JP3598190B2 - 内燃機関用の発電装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関(以下、エンジンと表現する場合もある)の回転エネルギを電気エネルギに変換する内燃機関用の発電装置に係り、特に、ロータの多相巻線に回転磁界を発生させることで自身の駆動トルクを最適化できるようにした内燃機関用の発電装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用あるいは船舶用の発電装置は、回転軸がエンジンのクランク軸にオルタネータベルトを介して連結されオルタネータ(ACG)と、オルタネータがエンジン回転数に応じて発生する交流電力を直流電力に変換する整流器と、直流電力の電圧をバッテリ電圧に応じて制御するレギュレータとによって構成される。
【0003】
図9は、従来のオルタネータ50の構成を示した模式図であり、回転軸と一体化されたロータ(回転子)52には直流界磁コイル53が巻回され、ステータ54(固定子)には3相コイル55が巻回されている。ここで、直流界磁コイル53へバッテリから直流電流を供給した励磁状態でロータ52を回転させて交番磁界配置を形成すると、ステータ54の3相コイル55には、ロータ52の回転速度に応じた周波数の交流電力が発生する。すなわち、従来のオルタネータは同期モータを利用した発電機であった。なお、ロータ52には直流界磁コイル53の代わりに永久磁石を設ける場合もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記した車両等用の内燃機関では、ヘッドライトやエアコンディショナといった電力消費量の大きな電気負荷がオン/オフされると、これに応答して発電量を増減させるために直流界磁コイル53の励磁強度も制御される。この結果、エンジンがオルタネータを駆動するのに要するトルク(以下、単に駆動トルクと表現する)が変動し、エンジン回転数が変化することになる。特に、大きな電気負荷がオフ状態からオン状態になって駆動トルクが急激に増えると、これに伴ってエンジン回転数が低下するので、アイドリング時であればエンジンストールを招いたり、また走行中であれば一種の制動状態となってドライバビリティが悪化してしまうという問題が発生する。
【0005】
このような問題点を解決するために、例えば特開平1−277650号公報では、電気負荷が印加されたか否かを判別し、印加されたと判別されるとスロットル弁を開いてエンジン回転数の設定値を高くする制御装置が提案されている。また、特開平5−180047号公報では、電気負荷の増減に応じて、ステータの界磁コイルへ供給する界磁電流のデューティー比を制御する制御装置が提案されている。しかしながら、上記した従来技術ではいずれも、電気負荷の増減に応じてオルタネータの駆動トルクが変動してしまうことから、オルタネータベルトに大きな負荷がかかったり、あるいは素早い制御ができないために依然として安定性に欠けるという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、上記した従来技術の問題点を解決し、オルタネータとして誘導機を採用し、電気負荷やエンジン回転数の変動といった、オルタネータの駆動トルクを変動させる要因が発生しても、その駆動トルクを任意に制御できるようにした内燃機関用の発電装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明は、多相巻線を有するロータおよびステータを備え、ロータが内燃機関の回転運動を伝達されて回転する誘導機と、前記誘導機により充電されるバッテリと、前記バッテリから給電され、ロータの多相巻線に回転磁界を発生させる回転磁界発生手段とを具備した内燃機関用の発電装置において、電気負荷の増減といった誘導機の駆動トルクを変動させる事象が発生すると、回転磁界発生手段が、増減後の電気負荷を駆動トルク変動を伴うこと無く賄えるように回転磁界速度を制御した後、今度は前記増減後の電気負荷を、ステータに対する回転磁界の相対速度が予定回転速度でも賄えるように、駆動トルク変動を伴う回転磁界制御を漸次実行するようにしたことを特徴とする。
【0013】
上記した特徴によれば、電気負荷が増減しても駆動トルク変動が体感されることなく理想的な発電量制御が可能になる。
【0016】
【発明の実施の形態】
初めに、本発明の基本的な考え方について説明する。誘導機の実質的な回転速度はロータが発生する回転磁界のステータコイルに対する相対速度Nで表すことができ、ロータの界磁巻線(多相巻線)が回転磁界ではなく直流磁界を発生していれば、前記相対速度Nはロータの機械的な回転速度と一致する。ここで、ロータの多相巻線に回転磁界を発生させた場合を考えると、ロータの機械的な回転速度をN1 、ロータの多相巻線に発生する回転磁界の速度をN2 とすれば前記相対速度Nは次式で表される。
N=N1 +N2 …(1)
