JP3601906B2 - 半導電性フッ素樹脂組成物および半導電性フッ素樹脂フィルム - Google Patents

半導電性フッ素樹脂組成物および半導電性フッ素樹脂フィルム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する分野】
本発明は、電子写真、ファクシミリ、レーザープリンター等の電子画像形成プロセスに適した性質を有する組成物、及び該組成物から得られるフィルムに関し、さらに詳しくは、高分子型帯電防止剤、酸化防止剤、さらに好ましくはシリコーン系樹脂を含有してなる半導電性フッ素樹脂組成物、および半導電性フッ素樹脂フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、熱可塑性樹脂に帯電防止性や導電性を付与する目的で有機系の帯電防止剤やカーボンブラック、金属粉末等の無機系導電性材料を添加することが行われている。ところが、これらのうち、カーボンブラックや金属粉末等の無機系導電性材料は、極めて高い導電性を付与できる反面、それらの接触によって導電性を発現しているため添加量の僅かな変化、或いは加工条件等によって電気抵抗が大きく変化し、特に、体積固有抵抗を1×10 〜1×1012Ω・cmの範囲にコントロールすることは極めて困難であった。さらに、このような無機系導電性材料を添加した場合、熱可塑性樹脂の透明性は損なわれ、大量に配合すると製品の機械的強度が低下したり、表面が粗面化するといった問題もあった。
【0003】
一方、有機系の帯電防止剤を用いた場合は、透明性や機械的強度の低下という問題は少ないものの、通常の添加量では1×1011Ω・cm以下の体積固有抵抗を発現するのは困難であった。また、一般に有機系の帯電防止剤は低分子量で、帯電防止剤が熱可塑性樹脂表面にブリードアウトしてくることによって帯電防止性を発現するため、周囲を汚染したり、持続性に乏しく、また水洗によって表面固有抵抗が変化するといった問題もあった。
【0004】
このような問題を解決するものとして、例えば、特定の構造を有するポリエーテル−エステル−アミド、側鎖に4級アンモニウム塩を有する重合体、側鎖にスルホン酸塩を有する重合体、ポリアルキレンオキサイド鎖を含有する重合体等のような高分子型帯電防止剤が提案されている。これらの高分子型帯電防止剤は従来の有機系の低分子型帯電防止剤に比べると永久帯電防止性を有し、ブリードアウトによる表面のベトツキが改善され、また、多量配合も可能であることから、1010Ω・cm前後の体積固有抵抗のレベルも達成できるようになってきている。また、高分子型帯電防止剤は、無機系導電性材料に比べ10 Ω・cm〜1012Ω・cmの半導電性領域を精度良く再現できるという特徴を有している。しかしながら、これらの高分子型帯電防止剤は、カーボンブラック等の無機系導電性材料に比べ低温低湿下における電気抵抗と高温高湿下における電気抵抗との差、即ち電気抵抗の環境依存性が大きいという欠点、さらに通常の環境下ではフィルムの表面状態は良好であるが、高温高湿下ではフィルム表面がベトつくという欠点があった。
【0005】
また、これら高分子型帯電防止剤は汎用の熱可塑性樹脂であるポリオレフィン系樹脂やポリスチレン、ABS樹脂等に適用できるように設計されているため、非汚染性、耐熱性、耐候性、耐オゾン性、難燃性等の優れた特性を有している熱可塑性フッ素樹脂に適用した場合、相容性が悪く、多量配合すると加工性や物性が低下し、薄いフィルムが得られ難いという問題があった。また、高分子型帯電防止剤を添加することにより、熱可塑性フッ素樹脂本来の特性である非汚染性の低下、即ち表面接触角が小さくなるという欠点があった。
【0006】
また、含ハロゲン樹脂に過塩素酸塩およびポリエーテル系重合体を配合した安定化された導電性含ハロゲン樹脂組成物(特開平3−39346)が開示されているが、含ハロゲン樹脂のうち、ポリフッ化ビニルに過塩素酸塩およびポリエーテル系重合体を配合した場合、ポリフッ化ビニルの融点が227℃と高いため、その加工には相当の高温が必要であり、配合したポリエーテル系重合体が加工時の熱によって低分子量化し、このポリエーテル系重合体の熱分解生成物が成形品表面にブリードアウトするという問題があった。また、含ハロゲン樹脂として塩素系合成樹脂、臭素系合成樹脂を用いた場合にはこれらの樹脂の極性がフッ素系樹脂に比べ小さいため、半導電性を付与するためにはポリエーテル系重合体、過塩素酸塩の配合量をかなり多くする必要があり、このため加工性が低下するという問題、および、ポリエーテル系重合体が成形品表面にブリードアウトするという問題があった。
【0007】
