JP3596147B2 - 抗菌性フィルター - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は抗菌性フィルターに関し、詳しくは、抗菌性繊維を用いた不織繊維集合体からなる抗菌性フィルターに関するものである。さらに詳しくは、浄水器、食品原料水の濾過、飲料の濾過等に使用する抗菌性フィルターに関するものである。
【0002】
【背景技術】
近年、水に対しての関心が高まり、家庭用浄水器の普及率が増加している。また、食品原料水及び飲料の濾過についてもフィルターの使用が増加している。
しかし、浄水器やフィルターに水が滞留するとカビや細菌が繁殖し、水への臭気混入、濁り、食中毒の発生が問題となっている。そのため、カビや細菌の繁殖を抑制する、安全性の高い抗菌性フィルターの開発が望まれていた。
【0003】
これまで銀、銅、亜鉛等の化合物が抗菌性を有することは古くから知られており、銀、銅、亜鉛を高分子中に添加し、抗菌性を付与する試みが、例えば特開昭54−147220号公報など数多く提案されている。また、銀イオン、銅イオンでイオン交換したゼオライト系固体粒子を高分子重合体に添加する試みが、例えば特開昭59−133235号公報などに提案されている。
【0004】
しかしこれらの方法によって得られた高分子重合体を繊維化し、フィルターに用いた場合、人体に対して衛生上問題となる場合がある。
【0005】
また、浄水器および水の濾過に紫外線殺菌装置を組み込んだものが上市されているが、設置スペースの増大、コストアップ、紫外線ランプによる水温上昇等の問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、人体に対する毒性がなく、優れた抗菌性を有した抗菌性繊維を用いた不織繊維集合体からなる抗菌性フィルターを提供しようとするものである。
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成するために、鋭意検討を重ねた結果、ポリリジンまたはその塩を抗菌剤として繊維に練り込み、これを用いた不織繊維集合体からなるフィルターが、人体に対する毒性がなく、優れた抗菌性を有することを知り、本発明を完成するに至った。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記の課題を解決するために以下の構成を有する。
(1)繊維重量に対し、純分換算で0.01〜5重量%のポリリジンまたはその塩を含有する抗菌性繊維からなる不織繊維集合体で構成された抗菌性フィルター。
(2)ポリリジンの塩が、塩酸、硫酸、リン酸および臭化水素酸から選ばれた少なくとも一種の無機酸の塩である前記第(1)項に記載の抗菌性フィルター。
(3)ポリリジンの塩が、酢酸、プロピオン酸、フマル酸、リンゴ酸およびクエン酸から選ばれた少なくとも一種の有機酸の塩である前記第(1)項に記載の抗菌性フィルター。
(4)繊維が熱可塑性繊維である前記第(1)〜(3)項のいずれかに記載の抗菌性フィルター。
(5)熱可塑性繊維が、ポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維およびポリアミド系繊維から選ばれた少なくとも一種である前記第(4)項に記載の抗菌性フィルター。
(6)熱可塑性繊維が、融点の異なる少なくとも2成分からなる複合繊維である前記第(4)項または第(5)項に記載の抗菌性フィルター。
(7)抗菌性繊維と他の繊維が混綿および/または混繊され、かつ該抗菌性繊維を少なくとも20重量%含有し、該抗菌性繊維は、繊維重量に対し、純分換算で0.01〜5重量%のポリリジンまたはその塩を含有するものであり、該混綿および/または混繊された繊維集合体を不織繊維集合体に構成されてなる抗菌性フィルター。
(8)前記第(1)〜(7)項のいずれかに記載のフィルターを浄水器の部材として用いる浄水器用抗菌性フィルター。