すなわち、誘導機のロータが発生する回転磁界のステータコイルに対する相対速度Nは、ロータの機械的な回転方向とロータの多相巻線が発生する回転磁界の回転方向とが一致していれば、ロータの機械的な回転速度N1 よりも早くなり、回転方向が逆であれば、ロータの回転速度N1 よりも遅くなる。したがって、誘導機を車両用のオルタネータとして採用すれば、エンジン回転数に同期してロータの機械的回転速度N1 がどのように変化しても、それに応答してロータの多相巻線に発生させる回転磁界速度N2 を適宜に制御すれば、前記相対速度Nを任意に制御することができる。
【0017】
一方、図10に示したように、オルタネータの駆動トルクTは前記相対速度Nの関数として表すことができるので、前記のようにして回転磁界の相対速度Nを任意に制御することができれば、オルタネータの駆動トルクTもロータの機械的な回転速度N1 にかかわらず任意に制御できることになる。
【0018】
このように、本発明では誘導機の駆動トルクTが回転磁界のステータに対する相対速度Nの関数であること、および前記相対速度Nはロータの多相巻線に発生する回転磁界速度N2 を制御できればロータの機械的な回転速度N1 にかかわらず任意に制御可能であることに着目し、誘導機の駆動トルクを車両の状態等に応じて任意に制御できるようにした。
【0019】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態である車両用の発電装置の主要部の構成を示したブロック図であり、図2は本発明の発電装置を構成するオルタネータ1の構成を示した図であり、同図(a) は回転軸に垂直な平面での断面図、同図(b) は回転軸に平行な平面での断面図である。本発明のオルタネータ1は、ロータ1Rおよびステータ1Sのそれぞれに3相巻線すなわち3相界磁コイル11、12が形成された、いわゆる誘導機である。
【0020】
図2において、オルタネータ1の回転軸13には、3相界磁コイル11を具備したロータ1Rが同軸状に固定され、ロータ1Rの周囲には、3相界磁コイル12を具備したステータ1Sが配置されている。回転軸13はフロントベアリング15aおよびリアベアリング15bを介してハウジング17に対して回転自在に支持されている。回転軸13の一端にはプーリー14が固定され、その他端には、ロータ1Rの各界磁コイル11(11a〜11c)へ励磁電流を供給するブラシ19a〜19cと接触するスリップリング18a〜18cが形成されている。
【0021】
また、回転軸13の他端側のオルタネータ1内には、後述する回転子励磁装置2、ACG・ECU3、切換制御装置5および短絡装置8が、回転軸13と直交する同一平面上でハウジング17の内側に沿って円周方向に並べて配設されている。これによって各装置間での配線の取り回しが容易になり、かつデッドスペースの有効利用が可能になってオルタネータの大型化が抑制される。
【0022】
図1において、ACG・ECU3は、エンジンECU4と通信してエンジン回転数Ne や電気負荷等を検出すると、ロータ1Rに電気的に発生させる回転磁界の速度N2 、回転磁界電圧、あるいは回転磁界位相等を決定し、回転子励磁装置2の電気的回転磁界制御部2aへ通知する。電気的回転磁界制御部2aは、ACG・ECU3から通知された回転磁界速度N2 等に基づいて、ロータ1Rの各界磁コイル11a,11b,11cに供給する交流電力の位相、振幅および周波数を制御し、回転速度N2 の回転磁界を電気的に発生させる。
【0023】
切換制御装置5は、ACG・ECU3と通信してオルタネータ1の動作状態を検出し、発電機として機能するタイミングではオルタネータ1の出力端子が出力制御装置7の接点▲1▼へ接続され、電動機として機能するタイミングでは短絡装置8の接点▲2▼へ接続されるように切換回路6の各接点を制御する。なお、オルタネータ1を発電機として機能させるタイミングでは、オルタネータ1の出力電力の一部を電気的回転磁界制御部2aを介してオルタネータ1に自己励磁用として供給する場合もある。
【0024】
出力制御装置7は整流回路7aおよびレギュレータ7bを具備し、オルタネータ1から出力される交流電力をバッテリ9の電圧に応じた直流電力に変換する。短絡装置8は、オルタネータ1の各界磁コイル12a,12b,12cの出力端を可変抵抗を介して、または介さずに短絡する。直流励磁制御部2bは前記電気的回転磁界制御部2aと選択的に付勢され、ロータ1Rの界磁コイル11a,11bに直流電力を供給してロータ1Rに磁界を発生させる。
【0025】
このような構成において、ACG・ECU3はエンジンECU4で検出されたエンジン回転数Ne や電気負荷等の動作パラメータが通知されると、エンジン回転数Ne とプーリー比等に基づいてオルタネータ1のロータ1Rの機械的な回転速度N1 を演算する。さらに、ACG・ECU3は、エンジンECU4から指示される目標駆動トルク範囲にオルタネータ1の実際の駆動トルクが収まるように、ロータ1Rが発生する回転磁界のステータ1Sに対する相対速度Nを制御すべく、ロータ1Rの3相巻線に電気的に発生させる回転磁界の速度N2 を算出し、これを電気的回転磁界制御部2aへ通知する。
【0026】
電気的回転磁界制御部2aは、ロータ1Rの3相コイル11の各相の励磁タイミングを制御して速度N2 の回転磁界を電気的に発生させる。ロータ1Rの各界磁コイル11a,11b,11cから出力される交流電力は出力制御装置7で直流電力に変換され、その一部は現在の電気負荷へ供給され、残りはバッテリ9へ充電される。なお、誘導機自体の制御方法は公知なのでその説明は省略する。