さらに、熱可塑性樹脂にアルキレンオキサイド共重合体、およびイオン解離性金属塩を配合した制電性に優れた樹脂組成物(特開平6−200171)も提案されている。しかしながら、ポリオレフィン樹脂、ABS樹脂等のスチレン系樹脂、ポリメタクリル酸エステル系樹脂等の熱可塑性樹脂にポリアルキレンオキサイド、およびイオン解離性金属塩を配合した組成物は、熱可塑性樹脂の極性が小さいため半導電性を付与するためにはポリアルキレンオキサイド、およびイオン解離性金属塩の配合量をかなり多くする必要があり、ポリアルキレンオキサイドの配合量を多くすると成形加工時に生成するポリアルキレンオキサイドの熱分解生成物が成形品表面にブリードアウトするという問題があった。また、ポリアルキレンオキサイド共重合体、およびイオン解離性金属塩を熱可塑性フッ素樹脂へ配合すると、熱可塑性フッ素樹脂の特性である非汚染性が失われるという問題があった。
【0008】
電子写真の原理を応用した複写機やファクシミリ、レーザープリンター等のOA機器においては、一般的に、帯電、露光、現像、転写、定着、除電の各プロセスを有しており、各プロセスで静電気を精密にコントロールするために各種ロール、ベルト、ブレードが使用されている。そして、これらを使用するにあたっては前記した条件に加えて、帯電防止剤の添加量を厳密に制御しなくても、1×10 〜1×1012Ω・cm、特に1×10 〜1×1011Ω・cmの範囲の体積固有抵抗、および1×10 〜1×1012Ω/□の範囲の表面固有抵抗を安定して付与できることが要望されている。また、電気抵抗の環境依存性や添加剤のブリードアウトをさらに小さく、表面接触角を大きくすることが望まれている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、良好な物理的、機械的特性を有し、1×10 〜1×1012Ω・cmの範囲の体積固有抵抗を安定して精度良く発現し、経時変化、環境依存性、ブリードアウトが少なく、表面接触角が大きく、加工性にも優れた電子画像形成プロセスに適した半導電性樹脂組成物、及び該組成物から得られるフィルムを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記課題を達成するために、ポリマータイプの帯電防止剤と熱可塑性樹脂の組み合わせについて詳細に検討し、まず熱可塑性樹脂中でも分極の傾向が著しい熱可塑性フッ素樹脂に注目した。そして鋭意研究の結果、融点が190℃未満の熱可塑性フッ素樹脂98〜85重量部と高分子型帯電防止剤であるポリアルキレンオキサイド2〜15重量部よりなる混合物100重量部に対し、酸化防止剤0.03〜3重量部および、イオン電解質0.02〜3重量部を含有する熱可塑性フッ素樹脂組成物のみが、概ね体積固有抵抗1×10 〜1×1012Ω・cmの安定したイオン伝導性を示すばかりでなく、電気抵抗の環境依存性が少なく、高温高湿下においてもフィルム表面のベトツキがなく、加工性にも優れており、さらに、融点が190℃未満の熱可塑性フッ素樹脂98〜85重量部と高分子型帯電防止剤であるポリアルキレンオキサイド2〜15重量部よりなる混合物100重量部に対し、酸化防止剤0.03〜3重量部、シリコーン系樹脂0.3〜10重量部、およびイオン電解質0.02〜3重量部を含有する熱可塑性フッ素樹脂組成物のみが、概ね体積固有抵抗1×10 〜1×1012Ω・cmの安定したイオン伝導性を示すばかりでなく、電気抵抗の環境依存性が少なく、高温高湿下においてもフィルム表面のベトツキがなく、加工性にも優れ、表面接触角が大きいことを見い出し、さらに、上記した半導電性フッ素樹脂組成物は、その構成物質である熱可塑性フッ素樹脂、ポリアルキレンオキサイド、およびイオン電解質の配合比を調整することによって、容易に、しかも正確に、目的とする電気抵抗をコントロールすることができることを見い出し、本発明を完成するに至ったのである。
【0011】
即ち、本発明によれば、融点が190℃未満の熱可塑性フッ素樹脂98〜85重量部とポリアルキレンオキサイド2〜15重量部よりなる混合物100重量部に対し、酸化防止剤0.03〜3重量部、およびイオン電解質0.02〜3重量部を含有することを特徴とする半導電性フッ素樹脂組成物が提供される。
さらに、融点が190℃未満の熱可塑性フッ素樹脂98〜85重量部とポリアルキレンオキサイド2〜15重量部よりなる混合物100重量部に対し、酸化防止剤0.03〜3重量部、シリコーン系樹脂0.3〜10重量部、およびイオン電解質0.02〜3重量部を含有することを特徴とする半導電性フッ素樹脂組成物が提供される。
特に前記融点が190℃未満の熱可塑性フッ素樹脂がポリフッ化ビニリデン、またはその共重合体から選ばれる一種、或いは、二種以上の混合物であることを特徴とする前記半導電性フッ素樹脂組成物が提供され、
