JP3603438B2 - 増幅型固体撮像素子及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、信号電荷をサンプルホールドする容量素子を内蔵した増幅型固体撮像素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
CCD固体撮像素子は、通常、出力回路として数段のソースフォロア回路からなる電荷検出回路を内蔵するのみである。
近年、固体撮像素子の高解像度化の要求に従って、スミアが無く、微細画素の実現が可能である増幅型固体撮像素子が開発されている。この増幅型固体撮像素子は、画素毎に光信号を増幅するためのMOSトランジスタ、即ち画素MOSトランジスタを備え、この画素MOSトランジスタに蓄積された電荷をMOSトランジスタの電流変調として信号を読み出すものである。
【0003】
図4は、増幅型固体撮像素子の回路構成の一例を示す。この増幅型固体撮像素子1は、複数の単位画素を構成する受光素子、即ち画素トランジスタ、例えば画素MOSトランジスタ2が行列状に配列され、各画素MOSトランジスタ2の行毎のゲートがシフトレジスタ等から構成される垂直走査回路3からの垂直走査信号(即ち垂直選択パルス)φV〔φV1 ,‥‥φVi ,φVi+1 ,‥‥〕にて選択される垂直選択線4に接続され、そのドレインが電源VDDに接続され、その列毎のソースが垂直信号線5に接続される。
【0004】
垂直信号線5には、動作MOSスイッチ6を介して信号電圧(電荷)をサンプルホールドする負荷容量素子7が接続される。負荷容量素子7は、垂直信号線5と接地電位との間に接続される。動作MOSスイッチ6のゲートには動作パルスφOPS が印加される。
【0005】
画素MOSトランジスタ2のソースと動作MOSスイッチ6間の垂直信号線5には、負荷容量素子7のリセットと垂直信号線5のリセットを兼ねるリセットMOSスイッチ8を介してリセットバイアス電圧VRBを供給するためのリセットバイアス電圧供給端子13に接続される。リセットMOSスイッチ8のゲートにはリセットパルスφRST が供給されるようになされる。
【0006】
9は、シフトレジスタ等から構成された水平走査回路であり、この水平走査回路9は水平信号線10に接続された水平MOSスイッチ11のゲートへ順次水平走査信号(即ち水平走査パルス)φH〔φH1 ,‥‥φHn ,φHn+1 ,‥‥〕が供給される。
【0007】
画素MOSトランジスタ2は、ソースがゲート電極に囲まれた形の環状ゲート電極構造のMOSトランジスタが用いられ、光電変換した電荷がゲート電極下のシリコン基板中に蓄積されるようになされる。
【0008】
図5は、単位画素(即ち画素MOSトランジスタ)2の半導体構造を示す断面図である。
この図において、21は第1導電型例えばp型のシリコン半導体基板、22は光電変換された信号電荷、この例ではホール20を蓄積するp型ウエル領域、23は第2導電型即ちn型のウエル領域である。p型ウエル領域22にn型のソース領域24及びドレイン領域25が形成され、ソース領域を囲むように両領域24及び25間のp型ウエル領域22上にゲート絶縁膜を介して、例えば光を透過し得る薄膜の多結晶シリコンからなるゲート電極26が形成される。ゲート電極26直下のp型ウエル領域22に光電変換によって蓄積されたホール20は、読み出し動作時におけるチャネル電流(ドレイン電流)を制御し、そのチャネル電流の変化量が信号出力となる。
【0009】
この増幅型固体撮像素子では、受光期間において光電変換した電荷がゲート電極下のp型ウエル領域に蓄積される。そして、水平ブランキング期間において、画素MOSトランジスタ2の読み出し動作期間の前に、即ちリセット期間で垂直信号線5と負荷容量素子7をリセットバイアス電圧VRBにリセットする。即ち、リセットパルスφRST と動作パルスφOPS を与えてリセットMOSスイッチ8と動作MOSスイッチ6とを同時にオンする。この結果、画素MOSトランジスタ2の読み出し動作期間の前の垂直信号線5と負荷容量素子2の初期電圧が、リセットバイアス電圧VRBにリセットされる。