【0027】
次いで、本発明による駆動トルク制御の具体例について図3を参照して説明する。図3(a) は、上記した構成の発電装置における駆動トルクの制御方法の一例を示した図であり、本実施形態では、ロータ1Rの機械的回転速度にかかわらずオルタネータ1の駆動トルクが上限トルクTmax 以下に制限されるようにしている。このようなトルク制御は、上限トルクTmax によって定まる低速側上限値Na 以下または高速側下限値Nb 以上に相対速度Nが保たれるように、前記ロータ1Rの機械的回転速度N1 に応じて、ロータ1Rの3相巻線に電気的に発生させる回転磁界の速度N2 を制御することで達成される。
【0028】
図8は、上記した実施形態の動作を示したフローチャートである。ステップS1では、オルタネータ1の機械的な回転数すなわちロータ回転数N1 が計測される。この回転数N1 は、例えばエンジン回転数Ne とプーリー比とに基づいて演算することができる。ステップS2では、オルタネータの現在の駆動トルクTが計測される。この駆動トルクTは、トルク計を用いて計測しても良いが、オルタネータ1の出力電流や励磁電流を測定することによっても計測できる。
【0029】
ステップS3では、検出された駆動トルクTが上限トルクTmax を超えているか否かが判断され、超えていると判断されると、ステップS4では、バッテリ電圧に基づいてバッテリ残容量が検出される。ここで、オルタネータの発電量Mは相対速度Nの上昇に伴って増加することから、本実施形態ではステップS4においてバッテリ残容量が不十分(例えば、バッテリ電圧が12V以下)と判断されると、ステップS5aでは相対速度Nを増して駆動トルクTを減じるための回転磁界速度、すなわち相対速度Nを前記高速側下限値Nb 以上にするための回転磁界速度+N2 が算出される。一方、バッテリ残容量が十分(例えば、バッテリ電圧が12.5V以上)と判断されると、ステップS5bでは相対速度Nを減じて駆動トルクTを減じるための回転磁界速度、すなわち相対速度Nを前記低速側上限値Na 以下にするための回転磁界速度−N2 が算出される。ステップS6では、ロータの多相巻線に速度N2 の回転磁界が誘起される。
【0030】
また、図3(b) はオルタネータ1の駆動トルクの他の制御方法の一例を示した図であり、本実施形態では、ロータの機械的回転速度にかかわらずオルタネータ1の駆動トルクが下限トルクTmin 以上に保たれるようにしている。このようなトルク制御も、相対速度Nが下限値N3 を下回らないように前記ロータ1Rの機械的な回転速度N1 に応じて回転磁界速度N2 を制御することで達成される。
【0031】
さらに、同図(c) は駆動トルクのさらに他の制御方法の一例を示した図であり、本実施形態では、ロータの機械的回転速度にかかわらずオルタネータの駆動トルクが一定トルクTc に保たれるようにしている。このようなトルク制御も、相対速度Nが目標速度N4 に常に一致するように、ロータ1Rの機械的な回転速度N1 に応じて回転磁界速度N2 を制御することで達成される。
【0032】
本実施形態によれば、ロータ1Rの回転速度N1 にかかわらずオルタネータの駆動トルクTを所望の予定値または予定範囲内に収めることができるので、オルタネータベルトへの過度の負担増または負担減、あるいは大きな負担変動を防止できるようになると共に、エンジンの回転数変動も防止できる。
【0033】
ところで、オルタネータでは温度が低下すると多相巻線の電気抵抗が低下して励磁電流が多く流れるため、図4に示したように、同一相対速度での駆動トルクは高温時よりも低温時の方が高くなる。したがって、例えばオルタネータの駆動トルクを上限トルクTmax 以下に制限したい場合の相対速度Nの低速側上限値および高速側下限値も、高温時にはNaH,NbHであったものが低温時にはそれぞれNaL,NbLとなる。したがって、上記のようにして相対速度Nに基づいてオルタネータの駆動トルクTを目標値または目標範囲内に収めるよう制御するのであれば、オルタネータ1の温度をパラメータとして相対速度Nと駆動トルクTとの関係を予め定義しておくことが望ましい。
【0034】
なお、上記した各制御方法では、オルタネータの駆動トルクが任意の絶対的な範囲内または値に制御されるものとして説明したが、現在の駆動トルクよりも高くする、または低くするといったように、現在の駆動トルクとの関係において相対的に制御されるようにしても良く、例えば車両状態に応じて、誘導機の駆動トルクが現在よりも増減されるように回転磁界速度を制御すれば良い。
【0035】
すなわち、図5に示した本発明の第2実施形態のように、例えば電気負荷が40Aである動作点Aの状態でアクセル開度やエンジン回転数等に基づいて車両の加速状態が検出されたときには、回転磁界速度N2 をΔN21だけ増して相対速度Nを速め、これによって動作点をCへ遷移させることで駆動トルクを低くする。また、車両のエンジンブレーキ状態が検出されたときには、回転磁界速度N2 をΔN22だけ減じて相対速度Nを遅くし、これによって動作点をBへ遷移させて駆動トルクを高くすれば、加速性能やエンジンブレーキ性能が向上する。