好ましくは、前記フッ化ビニリデン共重合体が、フッ化ビニリデン―六フッ化プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体、またはフッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体とフッ化ビニリデンとのグラフト共重合体から選ばれる一種、或いは二種以上の混合物であることを特徴とする半導電性フッ素樹脂組成物が提供される。
また特に、前記ポリアルキレンオキサイドが、ポリエチレンオキサイド、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共重合体、およびポリアルキレンオキサイド同士を主鎖延長した熱可塑性ポリアルキレンオキサイドから選ばれる一種、或いは二種以上であることを特徴とする前記半導電性フッ素樹脂組成物が提供され、また、
好ましくは、前記ポリアルキレンオキサイドが、熱重量分析(TGA)による10%重量減少温度が240℃以上であることを特徴とする前記半導電性フッ素樹脂組成物が提供される。
特に、前記酸化防止剤がフェノール系酸化防止剤であることを特徴とする前記半導電性フッ素樹脂組成物が提供され、
また、前記シリコーン系樹脂が下式(1)で示されるものであり、且つ該シリコーン系樹脂に導入された置換基の割合がシリコーン系樹脂全体の75重量%以下であることを特徴とする上記いずれかに記載の半導電性フッ素樹脂組成物が提供され、また、
【化1】
Figure 0003601906
(R 〜R は、メチル基、炭素数8乃至30のアルキル基、フェニル基、式(2)で示されるポリアルキレンオキサイド鎖を有する置換基、式(3)で示されるポリカプロラクトン鎖を有する置換基のうちのいずれか)
【化2】
Figure 0003601906
(R は、炭素数1乃至8のアルキレン基、R はHまたはCH 、O は2以上の整数 )
【化3】
Figure 0003601906
(R は、炭素数1乃至8のアルキレン基、p は2以上の整数)
さらにまた特に前記イオン電解質が、アルカリ金属のチオシアン酸塩、リン酸塩、硫酸塩、またはアルカリ金属とハロゲン含有酸素酸塩のうちから選ばれる一種、或いは二種以上の混合物であることを特徴とする前記半導電性フッ素樹脂組成物が提供される。
また本発明によれば、前記した半導電性フッ素樹脂組成物を加工温度240℃未満で成形してなる半導電性フッ素樹脂フィルムが提供される。
【発明の実施の形態】
【0012】
以下、本発明をより具体的に説明する。
本発明に用いられる融点が190℃未満の熱可塑性フッ素樹脂としては、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン―六フッ化プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体とフッ化ビニリデンとのグラフト共重合体等が挙げられ、特に、ポリフッ化ビニリデン、またはその共重合体が成形加工性の点で好ましい。
該熱可塑性フッ素樹脂の融点は、成形加工時にポリアルキレンオキサイドの熱分解を防止するために190℃未満であることが必要であり、融点が190℃以上の熱可塑性フッ素樹脂は、加工温度をさらに高温に上げる必要があるため、混練時、或いは、成形加工時にポリアルキレンオキサイドが熱分解を起こして低分子量化し、これらが成型品表面にブリードアウトするので好ましくない。
【0013】
一方、本発明の半導電性フッ素樹脂組成物を構成するポリアルキレンオキサイドは、それを特に限定するものではなく、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリテトラメチレンオキサイド、或いはこれらの共重合体等が挙げられ、これらが一種、或いは二種以上組み合わされて用いられる。
また、これらのポリアルキレンオキサイドのうち、ポリエチレンオキサイド;エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共重合体;ポリエチレンオキサイドとポリプロピレンオキサイド、或いは、ポリプロピレンオキサイド同士を二塩基酸、二塩基酸塩化物、ジイソシアネート等で主鎖延長した熱可塑性ポリアルキレンオキサイド等に例えられるようなポリアルキレンオキサイド同士を主鎖延長した熱可塑性ポリアルキレンオキサイド(部分的に架橋していても熱可塑性を有していれば同様に用いることができる。);が電気抵抗を下げる効果が大きい点で特に好ましい。これらも一種、或いは二種以上組み合わせて使用することができる。
【0014】