【0010】
この後、リセットMOSスイッチ8をオフして、垂直選択線、例えばi行の垂直選択線4に垂直選択パルスφVi が与えられる。このとき動作パルスφOPS は引き続き与えられ、動作MOSスイッチ6はオン状態となっている。
この時点で、選択されたi行の画素MOSトランジスタ2がオンし、ソースへの電流の変調としてこれにつながる垂直信号線5へ電流が流れ、動作MOSスイッチ6を通して負荷容量素子7に一時的に電荷として蓄積される。即ち、画素MOSトランジスタ2に蓄積された信号電荷量(ホール量)に応じたチャネルポテンシャルに相当する信号電圧が負荷容量素子7に保持される。この信号の読み出し動作は、1水平ブランキング期間に1回行われ、水平一行を同時に読み出して、各負荷容量素子7に読み出した電荷をサンプルホールドする。
【0011】
次に、水平有効期間中に、これら負荷容量素子7に保持された信号電荷が、水平走査回路9からの水平走査信号φH〔φH1 ,‥‥φHn ,φHn+1 ,‥‥〕で順に水平MOSスイッチ11をオンすることによって水平信号線10に流れ、出力回路を通じて信号電圧として外部に出力される。
【0012】
このように、増幅型固体撮像素子では、信号電荷を一度負荷容量素子7に蓄積した後、水平MOSスイッチ11を通じて外部に読み出している。そのため、出力信号のランダムノイズは、水平MOSスイッチ11と負荷容量素子7の容量で決定される。そして、スイッチングMOSトランジスタの駆動能力にもよるが、一般に信号対ノイズの比、即ちS/N比は負荷容量素子7の容量が大きいほど良い。例えば、画像素子として必要なS/N比50dBを満足するには、負荷容量素子7として、少なくとも1pF程度の容量が必要である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
従来、かかる容量の負荷容量素子7を実現するには、図6に示すように、周辺回路を構成するMOSトランジスタ(以下周辺MOSトランジスタという)と同時に形成したMOS構造で構成していた。即ちフィールド絶縁膜31で囲まれたシリコン半導体領域、例えばp型ウエル領域22の一面に形成されたn− 領域32上に周辺MOSトランジスタの形成と同時にゲート絶縁膜(例えばゲート酸化膜)33を介して多結晶シリコンによるゲート電極34を形成し、このゲート電極34とn− 領域32間で負荷容量素子7が構成される。
【0014】
このため、例えば、一般的なトランジスタ長0.8μmに用いられるゲート酸化膜厚20nmを用いた場合、1pFの容量を確保するためには、負荷容量素子の幅を5μmとすると、長さは450μm必要となる。この負荷容量素子が各垂直信号線毎に接続されるため、周辺回路の面積を非常に大きなものとしていた。
【0015】
特に、固定パターンノイズ除去を内蔵するには、この容量素子が2個必要であり、さらに、フィールド読み出しで垂直方向の隣り合う画素の信号を加算するため、さらに2倍の容量素子が必要となる。その結果、合計4個の容量素子が水平画素毎に必要である。
【0016】
例えば、1/2インチの200万画素の増幅型固体撮像素子であれば、水平画素ピッチは3.65μmであるため、3μm幅しかとれず、容量素子のパターン幅は600μm以上となってしまう。これが4個で、チップサイズの垂直方向に2.4mm以上占有することになる。
【0017】
従って、小さな画角の固体撮像素子を実現しようとすると、画素領域をせっかく小さくしても、S/N比の良い画質の固体撮像素子を実現するには、周辺回路が相対的に大きくなり、その結果、チップとしては大きくなってしまうという問題があった。
【0018】
本発明は、上述の点に鑑み、信号電荷をサンプルホールドするため容量素子の容量をチップ面積を広げることなく増加し、小型でS/N比の良い増幅型固体撮像素子及びその製造方法を提供するものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る増幅型固体撮像素子は、第1のMOSトランジスタのゲート絶縁膜及びゲート電極と同じ材料で構成した第1容量素子部と、この第1容量素子部上にシリコン窒化膜からなる絶縁膜を介して第2のMOSトランジスタのゲート電極の材料を対向電極として設けてなる第2容量素子部とを並列接続して構成した容量素子を、信号電荷をサンプルホールドする容量素子として内蔵させた構成とする。