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
ポリリジンは、例えば特開昭59−20359号公報に記載のε−L−ポリリジン生産菌であるストレプトマイセス族に属するポリリジン生産菌であるストレプトマイセス・アルブラスサブスピーシーズ・リジノポリメラスを培地に培養し、得られた培養物からε−L−ポリリジンを分離・採取することによって得られる。
リジンは1分子中に2つのアミノ基を有するアミノ酸であり、これから構成されるポリリジンは一般にα位のアミノ基とカルボキシル基とが縮合したα−ポリリジンと、ε位のアミノ基とカルボキシル基とが縮合したε−ポリリジンとの2種類が存在するが、前記の製造法により得られるε−ポリリジンを用いたほうが安全性の面で望ましい。さらにε−ポリリジンは厚生省がまとめた化学的合成以外食品添加物のリストにも記載されている物質であり、食品保存剤などに利用されている。
ε−ポリリジンは、下記の一般式で表される。
【0010】
【化1】
Figure 0003596147
【0011】
本発明において、ポリリジンは遊離の形で用いることができるが、塩酸、硫酸、リン酸および臭化水素酸から選ばれた少なくとも1種の無機酸、または酢酸、プロピオン酸、フマル酸、リンゴ酸およびクエン酸から選ばれた少なくとも1種の有機酸の塩の形で用いることもできる。ポリリジンは遊離の形であれ、塩の形であれ、抗菌剤としての効果は本質的に差異はない。
ポリリジン塩は常法により製造される。例えば含水メタノール溶液に前記ポリリジンを溶解させ、これに前記酸を加える。溶液が中和点を過ぎたところで、冷アセトンを加えて塩を沈澱させ、これを乾燥させる。ポリリジンまたはその塩を繊維に練り込む場合は、これを乳鉢もしくはボールミル等で粉砕して用いる。
【0012】
本発明の抗菌性フィルターに使用する抗菌性繊維の原料繊維素材としては、キュプラ、レーヨン、アセテートなどの再生繊維、半合成繊維のほか、後述の合成繊維のいずれも使用できる。特に、ポリプロピレン、線状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンなどのポリオレフィン系、あるいはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、共重合ポリエステルなどのポリエステル系、あるいはナイロン6、ナイロン66などのポリアミド系などの熱可塑性樹脂およびこれらの混合物からなる合成繊維が好ましい。
【0013】
抗菌性繊維が、2種以上の熱可塑性樹脂からなる複合繊維である場合、鞘芯型、並列型、偏芯鞘芯型、多層型あるいは海島型等の複合形式による繊維を例示できる。
複合繊維の熱可塑性樹脂の組合せの例として、高密度ポリエチレン/ポリプロピレン、直鎖状高密度ポリエチレン/ポリプロピレン、低密度ポリエチレン/ポリプロピレン、プロピレンと他のαオレフィンとの二元共重合体または三元共重合体/ポリプロピレン、直鎖状高密度ポリエチレン/高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン/高密度ポリエチレン、各種のポリエチレン/熱可塑性ポリエステル、ポリプロピレン/熱可塑性ポリエステル、低融点熱可塑性ポリエステル/熱可塑性ポリエステル、各種のポリエチレン/ナイロン6、ポリプロピレン/ナイロン6、プロピレンと他のαオレフィンとの二元共重合体または三元共重合体/ナイロン6、ナイロン6/ナイロン66、ナイロン6/熱可塑性ポリエステルなどを挙げることができる。
【0014】
抗菌性繊維を得る一手法として、ポリリジンまたはその塩を繊維内に練り込む方法について説明する。繊維素材は熱可塑性樹脂が好ましく、繊維重量全体に対して純分換算で0.01〜5重量%、好ましくは、0.1〜3重量%のポリリジンまたはその塩を熱可塑性樹脂に混合添加する。この含有量範囲が発明の効果が最も大きい。つまり、ポリリジンの含有量が0.01重量%未満では、十分な抗菌効果をえることは困難である。また5重量%を超えると、抗菌性がほぼ飽和状態に達し、含有量を多くする意味がなく、コスト高になりさらには紡糸安定性も不利になることから好ましくない。