さらに、これらのポリアルキレンオキサイドは熱重量分析(TGA)による10%重量減少温度が240℃以上であるものから選ばれることがより望ましい。本発明においてポリアルキレンオキサイドの熱重量分析(TGA)は、下記条件で行なったものであり、ここで言う10%重量減少温度とは、該熱重量分析(TGA)において得られたチャートから読み取ったポリアルキレンオキサイドの重量が初期の重量に比べ10%減少する温度を意味するものである。
<熱重量分析(TGA)の条件>
・試料量 :10mg
・セル :アルミニウム製
・キャリアガス:空気
・初期温度 :23℃
・昇温速度 :10℃/分
この温度が240℃以上であると成形加工時の熱によるポリアルキレンオキサイドの低分子量化が抑えられ好ましい。
【0015】
該熱重量分析による10%重量減少温度が240℃以上のポリアルキレンオキサイドとしては、数平均分子量が3000以上のポリエチレンオキサイド;ポリプロピレンオキサイド;エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共重合体;ポリエチレンオキサイドとポリプロピレンオキサイド、或いは、ポリプロピレンオキサイド同士を二塩基酸、二塩基酸塩化物、ジイソシアネート等で主鎖延長した熱可塑性ポリアルキレンオキサイドに例えられるようなポリアルキレンオキサイド同士を主鎖延長した熱可塑性ポリアルキレンオキサイド;等が挙げられる。
【0016】
これらのポリアルキレンオキサイドの配合割合は、前記熱可塑性フッ素樹脂とポリアルキレンオキサイドとの混合物100重量部のうち2〜15重量部が好ましく、より好ましくは2〜12重量部、また2〜10重量部がさらに好ましい。その配合割合が15重量部を越える場合は、熱可塑性フッ素樹脂との相溶性が悪化するため加工性が低下するばかりでなく、加工時の熱によって低分子量化した成分のブリードアウトが多くなり好ましくない。一方、ポリアルキレンオキサイドの配合割合が2重量部未満では目的とする体積固有抵抗を発現することができないので好ましくない。
【0017】
本発明に用いられる酸化防止剤としては、フェノール系、アミン系、イオウ系、リン系のものが単独で或いは複数種組み合わされて用いられるが、フェノール系酸化防止剤がその効果の点で最も好適に使用される。フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−ブチル−6−[1−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルアクリレート等が挙げられる。
酸化防止剤の添加量は熱可塑性フッ素樹脂とポリアルキレンオキサイドとの混合物100重量部に対し0.03〜3重量部が好ましく、さらに0.05〜2重量部が好ましい。酸化防止剤の添加量が0.03重量部未満では成形加工時にポリアルキレンオキサイドの一部が分解し、分解生成物が表面にブリードアウトするので好ましくなく、一方、その添加量が3重量部を超えると、配合量に見合った効果の向上が見られなくなり好ましくない。
【0018】
本発明に用いられるシリコーン系樹脂としては、ポリオルガノシロキサン中のアルキル基の一部を含フッ素アルキル基、長鎖アルキル基、フェニル基、ポリアルキレンオキサイド鎖を有する置換基、ポリカプロラクトン鎖を有する置換基等で置換したもの等が好適に用いられるが、シリコーン系樹脂が下式(1)で示されるものであり、且つ該シリコーン系樹脂に導入された置換基の割合がシリコーン系樹脂全体の75重量%以下であるものを用いることが加工性、表面接触角の増大の効果の観点からより好ましい。
【化1】
Figure 0003601906
(R 〜R は、メチル基、炭素数8乃至30のアルキル基、フェニル基、式(2)で示されるポリアルキレンオキサイド鎖を有する置換基、式(3)で示されるポリカプロラクトン鎖を有する置換基のうちのいずれか)
【化2】
Figure 0003601906
(R は、炭素数1乃至8のアルキレン基、R はHまたはCH 、o は2以上の整数 )
【化3】
Figure 0003601906
(R は、炭素数1乃至8のアルキレン基、p は2以上の整数)
そして、シリコーン系樹脂の添加量は、熱可塑性フッ素樹脂とポリアルキレンオキサイドとの混合物100重量部に対し0.3〜10重量部が好ましく、さらに0.5〜7重量部が好ましい。その添加量が0.3重量部未満であると得られる製品の表面接触角がほとんど大きくならず、また添加量が10重量部を超えると加工性が低下するので好ましくない。
【0019】
本発明に用いられるイオン電解質としては、アルカリ金属のチオシアン酸塩、リン酸塩、硫酸塩、アルカリ金属とハロゲン含有酸素酸から得られる塩を単独、或いは、複数種組み合わせて用いることができ、これらのうち特に、過塩素酸カリウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸リチウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸リチウムが好ましい。