本発明に係る増幅型固体撮像素子は、第1のMOSトランジスタのゲート絶縁膜及びゲート電極と同じ材料で構成した第1容量素子部と、該第1容量素子部上に絶縁膜を介して第2のMOSトランジスタのゲート電極の材料を対向電極として設けてなる第2容量素子部とを並列接続して構成した容量素子が、信号電荷をサンプルホールドする容量素子として内蔵されて成る増幅型固体撮像素子において、前記第2のMOSトランジスタのゲート酸化工程で生ずる前記第1容量素子部の上部側の電極の表面酸化膜を前記第2容量素子部の絶縁膜として用いて成る構成とする。
【0020】
この固体撮像素子においては、積層され且つ並列接続された第1容量素子部と第2容量素子部によって容量素子を構成するので、実効的に容量素子の容量を増加させることができ、その分、2次元的な面積を縮小することが可能となり、S/N比を劣化させることなく固体撮像素子の小型化を図ることができる。
【0021】
本発明に係る増幅型固体撮像素子の製造方法は、半導体領域上に、第1のMOSトランジスタのゲート絶縁膜及びゲート電極と同じ材料による第1絶縁膜及び第1電極材料層を形成する工程と、第1電極材料層上に、シリコン窒化膜を形成する工程と、シリコン窒化膜及び第1電極材料層を同時にパターニングして第2絶縁膜及び第1電極を形成し、半導体領域、第1絶縁膜及び第1電極から成る第1容量素子部を形成する工程と、第2のMOSトランジスタのゲート酸化後に、第2絶縁膜上に第2のMOSトランジスタのゲート電極の材料による第2電極を形成して第1電極と、第2絶縁膜と第2電極から成る第2容量素子部を形成する工程と、第1容量素子部と第2容量素子部を並列接続して、信号電荷をサンプルホールドする容量素子を形成するようになす。
この製法によれば、シリコン窒化膜の形成工程が1つ増すのみで増幅型固体撮像素子で用いられる製造工程を殆ど変更することなく、信号電荷をサンプルホールドするための容量の大きい容量素子を作成できる。
【0022】
本発明に係る他の増幅型固体撮像素子の製造方法は、半導体領域上に、第1のMOSトランジスタの第1絶縁膜とゲート電極と同じ材料による第1絶縁膜及び第1電極を形成し、半導体領域と第1絶縁膜と第1電極とから成る第1容量素子部を形成する工程と、第2のMOSトランジスタのゲート酸化時に生ずる第1電極の表面酸化膜を第2絶縁膜とする工程と、第2絶縁膜に第2のMOSトランジスタのゲート電極の材料による第2電極を形成し、第1電極と第2絶縁膜と第2電極とから成る第2容量素子部を形成する工程と、第1容量素子部と第2容量素子部とを並列接続して、信号電荷をサンプルホールドする容量素子を形成する。この製法によれば、従来の増幅型固体撮像素子が用いられる製造工程を全く変更することなく信号電荷をサンプルホールドする容量の大きな容量素子を作成できる。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明に係る増幅型固体撮像素子は、第1のMOSトランジスタのゲート絶縁膜及びゲート電極と同じ材料で構成した第1容量素子部と、この第1容量素子部上にシリコン窒化膜からなる絶縁膜を介して第2のMOSトランジスタのゲート電極の材料を対向電極として設けてなる第2容量素子とを並列接続して構成した容量素子を、信号電荷をサンプルホールドする容量素子として内蔵する構成とする。
【0025】
本発明は、上記増幅型固体撮像素子において、第1のMOSトランジスタが周辺MOSトランジスタ又は画素MOSトランジスタであり、第2のMOSトランジスタが画素MOSトランジスタ又は周辺MOSトランジスタである構成とする。
【0026】
