JPH1177142A - 熱延ステンレス鋼板の製造方法 - Google Patents

熱延ステンレス鋼板の製造方法

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JPH1177142A
JPH1177142A JP9242267A JP24226797A JPH1177142A JP H1177142 A JPH1177142 A JP H1177142A JP 9242267 A JP9242267 A JP 9242267A JP 24226797 A JP24226797 A JP 24226797A JP H1177142 A JPH1177142 A JP H1177142A
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rolling
scale
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rolled
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Masaaki Kono
雅昭 河野
Kunio Fukuda
国夫 福田
Takumi Ugi
工 宇城
Susumu Sato
佐藤  進
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 脱スケール性および表面性状に優れた熱延ス
テンレス鋼板の製造方法を提供する。 【解決手段】 Crを10wt%以上含有する鋼スラブを熱間
圧延して、熱延鋼板を製造するにあたり、仕上圧延前
に、衝突圧が25kgf/cm2 以上の高圧水スプレーを、流量
密度を0.002 l/cm2 以上として噴射し、デスケーリング
を行ったのち、1パスあたりの最大圧下率Rが、R≦−
0.9 A+54、(A:Cr含有量(wt%))を満足する仕上
圧延を施す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱延ステンレス鋼
板の製造方法に係り、とくに酸洗時の脱スケール性の向
上および脱スケール後の表面性状の向上に関する。
【0002】
【従来の技術】熱延ステンレス鋼板は、一般には、連続
鋳造製の鋼スラブを1100〜1300℃程度に加熱後、熱間圧
延して製造される。なお、本発明では、鋼板はその時々
の状態により鋼帯あるいはコイルともいう。熱延ステン
レス鋼板は、連続的あるいはバッチ的に焼鈍され、ある
いは焼鈍を省略して、硫酸・弗酸混酸槽に通され酸洗さ
れた後、冷間圧延され、冷延ステンレス鋼板とされる。
通常、冷延ステンレス鋼板はさらに焼鈍−酸洗処理を経
て、各種用途に供される。
【0003】また、熱延ステンレス鋼板は、焼鈍−酸洗
処理を施されたまま、冷間圧延を施されずに供用される
場合もある。ステンレス鋼はCrを多量に含有することか
ら、熱間圧延時に鋼板表面に(Fe,Cr)2O3や(Fe,Cr)3O4
主体としたFe-Cr 系酸化層が、さらに鋼中のSiによりFe
-Cr系酸化層と地鉄との界面にSiO2からなる中間酸化層
が形成される。これらの酸化層(スケール)を有する熱
延鋼板を焼鈍処理後、冷間圧延すると、圧延中にスケー
ルが剥離して冷延ロールを傷つけるほか、圧延材に噛込
み、表面欠陥の原因となる。
【0004】このような有害なスケールを除去するため
に、熱延後に酸洗工程が設けられている。しかし、熱延
ステンレス鋼板のスケールは、非常に緻密であり、酸洗
脱スケール性が悪いことから酸洗ラインの通板速度を律
速し、生産性を阻害するという問題があった。従来か
ら、酸洗負荷を軽減し酸洗のスピードアップを図るため
に、鋼板表面に硬質微粒(ショット粒)を高圧噴射して
スケールにクラックを導入する、いわゆるショットブラ
スト処理が酸洗処理前に広く行われている。しかし、シ
ョットブラストされた鋼板表面には、ショット目と呼ば