その添加量は、熱可塑性フッ素樹脂とポリアルキレンオキサイドとの混合物100重量部に対し、0.02〜3重量部が好ましく、また0.05〜2重量部がより好ましく、また0.08〜1.5重量部がさらに好ましい。イオン電解質の添加量が0.02重量部未満であると十分な半導電性が発現せず好ましくなく、逆に、イオン電解質の添加量が3重量部を越えると加工時にポリアルキレンオキサイドの熱分解が促進されるだけでなく、得られた組成物の電気特性の環境依存性が大きくなり好ましくない。
【0020】
また、本発明の半導電性フッ素樹脂組成物には必要に応じて、半導電性を損なわない範囲で滑剤、相容化剤、顔料、補強剤等を添加することができる。
【0021】
本発明の半導電性フッ素樹脂組成物は、上述した融点が190℃未満の熱可塑性フッ素樹脂、ポリアルキレンオキサイド、酸化防止剤、およびイオン電解質、さらに好ましくは、シリコーン系樹脂を通常のニーダー、ロール、バンバリーミキサー、二軸混練機等で混練することによって製造でき、その用途に応じて、フィルム、シート、チューブ、成型品等の形状に成形して使用される。なお、加工性の改良等、必要に応じて、熱可塑性フッ素樹脂以外の合成樹脂を少量配合することもできる。
【0022】
また、本発明の半導電性フッ素樹脂フィルムを得る方法としてはこれを特に限定するものではないが、例えば、上記のようにして得られた半導電性フッ素樹脂組成物をペレット化し、このペレットを環状ダイ、或いはTダイを備えた押出機に供給し、フィルム化する方法、カレンダー法によりフィルム化する方法、熱圧プレスする方法等が挙げられる。
ここで、加工温度は240℃未満であることが必要であり、好ましくは、235℃未満である。240℃以上であるとポリアルキレンキサイドが加工時の熱によって低分子量化し、この低分子量化したポリアルキレンオキサイドが製品の表面にブリードアウトし、好ましくない。
【0023】
【作用】
本発明のフッ素樹脂組成物が半導電性領域に達するまでの電気抵抗を発現できるのは、熱可塑性フッ素樹脂中のC−F結合が全元素中で電気陰性度の最も大きいフッ素原子により分極しているため、イオン電解質の解離を促進し、さらにポリアルキレンオキサイド中のエーテル結合を形成する酸素原子の孤立電子対が極性を有するマトリックス樹脂中において解離した金属イオンと錯体を形成し、その移動を著しく促進するためでないかと考えられる。さらに、酸化防止剤を添加することで成形加工時のポリアルキレンオキサイドの熱分解を抑制することができるため特に高温高湿下での製品表面のベトツキがなく、さらにシリコーン系樹脂を併用することによりポリアルキレンオキサイドの添加により低下した表面接触角を大幅に上昇させることができるものと考えられる。
従って、本発明の半導電性フッ素樹脂組成物は、その構成物質である熱可塑性フッ素樹脂、ポリアルキレンオキサイド、およびイオン電解質の配合比を調整することによって、容易に1×10 〜1×1012Ω・cmの範囲の所定の体積固有抵抗を精度良く安定して発現することができる。さらに本発明のフッ素樹脂組成物は、高温高湿下における電気抵抗と低温低湿下における電気抵抗の差が少なく、使用環境が変化しても安定したイオン伝導性を示し、高温高湿下における製品表面のベトツキもなく、さらにシリコーン系樹脂を添加することによって表面接触角を大きくできるという特徴を有している。
また、本発明の半導電性フッ素樹脂組成物は、加工温度を低く設定でき、酸化防止剤が添加されていることにより、加工時の熱によるポリアルキレンオキサイドの低分子量化を最小限に抑えられるため、添加剤等のブリードアウトがほとんどなく、さらにシリコーン系樹脂の併用により表面接触角を大幅に上昇させることができる。さらに本発明の半導電性フッ素樹脂フィルムは熱可塑性フッ素樹脂本来の非汚染性、防汚性、耐熱性、耐候性、耐オゾン性、難燃性等の優れた物理的性質をも有しているので、電子画像形成プロセス用樹脂として好適に使用されるものである。
【0024】
【実施例】
次に、実施例によって、本発明を具体的に説明する。実施例中の部は、重量部を、また配合比は重量基準で示す。なお、実施例で用いた熱可塑性フッ素樹脂、ポリアルキレンオキサイド、および酸化防止剤は、次に示す通りである。
【0025】
<熱可塑性フッ素樹脂>
・フッ素樹脂A:ポリフッ化ビニリデン(アトケム製:KYNAR740 融点:170℃)