【0036】
次いで、本発明の第3実施形態について説明する。上記した第1および第2実施形態では、オルタネータ1の電気負荷が考慮されていなかったが、実使用ではエアコンやヘッドランプ等のオン/オフによって電気負荷が大きく変動し、電気負荷が異なればオルタネータ1の相対速度Nと駆動トルクTとの関係も大きく変化する。図6は、オルタネータ1の相対速度Nと駆動トルクTとの関係を電気負荷をパラメータとして表した図であり、相対速度Nが同一であっても電気負荷が増えれば駆動トルクTも増加することが分かる。
【0037】
ここで、相対速度N10で30Aの電力を発生しているときに電気負荷が40Aに増えると、本来であれば駆動トルクもT1 からT2 へ増大する。このため、車両には当該トルク変動に応じたショックが発生すると共に、駆動トルクの増大によるエンジン回転数の一時的な低下を引き起こしかねない。そこで、本実施形態では電気負荷の増減によって駆動トルクが変動しそうになると、この電気負荷の増減分を相対速度Nの増減で補い、これによってトルク変動を防止するようにしている。すなわち、本実施形態では上記のようにして相対速度N10で30Aの電力を発生しているときに電気負荷が40Aに増えると、回転磁界速度N2 を増して相対速度をN10からN20へ増加させる。この結果、駆動トルクを一定に保ったままで発電量を30Aから40Aへ増やすことが可能になる。
【0038】
また、オルタネータの相対速度Nと発電効率ηとの関係は、図7に示したように相対速度Nのある一点Nx で最高効率ηmax を示し、この最高効率回転速度Nx から離れるにしたがって発電効率ηは減少する。したがって、相対速度Nは最高効率ηmax の得られる回転数に維持することが望ましい。
【0039】
そこで、本実施形態では電気負荷の増減といった、オルタネータの駆動トルクを変動させる事象が発生すると、初めは前記のようにして駆動トルクを変動させることなく当該変動を補うために、ロータの多相巻線に電気的に発生させる回転磁界の速度N2 を変化させて相対速度Nを制御するが、その後は、発電量を一定に保ったまま、駆動トルク変動を伴って相対速度Nが最高効率回転速度Nx に一致するように回転磁界速度N2 を徐々に変化させるようにしている。このとき、回転磁界速度N2 の制御すなわち相対速度Nの制御は、駆動トルク変動がドライバーに体感されず、あるいはオルタネータベルトに急激なショックとして表れない程度の速度で漸次行うことが望ましい。
【0040】
本実施形態によれば、オルタネータの駆動トルクを変動させるような事象、すなわちエンジン回転数や電気負荷の増減が発生しても、オルタネータの駆動トルクを急激に変化させることなく当該事象に対処できるようになる。
【0041】
なお、本実施形態では多相巻線として3相巻線を有するロータおよびステータによって構成される誘導機を例にして説明したが、本発明はこれのみに限定されず、4相、5相…等の他の多相巻線を採用した場合にも同様に適用することができる。
【0042】
【発明の効果】
上記したように、本発明によれば、電気負荷が増減しても、初めは駆動トルク変動を伴わない発電量制御が行われ、その後は、駆動トルク変動を伴う発電量制御が漸次行なわれるので、電気負荷が増減しても駆動トルク変動が体感されることなく理想的な発電量制御が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両用発電装置の一実施形態のブロック図である。
【図2】本発明のオルタネータの構成を示した図である。
【図3】本発明の第1実施形態の制御方法を説明するための図である。
【図4】相対速度Nと駆動トルクTとの関係をオルタネータの温度をパラメータとして示した図である。
【図5】本発明の第2実施形態の制御方法を説明するための図である。
【図6】本発明の第3実施形態の制御方法を説明するための図である。
【図7】回転磁界の相対速度Nと効率ηとの関係を示した図である。
【図8】第1実施形態の制御方法を示したフローチャートである。
【図9】従来技術のオルタネータの主要部の構成を示した図である。
【図10】相対速度Nと駆動トルクTとの関係を示した図である。
【符号の説明】
1…オルタネータ,1R…ロータ,1S…ステータ,2…回転子励磁装置,3…ACG・ECU,4…エンジンECU,5…切換制御装置,7…出力制御装置,8…短絡装置,9…バッテリ,11,12…3相界磁コイル,13…回転軸,14…プーリー,15a…フロントベアリング,15b…リアベアリング,17…ハウジング,18a〜18c…スリップリング,19a〜19c…ブラシ
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関(以下、エンジンと表現する場合もある)の回転エネルギを電気エネルギに変換する内燃機関用の発電装置に係り、特に、ロータの多相巻線に回転磁界を発生させることで自身の駆動トルクを最適化できるようにした内燃機関用の発電装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用あるいは船舶用の発電装置は、回転軸がエンジンのクランク軸にオルタネータベルトを介して連結されオルタネータ(ACG)と、オルタネータがエンジン回転数に応じて発生する交流電力を直流電力に変換する整流器と、直流電力の電圧をバッテリ電圧に応じて制御するレギュレータとによって構成される。
