からの検出信号に基づいて2つの基準値の一方を選択する切替手段、偏差絶対値演算手段からの絶対値と切替手段で選択した基準値とを比較して禁止信号を出力する比較手段を有する出力禁止判定手段を備え、基本目標電流信号と参照信号の大きさ、および補正信号の有無によって電動機駆動手段(ブリッジ回路)の動作を許容または禁止するので、アンダステア補正やオーバステア補正のような補正制御を充分に行い、車両挙動を安定化して最適な操舵フィーリングを得ることができる。
【0109】
よって、操舵特性を決定する電動機制御手段を構成するメインのマイクロプロセッサに異常
が発生した場合にはアシストを禁止するとともに、操舵方向と反対方向のアシスト力を大きく設定することにより、補正制御の範囲を広げて車両挙動の安定化のための操舵特性が得られる電動パワーステアリング装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る電動パワーステアリング装置の全体構成図
【図2】本発明に係る電動パワーステアリング装置の一実施の形態基本要部ブロック構成図
【図3】この発明に係る車両挙動判定手段(補正手段)の要部ブロック構成図
【図4】この発明に係る出力禁止判定手段の実施の形態要部ブロック構成図
【図5】この発明に係る信号停止手段の実施の形態要部ブロック構成図
【図6】駆動制御手段の要部ブロック構成図
【図7】電動機駆動手段を構成するFETブリッジ回路図
【図8】この発明に係る電動パワーステアリング装置の出力禁止手段の動作説明図
【図9】車速信号Vをパラメータにした操舵トルク信号T−目標電流信号IMS特性図
【図10】車速信号V−車速係数KR特性図
【図11】角差信号|βfr|−アンダステア補正量DA特性図
【図12】角差信号|βfr|−オーバステア補正量DO特性図
【図13】角差変化量DV−角差変化係数KV特性図
【符号の説明】
1…電動パワーステアリング装置、8…電動機、9…ヨー角速度センサ、10…切れ角センサ、11…車速センサ、12…操舵トルクセンサ、13…制御手段、14…電動機駆動手段(FETブリッジ回路)、15…電動機電流検出手段、16…参照信号設定手段、17…出力禁止手段、18…出力禁止判定手段、19…信号停止手段、21…目標電流信号設定手段、22…偏差演算手段、23…駆動制御手段、24…車両挙動判定手段(補正手段)、25…減算手段、41…偏差絶対値演算手段、42…基準値記憶手段、43…信号検出手段、44…切替手段、45…比較手段。

Claims (2)

  1. ステアリング系に補助操舵力を付加する電動機と、ステアリング系の操舵トルクを検出する操舵トルクセンサと、前記電動機に流れる電動機電流を検出して電動機電流信号を出力する電動機電流検出手段と、少なくとも前記操舵トルクセンサからの操舵トルク信号に基づいて目標電流信号を設定する目標電流信号設定手段、操舵トルク信号とは無関係に補正信号を出力する補正手段、目標電流信号を補正信号で補正した基本目標電流信号と電動機電流信号の偏差信号に基づいて電動機制御信号を出力する駆動制御手段を備えた電動機制御手段、少なくとも操舵トルク信号に基づいて参照信号を設定する参照信号設定手段、基本目標電流信号と参照信号を比較して電動機制御信号の電動機駆動手段への供給を許可または禁止する出力禁止手段を有する制御手段と、電動機制御信号により前記電動機を駆動する電動機駆動手段と、を備えた電動パワーステアリング装置において、
    前記出力禁止手段は、基本目標電流信号と参照信号との差が基準値を越える時に電動機制御信号の出力を禁止するとともに、補正信号が発生している時の基準値を補正信号が発生していない時の基準値よりも大きく設定したことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 前記出力禁止手段は、基本目標電流信号と参照信号の差の絶対値を演算する偏差絶対値演算手段、補正信号が発生していることを検出する信号検出手段、この信号検出手段からの検出信号に基づいて2つの基準値の一方を選択する切替手段、前記偏差絶対値演算手段からの絶対値と切替手段で選択した基準値とを比較して禁止信号を出力する比較手段を有する出力禁止判定手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の電動パワーステアリング装置。
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