JP3602385B2 - 自動車のサイドエアバッグ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の側面衝突時に乗員を保護するようにした自動車のサイドエアバッグ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車においては、側面衝突時に乗員を保護する観点から、シートバックにサイドエアバッグ装置を搭載する場合がある。この種のサイドエアバッグ装置として、例えば、図5に示すように、シートバック50のシートフレーム53とクッションパッド51の側壁部51aとの間に収納部55を設け、該収納部55内にエアバッグモジュール52を配置するとともにブラケット54を介してシートフレーム53に固定した構造のものがある。
【0003】
また上記側壁部51aにはスリット56が形成されており、これによりエアバッグ52aの展開圧力によってスリット56から側壁部51aが外側方に開放されるとともに表皮57の縫い合わせ部57aが切断され、これによりエアバッグ52aは前方の乗員と車体との間に展開する。
【0004】
このようなサイドエアバッグ装置では、側面衝突時の乗員の上半身を広範囲に渡って保護する観点から、エアバッグの展開容量をできるだけ大きくすることが要請されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記エアバッグの展開容量を大きくするには、クッションパッド51の側壁部51aを削って収納部55の容積を大きくすることが考えられる。しかしながら、収納部55を大きくするには側壁部51aの厚さtを小さくする必要があり、このため成形不良が生じたり,側方からの外力によって側壁部51aが変形,破損したりするおそれがあり、展開容量を増大するには限界がある。
【0006】
また、上記展開容量を大きくする観点から、図6に示すように、シートバック60の外側壁60aに大型のエアバッグモジュール61を外付けすることが考えられる。しかし、このようにした場合には、シート全体の車幅寸法が大きくなるとともに、出っ張りにより見栄えが悪化するという問題が生じる。
【0007】
本発明は、上記従来の状況に鑑みてなされたもので、成形不良や外力による破損の問題を生じたり、また外付けによるシートの大型化や見栄えの悪化の問題を生じたりすることなくエアバッグの展開容量を大きくできる自動車のサイドエアバッグ装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、シートフレームに配設されたクッションパッドを表皮により被覆してなるシートバック内にエアバックモジュールを内臓した自動車のサイドエアバック装置において、上記クッションパッドの車幅方向外側端部に上記エアバッグモジュールが収納可能な収納凹部を車幅方向外側方に開口させて形成し、該収納凹部の開口を、上記クッションパッドの車幅方向外側面と連続面をなすように形成された不織布により閉塞し、該不織布のエアバックの展開圧力が作用する部分にスリットを形成し、上記不織布を上記クッションパッドに該クッションパッドを発泡成形する際にインサートして一体成形したことを特徴としている。
【0009】
ここで、上記不織布は、シートバックの外形,つまりクッションパッドの車幅方向外側面と連続面をなすようにプリ成形したもの、あるいは形状によりプリ成形していないものをパッド型にインサートし、これにウレタンフォーム等のクッションパッド材を注入して発泡させることにより一体成形したものである。
【0010】
【発明の作用効果】
本発明に係るサイドエアバッグ装置によれば、クッションパッドの外側端部に収納凹部を側方に開口させて形成し、該開口にクッションパッドの車幅方向外側面と連続面をなす形状の不織布を配設したので、不織布がシートバックの側壁として機能することとなり、従来の側壁部を不要にして壁厚を大幅に薄くすることが可能となり、それだけ収納容積を拡大でき、もってエアバッグの展開容量の増大化を図ることができる。また従来の側壁部を不要にできることから、薄肉化による成形不良の問題を回避できる。
【0011】
上記不織布をクッションパッドの発泡成形時に一体にインサート成形したので、不織布に加わる外力をクッションパッドにより支えることができ、外力による変形や破損を防止できる。また上記シートバック内のスペースを最大限に利用して必要な収納容積を確保したので、シートバックの車幅寸法が大きくなることはなく、エアバッグモジュールを外付けする場合のシート大型化,見栄えの悪化を防止できる。