【0003】
図9は、従来のオルタネータ50の構成を示した模式図であり、回転軸と一体化されたロータ(回転子)52には直流界磁コイル53が巻回され、ステータ54(固定子)には3相コイル55が巻回されている。ここで、直流界磁コイル53へバッテリから直流電流を供給した励磁状態でロータ52を回転させて交番磁界配置を形成すると、ステータ54の3相コイル55には、ロータ52の回転速度に応じた周波数の交流電力が発生する。すなわち、従来のオルタネータは同期モータを利用した発電機であった。なお、ロータ52には直流界磁コイル53の代わりに永久磁石を設ける場合もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記した車両等用の内燃機関では、ヘッドライトやエアコンディショナといった電力消費量の大きな電気負荷がオン/オフされると、これに応答して発電量を増減させるために直流界磁コイル53の励磁強度も制御される。この結果、エンジンがオルタネータを駆動するのに要するトルク(以下、単に駆動トルクと表現する)が変動し、エンジン回転数が変化することになる。特に、大きな電気負荷がオフ状態からオン状態になって駆動トルクが急激に増えると、これに伴ってエンジン回転数が低下するので、アイドリング時であればエンジンストールを招いたり、また走行中であれば一種の制動状態となってドライバビリティが悪化してしまうという問題が発生する。
【0005】
このような問題点を解決するために、例えば特開平1−277650号公報では、電気負荷が印加されたか否かを判別し、印加されたと判別されるとスロットル弁を開いてエンジン回転数の設定値を高くする制御装置が提案されている。また、特開平5−180047号公報では、電気負荷の増減に応じて、ステータの界磁コイルへ供給する界磁電流のデューティー比を制御する制御装置が提案されている。しかしながら、上記した従来技術ではいずれも、電気負荷の増減に応じてオルタネータの駆動トルクが変動してしまうことから、オルタネータベルトに大きな負荷がかかったり、あるいは素早い制御ができないために依然として安定性に欠けるという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、上記した従来技術の問題点を解決し、オルタネータとして誘導機を採用し、電気負荷やエンジン回転数の変動といった、オルタネータの駆動トルクを変動させる要因が発生しても、その駆動トルクを任意に制御できるようにした内燃機関用の発電装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記した目的を達成するために、本発明は、多相巻線を有するロータおよびステータを備え、ロータが内燃機関の回転運動を伝達されて回転する誘導機と、前記誘導機により充電されるバッテリと、前記バッテリから給電され、ロータの多相巻線に回転磁界を発生させる回転磁界発生手段とを具備した内燃機関用の発電装置において、電気負荷の増減といった誘導機の駆動トルクを変動させる事象が発生すると、回転磁界発生手段が、増減後の電気負荷を駆動トルク変動を伴うこと無く賄えるように回転磁界速度を制御した後、今度は前記増減後の電気負荷を、ステータに対する回転磁界の相対速度が予定回転速度でも賄えるように、駆動トルク変動を伴う回転磁界制御を漸次実行するようにしたことを特徴とする。
【0013】
上記した特徴によれば、電気負荷が増減しても駆動トルク変動が体感されることなく理想的な発電量制御が可能になる。
【0016】
【発明の実施の形態】
初めに、本発明の基本的な考え方について説明する。誘導機の実質的な回転速度はロータが発生する回転磁界のステータコイルに対する相対速度Nで表すことができ、ロータの界磁巻線(多相巻線)が回転磁界ではなく直流磁界を発生していれば、前記相対速度Nはロータの機械的な回転速度と一致する。ここで、ロータの多相巻線に回転磁界を発生させた場合を考えると、ロータの機械的な回転速度をN1 、ロータの多相巻線に発生する回転磁界の速度をN2 とすれば前記相対速度Nは次式で表される。
N=N1 +N2 …(1)
すなわち、誘導機のロータが発生する回転磁界のステータコイルに対する相対速度Nは、ロータの機械的な回転方向とロータの多相巻線が発生する回転磁界の回転方向とが一致していれば、ロータの機械的な回転速度N1 よりも早くなり、回転方向が逆であれば、ロータの回転速度N1 よりも遅くなる。したがって、誘導機を車両用のオルタネータとして採用すれば、エンジン回転数に同期してロータの機械的回転速度N1 がどのように変化しても、それに応答してロータの多相巻線に発生させる回転磁界速度N2 を適宜に制御すれば、前記相対速度Nを任意に制御することができる。
【0017】