れる凹凸が刻まれ表面粗さが大きくなり表面品質が劣化
する。そのため、比較的安価な、酸洗された熱延ステン
レス鋼板を、冷延鋼板の代替品として利用できないとい
う問題があった。
【0005】このような問題に対し、最近では、ショッ
ト目残りを軽減するために、鋼板に数%の曲げ歪等を機
械的に付与したり、研削ブラシを使用することが考えら
れているが、いずれもショット目を完全に消失させるこ
とはできていない。さらに、このようなショット目残り
は、冷間圧延を行ったあとまで残存し、冷延鋼板の表面
光沢を低下させるという問題を残していた。
【0006】一方、酸洗負荷を軽減するため、スケール
を薄層化する方策が指向され、熱延工程でのスケール生
成を抑制する方法が提案されている。例えば、特開昭58
-53323号公報、特開昭59-97710号公報、特開昭61-12340
3 号公報には、熱間圧延の最終圧延機出側から巻取機ま
での区間に、内部を不活性または還元性ガス雰囲気に制
御できるボックスを設け、該ボックス内を圧延後の熱延
鋼帯が通過するようにして鋼帯表面のスケール生成を抑
制する方法が開示されている。
【0007】この方法は、コイル巻取り後にのこるスケ
ールは最終パス後に生成したスケールのみであって、そ
れ以前に生成したスケールは熱間圧延の各パスで除去さ
れるため、最終圧延機出側から巻取機までの鋼帯通過区
間を無酸化性雰囲気に維持して当該区間でのスケール生
成を防止すれば、スケール厚が制御できるという技術思
想に基づく。しかし、この方法は、最終圧延機から巻取
機に到るまでの長大な区間全域をガスシールしなければ
ならず、ガスシールするための装置を設置する必要があ
り、さらに大量のガスを供給しなければならないという
問題が残されていた。
【0008】また、スラブ加熱から熱間粗圧延までの間
に生成したスケール、とくに酸洗性に有害な赤スケール
を除去し、酸洗でのスケール残りを低減することを目的
として、例えば、特開平6-71330 号公報には、熱間仕上
圧延前に、20g/mm2 〜180g/mm2の衝突圧でかつ流量が0.
1 〜0.6 l/(min・mm2)の高圧水スプレーを鋼板表面に噴
射するオーステナイト系ステンレス鋼板のデスケーリン
グ方法が開示されている。しかし、この方法は、主とし
てSi酸化物に起因するスケール疵を減少することはでき
るが、スケール疵を完全になくすことはできない。ま
た、この方法によっても、酸洗速度を増加することや、
ショットブラストを省略して酸洗を行うことはできな
い。
【0009】さらに、特開平6-71330 号公報に記載され
た方法をフェライト系ステンレス鋼板に適用すると、仕
上圧延ロールのロール面と鋼板表面との金属接触による
焼付きが発生し、新たな表面欠陥の原因となるという問
題があった。また、特開平8-108210号公報には、熱間仕
上圧延終了後巻取りまでの間に、鋼帯表面に{-6.00 ×
10-6T+8.60×10}以上の衝突エネルギー(kJ/m2) (な
お、Tはデスケーリング直前の鋼帯温度(℃))の高圧
水を噴射してデスケーリングする熱延フェライト系ステ
ンレス鋼帯の製造方法が開示されている。しかし、この
方法では、高衝突エネルギーを得るために多量の流量を
必要とし、設備が非常に大きくなるという欠点を有して
おり、さらに鋼帯が薄くなってから高圧水を噴射するた
め、表面の局所的変形が生じ鋼帯の形状が不安定となる
など、通板性の上でも問題があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記した問
題を有利に解決し、酸洗前のショットブラスト処理を必
要としないレベルにまで酸洗性を向上させ、かつ焼付き
欠陥のない表面品質の優れた熱延ステンレス鋼板の製造
方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を達成するために、先ず熱延ステンレス鋼板の酸洗性を