・フッ素樹脂B:フッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体にフッ化ビニリデンをグラフトしたグラフト共重合体(セントラル硝子製:セフラルソフトG180 融点:165℃)
・フッ素樹脂C:ポリフッ化ビニリデン(アトケム製:KYNAR710 融点:170℃)
・フッ素樹脂D:ポリクロロトリフルオロエチレン(ダイキン(株)製:ネオフロンCTFE 融点:210〜212℃)
【0026】
<ポリアルキレンオキサイド>
・PAO−A:ポリエチレンオキサイド同士をジイソシアネートで主鎖延長した熱可塑性ポリアルキレンオキサイド
・PAO−B:ポリエチレンオキサイドとポリプロピレンオキサイドとをジイソシアネートで主鎖延長した熱可塑性ポリアルキレンオキサイド(ポリプロピレン含量20重量%)
なお、上記したポリアルキレンオキサイドを下記の条件で熱重量分析(TGA)にかけ、得られたチャートからポリアルキレンオキサイドの重量が10%減少する温度、即ち、10%重量減少温度を読み取った。その結果を表1に示す。
Figure 0003601906
【0027】
【表1】
Figure 0003601906
【0028】
<酸化防止剤 >
・酸化防止剤A:2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート(Sumilizer GM、住友化学工業(株)製)
・酸化防止剤B:ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](IRGANOX 1010、日本チバガイギー(株)製)
<シリコーン系樹脂>
・シリコーン系樹脂A:オルガノポリシロキサンの側鎖にポリエチレンオキサイドをグラフトしたシリコーン樹脂、ポリエチレンオキサイド含量10重量%(F1−024−01、日本ユニカー(株)製)
・シリコーン系樹脂B:オルガノポリシロキサンの側鎖に長鎖のアルキル基をグラフトしたシリコーン樹脂、長鎖のアルキル基含量50重量%(FZ−035−01、日本ユニカー(株)製)
・シリコーン系樹脂C:オルガノポリシロキサンの側鎖にポリカプロラクトンをグラフトしたシリコーン樹脂、ポリカプロラクトン含量70重量%(F−201−01、日本ユニカー(株)製)
【0029】
実施例における半導電性フッ素樹脂組成物の評価方法は以下に示す通りである。
<体積固有抵抗、および表面固有抵抗>
三菱油化(株)製ハイレスタHRSプローブを用い、印加電圧500Vで測定した。なお、体積固有抵抗、および表面固有抵抗の測定は、特に断りがない限り、23℃、50%RH条件下で行った。
<環境依存性>
低温低湿下(10℃ 30%RH:LL)における体積固有抵抗と高温高湿下(30℃ 80%RH:HH)における体積固有抵抗との比(LL/HH)で評価した(この値が小さいほど、環境依存性が小さいことを示す)。
<高温高湿下(HH)におけるフィルム表面の曇り>
熱圧プレスにより得られたフィルムを30℃、80%RH中へ24時間放置し、 フィルム表面の曇りの有無を観察した。
<表面接触角>
コンタクトアングルメーター(協和界面科学(株)製)を用い、液滴法により測定した。
【0030】
〔実施例1〕
フッ素樹脂A67重量部、フッ素樹脂B29重量部、PAO−A4重量部、酸化防止剤A0.4重量部、およびイオン電解質としてLiClO 0.4重量部を180℃のミキシングロールで均一に混練した後プレス成形して、厚さ約120μmのフィルムを製造した。得られたフィルムの諸性質を表2に示す。
【0031】
〔比較例1〕
フッ素樹脂A67重量部、フッ素樹脂B29重量部、PAO−A4重量部、およびLiClO 0.4重量部を180℃のミキシングロールで均一に混練した後プレス成形して、厚さ約120μmのフィルムを製造した。得られたフィルムの諸性質を同じく表2に示す。
【0032】
〔比較例2〕
低密度ポリエチレン95重量部、PAO−A5重量部、酸化防止剤A0.4重量部、およびLiClO 0.4重量部を180℃のミキシングロールで均一に混練した後プレス成形して厚さ120μmのフィルムを製造した。得られたフィルムの諸性質を表2に併せて示す。
【0033】
〔比較例3〕
フッ素樹脂D95重量部、PAO−A5重量部、酸化防止剤A0.4重量部、およびLiClO 0.4重量部を245℃のミキシングロールで均一に混練した後プレス成形して厚さ120μmのフィルムを製造した。得られたフィルムの諸性質を表2に併せて示す。
【0034】
【表2】
Figure 0003601906
【0035】
表2から明らかなように、マトリックス樹脂として熱可塑性フッ素樹脂を用いた実施例1のフィルムは、ポリアルキレンオキサイド、酸化防止剤、およびイオン電解質を配合することにより良好なイオン伝導性を示すと共に高温高湿下においてもフィルム表面に曇りを生じないが、酸化防止剤が配合されていない比較例1のフィルムは良好なイオン伝導性を示すにも拘わらず高温高湿下ではフィルム表面に曇りを生じた。