【0012】
本発明では、上記不織布の展開圧が作用する部分にスリットを形成したので、エアバッグの展開圧力により不織布はスリット部分から外側方に開くこととなり、エアバッグ展開時の抵抗となることはなく確実に開放させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1ないし図4は、本発明の一実施形態による自動車のサイドエアバッグ装置を説明するための図であり、図1,図2,図3はそれぞれサイドエアバッグ装置が収納されたシートバックの断面平面図(図2のI−I線断面図),側面図,斜視図、図4はエアバッグの展開状態を示すシートの斜視図である。
【0014】
図において、1は自動車の車体フロア(不図示)の上方にスライド機構を介して車両前後方向に移動可能に配設されたシートであり、これはシートクッション2にシートバック3をリクライニング機構(不図示)を介して車両前後方向に角度調整可能に連結して構成されている。
【0015】
上記シートバック3は、矩形枠状のシートフレーム4にクッションパッド6を配置し、該クッションパッド6の外表面を表皮7で覆ったものであり、略平坦な背もたれ部3aの左, 右端部に凸部3bを突出形成した構造となっている。
【0016】
上記シートフレーム4は上辺部を形成するパイプ4aの両端部に横断面コ字状のフレーム本体4bを結合したものであり、また上記表皮7はシートバック4の各側面形状に合わせて裁断されたものを縫い合わせて形成されたものである。この表皮7の後述するエアバッグ13の展開圧力が作用する縫い合わせ部7aは、展開圧力の作用によって切断するようにその強度が設定されている。
【0017】
上記シートバック3にはサイドエアバッグ装置10が配設されている。このサイドエアバッグ装置10は、ガス発生剤(不図示)が充填されたケース11にインフレータ12を接続するとともに上記エアバッグ13を接続してなるエアバッグモジュール14と、インフレータ12の作動を制御する不図示のEUCとを備えている。このECUは、衝撃センサ(不図示)からの検出値が所定値以上のときには上記インフレータ12に点火信号を出力するように構成されており、これによりガス発生剤が点火してエアバッグ13を瞬時に膨張させるようになっている。
【0018】
上記クッションパッド6の車幅方向外側端部6aには収納凹部17が形成されており、該収納凹部17内に上記エアバッグモジュール14が配設されている。この収納凹部17は、クッションパッド6の側端部6aのシートフレーム4外側でかつ凸部3bの後半分を切り欠いて形成されたものであり、側方から後方にかけて外方に開口している。
【0019】
上記収納凹部17内のシートフレーム4には板金製のブラケット18が上,下一対のボルト18aにより締結固定されており、該ブラケット18はシートフレーム4から後方に延びている。
【0020】
上記ブラケット18にはガイドプレート19が配設されている。このガイドプレート19は、略円筒体を軸方向に切断して形成された横断面半円形状のものであり、上記ケース11の後方を囲むことに配置されており、これによりエアバッグ13を展開方向に指向するように規制している。上記ガイドプレート19はエアバッグモジュール14とともにブラケット18に上,下一対のボルト24により共締め固定されている。
【0021】
そして上記収納凹部17にはシートバック3の、より詳細にはクッションパッド6の外側端部6aの外側面と連続面をなすようにフェルト(不織布)20が配設されており、該フェルト20により上記収納凹部17の開口は閉塞されている。このフェルト20は表皮7により覆われており、外方からは見えないようになっている。
【0022】
上記フェルト20はシートバック3の外形に沿うようにプリ成形されたものであり、上記収納凹部17の側方を覆う側壁部20aと、該側壁部20aに続いて車幅方向内側に屈曲して延びて後方を覆う後壁部20bとから構成されている。このフェルト20,上記ブラケット18,ガイドプレート19及びクッションパッド6の側端部6aにより囲まれた空間が収納凹部17となっている。
【0023】
上記フェルト20は、パッド型にフレタンフォーム等を注入してクッションパッド6を発泡成形する際にインサートし、これにより一体成形されたものである。また上記フェルト20の展開圧が作用する部分には、側面視でコ字状をなすスリット22が形成されており、該スリット22によりエアバッグ13の展開圧力によりフェルト20の前側は外側方に開放可能となっている(図1の二点鎖線参照)。