本発明に係る増幅型固体撮像素子は、第1のMOSトランジスタのゲート絶縁膜及びゲート電極と同じ材料で構成した第1容量素子部と、該第1容量素子部上に絶縁膜を介して第2のMOSトランジスタのゲート電極の材料を対向電極として設けてなる第2容量素子部とを並列接続して構成した容量素子が、信号電荷をサンプルホールドする容量素子として内蔵されて成る増幅型固体撮像素子において、前記第2のMOSトランジスタのゲート酸化工程で生ずる前記第1容量素子部の上部側の電極の表面酸化膜を前記第2容量素子部の絶縁膜として用いて成る構成とする。
【0027】
本発明は、上記増幅型固体撮像素子において、第2のMOSトランジスタのゲート酸化工程で生ずる第1容量素子分の上部側の電極の表面酸化膜を第2容量素子部の絶縁膜として用いる構成とする。
【0028】
本発明に係る増幅型固体撮像素子の製造方法は、半導体領域上に、第1のMOSトランジスタのゲート絶縁膜及びゲート電極と同じ材料による第1絶縁膜及び第1電極材料層を形成する工程と、第1電極材料層上に、シリコン窒化膜を形成する工程と、シリコン窒化膜及び第1電極材料層を同時にパターニングして第2絶縁膜及び第1電極を形成し、半導体領域、第1絶縁膜及び第1電極から成る第1容量素子部を形成する工程と、第2のMOSトランジスタのゲート酸化後に、第2絶縁膜上に第2のMOSトランジスタのゲート電極の材料による第2電極を形成して第1電極と、第2絶縁膜と第2電極から成る第2容量素子部を形成する工程と、第1容量素子部と第2容量素子部を並列接続して、信号電荷をサンプルホールドする容量素子を形成する。
【0029】
また、本発明に係る増幅型固体撮像素子の製造方法は、半導体領域上に、第1のMOSトランジスタの第1絶縁膜とゲート電極と同じ材料による第1絶縁膜及び第1電極を形成し、半導体領域と第1絶縁膜と第1電極とから成る第1容量素子部を形成する工程と、第2のMOSトランジスタのゲート酸化時に生ずる第1電極の表面酸化膜を第2絶縁膜とする工程と、第2絶縁膜に第2のMOSトランジスタのゲート電極の材料による第2電極を形成し、第1電極と第2絶縁膜と第2電極とから成る第2容量素子部を形成する工程と、第1容量素子部と第2容量素子部とを並列接続して、信号電荷をサンプルホールドする容量素子を形成する。
【0030】
以下、図面を参照して本発明の実施例について説明する。
【0031】
本例の増幅型固体撮像素子においても、前述の図4に示す回路構成をとる。
即ち、図4に示すように、複数の単位画素を構成する受光素子、即ち画素トランジスタ、例えば画素MOSトランジスタ2が行列状に配列され、各画素MOSトランジスタ2の行毎のゲートがシフトレジスタ等から構成される垂直走査回路3からの垂直走査信号(即ち垂直選択パルス)φV〔φV1 ,‥‥φVi ,φVi+1 ,‥‥〕にて選択される垂直選択線4に接続され、そのドレインが電源VDDに接続され、その列毎のソースが垂直信号線5に接続される。
【0032】
垂直信号線5には、動作MOSスイッチ6を介して信号電圧(電荷)をサンプルホールドする負荷容量素子7が接続される。負荷容量素子7は、垂直信号線5と接地電位との間に接続される。動作MOSスイッチ6のゲートには動作パルスφOPS が印加される。
【0033】
画素MOSトランジスタ2のソースと動作MOSスイッチ6間の垂直信号線5には、負荷容量素子7のリセットと垂直信号線5のリセットを兼ねるリセットMOSスイッチ8を介してリセットバイアス電圧VRBを供給するためのリセットバイアス電圧供給端子13に接続される。リセットMOSスイッチ8のゲートにはリセットパルスφRST が供給されるようになされる。
【0034】
そして、シフトレジスタ等から構成された水平走査回路9より、水平信号線10に接続された水平MOSスイッチ11のゲートへ順次水平走査信号(即ち水平走査パルス)φH〔φH1 ,‥‥φHn ,φHn+1 ,‥‥〕が供給されるようになされる。
【0035】
画素MOSトランジスタ2は、ソースがゲート電極に囲まれた形の環状ゲート電極構造のMOSトランジスタが用いられ、光電変換した電荷がゲート電極下のシリコン基板中に蓄積されるようになされる。単位画素(即ち画素MOSトランジスタ)の半導体構造の一例は、図5で示す通りである。
【0036】
この増幅型固体撮像素子の動作は、前述と同様であるので説明を省略する。