一方、マトリックス樹脂として熱可塑性フッ素樹脂の代わりに低密度ポリエチレンを用いた比較例2のフィルムは体積固有抵抗、および表面固有抵抗の低下が少なく、所望のイオン伝導性を得ることができなかった。また、熱可塑性フッ素樹脂として融点の高いポリクロロトリフルオロエチレン(フッ素樹脂D)を用いた比較例3のフィルムは、ミキシングロールによる混練温度を245℃と高くしなければならなかったため混練時にポリエチレンオキサイドが分解、揮散したためか体積固有抵抗、および、表面固有抵抗の低下が少なかった。従って、少ない配合量で良好なイオン伝導性を得るためには、マトリックス樹脂として融点が190℃未満の熱可塑性フッ素樹脂を用いることが必須であることがわかる。
【0036】
〔実施例2、3〕
フッ素樹脂C95重量部へPAO−AまたはPAO−B5重量部、酸化防止剤A0.5重量部、およびイオン電解質としてLiClO 0.5重量部を添加し、180℃のミキシングロールで均一に混練した後プレス成形して、厚さ約120μmのフィルムを得た。表3にその配合組成を、表4に諸性質を示す。
【0037】
〔比較例4〕
フッ素樹脂C95重量部へPAO−A5重量部、およびイオン電解質としてLiClO 0.5重量部を添加し、180℃のミキシングロールで均一に混練した後プレス成形して、厚さ約120μmのフィルムを得た。表3にその配合組成を、表4に諸性質を併せて示す。
【0038】
〔比較例5〕
フッ素樹脂C95重量部へポリエーテルエステルアミド(PEEA)5重量部、およびイオン電解質としてLiClO 0.5重量部を添加し、180℃のミキシングロールで均一に混練した後プレス成形して、厚さ約120μmのフィルムを得た。表3にその配合組成を、表4に諸性質を併せて示す。
【0039】
【表3】
Figure 0003601906
【0040】
【表4】
Figure 0003601906
【0041】
表4の結果から、本発明の半導電性フッ素樹脂フィルムは、23℃ 50%RHにおいて、目的とする体積固有抵抗を示すと共に、LL/HHの値が小さく、環境依存性が小さいばかりでなく、高温高湿下においても製品表面に曇りを生じず高温高湿下でも良好に使用可能であることがわかる。それに対し、比較例4のフィルムはLL/HHの値がやや大きく、酸化防止剤を添加していないため高温高湿下で製品表面に曇りを生じた。また、比較例5のフィルムは環境依存性が大きく、また高温高湿下で製品表面に曇りを生じた。
【0042】
〔実施例4〜7〕
フッ素樹脂C95重量部にPAO−A5重量部、酸化防止剤B0.5重量部、所定量のシリコーン系樹脂、およびLiClO0.5重量部を混合し、180℃のミキシングロールで均一に混練した後プレス成形して、厚さ約120μmのフィルムを得た。各フィルムの配合組成を表5に、その諸性質を表6に示す。
【0043】
【表5】
Figure 0003601906
【0044】
【表6】
Figure 0003601906
【0045】
表6より明らかなように、本発明の半導電性フッ素樹脂フィルムは、所定の電気抵抗を再現性良く発現し、シリコーン系樹脂を添加することにより表面接触角が大幅に上昇するばかりでなく、体積固有抵抗の環境依存性も小さくなり、高温高湿下に放置しても製品表面に曇りを発生しない。従って、本発明の半導電性フッ素樹脂組成物を成形して得られる半導電性フッ素樹脂フィルムは、様々な環境下で安定した機能を発揮することができると共に、熱可塑性フッ素樹脂本来の特性である非汚染性をも備えていることがわかる。
【0046】
【発明の効果】
本発明の半導電性フッ素樹脂組成物は、マトリックス樹脂として融点が190℃未満の熱可塑性フッ素樹脂に、帯電防止剤としてのポリアルキレンオキサイド、酸化防止剤、およびイオン電解質、より好ましくはシリコーン系樹脂を組み合わせて用いることによって、これらの優れた相互作用により1×10 〜1×1012Ω・cmの範囲内の所定の体積固有抵抗、および1×10 〜1×1012Ω/□の範囲内の所定の表面固有抵抗を精度良く発現できる。また本発明の半導電性フッ素樹脂組成物は、イオン電解質を含有しているにもかかわらず、酸化防止剤、およびシリコーン系樹脂を添加することにより高温高湿下における電気抵抗と低温低湿下における電気抵抗の差、即ち電気抵抗の環境依存性が少なく安定したイオン伝導性を示し、高温高湿下でも製品表面に曇りを発生しないという性質を有している。さらに、ポリアルキレンオキサイドの添加によって低下した表面接触角をシリコーン系樹脂の添加により大幅に上昇させ、即ち非汚染性という熱可塑性フッ素樹脂本来の特性を回復させている。