向上させるべく鋭意検討した結果、熱延工程に続く硫酸
−硝酸・弗酸を用いた酸洗工程における酸洗性は、ショ
ットブラスト処理を行わない場合には、熱延スケールの
厚さが重要であり、スケール厚さを2.5 μm 以下とする
ことによりショットブラスト処理を省略できるという知
見を得た。
【0012】さらに、主として熱延仕上圧延に先立って
行うデスケーリングの条件およびそれに続く熱延仕上圧
延条件に着目して検討を行なった結果、これまで用いら
れなかったような超高圧のデスケーリングを用いさらに
続く熱延仕上圧延を適切に行うことにより、熱延鋼板表
面のスケールが2.5 μm 以下と薄層化するとともに、ス
ケール性状が変化し、さらに表面品質が大きく向上する
ことを知見した。
【0013】まず、本発明の基礎となった実験結果につ
いて説明する。Crを11wt%含有するフェライト系ステン
レス鋼スラブを1150℃に加熱し、粗圧延により厚さ30mm
のシートバーとしたのち、該シートバー表面にデスケー
リング条件(衝突圧および流量) を変化して高圧水を噴
射したのち、仕上圧延を行い4mm厚の熱延鋼板とした。
得られた熱延鋼板について、スケール厚さと酸洗性を調
査し、その結果を図1に示す。
【0014】酸洗性は、焼鈍(850 ℃×8hr、還元性ガ
ス(H2 :5%、N2 :bal )雰囲気中)後、硫酸200g
/lと混酸(硝酸150g/l+弗酸25g/l )中に浸漬(温度:
80℃、時間:100sec)する酸洗を行い、酸洗後の鋼板面
を目視観察しスケール残り状況を調査した。○はスケー
ル残りなし、△は点状スケール残りあり、×は塊状スケ
ール残りあり、である。
【0015】図1から、デスケーリング条件を、衝突圧
を25kg/cm2以上、流量を0.0020 l/cm2以上とすることに
より、熱延鋼板のスケール厚さを2.5 μm 以下とするこ
とができ、ショットブラスト処理を省略して酸洗を行う
ことができることがわかる。しかし、上記した条件でシ
ートバーをデスケーリングしたのち、仕上圧延を行って
も、焼付きによる表面欠陥が発生する場合があった。
【0016】そこで、本発明者らは、仕上圧延条件に着
目し、検討した結果、仕上圧延の1パスあたりの最大圧
下率をCr含有量と関連する所定の値以下とすることによ
り焼付きを発生することなく仕上圧延が行えることを見
いだした。図2に、焼付きの発生に及ぼす仕上圧延にお
ける最大圧下率RとCr含有量Aとの関係を示す。図2は
つぎのような実験により得られた結果である。
【0017】Cr含有量が10〜30wt%の範囲に変化したス
テンレス鋼スラブを粗圧延により30mm厚のシートバーと
し、ついで、衝突圧:25kg/cm2、流量:0.0020 l/cm2
してデスケーリングを行ったのち、1パスあたりの圧下
率を変化して仕上圧延を行い熱延鋼板とした。得られた
熱延鋼板の表面を観察して、焼付きの有無について調査
した。
【0018】この結果から、焼付きは、含まれるCr量A
(wt%)に依存して1パスあたりの最大圧下率R(%)
を調整することにより発生を防止しうることを新規に知
見した。焼付きが発生しない限界の最大圧下率Rは、R
=−0.9 A+54である。本発明は、上記知見に基づいて
さらに検討を加え構成されたものである。すなわち、本
発明は、Crを10wt%以上含有する組成のステンレス鋼ス
ラブを、熱間粗圧延によりシートバーとしたのち、該シ
ートバーに仕上圧延を施す熱延ステンレス鋼板の製造方
法において、前記シートバー表面に、単位散布面積当た
りの衝突圧が25kgf/cm2 以上の高圧水スプレーを、流量
密度を0.002 l/cm2 以上として噴射したのち、1パスあ
たりの最大圧下率Rが、次(1)式 R≦−0.9 A+54 …………(1) (ここに、R:1 パスあたりの最大圧下率(%)、A:
スラブのCr含有量(wt%))を満足する仕上圧延を施
し、表面スケール厚さを2.5 μm 以下とすることを特徴