【0037】
そして、本発明の実施例では、かかる増幅型固体撮像素子において信号電荷をサンプルホールドする負荷容量素子を、従来の周辺MOSトランジスタに用いられるMOS構造、即ち電極材となる多結晶シリコン層と半導体基板との間の容量だけでなく、画素MOSトランジスタを構成する電極材である例えば薄膜多結晶シリコン層をも用いて互いに並列接続した容量素子で構成するものである。
【0038】
図1は、本発明による容量素子構造の基本的で簡単な実施例を示す。
本例の容量素子、即ち負荷容量素子701は、シリコン基板、即ちp型ウエル領域22の表面に形成したn− 半導体領域42上に、例えば周辺MOSトランジスタのゲート絶縁膜(例えばゲート酸化膜)及び多結晶シリコンによるゲート電極の形成と同時工程で、同様のゲート絶縁膜41及び多結晶シリコンによる電極(いわゆる下部電極)43を形成して、このゲート絶縁膜41を挟むn− 半導体領域42と多結晶シリコンの電極43によって構成されるMOS構造の容量素子部、即ち第1容量素子部44を形成すると共に、この第1容量素子部44上、即ち電極43上にさらに薄い絶縁膜(例えば酸化膜或いはSiN膜)46を介して画素MOSトランジスタ2の薄膜多結晶シリコンによるゲート電極の形成と同時工程で薄膜多結晶シリコン層を形成し、パターニングしてこの薄膜多結晶シリコンによる対向電極(いわゆる上部電極)47を形成し、絶縁膜46を挟んで下部の電極43と上部の対向電極47間で第2容量素子部48を形成し、この第1容量素子部44と第2容量素子部48とを電気的に並列に接続して構成する。即ち、n− 半導体領域42と対向電極47を共通接続し、下部の電極43を垂直信号線5に接続する。49はフィールド酸化膜である。
【0039】
ここで第2容量素子部48を構成する絶縁膜46は、画素MOSトランジスタ2のゲート絶縁膜を形成するときのゲート酸化工程によって、電極43の多結晶シリコンが酸化されて出来る表面酸化膜によって形成することができる。
【0040】
上述の負荷容量素子701によれば、周辺MOSトランジスタと同時に形成したMOS構造の第1容量素子部44の多結晶シリコンによる電極43上に、さらに薄い絶縁膜46及び画素MOSトランジスタのゲート電極と同時形成の薄膜多結晶シリコンによる対向電極47を形成して第2容量素子部48を設け、両容量素子部44及び48を並列接続することで、面積は従来と同じで容量のみを独立に増加させることができる。このように、実効的に負荷容量素子701の容量が増加することで、その分、2次元的な面積を縮小することが可能となり、S/N比を劣化させることなく、増幅型固体撮像素子の小型化を図ることができる。
【0041】
通常、この多結晶シリコンの表面酸化膜は、リンを高濃度に含んでいるため、ゲート絶縁膜の1.5倍から3倍に厚く成長してしまう。従って、第2容量素子部48の絶縁膜46を多結晶シリコンの電極43の表面酸化膜を用いる場合、第2容量素子部48は、必ずしも大きな容量を付与することにはならないが、従来の製造プロセスを全く変更することなく容量を増加させることができる。
【0042】
次に、容量を効果的により大きくするように構成した本発明の他の実施例について説明する。本例は、第2容量素子部の絶縁膜に薄いSiN膜を用いた場合であり、その構造と製造方法を図2及び図3を用いて説明する。
【0043】
先ず、図2に示すように、負荷容量素子702を形成すべき領域、即ちフィールド酸化膜49で囲まれたn− 半導体領域22を含んで上面に絶縁膜41を介して、電極となる多結晶シリコン層43AをCVD(化学気相成長)法により成長する。
絶縁膜41は、周辺MOSトランジスタのゲート絶縁膜の形成と同時に形成され、また多結晶シリコン層43Aも周辺MOSトランジスタのゲート電極となる多結晶シリコン層の形成と同時に成長される。この多結晶シリコン層は、キャリア不純物のリン(P)などがドーピングされた状態で形成される。
【0044】