また、加工時のポリアルキレンオキサイドに起因する熱分解生成物がほとんどないので、添加物に基づくブリードアウトがなく、加工性も優れているという特徴を有している。そして、本発明の半導電性フッ素樹脂組成物は、フッ素樹脂の特徴である非粘着性、耐熱性、耐オゾン性、難燃性等の優れた物理的性質を保持している。従って、本発明の半導電性フッ素樹脂組成物は、正確な半導電性が要求される電子画像形成プロセス用半導電性樹脂として、例えば電子写真材料等の分野で好適に使用されるものである。さらに、本発明の半導電性フッ素樹脂組成物はシート、チューブ、その他成型品に容易に成形加工することができる。
また、上記半導電性フッ素樹脂組成物を成形して得られる本発明の半導電性フッ素樹脂フィルムもまた上述した性能をそのまま有しており、電子画像形成プロセス用半導電性樹脂として、例えば電子写真材料等の分野で好適に使用されるものである。

Claims (10)

  1. 融点が190℃未満の熱可塑性フッ素樹脂98〜85重量部とポリアルキレンオキサイド2〜15重量部よりなる混合物100重量部に対し、酸化防止剤0.03〜3重量部、およびイオン電解質0.02〜3重量部を含有することを特徴とする半導電性フッ素樹脂組成物。
  2. 融点が190℃未満の熱可塑性フッ素樹脂98〜85重量部とポリアルキレンオキサイド2〜15重量部よりなる混合物100重量部に対し、酸化防止剤0.03〜3重量部、シリコーン系樹脂0.3〜10重量部、およびイオン電解質0.02〜3重量部を含有することを特徴とする半導電性フッ素樹脂組成物。
  3. 前記融点が190℃未満の熱可塑性フッ素樹脂が、ポリフッ化ビニリデン、またはその共重合体から選ばれる一種、或いは二種以上の混合物であることを特徴とする請求項1または2記載の半導電性フッ素樹脂組成物。
  4. 前記フッ化ビニリデン共重合体が、フッ化ビニリデン―六フッ化プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体、またはフッ化ビニリデン−六フッ化プロピレン共重合体とフッ化ビニリデンとのグラフト共重合体から選ばれる一種、或いは二種以上の混合物であることを特徴とする請求項3記載の半導電性フッ素樹脂組成物。
  5. 前記ポリアルキレンオキサイドが、ポリエチレンオキサイド、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共重合体、およびポリアルキレンオキサイド同士を主鎖延長した熱可塑性ポリアルキレンオキサイドから選ばれる一種、或いは二種以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の半導電性フッ素樹脂組成物。
  6. 前記ポリアルキレンオキサイドが、熱重量分析(TGA)による10%重量減少温度が240℃以上であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の半導電性フッ素樹脂組成物。
  7. 前記酸化防止剤がフェノール系酸化防止剤であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の半導電性フッ素樹脂組成物。
  8. 前記シリコーン系樹脂が下式(1)で示されるものであり、且つ該シリコーン系樹脂に導入された置換基の割合がシリコーン系樹脂全体の75重量%以下であることを特徴とする請求項2乃至7のいずれかに記載の半導電性フッ素樹脂組成物。
    Figure 0003601906
    (R 〜R は、メチル基、炭素数8乃至30のアルキル基、フェニル基、式(2)で示されるポリアルキレンオキサイド鎖を有する置換基、式(3)で示されるポリカプロラクトン鎖を有する置換基のうちのいずれか)
    Figure 0003601906
    (R は、炭素数1乃至8のアルキレン基、R はHまたはCH 、o は2以上の整数 )
    Figure 0003601906
    (R は、炭素数1乃至8のアルキレン基、p は2以上の整数)
  9. 前記イオン電解質が、アルカリ金属のチオシアン酸塩、リン酸塩、硫酸塩、またはハロゲン含有酸素酸塩のうちから選ばれる一種、或いは二種以上であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の半導電性フッ素樹脂組成物。
  10. 請求項1乃至9のいずれかに記載の半導電性フッ素樹脂組成物を加工温度240℃未満で成形してなる半導電性フッ素樹脂フィルム。
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