【0015】
また、抗菌性繊維の素材として用いる熱可塑性樹脂としては、重合体に練り込まれた抗菌剤が表層に出やすく、抗菌効果が有効に作用されるという点からもポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィン系重合体がより好ましい。
【0016】
本発明に用いるポリリジンまたはその塩は、平均粒子径が5μm以下が好ましい。粒径が5μmを超えると溶融紡糸時にフィルター詰まりや断糸を起こし易く使用困難である。従って本発明に用いるポリリジンの平均粒径は5μm以下、さらに好ましくは2μm以下のものが望ましい。
【0017】
本発明において繊維に練り込む抗菌剤は、ポリリジンまたはその塩のどちらでも構わないが、溶融紡糸する際の熱安定性を考えると、ポリリジン塩が好ましい。またポリリジン塩を用いた場合でも、添加工程及び紡糸温度は260℃以下に設定することが望ましい。260℃を超えると抗菌効果は維持されるが、徐々に着色が起こるためである。
【0018】
さらに、ポリリジンまたはその塩を練り込む場合、繊維は鞘芯型複合繊維とし、鞘成分の熱可塑性樹脂にのみ前記ポリリジンを含有させることが、機械的特性、紡糸安定性、コストの面からさらに望ましい。芯成分と鞘成分の重合体の種類が異なる場合の複合比は、芯成分/鞘成分(重量比)が20/80〜80/20であることが好ましく、特に40/60〜60/40であることがより好ましい。80/20を超えると鞘成分の破断が発生しやすくなり、生産性が低下する。一方、20/80未満では芯成分が有する本来の繊維性能が低下する。
【0019】
また鞘、芯とも同一の重合体を用いて、鞘部分にのみポリリジンまたはその塩を練り込み添加することにより、鞘成分と芯成分の境界もなく機械的特性、紡糸安定性、コストの面から望ましい単一重合体からなる抗菌性繊維とすることができる。
【0020】
抗菌性繊維を用いた不織繊維集合体からなる本発明の抗菌性フィルターの製造方法としては、例えば、前記抗菌性繊維の短繊維を用いてカーディング法、エアーレイド法を用いて必要な目付けのウェブを作製する。またメルトブロー法、スパンボンド法などで直接ウェブを作製してもよい。前記方法で作製したウェブを、サクションドライヤー法、熱風乾燥装置あるいは熱ロール法等の公知の方法で加熱しながら芯棒に巻き付け抗菌性フィルターを得ることができる。
また、前記方法で作製したウェブを、サクションドライヤー法、熱風乾燥装置あるいは熱ロール法等の公知の方法で加工して不織布とし、この不織布を多孔支持体に巻き付け抗菌性フィルターとしてもよい。さらに、前記抗菌性繊維の短繊維で紡績糸を作り、これを多孔支持体に巻き付けた糸巻き型の抗菌性フィルターとしてもよい。
【0021】
本発明の抗菌性フィルターは、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて前記抗菌性繊維に他の繊維を混綿および/または混繊した不織繊維集合体として使用することができる。この場合、抗菌性繊維は少なくとも20重量%含有することが、本発明の効果を得る上で望ましい。この他の繊維としては、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、アクリルなどの合成繊維、綿、羊毛、麻、などの天然繊維、レーヨン、キュプラ、アセテートなどの再生繊維、半合成繊維が挙げられる。
【0022】
【作用】