次に、この多結晶シリコン層43A上に負荷容量素子の容量となる絶縁膜、例えばSiN膜51を例えばCVD法により薄く形成する。この膜厚は、負荷容量素子に係る電位差下での絶縁リーク電流とサンプルホールドしていなければならない期間を考慮して決定する。膜厚は例えば5nmから30nm程度がよい。
【0045】
ここで、SiN膜51は一般に電圧を印加した際のリーク電流がシリコン酸化膜より大きく、駆動電圧的に問題である場合は、SiN膜成長前に2nm程度の熱酸化膜を、希釈酸素雰囲気などで形成しておけばよい。SiN膜51を用いた理由は、SiN膜は誘電率が高く、且つ絶縁耐圧にも優れていることに加え、特に、耐酸化性と耐フッ酸エッチング性を有していることによる。これについては後述する。
【0046】
次に、図2Bに示すように、レジストマスク52を用いて、初めにSiN膜51を選択的にエッチング除去し、次いで同じレジストマスク52を用いて多結晶シリコン層43Aを連続して選択的にエッチング除去する。これによって、負荷容量素子を形成する領域に、容量素子用のSiN膜51と多結晶シリコン層43Aによる電極43(いわゆる下部電極)とが形成される。
ここで、エッチング装置は、SiN膜51と多結晶シリコン層43Aで分けても良いし、連続的にエッチング出来るならば同一のエッチング装置で絶縁膜のエッチング条件でエッチングする工程と、多結晶シリコンをエッチングする工程とを連続的に施すことも可能である。
【0047】
次に、画素MOSトランジスタのゲート絶縁膜を形成するためのゲート酸化に先だって、先の周辺MOSトランジスタ用のゲート酸化膜を画素部に該当する領域では、このゲート酸化膜をエッチング除去する必要がある。このとき、負荷容量素子を構成するSiN膜51は耐フッ酸エッチング性に優れているため、何の特別な配慮をすることなく、SiN膜51を有する領域を含んだウエハ全面をフッ酸を含む溶液によってエッチング処理し、その画素部の領域のゲート酸化膜を除去することを、従来通り行うことができるという利点がある。このエッチング工程の後に、画素MOSトランジスタのゲート絶縁膜の形成、即ちゲート酸化を行う。
【0048】
このゲート酸化工程で、図2Cに示すように、SiN膜51は耐酸化性があるため、多結晶シリコン層の電極43が酸化されて絶縁膜が厚くなることはない。ただ、表面に露出している多結晶シリコンの電極43の側面は酸化され酸化膜53が形成される。かかるゲート酸化をウエット雰囲気で行うことで、SiN膜51上にわずかながら酸化膜が形成され、負荷容量素子として用いたとき、電圧による漏れ電流を低減できるという利点もある。この分、SiN膜51をさらに薄くすることが可能となっている。
【0049】
次に、図3Dに示すように、全面に画素MOSトランジスタのゲート電極用薄膜多結晶シリコンの形成と同時に薄膜多結晶シリコン層55を成長する。多結晶シリコン層による電極43のエッジ部での薄膜多結晶シリコン層55との耐圧は、図2Cの酸化工程によって多結晶シリコン層の電極43の側面が酸化され、充分厚い酸化膜53が形成されているため、全く問題がなくなる。この点も本例の製造プロセスの優れた特徴である。
【0050】
次に、図3Eに示すように、薄膜多結晶シリコン層55上にレジストマスク56を形成し、通常の画素MOSトランジスタのゲート電極のパターニング工程で、同時にレジストマスク56を介して薄膜多結晶シリコン層55をエッチングし、対向電極(いわゆる上部電極)551を形成する。
【0051】
通常、SiN膜は、SiO2 膜に比べて多結晶シリコンのエッチングストッパとしてはややエッチングレートが大きいため、不利ではあるが、ここでは薄膜多結晶シリコン層55のエッチングであるため、画素の薄膜多結晶シリコン層の膜厚が100nm以内であれば、SiN膜51が5nm程度でも十分なストッパとなる。
【0052】
また、多結晶シリコン層による下部電極43を囲むようにして薄膜多結晶シリコン層55をパターニングしても、先に述べたように耐圧は全く問題ない。
よって、薄膜多結晶シリコン層55を下部電極43の端の内側又は外側でパターニングしても全く構わない。このためパターニングの自由度が大きい。
【0053】