とする脱スケール性および表面性状に優れた熱延ステン
レス鋼板の製造方法である。
【0019】
【発明の実施の形態】まず、本発明に用いるステンレス
鋼スラブ(素材)の組成の限定理由について説明する。 Cr:10wt%以上 Crは、ステンレス鋼に耐食性を付与するために重要な元
素であり、添加量は要求される耐食性のレベルに応じ調
整される。10wt%未満では、耐食性の向上が少なく、さ
らに熱延工程での薄スケール化が達成できない。このた
め、本発明では、ステンレス鋼スラブのCr含有量は10wt
%以上に限定した。
【0020】一方、Crは、仕上圧延中に圧延ロールと鋼
板の金属接触による焼付きの発生に影響し、Cr含有量が
高い場合には、焼付きが発生しやすくなり1パスあたり
の最大圧下率を低く規制しなければならないことから、
実際上は、Cr量は30wt%を上限とするのが望ましい。 Si:2.0 wt%以下 Siは、脱酸剤として作用するため、通常、0.3 wt%程度
添加するのが好ましい。また、Siは高温での耐酸化性を
向上させる元素であり、必要に応じ増量される。一方、
Siは、表面スケールと下地合金の界面に含Si酸化物層を
形成し、酸洗性を劣化させる元素である。この点に関し
本発明者らは、特願平8−259318号で、この含Si酸化物
層を 0.1μm 以下に抑制すれば、酸洗性を劣化させない
技術を提案した。このようなスケールも、本発明の方法
にしたがえば容易に除去でき、つづく仕上圧延、コイル
巻取り中に生じるスケール中の含Si酸化物層は 0.1μm
以下に抑制することができる。しかしながら、Siが2%
を超えると、熱間加工性が低下するため、Siの好適範囲
は2%以下とするのが好ましい。
【0021】このほか、本発明では、耐食性向上のため
にNi、Mo、Cuを、鋼中のSを固定するためにMnを、脱酸
剤としてのAlを、C、Nを固定するためにTi、Nb、Zr、
Vをそれぞれ、単独あるいは複合して添加できる。Ni、
Mo、Cuを添加する場合には、それぞれ10.0%以下、 2.0
%以下、 1.0%以下とするのが好ましい。なお、Cuは0.
1〜1.0 %とするのがより好ましい。Mnを添加する場合
には、 2.0%以下とするのが好ましく、 0.1〜2.0 %と
するのがより好ましい。Alを添加する場合には、0.10%
以下とするのが好ましく、より好ましくは 0.001〜0.10
%である。Ti、Nb、Zr、Vを添加する場合には、Ti、N
b、Zr、Vは、2×(C/12+N/14)≦(Ti/48+Nb
/93+Zr/91+V/51)で、かつTi+Nb+Zr+V≦0.5
を満足するように調整するのが好ましい。
【0022】つぎに、製造条件について説明する。上記
した組成の鋼スラブを熱間粗圧延によりシートバーとす
る。熱間圧延のための、スラブ加熱および熱間粗圧延の
条件については、通常公知の条件であればよく、とくに
限定する必要はない。例えば、スラブ加熱条件は、通常
のスラブ加熱温度である、1050〜1300℃の温度範囲とす
るのが好ましい。
【0023】仕上圧延に先立ち、シートバーの表面に超
高圧水を噴射してデスケーリングを行う。デスケーリン
グは、単位散布面積当たりの衝突圧が25kgf/cm2 以上、
流量密度が0.002 l/cm2 以上の高圧水スプレーを用い
る。なお、本発明で用いる流量密度とは、デスケーリン
グにあたり、シートバー単位面積あたりに投入される総
水量を表す。また、衝突圧p(MPa) は、ノズルの吐出圧
P(MPa) 、吐出量Q(l/sec) 、鋼板表面とノズル間の距
離H(cm)から、p=5.64PQ/H2 により求めることが
できる(鉄と鋼,77(1991), No.9, p1450)。
【0024】高圧水スプレーの衝突圧が25kgf/cm2
満、流量密度が0.002 l/cm2 未満では、仕上圧延後の熱
延鋼板表面のスケール厚が2.5 μm 以下とならない。熱