本発明の抗菌性フィルターは、練り込まれているポリリジン及びその塩により抗菌性が発現される。ポリリジンの抗菌作用についてはカビの増殖抑制作用や大腸菌(Escherichia coil)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus )、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、枯草菌(Bacillus subtilis )などのグラム陽性菌、グラム陰性菌に対する増殖抑制作用がある。
これらの抗菌作用の詳細は不明であるが、ポリリジンのα位のカチオン性アミノ基によって菌の細胞壁中の陰イオン構成物質が吸着され、その結果、細胞壁の生合成が阻害あるいは壁の内外の物質の能動輸送が阻止されるため抗菌作用が発現されるものと推定される。本発明のフィルターは優れた抗菌効果を発現する。浄水器および工業用フィルターを用いて水の濾過を行う場合、水が滞留すると、カビや細菌が繁殖し、水への臭気混入、濁り、食中毒の発生が起こる。しかし、本発明の抗菌性フィルターを使用すると、これらのカビや細菌の増殖を抑制し、水への臭気混入、濁り、食中毒の発生を抑えることができ、安全な水を供給できる。
【0023】
【実施例】
以下、実施例、比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。なお、実施例中の性能評価は、下記方法に従った。
【0024】
抗菌性試験▲1▼(抗菌数増減値差測定)
滅菌した寒天培地に水道水を試験片(0.2g)上に0.2ml接種し、温度37℃で18時間培養する。培養後、試験片上の菌をリン酸緩衝液で抽出し、試験片上の生菌を標準寒天培地法により測定し、下記の計算式により菌数の増減値差を算出した。
無加工試料
[A]接種直後の生菌数
[B]18時間培養後の生菌数
抗菌加工試料
[C]18時間培養後の生菌数
菌数増減値差=log10(B/A)−log10(C/A)
上記式により得られる菌数増減値差が目安として1.6以上であれば、抗菌性能としては充分機能する。一方、菌数増減値差が1.6未満になると抗菌性能が不充分となり、微生物が繁殖する。
【0025】
抗菌性試験▲2▼(フィルター浸漬水臭気及び濁り試験)
1000ccビーカーに水道水700ccを入れ、試料を浸漬する。ビーカー上部をパラフィルムで密閉し、恒温槽に浸漬し、水温を37℃一定にする。12時間ごとに、ビーカー上部のフィルムを取り外し臭気または濁りの発生した時間を判定する。
【0026】
抗菌性試験▲3▼(浄水器通過水臭気試験)
試料フィルターを水道水の浄水用フィルターとして、水道に取り付け、1日1回流量5リットル/分で10分間通水する。通水初期の水を300cc共栓三角フラスコに200ccとり、軽く栓をして約40℃に温める。フラスコを揺り動かしながら栓をとり、直ちに臭気の有無を試験し、臭気の発生した日数を判定する。
【0027】
実施例1
高密度ポリエチレン(MFR:16g/10分、190℃)にε−ポリ−L−リジンの塩酸塩パウダーを純分換算で0.02重量%添加し、200℃で山口製作所(株)製の単軸ベント付押出機を用いて混練し、ペレットとした。
ポリプロピレン(MFR:16g/10分、230℃)を芯成分とし、前記ε−ポリ−L−リジンの塩酸塩を練り込んだポリエチレンを鞘成分として、230℃で孔径0.6mm、孔数350の鞘芯型口金を用いて、鞘芯比50/50、単糸デニール約7.5d/fの鞘芯型複合繊維を紡糸した。得られた未延伸糸を110℃で4.3倍に延伸し、機械捲縮をかけ、収縮を抑えるために100℃で熱処理を施した後、所定長に切断して短繊維とした。
これらの短繊維は、捲縮数約15個/25mm、カット長51mm、単糸繊度は約2.0デニールの短繊維であった。得られた短繊維をカード機にてウェブとし、サクションバンドドライヤーを用いて、140℃で加熱しながら金属製の芯棒に巻き取った後、冷却し芯棒を抜き取り、100mmの長さに切断し、外径60mm、内径30mm、長さ100mmの中空円筒状フィルターを得た。
【0028】
実施例2
ε−ポリ−L−リジンの塩酸塩パウダーを高密度ポリエチレンに純分換算で1.0重量%混練する以外は、実施例1と同様な工程でフィルターを得た。