このようにして、基板上に、n− 領域22と絶縁膜41と多結晶シリコンによる下部電極43とによる第1容量素子部57と、下部電極43と、SiN膜51と多結晶シリコンによる上部電極551とによる第2容量素子部58との積層体が得られる。
【0054】
然る後、第1容量素子部57及び第2容量素子部58を電気的に並列接続して、即ち、n− 領域22と上記電極551とを共通接続して接地し、下部電極43を垂直信号線に接続して目的の負荷容量素子702を形成する。
【0055】
この実施例の負荷容量素子702によれば、容量素子部57及び58を積層して設けることにより、負荷容量素子の面積を増すことなく、容量を増加させることができる。そして、第2の容量素子部58としてその絶縁膜を誘電率の高いSiN膜51を用いることによって、より容量の大きい負荷容量素子を構成することができる。
【0056】
製造プロセスとしては、SiN膜51を成長させるという1工程を追加するのみで、ほぼ通常の増幅型固体撮像素子の製造プロセスを変更せず、大容量の負荷容量素子702を形成することができる。
容量増に用いるSiN膜51は、独立に厚くすることもできるし、薄くすることもできるため、容量の設計の自由度が大きいという利点がある。
【0057】
そして、本実施例においても、容量の大きい負荷容量素子が得られるので、固体撮像素子におけるS/N比を改善することができる。また、周辺回路の面積を縮小でき、チップ面積を小さくできるため、固体撮像素子の実装面積を小さくできるという商品価値の向上と、1ウエハ当たりのチップ数が増えるため製造コストの低減が図れる。
【0058】
上例では、容量負荷動作方式の増幅型固体撮像素子、特にその負荷容量素子の構造について説明したが、その他、その他の動作方式における信号電荷をサンプルホールドする容量素子の構成にも適用できる。
【0059】
上例では、増幅型固体撮像素子において、容量回路を形成する場合に特に効果的であるため増幅型固体撮像素子への適用例について説明したが、2層多結晶シリコンゲート構造で容量素子を形成する回路には、本発明は十分適用可能である。
【0060】
【発明の効果】
本発明に係る増幅型固体撮像素子によれば、その信号電荷をサンプルホールドする容量素子の容量を、面積を増やすことなく増加させることができる。従って、この容量が増加した分、固体撮像素子におけるS/N比を改善することができる。
【0061】
また、この容量が増加した分、周辺回路の面積を縮小でき、チップ面積を小さくできるため、固体撮像素子の実装面積を小さくできるという商品価値の向上と、1ウエハ当たりのチップ数が増えるため製造コストを低減することができる。
【0062】
容量素子として第2容量素子部を構成する絶縁膜としてシリコン窒化膜を用いるときは、さらなる容量の増加が可能となる。この場合、SiN膜は他部の膜の形成と兼用せず独立した工程で成長されるので、膜厚を自由に設定することができるので、容量値の設計の自由度が大きい。
第2容量素子部を形成する絶縁膜として、第2MOSトランジスタのゲート酸化工程で生じる第1容量素子部の上部側の電極の表面酸化膜を用いるときは、従来の製造プロセスを全く変更することなく、信号電荷をサンプルホールドする容量素子の容量を増加させることができる。
【0063】
本発明に係る増幅型固体撮像素子の製造方法によれば、従来の固体撮像素子の製造プロセスを全く変更することなく、従来と同じ面積で容量を増加した容量素子、即ち信号電荷をサンプルホールドする容量素子を形成することができる。
【0064】
また、本発明に係る増幅型固体撮像素子の製造方法によれば、シリコン窒化膜を成長させるという1工程のみ追加し、他は製造プロセスを変更することなく、従来と同じ面積で容量を増加した容量素子、即ち信号電荷をサンプルホールドする容量素子を形成することができる。従って、S/N比が改善され、且つチップ面積の小さい増幅型固体撮像素子を、従来の製造プロセスを殆ど変更させることなく容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る増幅型固体撮像素子における負荷容量素子の一例を示す構成図である。