延鋼板のスケール厚が2.5 μm を超えると、ショットブ
ラスト処理を省略して酸洗を行えば、局部的に厚いスケ
ールが残り脱スケールを完了することができない。本発
明では、ショットブラスト処理を省略した場合には、酸
洗性は熱延鋼板のスケール厚さに依存するという新たな
知見に基づき、熱延鋼板のスケール厚を2.5 μm 以下と
する。酸洗性とスケール厚さとの関係についての詳細な
理由については、明らかでないが、スケール厚さは、熱
延後のコイル曲げもどしや、焼鈍工程で導入されるコイ
ルの曲げ歪によりスケールに発生する微細なクラックを
介して地鉄に達する酸の浸透力に影響するものと考えら
れる。
【0025】高圧水スプレーによるデスケーリングが、
熱延鋼板のスケール厚、脱スケール性、表面品質に影響
を与えるメカニズムについては、現時点では必ずしも明
確になっていないが、つぎのように推察できる。衝突圧
が25kgf/cm2 以上という超高圧になると、衝突圧1〜4
kgf/cm2 という一般的な高圧水によるデスケーリングで
達成されていた脱スケールに加えて、地鉄表層の凹凸を
平滑化し、凹部での局部的な脱スケール残りを抑制する
とともに、仕上圧延での凸部の凹部への倒れ込み等によ
り生成するスケール食い込みを防止するものと考えられ
る。さらに、流量密度が0.002 l/cm2 以上では、デスケ
ーリング直後に極表層のみが効果的に冷却され、スケー
ル生成が抑制されるものと考えられる。
【0026】仕上圧延に先立ちデスケーリングを施され
たシートバーは、ついで仕上圧延され熱延鋼板とされ
る。本発明では、この仕上圧延を、仕上圧延ロールと鋼
板表面間で焼付きを発生させないように、適正に制御す
る。焼付の発生を防止するためには、仕上圧延における
1パスあたりの最大圧下率Rが、次(1)式 R≦−0.9 A+54 …………(1) (ここに、R:1 パスあたりの最大圧下率(%)、A:
スラブ(素材)のCr含有量(wt%))を満足するよう
に、素材のCr含有量に応じ仕上圧延を制御する。1パス
あたりの最大圧下率Rが(1)式を満足しない場合に
は、焼付きが発生する。これは、圧下率が高すぎ、デス
ケーリング後鋼板表面に生成した極薄スケール層が圧延
時に展伸しきれず、ロールバイト内で破断し新生面が露
出しロールと鋼板表面との金属接触が生じるためと考え
られる。ここで、素材のCr含有量は、生成するスケール
量、およびロールバイト内で露出した鋼板表面の新生面
とロール表面との接着性に関与しているものと考えられ
る。
【0027】なお、仕上圧延における1パスあたりの圧
下率以外の他の条件、例えば、圧延温度、コイル巻取り
温度等は、所望の材料特性に応じ選択することができ、
とくに限定されないが、仕上圧延温度が低下すると圧延
荷重が高まり、通板性および圧延機に悪影響を及ぼすの
で、その鋼組成により圧延温度域でオーステナイト組織
である鋼では、仕上圧延終了温度を 950℃以上、フェラ
イト組織である鋼では700℃以上とするのが望ましい。
【0028】
【実施例】
(実施例1)表1に示す組成のフェライト系ステンレス
鋼スラブを、1150℃に加熱したのち、粗圧延(7パス)
により30mm厚さのシートバーとした。ついで、該シート
バー表面に表2に示す条件で高圧水スプレーを噴射して
デスケーリングを行ったのち、7パスの仕上圧延(1パ
スあたりの最大圧下率は表2に示す)を施し板厚4mmの
熱延鋼板とした。粗圧延の圧延終了温度は970 ℃、仕上
圧延の終了温度は800℃、巻取り温度は700 ℃であっ
た。
【0029】得られた熱延鋼板について、表面に付着し
たスケール厚さ、酸洗性、および酸洗後の表面品質を調
査した。その結果を表2に示す。得られた熱延鋼板のス
ケール厚さは、溶媒をメタノールとした10%アセチルア
セトン+1%テトラメチルアンモニウムブロライド非水
溶媒電解液定電流電解法(電流密度:20mA/cm2以下)に
よりスケールを地鉄より剥離させ、剥離したスケールの