【0029】
実施例3
ε−ポリ−L−リジンの塩酸塩パウダーを高密度ポリエチレンに純分換算で5.0重量%混練する以外は、実施例1と同様な工程でフィルターを得た。
【0030】
比較例1
ε−ポリ−L−リジンの塩酸塩パウダーを高密度ポリエチレンに混練せず、それ以外は、実施例1と同様な工程でフィルターを得た。
【0031】
比較例2
ε−ポリ−L−リジンの塩酸塩パウダーを高密度ポリエチレンに純分換算で0.005重量%混練する以外は、実施例1と同様な工程でフィルターを得た。
【0032】
実施例1〜3、比較例1,2で得たフィルターのフィルター重量に対するε−ポリ−L−リジンの含有量(純分換算)、菌数増減値差、フィルター浸漬水の臭気または濁り発生時間の結果を表1に示す。
【0033】
【表1】
Figure 0003596147
【0034】
表1からも明らかなように、本発明の実施例1〜3のε−ポリ−L−リジンが一定量含有されたフィルターは、抗菌性に優れていることがわかる。しかし、比較例2では、ε−ポリ−L−リジンの含有量が少ないため、抗菌性が低い。
【0035】
実施例4
高密度ポリエチレン(MFR:16g/10分、190℃)にε−ポリ−L−リジンパウダーを2.0重量%添加し、200℃で山口製作所(株)製の単軸ベント付押出機を用いて混練し、ペレットとした。
ポリプロピレン(MFR:16g/10分、230℃)を芯成分とし、前記ε−ポリ−L−リジンを練り込んだポリエチレンを鞘成分として、230℃で孔径0.6mm、孔数350の鞘芯型口金を用いて、鞘芯比50/50、単糸デニール約7.5d/fの鞘芯型複合繊維を紡糸した。得られた未延伸糸を110℃で4.3倍に延伸し、機械捲縮をかけ、収縮を抑えるために100℃で熱処理を施した後、所定長に切断して短繊維とした。
これらの短繊維は、捲縮数約15個/25mm、カット長51mm、単糸繊度は約2.0デニールの短繊維であった。得られた短繊維をカード機にてウェブとし、サクションバンドドライヤーを用いて、140℃で加熱しながら金属製の芯棒に巻き取った後、冷却し芯棒を抜き取り、100mmの長さに切断し、外径60mm、内径30mm、長さ100mmの中空円筒状フィルターを得た。
【0036】
実施例5
ε−ポリ−L−リジンの代わりにε−ポリ−L−リジン塩酸塩パウダーを高密度ポリエチレンに混練する以外は、実施例4と同様な工程でフィルターを得た。
【0037】
実施例6
ε−ポリ−L−リジンの代わりにε−ポリ−L−リジンプロピオン酸塩パウダーを高密度ポリエチレンに混練する以外は、実施例4と同様な工程でフィルターを得た。
【0038】
実施例4〜6で得たフィルターのフィルター重量に対するε−ポリ−L−リジンの含有量(純分換算)、菌数増減値差、フィルター浸漬水の臭気または濁り発生時間の結果を表2に示す。
【0039】
【表2】
Figure 0003596147
【0040】
表2からも明らかなように、本発明の実施例4〜6のε−ポリ−L−リジンまたはその塩が一定量含有されたフィルターは、抗菌性に優れている。
【0041】
実施例5で挙げたポリリジンの塩酸塩は、無機酸の代表例であって、他の硫酸塩、リン酸塩、臭化水素酸塩を用いても同様に本発明の効果が得られる。
【0042】
実施例6で挙げたポリリジンのプロピオン酸塩は、有機酸の代表例であって、他の酢酸、フマル酸、リンゴ酸、クエン酸を用いても同様に本発明の効果が得られる。
【0043】
実施例7
高密度ポリエチレン(MFR:16g/10分、190℃)にε−ポリ−L−リジン塩酸塩パウダーを10.0重量%添加し、200℃で山口製作所(株)製の単軸ベント付押出機を用いて混練し、ペレットとした。