【図2】A 本発明に係る増幅型固体撮像素子における負荷容量素子の他の例を示す製造工程図である。
B 本発明に係る増幅型固体撮像素子における負荷容量素子の他の例を示す製造工程図である。
C 本発明に係る増幅型固体撮像素子における負荷容量素子の他の例を示す製造工程図である。
【図3】D 本発明に係る増幅型固体撮像素子における負荷容量素子の他の例を示す製造工程図である。
E 本発明に係る増幅型固体撮像素子における負荷容量素子の他の例を示す製造工程図である。
F 本発明に係る増幅型固体撮像素子における負荷容量素子の他の例を示す製造工程図である。
【図4】増幅型固体撮像素子の回路構成図である。
【図5】画素MOSトランジスタの半導体構造を示す断面図である。
【図6】従来の増幅型固体撮像素子における負荷容量素子の構成図である。
【符号の説明】
7,701,702 負荷容量素子
41 絶縁膜
42 n−
43 多結晶シリコンによる電極
44,57 第1容量素子部
46 絶縁膜
47 多結晶シリコンによる電極
48,58 第2容量素子部
51 SiN膜
551 多結晶シリコンによる電極
Claims (5)
- 第1のMOSトランジスタのゲート絶縁膜及びゲート電極と同じ材料で構成した第1容量素子部と、
該第1容量素子部上にシリコン窒化膜からなる絶縁膜を介して第2のMOSトランジスタのゲート電極の材料を対向電極として設けてなる第2容量素子部とを並列接続して構成した容量素子が、信号電荷をサンプルホールドする容量素子として内蔵されて成る
ことを特徴とする増幅型固体撮像素子。 - 前記第1のMOSトランジスタが周辺MOSトランジスタ又は画素MOSトランジスタであり、
前記第2のMOSトランジスタが画素MOSトランジスタ又は周辺MOSトランジスタである
ことを特徴とする請求項1に記載の増幅型固体撮像素子。 - 第1のMOSトランジスタのゲート絶縁膜及びゲート電極と同じ材料で構成した第1容量素子部と、該第1容量素子部上に絶縁膜を介して第2のMOSトランジスタのゲート電極の材料を対向電極として設けてなる第2容量素子部とを並列接続して構成した容量素子が、信号電荷をサンプルホールドする容量素子として内蔵されて成る増幅型固体撮像素子において、
前記第2のMOSトランジスタのゲート酸化工程で生ずる前記第1容量素子部の上部側の電極の表面酸化膜を前記第2容量素子部の絶縁膜として用いて成る
ことを特徴とする増幅型固体撮像素子。 - 半導体領域上に、第1のMOSトランジスタのゲート絶縁膜及びゲート電極と同じ材料による第1絶縁膜及び第1電極材料層を形成する工程と、
前記第1電極材料層上に、シリコン窒化膜を形成する工程と、
前記シリコン窒化膜及び前記第1電極材料層を同時にパターニングして第2絶縁膜及び第1電極を形成し、前記半導体領域、前記第1絶縁膜及び第1電極から成る第1容量素子部を形成する工程と、
第2のMOSトランジスタのゲート酸化後に、前記第2絶縁膜上に前記第2のMOSトランジスタのゲート電極の材料による第2電極を形成して前記第1電極と、前記第2絶縁膜と前記第2電極から成る第2容量素子部を形成する工程と、
前記第1容量素子部と前記第2容量素子部を並列接続して、信号電荷をサンプルホールドする容量素子を形成する
ことを特徴とする増幅型固体撮像素子の製造方法。 - 半導体領域上に、第1のMOSトランジスタの第1絶縁膜とゲート電極と同じ材料による第1絶縁膜及び第1電極を形成し、前記半導体領域と前記第1絶縁膜と前記第1電極とから成る第1容量素子部を形成する工程と、
第2のMOSトランジスタのゲート酸化時に生ずる前記第1電極の表面酸化膜を第2絶縁膜とする工程と、
前記第2絶縁膜に前記第2のMOSトランジスタのゲート電極の材料による第2電極を形成し、前記第1電極と前記第2絶縁膜と前記第2電極とから成る第2容量素子部を形成する工程と、
前記第1容量素子部と前記第2容量素子部とを並列接続して信号電荷をサンプルホールドする容量素子を形成する
ことを特徴とする増幅型固体撮像素子の製造方法。
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