一方、図10に示したように、オルタネータの駆動トルクTは前記相対速度Nの関数として表すことができるので、前記のようにして回転磁界の相対速度Nを任意に制御することができれば、オルタネータの駆動トルクTもロータの機械的な回転速度N1 にかかわらず任意に制御できることになる。
【0018】
このように、本発明では誘導機の駆動トルクTが回転磁界のステータに対する相対速度Nの関数であること、および前記相対速度Nはロータの多相巻線に発生する回転磁界速度N2 を制御できればロータの機械的な回転速度N1 にかかわらず任意に制御可能であることに着目し、誘導機の駆動トルクを車両の状態等に応じて任意に制御できるようにした。
【0019】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態である車両用の発電装置の主要部の構成を示したブロック図であり、図2は本発明の発電装置を構成するオルタネータ1の構成を示した図であり、同図(a) は回転軸に垂直な平面での断面図、同図(b) は回転軸に平行な平面での断面図である。本発明のオルタネータ1は、ロータ1Rおよびステータ1Sのそれぞれに3相巻線すなわち3相界磁コイル11、12が形成された、いわゆる誘導機である。
【0020】
図2において、オルタネータ1の回転軸13には、3相界磁コイル11を具備したロータ1Rが同軸状に固定され、ロータ1Rの周囲には、3相界磁コイル12を具備したステータ1Sが配置されている。回転軸13はフロントベアリング15aおよびリアベアリング15bを介してハウジング17に対して回転自在に支持されている。回転軸13の一端にはプーリー14が固定され、その他端には、ロータ1Rの各界磁コイル11(11a〜11c)へ励磁電流を供給するブラシ19a〜19cと接触するスリップリング18a〜18cが形成されている。
【0021】
また、回転軸13の他端側のオルタネータ1内には、後述する回転子励磁装置2、ACG・ECU3、切換制御装置5および短絡装置8が、回転軸13と直交する同一平面上でハウジング17の内側に沿って円周方向に並べて配設されている。これによって各装置間での配線の取り回しが容易になり、かつデッドスペースの有効利用が可能になってオルタネータの大型化が抑制される。
【0022】
図1において、ACG・ECU3は、エンジンECU4と通信してエンジン回転数Ne や電気負荷等を検出すると、ロータ1Rに電気的に発生させる回転磁界の速度N2 、回転磁界電圧、あるいは回転磁界位相等を決定し、回転子励磁装置2の電気的回転磁界制御部2aへ通知する。電気的回転磁界制御部2aは、ACG・ECU3から通知された回転磁界速度N2 等に基づいて、ロータ1Rの各界磁コイル11a,11b,11cに供給する交流電力の位相、振幅および周波数を制御し、回転速度N2 の回転磁界を電気的に発生させる。
【0023】
切換制御装置5は、ACG・ECU3と通信してオルタネータ1の動作状態を検出し、発電機として機能するタイミングではオルタネータ1の出力端子が出力制御装置7の接点▲1▼へ接続され、電動機として機能するタイミングでは短絡装置8の接点▲2▼へ接続されるように切換回路6の各接点を制御する。なお、オルタネータ1を発電機として機能させるタイミングでは、オルタネータ1の出力電力の一部を電気的回転磁界制御部2aを介してオルタネータ1に自己励磁用として供給する場合もある。
【0024】
出力制御装置7は整流回路7aおよびレギュレータ7bを具備し、オルタネータ1から出力される交流電力をバッテリ9の電圧に応じた直流電力に変換する。短絡装置8は、オルタネータ1の各界磁コイル12a,12b,12cの出力端を可変抵抗を介して、または介さずに短絡する。直流励磁制御部2bは前記電気的回転磁界制御部2aと選択的に付勢され、ロータ1Rの界磁コイル11a,11bに直流電力を供給してロータ1Rに磁界を発生させる。
【0025】
このような構成において、ACG・ECU3はエンジンECU4で検出されたエンジン回転数Ne や電気負荷等の動作パラメータが通知されると、エンジン回転数Ne とプーリー比等に基づいてオルタネータ1のロータ1Rの機械的な回転速度N1 を演算する。さらに、ACG・ECU3は、エンジンECU4から指示される目標駆動トルク範囲にオルタネータ1の実際の駆動トルクが収まるように、ロータ1Rが発生する回転磁界のステータ1Sに対する相対速度Nを制御すべく、ロータ1Rの3相巻線に電気的に発生させる回転磁界の速度N2 を算出し、これを電気的回転磁界制御部2aへ通知する。
【0026】
電気的回転磁界制御部2aは、ロータ1Rの3相コイル11の各相の励磁タイミングを制御して速度N2 の回転磁界を電気的に発生させる。ロータ1Rの各界磁コイル11a,11b,11cから出力される交流電力は出力制御装置7で直流電力に変換され、その一部は現在の電気負荷へ供給され、残りはバッテリ9へ充電される。なお、誘導機自体の制御方法は公知なのでその説明は省略する。
【0027】
次いで、本発明による駆動トルク制御の具体例について図3を参照して説明する。図3(a) は、上記した構成の発電装置における駆動トルクの制御方法の一例を示した図であり、本実施形態では、ロータ1Rの機械的回転速度にかかわらずオルタネータ1の駆動トルクが上限トルクTmax 以下に制限されるようにしている。このようなトルク制御は、上限トルクTmax によって定まる低速側上限値Na 以下または高速側下限値Nb 以上に相対速度Nが保たれるように、前記ロータ1Rの機械的回転速度N1 に応じて、ロータ1Rの3相巻線に電気的に発生させる回転磁界の速度N2 を制御することで達成される。