ポリプロピレン(MFR:16g/10分、230℃)を芯成分とし、前記ε−ポリ−L−リジンを練り込んだポリエチレンを鞘成分として、230℃で孔径0.6mm、孔数350の鞘芯型口金を用いて、鞘芯比50/50、単糸デニール約7.5d/fの鞘芯型複合繊維を紡糸した。得られた未延伸糸を110℃で4.3倍に延伸し、機械捲縮をかけ、収縮を抑えるために100℃で熱処理を施した後、所定長に切断して短繊維とした。
これらの短繊維は、捲縮数約15個/25mm、カット長51mm、単糸繊度は約2.0デニールの短繊維であった。得られた短繊維をカード機にてウェブとし、サクションバンドドライヤーを用いて、140℃で加熱しながら金属製の芯棒に巻き取った後、冷却し芯棒を抜き取り、100mmの長さに切断し、外径60mm、内径30mm、長さ100mmの中空円筒状フィルターを得た。
【0044】
実施例8
高密度ポリエチレン(MFR:16g/10分、190℃)にε−ポリ−L−リジン塩酸塩パウダーを10.0重量%添加し、200℃で山口製作所(株)製の単軸ベント付押出機を用いて混練し、ペレットとした。
ポリプロピレン(MFR:16g/10分、230℃)を芯成分とし、前記ε−ポリ−L−リジンを練り込んだポリエチレンを鞘成分として、230℃で孔径0.6mm、孔数350の鞘芯型口金を用いて、鞘芯比50/50、単糸デニール約7.5d/fの鞘芯型複合繊維を紡糸した。得られた未延伸糸を110℃で4.3倍に延伸し、機械捲縮をかけ、収縮を抑えるために100℃で熱処理を施した後、所定長に切断して短繊維とした。
これらの短繊維は、捲縮数約15個/25mm、カット長51mm、単糸繊度は約2.0デニールの短繊維であった。
得られた短繊維とアクリル短繊維(単糸繊度2.0デニール、カット長51mm)を重量比50/50で混綿し、カード機にてウェブとし、サクションバンドドライヤーを用いて、140℃で加熱しながら金属製の芯棒に巻き取った後、冷却し芯棒を抜き取り、100mmの長さに切断し、外径60mm、内径30mm、長さ100mmの中空円筒状フィルターを得た。
【0045】
実施例9
高密度ポリエチレン(MFR:16g/10分、190℃)にε−ポリ−L−リジン塩酸塩パウダーを10.0重量%添加し、200℃で山口製作所(株)製の単軸ベント付押出機を用いて混練し、ペレットとした。
ポリプロピレン(MFR:16g/10分、230℃)を芯成分とし、前記ε−ポリ−L−リジンを練り込んだポリエチレンを鞘成分として、230℃で孔径0.6mm、孔数350の鞘芯型口金を用いて、鞘芯比50/50、単糸デニール約7.5d/fの鞘芯型複合繊維を紡糸した。得られた未延伸糸を110℃で4.3倍に延伸し、機械捲縮をかけ、収縮を抑えるために100℃で熱処理を施した後、所定長に切断して短繊維とした。
これらの短繊維は、捲縮数約15個/25mm、カット長51mm、単糸繊度は約2.0デニールの短繊維であった。
得られた短繊維とアクリル短繊維(単糸繊度2.0デニール、カット長51mm)を重量比20/80で混綿し、カード機にてウェブとし、サクションバンドドライヤーを用いて、140℃で加熱しながら金属製の芯棒に巻き取った後、冷却し芯棒を抜き取り、100mmの長さに切断し、外径60mm、内径30mm、長さ100mmの中空円筒状フィルターを得た。
【0046】
実施例7〜9で得たフィルターのフィルター重量に対するε−ポリ−L−リジンの含有量(純分換算)、菌数増減値差、フィルター浸漬水の臭気または濁り発生時間の結果を表3に示す。
【0047】
【表3】
Figure 0003596147
【0048】
表3からも明らかなように、他の繊維が混綿されても、本発明の実施例8,9のε−ポリ−L−リジンが一定量含有されたフィルターは、抗菌性に優れている。
【0049】
実施例8,9で挙げたアクリル短繊維は、抗菌性繊維に混綿する他の繊維の代表例であって、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンなどの合成繊維、綿、羊毛、麻、などの天然繊維、レーヨン、キュプラ、アセテートなどの再生繊維、半合成繊維を混綿しても同様に本発明の効果が得られる。