重量を測定し、その重量から密度5.2g/cm3(Fe3O4 の密
度)を使用してスケール厚さに換算して求めた。
【0030】酸洗性は、窒素ガス雰囲気中で850 ℃×8
hrの焼鈍を行ったのち、硫酸(H2SO 4 )200g/lと混酸
(HNO3:50g/l、HF:25g/l)中で、温度:80℃、時間:10
0secの浸漬による酸洗処理を行い、酸洗後の板面を目視
観察して、スケール残りの有無を評価した。スケール残
りの評価は、スケール残りなし:○、点状スケール残り
あり:△、正常部にはスケール残りなし、焼付き部にス
ケール残りあり:□、塊状スケール残りあり:×、とし
た。
【0031】酸洗後の表面品質は、熱間圧延でのロール
と鋼板面との焼付きによる肌荒れの発生状況を、実機酸
洗後のコイル面の目視検査と、コイルから採取した試験
片でのラボ酸洗試料の目視検査により行った。評価は、
焼付き、肌荒れ表面欠陥なし:○、焼付き、肌荒れ表面
欠陥あり:×とした。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】表2から、本発明の範囲を満足する条件
(本発明例No.19 〜No.21 、No.23 、No.24 、No.28 〜
No.30 )では、スケール厚さはいずれも2.5 μm 以下で
あり、ショットブラスト処理を行うことなく、良好な酸
洗性が得られている。また、その表面品質も、焼付き等
の欠陥もなく良好であった。 (実施例2)表3に示す組成のステンレス鋼スラブを、
表4に示す温度に加熱したのち、粗圧延(7パス)によ
りシートバーとし、ついで、表4に示す条件で高圧水ス
プレーを噴射してデスケーリングを行ったのち、表4に
示す1パスあたりの最大圧下率で仕上圧延を施し、板厚
4.0mmの熱延鋼板とした。得られた熱延鋼板について、
表面に付着したスケール厚さ、酸洗性、および酸洗後の
表面品質を、実施例1と同様に調査した。その結果を表
4に示す。
【0036】
【表4】
【0037】
【表5】
【0038】表4から、本発明の範囲を満足する条件
(本発明例No.2-1、No.2-3、No.2-9、No.2-10 、No.2-1
2 、No.2-13 、No.2-15 、No.2-16 、No.2-18 、No.2-2
1 )では、スケール厚さはいずれも2.5 μm 以下であ
り、ショットブラスト処理を行うことなく、良好な酸洗
性が得られている。また、その表面品質も、焼付き等の
欠陥もなく良好であった。一方、本発明の範囲を外れる
比較例では、酸洗性が低下しているか、焼付きが発生し
て表面品質が低下している。 (実施例3)表3に示す鋼No. D組成のフェライト系ス
テンレス鋼スラブを、1200℃に加熱し粗圧延したのち、
表5に示す条件で高圧水スプレーを噴射してデスケーリ
ングを行い、表5に示す1パス当たりの最大圧下率で仕
上圧延を施し、板厚3mmの熱延コイルとした。仕上圧延
の終了温度は 740℃、巻取り温度は 510℃であった。
【0039】得られた熱延コイルに、ショットブラスト
処理を施し(コイルNo.3-1、No.3-2)、あるいはショッ
トブラスト処理を省略し(コイルNo.3)、硫酸(H2S
O4 )200g/lと混酸(HNO3:50g/l、HF:25g/l)中で、温
度:80℃、時間:100secの浸漬による酸洗処理を施し
た。そののち、これら酸洗済み熱延コイルをロール径25
0mmのタンデム圧延により、板厚0.8mm の冷延コイルと
し、焼鈍後、酸洗を行い光沢度を測定した。その結果を
表5に示す。
【0040】
【表6】
【0041】なお、酸洗は、中性塩電解処理(NaSO4(20
0g/l) 水溶液、温度:80℃、電解電流値:120 C/dm2
に続いて、混酸浸漬処理(硝酸:100g/l+弗酸:30g/l
、温度:60℃、時間:40sec )を行った。表面の光沢
度は、JIS Z 8741に準拠して光沢計で測定した。本発明