【0024】
次に本実施形態の作用効果について説明する。
車両の側面衝突等によって所定値以上の衝撃力が作用すると、EUCはインフレータ12に点火信号を出力し、これによりガス発生剤が点火してエアバッグ13を瞬時に膨張させる。すると、このエアバッグ13の展開圧力によりフェルト20が押圧されてスリット22を介して外側方に変形して開くとともに表皮7の縫い合わせ部7aが切断され、これによりエアバッグ13が乗員と車体ドアとの間に展開する。これにより衝撃エネルギーを吸収して乗員を保護する。
【0025】
本実施形態によれば、クッションパッド6の外側端部6aに収納凹部17を側方から後方にかけて開口するよう形成し、該収納凹部17に開口を覆うようにフェルト20を配設したので、該フェルト20がシートバック3の側壁として機能することとなり、シートバック3の側壁に触れたときのソフト感をある程度維持しつつ、従来の側壁部を不要にできる分だけ収納凹部17の容積を拡大でき、もってエアバッグ13の展開容量の増大化を図ることができ、乗員の上半身を広範囲に渡って保護することができる。また従来のクッションパッドの側壁部を不要にできることから、薄肉化することによる成形不良の問題を回避できる。
【0026】
上記フェルト20をクッションパッド6に一体にインサート成形したので、フェルト20に加わる外力をクッションパッド6で受けることとなり、外力による変形や破損を防止できる。また上記シートバック3内のスペースを最大限に利用して必要な収納容積を確保したので、シートバック3の車幅寸法が大型化することはなく、従来のエアバッグモジュールを外付けする場合のシート大型化,出っ張りによる見栄えの悪化を防止できる。
【0027】
また、上記フェルト20にスリット22を形成したので、エアバッグ13の展開圧力によりフェルト20はスリット22部分から外側方に開くこととなり、エアバッグ展開時の抵抗となることはなく確実に開放させることができる。
【0028】
また本実施形態では、上記収納凹部17に側壁として機能するフェルト20を配設するとともに該フェルト20をクッションパッド6にインサート成形したので、部品点数を必要最小限に抑えることができるとともに、エアバッグモジュール周りの構造を簡単にできる。ちなみに、エアバッグモジュールをケース内に収納するとともに、該ケース開口にリッドをヒンジにより開閉可能に取付け、さらにリッドの開放角度を規制するストッパを設け、エアバッグの展開圧により上記リッドを開放させる構造を採用した場合には、部品点数が増えるとともに、構造が複雑となり、コストが上昇するという問題がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態によるサイドエアバッグ装置が配設されたシートバックの断面平面図(図2のI−I線断面図)である。
【図2】上記シートバックの側面図である。
【図3】上記シートバックの斜視図である。
【図4】上記サイドエアバッグ装置の展開状態を示すシートの斜視図である。
【図5】従来の一般的なサイドエアバッグ装置の断面平面図である。
【図6】従来の外付けタイプを採用した場合のシートバックの斜視図である。
【符号の説明】
3 シートバック
4 シートフレーム
6 クッションパッド
6a 側端部
7 表皮
10 サイドエアバッグ装置
13 エアバッグ
14 エアバッグモジュール
17 収納凹部
20 フェルト(不織布)
22 スリット
Claims (1)
- シートフレームに配設されたクッションパッドを表皮により被覆してなるシートバック内にエアバックモジュールを内臓した自動車のサイドエアバック装置において、上記クッションパッドの車幅方向外側端部に上記エアバッグモジュールが収納可能な収納凹部を車幅方向外側方に開口させて形成し、該収納凹部の開口を、上記クッションパッドの車幅方向外側面と連続面をなすように形成された不織布により閉塞し、該不織布のエアバックの展開圧力が作用する部分にスリットを形成し、上記不織布を上記クッションパッドに該クッションパッドを発泡成形する際にインサートして一体成形したことを特徴とする自動車のサイドエアバック装置。
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