【0050】
実施例10
高密度ポリエチレン(MFR:16g/10分、190℃)にε−ポリ−L−リジン塩酸塩パウダーを2.0重量%添加し、200℃で山口製作所(株)製の単軸ベント付押出機を用いて混練し、ペレットとした。
ポリプロピレン(MFR:16g/10分、230℃)を芯成分とし、前記ε−ポリ−L−リジンを練り込んだポリエチレンを鞘成分として、230℃で孔径0.6mm、孔数350の鞘芯型口金を用いて、鞘芯比50/50、単糸デニール約7.5d/fの鞘芯型複合繊維を紡糸した。得られた未延伸糸を110℃で4.3倍に延伸し、機械捲縮をかけ、収縮を抑えるために100℃で熱処理を施した後、所定長に切断して短繊維とした。
これらの短繊維は、捲縮数約15個/25mm、カット長51mm、単糸繊度は約2.0デニールの短繊維であった。得られた短繊維をカード機にてウェブとし、サクションバンドドライヤーを用いて、140℃で加熱しながら金属製の芯棒に巻き取った後、冷却し芯棒を抜き取り、250mmの長さに切断し、外径60mm、内径30mm、長さ250mmの中空円筒状フィルターを得た。これを水道水の浄水器用フィルターとして取り付け抗菌性を評価した。
【0051】
比較例3
ε−ポリ−L−リジンの塩酸塩パウダーを高密度ポリエチレンに混練せず、それ以外は、実施例10と同様な工程でフィルターを得て、抗菌性を評価した。
【0052】
実施例10、比較例3で得たフィルターのフィルター重量に対するε−ポリ−L−リジンの含有量(純分換算)、浄水器通過水臭気発生日数の結果を表4に示す。
【0053】
【表4】
Figure 0003596147
【0054】
表4からも明らかなように、本発明の実施例10のε−ポリ−L−リジンが一定量含有されたフィルターを使用した浄水器は、抗菌性に優れていることがわかる。
【0055】
【発明の効果】
抗菌性繊維を用いた不織繊維集合体からなる本発明の抗菌性フィルターは、優れた抗菌性を有する。しかも食品用保存剤として使用されているポリリジンまたはその塩を抗菌剤として用いているので、使用に際して人体への影響もなく、非常に安全である。このため、抗菌性フィルターとして、浄水器、食品原料水の濾過、飲料の濾過等に利用できる。

Claims (8)

  1. 繊維重量に対し、純分換算で0.01〜5重量%のポリリジンまたはその塩を含有する抗菌性繊維からなる不織繊維集合体で構成された抗菌性フィルター。
  2. ポリリジンの塩が、塩酸、硫酸、リン酸および臭化水素酸から選ばれた少なくとも一種の無機酸の塩である請求項1に記載の抗菌性フィルター。
  3. ポリリジンの塩が、酢酸、プロピオン酸、フマル酸、リンゴ酸およびクエン酸から選ばれた少なくとも一種の有機酸の塩である請求項1に記載の抗菌性フィルター。
  4. 繊維が熱可塑性繊維である請求項1〜3のいずれかに記載の抗菌性フィルター。
  5. 熱可塑性繊維が、ポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維およびポリアミド系繊維から選ばれた少なくとも一種である請求項4に記載の抗菌性フィルター。
  6. 熱可塑性繊維が、融点の異なる少なくとも2成分からなる複合繊維である請求項4または5に記載の抗菌性フィルター。
  7. 抗菌性繊維と他の繊維が混綿および/または混繊され、かつ該抗菌性繊維を少なくとも20重量%含有し、該抗菌性繊維は、繊維重量に対し、純分換算で0.01〜5重量%のポリリジンまたはその塩を含有するものであり、該混綿および/または混繊された繊維集合体を不織繊維集合体に構成されてなる抗菌性フィルター。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のフィルターを浄水器の部材として用いる浄水器用抗菌性フィルター。
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