【0028】
図8は、上記した実施形態の動作を示したフローチャートである。ステップS1では、オルタネータ1の機械的な回転数すなわちロータ回転数N1 が計測される。この回転数N1 は、例えばエンジン回転数Ne とプーリー比とに基づいて演算することができる。ステップS2では、オルタネータの現在の駆動トルクTが計測される。この駆動トルクTは、トルク計を用いて計測しても良いが、オルタネータ1の出力電流や励磁電流を測定することによっても計測できる。
【0029】
ステップS3では、検出された駆動トルクTが上限トルクTmax を超えているか否かが判断され、超えていると判断されると、ステップS4では、バッテリ電圧に基づいてバッテリ残容量が検出される。ここで、オルタネータの発電量Mは相対速度Nの上昇に伴って増加することから、本実施形態ではステップS4においてバッテリ残容量が不十分(例えば、バッテリ電圧が12V以下)と判断されると、ステップS5aでは相対速度Nを増して駆動トルクTを減じるための回転磁界速度、すなわち相対速度Nを前記高速側下限値Nb 以上にするための回転磁界速度+N2 が算出される。一方、バッテリ残容量が十分(例えば、バッテリ電圧が12.5V以上)と判断されると、ステップS5bでは相対速度Nを減じて駆動トルクTを減じるための回転磁界速度、すなわち相対速度Nを前記低速側上限値Na 以下にするための回転磁界速度−N2 が算出される。ステップS6では、ロータの多相巻線に速度N2 の回転磁界が誘起される。
【0030】
また、図3(b) はオルタネータ1の駆動トルクの他の制御方法の一例を示した図であり、本実施形態では、ロータの機械的回転速度にかかわらずオルタネータ1の駆動トルクが下限トルクTmin 以上に保たれるようにしている。このようなトルク制御も、相対速度Nが下限値N3 を下回らないように前記ロータ1Rの機械的な回転速度N1 に応じて回転磁界速度N2 を制御することで達成される。
【0031】
さらに、同図(c) は駆動トルクのさらに他の制御方法の一例を示した図であり、本実施形態では、ロータの機械的回転速度にかかわらずオルタネータの駆動トルクが一定トルクTc に保たれるようにしている。このようなトルク制御も、相対速度Nが目標速度N4 に常に一致するように、ロータ1Rの機械的な回転速度N1 に応じて回転磁界速度N2 を制御することで達成される。
【0032】
本実施形態によれば、ロータ1Rの回転速度N1 にかかわらずオルタネータの駆動トルクTを所望の予定値または予定範囲内に収めることができるので、オルタネータベルトへの過度の負担増または負担減、あるいは大きな負担変動を防止できるようになると共に、エンジンの回転数変動も防止できる。
【0033】
ところで、オルタネータでは温度が低下すると多相巻線の電気抵抗が低下して励磁電流が多く流れるため、図4に示したように、同一相対速度での駆動トルクは高温時よりも低温時の方が高くなる。したがって、例えばオルタネータの駆動トルクを上限トルクTmax 以下に制限したい場合の相対速度Nの低速側上限値および高速側下限値も、高温時にはNaH,NbHであったものが低温時にはそれぞれNaL,NbLとなる。したがって、上記のようにして相対速度Nに基づいてオルタネータの駆動トルクTを目標値または目標範囲内に収めるよう制御するのであれば、オルタネータ1の温度をパラメータとして相対速度Nと駆動トルクTとの関係を予め定義しておくことが望ましい。
【0034】
なお、上記した各制御方法では、オルタネータの駆動トルクが任意の絶対的な範囲内または値に制御されるものとして説明したが、現在の駆動トルクよりも高くする、または低くするといったように、現在の駆動トルクとの関係において相対的に制御されるようにしても良く、例えば車両状態に応じて、誘導機の駆動トルクが現在よりも増減されるように回転磁界速度を制御すれば良い。
【0035】
すなわち、図5に示した本発明の第2実施形態のように、例えば電気負荷が40Aである動作点Aの状態でアクセル開度やエンジン回転数等に基づいて車両の加速状態が検出されたときには、回転磁界速度N2 をΔN21だけ増して相対速度Nを速め、これによって動作点をCへ遷移させることで駆動トルクを低くする。また、車両のエンジンブレーキ状態が検出されたときには、回転磁界速度N2 をΔN22だけ減じて相対速度Nを遅くし、これによって動作点をBへ遷移させて駆動トルクを高くすれば、加速性能やエンジンブレーキ性能が向上する。
【0036】
次いで、本発明の第3実施形態について説明する。上記した第1および第2実施形態では、オルタネータ1の電気負荷が考慮されていなかったが、実使用ではエアコンやヘッドランプ等のオン/オフによって電気負荷が大きく変動し、電気負荷が異なればオルタネータ1の相対速度Nと駆動トルクTとの関係も大きく変化する。図6は、オルタネータ1の相対速度Nと駆動トルクTとの関係を電気負荷をパラメータとして表した図であり、相対速度Nが同一であっても電気負荷が増えれば駆動トルクTも増加することが分かる。