の範囲内で製造された熱延コイル(コイルNo.3)は、シ
ョットブラスト処理を省略しても酸洗が可能な、優れた
酸洗性を有し、さらには大径ロールを使用した冷間圧延
を施し冷延コイルとしても、表面光沢は高く、表面品質
の良好な冷延鋼板を得ることができる。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、酸洗性が良好でかつ熱
延時の焼付き欠陥のない表面品質の良好な熱延鋼板を安
価に製造でき、産業上格段の効果を奏する。さらに、従
来酸洗前に必須であったショットブラスト処理を省略で
きるという効果もある。また、本発明の方法により製造
された熱延鋼板は、従来冷延鋼板が用いられていた用途
にも適用できるうえ、冷延用素材として用いた場合に
も、従来ショットブラスト処理を経た熱延鋼板を素材と
するよりも表面光沢に優れた冷延製品が得られるという
効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】スケール厚さに及ぼす高圧水の衝突圧と流量の
関係を示すグラフである。
【図2】焼付き欠陥の発生に及ぼす素材Cr量と仕上圧延
での最大圧下率との関係を示すグラフである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年9月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正内容】
【0030】酸洗性は、窒素ガス雰囲気中で850 ℃×8
hrの焼鈍を行ったのち、硫酸(H2SO 4 )200g/lと混酸
(HNO3:150g/l、HF:25g/l )中で、温度:80℃、時
間:100secの浸漬による酸洗処理を行い、酸洗後の板面
を目視観察して、スケール残りの有無を評価した。スケ
ール残りの評価は、スケール残りなし:○、点状スケー
ル残りあり:△、正常部にはスケール残りなし、焼付き
部にスケール残りあり:□、塊状スケール残りあり:
×、とした。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正内容】
【0039】得られた熱延コイルに、ショットブラスト
処理を施し(コイルNo.3-1、No.3-2)、あるいはショッ
トブラスト処理を省略し(コイルNo.3)、硫酸(H2S
O4 )200g/lと混酸(HNO3:150g/l、HF:25g/l )中
で、温度:80℃、時間:100secの浸漬による酸洗処理を
施した。そののち、これら酸洗済み熱延コイルをロール
径250mm のタンデム圧延により、板厚0.8mm の冷延コイ
ルとし、焼鈍後、酸洗を行い光沢度を測定した。その結
果を表5に示す。
フロントページの続き (72)発明者 宇城 工 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 佐藤 進 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Crを10wt%以上含有する組成のステンレ
    ス鋼スラブを、熱間粗圧延によりシートバーとしたの
    ち、該シートバーに仕上圧延を施す熱延ステンレス鋼板
    の製造方法において、前記シートバー表面に、衝突圧が
    25kgf/cm2 以上の高圧水スプレーを、流量密度を0.002
    l/cm2 以上として噴射しデスケーリングを行ったのち、
    1パスあたりの最大圧下率Rが、下記(1)式を満足す
    る仕上圧延を施し、表面スケール厚さを2.5 μm 以下と
    することを特徴とする脱スケール性および表面性状に優
    れた熱延ステンレス鋼板の製造方法。 記 R≦−0.9 A+54 …………(1) ここに、R:1 パスあたりの最大圧下率(%) A:スラブのCr含有量(wt%)
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