【0037】
ここで、相対速度N10で30Aの電力を発生しているときに電気負荷が40Aに増えると、本来であれば駆動トルクもT1 からT2 へ増大する。このため、車両には当該トルク変動に応じたショックが発生すると共に、駆動トルクの増大によるエンジン回転数の一時的な低下を引き起こしかねない。そこで、本実施形態では電気負荷の増減によって駆動トルクが変動しそうになると、この電気負荷の増減分を相対速度Nの増減で補い、これによってトルク変動を防止するようにしている。すなわち、本実施形態では上記のようにして相対速度N10で30Aの電力を発生しているときに電気負荷が40Aに増えると、回転磁界速度N2 を増して相対速度をN10からN20へ増加させる。この結果、駆動トルクを一定に保ったままで発電量を30Aから40Aへ増やすことが可能になる。
【0038】
また、オルタネータの相対速度Nと発電効率ηとの関係は、図7に示したように相対速度Nのある一点Nx で最高効率ηmax を示し、この最高効率回転速度Nx から離れるにしたがって発電効率ηは減少する。したがって、相対速度Nは最高効率ηmax の得られる回転数に維持することが望ましい。
【0039】
そこで、本実施形態では電気負荷の増減といった、オルタネータの駆動トルクを変動させる事象が発生すると、初めは前記のようにして駆動トルクを変動させることなく当該変動を補うために、ロータの多相巻線に電気的に発生させる回転磁界の速度N2 を変化させて相対速度Nを制御するが、その後は、発電量を一定に保ったまま、駆動トルク変動を伴って相対速度Nが最高効率回転速度Nx に一致するように回転磁界速度N2 を徐々に変化させるようにしている。このとき、回転磁界速度N2 の制御すなわち相対速度Nの制御は、駆動トルク変動がドライバーに体感されず、あるいはオルタネータベルトに急激なショックとして表れない程度の速度で漸次行うことが望ましい。
【0040】
本実施形態によれば、オルタネータの駆動トルクを変動させるような事象、すなわちエンジン回転数や電気負荷の増減が発生しても、オルタネータの駆動トルクを急激に変化させることなく当該事象に対処できるようになる。
【0041】
なお、本実施形態では多相巻線として3相巻線を有するロータおよびステータによって構成される誘導機を例にして説明したが、本発明はこれのみに限定されず、4相、5相…等の他の多相巻線を採用した場合にも同様に適用することができる。
【0042】
【発明の効果】
上記したように、本発明によれば、電気負荷が増減しても、初めは駆動トルク変動を伴わない発電量制御が行われ、その後は、駆動トルク変動を伴う発電量制御が漸次行なわれるので、電気負荷が増減しても駆動トルク変動が体感されることなく理想的な発電量制御が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両用発電装置の一実施形態のブロック図である。
【図2】本発明のオルタネータの構成を示した図である。
【図3】本発明の第1実施形態の制御方法を説明するための図である。
【図4】相対速度Nと駆動トルクTとの関係をオルタネータの温度をパラメータとして示した図である。
【図5】本発明の第2実施形態の制御方法を説明するための図である。
【図6】本発明の第3実施形態の制御方法を説明するための図である。
【図7】回転磁界の相対速度Nと効率ηとの関係を示した図である。
【図8】第1実施形態の制御方法を示したフローチャートである。
【図9】従来技術のオルタネータの主要部の構成を示した図である。
【図10】相対速度Nと駆動トルクTとの関係を示した図である。
【符号の説明】
1…オルタネータ,1R…ロータ,1S…ステータ,2…回転子励磁装置,3…ACG・ECU,4…エンジンECU,5…切換制御装置,7…出力制御装置,8…短絡装置,9…バッテリ,11,12…3相界磁コイル,13…回転軸,14…プーリー,15a…フロントベアリング,15b…リアベアリング,17…ハウジング,18a〜18c…スリップリング,19a〜19c…ブラシ
Claims (2)
- 多相巻線を有するロータおよびステータを備え、ロータが内燃機関の回転運動を伝達されて回転する誘導機と、
前記誘導機により充電されるバッテリと、
前記バッテリから給電され、ロータの多相巻線に回転磁界を発生させる回転磁界発生手段とを具備し、
前記回転磁界発生手段は、電気負荷が増減すると、増減後の電気負荷を駆動トルク変動を伴うこと無く賄えるように回転磁界速度を発生させた後、今度は前記増減後の電気負荷を、ステータに対する回転磁界の相対速度が予定回転速度でも賄えるように、駆動トルク変動を伴う回転磁界制御を漸次実行することを特徴とする内燃機関用の発電装置。 - 前記電気負荷の増減は、ヘッドライトまたはエアコンディショナのオン/オフであることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用の発電装置。
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